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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F |
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管理番号 | 1409902 |
総通号数 | 29 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2024-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-04-10 |
確定日 | 2024-04-23 |
事件の表示 | 特願2018−128037「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 1月16日出願公開、特開2020− 5771、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成30年7月5日の特許出願であって、令和3年6月11日に上申書及び手続補正書が提出され、令和4年4月21日付けで拒絶の理由が通知され、同年7月5日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに、同年10月18日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年12月9日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、令和5年3月30日付け(送達日:同年4月4日)で、令和4年12月9日にされた手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して、令和5年4月10日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、これに対し、当審より同年11月6日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)を通知したところ、同年12月13日に意見書が提出されたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明及び引用文献B、Cに例示されるような周知技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献一覧 A.特開2016−163742号公報 B.特開2018−50930号公報(周知技術を示す文献) C.特開2017−35634号公報(周知技術を示す文献) 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に例示されるような周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献一覧 1.特開2018−93912号公報(令和4年4月21日付け拒絶理由通知の引用文献3) 2.特開2018−50930号公報(周知技術を示す文献、拒絶査定時の引用文献B) 3.特開2017−35634号公報(周知技術を示す文献、拒絶査定時の引用文献C) 第4 本願発明 本願請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年4月10日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(符号A等は分説するために当審合議体が付した。)。 「【請求項1】 A 表示領域を有する表示装置と、 B 前記表示領域に第一演出用画像を表示する第一演出および第二演出用画像を表示する第二演出を実行する演出実行手段と、 を備え、 C 前記第一演出は、前記表示領域の全体に前記第一演出用画像が表示された第一状態から当該第一状態よりも小さい所定の大きさで前記第一演出用画像が表示された第二状態に推移するものであり、 D 前記第二演出は、前記第一演出が第二状態となった後開始される演出であって、前記表示領域における前記第一演出用画像が小さく表示された状態となることによって生じた領域の少なくとも一部に前記第一状態においては表示されていなかった前記第二演出用画像が表示されるものであり、 E 前記第二演出は、前記第一演出用画像が前記所定の大きさで表示されたまま遊技者に有利な成功結末または当該成功結末に至らなかった場合の結末である失敗結末に至るものであり、 F 前記第二演出が前記成功結末に至る蓋然性が、前記第一状態では表示されないが前記第二状態では表示される画像であって前記第一演出用画像の周囲に沿う枠画像の態様により示唆される G ことを特徴とする遊技機。」 第5 引用発明及び周知技術 1 引用文献1について (1)記載事項 当審拒絶理由にて引用文献1として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2018−93912号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は引用発明の認定に関連する箇所を明示するために当審合議体で付した。以下同様。)。 ア 「【0010】 <第1実施形態> 1.遊技機の構造 本発明の遊技機の第1実施形態であるパチンコ遊技機1について図面を用いて説明する。・・・」 イ 「【0182】 4−1.特図変動演出 最初に、特図変動演出について説明する。サブ制御基板90は、特別図柄の可変表示が開始されると、特別図柄の可変表示に係る特図変動パターンおよび特図抽選結果(大当たり判定結果、大当たり図柄種別判定結果、リーチ判定結果、および、特図変動パターン判定結果)などに基づいて、特図変動演出を制御する。特図変動演出では、表示部7aにおいて、所定の背景画像に重畳的に、演出図柄の可変表示が行われる。演出図柄の可変表示では、演出図柄が変動した後に停止する。・・・」 ウ 「【0216】 4−3.Vへの挑戦演出 次に、通常演出モードにおいて実行可能なVへの挑戦演出について説明する。Vへの挑戦演出は通常演出モードにおいて実行可能であり、時短状態よりも遊技者に不利な通常遊技状態(非時短状態)において、最終的には特図2抽選による小当たり当選に向かう演出、言い換えれば、V通過小当たり遊技の実行に対して期待を持たせる演出である。Vへの挑戦演出は、主に、先に行われるVへの挑戦演出前半と、Vへの挑戦演出前半の後に実行されるVへの挑戦演出後半とで、構成されている。Vへの挑戦演出前半の演出内容と、Vへの挑戦演出後半の演出内容とは関連している。Vへの挑戦演出前半は、FHP2(当たり図柄A)の普図変動表示またはFHP3(当たり図柄B)の普図変動表示を契機に行われ、V通過小当たり遊技の前提となる当たり図柄Aに応じた補助遊技(ロング開放補助遊技)を実行させることができるか否かの演出(電チュー23のロング開放をかけた演出)である。・・・ 【0217】 Vへの挑戦演出前半はFHP2(当たり図柄A)の普図変動表示またはFHP3(当たり図柄B)の普図変動表示(以下、これらの普図変動表示を「特定普図変動表示」という)が行われているときに行われるが、その特定普図変動表示が開始されると、Vへの挑戦演出前半が行われる前にまずは、Vへの挑戦演出が実行されるか否かの、言い換えれば、Vへの挑戦演出が実行される可能性があることを示唆する(Vへの挑戦演出をかけた)前兆演出が行われる。・・・ 【0218】 前兆演出の後に、Vへの挑戦演出前半が行われると最初に、ファーストチャレンジ演出が行われる。ファーストチャレンジ演出は、最初の挑戦をクリアできるか否か(最初の挑戦に成功するか失敗するか)の演出である。最初の挑戦に成功すると、Vへの挑戦演出後半に進むことが可能となり、最初の挑戦に失敗すると、Vへの挑戦演出後半に進むことができず、Vへの挑戦演出が終了する。普図変動表示の後に電チュー23がロング開放するFHP2の普図変動表示において最初の挑戦に成功するVへの挑戦演出前半(Vへの挑戦演出前半成功)が行われ、普図変動表示の後に電チュー23がショート開放するFHP3の普図変動表示において最初の挑戦に失敗するVへの挑戦演出前半(Vへの挑戦演出前半失敗)が行われる。 【0219】 Vへの挑戦演出前半成功において、ファーストチャレンジ演出が終了すると、次に、引き続いて、電チュー23へ向けて遊技球を発射させることを促す電チュー発射促進演出が行われる。・・・」 エ 「【0227】 次に、Vへの挑戦演出の具体例について説明する。Vへの挑戦演出の具体例の前提として、図37に示すタイムチャートのように遊技が進行する(様々な事象が発生する)ものとする。最初に、図26(A)に示すように、特図1変動表示中であり(図37における特図1変動表示(1))、それに伴って、昼間通常用背景画像G100に重畳的に演出図柄EZ1〜EZ3の変動表示および小図柄KZ1〜KZ3の変動表示が行われ、変動アイコンHA1が表示されているとする。また、特図1保留数が3であり、通常態様の保留アイコンHA2〜HA4が表示されているとする。さらに、このとき、普図可変表示および補助遊技は実行されていないものとする。また、アイコンHA1〜HA4に係る特図1判定結果は「リーチ無しハズレ」であるとする。 ・・・ 【0233】 ここで、Vへの挑戦演出が実行される場合は、図26(D)に示すような状態の後に、図27(A−1)に示すように、前兆演出用第1背景画像G110を含んだ縮小画面画像G10の縮小がタイトル画像G9のほぼ全体が現れる程度まで一気に進み、図27(B−1)に示すように、タイトル画像G9の縁取られた内側が赤色で塗りつぶされるように、Vへの挑戦演出が実行される(Vへの挑戦演出に突入する)ことを報知する画像G11(Vへの挑戦演出実行報知画像G11:図27(B−1)において「Vへの挑戦」)が表示される。このような、タイトル画像G9のほぼ全体が現れる程度まで縮小画面画像G10の縮小が進むことと、Vへの挑戦演出実行報知画像G11の表示が、Vへの挑戦演出が実行される(Vへの挑戦演出に突入する)ことを報知する演出(Vへの挑戦演出実行報知演出)を構成している。 ・・・ 【0237】 Vへの挑戦演出実行報知演出が行われると、Vへの挑戦演出、詳細には、Vへの挑戦演出前半のファーストチャレンジ演出に突入する。ファーストチャレンジ演出に突入すると、前兆演出用第2背景画像G111からファーストチャレンジ演出に専用の背景画像G112(ファーストチャレンジ用背景画像G112)に切り替わる。また、Vへの挑戦演出前半に突入すると、最初は、ファーストチャレンジ演出の演出内容である最初の挑戦の内容を説明する画像G12(ファーストチャレンジ内容説明画像G12:図27(C−1)において「ファーストチャレンジロゴに変身せよ」)が表示部7aに表示される。第1実施形態では、最初の挑戦として、主人公キャラクタ「ロゴ」が変身することが設定されている。よって、図27(C−1)に示すように、ファーストチャレンジ用背景画像G112において、変身していない主人公キャラクタ「ロゴ」が表示される。 【0238】 ファーストチャレンジ内容説明画像G12は、複数種類の色で表示される。その色として、赤色、緑色および白色が設定されている。このファーストチャレンジ内容説明画像G12を表す色は、ファーストチャレンジ演出の演出態様(演出パターン:ファーストチャレンジ演出パターン)を構成している。そして、ファーストチャレンジ内容説明画像G12の色は、最初の挑戦に成功することの期待度、換言すると、当たり図柄Aの普図変動表示であることの期待度(ロング開放補助遊技の実行に対する期待度)を示唆する。ファーストチャレンジ内容説明画像G12の色が示唆するロング開放補助遊技の実行に対する期待度は、赤色>緑色>白色の順で高い。 【0239】 ここで、Vへの挑戦演出前半が開始されたときに、特図1保留数≧1であること、または、特図1保留数=0且つ特図1変動表示中であることを条件に、Vへの挑戦演出実行報知演出の際に表示部7aに表示されていた縮小画面画像G10が継続して表示される(特別領域が継続して形成される)。ただし、縮小画面画像G10の中では、Vへの挑戦演出が開始された後は、Vへの挑戦演出が行われなかった場合に表示部7aにおいて行われる特図変動演出および保留演出が行われる。そして、ここでの特図変動演出には、特図1可変表示に応じた小図柄KZ1〜KZ3の可変表示は含まれない。特図1可変表示に応じた小図柄KZ1〜KZ3の可変表示は、前兆演出およびVへの挑戦演出の実行中も、それらの演出の影響を受けることなく、特図1対応小図柄領域71aにおいて実行される。 【0240】 よって、図27(C−1)に示すように、特別領域である縮小画面画像G10においては、昼間通常用背景画像G100の上から、演出図柄EZ1〜EZ3の可変表示およびアイコンHA2〜HA4の表示が行われる。すなわち、Vへの挑戦演出後半が開始されると、昼間通常用背景画像G100の表示、演出図柄EZ1〜EZ3の可変表示およびアイコンHA2〜HA4の表示が、前兆演出の開始前よりも縮小状態で行われる。そして、通常領域においては、普図変動表示に応じたVへの挑戦演出前半が行われると共に、特図1可変表示に応じた小図柄KZ1〜KZ3の可変表示が行われる。・・・ 【0241】 そして、図27(D−1)に示すように、ファーストチャレンジ内容説明画像G12が消去された後に、図28(A)に示すように、ファーストチャレンジ用背景画像G112における主人公キャラクタ「ロゴ」に、注目を向けるエフェクトがつけられる。このように、ファーストチャレンジ用背景画像G112における主人公キャラクタ「ロゴ」に注目が向けられるエフェクトがつけられた後に、最初の挑戦に成功するか失敗するかが決定される(最初の挑戦の結果が報知される)。すなわち、主人公キャラクタ「ロゴ」に注目が向けられるエフェクトがつけられた時点が、最初の挑戦に成功するか失敗するかの分岐点となる。 【0242】 ここで、最初の挑戦に成功する場合、具体的には、主人公キャラクタ「ロゴ」が変身する場合、言い換えると、普図抽選結果が当たりA(FTP2の普図変動表示)であった場合には、図28(B−1)に示すように、ファーストチャレンジ用背景画像G112における主人公キャラクタ「ロゴ」が変身し、図28(C−1)に示すように最初の挑戦に成功した(主人公キャラクタ「ロゴ」が変身した)ことを表す画像G13(ファーストチャレンジ成功報知画像G13)が表示される。このファーストチャレンジ成功報知画像G13の表示は、Vへの挑戦演出前半に係る最初の挑戦が成功であることを報知する演出(ファーストチャレンジ成功報知演出)を構成している。 【0243】 一方、最初の挑戦に失敗する場合、具体的には、主人公キャラクタ「ロゴ」が変身しない場合、言い換えると、普図抽選結果が当たりB(FTP3の普図変動表示)であった場合には、図28(B−2)に示すように、ファーストチャレンジ用背景画像G112における主人公キャラクタ「ロゴ」が変身することなく、図28(C−2)に示すように縮小画面画像G10が全体で右斜め上方に拡大していく。そして、最終的には、図28(D−2)に示すように、縮小画面画像G10が表示部7aの全範囲を覆い尽くしつつ消滅する。言い換えると、特別領域が通常領域を徐々に浸食していき、最終的に通常領域に取って代わって消滅する。このように、縮小画面画像G10の拡大が、Vへの挑戦演出前半に係る最初の挑戦が失敗であることを報知する演出(ファーストチャレンジ失敗報知演出)を構成している。また、ファーストチャレンジ失敗報知演出が行われている間、縮小画面画像G10(特別領域)においては、小図柄KZ1〜KZ3の可変表示を除く特図変動演出および保留演出が行われている。 【0244】 また、ここで説明している具体例では、図28(B−1)または図28(B−2)の状況で、ハズレ特図の停止表示が行われ、それに応じて、縮小画面画像G10(表示部7aの特別領域)において、リーチ無しハズレを示す演出図柄EZ1〜EZ3および小図柄KZ1〜KZ3の停止表示が行われると共に、変動アイコンHA2が消去される。そして、図28(C−1)または図28(C−2)に示すように、特図1変動表示(図37における特図1変動表示(3))の開始に伴って、演出図柄EZ1〜EZ3および小図柄KZ1〜KZ3の変動表示が開始すると共に、アイコンHA3〜アイコンHA4が1つ左にシフトする。 【0245】 ファーストチャレンジ成功報知演出の後には、当たり図柄Aに応じた補助遊技(ロング開放補助遊技)が行われるので、遊技者が電チュー23に遊技球を入球させることを失敗しないように(遊技者が遊技利益獲得の機会を逸しないために)、電チュー23へ向けた遊技球の発射を促す演出(電チュー発射促進演出)が実行される。電チュー発射促進演出が開始されると、ファーストチャレンジ用背景画像G112から電チュー発射促進演出用背景画像G113に切り替わる。」 オ 「【0267】 次に、前述の前兆演出とは異なる演出内容の前兆演出について説明する。例えば、前述の図26(A)に示す状況において、図34(A)に示すように、表示部7aの右上隅部あたりから、小型飛行物体画像G1が出現し、水平方向左方へ移動する。次に、図34(B)に示すように、小型飛行物体画像G1が保留アイコンHA2の真上辺りに差し掛かったときに、小型飛行物体画像G1から保留アイコンHA2に向けて、閃光画像G2が発射する。すなわち、保変予兆演出が行われる。そして、保留演出の場合とは異なり、保留アイコンHA2の手前で何かに衝突したかのように閃光画像G2が止まる。すると、図34(C)に示すように、閃光画像G2が止まった位置から、Vへの挑戦演出が行われることを示唆する画像G25(Vへの挑戦演出示唆画像G25:図34(B)において「Vへの挑戦」)が出現して、保留表示領域73aの右側まで移動する。 【0268】 そして、図35(A)に示すように、表示部7aにおいて、昼間通常用背景画像G100から前兆演出用第2背景画像G111に切り替わると共に、前兆演出用第2背景画像G111に重畳的に、縮小画面画像G10が表示される。続いて、図35(B)に示すように、縮小画面画像G10が左下隅に吸い寄せられるように移動しながら縮小され、縮小画面画像G10の縮小がタイトル画像G9のほぼ全体が現れる程度まで進んで、タイトル画像G9の縁取られた内側が赤色で塗りつぶされるようにVへの挑戦演出実行報知画像G11が表示され、Vへの挑戦演出前半の実行が確定する。そして最終的に図35(C)に示すように、Vへの挑戦演出前半に突入する。このように、保留変化予告からVへの挑戦演出に突入する場合もある。すなわち、保留変化予告が実行される可能性があることを示唆する保変予兆演出は、Vへの挑戦演出が実行される可能性があることを示唆する前兆演出も構成している。 【0269】 また、この場合の縮小画面画像G10の縮小は、前述の前兆演出のように、所定程度まで進んで一旦止まって所定時間維持された後に、さらにタイトル画像G9のほぼ全体が現れる程度まで進むというように多段階で行われるのではなく、一気に且つ短時間で、最後まで(タイトル画像G9のほぼ全体が現れる程度まで)進む。これは、前述の前兆演出は、縮小画面画像G10の縮小が所定程度まで進んだ段階で縮小画面画像G10の縮小を所定時間維持することで、さらに縮小が進みVへの挑戦演出前半に突入するか否かを煽っているのに対し、今回の前兆演出は、小型飛行物体画像G1を出現させることで、Vへの挑戦演出示唆画像G25が出現してVへの挑戦演出前半に突入するか否かも煽っているからである。よって、Vへの挑戦演出示唆画像G25が出現すると必ずVへの挑戦演出前半が行われ(図35(C)参照)、Vへの挑戦演出示唆画像G25の表示は、Vへの挑戦演出が行われることを示唆する演出(Vへの挑戦演出示唆演出)を構成している。また、ここでの具体例では、図35(B)に示すように、縮小画面画像G10の縮小がタイトル画像G9のほぼ全体が現れる程度まで進んで、Vへの挑戦演出実行報知画像G11が表示されたときに、特図1停止表示が行われるので、表示部7aの特別領域において、リーチ無しハズレを示す演出図柄EZ1〜EZ3の停止表示が行われ、表示部7aの通常領域において、リーチ無しハズレを示す小図柄KZ1〜KZ3の停止表示が行われている。」 カ 「【0434】 次に、演出制御用マイコン91は、決定した停止図柄および特図変動演出パターンなどからなる特図変動演出の演出内容を示す特図変動演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする(S4504)。特図変動演出開始コマンドには、画像表示装置7で行われる画像による特図変動演出の他に、スピーカ67から出力される音声による特図変動演出、枠ランプ66で行われる発光による特図変動演出の演出内容、および、盤可動体15Kで行われる動作による特図変動演出の演出内容が含まれている。ステップS4504でセットされた特図変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4004)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、制御用ROM103から所定の演出画像を読み出して、画像表示装置7の表示部7aにて画像による特図変動演出を行う。・・・ ・・・ 【0471】 そして、演出制御用マイコン91は、ファーストチャレンジ演出パターンを表すファーストチャレンジ演出データを、RAM94の所定領域にセットし(S5015)、ステップS5008における前兆演出種別判定の判定結果(前兆演出種別)およびステップS5014におけるファーストチャレンジ演出パターン判定の判定結果(ファーストチャレンジ演出パターン)などが含まれた普図変動演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットして(S5016)、前兆演出の実行中であることを表す前兆演出フラグをRAM94の所定領域にセットし(S5017)、前兆演出の演出時間(前兆演出時間)を前兆演出タイマにセットし、前兆演出が開始されてから経過する時間の計測を開始し(S5018)、普図変動演出判定処理を終了する。 【0472】 前兆演出タイマにセットされた前兆演出時間は、ステップS4202の演出タイマ更新処理によって、10msおきに、10ms分、更新される。演出制御用マイコン91は、前兆演出タイマによって、前兆演出が開始されてから経過した時間を認識することができる。また、セットされた普図変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4004)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、制御用ROM103から所定の演出画像を読み出して、画像表示装置7の表示部7aにて画像による普図変動演出を行う。・・・」 キ 「【図28】 」 ク 「【図34】 」 ケ 「【図35】 」 (2)認定事項 前記(1)に摘記した記載事項より、引用文献1には、以下の事項が記載されているものと認められる。 ア 認定事項1 前記(1)カに摘記した【0471】の「演出制御用マイコン91は、ファーストチャレンジ演出パターンを表すファーストチャレンジ演出データを、RAM94の所定領域にセットし(S5015)、ステップS5008における前兆演出種別判定の判定結果(前兆演出種別)およびステップS5014におけるファーストチャレンジ演出パターン判定の判定結果(ファーストチャレンジ演出パターン)などが含まれた普図変動演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットし」との記載、及び前記(1)カに摘記した【0472】の「セットされた普図変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4004)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、制御用ROM103から所定の演出画像を読み出して、画像表示装置7の表示部7aにて画像による普図変動演出を行う」との記載より、「セットされた普図変動演出開始コマンドが、」「画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、制御用ROM103から所定の演出画像を読み出して、画像表示装置7の表示部7aにて画像による普図変動演出を行う」ものであるところ、当該「普図変動演出開始コマンド」には「ファーストチャレンジ演出パターン」「などが含まれ」るから、「普図変動演出」として「ファーストチャレンジ演出」を行うことが開示されていると認められる。 よって、引用文献1には、画像制御基板100のCPU102は、制御用ROM103から所定の演出画像を読み出して、画像表示装置7の表示部7aにて画像によるファーストチャレンジ演出を行うことが開示されていると認められる(以下「認定事項1」という。)。 イ 認定事項2 前記(1)イに摘記した【0182】の「特図変動演出では、表示部7aにおいて、所定の背景画像に重畳的に、演出図柄の可変表示が行われ」について、前記(1)クに摘記した【図34】において、表示部7aの全体において、特図変動演出が行われていることが看取される。 よって、引用文献1には、特図変動演出では、表示部7aの全体において、所定の背景画像に重畳的に、演出図柄の可変表示が行われることが開示されていると認められる(以下「認定事項2」という。)。 ウ 認定事項3 前記(1)オに摘記した【0268】の「図35(A)に示すように、表示部7aにおいて、昼間通常用背景画像G100から前兆演出用第2背景画像G111に切り替わると共に、前兆演出用第2背景画像G111に重畳的に、縮小画面画像G10が表示される。続いて、図35(B)に示すように、縮小画面画像G10が左下隅に吸い寄せられるように移動しながら縮小され、縮小画面画像G10の縮小がタイトル画像G9のほぼ全体が現れる程度まで進んで、タイトル画像G9の縁取られた内側が赤色で塗りつぶされるようにVへの挑戦演出実行報知画像G11が表示され、Vへの挑戦演出前半の実行が確定する」について、前記(1)ケに摘記した【図35】において、縮小画面画像G10では特図変動演出が行われていることが看取される。 よって、引用文献1には、表示部7aにおいて、昼間通常用背景画像G100から前兆演出用第2背景画像G111に切り替わると共に、前兆演出用第2背景画像G111に重畳的に、縮小画面画像G10が表示され、縮小画面画像G10では特図変動演出が行われており、縮小画面画像G10が左下隅に吸い寄せられるように移動しながら縮小され、縮小画面画像G10の縮小がタイトル画像G9のほぼ全体が現れる程度まで進んで、タイトル画像G9の縁取られた内側が赤色で塗りつぶされるようにVへの挑戦演出実行報知画像G11が表示され、Vへの挑戦演出前半の実行が確定することが開示されていると認められる(以下「認定事項3」という。)。 エ 認定事項4 前記(1)キで摘記した【図28】及び前記(1)ケで摘記した【図35】において、ファーストチャレンジ用背景画像G112、ファーストチャレンジ内容説明画像G12、及び主人公キャラクタ「ロゴ」の表示は、表示部7aの縮小画面画像G10が表示されている領域以外の領域にて表示が行われていることが看取される。 よって、引用文献1には、ファーストチャレンジ用背景画像G112、ファーストチャレンジ内容説明画像G12、及び主人公キャラクタ「ロゴ」の表示は、表示部7aの縮小画面画像G10が表示されている領域以外の領域にて表示が行われていることが開示されていると認められる(以下「認定事項4」という。)。 オ 認定事項5 前記(1)エに摘記した【0242】の、「最初の挑戦に成功する場合、具体的には、主人公キャラクタ「ロゴ」が変身する場合、言い換えると、普図抽選結果が当たりA(FTP2の普図変動表示)であった場合には、図28(B−1)に示すように、ファーストチャレンジ用背景画像G112における主人公キャラクタ「ロゴ」が変身し、」との記載、及び前記(1)エに摘記した【0243】の、「最初の挑戦に失敗する場合、具体的には、主人公キャラクタ「ロゴ」が変身しない場合、言い換えると、普図抽選結果が当たりB(FTP3の普図変動表示)であった場合には、図28(B−2)に示すように、ファーストチャレンジ用背景画像G112における主人公キャラクタ「ロゴ」が変身することなく、」との記載を踏まえると、前記(1)キに摘記した【図28】(A)、(B−1)、(B−2)及び前記(1)ケに摘記した【図35】(C)から、縮小画面画像G10がその表示の大きさを維持したまま、最初の挑戦に成功する場合、主人公キャラクタ「ロゴ」が変身した表示がされ、最初の挑戦に失敗する場合、主人公キャラクタ「ロゴ」が変身しない表示がされることが看取される。 よって、引用文献1には、縮小画面画像G10がその表示の大きさを維持したまま、最初の挑戦に成功する場合、具体的には、主人公キャラクタ「ロゴ」が変身する場合、言い換えると、普図抽選結果が当たりA(FTP2の普図変動表示)であった場合には、ファーストチャレンジ用背景画像G112における主人公キャラクタ「ロゴ」が変身し、最初の挑戦に失敗する場合、具体的には、主人公キャラクタ「ロゴ」が変身しない場合、言い換えると、普図抽選結果が当たりB(FTP3の普図変動表示)であった場合には、ファーストチャレンジ用背景画像G112における主人公キャラクタ「ロゴ」が変身することがないという事項が開示されていると認められる(以下「認定事項5」という。)。 カ 認定事項6 前記(1)キに摘記した【図28】及び前記(1)ケに摘記した【図35】において、縮小画面画像G10の上端及び右端に沿って表示される線状の画像(各図において符号G10の矢印の先端が触れている部分)が看取される。また、前記(1)クに摘記した【図34】において、表示部7aの全体の周囲には、前記縮小画面画像G10の上端及び右端に沿って表示される線状の画像と同様の画像は表示されないことが看取される。 よって、引用文献1には、表示部7aの全体の周囲には表示されないが、縮小画面画像G10の上端及び右端に沿って表示される線状の画像を有することが開示されていると認められる(以下「認定事項6」という。)。 (3)引用発明 前記(1)の記載事項及び前記(2)の認定事項から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる(a〜gの符号は、本願発明の構成A〜Gに概ね対応させて当審合議体で付した。)。 「a、b、c、d 画像制御基板100のCPU102は、制御用ROM103から所定の演出画像を読み出して、画像表示装置7の表示部7aにて画像による特図変動演出を行い(【0434】)、画像制御基板100のCPU102は、制御用ROM103から所定の演出画像を読み出して、画像表示装置7の表示部7aにて画像によるファーストチャレンジ演出を行い(「認定事項1」)、特図変動演出では、表示部7aの全体において、所定の背景画像に重畳的に、演出図柄の可変表示が行われ(「認定事項2」)、Vへの挑戦演出が行われることを示唆する画像G25が出現し(【0267】)、表示部7aにおいて、昼間通常用背景画像G100から前兆演出用第2背景画像G111に切り替わると共に、前兆演出用第2背景画像G111に重畳的に、縮小画面画像G10が表示され、縮小画面画像G10では特図変動演出が行われており、縮小画面画像G10が左下隅に吸い寄せられるように移動しながら縮小され、縮小画面画像G10の縮小がタイトル画像G9のほぼ全体が現れる程度まで進んで、タイトル画像G9の縁取られた内側が赤色で塗りつぶされるようにVへの挑戦演出実行報知画像G11が表示され、Vへの挑戦演出前半の実行が確定し(「認定事項3」)、Vへの挑戦演出前半のファーストチャレンジ演出に突入し、ファーストチャレンジ演出に突入すると、前兆演出用第2背景画像G111からファーストチャレンジ演出に専用の背景画像G112(ファーストチャレンジ用背景画像G112)に切り替わり、Vへの挑戦演出前半に突入すると、最初は、ファーストチャレンジ演出の演出内容である最初の挑戦の内容を説明する画像G12(ファーストチャレンジ内容説明画像G12)が表示部7aに表示され、最初の挑戦として、主人公キャラクタ「ロゴ」が変身することが設定され、ファーストチャレンジ用背景画像G112において、変身していない主人公キャラクタ「ロゴ」が表示され(【0237】)、ファーストチャレンジ用背景画像G112、ファーストチャレンジ内容説明画像G12、及び主人公キャラクタ「ロゴ」の表示は、表示部7aの縮小画面画像G10が表示されている領域以外の領域にて表示が行われ(「認定事項4」)、 e 縮小画面画像G10がその表示の大きさを維持したまま、最初の挑戦に成功する場合、具体的には、主人公キャラクタ「ロゴ」が変身する場合、言い換えると、普図抽選結果が当たりA(FTP2の普図変動表示)であった場合には、ファーストチャレンジ用背景画像G112における主人公キャラクタ「ロゴ」が変身し、最初の挑戦に失敗する場合、具体的には、主人公キャラクタ「ロゴ」が変身しない場合、言い換えると、普図抽選結果が当たりB(FTP3の普図変動表示)であった場合には、ファーストチャレンジ用背景画像G112における主人公キャラクタ「ロゴ」が変身することなく(「認定事項5」)、 f 表示部7aの全体の周囲には表示されないが、縮小画面画像G10の上端及び右端に沿って表示される線状の画像を有し(「認定事項6」)、ファーストチャレンジ内容説明画像G12は、複数種類の色で表示され、その色として、赤色、緑色および白色が設定されており、このファーストチャレンジ内容説明画像G12を表す色は、ファーストチャレンジ演出の演出態様(演出パターン:ファーストチャレンジ演出パターン)を構成しており、ファーストチャレンジ内容説明画像G12の色は、最初の挑戦に成功することの期待度、換言すると、当たり図柄Aの普図変動表示であることの期待度(ロング開放補助遊技の実行に対する期待度)を示唆する(【0238】)、 g パチンコ遊技機1(【0010】)」 2 引用文献2について 当審拒絶理由にて引用文献2として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2018−50930号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0075】 全画面表示とは、表示画面7aの全域を使った表示である(図78(A),(B)参照)。また、縮小表示とは、表示画面7aの一部の領域での表示、実施形態では表示画面7aの左下部領域7bでの表示である(図78(B)参照)。また、簡易表示とは、表示画面7aの右下部領域7cでの簡易な表示である(図79(B)参照)。・・・ ・・・ 【0358】 ここで本形態では、枠画像W1は白色又は青色或いは赤色で表示される。青色の枠画像W1は、白色の枠画像W1よりも当選期待度が高いことを示し、赤色の枠画像W1は、青色の枠画像W1よりも当選期待度を高いことを示すようにしている。従って、青色の枠画像W1を見た遊技者には、SPリーチのように当選期待度が比較的高いことを把握させることが可能である。更に、赤色の枠画像W1を見た遊技者には、SPSPリーチのように当選期待度が非常に高いことを把握させることが可能である。こうして簡易表示で変動演出が実行されていても、枠画像W1の表示色に注目させて、当選期待度を分かり易く示すことが可能である。言い換えれば、簡易表示にて実行される変動演出は、簡易な演出態様であるため目立たないようになっているが、その反面SPリーチやSPSPリーチのように当選期待度が遊技者に示されなくなって、遊技興趣が低下してしまう。そこで簡易表示で実行される変動演出であっても、遊技者には枠画像W1の表示色の変化を期待させて、遊技興趣の低化を防ぐことが可能である。 ・・・ 【0392】 その結果、図78(A)に示すように、全画面表示で変動演出が実行される。つまり、変動演出の画像のみが表示画面7aの全域で表示される。要するに、RTC演出の実行中ではないときに変動演出が開始されれば、勿論その変動演出は全画面表示で実行される。・・・」 「【図78】 」 ここで、【図78】(A)において、全画面表示で変動演出が実行される場合に、当該変動演出に係る画像の周囲に沿う枠画像は表示されないことが看取される。 3 引用文献3について 当審拒絶理由にて引用文献3として引用され、本願の出願前に頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017−35634号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。 「【0125】 シェイク演出は、画像表示部104における所定の第1表示領域に所定の演出画像Jを表示させる状態(以下、第1表示状態と称する)から、画像表示部104における所定の第2表示領域に当該演出画像Jを表示させる状態(以下、第2表示状態と称する)へと、当該演出画像Jの表示領域を変更する演出を含む。ここで、第2表示領域は第1表示領域よりも小さい。・・・ ・・・ 【0128】 ・・・第1表示領域は、画像表示部104の全表示領域WIRの全部又は一部であるが、以下では、特に記述無き限り、第1表示領域は画像表示部104の全表示領域WIRと一致していると考える。・・・ ・・・ 【0140】 図13〜図18を参照した、ここまでの説明では意識しなかったが、演出制御部403は、第2表示状態において第2表示領域に演出画像Jを表示させる際、演出画像Jの外縁に沿った枠画像を所定の表示態様で画像表示部104に表示させることが可能である(換言すれば、所定の表示態様による枠画像を演出画像Jに付加して画像表示部104に表示させることが可能である)。 【0141】 図19(a)に、枠画像の存在を意識した、第2表示状態における画像表示部104の表示内容例を示す。図19(a)では、台形を形作る太線が枠画像を表している。図19(b)には、第2表示領域に表示されるべき演出画像Jと、枠画像とが分離して示されている。第2表示領域に表示されるべき図19(b)の演出画像Jと、図19(b)の枠画像とを合成した画像が、第2表示状態において表示されることになる。枠画像は演出画像Jの外縁に沿った画像であるため、第2表示状態において、枠画像は、第2表示領域と、全表示領域WIRの内の第2表示領域以外の表示領域と、の境界に表示される。 【0142】 第1表示状態において遊技者による枠画像の視認が不能となるように遊技機100が構成される。つまり例えば、演出制御部403は、第1表示状態において枠画像を画像表示部104に表示させない。或いは例えば、演出制御部403は、第1表示状態において、演出画像Jの外縁に沿った枠画像を所定の表示態様で画像表示部104に表示させても良いが、この際、第1表示状態における枠画像の表示位置と遊技者の視点(遊技者の視点が存在する位置として予め定められた仮想視点)との間に、遊技者の視線を遮る不透明部材が配置されており、結果、第1表示状態において遊技者による枠画像の視認は不能とされる。 ・・・ 【0153】 ・・・換言すれば、第1表示態様での枠画像(ここでは青色の枠画像)を用いたシェイク演出と、第2表示態様での枠画像(ここでは赤色の枠画像)を用いたシェイク演出とを比較した場合、後者のシェイク演出が示唆する大当たりの期待度(RL[2])は、前者のそれ(RL[1])よりも高い。」 4 周知技術の認定 前記2及び3より、当選期待度が、表示領域の全体に演出用画像が表示された状態では表示されないが、前記表示領域の全体に前記演出用画像が表示された状態よりも小さい所定の大きさで前記演出用画像が表示された状態では表示される画像であって、前記演出用画像の周囲に沿う枠画像の色により示唆される技術は、遊技機の技術分野において周知であるものと認められる。 第6 対比・判断 1 対比 (1)本願発明と引用発明との対比 本願発明と引用発明を対比する。 ア 本願発明の構成Aについて 引用発明の「表示部7a」は、本願発明の「表示領域」に相当し、引用発明の「画像表示装置7」は、本願発明の「表示装置」に相当する。 よって、引用発明は、本願発明の構成Aに相当する構成を備える。 イ 本願発明の構成Bについて 引用発明の「特図変動演出」は、本願発明の「第一演出」に相当し、引用発明の「特図変動演出」において「表示部7a」に表示される「所定の背景画像」及び「演出図柄」は、本願発明の「第一演出用画像」に相当する。また、引用発明の「ファーストチャレンジ演出」は、本願発明の「第二演出」に相当し、引用発明の「ファーストチャレンジ演出」において「表示部7a」に表示される「ファーストチャレンジ用背景画像G112」、「ファーストチャレンジ内容説明画像G12」、及び「主人公キャラクタ「ロゴ」」の「表示」は、本願発明の「第二演出用画像」に相当する。 また、引用発明の「表示部7aにて画像による特図変動演出」と、「ファーストチャレンジ演出を行」う「画像制御基板100」は、本願発明の「前記表示領域に第一演出用画像を表示する第一演出および第二演出用画像を表示する第二演出を実行する演出実行手段」に相当する。 よって、引用発明は、本願発明の構成Bに相当する構成を備える。 ウ 本願発明の構成Cについて 引用発明の「特図変動演出」として、「表示部7aの全体において、所定の背景画像に重畳的に、演出図柄の可変表示が行われ」る状態は、本願発明の「前記第一演出」における「前記表示領域の全体に前記第一演出用画像が表示された第一状態」に相当し、引用発明の「特図変動演出」が「縮小画面画像G10で」「行われており、」「縮小画面画像G10の縮小がタイトル画像G9のほぼ全体が現れる程度まで進ん」だ状態は、本願発明の「前記第一演出」における「当該第一状態よりも小さい所定の大きさで前記第一演出用画像が表示された第二状態」に相当する。そして、引用発明の「特図変動演出」として、「表示部7aの全体において、所定の背景画像に重畳的に、演出図柄の可変表示が行われ」る状態から、「特図変動演出」が「縮小画面画像G10で」「行われており、」「縮小画面画像G10の縮小がタイトル画像G9のほぼ全体が現れる程度まで進ん」だ状態となることは、本願発明の「前記第一演出は、前記表示領域の全体に前記第一演出用画像が表示された第一状態から当該第一状態よりも小さい所定の大きさで前記第一演出用画像が表示された第二状態に推移する」ことに相当する。 よって、引用発明は、本願発明の構成Cに相当する構成を備える。 エ 本願発明の構成Dについて 引用発明は、「縮小画面画像G10が表示され、縮小画面画像G10では特図変動演出が行われており、縮小画面画像G10が左下隅に吸い寄せられるように移動しながら縮小され、縮小画面画像G10の縮小がタイトル画像G9のほぼ全体が現れる程度まで進んで、タイトル画像G9の縁取られた内側が赤色で塗りつぶされるようにVへの挑戦演出実行報知画像G11が表示され、Vへの挑戦演出前半の実行が確定し、Vへの挑戦演出前半のファーストチャレンジ演出に突入」するものであるところ、「特図変動演出が行われて」いる「縮小画面画像G10の縮小がタイトル画像G9のほぼ全体が現れる程度まで進んで、」「Vへの挑戦演出前半の実行が確定し、」「ファーストチャレンジ演出に突入」するのであるから、「ファーストチャレンジ演出」(第二演出)の開始は、「特図変動演出」(第一演出)「が行われて」いる「縮小画面画像G10の縮小がタイトル画像G9のほぼ全体が現れる程度まで進ん」だ状態(第二状態)となった後であることが明らかであり、引用発明は、本願発明の「前記第二演出は、前記第一演出が第二状態となった後開始される演出であって、」に相当する構成を備える。 また、引用発明は、「ファーストチャレンジ用背景画像G112、ファーストチャレンジ内容説明画像G12、及び主人公キャラクタ「ロゴ」の表示は、表示部7aの縮小画面画像G10が表示されている領域以外の領域にて表示が行われ」るから、「ファーストチャレンジ用背景画像G112、ファーストチャレンジ内容説明画像G12、及び主人公キャラクタ「ロゴ」の表示」(第二演出用画像)は、本願発明の「前記表示領域における前記第一演出用画像が小さく表示された状態となることによって生じた領域」に相当する領域にて表示が行われる。また、「ファーストチャレンジ用背景画像G112、ファーストチャレンジ内容説明画像G12、及び主人公キャラクタ「ロゴ」の表示」(第二演出用画像)は、「ファーストチャレンジ演出に突入」して表示されるものであるから、「表示部7aの全体において」「所定の背景画像」が表示されている状態(第一状態)においては表示されない。してみると、引用発明は、本願発明の「前記表示領域における前記第一演出用画像が小さく表示された状態となることによって生じた領域の少なくとも一部に前記第一状態においては表示されていなかった前記第二演出用画像が表示される」に相当する構成を備える。 よって、引用発明は、本願発明の構成Dに相当する構成を備える。 オ 本願発明の構成Eについて 引用発明の「縮小画面画像G10がその表示の大きさを維持したまま」は、本願発明の「前記第一演出用画像が前記所定の大きさで表示されたまま」に相当し、引用発明の「最初の挑戦に成功する場合」の「ファーストチャレンジ用背景画像G112における主人公キャラクタ「ロゴ」が変身し」た画像は、本願発明の「遊技者に有利な成功結末」に相当し、引用発明の「最初の挑戦に失敗する場合」の「ファーストチャレンジ用背景画像G112における主人公キャラクタ「ロゴ」が変身することな」い画像は、本願発明の「当該成功結末に至らなかった場合の結末である失敗結末」に相当する。 よって、引用発明は、本願発明の構成Eに相当する構成を備える。 カ 本願発明の構成Gについて 引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。 よって、引用発明は、本願発明の構成Gに相当する構成を備える。 (2)本願発明と引用発明との一致点及び相違点 前記(1)における検討を踏まえると、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 ア 一致点 「【請求項1】 A 表示領域を有する表示装置と、 B 前記表示領域に第一演出用画像を表示する第一演出および第二演出用画像を表示する第二演出を実行する演出実行手段と、 を備え、 C 前記第一演出は、前記表示領域の全体に前記第一演出用画像が表示された第一状態から当該第一状態よりも小さい所定の大きさで前記第一演出用画像が表示された第二状態に推移するものであり、 D 前記第二演出は、前記第一演出が第二状態となった後開始される演出であって、前記表示領域における前記第一演出用画像が小さく表示された状態となることによって生じた領域の少なくとも一部に前記第一状態においては表示されていなかった前記第二演出用画像が表示されるものであり、 E 前記第二演出は、前記第一演出用画像が前記所定の大きさで表示されたまま遊技者に有利な成功結末または当該成功結末に至らなかった場合の結末である失敗結末に至るものである G 遊技機。」 イ 相違点(構成Fに関して) 本願発明は「前記第二演出が前記成功結末に至る蓋然性が、前記第一状態では表示されないが前記第二状態では表示される画像であって前記第一演出用画像の周囲に沿う枠画像の態様により示唆される」ものであるのに対し、引用発明は「ファーストチャレンジ内容説明画像G12の色は、最初の挑戦に成功することの期待度、換言すると、当たり図柄Aの普図変動表示であることの期待度(ロング開放補助遊技の実行に対する期待度)を示唆する」ものであるが、「表示部7aの全体の周囲には表示されないが、縮小画面画像G10の上端及び右端に沿って表示される線状の画像」は、縮小画面画像G10の周囲に沿う枠画像ではなく、また、「最初の挑戦に成功することの期待度、換言すると、当たり図柄Aの普図変動表示であることの期待度(ロング開放補助遊技の実行に対する期待度)を示唆」していない点。 2 判断 前記相違点について検討する。 前記第5の4で述べたとおり、「当選期待度が、表示領域の全体に演出用画像が表示された状態では表示されないが、前記表示領域の全体に前記演出用画像が表示された状態よりも小さい所定の大きさで前記演出用画像が表示された状態では表示される画像であって、前記演出用画像の周囲に沿う枠画像の色により示唆される技術」は周知技術である。 ここで、引用発明及び周知技術は、いずれも遊技機における表示装置に表示される画像より当選期待度を示唆するものである点で技術分野の関連性、及び作用、機能の共通性が認められる。 してみると、引用発明に周知技術を適用して、縮小画面画像G10の上端及び右端に沿って表示される線状の画像に代えて、縮小画面画像G10の周囲に沿う枠画像を表示し、当該枠画像の色により、当選期待度を示唆することは、当業者であれば容易になし得ることである。 しかしながら、本願発明は「前記第二演出が前記成功結末に至る蓋然性が、前記第一状態では表示されないが前記第二状態では表示される画像であって前記第一演出用画像の周囲に沿う枠画像の態様により示唆される」ものであって、枠画像の外側に表示される第二演出が成功結末に至る蓋然性が、当該枠画像の態様により示唆されるものであるところ、引用文献1〜3には、枠画像の外側の表示演出に係る期待度を当該枠画像の態様により示唆することは、記載も示唆もされていない。 よって、引用発明及び周知技術に基づいて、縮小画面画像G10の周囲に沿う枠画像の色により、当該枠画像の外側の表示演出である最初の挑戦に成功することの期待度、換言すると、当たり図柄Aの普図変動表示であることの期待度(ロング開放補助遊技の実行に対する期待度)を示唆することは、当業者といえども容易想到ではない。 したがって、本願発明は、当業者であっても、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものではない。 第7 当審及び原査定の拒絶理由についての判断 前記第6の2での検討のとおり、当審拒絶理由で引用した引用文献1〜3には、前記相違点に係る構成(構成F)について記載されておらず、本願発明は、引用文献1〜3に基づいて当業者が容易に発明できたものでない。 また、原査定で引用された各引用文献にも、少なくとも、前記相違点に係る構成(構成F)について記載されておらず、同様にして、本願発明は、引用文献A〜Cに基づいて当業者が容易に発明できたものでない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、本願については、当審及び原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2024-04-08 |
出願番号 | P2018-128037 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(A63F)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
小林 俊久 |
特許庁審判官 |
阿部 知 ▲高▼橋 祐介 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 弁理士法人上野特許事務所 |