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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B32B 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 B32B |
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管理番号 | 1409156 |
総通号数 | 28 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2024-04-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2023-11-17 |
確定日 | 2024-03-28 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第7275566号発明「化粧シート」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第7275566号の請求項1〜10に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第7275566号の請求項1〜10に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成30年12月25日に出願されたものであって、令和5年5月10日にその特許権の設定登録がされ、同年5月18日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許について、令和5年11月17日に特許異議申立人下河あい(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1〜10に係る発明(以下「本件発明1〜10」ともいい、まとめて「本件発明」ともいう。)は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1〜10に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。 「【請求項1】 原反、透明樹脂層、及び表面保護層をこの順に備えた化粧シートであって、 前記表面保護層は複層から構成され、 前記表面保護層のうち最表面に位置する表面保護層を第1の表面保護層とし、 前記第1の表面保護層の下層に位置する表面保護層を第2の表面保護層としたとき、 前記第1の表面保護層の、平均粒子径(D50)が1.2μmである多角アルミナ粉末を用いて測定したエロージョン率Eは、0.1μm/g以上0.4μm/g以下の範囲内であり、 前記表面保護層が無機フィラーを含有し、 前記無機フィラーの平均粒子径は、1μm以上10μm以下の範囲内であり、 前記無機フィラーは、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、ガラス、ベーマイト、酸化鉄、酸化マグネシウム、及びダイヤモンドのうち少なくとも1つであり、 前記第1の表面保護層を構成する樹脂100質量部のうち、電離放射線硬化性樹脂の含有量は、65質量部以上100質量部以下の範囲内であることを特徴とする化粧シート。 【請求項2】 前記第1の表面保護層の厚みは、2μm以上7μm以下の範囲内であり、 前記第2の表面保護層の厚みは、2μm以上14μm以下の範囲内であり、 前記表面保護層全体での厚みは、4μm以上21μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。 【請求項3】 前記化粧シートの静摩擦係数μs(JISK7 125に準拠)は、0.25以上0.5以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧シート。 【請求項4】 前記透明樹脂層の厚みは、40μm以上170μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の化粧シート。 【請求項5】 前記無機フィラーの含有量は、前記第1の表面保護層を構成する樹脂100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化粧シート。 【請求項6】 前記無機フィラーは、表面処理が施されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の化粧シート。 【請求項7】 前記無機フィラーの表面を処理する表面処理剤は、界面活性剤、脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、シリコーン、ワックス、及び変性樹脂のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項6に記載の化粧シート。 【請求項8】 前記無機フィラーの表面を処理する表面処理剤は、前記第1の表面保護層を構成する主剤樹脂と反応する反応基を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化粧シート。 【請求項9】 前記無機フィラーの表面を処理する表面処理剤は、超臨界逆相蒸発法によりベシクルに表面処理剤を内包させた表面処理剤内包ベシクルであることを特徴とする請求項8に記載の化粧シート。 【請求項10】 前記化粧シートは、塩化ビニル樹脂を含有していないことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の化粧シート。」 第3 特許異議申立理由の概要 申立人が主張する特許異議申立理由の要旨は次のとおりである。 1 理由A(進歩性) 本件の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 記 請求項及び引用文献の関係(申立人が提出した甲第○号証は、甲○と略記する。) ・甲1主引例 請求項1、2 :甲1〜3 請求項3〜10:甲1〜7 ・甲2主引例 請求項1、2 :甲2、甲1 請求項3〜10:甲2、甲1、甲4〜7 ・甲3主引例 請求項1、2 :甲3、甲1 請求項3〜10:甲3、甲1、甲4〜7 ・引用文献一覧 甲1:国際公開第2016/076360号 甲2:特開2016−93966号公報 甲3:特開2017−24361号公報 甲4:特開2017−159583号公報 甲5:特開2016−168788号公報 甲6:特開2013−167089号公報 甲7:特開2011−202422号公報 (甲4〜7は周知技術を示す文献。) 2 理由B(明確性要件) 本件の請求項1〜10に係る発明は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、当該請求項に係る特許は、特許法第36条第6項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 第3 当審の判断 第3−1 理由B(明確性)について まず、理由Bについて検討するに、申立人は次の2点を主張する。 ・理由B−1 本件の請求項1に「無機フィラーの平均粒子径は、1μm以上10μm以下の範囲であり」との特定があるところ、本件特許明細書に記載の実施例6は、無機フィラーの平均粒子径が「17μm」であって、上記の数値範囲を超えており、請求項1〜10に係る発明は明確でない。 ・理由B−2 本件の請求項1に「無機フィラーの平均粒子径は、1μm以上10μm以下の範囲であり」との特定があるところ、本件特許明細書には、無機フィラーの平均粒子径の測定方法が記載されておらず、請求項1〜10に係る発明は明確でない。 しかしながら、理由B−1については、本件の請求項1には上記の数値範囲が明確に特定されていることから、請求項1及びそれを引用する請求項2〜10に係る発明の範囲は明確である。 また、理由B−2については、「平均粒子径」との記載は、例えば、甲1([0083])、甲5(【0048】)、甲6(【表2】、【表3】)に記載されるように、粒状製品の仕様として一般に用いられるものであり、本件発明において、同様の意味で用いていることを示すにすぎないことは、本件特許明細書の段落【0061】、【0065】〜【0071】の記載から明らかであり、明確である。 したがって、申立人の上記主張はいずれも採用できない。 第3−2 理由A(進歩性)について 1 各証拠の記載事項等 (1)甲1について 甲1の段落[0099]及び各図面の記載からみて、トップコート層は単層であるものと認める。 そうすると、甲1の請求項2、8、9、12及び段落[0081]〜[0083]、[0111]の記載からみて、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認める。 「原反層、透明樹脂層およびトップコート層が順に積層された化粧シートであって、 前記トップコート層は単層であり、 前記トップコート層はナノサイズの添加剤が含まれた樹脂層からなり、前記ナノサイズの添加剤としての分散剤と、無機微粒子とを含み、 前記無機微粒子が、アルミナ、シリカ、ベーマイト、酸化鉄、酸化マグネシウム、ダイヤモンドのうち少なくとも1つであって、平均粒径が1〜30μmであり、 前記トップコート層を構成する樹脂組成物は、紫外線や電子線照射で硬化する樹脂からなる化粧シート。」 (2)甲2について 甲2には以下の事項が記載されている(下線は当審で付加。以下同様。)。 ・「【請求項1】 着色した熱可塑性樹脂シート上に絵柄模様層、透明接着層、透明熱可塑性樹脂層、表面保護層をこの順で設けた化粧シートにおいて、 前記表面保護層の最外面に位置する層の主成分が紫外線硬化型樹脂および熱硬化型樹脂の混合物であり、紫外線硬化型樹脂と熱硬化型樹脂の混合比率は6:4〜8:2であることを特徴とする化粧シート。」 ・「【0026】 透明熱可塑性樹脂層(4)の上には表面保護層(7)を設ける。表面保護層(7)は単層でも良く、また複数の層を重ねて設けるのでも良い。図1で示した部分断面図は表面保護層(7)として、表面保護層1(5)、および表面保護層2(6)の2層が設けられている例である。」 ・「【0035】 <実施例2> ・・・ (8)表面保護層1:熱硬化型多官能アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス社製)を乾燥後の厚さ9μmで塗工した。 (9)表面保護層2:紫外線硬化型多官能ウレタンアクリレート樹脂(DICグラフィックス社製)および熱硬化型多官能アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス社製)を7:3の混合比率になるように乾燥後の厚さ6μmで塗工した。 (10)続いて紫外線照射により、紫外線硬化型多官能ウレタンアクリレート樹脂を硬化させ化粧シートを得た。 【0036】 <実施例3> ・・・ (8)表面保護層1:熱硬化型多官能アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス社製)を乾燥後の厚さ9μmで塗工した。 (9)表面保護層2:紫外線硬化型多官能ウレタンアクリレート樹脂(DICグラフィックス社製)および熱硬化型多官能アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス社製)を8:2の混合比率になるように乾燥後の厚さ6μmで塗工した。 (10)続いて紫外線照射により、紫外線硬化型多官能ウレタンアクリレート樹脂を硬化させ化粧シートを得た。」 ・図1は次のとおり。 (3)甲3について 甲3には以下の事項が記載されている。 ・「【請求項1】 基材シート上に絵柄模様層、透明接着層、透明熱可塑性樹脂層、第1表面保護層、及び第2表面保護層をこの順に積層して積層体を形成する積層工程と、 前記第1表面保護層及び前記第2表面保護層の少なくとも一方に対し過熱水蒸気を噴霧する噴霧工程と、を備え、 前記第1表面保護層及び前記第2表面保護層は、熱硬化型樹脂及び電離放射線硬化型樹脂の少なくとも一方を含有することを特徴とする化粧シートの製造方法。」 ・「【0025】 表面保護層7は、透明熱可塑性樹脂層6の上に設けられる。表面保護層7は、第1表面保護層7a及び第2表面保護層7bを化粧シート1の裏面側から表面側に向かってこの順に有した複数層(本実施形態では2層)構造となっている。・・・」 ・「【0047】 <実施例5> 実施例1における第2表面保護層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、第2表面保護層として、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(DICグラフィックス(株)製)及び熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス(株)製)を質量比7:3になるように混合し、イソシアネート系硬化剤(DICグラフィックス(株)製)と混合した塗液を乾燥後の厚み約6μmで塗工して塗膜形成し、温度120℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥し、更に、紫外線(高圧水銀灯、約200mJ/cm2)を照射して第2表面保護層を形成した。ここで、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂及び熱硬化型アクリルウレタン樹脂の混合量に比較してイソシアネート系硬化剤の混合量は僅かであるため、第2表面保護層においては、電離放射線硬化型樹脂が、第2表面保護層を構成する材料全体を基準として質量比70%程度含有されている。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。 【0048】 <実施例6> 実施例1における第2表面保護層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、第2表面保護層として、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(DICグラフィックス(株)製)を乾燥後の厚み約6μmで塗工して塗膜形成し、温度120℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥し、更に、紫外線(高圧水銀灯、約200mJ/cm2)を照射して第2表面保護層を形成した。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。 【0049】 <実施例7> 実施例1における第1表面保護層及び第2表面保護層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、第1表面保護層として、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(DICグラフィックス(株)製)を乾燥後の厚み約6μmで塗工して塗膜形成し、温度120℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥させ、また、第2表面保護層として紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(DICグラフィックス(株)製)を乾燥後の厚み約6μmで塗工して塗膜形成し、温度120℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥し、更に、紫外線(高圧水銀灯、約200mJ/cm2)を照射して第1表面保護層及び第2表面保護層を形成した。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。」 ・図1は次のとおり。 2 対比・判断 2−1 甲1を主引例とする場合 2−1−1 本件発明1について (1)対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 ・後者の「原反層」、は、前者の「原反層」に相当し、以下同様に、「透明樹脂層」は「透明樹脂層」に、「化粧シート」は「化粧シート」に、「無機微粒子」は「無機フィラー」に、「紫外線や電子線照射で硬化する樹脂」は「電離放射線硬化性樹脂」に、それぞれ相当する。 ・後者の「トップコート層」は表面を保護するものであることは明らかであるから、前者の「表面保護層」に相当する。 そして、上記の相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。 ・後者の「原反層、透明樹脂層およびトップコート層が順に積層された化粧シート」は、前者の「原反、透明樹脂層、及び表面保護層をこの順に備えた化粧シート」に相当する。 ・後者の「前記トップコート層は」「無機微粒子とを含み、前記無機微粒子が、アルミナ、シリカ、ベーマイト、酸化鉄、酸化マグネシウム、ダイヤモンドのうち少なくとも1つであって」ということは、前者の「前記表面保護層が無機フィラーを含有し」、「前記無機フィラーは、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、ガラス、ベーマイト、酸化鉄、酸化マグネシウム、及びダイヤモンドのうち少なくとも1つであり」ということに相当する。 ・後者の「前記トップコート層を構成する樹脂組成物は、紫外線や電子線照射で硬化する樹脂からなる」ことは、前者の「前記第1の表面保護層を構成する樹脂100質量部のうち、電離放射線硬化性樹脂の含有量は、65質量部以上100質量部以下の範囲内であること」に相当する。 ・以上のことから、本件発明1と甲1発明との一致点、相違点は次のとおりと認める。 〔一致点1〕 「原反、透明樹脂層、及び表面保護層をこの順に備えた化粧シートであって、 前記表面保護層が無機フィラーを含有し、 前記無機フィラーは、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、ガラス、ベーマイト、酸化鉄、酸化マグネシウム、及びダイヤモンドのうち少なくとも1つであり、 前記第1の表面保護層を構成する樹脂100質量部のうち、電離放射線硬化性樹脂の含有量は、65質量部以上100質量部以下の範囲内である化粧シート。」 〔相違点1〕 「表面保護層」について、本件発明1は、「前記表面保護層は複層から構成され、前記表面保護層のうち最表面に位置する表面保護層を第1の表面保護層とし、前記第1の表面保護層の下層に位置する表面保護層を第2の表面保護層としたとき、前記第1の表面保護層の、平均粒子径(D50)が1.2μmである多角アルミナ粉末を用いて測定したエロージョン率Eは、0.1μm/g以上0.4μm/g以下の範囲内であ」るのに対し、甲1発明は、トップコート層(表面保護層)は単層であって、本件発明1の「第1の表面保護層」に相当する構成を有していない点。 〔相違点2〕 「無機フィラーの平均粒子径」について、本件発明1は、「1μm以上10μm以下の範囲内であ」るのに対し、甲1発明は、1〜30μmである点。 (2)判断 相違点1について検討する。 申立人が提出した甲2、甲3には、最表面に位置する第1の表面保護層と、第1の表面保護層の下層に位置する第2の表面保護層とを有する表面保護層を有する化粧シートに関する技術的事項が開示されている(上記1(2)、(3)参照。)。 しかしながら、第1の表面保護層に相当する甲2の「表面保護層2」及び甲3の「第2表面保護層7b」について、甲2、甲3には、それら層が「平均粒子径(D50)が1.2μmである多角アルミナ粉末を用いて測定したエロージョン率Eは、0.1μm/g以上0.4μm/g以下の範囲内であ」ることの記載も示唆もない。また、甲3〜7を検討しても、甲2の「表面保護層2」(段落【0035】、【0036】)及び甲3の「第2表面保護層7b」(段落【0047】〜【0049】)の具体的な材質のエロージョン率Eが当該範囲内であることを示す記載も示唆も見当たらない。 したがって、甲1発明に甲2、甲3に記載された事項を適用したとしても、上記相違点1に係る本件発明1の事項には至らない。 よって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲2〜7に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2−1−2 本件発明2〜10について 本件発明2〜10は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、上記2−1−1で説示したのと同様の理由により、甲1発明及び甲2〜7に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2−2 甲2、甲3を主引例とする場合 甲2及び甲3に記載された発明について検討しても、本件発明1とそれら発明との間には、少なくとも上記相違点1に係る事項のうち「前記第1の表面保護層の、平均粒子径(D50)が1.2μmである多角アルミナ粉末を用いて測定したエロージョン率Eは、0.1μm/g以上0.4μm/g以下の範囲内であ」るという事項と同じ点で相違し、当該事項が当業者であっても容易想到とはいえないことは、上記2−1−1で説示したとおりである。 したがって、本件発明1〜10は、甲1発明及び甲2〜7に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件請求項1〜10に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1〜10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2024-03-19 |
出願番号 | P2018-241487 |
審決分類 |
P
1
651・
537-
Y
(B32B)
P 1 651・ 121- Y (B32B) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
井上 茂夫 |
特許庁審判官 |
一ノ瀬 覚 八木 誠 |
登録日 | 2023-05-10 |
登録番号 | 7275566 |
権利者 | TOPPANホールディングス株式会社 |
発明の名称 | 化粧シート |
代理人 | 宮坂 徹 |
代理人 | 廣瀬 一 |