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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01C
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G01C
管理番号 1411115
総通号数 30 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2024-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-08-15 
確定日 2024-05-09 
事件の表示 特願2022−180051「アプリケーションプログラム、情報処理システム、および情報処理方法」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
本願は、令和4年11月10日の出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

拒絶理由通知 :令和 5年 3月 2日(起案日)
手続補正・意見書 :令和 5年 5月 8日
拒絶査定 :令和 5年 5月 9日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :令和 5年 8月15日
手続補正 :令和 5年 8月15日

第2 令和5年8月15日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年5年8月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

【請求項1】
端末装置に、
情報処理装置から地図情報を取得させる処理と、
前記地図情報に基づき、前記端末装置の表示部に地図を表示させる処理と、
現在の時刻、前記端末装置の現在地、および前記端末装置を所有するユーザが購入した物品の履歴に関する情報である購入履歴および前記ユーザが行った予約の履歴に関する情報である予約履歴のうちの少なくとも一つを含むユーザ情報に基づき、前記地図上のスポットに関する情報であるスポット情報を取得させる処理と、
取得された前記スポット情報に基づき、前記スポットのアイコンを前記地図に表示させる処理と、
を実行させるアプリケーションプログラム。

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和5年5月8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

【請求項1】
端末装置に、
情報処理装置から地図情報を取得させる処理と、
前記地図情報に基づき、前記端末装置の表示部に地図を表示させる処理と、
現在の時刻、前記端末装置の現在地、および前記端末装置を所有するユーザの行動履歴を含むユーザ情報に基づき、前記地図上のスポットに関する情報であるスポット情報を取得させる処理と、
取得された前記スポット情報に基づき、前記スポットのアイコンを前記地図に表示させる処理と、
を実行させるアプリケーションプログラム。

2 補正の適否
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)のうち、明細書の段落【0033】の記載からみて、当初明細書等の記載の範囲内のものである。(特許法第17条の2第3項
そして、本件補正のうち、請求項1についてする補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記端末装置を所有するユーザの行動履歴を含むユーザ情報」に関して、「ユーザ情報」が含む「行動履歴」が「ユーザが購入した物品の履歴に関する情報である購入履歴および前記ユーザが行った予約の履歴に関する情報である予約履歴のうちの少なくとも一つ」である旨の限定を付加するものであるから、補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明が、補正前の発明と単一性を満たすことは明らかである。(特許法第17条の2第4項
また、当該限定を付加する補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された引用文献である、特開2022−144254号公報(令和4年10月3日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

【0010】
[概要]
本実施形態の一態様のコンテンツ提供装置は、地図コンテンツをユーザに提供するコンテンツ提供装置であって、複数のテーマの中からユーザによるテーマの選択を受け付ける受付部と、前記ユーザにより選択された前記テーマに応じた地点情報を前記テーマに応じた態様で含み、且つ、前記地図コンテンツにおける前記地点情報とは異なる情報を選択された前記テーマに応じた態様で含む前記地図コンテンツを前記ユーザに提供する提供部とを有する。
【0011】
「テーマ」とは、例えば、不動産(例えばマンション)や、電子決済、クーポン、ワクチン、所定の食べ物(例えば、ラーメン)など着目する対象である。「地点情報」とは、例えば、地図コンテンツにおける特定の地点であり、いわゆるPOI(Point of Interest)である。「テーマに応じた地点情報」とは、テーマに関連する地点情報であり、テーマごとに任意に設定されている。例えば、テーマが「マンション」であれば、テーマに応じた地点情報として「マンション」が設定されていたり、例えば、テーマが「ラーメン」であれば、テーマに応じた地点情報として「ラーメン店」が設定されていたりする。
【0012】
このテーマに応じた地点情報は、例えば、テーマに応じた態様で地図コンテンツに含まれる。このテーマに応じた地点情報が「マンション」であれば、マンションに対応する地点情報は、マンションを模式的に示したアイコンで表示される。例えば、地図コンテンツにおいて、テーマに応じた地点情報は、他の地点情報よりも強調されている。強調とは、他よりもユーザが視認しやすい態様であることである。また、強調とは、例えば、対象の表示態様がユーザにとって視認しやすい態様であり、色や大きさ、形など種々の手法により実現されてよい。

【0015】
[コンテンツ提供システム]
図1は、コンテンツ提供装置を含むコンテンツ提供システム1の機能構成の一例を示す図である。コンテンツ提供システム1は、例えば、一以上のユーザの端末装置10と、経路探索装置30と、コンテンツ提供装置50とを備える。コンテンツ提供装置50と、端末装置10および経路探索装置30とは、ネットワークNWを介して互いに通信する。ネットワークNWは、インターネットやLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、セルラー網などを含む。
【0016】
[端末装置]
コンテンツ提供装置50は、端末装置10を利用するユーザに、端末装置10のUA(User Agent)12と協働してサービスを提供する。サービスとは、地図コンテンツを提供するサービスである。
【0017】
端末装置10は、スマートフォンやパーソナルコンピュータ、タブレット端末などの通信機能と表示機能を有するコンピュータ装置である。端末装置10では、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサがUA12を実行することでコンテンツ提供装置50や他のサーバ装置(不図示)によって提供されるサービスを実現する(換言すると、提供されるコンテンツを再生する)。

【0019】
[コンテンツ提供装置]
コンテンツ提供装置50は、例えば、通信部52と、処理部54と、提供部56と、記憶部60とを備える。通信部52は、例えば、ネットワークNWに接続するためのネットワークカード等の通信インターフェースである。処理部54および提供部56は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD−ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。各構成要素の機能については後述する。
【0020】
処理部54は、端末装置10から取得したリスエストに応じて、経路探索装置30と連携して、所定の位置から目的地までの経路を検索したり、記憶部60に記憶された情報から必要な情報を取得したり、各種情報処理等を行う。例えば、処理部54は、端末装置10の依頼に応じて、指定された条件に合った地点情報を抽出し、抽出した地点情報をユーザに提供する。
【0021】
提供部56は、地図コンテンツをユーザ(ユーザの端末装置10)に提供する。提供部56は、後述する汎用マップまたはテーママップをユーザに提供する。
【0022】
記憶部60には、予め生成された地図コンテンツが記憶されている。記憶部60には、例えば、地図コンテンツとして汎用マップ63と、テーママップとが記憶されている。汎用マップ63は、テーマが考慮されていない汎用の態様で地点情報が含まれているマップである。この汎用マップ63は、ユーザによりテーマが選択されていない場合にユーザに提供される。
【0023】
テーママップは、例えば、不動産テーママップ64−1など種々の対象がテーマとされたマップである。記憶部60には、一つのテーママップが記憶されていてもよいし、複数のテーママップが記憶されていてもよい。本実施形態では、図2に示すテーママップを中心に説明する。図2は、テーママップの種類の一例を示す図である。テーママップは、例えば、不動産テーママップ、ワクチンテーママップ、決済サービステーママップ、ラーメンテーママップを含む。不動産テーママップは、新築マンション(賃貸マンションや中古マンション、別荘などその他の不動産でもよい)をテーマとしてテーママップである。ワクチンテーママップは、ワクチンを接種できる施設(または場所)をテーマとしたテーママップである。決済サービステーママップは、決済サービスを利用できる施設(または店舗)をテーマとしたテーママップである。ラーメンテーママップは、ラーメン店をテーマとしたテーママップである。
【0024】
[汎用マップ]
提供部56は、ユーザのリクエストに応じて、汎用マップ63をユーザに提供する。図3は、端末装置10の表示部に表示される汎用マップ63の地図コンテンツの一例を示す図である。以下、汎用マップ63の地図コンテンツを「汎用マップコンテンツ」と称する場合がある。
【0025】
汎用マップコンテンツには、例えば、主要道路や主要駅などが含まれ、主要道路の種別によって色分けされている。また、端末装置10の表示部には、汎用マップコンテンツと共に、テーママップに関するアイコンが表示されている。このアイコンは、所定の操作によって表示部に表示されるように構成されてもよいし、汎用マップコンテンツと共に表示されてもよい。例えば、アイコンは、不動産テーママップ、ワクチンデータマップ、電子決済テーママップ、およびラーメンテーママップなどを選択するためのアイコンIC1を含む。不動産テーママップのアイコンが選択された場合、図4に示す不動産テーママップが表示部に表示される。以下、不動産テーママップの地図コンテンツを「不動産マップコンテンツ」と称する場合がある。不動産マップコンテンツにおいて、「新築マンション」は、テーマに応じた地点情報の一例である。

【0033】
[汎用マップとテーママップとの比較]
図6は、図5と同じ領域を示す汎用マップコンテンツの一例を示す図である。汎用マップコンテンツと、テーママップコンテンツとでは、主に以下が相違する。
(相違点1)汎用マップコンテンツでは、テーマに応じた地点情報(新築マンション)が表示されない。これに対して、テーママップコンテンツでは、テーマに応じた地点情報(新築マンション)が表示される。
【0034】
(相違点2)汎用マップコンテンツでは、地点情報とは異なる道路などの背景が、テーママップコンテンツに適した態様でない。これに対して、テーママップコンテンツでは、地点情報とは異なる道路などの背景が、テーママップコンテンツに適した態様である。例えば、テーママップコンテンツでは、道路などの背景が目立ちにくい態様で表示されている。
【0035】
(相違点3)汎用マップコンテンツでは、地点情報がテーマに関連するか否かが考慮されていない。これに対して、テーママップコンテンツでは、地点情報がテーマに関連するか否かが考慮されている。例えば、テーママップコンテンツでは、テーマに応じた地点情報(新築マンション)またはテーマに関連する地点情報(新築マンションに関連する施設)以外の地点情報は消去されていたり、テーマに応じた地点情報またはテーマに関連する地点情報よりも目立たないような態様で表示されていたりする。

【0080】
[ラーメンマップコンテンツ(その1)]
図19は、ラーメンマップコンテンツの内容の一例を示す図である。例えば、ユーザが、ラーメンマップコンテンツを選択した場合、コンテンツ提供装置50は、ラーメンマップコンテンツをユーザに提供する。ラーメンマップコンテンツには、例えば、ラーメン店(地点情報)の位置を示すアイコIC100が含まれている。アイコンIC100は、例えば、図示するようにラーメン店が提供しているラーメンの画像を示すアイコンである。このアイコンIC100は、他の地点情報よりも目立つ態様で表示されている。
【0081】
ラーメンマップコンテンツには、ラーメンマップコンテンツにおいてアイコンIC100を表示させるラーメン店を絞り込むためのフィルタアイコンIC102が含まれる。フィルタアイコンIC102は、例えば、ラーメン店の種類(とんこつ、しょうゆ、みそ、塩等)や、評価が所定以上のラーメン店などの条件を設定するためのアイコンである。
【0082】
アイコンIC100に対して、ラベルLA31、およびラベルLA32が対応付けられている。ラベルLA31は、ラーメン店の名称を示す情報である。ラベルLA32は、ラーメンの種類を示す情報である。これらのラベルに付与される情報は、上記に限らず、他の情報が付与されてもよい。
【0083】
ラーメンマップコンテンツでは、更に、ラーメン店の周辺に存在するユーザが着目する施設が他の施設(地点情報)よりも強調される。着目するする施設とは、ラーメン店に向かう際に着目される施設である。ユーザが着目する施設とは、テーマ(ラーメン店)に関連する地点情報であって、テーマの地点情報(ラーメン店)と共に、表示することがユーザにとって利便性が向上すると推定される地点情報である。着目する施設とは、例えば、目印となる駅や、学校、公園、駐車場などである。例えば、ユーザは、車で施設に向かう場合、駐車場が近くにある施設を容易に認識することができる。
【0084】
上記のように、ラーメンマップコンテンツでは、ラーメン店が強調され、更に、テーマ(ラーメン)に関連する地点情報が他の地点情報等よりも強調される。また、ラーメンマップコンテンツでは、地図の背景が、不動産マップコンテンツと同様の趣旨で汎用マップコンテンツの背景と異なる態様となっている。
【0085】
[ラーメンマップコンテンツ(その2)]
図20は、ラーメンマップコンテンツの他の一例を示す図である。例えば、アイコンIC100のラーメン店に着目することを示す所定の操作をユーザが行うと、アイコンIC100が他のラーメン店のアイコンと区別可能に表示される。例えば、アイコンIC100が他の特定店舗のアイコンよりも大きく表示される。なお、ラーメン店のアイコンは、画像に限らず、図20に示すように、画像を含まないラーメンを模式したアイコンなどあってもよい。また、所定の条件を満たすラーメン店のアイコンが画像であったり、所定の条件を満たすラーメン店のアイコンにラベルL31やラベルL32が付与されていたりしてもよい。所定の条件とは、世間で有名店とされている店舗や、人気店、評価が高い店舗、ラーメン店に対する口コミの投稿数が所定数以上であることなどである。
【0086】
ユーザのアイコンIC100の操作に応じて、画面の下側の領域AR30に、操作されたラーメン店に関する情報が表示される。ラーメン店に関する情報とは、例えば、店名や、店舗に関する画像(外観の画像、内観の画像、ラーメンの画像、メニューの画像など)、ユーザに投稿されたコメント等である。また、領域AR30には、より詳細なラーメン店の情報を表示部に表示させるためのアイコンや、ラーメン店までのルートを検索するためのアイコンなどが含まれる。
【0087】
上記のように、コンテンツ提供装置50は、ユーザが好みのラーメン店を見つけるために有益な情報をユーザに提供することができる。

【0100】
[シーケンス]
図25は、コンテンツ提供システム1が実行する処理の流れの一例を示すシーケンス図である。以下の説明では、不動産マップコンテンツがユーザの端末装置10に提供される例について説明する。
【0101】
まず、コンテンツ提供装置50が、汎用のマップコンテンツをユーザの端末装置10に提供する(S100)。端末装置10は、コンテンツ提供装置50により提供された汎用のマップコンテンツを表示部に表示させる。
【0102】
次に、端末装置10は、ユーザが不動産マップコンテンツを選択する操作を行うと(S102)、その操作に応じて、不動産マップコンテンツの提供の依頼をコンテンツ提供装置50に送信する(S104)。次に、コンテンツ提供装置50は、不動産マップコンテンツの提供の依頼に応じて、不動産マップコンテンツをユーザの端末装置10に提供する(S106、S108)。
【0103】
次に、端末装置10は、不動産マップコンテンツにおける所定の新築マンションを選択する操作を受け付けると(S110)、所定の新築マンションが選択されたことを示す選択情報をコンテンツ提供装置50に送信する(S112)。次に、コンテンツ提供装置50は、選択情報を取得し(S114)、記憶部60に記憶された情報を参照して、選択情報の新築マンションの最寄り駅および最寄りの出口を取得する(S116)。

【0108】
また、上記のコンテンツ提供装置50で実行された機能のうち、一部の機能は他の装置(例えば端末装置10)で実行されてもよいし、他の装置で実行された機能(経路検索装置の機能)は端末装置10やコンテンツ提供装置50で実行されてもよい。また、コンテンツ提供装置50に記憶された情報は、他の装置に記憶され、コンテンツ提供装置50は、他の装置から当該情報を取得してもよい。








(イ)上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

a 引用文献1に記載された技術は、地図コンテンツをユーザに提供するコンテンツ提供装置を含むコンテンツ提供システムに関する技術であって(【0010】、【0015】)、コンテンツ提供システムは、一以上のユーザの端末装置10と、コンテンツ提供装置50とを備え、コンテンツ提供装置50と、端末装置10とは、ネットワークNWを介して互いに通信するシステムであり(【0015】)、一以上のユーザの端末装置は、コンテンツ提供装置とネットワークを介して互いに通信する端末装置である。
b aの端末装置は、スマートフォンやパーソナルコンピュータ、タブレット端末などの通信機能と表示機能を有し、表示部を有するコンピュータ装置であって、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが端末装置のUA(User Agent)を実行することでコンテンツ提供装置50によって提供されるサービスを実現(提供されるコンテンツを再生)する装置である。(【0016】、【0017】、【0025】)
c aのコンテンツ提供装置は、通信部52と、処理部54と、提供部56と、記憶部60とを備え、提供部は、aの端末装置に、記憶部に記憶された汎用マップ又はテーママップである地図コンテンツを提供する(【0019】−【0022】)。
この地図コンテンツのうち汎用マップは、テーマが考慮されていない汎用の態様で地点情報を含み、かつ、主要道路や主要駅などを含むものであり、他方、テーママップは、汎用マップでは表示されないテーマに応じた地点情報を表示するものであり、道路などの背景が汎用マップと異なる態様のものであり、また、テーマに応じた地点情報やテーマに関連する地点情報以外の地点情報が消去されていたり目立たない態様で表示されるなど、地点情報の表示にあたってテーマに関連するか否かが考慮されたものとなっている(【0022】、【0025】、【0033】−【0035】)。
そして、提供部56は、ユーザのリクエストに応じて、汎用マップをユーザに提供して、端末装置は、これをその表示部に表示し(【0024】、【0101】、図25)、その後、後述dのとおり、提供部56は、テーママップを端末装置に提供して、端末装置がこれをその表示部に表示している。
このことから、端末装置は、通信部と、処理部と、提供部と、記憶部とを備えたコンテンツ提供装置の提供部から、記憶部に記憶された地図コンテンツの提供を受け、地図コンテンツの背景を含む地図コンテンツをその表示部に表示しているといえる。
d aの端末装置の表示部に表示される汎用マップの地図コンテンツ(図3)と共に表示されているテーママップに関するアイコン(例えば、「ラーメン店」をテーマとした「ラーメンテーママップ」のアイコン)の当該端末装置のユーザによる選択により、選択されたテーママップ(例えば、「ラーメンマップコンテンツ」)の提供の依頼がコンテンツ提供装置に送信され、aのコンテンツ提供装置は、この依頼に応じて、テーママップ(図4)を端末装置に提供し(【0102】)、端末装置は、これを表示する。(テーママップ上での地点情報を選択する操作が受け付けられている。【0103】)
テーママップは、ラーメン店等のテーマに応じた、地図コンテンツにおける特定の地点であり、いわゆるPOIである地点情報(【0011】、【0012】)の位置を示すアイコン(例えば、「ラーメンマップコンテンツ」ではラーメン店(地点情報)の位置を示すアイコン)を、汎用マップ(図3)に表示された道路や駅などを示す背景と異なる態様の背景に表示させたものである(【0024】【0025】、【0080】、図3、図19)。また、テーママップには、条件を設定するためのフィルタアイコン(例えば、「ラーメンマップコンテンツ」において表示させるラーメン店(ラーメン店(地点情報)の位置を示すアイコン)を絞り込むためのフィルタアイコン)が含まれ得る(【0081】)。
加えて、図20の画面の下側の領域AR30に、操作されたラーメン店に関する情報が表示されるものであって、ラーメン店に関する情報として、例えば、店名や、店舗に関する画像(外観の画像、内観の画像、ラーメンの画像、メニューの画像など)、ユーザに投稿されたコメント、営業時間などを含むことが理解でき、したがって、当該営業時間を含む、ラーメン店(地点情報)に関する情報を表示していることも明らかである。(【0086】、図20)
e 以上のことから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

コンテンツ提供システムの一以上のユーザの端末装置は、コンテンツ提供装置とネットワークを介して互いに通信する端末装置であって、
スマートフォンやパーソナルコンピュータ、タブレット端末などの通信機能と表示機能を有するコンピュータ装置であって、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが端末装置のUA(User Agent)を実行することでコンテンツ提供装置によって提供されるコンテンツを再生し、
端末装置は、通信部と、処理部と、提供部と、記憶部とを備えたコンテンツ提供装置の提供部から、記憶部に記憶された汎用マップやテーママップの地図コンテンツの提供を受け、これらの地図コンテンツの道路などの背景を含む地図コンテンツを端末装置の表示部に表示するものであって、
端末装置の表示部に表示される汎用マップ(汎用の態様で地点情報が含まれているマップ)の地図コンテンツと共に、表示されているテーママップに関するアイコン(例えば、「ラーメン店」をテーマとした「ラーメンテーママップ」のアイコン)の当該端末装置のユーザによる選択により、選択されたテーママップ(例えば「ラーメンマップコンテンツ」)の提供の依頼がコンテンツ提供装置に送信され、
コンテンツ提供装置はこの依頼に応じて、ラーメン店等のテーマに応じた、地図コンテンツにおける特定の地点であり、いわゆるPOIである地点情報の位置を示すアイコン(例えば、ラーメン店(地点情報)の位置を示すアイコン)を汎用マップの背景と異なる態様の背景に表示させ、
さらに、表示させる地点情報の位置を示すアイコンを絞り込むためのフィルタアイコン、あるいは、ラーメン店(地点情報)に関する情報、を含むテーママップを端末装置が表示することでユーザに提供する、
端末装置。

イ 引用文献2
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された引用文献である、特開2014−021177号公報(平成26年2月3日出願公開。以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

【0005】
ところで、上述した特許文献1に記載された発明は、主に、出力線分を制限して略地図を形成するものであり、ユーザーの個々の事情までは考慮されていない。本来、地図情報は、それを利用するユーザー毎に異なるものである。例えば、ユーザーの属性情報(性別、年齢、弱視、色弱、近視、遠視、老眼等の情報)に応じて、地図に表示すべき情報や表示態様は異なる。また、ユーザーの嗜好情報(色の好み、食の好み、スポーツの好み、その他の趣味嗜好等の情報)によっても、地図に表示すべき情報や表示態様は異なる。もちろん、地図を利用する時間(Time)、場所(Place)、場合(Occasion)によっても、地図に表示すべき情報や表示態様は異なる。
【0006】
以上のことに鑑み、この発明は、ユーザーの手を煩わせることなく、ユーザー毎に最適化された(パーソナライズされた)地図情報を提供することを目的とする。

【0012】
以下、図を参照しながら、この発明の装置、プログラムの一実施の形態について説明する。この発明の個人用地図作成装置は、例えばパーソナルコンピュータを用いてスタンドアロンの装置として構成することもできるし、ネットワークを通じて接続される通信端末と地図提供サーバとにより構成することもできる。そして、後者の場合、個人用地図を作成する機能を、通信端末側に設けることもできるし、地図提供サーバ側に設けることもできる。以下においては、この発明の個人用地図作成装置について、ネットワークを通じて接続される通信端末と地図提供サーバとにより構成され、個人用地図を作成する機能は地図提供サーバ側が備える場合を例にして具体的に説明する。

【0016】
そして、この実施の形態の携帯通信端末1は、携帯通信端末1のユーザーが求める地図情報の提供を受けるための個人条件情報を地図の提供要請に含めて地図提供サーバ3に送信する。この実施の形態において個人条件情報は、当該ユーザーの個人属性情報、個人嗜好情報、TOP情報からなるである。そして、地図提供サーバ3は、携帯通信端末1からの地図の提供要請に含まれる個人条件情報に基づいて、当該ユーザーにとってパーソナライズされた地図情報を作成(形成)して提供する。このように、携帯通信端末1と地図提供サーバ3とからなるこの実施の形態の個人用地図提供装置は、個々のユーザーの個人条件情報に基づいて、ユーザー毎に最適化した(パーソナライズした)地図情報を作成して提供する。

【0023】
パーソナライズ地図提供要請形成部(以下、要請形成部と記載する。)109は、制御部102で地図アプリが実行され、地図提供サーバ3にアクセスした場合に、制御部102の制御の下、地図提供要請を形成する。この地図提供要請は、どのような地図の提供を要請するのかを示す情報や、記憶装置103に記憶保持されている個人属性情報や個人嗜好情報、さらにはタッチパネル108を通じて入力される情報等を含む。ここで、操作部104を通じて入力にされる情報には、例えば、時間(Time)、場所(Place)、場合(Occasion)のそれぞれに関する情報(TPO情報)がある。そして、要請形成部109は、形成した地図提供要請を、無線通信部101を通じて地図提供サーバ3に送信する。

【0030】
図2に示すように、個人属性情報についての地図作成条件テーブルは、種々の個人属性情報に対して地図作成条件を対応付けて形成したものである。具体的には、図2に示すように、性別、年齢、視覚特性等に応じて、どのような地図を作成すればよいかを示す情報が登録されている。これにより、例えば、「男性」、「19歳」、「色弱」という個人属性情報のユーザーについては、(1)女性専用施設を除外し、(2)例えば、居酒屋やバーなどの成人対象施設を除外し、(3)モノクロ表示の地図を作成するという地図作成条件が特定できる。
【0031】
この他にも、個人属性情報についての地図作成条件テーブルには、種々の個人情報に対応する地図作成条件を登録することができる。例えば、体重や身長といった身体的特徴に対応した地図作成条件も設定できる。この場合、ユーザーの体重、身長に応じて、同じ衣料品点であっても、小さなサイズの衣料品を扱っている店舗を強調表示した地図を作成したり、逆に大きなサイズの衣料品を扱っている店舗を強調表示した地図を作成したりできる。
【0032】
図3に示すように、個人嗜好情報についての地図作成条件テーブルは、種々の個人嗜好情報に対して地図作成条件を対応付けて形成したものである。具体的には、図3に示すように、色の好み、食の好み、スポーツの好み、趣味等に応じて、どのような地図を作成すればよいかを示す情報が登録されている。なお、より具体的には、色の好みは、「パステル、原色、濃い色、薄い色」等の情報となり、食の好みは、「和食、洋食、中華」等の情報となる。また、スポーツの好みは、「野球、サッカー、ゴルフ」等の情報となり、趣味は、「読書、音楽鑑賞、映画鑑賞、ドライブ」等の情報となる。
【0033】
これにより、例えば、色の好みが「パステル」で、食の好みが「和食」で、スポーツの好みが「野球」で、趣味が「読書」であるという個人嗜好情報を有するユーザーの地図作成条件は次のように特定できる。この場合、(1)パステル調の色合いに調整し、(2)和食を提供する施設と、(3)野球関連施設と、(4)書店とを強調表示した地図を作成するという地図作成条件が特定できる。この他にも、種々の嗜好とそれに対応する地図作成条件を登録できる。
【0034】
図4に示すように、TOP情報についての地図作成条件テーブルは、種々のTPO情報に対して地図作成条件を対応付けて形成したものである。具体的には、図4に示すように、時間(T)、位置(P)、場合(O)に応じて、どのような地図を作成すればよいかを示す情報が登録されている。すなわち、時間(T)に関する情報に対しては、図4に示したように、午前5時から午後4時59分代までは、居酒屋やバーなどを非表示とすることが登録されている。さらに、午後5時から午後11時59分代までは、目的により居酒屋やバー等を通常通りに表示し、また、午前0時から午前4時59分代までは、営業中の店舗や利用可能な施設を強調表示することが登録されている。
【0035】
また、位置(P)に関する情報に対しては、図4に示したように、「周辺検索」を行うことが指示されたときには、指示位置を中心とした所定範囲の地図を作成することが登録されている。また、図4に示したように、「ルート検索」を行うことが指示されたときには、目的地、曲がり角、目印以外を表示しないデフォルメした地図を作成することが登録されている。

【0040】
また、各レイヤに含まれる種々の店舗や種々の施設、あるいは、地形上の特徴点などである種々の拠点にはいわゆるPOI(point of interest)情報と呼ばれる拠点情報も付加されている。例えば、地図上に飲食物を提供する拠点(飲食店)が存在する場合、その飲食店は、どのような飲食物を提供する店なのか、規模はどれ位なのか、どのような顧客が多いのか等の詳細情報が整えられている。これにより、不必要な種類の地図情報については選択して削除することが可能になっている。したがって、和食を提供するお店は地図上に表示するが、洋食や中華を提供するお店は地図上に表示しないといったことができる。

【0079】
[変形例]
なお、上述した実施の形態では、パーソナライズした地図を出力するための地図情報は、地図提供サーバ3側において形成するものとして説明したが、これに限るものではない。パーソナライズした地図を出力するための地図情報を携帯通信端末1側で作成する構成とすることもできる。具体的には、地図提供サーバ3は、従来の地図提供サーバと同様に、要求された場所(エリア)のフルスペックの地図情報を携帯通信端末1に提供する構成とする。
【0080】
一方、携帯通信端末1は、目的とする場所(エリア)の地図情報を地図提供サーバに要求して取得する機能を備える。さらに、携帯通信端末1は、登録されている個人属性情報、個人嗜好情報、入力されたTPO情報と、登録されている地図作成条件テーブルの情報に基づいて、地図作成条件を特定する機能を備える。さらに、携帯通信端末1は、特定した地図作成条件に従って、地図提供サーバ3から提供された地図情報から不要な情報を削除するなどして、パーソナライズした地図を形成するための地図情報を作成する機能を備える。これにより、地図提供サーバ3は、従来の地図提供サーバをそのまま利用し、携帯通信端末1側でパーソナライズした地図を作成できる。




(イ)以上の記載によれば、引用文献2には、いわゆるPOI(point of interest)情報が付加された店舗や施設等(【0040】)について、携帯通信端末のユーザー毎に最適化された地図情報を提供することを目的として(【0006】)、個人嗜好情報として、食の好みが「和食」という情報に対して和食を提供する施設を強調表示した地図を作成したり(【0032】、【0033】)、時間(T)、位置(P)に応じて、どのような地図を作成すればよいかを示す情報が登録されている場合、時間(T)に関する情報に対しては、午前0時から午前4時59分代までは、営業中の店舗や利用可能な施設を強調表示したり(【0034】)、位置(P)に関する情報に対しては、現在地を中心に所定範囲の地図を作成したりする技術が記載されている。

ウ 引用文献3
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願前に頒布された引用文献である、「鈴木 眞里子,新機能が続々登場! 地図サービスの凄ワザ・裏ワザ,日経PC21,日経BP社,2018.10.24,Vol.23 No.14,pp.51-67」(平成30年10月24日公開。以下「引用文献3」という。)には次の記載がある。
「地図サービスは日進月歩。驚くような新機能が次々に提供されている。例えば、ゲームなどでも話題のAR(拡張現実)技術を利用して、実際の道路上に矢印を重ねて見せてくれるルート案内。過去の閲覧履歴や行動履歴からAI(人工知能)が利用者の好みを判断し、好みに合いそうなお店をピックアップしてくれる機能もお役立ち度が高い。」(53、54ページ)
「グーグルマップは誰でも無料で使えるサービスだが、グーグルアカウントでログインすると、使える機能がさらに増える(図5)。
・・・略・・・
ログインすることでより便利になる点はほかにもある。よく行く場所にマークを付けたり、ほかの端末で検索した履歴をすぐに表示できたりと、さまざまなメリットがある。・・・略・・・」(55ページ)
「グルメサイトの星の数で選んだ店が、自分には合わないこともある。店の好みは十人十色。「自分好みの店」を探すなら、グーグルマップに聞いてみよう。
スマホのグーグルマップでログイン後、「周辺のスポット」タブでレストランなどを選ぶと、「おすすめ度」に従ってリストが表示される(図1)。このおすすめ度は、過去に検索した店や訪れた店の記録から、グーグルのAI(人工知能)が算出した数値(注1)。よく行く和食店があれば、その店だけでなくそこと似た店も上位にくる。履歴が少ない場合は地域や好みの設定画面が表示され、後から調整もできる(図2)。」(56ページ)

(イ)以上の記載によれば、地図サービスにおいて、利用者の行動履歴(過去の閲覧履歴、検索履歴、訪問履歴)などに基づいて、ユーザの好みに合うお店をピックアップして表示することが記載されている。

エ 引用文献4
(ア)前置報告書で引用された本願の出願前に頒布された引用文献である、特表2012−506559号公報(平成24年3月15日公表。以下「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

【0032】
代替的実施形態において、トリガーイベントは、ユーザ用に自動的に生成されうる。例えば、ユーザは、オンライン小売店によって一般的に採用されているような推奨システムからの提案を受け取ることを選択することができる。これらの推奨システムは、注目するアイテムを、いろいろな方法があるが、例えば、類似の消費者が興味を持ったアイテムを識別することによって、またはユーザの購入履歴を調べることによって、ユーザに提案することができる。推奨システムは、識別された提案を地図表示システムに提供し、次いで、地図表示システムは、適切な通知アラーム(例えば、地図アイコン、音声通知アラーム、または触覚通知アラーム)を発生させることができる。図解例において、ユーザは、映画推奨を加入者に提示することができる映画レンタルサービスに加入することができる。このサービスは、ユーザが見たことのある映画に似ている、または他の何らかの基準を満たす映画に関する推奨を生成することができる。ユーザがこのサービスから提案を受け取ることを選択した場合、このサービスは、これらの推奨をユーザの地図表示システムに供給することができる。次いで、システムは、それらの推奨をジオコーディングすることができる。例えば、システムは、推奨された映画を扱っていると思われる映画レンタル店の位置を表す地図アイコンを生成することができる。または、推奨された映画が、現在劇場で上映中である場合、システムは、その映画を上映している劇場の位置を表す地図アイコンを作成することができる。いくつかの実施形態において、推奨サービスは通知アラームを作成し、それらの通知アラームを地図表示システムに伝送することができる。図解例の推奨システムは、映画レンタルを伴っていたけれども、他の推奨システムも使用することができる。例えば、ユーザにとって興味があると思われる製品もしくはサービスを提案する推奨システムを使用することができる。

(イ)以上の記載によれば、引用文献4には、ユーザの地図システムに推奨として地図アイコンを作成し表示する推奨システムでは、ユーザにとって興味のあると思われる製品もしくはサービスが映画であれば、ユーザが見たことのある映画に似ている映画に関する推奨を生成することができ、推奨は、推奨された映画を上映している劇場の位置を表す地図アイコンを作成することである推奨システムに関する技術が記載されている。

オ 引用文献5
(ア)前置報告書で引用された本願の出願前に頒布された引用文献である、特開2014−086009号公報(平成26年5月12日出願公開。以下「引用文献5」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

【0079】
以下、図4〜図8を参照して、本実施の形態の情報提供システム及び情報提供方法の作用を説明する。 図4のシーケンス図に示すように、ナビゲーション装置100が搭載されたイグニッションキーがオフからオンに切り換えられると、当該ナビゲーション装置100の起動時、換言すれば、運転開始時の車両の絶対位置を示す緯度経度情報が取得される(ステップS10、S11)。また、ナビゲーション装置100は、多機能電話機器200の電子マネー機能部202による電子マネー機能を通じて購入された商品の購入履歴を多機能電話機器200から取得する。これにより、図5に示すように、商品の購入履歴が、車両に搭載されたナビゲーション装置100に保有される。
【0080】
そして、図4に示すように、ナビゲーション装置100は、購入履歴記録部104に記録されている商品の購入履歴や多機能電話機器200から新たに取得した購入履歴を、管理センター300に送信する。また、ナビゲーション装置100は、イグニッションキーのオン時に取得された緯度経度情報に識別情報を付して、該緯度経度情報を管理センター300に送信する。
【0081】
一方、管理センター300では、複数のユーザの商品の購入履歴が予め取得され、この購入履歴が一般購入履歴として一般購入履歴領域311に記録される(ステップS20)。
【0082】
そして、管理センター300は、ナビゲーション装置100が送信した購入履歴及び緯度経度情報を受信すると、購入履歴をナビゲーション装置100のユーザの特定購入履歴として特定購入履歴記録領域312に記録する(ステップS21)。また、管理センター300は、ナビゲーション装置100から過去に送信されて走行履歴記録領域313に記録されている緯度経度情報に基づき、ナビゲーション装置100のユーザの行動エリアを特定する。
【0083】
図6に示すように、行動エリアの特定に際しては、例えば、ナビゲーション装置100から過去数ヶ月以内に送信された緯度経度情報に基づく緯度経度の推移α5によって示される走行履歴が用いられる。そして、ナビゲーション装置100のユーザの自宅等の拠点が地点Psであるとき、地点Psから例えば30km以内の範囲であって、推移α5によって示される走行履歴の範囲内となる領域β5が行動エリアとして特定される。なお、この領域β5には、複数の店舗Spが属するものとなっている。
【0084】
行動エリアが特定されると、図4にステップS24として示すように、特定された行動エリアの店舗リストが作成される。これにより、先の図6の各店舗Spに関する店舗リストが作成される。
【0085】
店舗リストが作成されると、ナビゲーション装置100のユーザの特定購入履歴に含まれる商品の種別と、店舗リストが示す各店舗で販売されている商品の種別とが対比される(ステップS25)。そして、ユーザの特定購入履歴に含まれる商品と種別が共通もしくは類似する商品を販売している店舗が特定される(ステップS26)。次いで、この店舗と、該店舗で販売される商品のうちのユーザの特定購入履歴に含まれる商品と種別が共通もしくは類似する商品とを示す情報が生成される(ステップS27)。なお、ここでは例えば、商品の名称を含む商品情報及び店舗の位置を示す店舗情報が、商品に関する情報として生成される。また、商品情報には、特定購入履歴に含まれる商品の購入日時を示す情報も付加される。そして、生成された商品情報及び店舗情報が、図5に示すように、管理センター300からナビゲーション装置100に送信される。
【0086】
図4にステップS13として示すように、ナビゲーション装置100は、商品情報及び店舗情報を提示する処理を行う。
この結果、図7に表示装置107の表示画像の一例を示すように、地図上に表示される自車両の位置Pcの周辺に存在する各店舗P2及びP3で販売される商品の情報が、各店舗P2及びP3の存在する位置にポップアップ表示される。なお、ここでの例では、例えば、各店舗P2及びP3の名称と、各店舗P2及びP3で販売される商品のうちナビゲーション装置100のユーザがオンライン店舗等で過去に購入した商品と種別の共通もしくは類似する商品を案内する情報とが提示される。また、商品を案内する情報として、例えば、ナビゲーション装置100のユーザによる種別の共通もしくは類似する商品の購入時期も提示される。


(イ)以上の記載によれば、情報提供システムとして、購入された商品の購入履歴を取得し、取得した購入履歴やナビゲーション装置から取得した緯度経度情報に識別情報を付して管理センターに送信し、管理センターでは、緯度経度情報に基づき、ユーザの自宅等の拠点から走行履歴の範囲内となる領域を行動エリアとして特定し、特定された行動エリアの店舗リストを作成し、購入履歴に含まれる商品の種別と、店舗リストが示す各店舗で販売されている商品の種別とを対比し、ユーザの購入履歴に含まれる商品と種別が共通もしくは類似する商品を販売している店舗を特定し、該店舗で販売される商品のうちのユーザの購入履歴に含まれる商品と種別が共通もしくは類似する商品とを示す情報を生成し、生成された商品情報及び店舗情報が、管理センターからナビゲーション装置に送信され、地図上に表示される自車両の位置の周辺に存在する各店舗で販売される商品の情報が、各店舗の存在する位置にポップアップ表示されるという技術が記載されている。

カ 引用文献6
(ア)前置報告書で引用された本願の出願前に頒布された引用文献である、特開2022−028517号公報(令和4年2月16日出願公開。以下「引用文献6」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

【0014】
端末装置10から情報処理装置100に送信される行動情報は、行動履歴として情報処理装置100に記録される。行動情報として、ショッピングサービスの購入履歴や、決済サービスの利用履歴や、路線検索サービスの路線検索履歴や、地図提供サービスの経路検索履歴や、旅行サービスの予約履歴や、検索サービスを利用した際の検索履歴や、飲食店紹介サービスの予約履歴や、天気予報サービスの利用履歴や、スケジュール管理サービスの登録スケジュールなどが例示される。行動情報は、端末装置10のユーザが各種サービスを利用しているときの現在位置を示す位置情報を含む。

【0086】
[8.効果]
実施形態に係る情報処理装置100は、推定部132と、決定部133とを有する。推定部132は、ユーザの行動情報から、ユーザが利用する決済方法を推定する。決定部133は、推定部により推定された決済方法に基づいて、ユーザに提供する推薦情報を決定する。
【0087】
このように、実施形態に係る情報処理装置100は、ユーザの行動から推定した決済方法に基づいて推薦情報を決定できるので、決済方法に対応した推薦情報を提供する際のユーザビリティを向上できる。
【0088】
また、情報処理装置100は、生成部131をさらに備える。生成部131は、行動情報と決済方法との組を正解データとして学習した学習済みモデルを生成する。推定部132は、学習済みモデルに行動情報を入力して学習済みモデルから複数の決済方法ごとに出力される、行動情報との相関性を示すスコアを取得し、取得した複数の決済方法ごとのスコアに基づいて、決済方法を推定する。このため、情報処理装置100は、各ユーザについて、複数の決済方法ごとに、ユーザの行動との相関性を定量的に把握でき、ユーザ行動に応じた決済方法を推定できる。

(イ)以上の記載によれば、引用文献6には、ユーザの行動情報から推薦情報を決定する際に、当該行動情報の具体的な例として、ショッピングサービスの購入履歴、決済サービスの利用履歴、路線検索サービスの路線検索履歴、地図提供サービスの経路検索履歴、旅行サービスの予約履歴、検索サービスを利用した際の検索履歴、飲食店紹介サービスの予約履歴、天気予報サービスの利用履歴、スケジュール管理サービスの登録スケジュールなどが例示されるという技術が記載されているといえる。

(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「コンテンツ提供装置」は、「通信部と、処理部と、提供部と、記憶部とを備」え、端末装置に地図コンテンツの情報を提供しているから、情報処理装置といえるものである。
したがって、引用発明の「端末装置」、「コンテンツ提供装置」は、本件補正発明の「端末装置」、「情報処理装置」に相当する。
(イ)引用発明の、端末装置がコンテンツ提供装置から受け取る「地図コンテンツ」は、本件補正発明の「地図情報」に相当する。
また、引用発明の「地図コンテンツの背景」は、地図情報に基づき表示させられる道路などの背景となる地図であり、本件補正発明の「地図」に相当する。
(ウ)引用発明は、地図コンテンツの提供を受けて地図コンテンツの地図を端末装置の表示部に表示することから、本件補正発明の「情報処理装置から地図情報を取得させる処理」及び「前記地図情報に基づき、前記端末装置の表示部に地図を表示させる処理」を端末装置に実行させる点で一致するといえる。
(エ)引用発明の「汎用マップに表示された道路や駅などを示す背景と異なる態様の背景」は、地図である点で、本件補正発明の「前記地図」(「前記地図情報に基づ」いて「前記端末装置の表示部」に「表示させ」られた「地図」)に対応しており、引用発明の「地図コンテンツにおける特定の地点であり、いわゆるPOIである地点情報」と「地点情報に関する情報」及び当該「地点情報の位置を示すアイコン(例えば、ラーメン店(地点情報)の位置を示すアイコン)」は、「地図上のスポットに関する情報であるスポット情報」及び「前記スポットのアイコン」である点で、本件補正発明の「前記地図上のスポットに関する情報であるスポット情報」及び「前記スポットのアイコン」と共通するといえる。
してみると、本件特許発明と引用発明とは、いずれも、「地図上のスポットに関する情報であるスポット情報を取得させる処理」及び「取得された前記スポット情報に基づき、前記スポットのアイコンを地図上に表示させる処理」を実行させる点で、共通するといえる。
(オ)上記(ウ)及び(エ)を踏まえれば、本件補正発明と引用発明とは、いずれも、本件補正発明の「情報処理装置から地図情報を取得させる処理」、「前記地図情報に基づき、前記端末装置の表示部に地図を表示させる処理」、「地図上のスポットに関する情報であるスポット情報を取得させる処理」及び「取得された前記スポット情報に基づき、前記スポットのアイコンを地図上に表示させる処理」を端末装置に実行させる点で、一致しているといえる。
なお、本件補正発明は、「地図を表示させる処理」と「スポット情報を取得する処理」の順序を規定しているか否かが明らかでないところ、仮に規定していることを前提としても、引用発明においても、「地図コンテンツ」のうち「汎用マップ」に係る地図を表示させる処理の後にテーママップのユーザへの提供がなされることから、この点は一致点となる。
また、上記(ウ)及び(エ)の処理に関して、引用発明の「端末装置」は、「スマートフォンやパーソナルコンピュータ、タブレット端末などの通信機能と表示機能を有し、表示部を有するコンピュータ装置であって、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが端末装置のUA(User Agent)を実行することでコンテンツ提供装置によって提供されるコンテンツを再生」する装置であるから、端末装置のCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサがコンテンツの再生のためのアプリケーションプログラムの命令によって、上記処理を実行しているものといえ、上記(ウ)及び(エ)の処理をアプリケーションプラグラムが端末装置に実行させる点は、本件補正発明と引用発明との一致点となる。
(カ)まとめ(一致点・相違点)
以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
端末装置に、
情報処理装置から地図情報を取得させる処理と、
前記地図情報に基づき、前記端末装置の表示部に地図を表示させる処理と、
地図上のスポットに関する情報であるスポット情報を取得させる処理と、
取得された前記スポット情報に基づき、前記スポットのアイコンを地図に表示させる処理と、
を実行させるアプリケーションプログラム。

(相違点)
(相違点1)
本件補正発明では、「スポット情報を取得させる処理」を「現在の時刻、前記端末装置の現在地、および前記端末装置を所有するユーザが購入した物品の履歴に関する情報である購入履歴および前記ユーザが行った予約の履歴に関する情報である予約履歴のうちの少なくとも一つを含むユーザ情報に基づき」行っているのに対し、引用発明では、そのような特定事項を備えていない点

(相違点2)
本件補正発明は、「前記地図」上のスポットに関する情報を取得して、これに基づき「前記地図」にスポットのアイコンを表示させるのに対し、引用発明は、端末装置が地図上のスポットに関する情報を取得した上でこれに基づき地図にスポットのアイコンを表示させるのではなく、端末装置がスポットに関する情報と地図であるテーママップをコンテンツ提供装置から取得して表示するものであり、さらに、スポットが表示される「地図」が汎用マップの背景と異なる態様の背景であって「前記地図」であるか否かが明らかでない点

(4)判断
ア 相違点1について
上記(2)イで検討したように、引用文献2には、いわゆるPOI情報が付加された店舗や施設等について、携帯通信端末のユーザー毎に最適化された地図情報を提供することを目的としてユーザーに地図情報を提供する際に、ユーザの好みとしての嗜好情報及び、ユーザの現在地、時間情報を総合して、嗜好情報が例えば「和食」であれば、和食の店舗情報を、現在位置を中心に所定の範囲内で、かつ、現在時刻に応じて営業中の店舗を選択して強調表示することが記載されている。
くわえて、ユーザの嗜好情報を抽出する際に、ユーザの行動履歴である、「過去の閲覧履歴」、「検索履歴」、「訪問履歴」、「ユーザが見たことのある映画に似ている映画に関する情報」、「ユーザの購入履歴」、「決済サービスの利用履歴」、「路線検索サービスの路線検索履歴」、「地図提供サービスの経路検索履歴」、「旅行サービスの予約履歴」、「検索サービスを利用した際の検索履歴」、「飲食店紹介サービスの予約履歴」、「天気予報サービスの利用履歴」、「スケジュール管理サービスの登録スケジュール」等を利用することは、引用文献3〜引用文献6の記載をみるまでもなく当業者にとって周知の事項であるといえる。
そして、引用発明は、端末装置のユーザの嗜好に即したラーメン店等のテーマに応じて、POIである地点情報の位置を示すアイコンを当該ユーザによる絞込をも可能なものとして地図に表示してユーザの利便性を向上させようとするものであるから、引用文献2記載の技術のような、POI情報が付加された店舗や施設等について、携帯通信端末の所有者等である携帯通信端末のユーザー毎に最適化された地図情報を提供することを目的とする技術を組み合わせる動機づけはあるといえる。
したがって、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用し、現在の時刻、端末装置の現在地、ユーザの嗜好情報に基づいて、スポット情報を取得させることは当業者が容易に為し得たことであり、その際の嗜好情報として、「ユーザが購入した物品の履歴に関する情報である購入履歴および前記ユーザが行った予約の履歴に関する情報である予約履歴のうちの少なくとも一つを含むユーザ情報」を採用することは、上記周知の事項を鑑みれば、当業者が適宜選択し得た事項であるといえることから、これらを総合して、引用発明において引用文献2記載の技術及び周知の事項を採用して、上記相違点1に係る本件補正発明の構成を備えるものへと変更することは、当業者が容易に為し得たことである。

イ 相違点2について
(ア)本件補正発明が「地図を表示させる処理」と「スポット情報を取得する処理」の順序を規定していないのであれば、相違点2における、スポットが表示される「地図」は、汎用マップの背景と異なる態様の背景であるとしてもそれ自体が「テーママップ」として取得されて表示される地図であり、「前記地図」であるといえる。よって、上記相違点2のうち、「さらに、スポットが表示される「地図」が汎用マップの背景と異なる態様の背景であって「前記地図」であるか否かが明らかでない」ことは、実質的な相違点でないことになる。
そして、引用発明は、プロセッサが端末装置のUA(User Agent)を実行することでコンテンツ提供装置によって提供されるコンテンツを再生するものであり、コンテンツ提供装置の一部の機能を端末装置で行うことも可能である(【0108】)ことからみて、端末装置がスポットに関する情報と地図であるテーママップをコンテンツ提供装置から取得して表示することに換えて、地図上のスポットに関する情報を取得して、これに基づき地図にスポットのアイコンを表示させるようにすることは、当業者が適宜なし得た事項である。
(イ)本件補正発明が「地図を表示させる処理」と「スポット情報を取得する処理」の順序を規定しているとしても、引用発明において、プロセッサが端末装置のUA(User Agent)を実行することでコンテンツ提供装置によって提供されるコンテンツを再生するものであり、コンテンツ提供装置の一部の機能を端末装置で行うことも可能である(【0108】)ことからみて、汎用マップの道路などの背景と異なる態様の道路などの背景として、コンテンツ提供装置で生成したものを端末装置で利用するか、端末装置で一旦取得したものの態様を端末装置で変更したものを利用するかも、当業者が適宜選択すべき事項にすぎない。
してみると、引用発明において、地図を取得し表示した後に端末装置がスポットに関する情報と地図であるテーママップをコンテンツ提供装置から取得して表示することに換えて、地図を取得し表示した後に端末装置がスポットに関する情報を取得し、背景の態様を異なるものとした「前記地図」である背景と併せてテーママップとしてこれを表示することは、引用発明の記載からみて、当業者が適宜なし得た事項である。
(ウ)よって、いずれにしても、相違点2は、引用文献1の記載からみて、当業者が適宜なし得たことである。

ウ 効果について
これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された技術及び上記本願出願前周知の技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術及び本願出願前周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反する内容を含むものであるので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和5年8月15日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和5年5月8日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項、引用文献3に記載されるような周知の技術事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1.特開2022−144254号公報
引用文献2.特開2014−021177号公報
引用文献3.鈴木 眞里子,新機能が続々登場! 地図サービスの凄ワザ・裏ワザ,日経PC21,日経BP社,2018.10.24,Vol.23 No.14,pp.51-67
(周知技術を示す文献)

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし3及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明の、「前記端末装置を所有するユーザが購入した物品の履歴に関する情報である購入履歴および前記ユーザが行った予約の履歴に関する情報である予約履歴のうちの少なくとも一つを含むユーザ情報」について、「ユーザ情報」が含む「行動履歴」が「ユーザが購入した物品の履歴に関する情報である購入履歴および前記ユーザが行った予約の履歴に関する情報である予約履歴のうちの少なくとも一つ」である旨の限定を除いて、より上位概念である「前記端末装置を所有するユーザの行動履歴を含むユーザ情報」としたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、更に下位概念の特定事項を備える本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された技術、引用文献3〜引用文献6に記載された本願出願前周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2に記載された技術、本願出願前周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
 
審理終結日 2024-03-07 
結審通知日 2024-03-12 
審決日 2024-03-25 
出願番号 P2022-180051
審決分類 P 1 8・ 537- Z (G01C)
P 1 8・ 121- Z (G01C)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 伏本 正典
特許庁審判官 相崎 裕恒
渡邊 聡
発明の名称 アプリケーションプログラム、情報処理システム、および情報処理方法  
代理人 酒井 太一  
代理人 沖田 壮男  
代理人 渡辺 伸一  
代理人 松沼 泰史  

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