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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B32B
審判 全部申し立て 2項進歩性  B32B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B32B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B32B
管理番号 1411228
総通号数 30 
発行国 JP 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2024-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-05-02 
確定日 2024-04-02 
異議申立件数
訂正明細書 true 
事件の表示 特許第6958551号発明「化粧材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6958551号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜10〕について訂正することを認める。 特許第6958551号の請求項1〜8、10に係る特許を維持する。 特許第6958551号の請求項9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6958551号の請求項1〜10に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、2017年(平成29年)5月26日(優先権主張 2016年5月26日 (JP)日本国)を国際出願日とする出願であって、令和3年10月11日にその特許権の設定登録がされ、同年11月2日に特許掲載公報が発行された。
本件特許についての特許異議申立人真角侑子(以下「申立人」という。)による特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和4年 5月 2日 特許異議の申立て
同年12月26日付け 取消理由通知書
令和5年 3月 3日 特許権者より意見書
同年 4月12日 申立人より上申書
同年 6月30日付け 取消理由通知書(決定の予告)
同年 9月 1日 特許権者より訂正請求書及び意見書
なお、令和5年9月29日付けで申立人に対し訂正請求があった旨の通知をしたが、その指定期間内に意見書の提出はされなかった。

第2 訂正の適否
令和5年9月1日の訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下の(1)〜(3)のとおりである(下線は訂正箇所である。)。
1 訂正の内容
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「 前記艶消し剤は、1次粒子が2次凝集して形成された粒子であることを特徴とする化粧材。」
と記載されているのを、
「 前記艶消し剤は、1次粒子が2次凝集して形成された粒子であり、
前記第1艶調整層を構成する樹脂組成物はフッ素系の樹脂であり、前記第2の艶調整層を構成する樹脂組成物はフッ素系またはビニル系の樹脂であることを特徴とする化粧材。」
に訂正する(請求項1を直接的または間接的に引用する請求項2〜8、10も同様に訂正する。)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項9を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1から9のいずれか1項に記載の化粧材。」と記載されているのを、「請求項1から8のいずれか1項に記載の化粧材。」に訂正する。

(4)一群の請求項
本件訂正の請求は、一群の請求項1〜10について請求されたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1において、「前記第1艶調整層を構成する樹脂組成物はフッ素系の樹脂であり、前記第2の艶調整層を構成する樹脂組成物はフッ素系またはビニル系の樹脂である」との事項の限定をするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、上記事項は、訂正前の請求項9及び段落【0023】に列挙される樹脂組成物から、「第1艶調整層」及び「第2艶調整層」のそれぞれについて、さらに限定したものであるので、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項9を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正事項2による請求項9の削除に伴い、当該請求項9を引用しないようにするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3 小括
以上のとおり、訂正事項1〜3による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜10〕について訂正することを認める。

第3 本件発明
上記第2のとおり本件訂正は認められたから、本件訂正後の本件特許の請求項1〜8、10に係る発明(以下「本件発明1〜8、10」ともいう。また、まとめて「本件発明」ともいう。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1〜8、10に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
「【請求項1】
基材上に設けられた第1の艶調整層と、前記第1の艶調整層上に部分的に設けられ、前記第1の艶調整層の艶と異なる艶を有する第2の艶調整層とを備え、
前記第1の艶調整層と前記第2の艶調整層とのうち、相対的に艶の低い艶調整層に、粒径が層厚の1.0倍未満の艶消し剤が添加されており、
前記艶消し剤が添加された前記艶調整層を当該艶調整層の層厚方向に2等分し、前記基材側に位置する層を下層とし、前記基材側とは反対側に位置する層を上層とした場合に、
前記上層には、前記艶調整層に添加された前記艶消し剤の50%以上が存在し、
前記艶消し剤は、1次粒子が2次凝集して形成された粒子であり、
前記第1艶調整層を構成する樹脂組成物はフッ素系の樹脂であり、前記第2の艶調整層を構成する樹脂組成物はフッ素系またはビニル系の樹脂であることを特徴とする化粧材。」
【請求項2】
前記艶消し剤は、無機材料からなることを特徴とする請求項1に記載の化粧材。
【請求項3】
前記艶消し剤の粒径は、2μm以上15μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧材。
【請求項4】
前記艶消し剤は、前記艶消し剤が添加された前記艶調整層を構成する樹脂組成物100質量部に対して、5質量部以上40質量部以下の範囲内で添加されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の化粧材。
【請求項5】
前記艶消し剤は、相対的に艶の高い艶調整層にも添加されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の化粧材。
【請求項6】
前記第1の艶調整層に添加された前記艶消し剤の含有量は、前記第2の艶調整層に添加された前記艶消し剤の含有量よりも多いことを特徴とする請求項5に記載の化粧材。
【請求項7】
前記第1の艶調整層に添加する前記艶消し剤の粒径は、前記第2の艶調整層に添加する前記艶消し剤の粒径と同じであることを特徴とする請求項5または6に記載の化粧材。
【請求項8】
前記艶消し剤の粒径は、前記艶消し剤が添加された前記艶調整層の層厚の0.2倍以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の化粧材。
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
前記艶消し剤は、シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、またはアクリルで形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の化粧材。」

第4 取消理由(決定の予告)の概要
当審が令和5年6月30日付けの取消理由通知(決定の予告)において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

進歩性)本件の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。



請求項及び引用文献の関係(申立人が提出した甲第○号証は、甲○と略記する。)
・甲1主引例
請求項1〜12 :甲1、甲4〜11
・甲2主引例
請求項1〜12 :甲2、甲1、甲4〜11
・甲3主引例
請求項1〜12 :甲3、甲1、甲4〜11

・引用文献一覧
甲1:国際公開第2015/046568号
甲2:特開2001−315286号公報
甲3:国際公開第2008/129667号
甲4:特開平8−206584号公報
甲5:特開昭57−4273号公報
甲6:特開昭57−122969号公報
甲7:日本シリカ工業株式会社営業本部 赤崎忠行,同技術開発部 福永登志一,「ゲル法シリカの特徴と応用」,東ソー研究・技術報告第45巻,2001年,65〜69頁
甲8:特開平7−166091号公報
甲9:特開平7−3182号公報
甲10:特表2012−508804号公報
甲11:特表平11−504354号公報
(甲4〜6、甲7〜11は周知技術を示す例示文献。)

第5 当審の判断
1 引用文献及び周知技術を示す例示文献の記載事項等
(1)甲1について
ア 記載事項
・「請求の範囲
[請求項1] 少なくとも、基材層と、第1の保護層と、前記第1の保護層の一部の上に設けられた第2の保護層とをこの順に有し、
前記第1の保護層が、多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物により形成されてなる、加飾シート。
・・・
[請求項11] 前記基材層と前記第1の保護層との間に、絵柄層をさらに有する、請求項1〜10のいずれかに記載の加飾シート。
・「[0040] 第1の保護層2を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物には、多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレートに加えて、以下のような他の電離放射線硬化性樹脂をさらに含んでいてもよい。他の電離放射線硬化性樹脂とは、上述の電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。」
・「[0042] また、他の電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。・・・」
・「[0044] また、第1の保護層2は、無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方を含んでいてもよい。なお、第1の保護層2において、無機粒子及び樹脂粒子は、主に、第1の保護層2の艶を低下させる機能を有し、艶を低下させる機能は、一般には無機粒子の方が樹脂粒子よりも大きい傾向がある。第1の保護層2に無機粒子または樹脂粒子が含まれる場合、これらの粒子は、第1の保護層2中に分散されている。
[0045] 無機粒子としては、無機化合物により形成された粒子であれば、特に制限されず、例えば、シリカ粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、アルミナ粒子、ガラスバルーン粒子が挙げられ、これらの中でも好ましくはシリカ粒子が挙げられる。無機粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。無機粒子の粒子径としては、例えば0.5〜20μm程度、好ましくは1〜10μm程度が挙げられる。なお、本発明において、無機粒子の粒子径は、島津レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−2100を使用し、圧縮空気を利用してノズルから測定対象となる粉体を噴射し、空気中に分散させて測定する、噴射型乾式測定方式により測定される値である。
[0046] 第1の保護層2が無機粒子を含む場合、無機粒子の含有量としては、特に制限されないが、上述の電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部程度、より好ましくは10〜40質量部程度が挙げられる。無機粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。」
・「[0049] なお、第1の保護層2において、無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方が含まれる場合、第1の保護層2の表面からこれらの粒子の一部が突出していてもよいし、第1の保護層2の内部に粒子が埋没していてもよい。」
・「[0051] 第1の保護層2の硬化後の厚みについては、特に制限されないが、例えば、0.1〜20μm程度、好ましくは0.5〜10μm程度、さらに好ましくは1〜5μm程度が挙げられる。このような範囲の厚みを満たすと、耐傷付き性等の表面保護層としての十分な物性が得られる。また、第1の保護層2を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物に対して電離放射線を均一に照射することが可能であるため、均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。一方、加飾シートの耐摩耗性を特に高める観点からは、第1の保護層2の硬化後の厚みとしては、好ましくは4μm以上、より好ましくは5〜10μm程度が挙げられる。なお、第1の保護層2が上述の無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方を含む場合、第1の保護層2の厚みとは、無機粒子または樹脂粒子が第1の保護層2の表面に位置していない部分の厚みをいう。」
・「[0054][第2の保護層3]
第2の保護層3は、本発明の加飾シートにおいて、第1の保護層2の一部の上に設けられており、これにより形成された凹凸形状によって、加飾シートに高い立体感を付与している。また、第2の保護層3と第1の保護層2との間に艶差を設けることよって、加飾シートに高い立体感を付与することができる。例えば、第2の保護層3を高艶状態(グロス)とし、第1の保護層2を低艶状態(マット)とし、両層間、ひいては第2の保護層3の形成部と非形成部との間に艶差を発現させることにより、加飾シートに高い立体感を付与することができる。」
・「[0057] 第2の保護層3における熱硬化性樹脂としては、特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、水酸基官能性アクリル樹脂、カルボキシル官能性アクリル樹脂、アミド官能性共重合体、ウレタン樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。」
・「[0060] 第2の保護層3は、無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方を含んでいてもよい。無機粒子及び樹脂粒子としては、それぞれ、第1の保護層2で例示した無機粒子及び樹脂粒子と同じものが例示できる。なお、第2の保護層3において、無機粒子及び樹脂粒子は、主に、第2の保護層3の艶を低下させる機能を発揮する。上述の通り、第1の保護層2と第2の保護層3とに艶差を設けることによって、加飾シートに高い立体感を付与することができる。第2の保護層3に無機粒子及び樹脂粒子が含まれる場合、これらの粒子は、第2の保護層3に分散されている。」
・「[0061] 第2の保護層3に含まれる無機粒子の粒子径としては、特に制限されないが、好ましくは0.5〜15μm程度、より好ましくは1〜10μm程度が挙げられる。また、樹脂粒子の粒子径としては、特に制限されないが、好ましくは0.1〜20μm程度、より好ましくは0.5〜15μm程度が挙げられる。
[0062] 第2の保護層3が無機粒子を含む場合、第2の保護層3に含まれる無機粒子の含有量としては、特に制限されず、第2の保護層3に含まれる上記の樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部程度、より好ましくは5〜30質量部程度が挙げられる。また、樹脂粒子の含有量としては、特に制限されず、第2の保護層3に含まれる上記の樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜200質量部程度、より好ましくは10〜150質量部程度が挙げられる。」
・「[0064] 第2の保護層3の厚みは、特に制限されないが、加飾シートに立体感を与えるとともに、成形後においても、第2の保護層3によって形成された凹凸形状が保持され、加飾シートに表出されていた高い立体感の劣化を効果的に抑制する観点からは、好ましくは0.1〜20μm程度、より好ましくは0.5〜10μm程度、さらに好ましくは1〜5μm程度が挙げられる。なお、第2の保護層3が上述の無機粒子及び樹脂粒子の少なくとも一方を含む場合、第2の保護層3の厚みとは、無機粒子または樹脂粒子が第2の保護層3の表面に位置していない部分の厚みをいう。」
・図1、3は次のとおりである。





イ 甲1発明
上記アより、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認める。
「少なくとも、基材層1と、第1の保護層2と、前記第1の保護層2の一部の上に設けられた第2の保護層3とをこの順に有し、
前記第1の保護層が、多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物により形成されてなり、第2の保護層3が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、水酸基官能性アクリル樹脂、カルボキシル官能性アクリル樹脂、アミド官能性共重合体、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂により形成されてなる加飾シートであって、
第1の保護層2は、第1の保護層2の艶を低下させる機能を有する無機粒子を含んでおり、
第2の保護層3を高艶状態(グロス)とし、第1の保護層2を低艶状態(マット)とし、両層間、ひいては第2の保護層3の形成部と非形成部との間に艶差を発現させることにより、加飾シートに高い立体感を付与することができるものであり、
第1の保護層2の硬化後の厚みについては、例えば、0.1〜20μm程度、好ましくは0.5〜10μm程度、さらに好ましくは1〜5μm程度であり、
無機粒子の粒子径としては、例えば0.5〜20μm程度、好ましくは1〜10μm程度である、加飾シート。」

(2)甲2について
ア 記載事項
・「【請求項1】基材上に、無機耐摩剤及び艶消剤を含有する耐摩耗艶消樹脂層が全面に設けられ、該耐摩耗艶消樹脂層上に、模様状の艶出樹脂層が設けられてなることを特徴とする化粧材。」
・「【0021】本発明の化粧材は、図1に示すように、基材1上に無機耐摩剤4を添加した耐摩耗樹脂層を設けた化粧材において、該耐摩耗樹脂層は無機耐摩剤4と共に艶消剤が添加されて表面が艶消状態とされた耐摩耗艶消樹脂層5であり、且つ、該耐摩耗艶消樹脂層5上に、所望の適宜の模様状の艶出樹脂層6が設けられてなるものである。」
・「【0029】耐摩耗艶消樹脂層5は、被膜形成性を有する合成樹脂組成物に、耐傷付き性や耐摩耗性を向上させるための無機耐摩剤4と、塗膜表面を艶消に調整するための艶消剤とを添加してなる塗料組成物を、基材1上に塗布することにより形成することができる。
【0030】これに用いる被膜形成性を有する合成樹脂組成物としては、従来より一般の化粧板の表面塗装用の塗料組成物に使用されているものと同様のものを使用することができ、本発明において特に限定されるものではない。
【0031】具体的には、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アミノアルキド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリレート系樹脂等の紫外線又は電子線等の照射により硬化する電離放射線硬化性樹脂などを使用することができ、油性、水性、無溶剤の別を問わない。」
・「【0040】耐摩耗艶消樹脂層5に添加する艶消剤は、例えばシリカ又は炭酸カルシウム等の無機質粉体や、ガラスビーズ、合成樹脂ビーズなどが使用され、平均粒径0.5〜5μm程度のものが通常使用される。添加量は意匠上所望の艶消感の程度に応じて任意であるが、通常は樹脂100重量部当たり1〜20重量部程度とするのが良い。」
・「【0043】耐摩耗艶消樹脂層5の厚さには特に制限はないが、薄過ぎると無機耐摩剤4を十分に保持することができず、逆に厚過ぎると可撓性が低下して割れやすくなるので、通常は3〜50μm程度とすることが望ましい。」
・「【0046】耐摩耗艶消樹脂層5の上に形成される模様状の艶出樹脂層6は、無機耐摩剤4や艶消剤を含有しないことや、リコート性を必ずしも必要としないことの他は、耐摩耗艶消樹脂層5に使用したものと同様の樹脂組成物からなる塗料組成物によって形成することができ、その樹脂種は耐摩耗艶消樹脂層5に使用したものと同一であっても異なっていても良い。
【0047】なお、艶出樹脂層6の「艶出」とは、本発明においては必ずしも完全な鏡面光沢を意味するものではなく、耐摩耗艶消樹脂層5との比較において相対的に艶が高いという意味であって、その範囲内において、艶消剤が少量添加されていてもよい。」
・図1は次のとおりである。


イ 甲2発明
上記アより、甲2には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認める。
「基材1上に無機耐摩剤4を添加した耐摩耗樹脂層5を全面に設けた化粧材において、
該耐摩耗樹脂層5は無機耐摩剤4と共に艶消剤が添加されて表面が艶消状態とされた耐摩耗艶消樹脂層5であり、且つ、該耐摩耗艶消樹脂層5上に、所望の適宜の模様状の艶出樹脂層6が設けられてなり、
耐摩耗艶消樹脂層5の厚さは、3〜50μm程度であり、
耐摩耗艶消樹脂層5に添加する艶消剤は、平均粒径0.5〜5μm程度のものが使用され、
耐摩耗艶消樹脂層5は、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アミノアルキド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリレート系樹脂等の紫外線又は電子線等の照射により硬化する電離放射線硬化性樹脂などが使用され、
艶出樹脂層6は、耐摩耗艶消樹脂層5に使用したものと同様の樹脂組成物からなる塗料組成物によって形成された化粧材。」

(3)甲3について
ア 記載事項
・「請求の範囲
[1] 印刷シートに設けた印刷層の表面に、透明な樹脂成分を主成分とする保護層が設けられてなる化粧シートにおいて、前記保護層が、印刷シートの印刷層上に設けられた第1保護層と、透明又は半透明の球状粒子を含有し前記第1保護層上の所定部分に設けられた第2保護層とからなり、第1保護層の突出した表面の艶が第2保護層表面の艶より低くなっていることを特徴とする化粧シート。」
・「[0020] また、上記請求項1又は2の発明において、第1保護層の突出した表面の艶が第2保護層表面の艶より低くなっているとは、第1保護層のうち第2保護層に覆われていない外側に現れた部分である凹部と、第2保護層の表面である凸部の表面の艶に差があり、凹部の艶が凸部より艶消しになっている状態をいい、この状態を得るためには第1保護層と第2保護層において艶消剤を含有しない樹脂の艶差によって、あるいはその塗布量によって艶差を生じさせ、第2保護層は第1保護層より艶を現出させ、又は、第1保護層にのみ艶消剤を含有させるか、或いは第1保護層及び第2保護層の両者に含有させる艶消剤の材料や分量を調整して、第1保護層を第2保護層より艶消し状態とする等の適宜手段にて行うことができる。」
・「[0032] 図1に示すように、化粧シート1は、基材に不透明な化粧用紙2を用い、グラビア印刷機によってこの化粧用紙2上に隠蔽ベタ層3と、ニトロセルロース系、ウレタン系、アクリル系、塩化ビニール−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル等をバインダーとした通常インキにより、例えば木目模様の印刷層4を設けて印刷シート5を形成する。
・・・
[0037] 上記第1保護層7と第2保護層9は、高強度の塗膜を形成する反応性硬化型樹脂で、アミノアルキッド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル樹脂等を主成分としており、両者は同一の樹脂であっても異なった樹脂であってもよい。
・「符号の説明
[0061] 1 化粧シート
2 化粧用紙
3 隠蔽ベタ層
4 木目模様の印刷層
5 印刷シート
6 保護層
7 第1保護層
8 球状粒子
9 第2保護層
10 透明フィルム
11 印刷フィルム」
・図1は次のとおりである。


イ 甲3発明
上記アより、甲3には次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認める。
「印刷シート5に設けた印刷層4の表面に、透明な樹脂成分を主成分とする保護層6が設けられてなる化粧シート1において、
化粧シート1は、基材に不透明な化粧用紙2を用い、グラビア印刷機によってこの化粧用紙2上に隠蔽ベタ層3と、木目模様の印刷層4を設けて印刷シート5を形成するものであり、
前記保護層6が、印刷シート5の印刷層4上に設けられた第1保護層7と、透明又は半透明の球状粒子8を含有し前記第1保護層7上の所定部分に設けられた第2保護層9とからなり、
第1保護層7にのみ艶消剤を含有させるか、或いは第1保護層7及び第2保護層9の両者に含有させる艶消剤の材料や分量を調整して、第1保護層7を第2保護層9より艶消し状態とし、
第1保護層7と第2保護層9は、高強度の塗膜を形成する反応性硬化型樹脂で、アミノアルキッド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル樹脂等を主成分としている化粧シート1。」

(4)甲4の記載事項
・「【0002】
【従来の技術】自動車の内装品などに施される塗装は、鏡面塗装のような光沢のあるものはあまり好まれず、家具などと同様に光沢がある程度消された艶消し塗装が主流となっている。この艶消し塗装に用いられる艶消し塗料としては、シリカ粉末やガラスビーズあるいはポリエチレンワックスなどを艶消し剤として添加したものが一般的である。このような艶消し塗料を塗布すると、塗膜からの溶剤の揮発及び硬化時の塗膜の収縮などにより艶消し剤が塗膜表面に浮き上がり、塗膜表面に集まった艶消し剤の光散乱作用により艶消し効果が得られる。」

(5)甲5の記載事項
・「2. 特許請求の範囲
・・・
第2の工程として、該被塗装物に塗布されたエネルギー線硬化性艶消組成物中の艶消剤が塗膜上層又は表面に浮上し、艶消効果が得られる様に該組成物を30℃から150℃の温度で0.5秒から60秒間加温加熱する工程。
・・・
の三工程を必須とするエネルギー線硬化性艶消塗膜形成方法。」

(6)甲6の記載事項
・「 又、紫外線硬化型樹脂(4)には艶消剤が含有されており、樹脂の硬化時に樹脂層表面に浮き出して来てその表面を艶消状にするが、硬化速度が速い場合には樹脂の増粘によって艶消剤の浮き出しが途中で妨害されて、艶消剤の効果が損なわれ、一方硬化の遅い場合には艶消剤が充分に樹脂層表面に浮き出してマット状になる。」(2ページ右上欄1〜7行)

(7)甲7の記載事項
・66〜67ページ




(8)甲8の記載事項
・「【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】シリカはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液と鉱酸との中和反応によって製造することができ、その製造方法は湿式法と呼ばれている。湿式法は中性またはアルカリ性下で反応させて比較的濾過しやすい沈殿シリカを得る沈殿法と、酸性下で反応させゲル状のシリカを得るゲル法に分類される。従来より、微粉状シリカは塗料の艶消し剤、粘度調整剤等に使用されている。このうち塗料用艶消し剤には、分散が容易で、かつ高い艶消し性能を有することから、専ら湿式法沈殿シリカが使用されている。」

(9)甲9の記載事項
・「【0002】
【従来の技術】シリカはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液と鉱酸の中和反応によつて製造することができ、その製造方法は湿式法と呼ばれている。湿式法は中性またはアルカリ性下で反応させ比較的濾過し易い沈澱ケイ酸を得る沈澱法と、酸性下で反応させゲル状のケイ酸を得るゲル法とに分類される。
【0003】沈澱法シリカは、例えば、特公昭39−1207号等に開示されているように、中和反応によって構造性を有するように一次粒子を成長させて得られた沈澱ケイ酸を、乾燥および引き続いて粉砕し製品とされる。即ち静置乾燥あるいは噴霧乾燥の後に、目的に応じて適当な粉砕機、例えばビンなどの間での衝撃剪断・摩擦作用を利用して粉砕するビンミル、或は高圧のジエツト気流に粒子をまきこんで相互衝突により粉砕するジエツト粉砕機等(最新超微粉砕プロセス技術:ソフト技研出版部編、新技術情報センター発行、1985年、8〜10頁)を用いて粉砕される。これらの方法によって知られる一般的な沈澱法シリカは、BET比表面積が通常100〜400m2/gの範囲であり、主として汎用のゴム補強充填剤、農薬の吸着担体、塗料の艶消し剤、或は種々の媒体の粘度調整剤等として使用されている。
【0004】一般的な沈澱法シリカは、塗料分野において艶消し剤として高い艶消し効果を発揮するが、塗膜の透明性を重視し例えばサンドミル等の高シェアー下で分散させるような使用分野においては、粒子が砕け易い性質の為かその効果が失われてしまうという傾向がある。そのため合成皮革、プラスチック等のコーティングの分野において艶消しに有用な添加剤としては利用されていなかつた。」

(10)甲10の記載事項
・「【0030】
一般に、低光沢組成物は、ポリマー基体、例えばポリプロピレン組成物を本発明に包含されるシリカ添加剤と溶融混合することによって、好都合に形成される。
【0031】
本発明は、次のものから選択される、殊に化学的に製造された及び/又は熱分解法シリカ添加剤に関する:例えばACEMATT(登録商標)なる商品名でDegussaから市販されているもの、例えば表面変性された熱分解法シリカ;例えばレーザー回折で測定された約9μmの粒度d50値を有するシリカ、例えばDegussaからのACEMATT(登録商標)3300、沈殿法で得られ、3μmの平均凝集物粒度(平均TEM)を有する未処理のシリカ、例えばDegussaからのACEMATT(登録商標)HK400又はACEMATT(登録商標)HK450、それぞれ、2.5μmの平均凝集物粒度(平均TEM)を有する、沈殿法、熱沈殿法で得られた未処理のシリカ、例えばDegussaからのACEMATT(登録商標)HK460、有機表面−処理され、3μmの平均凝集物粒度(平均TEM)を有する、容易に分散可能な沈降シリカ剤、例えばDegussaからのACEMATT(登録商標)OK412、有機表面−処理され及び3μmの平均凝集物粒度(平均TEM)を有する、容易に分散可能な沈降シリカ、例えばDegussaからのACEMATT(登録商標)OK500又はACEMATT(登録商標)OK520、それぞれ、有機表面処理され及び2μmの平均凝集物粒度(平均TEM)を有する、容易に分散可能な、非常に微細な沈降シリカ、例えばDegussaからのACEMATT(登録商標)OK607、4μmの平均凝集物粒度(平均TEM)を有する、熱処理されていない沈降/熱沈降シリカ、例えばDegussaからのACEMATT(登録商標)TS100、レーザー回折(ISO 13320−1と類似の)で測定された約9.5μmの粒度d50値を有する、シリカ添加剤をベースとする熱分解法シリカ又は殊に沈降法で得られた未処理のシリカ、例えばDegussaからのACEMATT(登録商標)HK440(CAS No.:112926−00−8)である。"Degussa"は、Evonik Degussa GmbH,Frankfurt,Germanyである。」

(11)甲11の記載事項
・「【特許請求の範囲】
1.凝集シリカゲルであって、合成もしくは天然の層化シリケート(フィロシリケート)、高温分解(ピロジェニック)二酸化ケイ素および水溶性もしくは水分散性有機ポリマーから選択される結合剤と粒子サイズが1から20μmで表面が200から1000m2/gで比細孔容積が0.4から2.5ml/gのシリカゲル粒子から生じさせた凝集シリカゲル。
・・・
11. 請求の範囲第1から5項いずれか記載の製品または請求の範囲第6から10項いずれかに従って製造した製品の使用であって、コーティング用艶消し剤としての使用。
・・・」

2 対比・判断
2−1 甲1を主引例とする場合
2−1−1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
・後者の「基材層1」、「加飾シート」は、前者の「基材」、「化粧材」にそれぞれ相当する。
・後者の「無機粒子」は「艶を低下させる機能を有する」ものであるから、前者の「艶消し剤」に相当する。
・後者の「第2の保護層3」は「高艶状態(グロス)」とし、「第1の保護層2」は「低艶状態(マット)」としているものであるから、前者の「第1の艶調整層」、「第2の艶調整層」にそれぞれ相当する。また、後者の「第1の保護層2」は「低艶状態(マット)」としているものであるから、前者の「相対的に艶の低い艶調整層」にも相当する。

そして、上記の相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。
・後者の「少なくとも、基材層1と、第1の保護層2と、前記第1の保護層2の一部の上に設けられた第2の保護層3とをこの順に有し」、「第2の保護層3を高艶状態(グロス)とし、第1の保護層2を低艶状態(マット)とし、両層間、ひいては第2の保護層3の形成部と非形成部との間に艶差を発現させることにより、加飾シートに高い立体感を付与することができるものであ」ることは、前者の「基材上に設けられた第1の艶調整層と、前記第1の艶調整層上に部分的に設けられ、前記第1の艶調整層の艶と異なる艶を有する第2の艶調整層とを備え」ることに相当する。
・後者の「第1の保護層2は、第1の保護層2の艶を低下させる機能を有する無機粒子を含んでおり、」「第2の保護層3を高艶状態(グロス)とし、第1の保護層2を低艶状態(マット)とし、両層間、ひいては第2の保護層3の形成部と非形成部との間に艶差を発現させることにより、加飾シートに高い立体感を付与することができるものであ」ることと、前者の「前記第1の艶調整層と前記第2の艶調整層とのうち、相対的に艶の低い艶調整層に、粒径が層厚の1.0倍未満の艶消し剤が添加されており」ということとは、「前記第1の艶調整層と前記第2の艶調整層とのうち、相対的に艶の低い艶調整層に、艶消し剤が添加されて」いることにおいて共通する。

・以上のことから、本件発明1と甲1発明との一致点、相違点は次のとおりと認める。
〔一致点1〕
「基材上に設けられた第1の艶調整層と、前記第1の艶調整層上に部分的に設けられ、前記第1の艶調整層の艶と異なる艶を有する第2の艶調整層とを備え、前記第1の艶調整層と前記第2の艶調整層とのうち、相対的に艶の低い艶調整層に、艶消し剤が添加されている、化粧材。」

〔相違点1−1〕
艶消し剤の粒径に関し、本件発明1では、「粒径が層厚の1.0倍未満」であるのに対し、甲1発明では、そのような特定がされていない点。

〔相違点1−2〕
本件発明1では、「前記艶消し剤が添加された前記艶調整層を当該艶調整層の層厚方向に2等分し、前記基材側に位置する層を下層とし、前記基材側とは反対側に位置する層を上層とした場合に、前記上層には、前記艶調整層に添加された前記艶消し剤の50%以上が存在し」ているのに対し、甲1発明では、そのような特定がされていない点。

〔相違点1−3〕
艶消し剤に関し、本件発明1では、「1次粒子が2次凝集して形成された粒子である」のに対し、甲1発明では、そのような特定がされていない点。

〔相違点1−4〕
第1艶調整層及び第2艶調整層に関し、本件発明1では、「前記第1艶調整層を構成する樹脂組成物はフッ素系の樹脂であり、前記第2の艶調整層を構成する樹脂組成物はフッ素系またはビニル系の樹脂である」という事項を有するのに対し、甲1発明では、「第1の保護層」(第2の艶調整層に相当)が、「多官能ポリカーボネート(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物により形成されてなり」、「第2の保護層」(第1の艶調整層に相当)が、「エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、水酸基官能性アクリル樹脂、カルボキシル官能性アクリル樹脂、アミド官能性共重合体、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂により形成されてなる」ものであり、上記事項を有していない点。

(2)判断
事案に鑑み、まず、相違点1−4について検討する。
上記相違点1−4に係る本件発明1の事項は、取消理由通知(決定の予告)で引用した甲2、3(上記1(2)、(3)参照。)には記載がない。また、層の上部側に艶消し剤を配置することが周知技術であることの例示文献である甲4〜6(上記1(4)〜(6)参照。)にも、艶消し剤としてのシリカとして、1次粒子が2次凝集して形成された粒子を用いることが周知技術であることの例示文献である甲7〜11(上記1(7)〜(11)参照。)にも、上記相違点1−4に係る本件発明1の事項の開示はない。
さらに、申立人が提出した他のいずれの証拠にも上記相違点1−4に係る本件発明1の事項の開示はなく、また、当該事項が、第1、第2艶調整層を有する化粧材における周知技術ないし公知技術であると認めるに足る証拠もない。
したがって、甲1発明において、上記相違点1−4に係る本件発明1の事項を有するものとすることは、当業者であっても容易になし得たことではない。

(3)小括
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2、甲3に記載された事項、及び周知技術(甲4〜6、甲7〜11)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2−1−2 本件発明2〜8、10について
本件発明2〜8、10は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、上記2−1−1で説示したのと同様の理由により、甲1発明、甲2、甲3に記載された事項、及び周知技術(甲4〜6、甲7〜11)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2−2 甲2を主引例とする場合
2−2−1 本件発明1について
(1) 対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
・後者の「基材1」、「化粧材」は、前者の「基材」、「化粧材」にそれぞれ相当する。
・後者の「艶消剤」は、前者の「艶消し剤」に相当する。
・後者の「耐摩耗艶消樹脂層5」は「表面が艶消状態とされた」ものであるから、前者の「第1の艶調整層」に相当し、同様に「艶出樹脂層6」は「第2の艶調整層」にそれぞれ相当する。また、後者の「耐摩耗艶消樹脂層5」は「表面が艶消状態とされた」ものであるから、前者の「相対的に艶の低い艶調整層」にも相当する。

そして、上記の相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。
・後者の「基材1上に無機耐摩剤4を添加した耐摩耗樹脂層5を全面に設けた化粧材において、 該耐摩耗樹脂層5は無機耐摩剤4と共に艶消剤が添加されて表面が艶消状態とされた耐摩耗艶消樹脂層5であり、且つ、該耐摩耗艶消樹脂層5上に、所望の適宜の模様状の艶出樹脂層6が設けられてな」ることは、前者の「基材上に設けられた第1の艶調整層と、前記第1の艶調整層上に部分的に設けられ、前記第1の艶調整層の艶と異なる艶を有する第2の艶調整層とを備え」ることに相当する。
・後者の「該耐摩耗樹脂層5は無機耐摩剤4と共に艶消剤が添加されて表面が艶消状態とされた耐摩耗艶消樹脂層5であり、且つ、該耐摩耗艶消樹脂層5上に、所望の適宜の模様状の艶出樹脂層6が設けられてな」ることと、前者の「前記第1の艶調整層と前記第2の艶調整層とのうち、相対的に艶の低い艶調整層に、粒径が層厚の1.0倍未満の艶消し剤が添加されており」ということとは、「前記第1の艶調整層と前記第2の艶調整層とのうち、相対的に艶の低い艶調整層に、艶消し剤が添加されて」いることにおいて共通する。

・以上のことから、本件発明1と甲2発明との一致点、相違点は次のとおりと認める。
〔一致点2〕
「基材上に設けられた第1の艶調整層と、前記第1の艶調整層上に部分的に設けられ、前記第1の艶調整層の艶と異なる艶を有する第2の艶調整層とを備え、前記第1の艶調整層と前記第2の艶調整層とのうち、相対的に艶の低い艶調整層に、艶消し剤が添加されている、化粧材。」

〔相違点2−1〕
艶消し剤の粒径に関し、本件発明1では、「粒径が層厚の1.0倍未満」であるのに対し、甲2発明では、そのような特定がされていない点。

〔相違点2−2〕
本件発明1では、「前記艶消し剤が添加された前記艶調整層を当該艶調整層の層厚方向に2等分し、前記基材側に位置する層を下層とし、前記基材側とは反対側に位置する層を上層とした場合に、前記上層には、前記艶調整層に添加された前記艶消し剤の50%以上が存在し」ているのに対し、甲2発明では、そのような特定がされていない点。

〔相違点2−3〕
艶消し剤に関し、本件発明1では、「1次粒子が2次凝集して形成された粒子である」のに対し、甲2発明では、そのような特定がされていない点。

〔相違点2−4〕
第1艶調整層及び第2艶調整層に関し、本件発明1では、「前記第1艶調整層を構成する樹脂組成物はフッ素系の樹脂であり、前記第2の艶調整層を構成する樹脂組成物はフッ素系またはビニル系の樹脂である」という事項を有するのに対し、甲2発明では、「耐摩耗艶消樹脂層5」(第1の艶調整層に相当)が、「ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アミノアルキド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリレート系樹脂等の紫外線又は電子線等の照射により硬化する電離放射線硬化性樹脂などが使用され」るものであり、「艶出樹脂層6」(第2の艶調整層に相当)は、「耐摩耗艶消樹脂層5に使用したものと同様の樹脂組成物からなる塗料組成物によって形成された」ものであって、上記事項を有していない点。

(2)判断
事案に鑑み、まず、相違点2−4について検討する。
上記相違点2−4は、実質的に上記相違点1−4と同様の内容のものである。
したがって、上記2−1−1(2)で説示したのと同様に、甲2発明において、上記相違点2−4に係る本件発明1の事項を有するものとすることは、当業者であっても容易になし得たことではない。

(3)小括
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明、甲1、甲3に記載された事項、及び周知技術(甲4〜6、甲7〜11)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2−2−2 本件発明2〜8、10について
本件発明2〜8、10は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、上記2−2−1で説示したのと同様の理由により、甲2発明、甲1、甲3に記載された事項、及び周知技術(甲4〜6、甲7〜11)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2−3 甲3を主引例とする場合
2−3−1 本件発明1について
(1)対比
本件発明1と甲3発明とを対比する。
・後者の「化粧用紙2」を用いた「基材」、「化粧材シート1」は、前者の「基材」、「化粧材」にそれぞれ相当する。
・後者の「艶消剤」は、前者の「艶消し剤」に相当する。
・後者の「第1保護層7」は「第2保護層9より艶消し状態とする」ものであるから、前者の「第1の艶調整層」に相当し、同様に「第2保護層9」は「第2の艶調整層」にそれぞれ相当する。また、後者の「第1保護層7」は「第2保護層9より艶消し状態とする」ものであるから、前者の「相対的に艶の低い艶調整層」にも相当する。

そして、上記の相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。
・後者の「印刷シート5に設けた印刷層4の表面に、透明な樹脂成分を主成分とする保護層6が設けられてなる化粧シート1において、化粧シート1は、基材に不透明な化粧用紙2を用い、グラビア印刷機によってこの化粧用紙2上に隠蔽ベタ層3と、木目模様の印刷層4を設けて印刷シート5を形成するものであり、前記保護層6が、印刷シート5の印刷層4上に設けられた第1保護層7と、透明又は半透明の球状粒子8を含有し前記第1保護層7上の所定部分に設けられた第2保護層9とからな」ることは、前者の「基材上に設けられた第1の艶調整層と、前記第1の艶調整層上に部分的に設けられ、前記第1の艶調整層の艶と異なる艶を有する第2の艶調整層とを備え」ることに相当する。
・後者の「第1保護層7にのみ艶消剤を含有させるか、或いは第1保護層7及び第2保護層9の両者に含有させる艶消剤の材料や分量を調整して、第1保護層7を第2保護層9より艶消し状態とし」ていることと、前者の「前記第1の艶調整層と前記第2の艶調整層とのうち、相対的に艶の低い艶調整層に、粒径が層厚の1.0倍未満の艶消し剤が添加されており」ということとは、「前記第1の艶調整層と前記第2の艶調整層とのうち、相対的に艶の低い艶調整層に、艶消し剤が添加されて」いることにおいて共通する。

・以上のことから、本件発明1と甲3発明との一致点、相違点は次のとおりと認める。
〔一致点3〕
「基材上に設けられた第1の艶調整層と、前記第1の艶調整層上に部分的に設けられ、前記第1の艶調整層の艶と異なる艶を有する第2の艶調整層とを備え、前記第1の艶調整層と前記第2の艶調整層とのうち、相対的に艶の低い艶調整層に、艶消し剤が添加されている、化粧材。」

〔相違点3−1〕
艶消し剤の粒径に関し、本件発明1では、「粒径が層厚の1.0倍未満」であるのに対し、甲3発明では、そのような特定がされていない点。

〔相違点3−2〕
本件発明1では、「前記艶消し剤が添加された前記艶調整層を当該艶調整層の層厚方向に2等分し、前記基材側に位置する層を下層とし、前記基材側とは反対側に位置する層を上層とした場合に、前記上層には、前記艶調整層に添加された前記艶消し剤の50%以上が存在し」ているのに対し、甲3発明では、そのような特定がされていない点。

〔相違点3−3〕
艶消し剤に関し、本件発明1では、「1次粒子が2次凝集して形成された粒子である」のに対し、甲3発明では、そのような特定がされていない点。

〔相違点3−4〕
第1艶調整層及び第2艶調整層に関し、本件発明1では、「前記第1艶調整層を構成する樹脂組成物はフッ素系の樹脂であり、前記第2の艶調整層を構成する樹脂組成物はフッ素系またはビニル系の樹脂である」という事項を有するのに対し、甲3発明では、「第1保護層7」(第1の艶調整層に相当)、「第2保護層9」(第2の艶調整層に相当)が、「高強度の塗膜を形成する反応性硬化型樹脂で、アミノアルキッド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル樹脂等を主成分としている」ものであって、上記事項を有していない点。

(2)判断
事案に鑑み、まず、相違点3−4について検討する。
上記相違点3−4は、実質的に上記相違点1−4と同様の内容のものである。
したがって、上記2−1−1(2)で説示したのと同様に、甲3発明において、上記相違点3−4に係る本件発明1の事項を有するものとすることは、当業者であっても容易になし得たことではない。

(3)小括
以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明、甲1、甲2に記載された事項、及び周知技術(甲4〜6、甲7〜11)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2−3−2 本件発明2〜8、10について
本件発明2〜8、10は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、上記2−3−1で説示したのと同様の理由により、甲3発明、甲1、甲2に記載された事項、及び周知技術(甲4〜6、甲7〜11)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由
取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由は以下のとおりである。
(1)理由A:新規性(特許法第29条第1項第3号
訂正前の請求項1〜7、9、10に係る発明は、甲1に記載された発明である。
訂正前の請求項1〜10に係る発明は、甲2に記載された発明である。
訂正前の請求項1、2、5、6、9、10に係る発明は、甲3に記載された発明である。

(2)理由B:明確性要件(特許法第36条第6項第2号
訂正前の請求項1〜10に係る発明は、明確でない。

(3)理由C:サポート要件(特許法第36条第6項第1号
訂正前の請求項1〜10に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

(4)理由D:実施可能要件(特許法第36条第4項第1号
発明の詳細な説明は、訂正前の請求項1〜10に係る発明を、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではない。

2 当審の判断
(1)理由Aについて
上記第5の2で説示したとおり、本件発明1〜7、10と、甲1発明との間には、実質的な相違点が存在するのであるから、本件発明1〜7、10は、甲1発明ではないし、本件発明1〜8、10と、甲2発明との間には、実質的な相違点が存在するのであるから、本件発明1〜8、10は、甲2発明ではないし、本件発明1、2、5、6、10と、甲3発明との間には、実質的な相違点が存在するのであるから、本件発明1、2、5、6、10は、甲3発明ではない。

(2)理由Bについて
申立人は、特許異議申立書(25〜40ページ参照。)において、本件発明の「粒径」の定義が不明確である旨主張する。
しかしながら、粒径は粒状製品の仕様として一般に用いられるものであり、本件発明において、そのような仕様の粒子を用いていることを示すにすぎないことは、本件明細書の段落【0047】、【0048】から明らかであり、第三者に不測の不利益を及ぼす程度に不明確ではない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。

(3)理由Cについて
申立人は、特許異議申立書(41〜49ページ参照。)において、本件発明の「粒径」の定義が不明確であるから、サポート要件を満たしていないし、また、「相対的に艶の低い艶調整層に、粒径が層厚の1.0倍未満の艶消し剤が添加されて」いること、艶消し剤自体の粒径や材質が特定されていないこと、「前記艶消し剤が添加された前記艶調整層を当該艶調整層の層厚方向に2等分し、前記基材側に位置する層を下層とし、前記基材側とは反対側に位置する層を上層とした場合に、前記上層には、前記艶調整層に添加された前記艶消し剤の50%以上が存在し」ていること、さらに、柄インキ層の特定もないことからサポート要件を満たしていない旨主張する。
しかしながら、「粒径」については、上記(2)で説示したとおりであるし、本件明細書の段落【0038】に、艶消し剤の機序として、艶調整層の表面に付与される凹凸を小さくすることにより、正面から観察した絵柄が、斜めからの観察では見えなくなることが記載されていることから、1.0倍未満であれば、下限値の限定がなくとも、凹凸が小さくなれば、そのような作用を奏することも理解でき、また、艶消し剤自体の粒径や材質によらずとも、層の厚さと艶消し剤の粒径が関連していることも理解でき、段落【0042】に、艶調整層に添加された艶消し剤の50%以上が存在するようにしたことにより、艶消し剤を艶調整層の表面に十分に露出させることができることも記載されており、さらに、柄インキ層の特定がなかったとしても、段落【0009】、【0010】の記載から、絵柄はインキによるものに限らないことも理解できるので、サポート要件を満たしていると認められる。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。

(4)理由Dについて
申立人は、特許異議申立書(49〜51ページ参照。)において、本件発明は、「粒径」に関する規定が不明確であり、また、「前記艶消し剤が添加された前記艶調整層を当該艶調整層の層厚方向に2等分し、前記基材側に位置する層を下層とし、前記基材側とは反対側に位置する層を上層とした場合に、前記上層には、前記艶調整層に添加された前記艶消し剤の50%以上が存在し」ていることの制御方法の記載もないから、過度の試行錯誤を必要とするものであり、実施可能要件を満たしていない旨主張する。
しかしながら、「粒径」については上記(2)で述べたとおりであるし、上記(3)で述べたとおり、本件明細書の段落【0038】に艶消し剤の機序も記載され、粒径を1.0倍未満としたことにより艶調整層に浮いている状態で表面に露出(すなわち上層側に集まる)させることも記載されていることから、本件発明の実施に過度の試行錯誤を要するような事情は見当たらない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。

3 小括
以上のとおりであるから、理由A〜Dにより、本件請求項1〜8、10に係る特許を取り消すことはできない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件請求項1〜8、10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜8、10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、本件請求項9に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、本件請求項9に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に設けられた第1の艶調整層と、前記第1の艶調整層上に部分的に設けられ、前記第1の艶調整層の艶と異なる艶を有する第2の艶調整層とを備え、
前記第1の艶調整層と前記第2の艶調整層とのうち、相対的に艶の低い艶調整層に、粒径が層厚の1.0倍未満の艶消し剤が添加されており、
前記艶消し剤が添加された前記艶調整層を当該艶調整層の層厚方向に2等分し、前記基材側に位置する層を下層とし、前記基材側とは反対側に位置する層を上層とした場合に、前記上層には、前記艶調整層に添加された前記艶消し剤の50%以上が存在し、
前記艶消し剤は、1次粒子が2次凝集して形成された粒子であり、
前記第1の艶調整層を構成する樹脂組成物はフッ素系の樹脂であり、前記第2の艶調整層を構成する樹脂組成物はフッ素系またはビニル系の樹脂であることを特徴とする化粧材。
【請求項2】
前記艶消し剤は、無機材料からなることを特徴とする請求項1に記載の化粧材。
【請求項3】
前記艶消し剤の粒径は、2μm以上15μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧材。
【請求項4】
前記艶消し剤は、前記艶消し剤が添加された前記艶調整層を構成する樹脂組成物100質量部に対して、5質量部以上40質量部以下の範囲内で添加されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の化粧材。
【請求項5】
前記艶消し剤は、相対的に艶の高い艶調整層にも添加されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の化粧材。
【請求項6】
前記第1の艶調整層に添加された前記艶消し剤の含有量は、前記第2の艶調整層に添加された前記艶消し剤の含有量よりも多いことを特徴とする請求項5に記載の化粧材。
【請求項7】
前記第1の艶調整層に添加する前記艶消し剤の粒径は、前記第2の艶調整層に添加する前記艶消し剤の粒径と同じであることを特徴とする請求項5または6に記載の化粧材。
【請求項8】
前記艶消し剤の粒径は、前記艶消し剤が添加された前記艶調整層の層厚の0.2倍以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の化粧材。
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
前記艶消し剤は、シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、またはアクリルで形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の化粧材。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2024-03-19 
出願番号 P2018-519657
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (B32B)
P 1 651・ 121- YAA (B32B)
P 1 651・ 536- YAA (B32B)
P 1 651・ 113- YAA (B32B)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 井上 茂夫
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
八木 誠
登録日 2021-10-11 
登録番号 6958551
権利者 TOPPANホールディングス株式会社
発明の名称 化粧材  
代理人 廣瀬 一  
代理人 田中 秀▲てつ▼  
代理人 田中 秀▲てつ▼  
代理人 宮坂 徹  
代理人 宮坂 徹  
代理人 廣瀬 一  

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