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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 A63F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 取り消して特許、登録 A63F |
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管理番号 | 1408898 |
総通号数 | 28 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2024-04-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-05-26 |
確定日 | 2024-04-09 |
事件の表示 | 特願2021− 12101「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 8月 9日出願公開、特開2022−115484、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和3年1月28日の出願であって、その手続の経緯の概略は次のとおりである。 令和 4年12月13日付け:拒絶理由通知書 令和 5年 2月13日 :意見書、手続補正書の提出 2月28日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 3月14日 :原査定の謄本の送達 5月26日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 (進歩性)本願の請求項1に係る発明は、以下の引用文献1〜4に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2019−063293号公報 2.特開2020−127577号公報 3.特開2010−188079号公報 4.特開2014−166533号公報 第3 審判請求時の補正 1 補正の内容 審判請求時の補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正を含むものであって、令和5年2月13日提出の手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に (本件補正前の請求項1) 「【請求項1】 少なくとも楽曲を出力するための音出力手段を備える遊技機であって、 所定演出中において、当該所定演出に対応する前記楽曲の出力とは別に、設定された効果音を前記音出力手段によって断続的に出力する効果音演出を実行可能であり、 前記効果音演出は、大当たり態様で仮停止した演出図柄が昇格する演出である図柄昇格演出への移行のタイミングに合わせて前記効果音を前記音出力手段によって出力する演出を含む、 ことを特徴とする遊技機。」 とあったものを、 (本件補正後の請求項1) 「【請求項1】 A 少なくとも楽曲を出力するための音出力手段を備える遊技機であって、 B 所定演出中において、当該所定演出に対応する前記楽曲の出力とは別に、設定された効果音を前記音出力手段によって断続的に出力する効果音演出を実行可能であり、 C 当該変動における特定の演出から大当たり抽選への当選、落選を報知する当落報知演出までの一連の演出において、同一の効果音を用いて前記効果音演出の実行を継続し、 D 前記当落報知演出において、演出図柄が大当たり態様で仮停止した場合に前記当落報知演出に続けて実行され、前記大当たり態様で仮停止した演出図柄が昇格する演出である図柄昇格演出への移行のタイミングに合わせて前記一連の演出で用いられる効果音と同一の効果音を前記音出力手段によって出力する、 E ことを特徴とする遊技機。」 とする補正を含むものである(なお、符号A等は、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)を分説するために当審合議体が付した。以下、符号A等が付された事項を「特定事項A」等という。また、下線は補正前後の箇所を明示するために当審合議体が付した。)。 2 補正の目的 本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「効果音演出」に関して、当該「効果音演出」を、「当該変動における特定の演出から大当たり抽選への当選、落選を報知する当落報知演出までの一連の演出において、同一の効果音を用いて」「実行を継続」(特定事項C)することを追加すること(補正事項1)で、「効果音演出」を実行する期間及び内容について特定し、大当たり態様で仮停止した演出図柄が昇格する演出である「図柄昇格演出」が、補正事項1により追加された「前記当落報知演出」「において、演出図柄が大当たり態様で仮停止した場合に、前記当落報知演出に続けて実行され」(特定事項D)ることを追加すること(補正事項2)で、「図柄昇格演出」に至る演出上の流れを特定するとともに、その流れにおける「図柄昇格演出」への移行のタイミングに合わせた演出として出力する「効果音」について、「一連の演出で用いられる効果音と同一の」(特定事項D)ものであることを追加することで(補正事項3)、「効果音演出」の構成を限定するものである。 そうすると、本件補正発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 3 新規事項の追加の有無について 補正事項1〜3を含む本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【1582】〜【1585】、【図117】等の記載からみて、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たす。 4 独立特許要件について 本件補正発明は、以下の「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、独立特許要件を満たすものであり、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合する。 5 まとめ 上記1〜4より、本件補正は、適法にされたものと認められる。 第4 本願発明 前記第3のとおり、本件補正は適法にされたものであるから、本願請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第3の1に(本件補正後の請求項1)として記載したとおりのものである。 第5 引用発明、引用文献の記載事項 1 引用文献1 原査定において引用文献1として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2019−63293号公報(平成31年4月25日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、「遊技機」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。以下同様。)。 (1) 記載事項 ア 「【0020】 (パチンコ遊技機1の構成等) 図1は、パチンコ遊技機1の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、遊技領域が形成され、この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。 (中略) 【0024】 遊技盤2における遊技領域の中央付近には画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)や有機EL(Electro Luminescence)等から構成され、各種の演出画像を表示する。画像表示装置5は、プロジェクタ及びスクリーンから構成されていてもよい。画像表示装置5には、各種の演出画像が表示される。 (中略) 【0041】 遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられており、さらに遊技領域周辺部には、遊技効果用の遊技効果ランプ9が設けられている。遊技効果ランプ9は、LEDを含んで構成されている。」 イ 「【0116】 始動入賞判定処理では、始動入賞の発生を検出し、RAM102の所定領域に保留情報を格納し保留記憶数を更新する処理が実行される。始動入賞が発生すると、表示結果(大当り種別を含む)や変動パターンを決定するための乱数値が抽出され、保留情報として記憶される。また、抽出した乱数値に基づいて、表示結果や変動パターンを先読み判定する処理が実行されてもよい。保留情報や保留記憶数を記憶した後には、演出制御基板12に始動入賞の発生、保留記憶数、先読み判定等の判定結果を指定するための演出制御コマンドを送信するための送信設定が行われる。こうして送信設定された始動入賞時の演出制御コマンドは、例えば特別図柄プロセス処理が終了した後、図4に示すステップS27のコマンド制御処理が実行されることなどにより、主基板11から演出制御基板12に対して伝送される。」 ウ 「【0214】 上記実施の形態では、示唆演出としてのリーチ演出のタイトルの報知について、本発明を適用した例を説明したが、他の演出に関するタイトル報知(主に文字を表示する報知)に本発明を適用してもよい。例えば、予告演出(例えば先読み予告演出)として、画像表示装置5における背景画像や演出態様がそれぞれ異なる複数のゾーン(ステージ、演出モード等)に移行させる先読みゾーン演出を実行する場合において、移行したゾーンのタイトル報知に本発明を適用してもよい。ミッション(「7でリーチをかけろ」、「スティックコントローラを使って敵を全滅させろ」等)を提示し、当該ミッションを達成したときに遊技者に有利な状態となるミッション演出を実行する場合に、ミッションのタイトル報知に本発明を適用してもよい。」 エ 「【0286】 (特徴部38SHに関する演出動作例4) 図20−4は、特徴部38SHに関する他の演出動作例を示す。この例では、第1の関連表示として、先読みゾーン演出の実行中であることを報知するテロップ画像の表示を例にとって説明する。また、この例では、第2の関連表示として、先読みゾーン演出の注目ポイントを教示するテロップ画像の表示を例にとって説明する。 【0287】 上述したように、先読みゾーン演出とは、背景画像や演出態様がそれぞれ異なる複数のゾーンに移行させる演出である。演出制御用CPU120は、始動入賞の発生、保留記憶数、先読み判定等の判定結果に基づいて、先読み判定の対象となった保留情報に対応するターゲットの可変表示において、スーパーリーチとなることや表示結果が「大当り」となることを予告する先読みゾーン演出を実行可能である。演出制御用CPU120は、ターゲットの可変表示を含む、ターゲットの可変表示よりも前に実行される複数回の可変表示に跨って、先読みゾーン演出を実行可能である。 【0288】 演出制御用CPU120は、先読みゾーン演出の実行中であることを報知するテロップ画像を画像表示装置5に表示可能である。例えば、演出制御用CPU120は、図20−4に示すように、画像表示装置5の表示領域における右方の領域に、上下に延びるゾーンテロップ画像38SH30を表示する。ゾーンテロップ画像38SH30は、「LIVEZONE」との文字情報38SH31が表示される態様の画像である。この例では、ゾーンテロップ画像38SH30の「LIVE ZONE」との文字情報38SH31が認識可能であることを以て、先読みゾーン演出の実行中であることが報知される。 (中略) 【0292】 そこで、この例では、ゾーンテロップ画像38SH30の文字情報38SH31を移動させることで、ゾーンテロップ画像38SH30の内容を認識可能とする。図20−4に示す例では、図20−4(A)に示す状態からゾーンテロップ画像38SH30の文字情報38SH31を下側から上側へ移動させることにより、図20−4(B)に示すように、「LIVE ZONE」という文字列の全部が注目ポイントテロップ画像38SH40に隠れない位置まで移動して認識可能となり、ゾーンテロップ画像38SH30の内容が先読みゾーン演出の実行中を報知するものであることを認識可能となる。 【0293】 なお、文字情報38SH31の文字は、画像表示装置5の表示領域の上端に到達すると、更なる移動に伴い表示されなくなる。このように、文字情報38SH31を下側から上側へ移動させた結果、文字情報38SH31が表示されなくなった場合、演出制御用CPU120は、文字情報38SH31を、画像表示装置5の表示領域の下側から上側へ移動させるように再び表示する。」 オ 「【0300】 (特徴部38SHに関する演出動作例6) 図20−6は、特徴部38SHに関する他の演出動作例を示す。この例では、上述した例と異なる点について詳細に説明し、共通の構成についてはその詳細な説明を省略する。 【0301】 演出制御用CPU120は、主基板11から送信された始動入賞時の演出制御コマンドに基づく先読み予告演出として、テロップによる演出を実行可能である。一例として、演出制御用CPU120は、先読みゾーン演出に関連するゾーン楽曲をスピーカ8L、8Rから出力可能である。例えば、演出制御用CPU120は、先読みゾーン演出として実行されるライブ演出の歌やダンスに対応する楽曲をゾーン楽曲として出力する。」 カ 「【0325】 (特徴部38SHに関する演出動作例10) また、あるタイミングにおける関連表示の文字表示の移動速度と、別のタイミングにおける該関連表示の文字表示の移動速度とを異ならせてもよい。 (中略) 【0327】 図20−10に示す例は、先読みゾーン演出として、アップテンポのサビの後にスローテンポの後奏となる楽曲のライブ演出を実行するもので、スローテンポの後奏が終わるタイミングに合わせて、飾り図柄の可変表示の表示結果となる確定飾り図柄を停止表示させる場面を示す。図20−10(A)は、アップテンポのサビを開始したタイミングの場面を示し、図20−10(B)は、アップテンポのサビを開始してから1秒後の場面を示す。図20−10(C)は、スローテンポの後奏を開始したタイミングの場面を示し、図20−10(D)は、スローテンポの後奏を開始してから1秒後の場面を示す。」 キ 「【0368】 (特徴部38SH(39SH)に関する演出動作例1) 図20−16は、特徴部38SH(39SH)に関する演出動作例を示す。この例では、所定状態に関連する関連表示として、先読みゾーン演出の実行中であることを報知するテロップ画像の表示を例にとって説明する。 【0369】 演出制御用CPU120は、先読みゾーン演出の実行中に、画像表示装置5の前面にて可動体32を動作させる可動体演出を実行可能である。このような可動体演出にて動作する可動体32は、可動体演出が実行されないときには、画像表示装置5の前面に被らない初期位置に退避されていればよい。この例では、先読みゾーン演出の実行中に実行される可動体演出として、音楽ライブにて観客が用いるスティックライトを模した可動体32を動作させる可動体演出について説明する。この例では、スティックライトを模した可動体32を、画像表示装置5の前面にて左右に揺動させることにより、画像表示装置5の下方の表示領域に表示される一部の画像等が可動体32に隠れて視認困難又は視認不可能となる。 【0370】 また、可動体32に複数色に発光可能なLEDを内蔵し、可動体32を動作させるときにLEDを所定色に発光させるようにしてもよい。また、可動体32の動作速度を、先読みゾーン演出として実行されるライブ演出の楽曲のテンポに合わせて異ならせてもよい。」 ク 「【0385】 (特徴部38SH(39SH)に関する演出動作例3) 図20−18は、特徴部38SH(39SH)に関する他の演出動作例を示す。この例では、上述した例と異なる点について詳細に説明し、共通の構成についてはその詳細な説明を省略する。 【0386】 演出制御用CPU120は、可動体演出の実行中に、可動体32の動作に対応する可動体対応音声をスピーカ8L、8Rから出力可能である。例えば、演出制御用CPU120は、「ワー」といった観客の声援を模した音声を、可動体対応音声として出力する。 【0387】 演出制御用CPU120は、例えば、先読みゾーン演出の実行中であることを条件として、ゾーン楽曲を出力する。また、演出制御用CPU120は、可動体演出の実行中であることを条件として、可動体対応音声を出力する。したがって、演出制御用CPU120は、先読みゾーン演出の実行中に可動体演出を実行する場合、ゾーン楽曲と可動体対応音声とを同時に出力することになる。その場合、ゾーン楽曲と可動体対応音声とのいずれも認識困難又は認識不可能となってしまう可能性がある。 【0388】 また、上述したように、演出制御用CPU120は、先読みゾーン演出の実行中に可動体演出を実行する場合、ゾーンテロップ画像38SH30の表示中に可動体32を動作させるが、ゾーンテロップ画像38SH30の文字情報38SH31が可動体32に隠れて認識困難又は認識不可能となり、ゾーンテロップ画像38SH30の内容が認識困難又は認識不可能となってしまうことがある。 【0389】 図20−18(A)に示す例では、ゾーンテロップ画像38SH30の文字情報38SH31が可動体32に隠れていないため、ゾーンテロップ画像38SH30の内容が先読みゾーン演出の実行中であることを報知するものであることを視覚的に認識可能である。したがって、演出制御用CPU120は、ゾーン楽曲の音量よりも可動体対応音声の音量を大きくする等して、可動体対応音声を聴覚的に認識し易くさせる。ここで、ゾーン楽曲の音量よりも可動体対応音声の音量を大きくするには、ゾーン楽曲の音量を下げて可動体対応音声の音量を上げる方法と、ゾーン楽曲の音量を下げるが可動体対応音声の音量を上げない方法と、ゾーン楽曲の音量を下げずに可動体対応音声の音量を上げる方法とがある。 【0390】 図20−18(B)に示す例では、「LIVE ZONE」という文字列の「ZONE」という文字列の一部が可動体32に隠れて認識困難となり、ゾーンテロップ画像38SH30の内容が視覚的に認識困難となっている。そこで、この例では、可動体対応音声の音量よりもゾーン楽曲の音量を大きくする等して、ゾーン楽曲を聴覚的に認識し易くさせることにより、ゾーンテロップ画像38SH30の内容が先読みゾーン演出の実行中であることを報知するものであることを認識可能にする。ここで、可動体対応音声の音量よりもゾーン楽曲の音量を大きくするには、可動体対応音声の音量を下げてゾーン楽曲の音量を上げる方法と、可動体対応音声の音量を下げるがゾーン楽曲の音量を上げない方法と、可動体対応音声の音量を下げずにゾーン楽曲の音量を上げる方法とがある。」 ケ 「 」 コ 「 」 サ 「 」 シ 「 」 (2) 引用発明 上記(1)の記載事項から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 (引用発明) 「パチンコ遊技機1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠3とから構成され(【0020】)、遊技盤2には各種の演出画像が表示される画像表示装置5が設けられ(【0024】)、遊技機用枠3には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられ(【0041】)、 始動入賞が発生すると、乱数値が抽出され、保留情報として記憶され、抽出した乱数値に基づいて、表示結果や変動パターンを先読み判定する処理が実行され(【0116】)、始動入賞の発生、保留記憶数、先読み判定等の判定結果に基づいて、先読み判定の対象となった保留情報に対応するターゲットの可変表示において、画像表示装置5における背景画像や演出態様が異なるゾーンに移行させ、スーパーリーチとなることや表示結果が「大当り」となることを予告する先読みゾーン演出を実行可能であり(【0214】、【0287】)、 先読みゾーン演出に関連するゾーン楽曲をスピーカ8L、8Rから出力可能であり(【0301】)、先読みゾーン演出の実行中に、可動体32を動作させる可動体演出を実行可能であり(【0369】)、可動体32の動作に対応する可動体対応音声をスピーカ8L、8Rから出力可能であり(【0386】)、先読みゾーン演出の実行中であることを条件として、ゾーン楽曲を出力し、可動体演出の実行中であることを条件として、可動体対応音声を出力し(【0387】)、 先読みゾーン演出として、楽曲が終わるタイミングに合わせて、可変表示の表示結果を停止表示させ(【0327】)、 先読みゾーン演出の実行中に、画像表示装置5の表示領域の右方の領域に上下に延びるゾーンテロップ画像38SH30を表示し、ゾーンテロップ画像38SH30に、文字情報38SH31を移動させて表示し(【0288】、【0292】)、文字情報38SH31の文字が画像表示装置5の表示領域の上端に到達すると、画像表示装置5の表示領域の下側から上側へ移動させるように再び表示し(【0293】)、 先読みゾーン演出の実行中に可動体演出を実行する場合(【0388】)、ゾーンテロップ画像38SH30の文字情報38SH31が可動体32に隠れていないときに、ゾーン楽曲の音量を下げて可動体対応音声の音量を上げる方法と、ゾーン楽曲の音量を下げるが可動体対応音声の音量を上げない方法と、ゾーン楽曲の音量を下げずに可動体対応音声の音量を上げる方法等により、ゾーン楽曲の音量よりも可動体対応音声の音量を大きくし(【0389】)、文字列の一部が可動体32に隠れて、ゾーンテロップ画像38SH30の内容が視覚的に認識困難となっているときに、可動体対応音声の音量を下げてゾーン楽曲の音量を上げる方法と、可動体対応音声の音量を下げるがゾーン楽曲の音量を上げない方法と、可動体対応音声の音量を下げずにゾーン楽曲の音量を上げる方法等により、可動体対応音声の音量よりもゾーン楽曲の音量を大きくする(【0390】)、 パチンコ遊技機1(【0020】)。」 2 引用文献2 原査定において引用文献2として引用され、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2020−127577号公報(令和2年8月27日出願公開。以下「引用文献2」という。)には、「遊技機」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。 (1) 記載事項 ア 「【0358】 (第2実施形態) 以下では、図50〜図52を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、以上に説明した第1実施形態に係る遊技機1において再抽選演出を実行する実施形態である。 【0359】 ここで、再抽選演出は、報知演出において、大当りを示す組合せ(ゾロ目)で装飾図柄を仮停止して一旦大当りしたことを報知した後に、仮停止している装飾図柄を再変動させてから大当りを示す組合せ(ゾロ目)で装飾図柄を再度仮停止させ、再度仮停止させた装飾図柄の図柄によって大当りの種類が変化したかのように演出可能な演出である(つまり、大当りの種類が抽選によって変化したように見せることができる演出である)。なお、既に説明したが、大当りには、大当り遊技後に次回大当りするまで通常遊技状態に設定される通常大当りと、大当り遊技後に次回大当りするまで確変遊技状態に設定される確変大当りとがあり、報知演出において、装飾図柄が図柄3又は7で揃って仮停止することで確変大当りに当選したことが示唆され、装飾図柄が図柄3及び7以外で揃って仮停止することで通常大当りに当選したことが示唆される。 【0360】 図50及び図51は、通常大当りが一旦示唆されてから確変大当りに変化する場合(大当りが昇格する場合)及び変化しない場合(大当りが昇格しない場合)の再抽選演出について説明するため具体図である。以下に、図50及び図51を用いて、通常大当りが一旦示唆されてから確変大当りに変化する場合(大当りが昇格する場合)及び変化しない場合(大当りが昇格しない場合)の再抽選演出について説明する。 【0361】 まず、SPリーチ演出でSPバトル勝利して装飾図柄がゾロ目で仮停止(図47(5)参照)した後に(又はSPSPリーチ演出でSPSPバトル勝利して装飾図柄がゾロ目で仮停止(図48(7)参照)した後に)、図50(1)に示すように、図47(6)及び図48(8)と同様に演出が実行されて、左右中の装飾図柄が通常大当りを示す揃い図柄で仮停止表示されると共に発光(ゾロ目発光)する。 【0362】 次に、図50(2)に示すように、図47(7)及び図48(9)と同様に演出が実行されて、左右中の装飾図柄が確定することを示すキラン発光が実行されると共にキラン発光音「キン」がスピーカ35から音量2/10で出力される。 【0363】 次に、図50(3)に示すように、再抽選演出が実行される。具体的には、再抽選演出専用の再抽選背景(例えば、稲妻が飛び交っている雷雲の背景)を表示すると共に再抽選背景が全体的に大規模に発光する特有の再抽選発光を実行する。また、その際に、特有の再抽選音「グーン」をスピーカ35から音量5/10で出力させ、装飾図柄を再変動させると共に縮小表示させる。 なお、再変動させるときに装飾図柄を数字キャラ態様から数字態様(図28参照)に変化させてもよい。また、再変動中に装飾図柄が非表示とされてもよいし、再変動の表示自体を実行しない構成としてもよい。また、再変動中に可動役物7(図1参照)を画面6の前面に移動させる可動役物演出を実行して、再変動中の装飾図柄の一部又は全部が隠れる(視認困難又は視認不能)となるようにしてもよい。」 イ 「【0367】 一方、確変大当りに昇格する場合には、図50(3)から図51(1)に演出が移り、図51(1)に示すように、縮小表示されて再変動していた装飾図柄を確変大当りを示す揃い図柄で画面全体に拡大表示(仮停止表示)すると共に、左右中の装飾図柄が大規模に特有の発光(昇格成功ゾロ目発光)をする。また、その際に、左右中の装飾図柄のキャラクタが万歳する当りアクションを行うと共に、昇格成功音「ドドドスーン」がスピーカ35から音量9/10で出力される。 なお、この昇格成功の演出の際にも、再抽選背景を表示していてもよい。また、確変大当りを示す揃い図柄で拡大表示(仮停止表示)する際に、画面6からはみ出す(一部見切れる)まで拡大表示してもよい。」 ウ 【図50】「 」 エ 【図51】 「 」 (2) 引用文献2記載事項 上記(1)の記載事項から、引用文献2には、以下の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されているものと認められる。 (引用文献2記載事項) 「遊技機1において、大当りを示す組合せで装飾図柄を仮停止して一旦大当りしたことを報知した後に、仮停止している装飾図柄を再変動させてから大当りを示す組合せで装飾図柄を再度仮停止させ、再度仮停止させた装飾図柄の図柄によって大当りの種類が変化したかのように演出可能な演出である再抽選演出を実行し(【0358】、【0359】)、再抽選演出が実行される際に、特有の再抽選音「グーン」をスピーカ35から出力させる(【0363】)点。」 3 引用文献3 原査定において引用文献3として引用され、本願出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2010−188079号公報(平成22年9月2日出願公開。以下「引用文献3」という。)には、「遊技機」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。 (1) 「【0059】 再抽選演出は、演出表示装置28で行われる図柄変動ゲーム中を演出実行時期として行われる演出である。この再抽選演出は、図柄変動ゲーム中に仮の大当り図柄(飾り図柄による図柄組み合わせ)を一旦停止表示させた後、最終的に確定停止表示される大当り図柄(飾り図柄による図柄組み合わせ)を導出する演出態様で行われる。具体的に例示すれば、仮の大当り図柄として[222]を一旦停止表示させた後、各図柄列を再び変動させ、最終的に確定停止表示される大当り図柄として[777]を導出する。再抽選演出によれば、演出表示装置28で行われる図柄変動ゲームで導出された大当り図柄が「変短制限なしの15R確変大当り」を認識し得ない大当り図柄であっても、「変短制限なしの15R確変大当り」を認識し得る大当り図柄が導出される期待感、すなわち有利な大当りへ昇格する期待感を遊技者に抱かせることができる。本実施形態において再抽選演出は、大当りの種類が「変短制限なしの15R確変大当り」へ昇格する期待感を遊技者に抱かせることから、昇格演出として位置付けられる。なお、再抽選演出は、例えば、大当り図柄[777]から大当り図柄[666]というように、認識し得る大当りの種類が降格する態様では行われず、前述した大当りの種類が昇格する態様、及び大当りの種類が変化しない態様の何れかで行われる。」 (2) 「【0153】 また、音声ランプ制御用CPU48aは、演出表示装置28で行われる図柄変動ゲームにおいて、図柄の変動が開始し、リーチ状態が形成される迄の図柄の変動、又はリーチ状態が形成されることなくはずれの組み合わせが導出される迄の図柄の変動に併せて演出音を出力する制御を実行する。この制御により、出力される演出音が背景音楽(BGM)であって、遊技中に遊技者はこの背景音楽を最も耳にすることになる。そして、音声ランプ制御用CPU48aは、演出表示装置28で行われる図柄変動ゲームにおいて、リーチ状態が形成される場合、図柄の変動が開始してからリーチ状態が形成される迄の間、背景音楽を出力させ、リーチ状態が形成されてリーチ演出が開始されると、背景音楽をリーチ演出用の演出音に切り替える。また、音声ランプ制御用CPU48aは、図柄変動ゲームが終了すると、再び背景音楽に切り替える。なお、パチンコ遊技機10から出力される演出音には、前述したリーチ演出用の演出音や背景音楽の他に、図柄の変動が停止する際に出力される変動停止音、再抽選演出が行われる場合には再抽選演出時に出力される再抽選演出用の演出音、大当り遊技中の演出音(オープニング時、ラウンド遊技時、エンディング時)などが存在する。このように各種の演出音を出力させることにより、パチンコ遊技機10では、演出表示装置28で行われる図柄変動ゲームによって視覚で捉えられる情報で遊技者の気分を高揚させるとともに、図柄変動ゲームの進行に併せて各種の演出音を出力させることによって聴覚で捉えられる情報で遊技者の気分を高揚させている。本実施形態では、音声ランプ制御用CPU48aが、音出力制御手段となる。」 4 引用文献4 原査定において引用文献4として引用され、本願出願前に日本国内又は外国において頒布された、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014−166533号公報(平成26年9月11日出願公開。以下「引用文献4」という。)には、「遊技機」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている。 (1) 「【0336】 なお、昇格演出として、昇格演出A〜Cが設けられている。ここで、昇格演出Aは、非確変大当り図柄の仮停止後に演出図柄の全図柄(左中右の図柄)が再変動を開始し、その後に大当り図柄として確変大当り図柄または非確変大当り図柄を停止表示する演出である。また、昇格演出Bは、非確変大当り図柄の仮停止後にキャラクタが登場して当該キャラクタが非確変大当り図柄を変更していき確変大当り図柄または非確変大当り図柄を停止表示させる演出である。昇格演出Cは、昇格演出中に大当り遊技中の楽曲を出力する(流す)とともに大当り遊技中の演出を実行する。これにより、昇格演出Cが実行されると大当り遊技が開始される前に大当り遊技中の演出(楽曲の出力を含む)が開始されることになる。このように、昇格演出A,Bでは確変大当りに昇格するか否かが未定であるのに対し、昇格演出Cでは確変大当りに昇格することが確定することになる。」 (2) 「【0448】 一方、図61(32)に示すように、停止図柄(大当り図柄)として非確変図柄「666」が仮停止表示された後、昇格演出Cが実行される場合は、(43)に示すように、女の子のキャラクタ3000が登場して昇格演出Cが開始され、左中右の演出図柄(全図柄)の再変動が開始されると同時に、大当り遊技中の楽曲(A−1)の出力が開始される。なお、昇格演出Cは確変確定の演出である。(44)に示すように、あらためて大当り図柄(例えば確変図柄「777」)が停止表示(導出表示)される。(43),(44)に示すように、昇格演出Cはラウンド中の演出と同内容の演出である。その後、大当り遊技が開始されると、ラウンド中の演出が進行し(45)〜(46)参照)、最終ラウンド(16ラウンド)が終了すると、(47)に示すように、エンディング演出(「またね!」を表示する演出)が実行される。なお、昇格演出Cは確変確定の演出であるので、昇格演出Cを実行する前の大当り図柄の仮停止図柄として確変図柄を停止表示するようにしてもよい。」 (3) 【図61】「 」 第6 対比・判断 1 本願発明についての対比・判断 (1) 本願発明と引用発明との対比 ア 特定事項Aについて 引用発明の「ゾーン楽曲」、「パチンコ遊技機1」は、それぞれ、本願発明の特定事項Aの「楽曲」、「遊技機」に相当する。 また、引用発明における、「パチンコ遊技機1」(遊技機)の「遊技機用枠3に」「設けられ」、「効果音等を再生出力する」とともに、「ゾーン楽曲」(楽曲)を「出力可能」な「スピーカ8L、8R」は、本願発明の特定事項Aにおける、「遊技機」が「備える」、「少なくとも楽曲を出力するための音出力手段」に相当する。 そうすると、引用発明は、本願発明の特定事項A(「少なくとも楽曲を出力するための音出力手段を備える遊技機であって、」)に相当する構成を備える。 イ 特定事項Bについて 引用発明の「先読みゾーン演出」は、本願発明の特定事項Bの「所定演出」に相当し、この点と、上記アにおける検討(楽曲)も踏まえると、引用発明の「先読みゾーン演出の実行中であることを条件として、」「先読みゾーン演出に関連する」「ゾーン楽曲を出力」することは、本願発明の特定事項Bの「所定演出中において、当該所定演出に対応する楽曲」を「出力」することに相当する。 次に、引用発明の「可動体対応音声」は、本願発明の特定事項Bの「設定された効果音」に相当し、この点と、前段における検討(所定演出中)及び上記アにおける検討(音出力手段)も踏まえると、引用発明における、「先読みゾーン演出の実行中に」「実行可能」な「可動体演出」の「可動体32の動作に対応」して、「可動体対応音声をスピーカ8L、8Rから出力」することは、本願発明の特定事項Bにおける、「所定演出中において」、「設定された効果音を音出力手段によって」「出力する」ことに相当する。 ここで、引用発明は、「先読みゾーン演出の実行中に」、「画像表示装置5の表示領域の右方の領域に上下に延びる」ように「表示し」た「ゾーンテロップ画像38SH30」に「文字情報38SH31を移動させて表示し」、「文字情報38SH31の文字が画像表示装置5の表示領域の上端に到達すると、画像表示装置5の表示領域の下側から上側へ移動させるように再び表示」することから、「文字情報38SH31」は、「先読みゾーン演出の実行中に」、「下側から上側への移動」を繰り返しているところ、引用発明では、当該「文字情報38SH31」が「可動体演出」の「可動体32に隠れていない」か「隠れて」いるかによって、「ゾーン楽曲の音量よりも可動体対応音声の音量を大きく」するか、「可動体対応音声の音量よりもゾーン楽曲の音量を大きくする」かを決めていることから、可動体演出時には、文字情報38SH31の下側から上側への移動の繰り返しに合わせて、「ゾーン楽曲の音量よりも可動体対応音声の音量を大きく」することと、「可動体対応音声の音量よりもゾーン楽曲の音量を大きくする」ことも交互に繰り返されることになる。そして、「可動体対応音声の音量よりもゾーン楽曲の音量を大きくする」ためには、「可動体対応音声の音量を下げてゾーン楽曲の音量を上げる方法と、可動体対応音声の音量を下げるがゾーン楽曲の音量を上げない方法と、可動体対応音声の音量を下げずにゾーン楽曲の音量を上げる方法等」があり、このうち、「可動体対応音声の音量を下げてゾーン楽曲の音量を上げる方法」か、「可動体対応音声の音量を下げるがゾーン楽曲の音量を上げない方法」が採られた場合には、「可動体対応音声」(設定された効果音)の出力は「断続的」なものになるといえる。 そして、このときの、「可動体対応音声」(設定された効果音)の「断続的」な「出力」による演出は、本願発明の特定事項Bの、「設定された効果音」を「断続的に出力する効果音演出」に相当する。 そうすると、引用発明は、本願発明の特定事項B(「所定演出中において、当該所定演出に対応する前記楽曲の出力とは別に、設定された効果音を前記音出力手段によって断続的に出力する効果音演出を実行可能であり、」)に相当する構成を備える。 ウ 特定事項Cについて 引用発明は、「ターゲットの可変表示において、画像表示装置5における背景画像や演出態様が異なるゾーンに移行させ、スーパーリーチとなることや表示結果が「大当り」となることを予告する先読みゾーン演出を実行可能であり」、「先読みゾーン演出の実行中であることを条件として、ゾーン楽曲を出力し」、「先読みゾーン演出として、楽曲が終わるタイミングに合わせて、可変表示の表示結果を停止表示させ」るものであるところ、引用発明の「ターゲットの可変表示」は、本願発明の特定事項Cの「当該変動」に相当し、引用発明の、「ゾーンに移行させ」た後の「異なる」演出、「先読みゾーン演出実行中であることを条件として」「出力」される「ゾーン楽曲」が「終わるタイミングに合わせ」た「可変表示の表示結果」の「停止表示」の演出は、それぞれ、本願発明の特定事項Cの、「特定の演出」、「大当たり抽選への当選、落選を報知する当落報知演出」に相当し、引用発明における、これらの演出を含めた「先読みゾーン演出」は、本願発明の特定事項Cの「一連の演出」に相当する。 次に、上記イにおいて検討したように、引用発明は、「ゾーン楽曲の音量よりも可動体対応音声の音量を大きく」するか、「可動体対応音声の音量よりもゾーン楽曲の音量を大きくする」かを交互に繰り返して、「可動体演出」時の「可動体対応音声」の出力を「断続的」なものにしているところ、「ゾーン楽曲の音量よりも可動体対応音声の音量を大きく」するために、「ゾーン楽曲の音量を下げて可動体対応音声の音量を上げる方法と、ゾーン楽曲の音量を下げるが可動体対応音声の音量を上げない方法と、ゾーン楽曲の音量を下げずに可動体対応音声の音量を上げる方法」が採られており、「可動体対応音声」の種類が変更されていないことからみて、引用発明では、「ゾーン楽曲の音量よりも可動体対応音声の音量を大きく」したときに、「同一」の「可動体対応音声」(効果音)による「効果音演出」を「継続」しているということができる。 そして、前段で検討した、「同一」の「可動体対応音声」(効果音)による「効果音演出」は、上記イの検討によれば、可動体演出時に実行可能であるから、「先読みゾーン演出」(一連の演出)に「おいて」、実行されるものであるといえる。 そうすると、引用発明は、本願発明の特定事項C(「当該変動における特定の演出から大当たり抽選への当選、落選を報知する当落報知演出までの一連の演出において、同一の効果音を用いて前記効果音演出の実行を継続し、」)に相当する構成を備える。 エ 特定事項Dについて 上記ウで検討したように、引用発明の、「可変表示の表示結果」の「停止表示」の演出、「先読みゾーン演出」は、本願発明の特定事項Dの、「大当たり抽選への当選、落選を報知する当落報知演出」、「一連の演出」に相当し、また、引用発明の「可変表示の表示結果」の「停止表示」と、本願発明の特定事項Dの「演出図柄」の「仮停止」とは、「演出図柄」の「停止」として共通する。 また、上記イで検討したように、引用発明における、「可動体対応音声をスピーカ8L、8Rから出力」することは、本願発明の特定事項Dにおける、「効果音を音出力手段によって」「出力する」ことに相当する。 そうすると、本願発明と引用発明は、「前記当落報知演出において、演出図柄が停止し、効果音を音出力手段によって出力する」点で共通する。 オ 特定事項Eについて 上記アで述べたように、引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の特定事項Eの「遊技機」に相当する。 カ 上記ア〜オからみて、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致する。 <一致点> A 少なくとも楽曲を出力するための音出力手段を備える遊技機であって、 B 所定演出中において、当該所定演出に対応する前記楽曲の出力とは別に、設定された効果音を前記音出力手段によって断続的に出力する効果音演出を実行可能であり、 C 当該変動における特定の演出から大当たり抽選への当選、落選を報知する当落報知演出までの一連の演出において、同一の効果音を用いて前記効果音演出の実行を継続し、 D’ 前記当落報知演出において、演出図柄が停止し、効果音を音出力手段によって出力する、 E 遊技機。」 そして、両者は以下の点で相違する。 <相違点> (特定事項Dについて) 本願発明は、「演出図柄が大当たり態様で仮停止した場合に当落報知演出に続けて実行され、前記大当たり態様で仮停止した演出図柄が昇格する演出である図柄昇格演出への移行のタイミングに合わせて一連の演出で用いられる効果音と同一の効果音を音出力手段によって出力する」のに対し、引用発明は、「演出図柄が大当たり態様で仮停止した場合に当落報知演出に続けて」、「前記大当たり態様で仮停止した演出図柄が昇格する演出である図柄昇格演出」が「実行される」ものであるのかが不明であるとともに、「図柄昇格演出への移行のタイミングに合わせて」、「一連の演出で用いられる効果音と同一の効果音」が出力されるのかが不明である点。 (2) 判断 上記相違点について検討する。 ア 引用文献2記載事項についての検討 前記第5の2(2)に示した引用文献2記載事項における、「遊技機1」、「大当りを示す組合せで装飾図柄を仮停止」すること、「一旦大当りしたことを報知した後に、仮停止している装飾図柄を再変動させてから大当りを示す組合せで装飾図柄を再度仮停止させ、再度仮停止させた装飾図柄の図柄によって大当りの種類が変化したかのように演出可能な演出である再抽選演出を実行」すること、「再抽選演出が実行される際」に「特有の再抽選音「グーン」をスピーカ35から出力させる」ことは、それぞれ、本願発明の特定事項Dにおける、「遊技機」、「演出図柄が大当たり態様で仮停止」すること、「当落報知演出に続けて、大当たり態様で仮停止した演出図柄が昇格する演出である図柄昇格演出」を「実行」すること、「図柄昇格演出への移行のタイミング」で「効果音を音出力手段によって出力する」ことに相当し、引用文献2記載事項において、「特有の再抽選音「グーン」をスピーカ35から出力させる」(効果音を音出力手段によって出力する)ことは、「再抽選演出が実行される際」(図柄昇格演出への移行のタイミング)に実行されるから、「大当りを示す組合せで装飾図柄を仮停止」(演出図柄が大当たり態様で仮停止)した状態で大当たりを報知する「当落報知演出」において実行されるものであるということができる。 そうすると、引用文献2記載事項は、上記相違点に係る本願発明の特定事項Dのうち、「演出図柄が大当たり態様で仮停止した場合に前記当落報知演出に続けて実行され、前記大当たり態様で仮停止した演出図柄が昇格する演出である図柄昇格演出への移行のタイミングに」「効果音を音出力手段によって出力する」点に相当する構成は備えるが、「図柄昇格演出への移行のタイミングに合わせて一連の演出で用いられる効果音と同一の効果音」を出力することまでは記載されていない。 イ 引用発明への組み合わせについて 上記(1)ウで検討したように、引用発明における「可動体対応音声」(設定された効果音)は、「先読みゾーン演出」(当該変動の特定の演出から大当たり抽選への当選、落選を報知する当落報知演出までの一連の演出)において継続するものではあるが、「ゾーンテロップ画像38SH30の文字情報38SH31」が「可動体32」に「隠れて」いるか否かに関連して出力されるものであることを踏まえると、「先読みゾーン演出」に続く演出があるとしても、その演出への移行のタイミングに合わせて出力されるものとまではいえず、仮に、引用発明の「先読みゾーン演出」に続けて、引用文献2記載事項の「再抽選演出」(図柄昇格演出)を実行することとした場合、引用文献2記載事項の「特有の再抽選音「グーン」」という効果音を、図柄昇格演出への移行のタイミングに合わせて出力するか(この場合、「一連の演出で用いられる効果音と同一の効果音」とはならない)、「先読みゾーン演出」における「可動体対応音声」をこれに続く図柄昇格演出においても継続するか(この場合、「図柄昇格演出への移行のタイミングに合わせて」「効果音」を出力することにはならない)のいずれかであり、引用発明及び引用文献2記載事項からは、上記相違点に係る本願発明の特定事項Dにおける「図柄昇格演出への移行のタイミングに合わせて一連の演出で用いられる効果音と同一の効果音」を出力するという構成に至ることを動機付ける根拠がない。 そうすると、上記相違点に係る本願発明の特定事項Dは、引用発明及び前記第5の2(2)に示した引用文献2記載事項からは容易に想到し得たものということができないから、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。 前記第5の3及び4で挙げた引用文献3及び引用文献4にも、上記相違点に係る本願発明の特定事項Dは開示されていないから、これらを踏まえても、当業者が本願発明を容易に発明できたものではないとの判断は左右されない。 ウ 効果について そして、本願発明は、上記相違点に係る特定により、「図柄昇格演出への移行までが同一の効果音で演出されるため、統一感のある演出を表現でき、遊技の興趣を向上させることができ」る(審判請求書から摘記)という効果を奏するものであるといえる。 2 まとめ したがって、本願発明は、当業者であっても引用発明及び引用文献2〜4の記載事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定について 前記第6で説示したとおり、本願発明は、原査定において引用された引用発明及び引用文献2〜4の記載事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえないから、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2024-03-26 |
出願番号 | P2021-012101 |
審決分類 |
P
1
8・
572-
WY
(A63F)
P 1 8・ 121- WY (A63F) P 1 8・ 575- WY (A63F) |
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
長井 真一 |
特許庁審判官 |
小林 俊久 渋谷 知子 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 田邊 淳也 |