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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F |
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管理番号 | 1410860 |
総通号数 | 30 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2024-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-02-13 |
確定日 | 2024-05-09 |
事件の表示 | 特願2017−248573「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和1年7月11日出願公開、特開2019−111244〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成29年12月26日に出願した特許出願(特願2017−248573)であって、本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和 3年10月20日付け:拒絶理由通知書 12月14日 :意見書、手続補正書の提出 令和 4年 3月23日付け:拒絶理由通知書(最後) 5月19日 :意見書、手続補正書の提出 8月 1日付け:令和4年5月19日にされた手続補正に ついての補正の却下の決定 同日付け:拒絶理由通知書(最後) 10月 4日 :意見書、手続補正書の提出 12月19日付け:令和4年10月4日にされた手続補正に ついての補正の却下の決定 同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 同月27日 :原査定の謄本の送達 令和 5年 2月13日 :審判請求書、手続補正書の提出 11月 1日付け:拒絶理由通知書(以下「当審拒絶理由」 という。) 12月14日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明は、令和5年12月14日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認められ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである(符号A等は、本願発明を分説するために当審合議体が付与した。以下、符号A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。 「【請求項1】 A 当否抽選の当選態様として、獲得できる遊技球の期待値が所定数以上である大当たりと、遊技球を獲得することができないまたは困難な小当たりとが設定され、当否抽選の結果が表示装置に表示される識別図柄の組み合わせにより示される遊技機であって、 B 当否抽選の結果が大当たりであることを報知する結末、および、はずれであることを報知する結末に至る可能性がある第一報知演出と、 C 前記第一報知演出が結末に至るよりも前の段階で所定演出が発生した場合に当該所定演出の終了後に開始されることがある演出であって、当否抽選の結果が小当たりであることを報知する結末に至る可能性があるが、はずれであることを報知する結末に至る可能性はない第二報知演出と、 D 前記第一報知演出が結末に至るよりも前の段階で所定演出が発生した場合に当該所定演出の終了後に開始されることがある演出であって、当否抽選の結果が大当たりであることを報知する結末、および、はずれであることを報知する結末に至る可能性がある第三報知演出と、 E を実行することが可能な演出実行手段を備え、 F 前記第二報知演出および前記第三報知演出のいずれが実行される場合であっても、前記所定演出の終了時点においては、当否抽選の結果に応じた前記識別図柄の組み合わせが示されないことを特徴とする G 遊技機。」 第3 当審拒絶理由の概要 令和5年11月1日付けの当審拒絶理由は、概略、次の理由を含んでいる。 「1(新規性) この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 ●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について ・請求項 1 ・引用文献 2 本願発明は、引用文献2に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 また、本願発明は、引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 2 特開2016−171822号公報 第4 引用文献2について 1 引用文献2の記載事項、認定事項 当審拒絶理由に引用文献2として引用された、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016−171822号公報(平成28年9月29日公開。以下「引用文献2」という。)には、「遊技機」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。以下同様。)。 (1) 記載事項 ア 「【0016】 図1に示すように、パチンコ遊技機1には、遊技場の島構造に取り付けられる外枠2に開閉枠3(内枠3)が開閉自在に装着され、開閉枠3に開閉扉4が開閉自在に装着されている。開閉扉4に窓4aが形成され、その窓4aに透明板4bが装着されている。」 イ 「【0041】 図柄判定手段43bは、具体的に、大当り判定手段43aにより大当り遊技を行うと判定された場合、複数の大当り図柄(図5に示す大当り図柄A〜I,a,b)の何れかを判定図柄として選択し、小当り遊技を行うと判定された場合、小当り図柄を判定図柄として選択し、特別遊技(大当り遊技、小当り遊技)を行わないと判定された場合、ハズレ図柄を判定図柄として選択する。大当り図柄の選択について、当該特別図柄情報が第1特別図柄情報である場合は、図5に示す第1図柄選択テーブルにより規定される選択率で図柄選択を行い、当該特別図柄情報が第2特別図柄情報である場合は、図5に示す第2図柄選択テーブルにより規定される選択率で図柄選択を行う。」 ウ 「【0045】 大当り判定手段43aにより大当り遊技を行うと判定された場合には、図柄判定手段43bにより選択された大当り図柄A〜I,a,bの何れかを判定図柄として停止表示させ、小当り遊技を行うと判定された場合には、小当り図柄を判定図柄として停止表示させ、特別遊技(大当り遊技、小当り遊技)を行わないと判定された場合には、ハズレ図柄を判定図柄として停止表示させる。 【0046】 特別遊技実行手段45は、大当り判定手段43aにより特別遊技(大当り遊技、小当り遊技)を行うと判定された場合、特別図柄表示制御手段44により当該判定結果を示す判定図柄、つまり図柄判定手段43bにより選択された判定図柄(大当り図柄A〜I,a,b、小当り図柄の何れか)が停止表示された後、その判定図柄に応じた開放パターンで第1,第2大入賞口14a,15aの何れかを開放する遊技者に有利な特別遊技(大当り遊技、小当り遊技)を行う。」 エ 「【0072】 演出制御手段70は、図柄変動演出制御手段71、特別遊技演出制御手段72、保留演出制御手段73、先読み演出制御手段74を備え、遊技情報出力手段61により出力された遊技情報に基づいて、特別図柄が変動表示されているとき、及び特別遊技が行われているときに、演出手段80(画像表示器21、第1,第2可動役物22,23、スピーカ37、枠ランプ38a、盤ランプ38b)に演出を行わせる。 【0073】 図柄変動演出制御手段71は、画像表示器21に表示される画像(動画)、及びその画像に合わせてスピーカ37から出力される音声等により、特別図柄表示制御手段44により特別図柄が変動表示されているときに、当該特別図柄の変動開始時に受けた第1又は第2特別図柄変動開始コマンド、即ち特別図柄情報判定手段43による判定結果に基づいて、当該特別図柄の変動パターン(変動パターン判定手段43dにより決定された変動パターン)に対応する図柄変動演出を、複数の図柄変動演出(図13(a)に示す図柄変動演出1,2,3・・・n)の中から選択して行わせる。 【0074】 図14に示すように、図柄変動演出では、基本的に、画像表示器21に、(1)3組の演出図柄列17aが変動開始した後、先ず、(2)左側の演出図柄17a-1として「X」が変動停止し、次に、(3)右側の演出図柄17a-2として「Y」が変動停止し、最後に、(4)中央の演出図柄17a-3として「Z」が変動停止するように表示され、これら3つの停止図柄列「XZY」が確定表示されて、大当り判定手段43a、図柄判定手段43bによる判定結果を示す組み合わせ表示態様になる。 (中略) 【0078】 さて、図柄変動演出では、具体的に、図16に示すように、(1)3組の演出図柄列17aが変動開始した後、(2)左側の演出図柄「7」が変動停止し、(3)右側の演出図柄「1」が変動停止し、これら演出図柄「7」「1」が揃わない非リーチ状態になり、その後、(4)中央の演出図柄「6」が変動停止し、「761」となるハズレ停止図柄列が確定表示され、一連の「Nハズレ演出」が行われたことになって、「ハズレ」となる当該判定結果が報知される。尚、「N」はノーマルを意味する。 【0079】 或いは、図16に示すように、(5)右側の演出図柄「7」が変動停止し、これら演出図柄「7」「7」が揃うリーチ状態になって「リーチ演出」が開始され、その「リーチ演出」において発展演出に移行しない「ノーマルリーチ演出」が行われてから、(6)中央の演出図柄「6」が変動停止し、「767」となるハズレ停止図柄列が確定表示され、一連の「NRハズレ演出」が行われたことになって、「ハズレ」となる当該判定結果が報知される。尚、「NR」はノーマルリーチを意味する。 【0080】 一方、図16に示すように、(7)中央の演出図柄「7」が変動停止し、「777」となる当り停止図柄列が確定表示され、一連の「NR当り演出」が行われたことになって、第1大入賞口14aが16R長期開放する「確変大当り」(以下、「16R確変大当り」と記す)、又は4 R長期開放する「確変大当り」(以下、「4 R確変大当り」と記す)となる当該判定結果が報知される。 【0081】 或いは、図16に示すように、(5)右側の演出図柄「7」が変動停止し、これら演出図柄「7」「7」が揃うリーチ状態になって「リーチ演出」が開始された後、図17に示すように、その「リーチ演出」において、(1)演出図柄「7」「7」が画面隅側へ移動し縮小表示され、(2)発展演出である「SPリーチ演出」が行われる。尚、「SP」はスペシャルを意味し、「SPリーチ演出」は、基本的に、「ノーマルリーチ演出」よりも大当り期待度が高い演出である。」 オ 「【0083】 ここで、図17に示すように、「SPリーチ演出」の終了により、(3)中央の演出図柄「6」が変動停止し、「767」となるハズレ停止図柄列が仮停止表示された(上下に多少揺れている)状態から、後述の「緊急扉閉鎖煽り演出」又は「RUSH煽り演出」へ移行する場合がある。 【0084】 「緊急扉閉鎖煽り演出」が行われると、その後、(3)「767」となるハズレ停止図柄列が確定表示され、一連の「SP⇒特殊前兆ハズレ演出」又は「SP⇒特殊ハズレ演出」が行われたことになって、「ハズレ」となる当該判定結果が報知され、(5)「7★7」となる当り停止図柄列が確定表示され、一連の「SP⇒特殊当り演出」が行われたことになって、第1大入賞口14aが2 R長期開放する「確変大当り」(以下、「2 R確変大当り」と記す)、又は2 R短期開放する「突潜大当り」(以下、「2 R突潜大当り」と記す)、又は4 R長期開放する「時短大当り」(以下、「4 R時短大当り」と記す) 、又は2 R短期開放する「小当り」(以下、「2 R小当り」と記す) となる当該判定結果が報知される。 【0085】 「RUSH煽り演出」が行われると、その後、(3)「767」となるハズレ停止図柄列が確定表示され、一連の「SP(煽り)ハズレ演出」が行われたことになって、「ハズレ」となる当該判定結果が報知され、(5)「7★7」となる当り停止図柄列が確定表示され、一連の「SP(煽り)当り演出」が行われたことになって、第1大入賞口14aが2 R短期開放する「突確大当り」(以下、「2 R突確大当り」と記す)、又は、第2大入賞口15aが16R長期開放、又は10R長期6 R短期開放、又は7 R長期9 R短期開放、又は4 R長期12R短期開放する「RUSH確変大当り」となる当該判定結果が報知される。 【0086】 或いは、図16に示すように、(1)3組の演出図柄列17aが変動開始した後、(8)左側の演出図柄「E」が変動停止し、(9)右側の演出図柄「R」が変動停止し、その後、(10)中央の演出図柄「6」が変動停止し、「E6R」となるハズレ停止図柄列が確定表示され、一連の「Nハズレ演出」が行われたことになって、「ハズレ」となる当該判定結果が報知され、(10)中央の演出図柄「E」が変動停止し、「EMR」となる特殊停止図柄列が仮停止表示された状態から、後述の「緊急ボタン演出」へ移行する。 【0087】 「緊急ボタン演出」が行われると、その後、(10)「E6R」となるハズレ停止図柄列が確定表示され、一連の「特殊ハズレ演出」が行われたことになって、「ハズレ」となる当該判定結果が報知され、図17に示すように、(5)「7★7」となる当り停止図柄列が確定表示され、一連の「特殊当り演出」が行われたことになって、「2 R確変大当り」又は「2 R突潜大当り」又は「4 R時短大当り」又は「2 R小当り」となる当該判定結果が報知される。 【0088】 或いは、図17に示すように、(2)「SPリーチ演出」が行われた後、続いて、(6)発展演出である「SP・SPリーチ演出」が行われる。尚、「SP・SPリーチ演出」は、基本的に、「SPリーチ演出」よりも大当り期待度が高い演出である。 【0089】 図17に示すように、「SP・SPリーチ演出」では、大当り期待度が異なる複数の演出動画の何れかが画像表示器21に表示され、その後、「SP・SPリーチ演出」の終了により、(7)中央の演出図柄「6」が変動停止し、「767」となるハズレ停止図柄列が確定表示され、一連の「SP⇒SP・SPハズレ演出」が行われたことになって、「ハズレ」となる当該判定結果が報知され、(8)中央の演出図柄「7」が変動停止し、「777」となる当り停止図柄列が確定表示され、一連の「SP⇒SP・SP当り演出」が行われたことになって、「16R確変大当り」又は「4 R確変大当り」となる当該判定結果が報知される。 (中略) 【0096】 先ず、図20に示すように、「リーチ演出」について、(1)「SPリーチ演出」が開始されると、次に、(2)「ルート分岐演出」が行われる。(2)「ルート分岐演出」では、例えば、味方(例えば、本機種の主人公となるキャラクタ)と敵(例えば、本機種の悪役となるキャラクタ)が戦う演出であって、その後、味方が敵の攻撃を回避するか否かの回避ルートとなる「第1ルート演出」へ移行するか、或いは、味方が変身するか否かの変身ルートとなる「第2ルート演出」へ移行するかを示唆する演出が行われる。 【0097】 「SPリーチ演出」において、(2)「ルート分岐演出」が行われた後、「第1ルート演出」が行われると、その「第1ルート演出」において、先ず、(10)回避ルートに移行したことを示す「回避ルート移行演出」が行われ、次に、(11)回避ルートが進行するか否かを煽る「回避ルート進行煽り演出」が行われ、その後、(12)「回避ルート終了演出」又は(13)「回避煽り演出」が行われる。(12)「回避ルート終了演出」が行われると、図17(3)のように、「767」となるハズレ停止図柄列が確定表示されて、一連の「SPハズレ演出」が行われたことになって、「ハズレ」になる。 【0098】 (13)「回避煽り演出」では、味方が敵の攻撃を回避するか否かを煽る演出が行われ、その後、(14)攻撃を回避できた「回避成功演出」、又は、(15)攻撃を回避できなかった「回避失敗演出」が行われる。(14)「回避成功演出」が行われると、その後、例えば、図17(4)のように、「777」となる当り停止図柄列が確定表示されて、一連の「SP当り演出」が行われたことになって、「4 R確変大当り」又は「16R確変大当り」になり、その大当り後、「確変モード」(「確変遊技状態」)になる。(15)「回避失敗演出」が行われると、その後、(16)「変身演出」が行われる、又は、(17)「通常画面に戻る」(複数の演出図柄が仮停止表示された状態で元の状態(サイズ)に戻る)、又は、(18)「RUSH煽り演出」が行われる。尚、(12)「回避ルート終了演出」が行われた後、(16)「変身演出」が行われる、又は、(17)「通常画面に戻る」、又は、(18)「RUSH煽り演出」が行われるようにしてもよい。 【0099】 (16)「変身演出」では、第1可動役物22が作動して味方が変身する演出が行われ、その後、(19)変身した味方と敵が戦う「第1SP・SPリーチ演出」(バトル演出)が行われ、そこで、味方が敗北すると、図17(7)のように、「767」となるハズレ停止図柄列が確定表示されて、一連の「SP⇒SP・SPハズレ演出」が行われたことになって、「ハズレ」になり、味方が勝利すると、図17(8)のように、「777」となる当り停止図柄列が確定表示されて、一連の「SP⇒SP・SP当り演出」が行われたことになって、「4 R確変大当り」又は「16R確変大当り」になり、その大当り後、「確変モード」(「確変遊技状態」)になる。 【0100】 (17)「通常画面に戻る」と、次に、図17(3)のように、「767」となるハズレ停止図柄列が確定表示されて、一連の「SPハズレ演出」が行われたことになって、「ハズレ」になり、又は、「767」となるハズレ停止図柄列が仮停止表示された状態から、「緊急扉閉鎖煽り演出」(図21に示す「特殊前兆演出」)が行われる。 【0101】 (18)「RUSH煽り演出」では、「RUSH確変大当り」又は「2 R突確大当り」になるか否かを煽る演出が行われ、その後、(20)「RUSH失敗演出」が行われると、図17(7)のように、「767」となるハズレ停止図柄列が確定表示されて、一連の「SPハズレ演出」が行われたことになって、「ハズレ」になり、又は、(21)第1可動役物22が作動して「RUSH成功演出」が行われると、図17(5)のように、「7★7」となる当り停止図柄列が確定表示されて、一連の「SP当り演出」が行われたことになって、「RUSH確変大当り」又は「2 R突確大当り」になり、その大当り後、「確変モード」(「確変遊技状態」)になる。 【0102】 一方、「SPリーチ演出」において、(2)「ルート分岐演出」が行われた後、「第2ルート演出」が行われると、その「第2ルート演出」において、先ず、(30)変身ルートに移行したことを示す「変身ルート移行演出」が行われ、次に、(31)味方が変身するか否かを煽る「変身煽り演出」が行われ、その後、(32)第1可動役物22が作動して変身できた「変身成功演出」、又は、(33)変身できなかった「変身失敗演出」が行われる。 【0103】 (32)「変身成功演出」が行われると、その後、(34)変身した味方と敵が戦う「第2SP・SPリーチ演出」(バトル演出)が行われ、そこで、味方が敗北すると、図17(7)のように、「767」となるハズレ停止図柄列が確定表示されて、一連の「SP⇒SP・SPハズレ演出」が行われたことになって、「ハズレ」になり、味方が勝利すると、図17(8)のように、「777」となる当り停止図柄列が確定表示されて、一連の「SP⇒SP・SP当り演出」が行われたことになって、「4 R確変大当り」又は「16R確変大当り」になり、その大当り後、「確変モード」(「確変遊技状態」)になる。 【0104】 (33)「変身失敗演出」が行われると、その後、(35)「通常画面に戻る」(複数の演出図柄が仮停止表示された状態で元の状態(サイズ)に戻る)、又は、(36)「RUSH煽り演出」が行われる。(35)「通常画面に戻る」と、次に、図17(3)のように、「767」となるハズレ停止図柄列が確定表示されて、一連の「SPハズレ演出」が行われたことになって、「ハズレ」になり、又は、「767」となるハズレ停止図柄列が仮停止表示された状態から、「緊急扉閉鎖煽り演出」(図21に示す「特殊前兆演出」)が行われる。 【0105】 (36)「RUSH煽り演出」では、「RUSH確変大当り」又は「2 R突確大当り」になるか否かを煽る演出が行われ、その後、(37)「RUSH失敗演出」が行われると、図17(7)のように、「767」となるハズレ停止図柄列が確定表示されて、一連の「SPハズレ演出」が行われたことになって、「ハズレ」になり、又は、(38)第1可動役物22が作動して「RUSH成功演出」が行われると、図17(5)のように、「7★7」となる当り停止図柄列が確定表示されて、一連の「SP当り演出」が行われたことになって、「RUSH確変大当り」又は「2 R突確大当り」になり、その大当り後、「確変モード」(「確変遊技状態」)になる。 【0106】 次に、図21に示すように、図20に示す「SPリーチ演出」(「第1ルート演出」の(15)「回避失敗演出」又は「第2ルート演出」の(33)「変身失敗演出」)後に「特殊前兆演出」に移行すると、その「特殊前兆演出」において、先ず、(1)「緊急扉閉鎖煽り演出」が行われる。(1)「緊急扉閉鎖煽り演出」では、画像表示器21の表示上で緊急扉が閉鎖するか否かを煽る演出が行われ、その後、(2)緊急扉が閉鎖しなかった「緊急扉閉鎖失敗演出」、又は、(3)緊急扉が閉鎖した「緊急扉閉鎖成功演出」が行われる。 【0107】 (1)「緊急扉閉鎖煽り演出」が行われて、(2)「緊急扉閉鎖失敗演出」が行われると、その後、図17(3)のように、「767」となるハズレ停止図柄列が確定表示されて、一連の「SP⇒特殊前兆ハズレ演出」が行われたことになって、「ハズレ」になり、(3)「緊急扉閉鎖成功演出」が行われると、次に、「緊急ボタン演出」(図22に示す「特殊演出」)が行われる。 【0108】 次に、図22に示すように、図16(10)のように、「EMR」となる特殊停止図柄列が仮停止表示された状態から、又は、図20に示す「SPリーチ演出」→図21(3)の「緊急扉閉鎖成功演出」後に「特殊演出」に移行すると、その「特殊演出」において、先ず、(1)「緊急扉ボタン演出」が行われる。(1)「緊急扉ボタン演出」では、操作有効期間が設定されるとともに、その操作有効期間において、画像表示器21に、閉鎖した緊急扉と共に、遊技者に操作を促す演出ボタンと操作有効期間の経過を示すゲージが表示される。 【0109】 (1)「緊急ボタン演出」が行われて、(2)操作有効期間内に演出ボタンSW7が押されると、又は、(3)演出ボタンSW7が押されることなく有効期間が経過すると、(4)緊急扉が開放しなかった「緊急扉未開放演出」、又は、(5)緊急扉が開放した「緊急扉開放演出」が行われる。 【0110】 (4)「緊急扉未開放演出」が行われると、その後、図16(10)のように、「E6R」となるハズレ停止図柄列が確定表示されて、又は、図17(3)のように、「767」となるハズレ停止図柄列が確定表示されて、一連の「特殊ハズレ演出」又は「SP⇒特殊ハズレ演出)が行われたことになって、「ハズレ」になる。 【0111】 (5)「緊急扉開放演出」が行われると、次に、(6)「緊急演出分岐演出」が行われ、その後、(7)「高確示唆演出モード導入演出」、又は、(13)第2可動役物23が作動して「時短大当り導入演出」が行われる。(13)「時短大当り導入演出」が行われると、その後、図17(5)のように、「7★7」となる当り停止図柄列が確定表示されて、一連の「特殊当り演出」又は「SP⇒特殊当り演出」が行われたことになって、「4 R時短大当り」になり、その大当り後、「時短モード」(「時短遊技状態」)になる。 【0112】 (7)「高確示唆演出モード導入演出」が行われると、次に、(8)「導入演出分岐ボタン演出」が行われ、ここで、操作有効期間が設定されるとともに、その操作有効期間において、画像表示器21に、遊技者に操作を促す演出ボタンと操作有効期間の経過を示すゲージが表示される。 【0113】 (8)「導入演出分岐ボタン演出」が行われて、(9)操作有効期間内に演出ボタンSW7が押されると、又は、(10)演出ボタンSW7が押されることなく有効期間が経過すると、(11)「潜確示唆モード導入演出」、又は、(12)第1可動役物22が作動して「確変モード導入演出」が行われる。 【0114】 (11)「潜確示唆モード導入演出」が行われると、その後、図17(5)のように、「7★7」となる当り停止図柄列が確定表示されて、一連の「特殊当り演出」又は「SP⇒特殊当り演出」が行われたことになって、「2 R小当り」又は「2 R突潜大当り」になり、その小当り又は大当り後、「潜確示唆モード」(「通常遊技状態」又は「潜確遊技状態」)になり、(12)「確変モード導入演出」が行われると、その後、図17(5)のように、「7★7」となる当り停止図柄列が確定表示されて、一連の「特殊当り演出」又は「SP⇒特殊当り演出」が行われたことになって、「2 R確変大当り」になり、その大当り後、「確変モード」(「確変遊技状態」)になる。」 カ 「【0126】 また、4 R分(約500 個)以上の遊技球を獲得できる「16R確変大当り」「4 R確変大当り」が第1の特別遊技に相当し、4 R分の遊技球を獲得できない「2 R確変大当り」「2 R突潜大当り」「2 R小当り」が第2の特別遊技に相当し、4 R分の遊技球を獲得できる「4 R時短大当り」が第3の特別遊技に相当する。 (中略) 【0153】 大当り遊技では、その大当り遊技の開始にあたって変動停止した大当り図柄の種類によって、第1大入賞口14aが16R長期開放、4 R長期開放、2 R長期開放、2 R短期開放の何れかがで開放され、或いは、第2大入賞口15aが、16R長期開放、10R長期6 R短期開放、7 R長期9 R短期開放、4 R長期12R短期開放の何れで開放され、小当り遊技では、第1大入賞口14aが2 R短期開放で開放される。 【0154】 「右打ち」により、第1大入賞口14aが開放する特別遊技において、16R長期開放では、例えば約2000個の遊技球を獲得でき、4 R長期開放では、例えば約500 個の遊技球を獲得でき、2 R長期開放では、例えば約250 個の遊技球を獲得でき、2 R短期開放では、遊技球を実質獲得できない。また、第2大入賞口15aが開放する特別遊技において、16R長期開放では、例えば約2000個の遊技球を獲得でき、10R長期6 R短期開放では、例えば約1250個の遊技球を獲得でき、7 R長期9 R短期開放では、例えば約875 個の遊技球を獲得でき、4 R長期12R短期開放では、例えば約500 個の遊技球を獲得できる。」 キ 【図20】 「 」 ク 【図21】 「 」 ケ 【図22】 「 」 (2) 認定事項 上記(1)オに摘記した【0083】〜【0114】の記載、上記(1)カに適記した【0126】の記載、及び上記(1)キ〜ケに示した【図20】〜【図22】の記載によれば、引用文献2には、「第1ルート演出」又は「第2ルート演出」で、「777」又は「7★7」となる当り停止図柄列が確定表示されて、「4R分(約500個)以上の遊技球を獲得できる」「4R確変大当り」及び「16R確変大当り」、4R分の遊技球を獲得できる「4R時短大当り」、「RUSH確変大当り」、又は、「2R短期開放する」「2R突確大当り」になる場合と、ハズレ停止図柄列が確定表示される場合があり(認定事項1)、また、「第1ルート演出」又は「第2ルート演出」で、「特殊前兆演出」に移行して、さらに「特殊演出」に移行して、「緊急扉ボタン演出」及び「緊急扉開放演出」が行われると、「7★7」となる当り停止図柄列が確定表示されて、「4R分の遊技球を獲得できる」「4R時短大当り」、「2R確変大当り」、又は、「2R短期開放する」、「2R小当り」もしくは「2R突潜大当り」になる場合があるが、ハズレにはならず(認定事項2)、さらに、「第1ルート演出」又は「第2ルート演出」で、「特殊前兆演出」に移行するが、「緊急扉閉鎖失敗演出」が行われて「特殊演出」に移行しない場合や、「特殊前兆演出」に移行し、「特殊演出」に移行し、さらに「緊急扉ボタン演出」が行われるが、「緊急扉未開放演出」が行われた場合には、ハズレ停止図柄列が確定表示される(認定事項3)ことが記載されていると認められる。 2 引用発明2 上記1(1)の記載事項及び上記1(2)の認定事項から、引用文献2には、以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる(a等の符号は、本願発明の分説に概ね対応させて当審合議体が付した。)。 (引用発明2) 「ae 大当り判定手段43aにより大当り遊技を行うと判定された場合、複数の大当り図柄の何れかを判定図柄として選択し、小当り遊技を行うと判定された場合、小当り図柄を判定図柄として選択し、大当り遊技、小当り遊技を行わないと判定された場合、ハズレ図柄を判定図柄として選択する図柄判定手段43b(【0041】)を備え、 大当り判定手段43aにより大当り遊技を行うと判定された場合には、図柄判定手段43bにより選択された大当り図柄を判定図柄として停止表示させ、小当り遊技を行うと判定された場合には、小当り図柄を判定図柄として停止表示させ、大当り遊技、小当り遊技を行わないと判定された場合には、ハズレ図柄を判定図柄として停止表示させ(【0045】)、 特別遊技実行手段45は、大当り判定手段43aにより大当り遊技、小当り遊技を行うと判定された場合、特別図柄表示制御手段44により当該判定結果を示す判定図柄、つまり図柄判定手段43bにより選択された判定図柄が停止表示された後、その判定図柄に応じた開放パターンで第1,第2大入賞口14a,15aの何れかを開放する遊技者に有利な大当り遊技、小当り遊技を行い(【0046】、 演出制御手段70が備える図柄変動演出制御手段71は、画像表示器21に表示される画像により、特別図柄表示制御手段44により特別図柄が変動表示されているときに、図柄変動演出を行わせ(【0072】〜【0073】)、図柄変動演出では、画像表示器21に、3組の演出図柄列17aが変動開始した後、先ず、左側の演出図柄が変動停止し、次に、右側の演出図柄が変動停止し、最後に、中央の演出図柄が変動停止するように表示され、これら3つの停止図柄列が確定表示されて、大当り判定手段43a、図柄判定手段43bによる判定結果を示す組み合わせ表示態様になる(【0074】)パチンコ遊技機1(【0016】)であって、 bcd 図柄変動演出で、3組の演出図柄列17aが変動開始した後、左側の演出図柄が変動停止し、右側の演出図柄が変動停止し、これら演出図柄が揃うリーチ状態になってリーチ演出が開始された後、そのリーチ演出において、ノーマルリーチ演出と、ノーマルリーチ演出よりも大当り期待度が高い発展演出であるSPリーチ演出が行われる(【0078】、【0081】)ことがあり、 ノーマルリーチ演出が行われてから、ハズレ停止図柄列が確定表示されることと、当り停止図柄列が確定表示されることがあり(【0079】、【0080】)、 SPリーチ演出が開始されると、次に、ルート分岐演出が行われ、ルート分岐演出では、第1ルート演出へ移行するか、或いは、第2ルート演出へ移行するかを示唆する演出が行われ(【0096】)、 第1ルート演出又は第2ルート演出で、「777」又は「7★7」となる当り停止図柄列が確定表示されて、4R分(約500個)以上の遊技球を獲得できる4R確変大当り及び16R確変大当り、4R分の遊技球を獲得できる4R時短大当り、RUSH確変大当り、又は2R短期開放する2R突確大当りになる場合と、ハズレ停止図柄列が確定表示される場合があり(認定事項1)、また、第1ルート演出又は第2ルート演出で、特殊前兆演出に移行して、さらに特殊演出に移行して、緊急扉ボタン演出及び緊急扉開放演出が行われると、「7★7」となる当り停止図柄列が確定表示されて、4R分の遊技球を獲得できる4R時短大当り、2R確変大当り、又は、2R短期開放する、2R小当りもしくは2R突潜大当りになる場合があるがハズレにはならず(認定事項2)、第1ルート演出又は第2ルート演出で、特殊前兆演出に移行するが、緊急扉閉鎖失敗演出が行われて特殊演出に移行しない場合や、特殊前兆演出に移行し、特殊演出に移行し、さらに緊急扉ボタン演出が行われるが、緊急扉未開放演出が行われた場合には、ハズレ停止図柄列が確定表示され(認定事項3)、2R短期開放する、2R小当りでは遊技球を実質獲得できない(【0084】、【0154】) g パチンコ遊技機1(【0016】)。」 第5 対比・判断 1 本願発明と引用発明2の対比 前記第2に示した本願発明と、前記第4の2に示した引用発明2とを対比する。 (1) 本願発明の特定事項A、特定事項Eについて 引用発明2のaeにおける、「大当り判定手段43aにより大当り遊技を行うと判定され」ること、同じく「小当り遊技を行うと判定され」ることは、それぞれ、本願発明の特定事項Aにおける、「当否抽選の当選態様」として「大当たり」が「設定され」ること、「当否抽選の当選態様」として「小当たり」が「設定され」ることに相当する。 そして、引用発明2のaeにおいて、「大当り遊技を行うと判定された場合には、図柄判定手段43bにより選択された大当り図柄を判定図柄として停止表示させ」、その「後」、「判定図柄に応じた開放パターンで第1,第2大入賞口14a,15aの何れかを開放する遊技者に有利な大当り遊技」「を行」うとされ、「大当り遊技」の「開放パターン」には、引用発明2のbcdに挙げた、4R分(約500個)かそれ以上の遊技球を獲得できる、「4R」の「大当り」や、「16R」の「大当り」等を含むことから、当該「4R」の「大当り」、「16R」の「大当り」等を含む「大当り遊技」を行う「大当り」は、本願発明の特定事項Aの「獲得できる遊技球の期待値が所定数以上である大当たり」に相当する。 また、引用発明2のaeにおいて、「小当り遊技を行うと判定された場合には、小当り図柄を判定図柄として停止表示させ」、その「後」、「判定図柄に応じた開放パターンで第1,第2大入賞口14a,15aの何れかを開放する」「小当り遊技」「を行」うとされ、「小当り遊技」の「開放パターン」として、引用発明2のbcdで、「2R短期開放する」「2R小当り」が挙げられるとともに、「2R短期開放する、2R小当りでは遊技球を実質獲得できない」とされていることから、当該「2R短期開放する」「2R小当り」による「小当り遊技」を行う「小当り」は、本願発明の特定事項Aの「遊技球を獲得することができないまたは困難な小当たり」に相当する。 次に、引用発明2のaeにおける、「画像表示器21に、3組の演出図柄列17aが変動開始した後、先ず、左側の演出図柄が変動停止し、次に、右側の演出図柄が変動停止し、最後に、中央の演出図柄が変動停止するように表示され、これら3つの停止図柄列が確定表示されて、大当り判定手段43a、図柄判定手段43bによる判定結果を示す組み合わせ表示態様になる」ことは、「3つの停止図柄列」の「確定表示」が、「大当り判定手段43a、図柄判定手段43bによる判定結果を示す組み合わせ表示態様になる」ことを踏まえると、本願発明の特定事項Aにおける、「当否抽選の結果が表示装置に表示される識別図柄の組み合わせにより示される」ことに相当する。 さらに、引用発明2のaeの「パチンコ遊技機1」、「演出制御手段70が備える図柄変動演出制御手段71」は、それぞれ、本願発明の特定事項Aの「遊技機」、特定事項Eの「演出実行手段」に相当する。 そうすると、引用発明2は、本願発明の特定事項A、Eを備えている。 (2) 特定事項Bについて 引用発明2のbcdにおいて、「3組の演出図柄列17aが変動開始した後、左側の演出図柄が変動停止し、右側の演出図柄が変動停止し、これら演出図柄が揃うリーチ状態になってリーチ演出が開始された後、そのリーチ演出において、ノーマルリーチ演出と、ノーマルリーチ演出よりも大当り期待度が高い発展演出であるSPリーチ演出が行われることがあり」とされ、また、「ノーマルリーチ演出が行われてから、ハズレ停止図柄列が確定表示されることと、当り停止図柄列が確定表示されることがある」とされるところ、上記した「3組の演出図柄列17aが変動開始した後、左側の演出図柄が変動停止し、右側の演出図柄が変動停止し、これら演出図柄が揃うリーチ状態になって」「開始され」、「ハズレ停止図柄列が確定表示されることと、当り停止図柄列が確定表示されることがある」「ノーマルリーチ演出」は、上記(1)の特定事項Aについての検討(判定)も踏まえて、本願発明の特定事項Bの「当否抽選の結果が大当たりであることを報知する結末、および、はずれであることを報知する結末に至る可能性がある第一報知演出」に相当する。 そうすると、引用発明2は、本願発明の特定事項Bを備えている。 (3) 特定事項C、特定事項Dについて 引用発明2のbcdにおいて、「SPリーチ演出」の「第1ルート演出又は第2ルート演出で」、「2R短期開放する」「2R小当り」「になる場合」があるが「ハズレ」にはならない、「特殊前兆演出」と、「特殊演出」の、特に「緊急扉ボタン演出」及び「緊急扉開放演出」を経て、停止図柄列が確定表示されるまでの演出は、上記(1)の特定事項Aについての検討(判定、小当り)を踏まえると、本願発明の特定事項Cの「当否抽選の結果が小当たりであることを報知する結末に至る可能性があるが、はずれであることを報知する結末に至る可能性はない第二報知演出」に相当する。 また、引用発明2のbcdにおける、「SPリーチ演出」の「第1ルート演出又は第2ルート演出で」、「「777」又は「7★7」となる当り停止図柄列」が確定表示されて、「4R確変大当り及び16R確変大当り」、「4R時短大当り」、「RUSH確変大当り」、又は「2R突確大当り」になる場合と、「ハズレ停止図柄列」が確定表示される場合の演出に加えて、前段で検討した、「特殊前兆演出」と、「特殊演出」の、特に「緊急扉ボタン演出」及び「緊急扉開放演出」をて停止図柄列が確定表示される演出ではなく、「特殊前兆演出」に移行するが、「緊急扉閉鎖失敗演出」が行われて「特殊演出」に移行しない場合や、「特殊前兆演出」に移行し、「特殊演出」に移行し、さらに「緊急扉ボタン演出」が行われるが、「緊急扉未開放演出」が行われた場合に、ハズレ停止図柄列が確定表示されることになる演出は、上記(1)の特定事項Aについての検討(判定、大当り)を踏まえると、本願発明の特定事項Dの「当否抽選の結果が大当たりであることを報知する結末、および、はずれであることを報知する結末にいたる可能性がある第三報知演出」に相当する。 そして、引用発明2のbcdにおける、「第1ルート演出へ移行するか、或いは、第2ルート演出へ移行するかを示唆する演出」である「ルート分岐演出」は、上段における検討(第一報知演出、第二報知演出、第三報知演出)も踏まえると、本願発明の特定事項C、Dにおける、「第一報知演出が結末に至るよりも前の段階で」「発生」し、その「終了後」に、「第二報知演出」又は「第三報知演出」が「開始される」ことがある、「所定演出」に相当する。 そうすると、引用発明2は、本願発明の特定事項C、Dを備えている。 (4) 特定事項Fについて 上記(3)で、特定事項C、特定事項Dについて検討したように、引用発明2のbcdの「ルート分岐演出」(所定演出)は、「第1ルート演出又は第2ルート演出で、特殊前兆演出と、特殊演出の、特に緊急扉ボタン演出及び緊急扉開放演出を経て、停止図柄列が確定表示されるまでの演出」(第二報知演出)、「第1ルート演出又は第2ルート演出で、4R確変大当り及び16R確変大当り、4R時短大当り、RUSH確変大当り、又は2R突確大当りになる場合と、ハズレ停止図柄列が確定表示される場合の演出に加えて、特殊前兆演出に移行するが、緊急扉閉鎖失敗演出が行われて特殊演出に移行しない場合や、特殊前兆演出に移行し、特殊演出に移行し、さらに緊急扉ボタン演出が行われるが、緊急扉未開放演出が行われた場合に、ハズレ停止図柄列が確定表示されることになる演出」(第三報知演出)が実行される前に発生することで、「第1ルート演出へ移行するか、或いは、第2ルート演出へ移行するかを示唆する」から、当該「ルート分岐演出」(所定演出)の終了時点において、「3つの停止図柄列が確定表示される」(識別図柄の組み合わせが示される)ことがないことは明らかである。 そうすると、引用発明2は、本願発明の特定事項Fを備えている。 カ 特定事項Gについて 上記(1)で検討したように、引用発明2のae及びgの「パチンコ遊技機1」は、本願発明の特定事項Gの「遊技機」に相当する。 そうすると、引用発明2は、本願発明の特定事項Gを備えている。 2 判断 上記1からみて、本願発明と引用発明2とは相違するところがない。 したがって、本願発明は引用発明2である。 3 請求人の主張について 請求人は、令和5年12月14日提出の意見書において、概略、以下のとおり主張している。 「(前略) 3.拒絶理由に対する反論 3−1)引用発明1の存在を前提とする新規性、進歩性の拒絶理由について (中略) 3−2)引用発明2の存在を前提とする新規性、進歩性の拒絶理由について 拒絶理由通知では、『引用発明2の・・・「特殊前兆演出」、「特殊演出」を経由した演出は、・・・本願発明の構成Cの「当否抽選の結果が小当たりであることを報知する結末に至る可能性がある第二報知演出」に相当する。』と判断されております。 引用文献1には、「特殊前兆演出」を経由してハズレとなること(段落0107、図21参照)、「特殊演出」を経由してハズレとなること(段落0110、図22参照)が記載されておりますから、引用発明2における『「特殊前兆演出」、「特殊演出」を経由した演出』は、ハズレであることを報知する結末に至るものであるといえます。 これは、「当否抽選の結果が小当たりであることを報知する結末に至る可能性があるが、はずれであることを報知する結末に至る可能性はない第二報知演出」であることを特定する本願発明と相違します。 よって、本願は、引用発明2と本願発明が一致するとする判断を前提とした今般通知の拒絶理由を包含するものではありません。 (後略)」 しかし、本願発明の「第二報知演出」が、「はずれであることを報知する結末に至る可能性はない」ことは、令和5年12月14日提出の手続補正書により新たに追加されたものであって、この追加に対応させて、改めて認定した引用発明2における、「SPリーチ演出」の「第1ルート演出又は第2ルート演出で」、「2R短期開放する」「2R小当り」「になる場合」があるが「ハズレ」にはならない、「特殊前兆演出」と、「特殊演出」の、特に「緊急扉ボタン演出」及び「緊急扉開放演出」を経て、停止図柄列が確定表示されるまでの演出が、本願発明における「当否抽選の結果が小当たりであることを報知する結末に至る可能性があるが、はずれであることを報知する結末に至る可能性はない第二報知演出」に相当して、本願発明と引用発明2とは相違するところがないことは、上記1(3)及び2で述べたとおりである。 また、仮に、引用発明2における、「SPリーチ演出」の「第1ルート演出又は第2ルート演出で」、「特殊前兆演出」と「特殊演出」を経由して、停止図柄列が確定表示されるまでの演出と、本願発明における、「当否抽選の結果が小当たりであることを報知する結末に至る可能性があるが、はずれであることを報知する結末に至る可能性はない第二報知演出」とを対比して、前者が「はずれであることを報知する結末に至る可能性はない」ことを備えていない点で相違するとしても、引用発明2において、「SPリーチ演出」の「第1ルート演出又は第2ルート演出で」、「特殊前兆演出」と「特殊演出」を経由して、停止図柄列が確定表示されるまでの演出から、停止図柄列が「ハズレ」で確定表示されることになる演出を省いて、「第二報知演出」が、「はずれであることを報知する結末に至る可能性はない」ようにすることは、当業者であれば適宜なし得ることである。 よって、請求人の上記主張は採用することができない。 第6 むすび 本願発明は、引用文献2に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 また、本願発明は、引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 |
審理終結日 | 2024-03-07 |
結審通知日 | 2024-03-12 |
審決日 | 2024-03-26 |
出願番号 | P2017-248573 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WZ
(A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F) |
最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
長崎 洋一 |
特許庁審判官 |
薄井 義明 小林 俊久 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 弁理士法人上野特許事務所 |