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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60K |
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管理番号 | 1411149 |
総通号数 | 30 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2024-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2023-09-20 |
確定日 | 2024-06-18 |
事件の表示 | 特願2021−39514「車両用表示制御装置、方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和3年7月29日出願公開、特開2021−107217、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成31年3月28日に出願した特願2019−64664号の一部を令和3年3月11日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。 令和3年 3月11日 :上申書の提出 令和4年 2月10日付け:拒絶理由通知書(発送日:同年2月22日) 同年 3月24日 :意見書、手続補正書の提出 同年 8月17日付け:拒絶理由通知書(発送日:同年8月23日) 同年10月 6日 :意見書、手続補正書の提出 令和5年 2月14日付け:拒絶理由通知書(発送日:同年2月21日) 同年 4月21日 :意見書、手続補正書の提出 同年 6月14日付け:補正却下の決定、拒絶査定(発送日:同年6月20日) 同年 9月20日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりある。 1 (進歩性) 本願請求項1−15に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献記載の発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項 1、7−9、14、15 ・引用文献等 1、2 ・請求項 2−6 ・引用文献等 1−3 ・請求項 10 ・引用文献等 1−4 ・請求項 11−12 ・引用文献等 1−5 引用文献1:特開2017−211370号公報 引用文献2:特開2018−203008号公報 引用文献3:特開平8−178679号公報 引用文献4:特開2017−126287号公報 引用文献5:特開2019−16366号公報 第3 本願発明 本願の請求項1−15に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」−「本願発明15」という。)は、令和5年9月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1−15に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「 【請求項1】 自車両の未来位置に対応する座標情報を取得する取得手段と、 前記取得手段が取得した前記座標情報に基づき決定されるヘッドアップディスプレイ上の前記自車両の未来位置に対応する位置にマーカーを表示させると共に、前記未来位置に基づいて前記マーカーの幅よりも広く前記マーカーを包含する帯状の軌道線を前記ヘッドアップディスプレイに表示させる表示制御手段と、 を備えることを特徴とする車両用表示制御装置。」 なお、本願発明2−15の概要は、以下のとおりである。 本願発明2−13は、本願発明1を減縮した発明である。 本願発明14は、本願発明1の車両用表示制御装置による処理をコンピュータによって実行させる車両用表示制御方法に対応する発明である。 本願発明15は、本願発明1の車両用表示制御装置による処理をコンピュータに実行させるための車両用表示制御プログラムに対応する発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1 (1)引用文献1の記載事項(下線は当審が付与。以下同様。) 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア「【技術分野】 【0001】 本発明は、HUD装置、車両装置、情報表示方法に関する。」 イ「【発明を実施するための形態】 【0007】 以下に、一実施形態の画像表示装置としてのHUD装置100について図面を参照して説明する。なお、「HUD」は「ヘッドアップディスプレイ」の略称である。 【0008】 図1には、本実施形態のHUD装置100の全体構成が概略的に示されている。 【0009】 《HUD装置の全体構成》 ところで、ヘッドアップディスプレイの投射方式は、液晶パネル、DMDパネル(デジタルミラーデバイスパネル)、蛍光表示管(VFD)のようなイメージングデバイスで中間像を形成する「パネル方式」と、レーザ光源から射出されたレーザビームを2次元走査デバイスで走査し中間像を形成する「レーザ走査方式」がある。特に後者のレーザ走査方式は、全画面発光の部分的遮光で画像を形成するパネル方式とは違い、各画素に対して発光/非発光を割り当てることができるため、一般に高コントラストの画像を形成することができる。 【0010】 そこで、HUD装置100では「レーザ走査方式」を採用している。無論、投射方式として上記「パネル方式」を用いることもできる。 【0011】 HUD装置100は、一例として、車両に搭載され、該車両のフロントウインドシールド50(図1参照)を介して該車両の操縦に必要なナビゲーション情報(例えば車両の速度、進路情報、目的地までの距離、現在地名称、車両前方における物体の有無や位置、制限速度等の標識、渋滞情報などの情報)を視認可能にする。この場合、フロントウインドシールド50は、入射された光の一部を透過させ、残部の少なくとも一部を反射させる透過反射部材としても機能する。以下では、HUD装置100がフロントウインドシールド50を備える、車両としての自動車に搭載される例を、主に説明する。 【0012】 HUD装置100は、図1に示されるように、光源装置11、光偏向器15及び走査ミラー20を含む光走査装置10と、スクリーン30と、凹面ミラー40とを備え、フロントウインドシールド50に対して画像を形成する光(画像光)を照射することにより、視認者A(ここでは自動車の乗員である運転者)の視点位置から虚像Iを視認可能にする。つまり、視認者Aは、光走査装置10によりスクリーンに形成(描画)される画像(中間像)を、フロントウインドシールド50を介して虚像Iとして視認することができる。 【0013】 HUD装置100は、一例として、自動車のダッシュボードの下方に配置されており、視認者Aの視点位置からフロントウインドシールド50までの距離は、数十cmから精々1m程度である。 【0014】 ここでは、凹面ミラー40は、虚像Iの結像位置が所望の位置になるように、一定の集光パワーを有するように既存の光学設計シミュレーションソフトを用いて設計されている。 【0015】 HUD装置100では、虚像Iが視認者Aの視点位置から1m以上かつ10m以下(好ましくは6m以下)の位置(奥行位置)に表示されるように、凹面ミラー40の集光パワーが設定されている。 【0016】 なお、通常、フロントウインドシールドは、平面でなく、僅かに湾曲している。このため、凹面ミラー40とフロントウインドシールド50の曲面により、虚像Iの結像位置が決定される。 【0017】 光源装置11では、画像データに応じて変調されたR,G,Bの3色のレーザ光が合成される。3色のレーザ光が合成された合成光は、光偏向器15の反射面に導かれる。偏向手段としての光偏向器15は、半導体製造プロセス等で作製された2軸のMEMSスキャナであり、直交する2軸周りに独立に揺動可能な単一の微小ミラーを含む。光源装置11、光偏向器15の詳細は、後述する。 【0018】 光源装置11からの画像データに応じた光(合成光)は、光偏向器15で偏向され、走査ミラー20で折り返されてスクリーン30に照射される。そこで、スクリーン30が光走査され該スクリーン30上に中間像が形成される。すなわち、光偏向器15と走査ミラー20を含んで光走査系が構成される。なお、凹面ミラー40は、フロントウインドシールド50の影響で中間像の水平線が上または下に凸形状となる光学歪み要素を補正するように設計、配置されることが好ましい。 【0019】 スクリーン30を介した光は、凹面ミラー40でフロントウインドシールド50に向けて反射される。フロントウインドシールド50への入射光束の一部はフロントウインドシールド50を透過し、残部の少なくとも一部は視認者Aの視点位置に向けて反射される。この結果、視認者Aはフロントウインドシールド50を介して中間像の拡大された虚像Iを視認可能となる、すなわち、視認者から見て虚像Iがフロントウインドシールド50越しに拡大表示される。 【0020】 なお、フロントウインドシールド50よりも視認者Aの視点位置側に透過反射部材としてコンバイナを配置し、該コンバイナに凹面ミラー40からの光を照射するようにしても、フロントウインドシールド50のみの場合と同様に虚像表示を行うことができる。」 ウ「【0023】 《HUD装置の機能ブロック》 図3には、HUD装置100の機能を示すブロック図が示されている。HUD装置100は、図3に示されるように、車両情報入力部800、外部情報入力部802、画像データ生成部804及び画像描画部806を備えている。車両情報入力部800には、CAN等から車両の情報(速度、走行距離、対象物の位置、外界の明るさ等の情報)が入力される。外部情報入力部802には、外部ネットワークから車両外部の情報(例えば自動車に搭載されたカーナビからのナビ情報等)が入力される。画像データ生成部804は、車両情報入力部800、外部情報入力部802等から入力される情報に基づいて、描画すべき画像の画像データを生成し、画像描画部806に送信する。画像描画部806は、制御部8060を備え、受信した画像データに応じた画像を描画する。画像データ生成部804及び制御部8060は、FPGA600によって実現される。画像描画部806は、FPGA600に加えて、LDドライバ6111、MEMSコントローラ615、光走査装置10、スクリーン30、凹面ミラー40等によって実現される。」 エ「【0040】 《進路情報の表示》 HUD装置100において、画像データ生成部804は、外部情報入力部802から入力されるナビ情報に基づいて、自車両が進むべき進路(自車両の移動予定の進路)を示す情報(以下では「進路情報」とも呼ぶ)を前方風景における通過予定の路面に重畳するように生成する。このように進路情報を車両の前方の路面に重畳させることで、運転者は自車両が進むべき進路を前方風景から視線を逸らさずにリアルタイムに認知することができる。 【0041】 画像描画部806は、画像データ生成部804によって生成された進路情報のうち表示エリア内に入る情報を光走査装置10、スクリーン30及び凹面ミラー40を含む表示手段を用いて描画、表示する。すなわち、HUD装置100は、生成された進路情報のうち所定の画角内の情報を表示エリアに表示する。前方風景に重なる表示エリア内に進路を認識可能な情報が表示されれば、運転者は前方風景から視線を逸らさずに進路を絶えず認識できる。すなわち、脇見による安全性の低下を抑制しつつ運転者を進路に確実に案内することができる。 【0042】 例えば、図9に示されるように進路情報が直進すべきことを示す、直線状に並ぶ一連の複数のマーク(ここでは実線及び破線の丸印)から成る場合(直進情報の場合)には、その進路情報のうち表示エリア内に入る直線状に並ぶ一部のマーク(ここでは実線の6つの丸印)のみが描画、表示される。なお、「直進情報」は、同一直線上にある少なくとも2つのマークで構成することができる。 【0043】 この場合、表示エリア内に直線状に並ぶ複数のマークが表示されるため、運転者は表示エリア内の情報によって(前方風景から姿勢を逸らさずに)直進すべきことを認識できる。なお、進路情報を構成する複数の丸印は、奥行き感(遠近感)を出すために、運転者から見て手前側から奥側にかけて順次小さくなるように表示される。 【0044】 また、例えば図10に示される進路情報は、左折すべきことを示すカーブ情報を含む進路情報であり、直線状に並ぶ一連の複数のマーク(ここでは実線の3つの丸印及び破線の3つの丸印)から成る第1マーク列と、該第1マーク列に対して左側に90°折れ曲がるように連続する、直線状に並ぶ一連の複数のマーク(ここでは実線の4つの丸印及び破線の4つの丸印)から成る第2マーク列を含む。なお、「カーブ情報」は、同一直線上にない少なくとも3つのマークで構成することができる。 【0045】 すなわち、図10の進路情報は、複数のマーク(ここでは実線の7つの丸印)から成るL字状のカーブ情報を含む。このカーブ情報は、重畳される路面が車両からある程度離れていれば、表示エリア内に表示可能である。この場合、運転者は、表示エリア内の情報によって(前方風景から視線を逸らさずに)次の交差点で左折すべきことを認識できる。 【0046】 一方、図11に示されるように、L字状のカーブ情報(7つの破線の丸印)が重畳される路面に自車両が接近した場合や、カーブ情報が左右どちらかに偏って表示される場合には、カーブ情報が表示エリアから外れ表示エリア内に表示できなくなってしまう。この場合、運転者は、進路を確認するために、前方風景から視線を逸らして例えばカーナビの画面を見たり、カーナビの音声案内に注意する必要がある。このため、安全性の確保や運転者への進路案内が不十分となることが懸念される。 【0047】 そこで、本実施形態では、図12及び図13に示されるように、画像データ生成部804は、進路情報にカーブ情報が含まれる場合に、該カーブ情報が表示エリア内に入るか否かを前もって判定し、表示エリア内に入らないと判定した場合に、該カーブ情報を表示エリア内にシフトさせる。なお、図12及び図13は、それぞれ車両の運転席から見た図、車両の側方から見た図である。 【0048】 詳述すると、路面に重畳されるカーブ情報を構成する複数(例えば7つ)のマークを運転者から見て奥側から手前側にかけて順次上方にシフトさせる。運転者から見て奥側から手前側にかけて順にシフト前のマークをM1〜M7、シフト後のマークをM1s〜M7sとすると、シフトは、M1→M1s、M2→M2s、M3→M3s、M4→M4s、M5→M5s、M6→M6s、M7→M7sのように順次行われる。 【0049】 このとき、マークとその重畳対象の路面とのずれ量を動的に変化させる(運転者から見て奥側から手前側にかけてずれ量を徐々に大きくする)ことで、マークとその重畳対象の路面との対応関係を直感的に理解させることができ、運転者に進路を確実に伝えることが可能になる。 【0050】 この場合、シフト前後のマークの対応関係が非常に分かり易く、シフトしない場合に比べて異和感がほとんどない。 【0051】 さらに、この際、シフト前後のマークの形状を異ならせることで(ここでは丸印からガルウイング印に変更)、運転者にマークがシフトしていることを認知させることができる。シフト後のマーク(ここではガルウイング印)も、運転者から見て手前側から奥側にかけて徐々に小さく表示することで奥行き感を持たせることができる。 【0052】 要するに、本実施形態では、表示エリア内に進路を認識させるのに十分な情報を表示できない場合に、該情報を重畳対象の路面からずらして表示エリア内に表示することとしている。 【0053】 また、例えば自車両が曲がるべき交差点に差し掛かかる直前等には、カーブ情報を構成する複数のマークを上方にシフトさせても、画角が狭いが故に十分な情報を表示エリア内に表示できない場合がある。 【0054】 このような場合は、重畳対象の路面のカーブよりも外側(大回りなカーブ経路)にずらした位置にカーブ情報を表示することが好ましい。 【0055】 すなわち、カーブ情報を構成する複数のマークを上方かつ該カーブ情報の曲率中心の反対側(左折の場合は右斜め上方)にシフトさせることが好ましい(図14参照)。なお、図14の第1図(最上図)は自動車が左折終了直前の状態を示し、図14の第2図(中間図)は、自動車が左折開始直後の状態を示し、図14の第3図(最下図)は自動車が左折開始直前の状態を示している。 【0056】 図14から分かるように、左折開始直前〜左折終了直前には、運転者から見て表示エリアに対してカーブ情報が左右方向に外れてしまう。そこで、カーブ情報を上方かつ外側にずらす(シフトする)ことで、限られた表示エリア内に進行方向を認知させるのに十分な情報を表示できる。」 オ「【0118】 なお、上記実施形態では、進路情報にカーブ情報が含まれる場合を例にとって説明したが、進路情報に例えば下り情報や上り情報が含まれる場合にも、本発明は、適用可能である。すなわち、上記実施形態において、カーブ情報を「下り情報」や「上り情報」や「カーブ情報及び下り情報を含む情報(曲がりのある下り坂の情報)」や「カーブ情報及び上り情報を含む情報(曲がりのある上り坂の情報)」に置き換えても概ね同様の議論が成立する。 【0119】 ここで、進路情報に含まれる、カーブ情報、上り情報及び下り情報のいずれかや、カーブ情報及び下り情報を含む情報や、カーブ情報及び上り情報を含む情報は、進路が変化する情報であることから「進路変化情報」と総称することができる。 【0120】 具体例として、自動車の前方に下り坂があるときの実施例について図18及び図19を用いて説明する。ここでは、便宜上、まっすぐな下り坂とする。 【0121】 自動車の前方に下り坂があると、進路情報を構成する一連の複数のマークのうち路面の傾斜部(「路面傾斜部」とも呼ぶ)に重畳される複数(例えば6つ)のマークM1〜M6の少なくとも一部(ここでは略全部)は表示エリアの下方に位置し表示エリアに入らない(図18(A)及び図18(B)参照)。 【0122】 そこで、路面傾斜部に重畳される6つのマークM1〜M6を全体として緩やかな曲線もしくは直線を描くように上方にシフトさせて6つのマークM1〜M6を表示エリア内に位置させるとともに6つのマークM1〜M6の形状をそれぞれ例えば丸印からガルウイング印に変えることにより、シフト後の6つのマークM1s〜M6sを得ることができる(図18参照)。表示エリア内の6つのマークM1s〜M6sにより路面傾斜部の傾斜方向(ここでは下り方向)を運転者に事前に認識させることができ、運転者は差し迫る路面の傾斜(ここでは下り坂)に備えて減速等の必要な運転操作を行うことができる。 【0123】 図18(B)は、図18(A)に比べて、路面傾斜部の傾斜が大きく、路面傾斜部の各位置と表示エリアとの鉛直方向の距離が長くなるため、6つのマークM1〜M6のシフト量を大きくする必要がある。 【0124】 図19(A)及び図19(B)には、それぞれ下り坂の実施例及び比較例において運転席から前方を見たときの路面と表示エリアが示されている。 図19(A)に示される実施例では、表示エリア内において路面傾斜部の傾斜方向(ここでは下り方向)を示す多くのマーク(ここではガルウイング印)が紙面奥行き方向に並んでいるため、傾斜部の傾斜方向を運転者に認識させることができる。 一方、図19(B)に示される比較例では、表示エリア内において少数の丸印が紙面奥行き方向に並んでいるが、路面傾斜部の傾斜方向を運転者に認識させることは困難である。 なお、図19(A)及び図19(B)のいずれも、表示エリア内に表示されるマークは、手前から奥へ行くほど小さくなっており、奥行き感(遠近感)は表現されている。 【0125】 また、別の具体例として、自動車の前方に上り坂があるときの実施例について図20及び図21を用いて説明する。ここでは、便宜上、まっすぐな上り坂とする。 【0126】 自動車の前方に上り坂があると、進路情報を構成する一連の複数のマークのうち路面傾斜部に重畳される複数(例えば6つ)のマークM5〜M10と、該路面傾斜部に連続し該路面傾斜部よりも自動車から見て奥側の路面の平坦部(「路面平坦部」とも呼ぶ)に重畳される複数(例えば4つ)のマークM1〜M4とを含む複数(例えば10個)のマークM1〜M10の少なくとも一部(ここでは大半)は、表示エリアの上方に位置し表示エリアに入らない(図20(A)及び図20(B)参照)。 【0127】 そこで、10個のマークM1〜M10を全体として緩やかな曲線もしくは直線を描くように下方にシフトさせて4つのマークM7〜M10を表示エリア内に位置させるとともに10個のマークM1〜M10の形状をそれぞれ例えば丸印からガルウイング印に変えることにより、シフト後の10個のマークM1s〜M10sを得ることができる。表示エリア内の4つのマークM7s〜M10sにより路面傾斜部の傾斜方向(ここでは上り方向)を運転者に事前に認識させることができ、運転者は差し迫る路面の傾斜(ここでは上り坂)に備えて加減速等の必要な操作を行うことができる。 【0128】 図20(B)は、図20(A)に比べて、路面傾斜部の傾斜が大きく、路面傾斜部の各位置と表示エリアとの鉛直方向の距離が長くなるため、10個のマークM1〜M10のシフト量を大きくする必要がある。 【0129】 なお、図20では、10個のマークM1〜M10の全てを下方にシフトさせているが、例えば、路面傾斜部に重畳される6つのマークM5〜M10のみや、路面傾斜部に重畳される5つのマークM6〜M10のみや、路面傾斜部に重畳される4つのマークM7〜M10のみを下方にシフトさせても良い。 【0130】 図21(A)及び図21(B)には、それぞれ上り坂の実施例及び比較例において運転席から前方を見たときの路面と表示エリアが示されている。 【0131】 図21(A)に示される実施例では、表示エリア内において路面傾斜部の傾斜方向(ここでは上り方向)を示す多くのマーク(ここではガルウイング印)が紙面奥行き方向に並んでいるため、路面傾斜部の傾斜方向を運転者に認識させることができる。 一方、図21(B)に示される比較例では、表示エリア内において少数の丸印が紙面奥行き方向に並んでいるが、路面傾斜部の傾斜方向を運転者に認識させことは困難である。 なお、図21(A)では、表示エリア内に表示されるマークは、手前から奥へ行くほど小さくなっており、奥行き感(遠近感)が表現されているため、路面傾斜部の傾斜方向をより容易に認識させることができる。 【0132】 これまでの説明から分かるように、進路情報に進路変化情報が含まれる場合に、自動車から進路変化情報が重畳される路面までの距離や、進路変化情報における進路変化方向(例えば右、左、上、下、右上、右下、左上、左下等)に基づいて進路変化情報のシフト方向やシフト量を制御することが好ましい。 【0133】 例えば進路変化情報がカーブ情報のみを含む場合には、進路変化情報のシフト方向を上方とし、シフト量を自動車から進路変化情報が重畳される路面までの距離に基づいて制御することが好ましい。 【0134】 また、例えば進路変化情報が下り情報のみを含む場合には、進路変化情報のシフト方向を上方とし、シフト量を路面の傾斜の大きさに基づいて制御することが好ましい。 【0135】 また、例えば進路変化情報が上り情報のみを含む場合には、進路変化情報のシフト方向を下方とし、シフト量を路面の傾斜の大きさに基づいて制御することが好ましい。 【0136】 また、例えば進路変化情報がカーブ情報及び下り情報を含む場合(曲がりのある下り坂の情報の場合)には、進路変化情報のシフト方向を上方とし、シフト量を自動車から進路変化情報が重畳される路面までの距離及び路面の傾斜の大きさに基づいて制御することが好ましい。 【0137】 また、例えば進路変化情報がカーブ情報及び上り情報を含む場合(曲がりのある上り坂の情報の場合)には、進路変化情報のシフト方向及びシフト量を、自動車から進路変化情報が重畳される路面までの距離及び路面の傾斜の大きさに基づいて制御することが好ましい。 【0138】 以上のように、下り坂に重畳されるマークはHUD装置の画角(表示エリア)から外れやすく、画角内に入る場合にも複数のマークが狭い範囲に密集したり、遠くのマークを幾何的に正しい表示をすると小さくなりすぎたりする(図19(B)参照)。 上記実施例においては、下り坂に重畳されるマークを上方に移動させ、画角内での描画に適した例えば緩やかな下り坂状に描画することで、マークの数と大きさを視認しやすいものにできる(図18、図19(A)参照)。 【0139】 また、上り坂に重畳されるマークもHUD装置の画角(表示エリア)から外れやすく、画角内に入る場合にも少ないマークしか収まらない場合が多くなる(図21(B)参照)。 上記実施例においては、上り坂に重畳されるマークを下方に移動させ、画角内での描画に適した緩やかな上り坂状あるいは平坦な形状に描画することで、マークの数と大きさを視認しやすいものにできる(図20、図21(A)参照)。」 カ「 」(【図1】) キ「 」(【図3】) ク「 」(【図9】) ケ「 」(【図10】) コ「 」(【図11】) サ「 」(【図12】) シ「 」(【図13】) ス「 」(【図14】) セ「 」(【図18】) ソ「 」(【図19】) タ「 」(【図20】) チ「 」(【図21】) (2)引用発明 上記(1)の記載事項からみて、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 カーナビからのナビ情報が入力される外部情報入力部802と、 外部情報入力部802に入力されたカーナビからのナビ情報に基づき決定される光走査装置10、スクリーン30及び凹面ミラー40を含む表示手段上の自車両が進むべき進路(自車両の移動予定の進路)を示す進路にマークが表示される画像描画部806と、 を備えるHUD装置100。」 2 引用文献2 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、以下の事項が記載されている。 ア「【技術分野】 【0001】 本発明は、車両制御システム、車両制御方法、およびプログラムに関する。」 イ「【0052】 図3は、推奨車線に基づいて目標軌道が生成される様子を示す図である。図示するように、推奨車線は、目的地までの経路に沿って走行するのに都合が良いように設定される。行動計画生成部323は、推奨車線の切り替わり地点の所定距離手前(イベントの種類に応じて決定されてよい)に差し掛かると、車線変更イベント、分岐イベント、合流イベント等を起動する。各イベントの実行中に、障害物を回避する必要が生じた場合には、図示するように回避軌道が生成される。 【0053】 また、行動計画生成部323は、車線変更イベントを起動すると、車線変更のための目標軌道を生成する。図4および図5は、車線変更の際の処理について説明するための図である。まず、行動計画生成部323は、自車両Mが走行する車線(自車線)L1に対して隣接する隣接車線であって、車線変更先の隣接車線L2を走行する周辺車両から2台の周辺車両を選択し、これらの周辺車両の間に車線変更ターゲット位置TAsを設定する。以下、隣接車線において車線変更ターゲット位置TAsの直前を走行する周辺車両を前方基準車両mBと称し、隣接車線において車線変更ターゲット位置TAsの直後を走行する周辺車両を後方基準車両mCと称して説明する。車線変更ターゲット位置TAsは、自車両Mと前方基準車両mBおよび後方基準車両mCとの位置関係に基づく相対的な位置である。」 ウ「【0059】 一次条件を満たす場合、行動計画生成部323は、車線変更のための軌道の候補を生成する。図5の例では、行動計画生成部323は、前走車両MA、前方基準車両mBおよび後方基準車両mCが所定の速度モデルで走行するものと仮定し、これら3台の車両の速度モデルと自車両Mの速度とに基づいて、自車両Mが前走車両MAと干渉せずに、将来のある時刻において前方基準車両mBと後方基準車両mCとの間に位置するように軌道の候補を生成する。例えば、行動計画生成部323は、現在の自車両Mの位置から、将来のある時刻における前方基準車両mBの位置や、車線変更先の車線の中央、且つ車線変更の終了地点までをスプライン曲線等の多項式曲線を用いて滑らかに繋ぎ、この曲線上に等間隔あるいは不等間隔で軌道点Kを所定個数配置する。この際、行動計画生成部323は、軌道点Kの少なくとも1つが車線変更ターゲット位置TAs内に配置されるように軌道を生成する。 【0060】 各種場面において、行動計画生成部323は、複数の目標軌道の候補を生成し、その時点で目的地までの経路に適合する最適な目標軌道を選択する。」 エ「【0116】 図16は、第2の度合の運転支援中において、第1の表示部450およびHUD460に表示される画面の一例を示す図である。HMI制御部120は、第3画面IM3−3の運転支援状態表示領域620−3に、第2の度合の運転支援に対応した「Hands Off」の画像をハイライト表示させる。これにより、乗員は、第2の度合の運転支援が行われていることを把握することができる。 【0117】 また、HMI制御部120は、周辺検知情報表示領域600−3に、例えば、第2地図情報62から取得した自車両Mの前方の道路形状を示す画像と、自車位置認識部322により認識された自車両Mを示す画像と、外界認識部321により取得した周辺車両mを示す画像と、行動計画生成部323により生成された自車両Mの将来の軌道を示す将来軌道画像602とを表示させる。また、HMI制御部120は、周辺検知情報表示領域600−3に、第2の度合における運転支援(図では自動走行)を開始するが、乗員に周辺の交通状況を継続して監視させる旨の情報を表示させる。」 オ「【0121】 HMI制御部120は、HUD460の第4画面IM4−3に、第4画面IM4−2と同様の情報に加えて、自車両Mの将来の軌道を示す将来軌道画像602を表示させる。」 カ「【0124】 図17は、自車両Mの挙動が変化する前の第1のタイミングにおいて表示される第3画面IM3−4および第4画面IM4−4の一例を示す図である。HMI制御部120は、第3画面IM3−4の周辺検知情報表示領域600−4に、周辺検知情報表示領域600−3で表示された内容に加えて、例えば、自車用Mが車線変更する方向を示す旨を示す画像604を表示させる。図17の例では、自車両Mが走行車線に隣接する右車線に車線変更する画像604が表示される。」 キ「【0141】 図23は、自車両Mの加速制御時に表示される第3画面IM3−6および第4画面IM4−6の一例を示す図である。この図に示す場面では、まだ低速追従走行の発動条件を満たしていない。HMI制御部120は、第3画面IM3−6の周辺検知情報表示領域600−6に、加速制御が実行されていることを示す画像608を表示させる。画像608は、自車両Mの加速を示す図形である。画像608は、自車両Mを示す画像の前方に表示される。この場合、HMI制御部120は、自車両Mが加速する前の第1のタイミングにおいて、画像608の外枠を付与した表示態様で表示させ、自車両Mが加速する前の第2のタイミングにおいて、画像の外枠の中を着色した表示態様で表示させてもよい。また、HMI制御部120は、加速時には、画像608が自車両の進行方向に向かって移動するようなアニメーションを表示させてもよい。この逆に、HMI制御部120は、減速時には、画像608が自車両に向かって移動するようなアニメーションを表示させてもよい。これにより、乗員は、自車両Mの加速制御が実行されていることを直観的に把握することができる。」 ク「【0144】 図24は、低速追従走行時に表示される第3画面IM3−7および第4画面IM4−7の一例を示す図である。HMI制御部120は、周辺検知情報表示領域600−7に、第3の度合の運転支援が実行されていることを示す周辺検知画像610Aを表示させる。」 ケ「【0159】 <場面(6)> 場面(6)では、自動運転制御ユニット300は、低速追従する前走車両mが存在しないため、自車両Mを第3の度合から第2の度合の運転支援に切り替える。この場合、HMI制御部120は、運転支援の度合の変化に基づいて、図25に示すように、乗員に要求する乗員の監視対象または操作対象を示唆する情報を、第1の表示部450またはHUD460の一方または双方に表示させる。 【0160】 図25は、乗員に周辺監視を要求するために表示される第3画面IM3−8および第4画面IM4−8の一例を示す図である。HMI制御部120は、周辺検知情報表示領域600−8に、低速追従走行(図では「渋滞追従自動運転」)が終了する旨の情報と、乗員に周辺の交通状況を確認させる旨を示す情報とを表示させる。」 コ「【0162】 乗員状態監視部140は、車室内カメラ90の撮像画像により、乗員が周辺監視を行っているか否かを判定する。乗員が周辺監視を行っていると判定された場合、切替制御部110は、自動運転制御ユニット300に、自車両Mの運転支援を第3の度合から第2の度合に切り替えさせる。HMI制御部120は、図26に示すように、第1の表示部450またはHUD460の一方または双方に、第2の度合による運転支援に対応する画面を表示させる。 【0163】 図26は、第3の度合から第2の度合に切り替わった場合の第3画面IM3−9および第4画面IM4−9の一例を示す図である。図26の例では、自車両Mが第2の度合の運転支援により、行動計画生成部323により定められた目標速度(例えば80[km/h])まで加速する例を示している。HMI制御部120は、例えば、第3画面IM3−9の周辺検知情報表示領域600−9に、例えば、加速制御が実行されていることを示す画像608を表示させる。」 サ「【0178】 図31は、手動運転時への切り替え要求時に表示される第3画面IM3−10および第4画面IM4−10の一例を示す図である。HMI制御部120は、高速道路の出口が近づいているため、第3画面IM3−10の周辺検知情報表示領域600−10に、乗員にステアリングホイール82の操作を要求する旨の要求動作通知画像628を表示させる。また、HMI制御部120は、要求動作通知画像628として、ステアリングホイール82を示す画像から乗員の手を示す画像が近づいていくようなアニメーションを表示させてもよい。」 シ「 」(【図3】) ス「 」(【図5】) セ「 」(【図16】) ソ「 」(【図17】) タ「 」(【図18】) チ「 」(【図23】) ツ「 」(【図24】) テ「 」(【図25】) ト「 」(【図26】) ナ「 」(【図31】) 3 引用文献3 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、以下の事項が記載されている。 ア「【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、乗用車やトラックやタクシーなどの各種の車両に搭載される車載用表示装置に関するものである。 【0002】 【従来技術】乗用車やトラックやタクシーなどの各種の車両については、運転の安全性を高めるために、周辺の車両などの障害物を検出して車線変更などへの警報を発するレーダーシステムや、道路に不慣れな人に案内情報を提供するナビゲーションシステムなど各種の運転支援システムが開発されつつある。このような各種の運転支援システムのうち比較的最近のものとして、各種のセンサを利用して車両の走行状態を検出し、この検出した走行状態に基づいて将来の車両の予測走行軌跡を算定し、これをヘッドアップ型表示装置に表示する車載用表示システムが知られている。 【0003】すなわち、本出願人が先に特許出願した「車両用表示装置」と題する特許出願(特開昭64ー83424 号公報) によれば、図5に示すような構成のヘッドアップ型表示装置を含む車載用表示装置が開示されている。車速、加減速度、舵角、ヨーレイトなど車両の走行状態を示す各種の情報がセンサで検出されてコンピュータで処理され、車両の予測走行軌跡が算定される。算定された予測走行軌跡はプロジェクター12からスクリーン11に投射される。このスクリーン11とフロントグラスとを通して前方を見ている運転者には、図6に示すように、車両の前方の景色とスクリーン11から反射されて視野に入って来る予測走行軌跡Cとが重畳されて感得される。この例では、現在の運転状態を保持することにより道路に沿って走行可能であることが予測されている。」 イ「【0007】 【実施例】図3は、本発明の一実施例の車載用表示装置構成を示すブロック図であり、1はCPU、2は入力インタフェース回路、3はデータメモリ、4は画面メモリ、5は表示制御部、6はプロジェクタ、7はスクリーン、8はキーボードである。スクリーン7は、図5に示した従来装置の場合と同様に、運転席とフロントグラスとの間に配置されており、運転者がスクリーン7上に投影された画像と車両の前方の景色とを重畳した状態で感得できるように構成されている。 【0008】CPU1は、各種のセンサによって検出される車速、舵角、加減速、ヨーレイトなど車両の走行状態を示す。各種の情報を入力インタフェース回路2を介して受け取り、これらをデータメモリ3に走行履歴情報として保存しながら次々に処理してゆくことにより、予測走行軌跡を算定する。この予測走行軌跡の算定方法は、適宜なもの、例えば、前述の特許出願(特開昭64ー83424 号公報) に開示されたものでよい。 【0009】CPU1は、図4に例示するように、まず、車両の現在の重心の位置を原点とするXーY平面内に車両の重心の予測走行軌跡Gを描く。次に、CPU1は、予測走行軌跡G上に車体の長さよりも短い一定の間隔を保ちながら点群G0 ,G1,G2,G3・・・を配置する。更に、CPU1は、重心の予測走行軌跡G上に配列した点群G0 ,G1,G2,G3・・・のそれぞれに車体の重心を一致させながら矩形で近似した車体の輪郭を示す枠体B0,B1,B2,B3・・・・を配列してゆく。この枠体で近似した車体の長さと横幅のそれぞれは、実際の車体の長さと横幅の最大値のそれぞれに等しい値に設定される。最後にCPU1は、上記予測走行軌跡G上に配列された枠体の群のそれぞれを原点上に設定した一定の高さの位置から鳥瞰した場合の鳥瞰図に変換し、これを画面メモリ内に書込んでゆく。 【0010】CPU1によって画面メモリ4に書込まれた車体列の鳥瞰図は、表示制御部5によって周期的に読出されてプロジェクタ6に供給され、ここからスクリーン7に投射される。スクリーン7に投射された車体列の鳥瞰図B1,B2,B3・・・・は、スクリーン7で反射されて運転者の視野に飛びこむ。この結果、運転者は、プロジェクタ6から投射された車体列の鳥瞰図B1,B2,B3・・・・と車両前方の道路の景色とが重畳された図1に例示するような情景を見ることになる。このように、車体の幅が表示されるため、急カーブの狭い道路などをうまく曲がりきれるかどうかなどを、運転者は的確に予測できる。」 ウ「【0013】CPU1は、ブレーキ操作によって減速が行われている状態では、車速がゼロになる位置、すなわち車両の停止位置を予測する。この場合、車体列の鳥瞰図によって表示される予測走行軌跡はこの停止位置で終わることになる。特に、CPU1は、所定値以上の減速度(負の加速度)が発生している急制動時に、予測走行軌跡上の予測停止位置を点滅その他の手法によって強調して表示する。 【0014】すなわち、図2に例示するように、前方の障害物に対処して急制動を行った場合に、停止位置を示す最後の枠体がどれであるかを、枠体B5の点滅による強調によって明示する。このように停止位置を示す最後の枠体を他のものよりも強調して表示することにより、障害物などの直前での停止の可否、すなわち危険を伴う操舵による回避の要否が的確に予測できる。」 エ「 」(【図1】) オ「 」(【図2】) カ「 」(【図4】) キ「 」(【図5】) ク「 」(【図6】) 4 引用文献4 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、以下の事項が記載されている。 ア「【技術分野】 【0001】 この明細書による開示は、車両の操舵操作の制御権について、自動運転機能から運転者への移譲を制御する移譲制御装置に関する。」 イ「【0023】 ヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display(HUD))装置40は、HCU100から取得する表示制御情報に基づく画像の光を、ウインドシールド13に規定された投影領域14へ投影する。投影領域14は、ウインドシールド13のうちで運転席17に着座する運転者の正面に規定されている。HUD装置40によって投影された画像の光は、投影領域14にて車室内側に反射され、運転席17に着座する運転者によって知覚される。運転者は、HUD装置40によって投影された画像の虚像50を、車両Aの前方の外界風景(前景)と重ねて視認可能となる。HUD装置40によって投影される画像は、前景の路面等と重畳され、所謂AR(Augmented Reality)表示を実現する。」 ウ「【0030】 表示制御部63は、感覚回復部62による感覚回復シーケンスにおいて、予測走行軌跡51を表示させる。表示制御部63は、HUD装置40へ向けて出力する表示制御情報によってHUD装置40を制御することにより、車両Aの前景に重ねられる虚像50として、予測走行軌跡51を表示させる。加えて図4に示すように、虚像50として投影領域14に表示される画像には、一対の区画線マーカ52,53が含まれている。 【0031】 予測走行軌跡51は、矢印状に形成された画像部である。予測走行軌跡51は、ステアリングホイール15への操舵操作の入力に対応して、上方に位置する端点(以下「先端」)の位置を左右へ変位させる。予測走行軌跡51は、ステアリングホイール15の回動と同期するように、先端側を湾曲させた矢印状に変形する(図5等参照)。予測走行軌跡51の先端の左右への変位量は、ステアリングホイール15に入力される操舵操作の操作量(以下、「操舵量」)と、車両Aの走行速度とに基づいて決定され、具体的には操舵量及び走行速度に比例している。予測走行軌跡51の先端は、現在の走行速度を維持して走行した場合に、所定秒数(例えば2秒)の経過後に車両Aが到達する予想到達位置を示している。即ち、操舵量が大きくなるほど、予測走行軌跡51の先端は、操舵操作に対応した方向へ大きく変位する。同様に、走行速度が高くなるほど、予測走行軌跡51の先端は、操舵操作に対応した方向へ大きく変位する。以上のような表示態様の変化により、予測走行軌跡51は、ステアリングホイール15の操舵量と、車両Aの横方向への動きとの関係を運転者に捉えさせる効果を発揮する。 【0032】 各区画線マーカ52,53は、前景における車両両側の区画線に沿って帯状に延伸する画像である。各区画線マーカ52,53は、区画線に重ねて表示されるか、又は区画線の内側に重ねて表示される。各区画線マーカ52,53は通常、例えば水色等の表示色で表示される。 【0033】 感覚回復部62及び表示制御部63は、感覚回復シーケンスにて、ステアリングホイール15の回動に合わせて、予測走行軌跡51の表示態様と、ステアリングホイール15の操舵反力とを変化させることで、操舵操作に係る運転者の運転感覚を回復させる。以下、感覚回復シーケンスにおける模擬的な操舵操作と表示及び操舵反力との対応関係を、図5〜図7に基づいて、図1を参照しつつ説明する。 【0034】 図5に示すように、ステアリングホイール15の操舵量が後述する注意閾値よりも小さい場合、予測走行軌跡51は、表示色を変化させることなく、各区画線マーカ52,53と同一の通常の表示色(例えば水色)を維持したまま、操舵方向へ先端を変位させる。操舵量が小さいため、予測走行軌跡51に生じる表示変位角度も小さくなる。」 エ「【0036】 図6に示すように、ステアリングホイール15の操舵量が注意閾値を超えると、予測走行軌跡51は、各区画線マーカ52,53とは異なった注意色(例えば黄色)で表示される。予測走行軌跡51は、表示色を変化させることにより、比較的過大な操舵操作が入力されていることを運転者に注意喚起する。注意閾値は、例えば予測走行軌跡51の先端が左右いずれかの区画線マーカ52,53と接する程度の操作量に設定される。また、予測走行軌跡51に生じる表示変位角度は、中程度となる。」 オ「【0038】 図7に示すように、ステアリングホイール15の操作量が警告閾値を超えると、予測走行軌跡51は、上述の注意色と異なった警告色(例えばアンバー又は赤色)で表示される。警告閾値は、注意閾値と同様に運転感覚の未回復を示す閾値であって、注意閾値よりもさらに大きい値に設定されている。警告閾値は、例えば予測走行軌跡51が左右いずれかの区画線マーカ52,53と交差する程度の操作量に設定される。予測走行軌跡51は、表示色を変化させることにより、非常に過大な操舵操作が入力されていることを運転者に強く警告する。また、予測走行軌跡51に生じる表示変位角度は、大きくなる。」 カ「 」(【図4】) キ「 」(【図5】) ク「 」(【図6】) ケ「 」(【図7】) 5 引用文献5 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、以下の事項が記載されている。 ア「【技術分野】 【0001】 本願は、表示制御装置、操作制御方法、および、表示制御装置用プログラムの技術分野に属する。」 イ「【0016】 適正速度における適正車間距離の一例として、適正速度×車間時間が挙げられる。なお、前方の車両が所定の地点を通過してから、次の車両が通過するまでの車間時間が、2秒〜3秒必要と言われている。また、路面の状況に応じて、車間時間を変えるようにしてよい。例えば、雨で濡れている場合は、車間時間を長くする。凍結している場合は、さらに長くする。また、車両のブレーキの制動能力に応じて、または、タイヤの種類に応じて、車間時間を変えてもよい。」 ウ「【0034】 (1.1 表示システムの構成および機能概要) 図2に示すように、ヘッドアップディスプレイを構成する表示システム1は、画像を投影するために光を出射する光源装置5と、光源装置5から投影する画像と移動体の一例の車両20の前方の風景とを合成するコンバイナ7と、表示システム1を制御する表示制御装置10と、を備える。」 エ「【0050】 図4に示すように、表示制御装置10は、フロントウィンドウ22を介して視認される風景30に重畳させて、コンバイナ7を介して虚像Ivを運転者に視認させる。具体的には、図4では、表示制御装置10は、コンバイナ7と重なる範囲に、第1表示像15と、第2表示像16とを虚像Ivとしてそれぞれ表示させている。 【0051】 図4に示すように、第1表示像15は、車両20の位置に対応した適正速度における適正車間距離を示した図形の一例である。第1表示像15は、適正車間距離に対応する直径を有する適正距離リングである。適正距離リングの直径d1は、適正車間距離D1(車間時間2秒)を示している。 【0052】 第1表示像15は、車両20の位置に対応した適正車間距離D1を視覚的に表現する。例えば、現在位置から料金所30aまでの距離が、所定距離以内になった場合、料金所30aにおける適正速度(例えば、20km/h)のための車間距離D1が、第1表示像15として、視覚的に表現される。天候や渋滞で、制限速度が変わっている区間までの距離が、所定距離以内になった場合、適正速度(例えば、50km/h)のための車間距離D1が、第1表示像15として、視覚的に表現される。 【0053】 第1表示像15は、車両の前方の風景に重畳されるための立体的な表示に変換されている。すなわち、運転者のアイポイントPeに近い方の適正距離リング部分は、幅が大きくなるように、遠方の適正距離リング部分は、幅が小さくなるように、第1表示像15が形成されている。 【0054】 第1表示像15は、運転者の視点の左右に分割していて、分割されて表示されている第1表示像15の間に第2表示像16が表示される。第1表示像15が、第2表示像16を左右から挟むことにより、第1表示像15が示す車間距離と、第2表示像16が示す車間距離との比較がしやすくなる。分割された第1表示像15の端点間の距離、すなわち、奥行き方向の長さ、距離d1になるように、第1表示像15が表示される。 【0055】 なお、第1表示像15の形状は、円形または楕円形を含む帯状の円形型である。 【0056】 第2表示像16は、車両20の走行速度における適正車間距離D2を示した図形の一例である。図4に示すように、第2表示像16は、矩形形状の車間フレーム16a(車間図形の一例)と補助フレーム16b(補助図形の一例)とから形成される。車間フレーム16aは、例えば、緑色に着色される。補助フレーム16bは、例えば、白色に着色、または、枠のみの表示となる。 【0057】 2つの車間フレーム16aにより、車両20の現在の走行速度における適正車間距離D2を示す。2つの車間フレーム16aの間隔d2が、走行速度における適正車間距離D2を視覚的に表現する。立体感がでるように、奥行きの距離に応じて、運転者のアイポイントPeに近い車間フレーム16aが、アイポイントPeから遠い車間フレーム16aより大きく表示されている。 【0058】 補助フレーム16bは、運転者の視界前方、2つの車間フレーム16aの間に、例えば、2枚挿入される形で表示される。また、アイポイントPeからの奥行きに応じて、補助フレーム16bの大きさが変わるようになっている。補助フレーム16bは、2つの車間フレーム16aの間に、視覚的に等間隔に挿入されて、距離感および立体感を補助する機能を有する。 【0059】 図5に示すように、第1表示像15および第2表示像16は、運転者のアイポイントPeから、上方に位置し存在するように、虚像上、配置される。第2表示像16の車間フレーム16aおよび補助フレーム16bが、順に配置される。」 オ「【0061】 なお、図4および図5は、車両20の走行速度における適正車間距離D2(d2)が、車両20の位置に対応した適正車間距離D1(d1)より長い場合の図である。」 カ「【0070】 次に、表示制御装置10は、位置に対応した適正速度における適正車間距離を算出する(ステップS4)。具体的には、システム制御部12は、ステップS3において取得した適正速度に対応した適正車間距離D1を算出する。より具体的には、取得した適正速度×車間時間により適正車間距離D1を算出する。 【0071】 次に、表示制御装置10は、第1表示像を生成する(ステップS5)。具体的には、システム制御部12は、ステップS4で算出された適正車間距離D1に対応した、リングの直径d1を有する第1表示像15を生成する。位置に対応した適正速度が遅い場合、図7Aに示すように、第1表示像15の適正距離リングの直径を小さくし、第1表示像15の表示も小さくする。なお、図7Bに示すように、適正距離リングの表示角を変えることにより、適正車間距離が変化したことを示してもよい。 【0072】 次に、表示制御装置10は、走行速度における適正車間距離を算出する(ステップS6)。具体的には、システム制御部12は、ステップS2で取得した走行速度×車間時間により、走行速度における適正車間距離D2を算出する。 【0073】 次に、表示制御装置10は、第2表示像を生成する(ステップS7)。具体的には、システム制御部12は、図4に示すように、距離d2離れている車間フレーム16aと、車間フレーム16aの間に挿入された補助フレーム16bから構成される第2表示像16を生成する。 【0074】 そして、ステップS4で算出した、位置に対応した適正速度における適正車間距離と、ステップS6で算出した、走行速度における適正車間距離との差がある場合(所定値以上の差がある場合)、または、適正速度と走行速度との差がある(所定値以上の差がある)場合に、システム制御部12は、図8Aから図8Cに示すように、車間フレーム16aと補助フレーム16bとが動く第2表示像16を生成する。 【0075】 図8Aから図8Cに示すように、車両20の走行速度における適正車間距離D2(d2)が、車両20の位置に対応した適正車間距離D1(d1)より長い場合、車間フレーム16aと補助フレーム16bとが、運転者のアイポイントPeに近づく方向に移動する。図9に示すように、車間フレーム16aおよび補助フレーム16bは、運転者のアイポイントPeに近づくにつれて、大きさが大きくなる。 【0076】 また、車間フレーム16aおよび補助フレーム16bは、コンバイナ7の枠に収まり、コンバイナ7から出て行く車間フレーム16aおよび補助フレーム16bは、消えてゆくような第2表示像16が生成される。 【0077】 一方、車両20の走行速度における適正車間距離D2(d2)が、車両20の位置に対応した適正車間距離D1(d1)より短い場合、すなわち、走行速度が適正速度より遅い場合、図10Aに示すように、間隔が詰まったように、車間フレーム16aおよび補助フレーム16bが表示される。 【0078】 なお、図10Aから図10Cに示すように、車両20の走行速度における適正車間距離D2(d2)が、車両20の位置に対応した適正車間距離D1(d1)より短い場合、車間フレーム16aと補助フレーム16bとが、運転者のアイポイントPeから離れる方向に移動してもよい。」 キ「【0082】 図10Aから図10Cに示すように、車間フレーム16aおよび補助フレーム16bが表示される枚数が多くなり、見た目の間隔が短くなる。 【0083】 次に、表示制御装置10は、第1表示像および第2表示像を表示する(ステップS8)。具体的には、システム制御部12は、コンバイナ7に虚像を投影するために、光源装置5に生成された第1表示像15および第2表示像16のデータを送信する。そして、光源装置5が生成された第1表示像15および第2表示像16をコンバイナ7に投影する。」 ク「【0094】 図11Aから図11Cは、第1表示像に距離ゲージを表示した一例を示す模式図である。図12は、第1表示像の変形例を示す模式図である。 【0095】 図11Aから図11Cに示すように、第1表示像15に、適正速度が変更する地点までの距離を示す距離ゲージ15aを表示してもよい。 【0096】 図11Aに示すように、現在位置が料金所30aまで十分あるが近づきつつある場合(例えば、300m)、距離ゲージ15aを、第1表示像15の遠方方向から表示させ始める。 【0097】 次に、図11Bに示すように、料金所30aに近づいてきた場合(例えば、150m)、距離ゲージ15aを、第1表示像15の半分ほどまで、運転者のアイポイントPeに近づけるように表示させる。 【0098】 次に、図11Cに示すように、料金所30aが迫って来た場合(例えば、20m)、距離ゲージ15aを、第1表示像15のほぼ全体に表示させる。」 ケ「【0101】 なお、図12に示すように、第1表示像15Aを、端点において鍵型にしたりしてもよい。」 コ「 」(【図2】) サ「 」(【図4】) シ「 」(【図5】) ス「 」(【図7A】) セ「 」(【図7B】) ソ「 」(【図8A】) タ「 」(【図8B】) チ「 」(【図8C】) ツ「 」(【図9】) テ「 」(【図10A】) ト「 」(【図10B】) ナ「 」(【図10C】) ニ「 」(【図11A】) ヌ「 」(【図11B】) ネ「 」(【図11C】) ノ「 」(【図12】) 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「カーナビからのナビ情報」は前者の「自車両の未来位置に対応する座標情報」に相当し、以下同様に、「入力される」ことは「取得する」ことに、「外部情報入力部802」は「取得手段」に、「カーナビからのナビ情報」は「座標情報」に、「光走査装置10、スクリーン30及び凹面ミラー40を含む表示手段」は「ヘッドアップディスプレイ」に、「自車両が進むべき進路(自車両の移動予定の進路)を示す進路」は「自車両の未来位置に対応する位置」に、「マーク」は「マーカー」に、「表示される」は「表示させる」に、それぞれ相当する。 イ 後者の「外部情報入力部802に入力されたカーナビからのナビ情報に基づき決定される光走査装置10、スクリーン30及び凹面ミラー40を含む表示手段上の自車両が進むべき進路(自車両の移動予定の進路)を示す進路にマーク画像描画部806」は前者の「取得手段が取得した座標情報に基づき決定されるヘッドアップディスプレイ上の自車両の未来位置に対応する位置にマーカーを表示させると共に、未来位置に基づいてマーカーの幅よりも広くマーカーを包含する帯状の軌道線をヘッドアップディスプレイに表示させる表示制御手段」と「取得手段が取得した座標情報に基づき決定されるヘッドアップディスプレイ上の自車両の未来位置に対応する位置にマーカーを表示させる表示制御手段」の限りにおいて一致する。 ウ 後者の「HUD装置100」は前者の「車両用表示制御装置」と上記ア及びイの限りにおいて一致する「車両用表示制御装置」の限りにおいて一致する。 エ そうすると、両者は、 「 自車両の未来位置に対応する座標情報を取得する取得手段と、 取得手段が取得した座標情報に基づき決定されるヘッドアップディスプレイ上の自車両の未来位置に対応する位置にマーカーを表示させる表示制御手段と、 を備える車両用表示制御装置。」 において一致し、以下の各点で相違すると認められる。 <相違点> 表示制御手段に関して、本願発明1の表示制御手段は、取得手段が取得した座標情報に基づき決定されるヘッドアップディスプレイ上の自車両の未来位置に対応する位置にマーカーを表示させる「と共に、未来位置に基づいてマーカーの幅よりも広くマーカーを包含する帯状の軌道線をヘッドアップディスプレイに表示させる」ものであるのに対して、引用発明の画像描画部806(表示制御手段)は、外部情報入力部802(取得手段)に入力された(が取得した)カーナビからのナビ情報(座標情報)に基づき決定される光走査装置10、スクリーン30及び凹面ミラー40を含む表示手段(ヘッドアップディスプレイ)上の自車両が進むべき進路(自車両の移動予定の進路)を示す進路(自車両の未来位置に対応する位置)にマーク(マーカー)が表示される(を表示させる)ものではあるものの、本願発明1のようにマーク(マーカー)が表示される(を表示させる)「と共に、未来位置に基づいてマーカーの幅よりも広くマーカーを包含する帯状の軌道線をヘッドアップディスプレイに表示させる」ものではない点。 (2)判断 相違点について検討する。 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2−5には、上記「第4 引用文献、引用発明等」の「2 引用文献2」−「5 引用文献5」に記載したとおりの技術的事項が記載されている。 しかしながら、引用文献2−5のいずれにおいても、相違点に係る本願発明1の「表示制御手段」のような「取得手段が取得した座標情報に基づき決定されるヘッドアップディスプレイ上の自車両の未来位置に対応する位置にマーカーを表示させると共に、未来位置に基づいてマーカーの幅よりも広くマーカーを包含する帯状の軌道線をヘッドアップディスプレイに表示させる」ことは記載も示唆もされていないことから、当業者といえども、引用発明及び引用文献2−5に記載された技術的事項から、相違点に係る本願発明1の発明特定事項に容易に想到することはできない。 よって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2−5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本願発明2−13について 本願発明2−13も本願発明1と同じ発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 3 本願発明14及び15は、それぞれ本願発明1の車両用表示制御装置による処理をコンピュータによって実行させる車両用表示制御方法に対応する発明及び本願発明1の車両用表示制御装置による処理をコンピュータに実行させるための車両用表示制御プログラムに対応する発明であり、本願発明1の発明特定事項に対応する発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1−15は、引用発明及び引用文献2−5に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2024-06-04 |
出願番号 | P2021-039514 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(B60K)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
八木 誠 |
特許庁審判官 |
青木 良憲 河端 賢 |
発明の名称 | 車両用表示制御装置、方法およびプログラム |
代理人 | 福田 浩志 |
代理人 | 加藤 和詳 |