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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H01L 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 H01L |
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管理番号 | 1409127 |
総通号数 | 28 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2024-04-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2023-07-05 |
確定日 | 2024-01-18 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第7203260号発明「静電チャック部材、静電チャック装置及び静電チャック部材の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第7203260号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜9〕について訂正することを認める。 特許第7203260号の請求項2〜9に係る特許を維持する。 特許第7203260号の請求項1に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許7203260号の請求項1〜9に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和4年3月30日に出願され、令和4年12月28日にその特許権の設定登録がされ、令和5年1月12日に特許掲載公報が発行され、その後、本件特許に対し令和5年7月5日に特許異議申立人 佐藤義光(以下「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審により令和5年9月1日付けで取消理由を通知したところ、特許権者は令和5年11月2日に意見書を提出するとともに訂正の請求を行い、当審は令和5年11月15日付けで異議申立人に特許法第120条の5第5項の規定に基づく通知を行い、異議申立人は令和5年12月5日に意見書を提出したものである。 第2 訂正の請求について 1 訂正の内容 特許権者が令和5年11月2日に提出した訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求は、「特許第7203260号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1〜9について訂正することを求める。」ことを請求の趣旨とし、その訂正の内容は以下のとおりである。(下線は、特許権者が付したものと同じ。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を独立形式に改め、 「一主面が板状試料を載置する載置面である基体と、 前記載置面とは反対側又は前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を有し、 前記基体において前記載置面と連続する側周面には、前記載置面の周縁部において周方向に設けられた凸曲面である第1曲面と、 前記第1曲面とは異なる高さ位置において前記周方向に設けられた第2曲面と、を少なくとも有する静電チャック部材であって、 前記第2曲面は凸曲面であり、 前記側周面において、前記第1曲面と前記第2曲面との間は、前記載置面の方向からの視野に露出する傾斜面である静電チャック部材。」 に訂正する。(請求項2を引用する請求項3、4、6〜9も同様に訂正する。) (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項5を独立形式に改め、 「一主面が板状試料を載置する載置面である基体と、 前記載置面とは反対側又は前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を有し、 前記基体において前記載置面と連続する側周面には、前記載置面の周縁部において周方向に設けられた凸曲面である第1曲面と、 前記第1曲面とは異なる高さ位置において前記周方向に設けられた第2曲面と、を少なくとも有する静電チャック部材であって、 前記側周面は、前記側周面の下端部において周方向に設けられ且つ外側に伸長する部分を有し、 前記第2曲面は、前記伸長する部分の上面に設けられた凹曲面である静電チャック部材。」 に訂正する。(請求項5を引用する請求項7〜9も同様に訂正する。) (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項8を、 「請求項2から7のいずれか1項に記載の静電チャック部材と、 前記静電チャック部材を冷却し前記静電チャック部材の温度を調整するベース部材と、を有する静電チャック装置。」 に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項9を、 「請求項2から7のいずれか1項に記載の静電チャック部材の製造方法であって、 一主面が板状試料を載置する載置面である基体と、前記載置面とは反対側又は前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を有する円板状の焼結体を得る工程と、 前記焼結体の側周面を、回転砥石を用いて研削する工程と、を有し、 前記回転砥石は、前記回転砥石の回転軸を含む断面において、前記基体の中心を通り前記基体の法線を含む断面の少なくとも前記第1曲面の形状又は前記第2曲面の形状の一部と相補的な形状を有する静電チャック部材の製造方法。」 に訂正する。 2 訂正の適否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項1は、請求項1を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載を訂正前の請求項1の記載を引用しないものに変更する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載を訂正前の請求項1の記載を引用しないものに変更する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載を訂正前の請求項1の記載を引用しないものに変更する訂正であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項5の記載を訂正前の請求項1の記載を引用しないものに変更する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものに該当する。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 訂正事項3は、訂正前の請求項5の記載を訂正前の請求項1の記載を引用しないものに変更する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項3は、訂正前の請求項5の記載を訂正前の請求項1の記載を引用しないものに変更する訂正であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。 (4)訂正事項4について ア 訂正の目的 訂正事項4は、訂正事項1により請求項1が削除されたことに整合させるため、請求項8が引用する請求項の記載を「請求項1から7のいずれか1項」から「請求項2から7のいずれか1項」に変更する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 訂正事項4は、上記アのとおり「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項4は、上記アのとおり「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。 (5)訂正事項5について ア 訂正の目的 訂正事項5は、訂正事項1により請求項1が削除されたことに整合させるため、請求項9が引用する請求項の記載を「請求項1から7のいずれか1項」から「請求項2から7のいずれか1項」に変更する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 訂正事項5は、上記アのとおり「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合する。 ウ 本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項5は、上記アのとおり「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であるから、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合する。 (6)一群の請求項について 訂正前の請求項1〜9について、請求項2〜9は、直接的又は間接的に請求項1を引用するものであって、訂正事項1による請求項1の訂正に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1〜9に対応する訂正後の請求項1〜9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (7)独立特許要件について 特許異議の申立ては、訂正前の請求項1〜9に対してされているので、訂正事項1〜5についての特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 3 訂正の適否についてのまとめ 以上のとおり、本件訂正の請求は適法にされたものであるから、特許第7203260号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜9〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり本件訂正の請求は認められるから、本件特許の請求項1〜9に係る発明(以下、「本件発明1」〜「本件発明9」という。)は、それぞれ、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1〜9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 【請求項1】 (削 除) 【請求項2】 一主面が板状試料を載置する載置面である基体と、 前記載置面とは反対側又は前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を有し、 前記基体において前記載置面と連続する側周面には、前記載置面の周縁部において周方向に設けられた凸曲面である第1曲面と、 前記第1曲面とは異なる高さ位置において前記周方向に設けられた第2曲面と、を少なくとも有する静電チャック部材であって、 前記第2曲面は凸曲面であり、 前記側周面において、前記第1曲面と前記第2曲面との間は、前記載置面の方向からの視野に露出する傾斜面である静電チャック部材。 【請求項3】 前記側周面は、前記側周面の下端部において周方向に設けられ且つ外側に伸長する部分を有し、 前記伸長する部分の上面は、凹曲面である請求項2に記載の静電チャック部材。 【請求項4】 下記式(1)又は(2)を満たす請求項3に記載の静電チャック部材。 [第1曲面の曲率半径]<[凹曲面の曲率半径] …(1) [第2曲面の曲率半径]<[凹曲面の曲率半径] …(2) 【請求項5】 一主面が板状試料を載置する載置面である基体と、 前記載置面とは反対側又は前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を有し、 前記基体において前記載置面と連続する側周面には、前記載置面の周縁部において周方向に設けられた凸曲面である第1曲面と、 前記第1曲面とは異なる高さ位置において前記周方向に設けられた第2曲面と、を少なくとも有する静電チャック部材であって、 前記側周面は、前記側周面の下端部において周方向に設けられ且つ外側に伸長する部分を有し、 前記第2曲面は、前記伸長する部分の上面に設けられた凹曲面である静電チャック部材。 【請求項6】 前記側周面において、前記第1曲面と前記第2曲面との間は、前記載置面の方向からの視野に露出する傾斜面である請求項4に記載の静電チャック部材。 【請求項7】 下記式(3)を満たす請求項3から6のいずれか1項に記載の静電チャック部材。 [静電吸着用電極の厚さ]<[第1曲面の曲率半径]<[凹曲面の曲率半径] <[静電吸着用電極の下面から基体の下面までの基体の厚さ] …(3) 【請求項8】 請求項2から7のいずれか1項に記載の静電チャック部材と、 前記静電チャック部材を冷却し前記静電チャック部材の温度を調整するベース部材と、を有する静電チャック装置。 【請求項9】 請求項2から7のいずれか1項に記載の静電チャック部材の製造方法であって、 一主面が板状試料を載置する載置面である基体と、前記載置面とは反対側又は前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を有する円板状の焼結体を得る工程と、 前記焼結体の側周面を、回転砥石を用いて研削する工程と、を有し、 前記回転砥石は、前記回転砥石の回転軸を含む断面において、前記基体の中心を通り前記基体の法線を含む断面の少なくとも前記第1曲面の形状又は前記第2曲面の形状の一部と相補的な形状を有する静電チャック部材の製造方法。 第4 取消理由 1 取消理由の概要 当審において訂正前の請求項1、8、9に係る発明について令和5年9月1日付けで通知した取消理由の概要は、以下のとおり。 (1)訂正前の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明であって特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1に係る特許は、同法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (2)訂正前の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明と周知事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (3)訂正前の請求項8に係る発明は、引用文献1に記載された発明と引用文献2に記載された事項に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (4)訂正前の請求項9に係る発明は、引用文献1に記載された発明と周知事項に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 引用文献1:特開2004−296553号公報 引用文献2:特開2018−22871号公報 2 取消理由についての当審の判断 本件訂正により、取消理由の対象である訂正前の請求項1は削除された。 また、訂正前の請求項8及び請求項9は、引用形式の請求項であるところ、本件訂正により、請求項8及び請求項9は、引用する請求項から請求項1が削除され、取消理由を通知されていない請求項2〜7のみを引用するものに訂正された。 したがって、本件訂正により上記1の取消理由(1)〜(4)は、いずれも解消された。 第5 特許異議申立書に記載した申立ての理由の概要 1 申立理由の概要 令和5年7月5日に異議申立人が提出した特許異議申立書(以下「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。 (1)申立理由1(甲第1号証を引例とした場合の新規性欠如) 本件特許発明1、2、3、5、6は、いずれも甲第1号証に記載されたものであるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである。(特許異議申立書19頁「(4−1−4)まとめ」の項) (2)申立理由2(甲第1号証を主引例とした場合の進歩性欠如) 本件特許発明1−9は、いずれも、甲第1号証に記載の発明に基づいて、当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第113条第2号により取り消されるべきものである。(同24頁「(4−2−4)まとめ」の項) (3)申立理由3(甲第1号証を主引例とし、甲第2号証を副引例とした場合の進歩性欠如) 本件特許発明1−9は、いずれも、甲第1号証に記載の発明と、甲第2号証に記載の発明とに基づいて、当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その特許は同法第113条第2号に該当し取り消されるべきものである。(同36頁「(4−3−4)まとめ」の項) 2 証拠方法 異議申立人が特許異議申立書とともに提出した甲第1号証及び甲第2号証(以下、それぞれ「甲1」及び「甲2」という。)は次のとおりである。 甲第1号証(甲1):特開2004−296553号公報 甲第2号証(甲2):特開2018−22871号公報 第6 甲各号証 1 甲1の記載と甲1発明 (1)甲1の記載 甲1には以下の記載がある。(下線は当審において付した。) 「【0021】 図1は、プラズマエッチング装置の反応容器内に配置される、本実施の形態に係る各種半導体製造装置用部材を例示する模式的な断面図である。ここでは、半導体製造装置としてプラズマエッチング装置を例示しているが、以下に説明する本実施の形態に係る半導体製造装置用部材は、プラズマ処理装置に限らず、例えばウエハの着脱時に高電圧を印加する必要がある静電チャックを備えた装置等、反応容器内で、アーキングの発生要因となる100〜1200V程度の高電圧の発生が生じうる半導体製造装置の反応容器内で使用される半導体製造装置用部材であれば適用できる。 【0022】 例えば、図1に示すプラズマエッチング装置では、反応容器内の下側中央に、静電チャック30が配置され、その上にウエハ20が固定されており、ウエハ20と対向する上方に、反応ガスをウエハ面に均一に供給する、微細なガス供給孔を多数備えたシャワーヘッド40が設けられている。ここでは、静電チャック30内に埋設された電極および導電性部材で形成されたシャワーヘッド40の双方がプラズマを発生させる対向電極として使用され、同図に示すように、ウエハ20とシャワーヘッド40との間にプラズマが形成される。 【0023】 静電チャック30およびシャワーヘッド40は、いずれもウエハ20の大きさと形状に対応した円形形状に沿った外周部を有しており、その外周囲に絶縁性リング状部材が配置されている。絶縁性リング状部材には種々の形態があるが、代表的には、静電チャック30およびウエハ20に近接して配置されるフォーカスリング10、さらにそのフォーカスリング20の外周囲に配置されるカバーリング12、およびシャワーヘッド40の外周囲に配置されるシールドリング14等を挙げることができる。なお、ここで使用する各リング状部材の呼称は便宜的なものである。 【0024】 フォーカスリング10およびカバーリング12は、主にウエハ20の外周縁までプラズマ状態を安定に発生させる役割とともに、ウエハ20および静電チャック30の側面を保護する役割を有する。シールドリング14は、プラズマ外周部付近で発生するシリコンウエハー方向のみでなく、シャワーヘッド方向へのイオンボンバードメントからシャワーヘッドを保護する役割を有する。なお、これらのリング状部材は、一体でリング形状を構成するものに限らず、複数の部品に分割され、それらを組み合わせてリング形状を構成するものであってもよい。 【0025】 本実施の形態に係る半導体製造装置用部材は、少なくともいずれかの角部のR面取り加工の精度と、表面粗さRaとを調整することで、隣接配置される複数の部材間でのアーキングの発生を防止するものである。 【0026】 以下、図2(a)、図2(b)および図3を参照して、本実施の形態に係る半導体製造装置用部材の構造について説明する。 【0027】 図2(a)に示すように、ウエハ20が、静電チャック30上にオーバハングするように固定されている場合、これらの外周囲に隣接配置されるフォーカスリング10は、ウエハ20と静電チャック30の側面形状に沿うように、段差のある内周壁面を有し、複数の円周状の角部を有する。 【0028】 図3は、図2(a)の破線Aで囲む角部101の部分拡大図である。同図に示すように、角部101は、半径0.1mm〜1mmのR面取り加工されており、さらに表面粗さがRa1.6μm以下になるよう調整されている。図2(a)に示すフォーカスリング10では、角部101のみならず、凸状のコーナ部である全ての角部101〜105において、同様なR面取り加工と、表面粗さの調整がなされている。 【0029】 また、フォーカスリング10の内周囲に配置される静電チャック30の側面部の角部301および302においても、フォーカスリング10の角部101と同様なR面取り加工と表面粗さの調整がなされている。 【0030】 さらに、フォーカスリング10の外周囲に配置されるカバーリング12の内周部の角部106と107にもフォーカスリング10の角部101と同様なR面取り加工と表面粗さの調整処理がなされている。 【0031】 図1に示すような平行平板型のプラズマエッチング装置では、エッチング対象となる材料の種類によっても異なるが、例えばメタル配線をエッチングする場合は、約100V〜400V、SiO2等の酸化膜をエッチングする場合には約1000Vもの高い電圧が対向電極間に印加される。また、静電チャック30に埋設された電極35には、ウエハのチャッキング時に、例えばジョンソン・ラーベックタイプの静電チャックでは約300V〜1000Vの高電圧が印加される。 【0032】 一般に、アーキングは、絶縁空間に高い電界がかかることによる絶縁破壊現象であり、高電圧が印加される環境下において、しかも、反応容器内が低真空条件に調整されている場合に、アーキングが発生しやすい状態となる。特に、部材の角部には電荷が集中し、蓄積されやすいので、隣接する部材間の対向する角部同士の間で最も高い電界が生じ、角部と角部との間がアーキングを最も発生させやすい場所となる。 【0033】 しかし、本実施の形態に係る半導体製造装置用部材では、隣接しあう各部材の角部に上述するように、半径0.1mm〜1mmのR面取り加工処理を行っているので、角部における電荷の集中が緩和され、アーキングの発生を抑制することができる。アーキングの発生を抑えるためには少なくとも半径0.1mm以上でR面取り加工がなされている必要があり、その半径を大きくする程、アーキング発生率を低く抑えることができる。しかし、加工半径が1.0mm以上になると、R面取り加工によるアーキングの防止効果が飽和してしまうので、それ以上の加工は必要ない。」 「【図1】 」 「【図2】 」 「【図3】 」 (2)甲1発明 上記(1)の【0023】によれば、「静電チャック30」は、「円形形状に沿った外周部を有し」ており、図2(a)より、前記「外周部」には、段差が設けられていることが看取でき、さらに、【0027】〜【0029】の記載から、上段にある角部301と下段にある角部302は、いずれも円周状の角部であり、図3の角部101と同様のR面取り加工がされているから、角部301及び角部302には円周状の凸曲面が形成されているといえる。 以上から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。 (引用発明) 「ウエハ20の大きさと形状に対応した円形形状に沿った外周部を有し(【0023】)、該外周部に段差が設けられた静電チャック30であって、(図1、図2(a)) 静電チャック30の上にウエハ20が固定され、(【0022】) 静電チャック30には電極35が埋設され、電極35には、ウエハのチャッキング時に、例えばジョンソン・ラーベックタイプの静電チャックでは約300V〜1000Vの高電圧が印加され(【0031】)、 静電チャック30の側面部は、上段に角部301、下段に角部302があり、角部301及び角部302には、いずれも円周状の凸曲面が形成されている(【0027】〜【0029】、図2(a)、図3) 静電チャック30。」 2 甲2の記載 甲2には以下の記載がある。 「【0072】 本実施形態にかかる静電チャック10は、セラミック誘電体基板100と、ヒータプレート200と、べースプレート300と、を備える。(以下省略)」 「【0074】 セラミック誘電体基板100は、例えば多結晶セラミック焼結体による平板状の基材であり、半導体ウェーハ等の処理対象物Wを載置する第1主面101と、第1主面101とは反対側の第2主面102と、を有する。」 「【0087】 ベースプレート300は、セラミック誘電体基板100の温度調整を行う役目を果たす。例えば、セラミック誘電体基板100を冷却する場合には、連通路301へ冷却媒体を流入し、連通路301を通過させ、連通路301から冷却媒体を流出させる。これにより、冷却媒体によってベースプレート300の熱を吸収し、その上に取り付けられたセラミック誘電体基板100を冷却することができる。」 「【図2】 」 第7 申立理由についての当審の判断 申立理由1〜申立理由3について、まとめて検討する。 1 本件発明2について 本件発明1は、本件訂正により削除されたので、本件発明2について検討する。 (1)対比 本件発明2と甲1発明を対比する。 ア 甲1発明の「静電チャック30」は、「電極35」と、電極35が埋設される「部材」を備えているといえる。また、該「部材」においてウエハ20が固定される面を「載置面」ということができる。また、「ウエハ20」は、「板状」であることが明らかである。そうすると、甲1発明が備える「ウエハ20が固定される載置面を有する部材」は、本件発明2の「一主面が板状試料を載置する載置面である基体」に相当する。 イ 甲1発明の「ウエハのチャッキング時に、例えばジョンソン・ラーベックタイプの静電チャックでは約300V〜1000Vの高電圧が印加され」る「電極35」は、本件発明2の「静電吸着用電極」に相当する。 そして、甲1発明の「電極35」が「部材」に「埋設される」ことは、本件発明2の「静電吸着用電極」が「前記載置面とは反対側又は前記基体の内部に設けられた」と択一的に特定された選択肢の「前記基体の内部に設けられた」ことに相当する。 そうすると、甲1発明が備える「部材に埋設された電極35」は、本件発明2の「前記載置面とは反対側又は前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極」に相当する。 ウ 甲1発明の「静電チャック30」(上記アの「部材」)の「側面部」の「側面」は、「円形形状に沿った外周部」の周面でもあるから「側周面」ということができ、また、上記アの「載置面」と連続する面であることが明らかであるから、本件発明2の「前記基体において前記載置面と連続する周側面」に相当する。 また、甲1発明の「角部301」は、前記「周側面」において、前記「載置面」の周縁部に形成されたものといえるから、前記「角部301」に形成された「円周状の凸曲面」は、本件発明2の「前記載置面の周縁部において周方向に設けられた凸曲面である第1曲面」に相当する。 また、甲1発明の、「静電チャック30(部材)」の上段にある「角部301」と下段にある「角部302」は異なる高さ位置に形成されたものであるから、甲1発明の「角部302」に形成された「円周状の凸曲面」は、本件発明2の「前記第1曲面とは異なる高さ位置において前記周方向に設けられた第2曲面」に相当する。 エ 甲1発明の「角部302」に形成された「円周状の凸曲面」と、本件発明2の「第2曲面」とは、「凸曲面」である点で共通する。 オ 甲1発明の「静電チャック30」は、上記ア〜ウの事項を備える点で、本件発明2の「静電チャック部材」に相当する。 カ 以上から、本件発明2と甲1発明は、以下の点で一致し、また相違する。 [一致点] 一主面が板状試料を載置する載置面である基体と、 前記載置面とは反対側又は前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を有し、 前記基体において前記載置面と連続する側周面には、前記載置面の周縁部において周方向に設けられた凸曲面である第1曲面と、 前記第1曲面とは異なる高さ位置において前記周方向に設けられた第2曲面と、を少なくとも有する静電チャック部材であって、 前記第2曲面は凸曲面である 静電チャック部材。」 [相違点1] 「側周面」における「前記第1曲面と前記第2曲面との間」について、本件発明2は、「前記載置面の方向からの視野に露出する傾斜面である」のに対し、甲1発明では、そのような傾斜面ではない点。 (2)判断 ア 本件発明2と甲1発明とは、相違点1を有するから、本件発明2は甲1発明ではない。 イ 相違点1における「傾斜面」は、本件明細書等(【0074】)に「「傾斜面」とは、側周面のうち、断面視において傾き一定の面を指す。」と記載されているとおり、「傾き一定の面」のことである。 一方、甲1発明において、上段にある角部301と下段にある角部302とを傾き一定の面で接続すると、甲1発明の静電チャック30の下段の上面に近接して配置される「フォーカスリング10」と干渉することとなるから、甲1発明において、上段にある角部301と下段にある角部302とを傾き一定の面で接続すること、すなわち、相違点1に係る本件発明2の構成とすることは、想定していない事項である。 したがって、本件発明2は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ また、甲2には、相違点1に係る本件発明2の構成は記載されていないから、本件発明2は、甲1発明と甲2の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明2についての小括 よって、申立理由1、2及び3により、請求項2に係る特許を取り消すことはできない。 2 本件発明5について 事案に鑑み、次に本件発明5について検討する。 (1)対比 本件発明5と甲1発明とを対比する。 ア 上記1(1)の本件発明2と甲1発明との対比のうちア〜ウは、本件発明5と甲1発明との対比にも当てはまる。 イ 甲1発明の「静電チャック30(部材)」の外周部に設けられた段差の「下段」は、該「静電チャック30(部材)」の側面部の下部全体が外側に伸張する部分といえるから、本件発明5の「前記側周面の下端部において周方向に設けられ且つ外側に伸長する部分」に相当し、甲1発明と本件発明5は、当該部分を「側周面」に有する点で共通する。 ウ 甲1発明には、本件発明5の「前記第2曲面は、前記伸長する部分の上面に設けられた凹曲面である」ことは特定されていない。 エ 以上から、本件発明5と甲1発明とは以下の点で一致し、また、相違する。 [一致点] 「一主面が板状試料を載置する載置面である基体と、 前記載置面とは反対側又は前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を有し、 前記基体において前記載置面と連続する側周面には、前記載置面の周縁部において周方向に設けられた凸曲面である第1曲面と、 前記第1曲面とは異なる高さ位置において前記周方向に設けられた第2曲面と、を少なくとも有する静電チャック部材であって、 前記側周面は、前記側周面の下端部において周方向に設けられ且つ外側に伸長する部分を有する 静電チャック部材。」 [相違点2] 第2曲面について、本件発明5は、「前記伸長する部分の上面に設けられた凹曲面である」のに対し、甲1発明では、「角部302」に形成された「凸曲面」である点。 (2)判断 ア 本件発明5と甲1発明とは、相違点2を有するから、本件発明5は甲1発明ではない。 イ 甲1に記載された発明は、「部材の角部には電荷が集中し、蓄積されやすいので、隣接する部材間の対向する角部同士の間で最も高い電界が生じ、角部と角部との間がアーキングを最も発生させやすい場所となる。」(甲1の【0032】)という認識の下で、「各部材の角部に上述するように、半径0.1mm〜1mmのR面取り加工処理を行っているので、角部における電荷の集中が緩和され、アーキングの発生を抑制することができる。」(同【0033】)ものといえる。 そうすると、甲1発明における「角部」を含まない「下段」の上面に「凹曲面」を設けることの動機付けはないから、甲1発明において相違点2に係る本件発明5の構成を採用することは、当業者であっても容易に想到することができたものではない。 したがって、本件発明5は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ また、甲2には、相違点2に係る本件発明5の構成は記載されていないから、本件発明5は、甲1発明と甲2の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明5についての小括 よって、申立理由1、2及び3により、請求項5に係る特許を取り消すことはできない。 3 本件発明3、4、6〜9について (1)本件発明2を引用する本件発明3、4、6〜9について 本件発明3、4、6〜9は、上記1で検討した相違点1に係る「前記側周面において、前記第1曲面と前記第2曲面との間は、前記載置面の方向からの視野に露出する傾斜面である」という構成を含む発明である。 したがって、申立理由1の対象である本件発明3、4、6は、甲1発明ではない。 また、申立理由2、3の対象である本件発明3、4、6〜9は、上記1(2)イで検討した理由と同じ理由により、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、同ウで検討した理由と同じ理由により、甲1発明と甲2の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (2)本件発明5を引用する本件発明7〜9について 本件発明7〜9は、上記2で検討した相違点2に係る「前記第2曲面は、前記伸長する部分の上面に設けられた凹曲面である」という構成を含む発明である。 したがって、申立理由2、3の対象である本件発明7〜9は、上記2(2)イで検討した理由と同じ理由により、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、同ウで検討した理由と同じ理由により、甲1発明と甲2の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 4 異議申立人の主張について (1)異議申立人の主張概要 異議申立人は、特許異議申立書及び令和5年12月5日提出の意見書(以下「意見書」という。)において、以下の点を主張する。 ア 異議申立人は、甲1の図3に対応する以下の図Aを示し、角部301に形成された曲面において、「第1曲面」及び「第2曲面」が、それぞれ訂正前の請求項1に係る発明の「第1曲面」及び「第2曲面」に相当し、「第1曲面」と「第2曲面」の間の曲面が、訂正前の請求項2に係る発明の「傾斜面」に相当する旨主張する。(特許異議申立書14頁7行〜16頁12行) イ 異議申立人は、甲1の図2に対応する以下の図を示し、丸で囲まれた部分は、載置面に対し垂直な側周面と、フォーカスリング10を下方から支持する面と、の境界部分であり、当該部分には、加工精度等を鑑みれば、凹曲面が必ず存在するから、訂正前の請求項3及び請求項5の「凹曲面」の構成が記載されている旨主張する。(特許異議申立書16頁下から4行目〜17頁下から6行目) ウ 異議申立人は、甲2の図2(b)の静電チャックの一部に対応する以下の図Bを示し、甲2に記載の静電チャックに対し、アーキングを抑制するために甲1発明を適用し、角部1及び角部2のそれぞれにR面取り加工を施すことについて、容易想到である旨、及び、加工精度等に鑑みれば、角部1及び角部2には微小な曲面が必ず存在する旨主張する。(特許異議申立書25頁下から2行目〜28頁9行、意見書の「3」の項) (2)検討 ア 上記(1)アについての検討 甲1において、「角部301」に形成された1つの曲面を、「第1曲面」、「第2曲面」及び両曲面間の曲面の3つの部分に分けることに技術的な理由はないから、角部301に形成された1つの曲面を3つの曲面に分けることを前提とした異議申立人の同アの主張は採用できない。 イ 同イについての検討 「凹曲面」について、訂正後の請求項3には「前記側周面は、前記側周面の下端部において周方向に設けられ且つ外側に伸長する部分を有し、前記伸長する部分の上面は、凹曲面である」と記載されており、側周面の下端部の上面が凹曲面、すなわち、側周面は凹曲面で終端するから、甲1の図2(a)のように、単に丸で囲まれた部分に加工精度による凹曲面が形成されているものではないことは明らかである。また、訂正後の請求項5も同様である。 したがって、異議申立人の同イの主張は採用できない。 ウ 同ウについての検討 甲2に記載された静電チャックは、その形状からみて載置面の周縁部を直線状に面取り加工処理して、傾斜面を形成したものといる。 一方、甲1に記載された静電チャックは、アーキングの発生を防止するため、載置面の周縁部である角部301をR面取り加工処理したものである。 そうすると、アーキングの発生を防止するため、甲2における静電チャックに甲1に記載された事項を適用すると、甲2の傾斜面を残す理由はないから載置面の周縁部をR面取り加工処理することとなり、請求人が主張する角部1、角部2のそれぞれをR面取り加工処理したものにはならない。 また、本件発明2の「第1曲面」及び「第2曲面」の凸曲面と、加工精度に基づく微小な凸曲面は、曲面のサイズ等に基づき区別可能であることは明らかであるとともに、加工精度に基づく微小な曲面によってアーキングの発生を防止できるのであれば、そもそも、R面取り加工処理をする必要がないのであるから、本件発明2の「第1曲面」及び「第2曲面」に、そのような加工精度に基づく微小な曲面が含まれないことも明らかである。 したがって、異議申立人の同ウの主張は採用できない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、特許7203260号の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜9〕について訂正することを認める。 そして、当審において通知した取消理由、特許異議の申立ての理由及びその証拠によっては、特許7203260号の請求項2〜9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に特許7203260号の請求項2〜9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、訂正前の請求項1は訂正により削除されたから、特許法第120条の8第1項で準用する特許法第135条の規定により異議申立人による請求項1に係る特許異議の申立て却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (削 除) 【請求項2】 一主面が板状試料を載置する載置面である基体と、 前記載置面とは反対側又は前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を有し、 前記基体において前記載置面と連続する側周面には、前記載置面の周縁部において周方向に設けられた凸曲面である第1曲面と、 前記第1曲面とは異なる高さ位置において前記周方向に設けられた第2曲面と、を少なくとも有する静電チャック部材であって、 前記第2曲面は凸曲面であり、 前記側周面において、前記第1曲面と前記第2曲面との間は、前記載置面の方向からの視野に露出する傾斜面である静電チャック部材。 【請求項3】 前記側周面は、前記側周面の下端部において周方向に設けられ且つ外側に伸長する部分を有し、 前記伸長する部分の上面は、凹曲面である請求項2に記載の静電チャック部材。 【請求項4】 下記式(1)又は(2)を満たす請求項3に記載の静電チャック部材。 [第1曲面の曲率半径]<[凹曲面の曲率半径] …(1) [第2曲面の曲率半径]<[凹曲面の曲率半径] …(2) 【請求項5】 一主面が板状試料を載置する載置面である基体と、 前記載置面とは反対側又は前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を有し、 前記基体において前記載置面と連続する側周面には、前記載置面の周縁部において周方向に設けられた凸曲面である第1曲面と、 前記第1曲面とは異なる高さ位置において前記周方向に設けられた第2曲面と、を少なくとも有する静電チャック部材であって、 前記側周面は、前記側周面の下端部において周方向に設けられ且つ外側に伸長する部分を有し、 前記第2曲面は、前記伸長する部分の上面に設けられた凹曲面である静電チャック部材。 【請求項6】 前記側周面において、前記第1曲面と前記第2曲面との間は、前記載置面の方向からの視野に露出する傾斜面である請求項4に記載の静電チャック部材。 【請求項7】 下記式(3)を満たす請求項3から6のいずれか1項に記載の静電チャック部材。 [静電吸着用電極の厚さ]<[第1曲面の曲率半径]<[凹曲面の曲率半径] <[静電吸着用電極の下面から基体の下面までの基体の厚さ] …(3) 【請求項8】 請求項2から7のいずれか1項に記載の静電チャック部材と、 前記静電チャック部材を冷却し前記静電チャック部材の温度を調整するベース部材と、を有する静電チャック装置。 【請求項9】 請求項2から7のいずれか1項に記載の静電チャック部材の製造方法であって、 一主面が板状試料を載置する載置面である基体と、前記載置面とは反対側又は前記基体の内部に設けられた静電吸着用電極と、を有する円板状の焼結体を得る工程と、 前記焼結体の側周面を、回転砥石を用いて研削する工程と、を有し、 前記回転砥石は、前記回転砥石の回転軸を含む断面において、前記基体の中心を通り前記基体の法線を含む断面の少なくとも前記第1曲面の形状又は前記第2曲面の形状の一部と相補的な形状を有する静電チャック部材の製造方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2024-01-10 |
出願番号 | P2022-055540 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YAA
(H01L)
P 1 651・ 121- YAA (H01L) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
瀧内 健夫 |
特許庁審判官 |
中野 浩昌 松永 稔 |
登録日 | 2022-12-28 |
登録番号 | 7203260 |
権利者 | 住友大阪セメント株式会社 |
発明の名称 | 静電チャック部材、静電チャック装置及び静電チャック部材の製造方法 |
代理人 | 佐藤 彰雄 |
代理人 | 萩原 綾夏 |
代理人 | 佐藤 彰雄 |
代理人 | 萩原 綾夏 |
代理人 | 西澤 和純 |
代理人 | 西澤 和純 |