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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 A61J 審判 全部申し立て 2項進歩性 A61J 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 A61J 審判 全部申し立て 特29条の2 A61J |
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管理番号 | 1411237 |
総通号数 | 30 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2024-06-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-07-20 |
確定日 | 2024-03-19 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | true |
事件の表示 | 特許第7012802号発明「錠剤に対する印刷及び検査を行う錠剤印刷及び検査装置ならびに方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第7012802号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜16〕、〔17〜26〕について訂正することを認める。 特許第7012802号の請求項1〜26に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第7012802号(以下「本件特許」という。)の請求項1〜26に係る特許についての出願は、令和2年10月30日(パリ条約による優先権主張 2020年6月12日 (KR)大韓民国)の出願であって、令和4年1月20日にその特許権の設定登録がなされ、令和4年2月14日に特許掲載公報が発行されたものである。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和4年 7月20日 :特許異議申立人藤井秀朗(以下「申立人」と いう。)による請求項1〜26に係る特許に 対する特許異議の申立て 令和4年10月12日付け:取消理由通知書 令和5年 1月12日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和5年 2月 7日付け:訂正拒絶理由通知書 令和5年 3月31日 :特許権者による意見書及び手続補正書の提出 令和5年 5月 9日付け:訂正請求があった旨の通知書(特許法第12 0条の5第5項) 令和5年 6月 9日 :申立人による意見書の提出 令和5年 9月12日付け:取消理由通知書(決定の予告) 令和5年12月18日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和6年 1月17日付け:手続補正指令書(方式) 令和6年 2月 9日 :特許権者による手続補正書の提出 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 上記令和6年2月9日提出の手続補正書による補正は、下線を追加する等の形式的な補正であって、訂正請求書の要旨を変更しないものであるから、上記手続補正書によって補正された訂正請求書を、「本件訂正請求書」といい、訂正自体を、「本件訂正」という。本件訂正の内容は、訂正箇所に下線を引いて示すと以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 ア 「錠剤供給部からの供給を受けた錠剤を一列に配置して移送させる移送部と、」 とあるのを、 「錠剤供給部からの供給を受けた錠剤を、不均一な間隔で一列に配置して吸着移送させる移送部と、」に、 イ 「一列に配置された前記錠剤の位置ずれ及び姿勢のずれを判別するように前記錠剤が移送される移送経路に沿って位置し、移送中の前記錠剤の外観画像を撮影するように配置される事前撮影部と、」 とあるのを、 「一列に配置された前記錠剤の位置ずれ及び傾いた錠剤の姿勢のずれを判別するように前記錠剤が移送される移送経路に沿って位置し、移送中の前記錠剤の外観画像を撮影するように配置される事前撮影部と、」に、 ウ 「前記錠剤が移送される移送経路に沿って前記事前撮影部の次に位置し、前記事前撮影部で撮影した画像を介して獲得した判別結果を考慮して印刷を行う錠剤印刷部と、」 とあるのを、 「前記錠剤が移送される移送経路に沿って前記事前撮影部の次に位置し、前記事前撮影部で撮影した画像を介して獲得した判別結果を考慮して内部ミラー部を調整し、UVレーザー光を照射して印刷を行う錠剤印刷部と、」に、 エ 「前記事前撮影部は、移送中の錠剤の外観画像を獲得して錠剤の位置を認識し、画像処理を介して獲得した前記錠剤の位置、姿勢、シフト変化、及びローテーション情報のうち少なくとも一つを含む錠剤の情報を制御部に伝達し、」 とあるのを、 「前記事前撮影部は、移送中の錠剤の外観画像を獲得して錠剤の位置及び姿勢を認識し、画像処理を介して獲得した前記錠剤の位置ずれ、傾いた錠剤の姿勢のずれ、前記錠剤の一面の中心のシフト変化、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達し、」に、 オ 「前記制御部は、前記錠剤の情報を基に、前記錠剤印刷部の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、前記補正値を基準に前記錠剤印刷部のレーザー照射位置又はレーザー照射量を制御する、」 とあるのを、 「前記制御部は、前記錠剤の情報を基に、前記錠剤印刷部の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、前記補正値を基準に前記内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御する、」に、 それぞれ訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2〜16も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項14に、 「前記制御部は、獲得した前記錠剤の情報に応じた補正値を学習し、前記錠剤のローテーション及びシフト変化による前記錠剤の印刷位置の変化が最小限になるように前記錠剤印刷部を制御する、」 とあるのを、 「前記制御部は、獲得した前記錠剤の情報に応じた前記錠剤印刷部の制御値を補正値として学習し、前記錠剤のローテーション及びシフト変化による前記錠剤の一面の印刷結果位置の変化が最小限になるように前記錠剤印刷部を前記補正値によって制御する、」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項15に、 「前記制御部は、 前記印刷後撮影部が撮影した前記錠剤の一面の印刷部の文字境界線と印刷を意図した文字境界線が同一であるかを比較し、前記錠剤印刷部の文字境界線の位置が前記錠剤の中心部にあるかを確認して、前記錠剤の印刷面が正常品であるか否かを判別する、」 とあるのを、 「前記制御部は、 前記印刷後撮影部が撮影した前記錠剤の一面の印刷結果である文字境界線と印刷を意図した文字境界線が同一であるかを比較し、前記印刷結果である文字境界線が前記錠剤の一面の中心部にあるかを確認して、前記錠剤の印刷面が正常品であるか否かを判別する、」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項17に、 ア 「移送部により、錠剤供給部からの供給を受けた錠剤を一列に配置して移送させる移送段階と、」 とあるのを、 「移送部により、錠剤供給部からの供給を受けた錠剤を、不均一な間隔で一列に配置して吸着移送させる移送段階と、」に、 イ 「事前撮影部により、一列に配置された前記錠剤の位置ずれ及び姿勢のずれを判別するように移送中の前記錠剤の外観画像を撮影する事前撮影段階と、」 とあるのを、 「事前撮影部により、一列に配置された前記錠剤の位置ずれ及び傾いた錠剤の姿勢のずれを判別するように移送中の前記錠剤の外観画像を撮影する事前撮影段階と、」に、 ウ 「錠剤印刷部により、前記事前撮影部で撮影した画像を介して獲得した判別結果を考慮して印刷を行う印刷段階と、」 とあるのを、 「錠剤印刷部により、前記事前撮影部で撮影した画像を介して獲得した判別結果を考慮して内部ミラー部を調整し、UVレーザー光を照射して印刷を行う印刷段階と、」に、 エ 「前記事前撮影部を介して移送中の錠剤の外観画像を獲得して錠剤の位置を認識し、画像処理を介して獲得した前記錠剤の位置、姿勢、シフト変化、及びローテーション情報のうち少なくとも一つを含む錠剤の情報を制御部に伝達する段階、」 とあるのを、 「前記事前撮影部を介して移送中の錠剤の外観画像を獲得して錠剤の位置及び姿勢を認識し、画像処理を介して獲得した前記錠剤の位置ずれ、傾いた錠剤の姿勢のずれ、前記錠剤の一面の中心のシフト変化、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達する段階、」に、 オ 「前記制御部により前記錠剤の情報を基に、前記錠剤印刷部の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、前記補正値を基準に前記錠剤印刷部のレーザー照射位置又はレーザー照射量を制御する段階をさらに含む、」 とあるのを 「前記制御部により前記錠剤の情報を基に、前記錠剤印刷部の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、前記補正値を基準に前記内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御する段階をさらに含む、」に、 それぞれ訂正する(請求項17の記載を引用する請求項18〜26も同様に訂正する。)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項26に、 「前記印刷後撮影部が撮影した錠剤の印刷部の文字境界線と印刷を意図した文字境界線が同一であるかを比較し、前記文字境界線の位置が前記錠剤の中心部にあるか否かを確認する段階と、 前記印刷後撮影部が撮影した前記錠剤の外観境界線及び前記錠剤の表面を検査する段階のうち少なくとも一つの段階を行って前記錠剤の良品判別を行う、」 とあるのを、 「前記印刷後撮影部が撮影した錠剤の一面の印刷結果である文字境界線と印刷を意図した文字境界線が同一であるかを比較し、前記印刷結果である文字境界線が前記錠剤の一面の中心部にあるか否かを確認する段階と、 前記印刷後撮影部が撮影した前記錠剤の外観境界線及び前記錠剤の表面を検査する段階のうち少なくとも一つの段階を行って、前記印刷結果である文字境界線が錠剤の一面の中心部にあるか、錠剤の外観境界線及び錠剤の表面が意図した外観境界線及び錠剤の表面と同一であると、正常品と判別する、」に訂正する。 2 一群の請求項について 訂正前の請求項1〜16について、請求項2〜16は、それぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、上記訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、請求項1〜16は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 同様に、訂正前の請求項17〜26について、請求項18〜26は、それぞれ請求項17を直接的又は間接的に引用しているものであって、上記訂正事項4によって訂正される請求項17に連動して訂正されるものである。したがって、請求項17〜26は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 3 訂正事項1にかかる当審の判断 (1)訂正の目的の適否 ア 「、不均一な間隔で一列に配置して」とする訂正は、本件訂正前の請求項1の「一列に配置して」という態様を「不均一な間隔」に限定するものである。また、「吸着移送させる」とする訂正は、本件訂正前の請求項1の「移送させる」という態様が「吸着」であることに限定するものである。 イ 「一列に配置された前記錠剤の位置ずれ及び傾いた錠剤の姿勢のずれを判別するように前記錠剤が移送される移送経路に沿って位置し」とする訂正は、令和5年9月12日付けで当審が通知した取消理由通知書(決定の予告)の取消理由4(特許法第36条第6項第2号)に対応し、明瞭でない記載を明瞭にするものである。 ウ 「内部ミラー部を調整し、UVレーザー光を照射して印刷を行う錠剤印刷部」とする訂正は、「印刷を行う錠剤印刷部」を「内部ミラー部を調整し、UVレーザー光を照射して印刷を行う」ものと限定するものである。 エ 「前記事前撮影部は、移送中の錠剤の外観画像を獲得して錠剤の位置及び姿勢を認識し、画像処理を介して獲得した前記錠剤の位置ずれ、傾いた錠剤の姿勢のずれ、前記錠剤の一面の中心のシフト変化、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達し、」とする訂正は、令和4年10月12日付けで当審が通知した取消理由通知書の理由4(特許法第36条第6項第2号)に対応し、明瞭でない記載を明瞭にするものであるとともに、本件訂正前の請求項1の「のうち少なくとも一つ」という択一的とする記載を削除し、限定するものである。 オ 「前記補正値を基準に前記内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御する」とする訂正は、レーザー照射位置を制御するという態様を「内部ミラー部を調整して行う」ことと限定するものであるとともに、本件訂正前の請求項1の「前記錠剤印刷部のレーザー照射位置又はレーザー照射量を制御する」という態様から、択一的記載の要素である「レーザー照射量」を削除し、限定するものである。 カ 以上より、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、また、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること ア 「、不均一な間隔で一列に配置して」とする訂正、及び、「吸着移送させる」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0050】−【0055】の記載、特に、【0054】の「負圧がかかる区間では、錠剤が回転板の円周に沿って設けられる凹溝上に位置する安着部材に吸着された状態で支持されて順に回転板とともに回転して移送される。ここで、安着部材に吸着された錠剤の位置は、必ずしも連通孔の位置と対応することなく、不均一な間隔で円周上の凹溝において一列に整列するようになる。」という記載から導き出される事項である。 イ 「一列に配置された前記錠剤の位置ずれ及び傾いた錠剤の姿勢のずれを判別するように前記錠剤が移送される移送経路に沿って位置し」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0021】−【0022】、【0084】−【0085】の記載、特に、【0021】の「上記事前撮影部10は、錠剤供給部50を介して供給されて移送部60上に配列される錠剤の位置及び姿勢、例えば、前の錠剤に対する印刷が錠剤印刷部40によって行われた時点から現在の錠剤までの離隔距離や、錠剤一面がローテーションするか否かなどを撮影することで、画像処理を介して確認することができる。」、【0084】の「事前撮影部10は、位置追跡用レーザーカメラを含むことができ、上記カメラで錠剤を撮影して画像情報を取得し、取得した画像情報を制御部に伝達することができる。このとき、制御部は、獲得した画像を画像処理して錠剤移送部において錠剤の位置をXY座標で認識し、錠剤の外観ラインに沿って回転させたり、又は傾いた程度をチェックすることができる。」という記載及び技術常識から導き出される事項である。 ウ 「内部ミラー部を調整し、UVレーザー光を照射して印刷を行う錠剤印刷部」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0085】、【0090】、【0113】−【0114】の記載、特に、【0085】の「これにより、制御部は、上記錠剤よりも前の錠剤の中心に合わせられた錠剤印刷部をリアルタイムで位置補正するために、錠剤印刷部の回転値及び位置補正値を演算して錠剤印刷部内部のミラーを調整するように命令することができ、錠剤印刷部40のレーザーの照射位置及び照射量を制御することができる。」、【0090】の「本発明の一実施形態による錠剤印刷部40は、レーザー印刷を行うようにUVレーザーを用いて錠剤にレーザーを照射する。」という記載及び技術常識から導き出される事項である。 エ 「前記事前撮影部は、移送中の錠剤の外観画像を獲得して錠剤の位置及び姿勢を認識し、画像処理を介して獲得した前記錠剤の位置ずれ、傾いた錠剤の姿勢のずれ、前記錠剤の一面の中心のシフト変化、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達し、」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0021】−【0022】、【0084】−【0085】の記載、特に、【0021】の「上記事前撮影部10は、錠剤供給部50を介して供給されて移送部60上に配列される錠剤の位置及び姿勢、例えば、前の錠剤に対する印刷が錠剤印刷部40によって行われた時点から現在の錠剤までの離隔距離や、錠剤一面がローテーションするか否かなどを撮影することで、画像処理を介して確認することができる。」、【0022】の「錠剤の一面に対する印刷が錠剤の中央部から一定の範囲以上外れないようにするためであって、事前撮影部10を介して錠剤印刷の精度及び成功率を高めることができる。」、【0084】の「事前撮影部10は、位置追跡用レーザーカメラを含むことができ、上記カメラで錠剤を撮影して画像情報を取得し、取得した画像情報を制御部に伝達することができる。このとき、制御部は、獲得した画像を画像処理して錠剤移送部において錠剤の位置をXY座標で認識し、錠剤の外観ラインに沿って回転させたり、又は傾いた程度をチェックすることができる。」という記載及び技術常識から導き出される事項であるから、本件特許明細書に記載された事項である。 オ 「前記補正値を基準に前記内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御する」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0085】、【0113】−【0114】の記載、特に、【0085】の「これにより、制御部は、上記錠剤よりも前の錠剤の中心に合わせられた錠剤印刷部をリアルタイムで位置補正するために、錠剤印刷部の回転値及び位置補正値を演算して錠剤印刷部内部のミラーを調整するように命令することができ、錠剤印刷部40のレーザーの照射位置及び照射量を制御することができる。」という記載及び技術常識から導き出される事項であるから、本件特許明細書に記載された事項である。 カ 以上より、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項1に係る訂正は、上記(1)のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 4 訂正事項2にかかる当審の判断 (1)訂正の目的の適否 訂正事項2は、令和4年10月12日付けで当審が通知した取消理由通知書の理由3(特許法第36条第4項第1号)に対応し、明瞭でない記載を明瞭にするものである。 よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書の段落【0086】、【0110】−【0111】、【0114】の記載、特に、【0086】の「具体的には、制御部は、上記事前撮影部10からの伝達を受けた錠剤の外観画像から錠剤の外観形状を認識し、既存の錠剤の外観画像から学習した結果に基づいて迅速に錠剤印刷部40の制御値を導出する。」、【0110】−【0111】の「上記制御部は、上記錠剤の情報を基に、上記錠剤印刷部40の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、上記補正値を基準に錠剤印刷部のレーザー照射位置及びレーザー照射量を制御することができる。」「このとき、上記制御部は、獲得した上記錠剤の情報に応じた補正値を学習し、上記錠剤のローテーション及びシフト変化に応じた錠剤の印刷位置の変化が最小限になるように上記錠剤印刷部40を制御することができる。」という記載及び技術常識から導き出される事項であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項2に係る訂正は、上記(1)のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 5 訂正事項3にかかる当審の判断 (1)訂正の目的の適否 訂正事項3は、令和4年10月12日付けで当審が通知した取消理由通知書の理由3(特許法第36条第4項第1号)、及び、令和5年9月12日付けで当審が通知した取消理由通知書(決定の予告)の取消理由3(特許法第36条第4項第1号)に対応し、明瞭でない記載を明瞭にするものである。 よって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 訂正事項3に係る訂正は、本件特許明細書の段落【0124】の「制御部は、上記第1印刷後撮影部20が撮影した錠剤の第1面の印刷部の文字境界線と印刷を意図した文字境界線が同一であるかを比較し、上記印刷部の文字境界線の位置が錠剤の中心部にあるかを確認して、上記錠剤の印刷部が正常品であるか否かを判別することができる。」という記載及び技術常識から導き出される事項であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項3に係る訂正は、上記(1)のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 6 訂正事項4にかかる当審の判断 (1)訂正の目的の適否 ア 「、不均一な間隔で一列に配置して」とする訂正は、本件訂正前の請求項17の「一列に配置して」という態様を「不均一な間隔」に限定するものである。また、「吸着移送させる」とする訂正は、本件訂正前の請求項17の「移送させる」という態様が「吸着」であることに限定するものである。 イ 「事前撮影部により、一列に配置された前記錠剤の位置ずれ及び傾いた錠剤の姿勢のずれを判別するように移送中の前記錠剤の外観画像を撮影する」とする訂正は、令和5年9月12日付けで当審が通知した取消理由通知書(決定の予告)の取消理由4(特許法第36条第6項第2号)に対応し、明瞭でない記載を明瞭にするものである。 ウ 「内部ミラー部を調整し、UVレーザー光を照射して印刷を行う印刷段階」とする訂正は、「印刷を行う印刷段階」を「内部ミラー部を調整し、UVレーザー光を照射して印刷を行う」ものと限定するものである。 エ 「前記事前撮影部は、移送中の錠剤の外観画像を獲得して錠剤の位置及び姿勢を認識し、画像処理を介して獲得した前記錠剤の位置ずれ、傾いた錠剤の姿勢のずれ、前記錠剤の一面の中心のシフト変化、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達する段階」とする訂正は、令和4年10月12日付けで当審が通知した取消理由通知書の理由4(特許法第36条第6項第2号)に対応し、明瞭でない記載を明瞭にするものであるとともに、本件訂正前の請求項17の「のうち少なくとも一つ」という択一的とする記載を削除し、限定するものである。 オ 「前記内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御する」とする訂正は、レーザー照射位置を制御するという態様を「内部ミラー部を調整して」行うことと限定するものであるとともに、本件訂正前の請求項17の「前記錠剤印刷部のレーザー照射位置又はレーザー照射量を制御する」という態様から、択一的記載の要素である「レーザー照射量」を削除し、限定するものである。 カ 以上より、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、また、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること ア 「、不均一な間隔で一列に配置して」とする訂正、及び、「吸着移送させる」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0050】−【0055】の記載、特に、【0054】の「負圧がかかる区間では、錠剤が回転板の円周に沿って設けられる凹溝上に位置する安着部材に吸着された状態で支持されて順に回転板とともに回転して移送される。ここで、安着部材に吸着された錠剤の位置は、必ずしも連通孔の位置と対応することなく、不均一な間隔で円周上の凹溝において一列に整列するようになる。」という記載から導き出される事項である。 イ 「事前撮影部により、一列に配置された前記錠剤の位置ずれ及び傾いた錠剤の姿勢のずれを判別するように移送中の前記錠剤の外観画像を撮影する」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0021】−【0022】、【0084】−【0085】の記載、特に、【0021】の「上記事前撮影部10は、錠剤供給部50を介して供給されて移送部60上に配列される錠剤の位置及び姿勢、例えば、前の錠剤に対する印刷が錠剤印刷部40によって行われた時点から現在の錠剤までの離隔距離や、錠剤一面がローテーションするか否かなどを撮影することで、画像処理を介して確認することができる。」、【0084】の「事前撮影部10は、位置追跡用レーザーカメラを含むことができ、上記カメラで錠剤を撮影して画像情報を取得し、取得した画像情報を制御部に伝達することができる。このとき、制御部は、獲得した画像を画像処理して錠剤移送部において錠剤の位置をXY座標で認識し、錠剤の外観ラインに沿って回転させたり、又は傾いた程度をチェックすることができる。」という記載及び技術常識から導き出される事項である。 ウ 「内部ミラー部を調整し、UVレーザー光を照射して印刷を行う印刷段階」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0085】、【0090】、【0113】−【0114】の記載、特に、【0085】の「これにより、制御部は、上記錠剤よりも前の錠剤の中心に合わせられた錠剤印刷部をリアルタイムで位置補正するために、錠剤印刷部の回転値及び位置補正値を演算して錠剤印刷部内部のミラーを調整するように命令することができ、錠剤印刷部40のレーザーの照射位置及び照射量を制御することができる。」、【0090】の「本発明の一実施形態による錠剤印刷部40は、レーザー印刷を行うようにUVレーザーを用いて錠剤にレーザーを照射する。」という記載及び技術常識から導き出される事項である。 エ 「前記事前撮影部は、移送中の錠剤の外観画像を獲得して錠剤の位置及び姿勢を認識し、画像処理を介して獲得した前記錠剤の位置ずれ、傾いた錠剤の姿勢のずれ、前記錠剤の一面の中心のシフト変化、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達する段階」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0021】−【0022】、【0084】−【0085】の記載、特に、【0021】の「上記事前撮影部10は、錠剤供給部50を介して供給されて移送部60上に配列される錠剤の位置及び姿勢、例えば、前の錠剤に対する印刷が錠剤印刷部40によって行われた時点から現在の錠剤までの離隔距離や、錠剤一面がローテーションするか否かなどを撮影することで、画像処理を介して確認することができる。」、【0022】の「錠剤の一面に対する印刷が錠剤の中央部から一定の範囲以上外れないようにするためであって、事前撮影部10を介して錠剤印刷の精度及び成功率を高めることができる。」、【0084】の「事前撮影部10は、位置追跡用レーザーカメラを含むことができ、上記カメラで錠剤を撮影して画像情報を取得し、取得した画像情報を制御部に伝達することができる。このとき、制御部は、獲得した画像を画像処理して錠剤移送部において錠剤の位置をXY座標で認識し、錠剤の外観ラインに沿って回転させたり、又は傾いた程度をチェックすることができる。」という記載及び技術常識から導き出される事項であるから、本件特許明細書に記載された事項である。 オ 「前記内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御する」とする訂正は、本件特許明細書の段落【0085】、【0113】−【0114】の記載、特に、【0085】の「これにより、制御部は、上記錠剤よりも前の錠剤の中心に合わせられた錠剤印刷部をリアルタイムで位置補正するために、錠剤印刷部の回転値及び位置補正値を演算して錠剤印刷部内部のミラーを調整するように命令することができ、錠剤印刷部40のレーザーの照射位置及び照射量を制御することができる。」という記載及び技術常識から導き出される事項であるから、本件特許明細書に記載された事項である。 エ 以上より、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項4に係る訂正は、上記(1)のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 7 訂正事項5にかかる当審の判断 (1)訂正の目的の適否 訂正事項5は、令和4年10月12日付けで当審が通知した取消理由通知書の理由3(特許法第36条第4項第1号)、及び、令和5年9月12日付けで当審が通知した取消理由通知書(決定の予告)の取消理由3(特許法第36条第4項第1号)に対応し、明瞭でない記載を明瞭にするものである。 よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 (2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること 訂正事項5に係る訂正は、本件特許明細書の段落【0124】−【0125】の 「制御部は、上記第1印刷後撮影部20が撮影した錠剤の第1面の印刷部の文字境界線と印刷を意図した文字境界線が同一であるかを比較し、上記印刷部の文字境界線の位置が錠剤の中心部にあるかを確認して、上記錠剤の印刷部が正常品であるか否かを判別することができる。」「或いは、制御部は、上記第1印刷後撮影部が撮影した錠剤の外観境界線及び錠剤の表面を検査して錠剤が正常品であるか否かを判別することができる。」という記載及び技術常識から導き出される事項であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 (3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否 訂正事項5に係る訂正は、上記(1)のとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 4 小括 以上のとおり、訂正事項1ないし5に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項の規定に適合すると共に、同条第9項の規定によって準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1〜16〕、〔17〜26〕について訂正を認める。 第3 本件発明 上記のとおり本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1ないし26に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明26」という。)は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし26に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 錠剤供給部からの供給を受けた錠剤を、不均一な間隔で一列に配置して吸着移送させる移送部と、 一列に配置された前記錠剤の位置ずれ及び傾いた錠剤の姿勢のずれを判別するように前記錠剤が移送される移送経路に沿って位置し、移送中の前記錠剤の外観画像を撮影するように配置される事前撮影部と、 前記錠剤が移送される移送経路に沿って前記事前撮影部の次に位置し、前記事前撮影部で撮影した画像を介して獲得した判別結果を考慮して内部ミラー部を調整し、UVレーザー光を照射して印刷を行う錠剤印刷部と、 前記錠剤が移送される移送経路に沿って前記錠剤印刷部の次に位置し、前記印刷された錠剤の外観又は印刷結果を検査するように移送中の前記錠剤の外観を撮影する印刷後撮影部と、を含み、 前記事前撮影部は、移送中の錠剤の外観画像を獲得して錠剤の位置及び姿勢を認識し、画像処理を介して獲得した前記錠剤の位置ずれ、傾いた錠剤の姿勢のずれ、前記錠剤の一面の中心のシフト変化、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達し、 前記制御部は、前記錠剤の情報を基に、前記錠剤印刷部の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、前記補正値を基準に前記内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御する、錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項2】 前記事前撮影部は、前記錠剤の印刷前の表面に異常があるか否かを検査するように前記錠剤の表面状態を撮影する錠剤表面検査部をさらに含む、請求項1に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項3】 前記移送部は、前記錠剤供給部からの供給を受けた前記錠剤を移送させる第1移送部、及び前記第1移送部からの伝達を受けた前記錠剤の姿勢を反転して移送させる第2移送部を含む、請求項1に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項4】 前記事前撮影部は第1事前撮影部及び第2事前撮影部を含み、 前記第1移送部の錠剤が移送される移送経路に沿って前記錠剤の第1面に対して事前撮影を行う前記第1事前撮影部が配置され、前記第2移送部の姿勢が反転された錠剤が移送される移送経路に沿って前記第1面の反対面である前記錠剤の第2面を撮影する前記第2事前撮影部が配置される、請求項3に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項5】 前記錠剤印刷部は、前記第1移送部及び前記第2移送部のうち少なくとも一つの移送経路に沿って配置される、請求項4に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項6】 前記印刷後撮影部は第1印刷後撮影部及び第2印刷後撮影部を含み、 前記第1移送部の錠剤が移送される移送経路に沿って前記錠剤の第1面を基準に全体的な外観を撮影する前記第1印刷後撮影部が配置され、前記第2移送部の姿勢が反転された錠剤が移送される移送経路に沿って前記第1面の反対面である前記錠剤の第2面を基準に全体的な外観を撮影する前記第2印刷後撮影部が配置される、請求項4に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項7】 錠剤印刷部は、前記錠剤の一面である第1面に対して印刷を行う第1錠剤印刷部、及び姿勢が反転された前記錠剤の前記第1面の反対面である第2面に対して印刷を行う第2錠剤印刷部を含み、 前記第1移送部の錠剤が移送される移送経路に沿って配置される前記第1事前撮影部、前記第1錠剤印刷部、及び前記第1印刷後撮影部と、 前記第2移送部の姿勢が反転された錠剤が移送される移送経路に沿って配置される前記第2事前撮影部、前記第2錠剤印刷部、及び前記第2印刷後撮影部と、を含む、請求項6に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項8】 ベースフレームと、前記ベースフレームに配置され、ホッパーを介して供給される錠剤を遠心力によって一列に整列する前記錠剤供給部と、をさらに含み、 前記事前撮影部は、前記錠剤供給部の一側に配置され、前記錠剤供給部から吐出されて移送される印刷前の錠剤を撮影し、 前記錠剤印刷部は、前記移送される錠剤に対してレーザー光を照射する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項9】 前記第1印刷後撮影部は、移送中の錠剤の印刷面である第1面及び第1側面端の外観を検査するように撮影を行い、 前記第2印刷後撮影部は、前記第1面の反対面である第2面及び第2側面端の外観を検査するように撮影を行う、請求項6に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項10】 前記第1印刷後撮影部及び前記第2印刷後撮影部のうち少なくとも一つは、 錠剤の一面の正面及び前後方向の側面端部を上部から撮影する2Dカメラ部と、錠剤一面の全体的な形状を上部から撮影する3Dカメラ部と、を含み、 前記第1印刷後撮影部及び前記第2印刷後撮影部のうち残りの一つは、 錠剤の他面の正面及び前後方向の側面端部を下部から撮影する2Dカメラ部と、錠剤の他面の全体的な形状を下部から撮影する3Dカメラ部と、を含む、請求項6に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項11】 制御部と、錠剤が分類排出されるように不良品排出口及び正常品排出口を含む錠剤排出部と、をさらに含み、 前記制御部は、前記事前撮影部から得られた画像に応じて前記錠剤の一定の位置に印刷を行うように前記錠剤印刷部の内部のミラー部を制御し、前記印刷後撮影部から得られた画像に応じて少なくとも1回以上の錠剤の良品判別を行って前記錠剤が分類排出される排出口を決定する、請求項4に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項12】 前記事前撮影部は、位置追跡センサーが設けられたカメラを含む、請求項1に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項13】 前記制御部は、前記事前撮影部を介して得られた移送中の前記錠剤の外観画像を獲得して前記錠剤の印刷前の表面に異常があるか否かを検査する、請求項1に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項14】 前記制御部は、獲得した前記錠剤の情報に応じた前記錠剤印刷部の制御値を補正値として学習し、前記錠剤のローテーション及びシフト変化による前記錠剤の一面の印刷結果位置の変化が最小限になるように前記錠剤印刷部を前記補正値によって制御する、請求項1に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項15】 前記制御部は、 前記印刷後撮影部が撮影した前記錠剤の一面の印刷結果である文字境界線と印刷を意図した文字境界線が同一であるかを比較し、前記印刷結果である文字境界線が前記錠剤の一面の中心部にあるかを確認して、前記錠剤の印刷面が正常品であるか否かを判別する、請求項11に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項16】 前記制御部は、前記印刷後撮影部が撮影した前記錠剤の外観境界線及び前記錠剤の表面を検査して前記錠剤が正常品であるか否かを判別する、請求項11に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項17】 移送部により、錠剤供給部からの供給を受けた錠剤を、不均一な間隔で一列に配置して吸着移送させる移送段階と、 事前撮影部により、一列に配置された前記錠剤の位置ずれ及び傾いた錠剤の姿勢のずれを判別するように移送中の前記錠剤の外観画像を撮影する事前撮影段階と、 錠剤印刷部により、前記事前撮影部で撮影した画像を介して獲得した判別結果を考慮して内部ミラー部を調整し、UVレーザー光を照射して印刷を行う印刷段階と、 印刷後撮影部により、前記印刷された錠剤の外観又は印刷結果を検査するように移送中の前記錠剤の外観を撮影する検査段階と、を含み、 前記事前撮影部を介して移送中の錠剤の外観画像を獲得して錠剤の位置及び姿勢を認識し、画像処理を介して獲得した前記錠剤の位置ずれ、傾いた錠剤の姿勢のずれ、前記錠剤の一面の中心のシフト変化、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達する段階、及び、 前記制御部により前記錠剤の情報を基に、前記錠剤印刷部の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、前記補正値を基準に前記内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御する段階をさらに含む、錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項18】 前記事前撮影段階は、前記錠剤の印刷前の表面に異常があるか否かを検査するように前記錠剤の表面状態を撮影する段階をさらに含む、請求項17に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項19】 前記事前撮影段階は、錠剤の第1面を撮影し、前記錠剤の第1面の撮影後に移送中の前記錠剤の姿勢を反転させて前記第1面の反対面である前記錠剤の第2面を撮影する、請求項17に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項20】 前記印刷段階は、錠剤の第1面に対して印刷を行うか、又は移送中の錠剤の姿勢を反転させて前記第1面の反対面である錠剤の第2面に対して印刷を行う、請求項19に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項21】 前記検査段階は、錠剤の第1面を基準に、全体的な外観を撮影し、前記撮影後に移送中の前記錠剤の姿勢を反転させて前記第1面の反対面である前記錠剤の第2面を基準に全体的な外観を撮影する、請求項19に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項22】 錠剤の第1面に対して前記移送段階、前記事前撮影段階、前記印刷段階、及び前記検査段階を行った後、 移送中の錠剤の姿勢を反転させて前記第1面の反対面である前記錠剤の第2面に対して前記移送段階、前記事前撮影段階、前記印刷段階、及び前記検査段階を繰り返して行う、請求項17に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項23】 前記印刷段階は、 前記錠剤の一定の位置に印刷を行うように前記事前撮影部が撮影を介して得られた前記錠剤の情報に応じて内部のミラー部を調整してレーザー光を照射する、請求項17から請求項22のいずれか一項に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項24】 前記検査段階は、 移送中の錠剤の一面及び他面のうち少なくとも一つの正面及び前後方向の側面端部を撮影する段階と、前記移送中の錠剤の一面及び他面のうち少なくとも一つの全体的な形状を撮影する段階と、を含む、請求項17から請求項22のいずれか一項に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項25】 前記印刷後撮影部によって獲得した画像に応じて複数の錠剤の良品判別を行い、前記良品判別によって錠剤を分離排出する段階をさらに含む、請求項17から請求項22のいずれか一項に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項26】 前記印刷後撮影部が撮影した錠剤の一面の印刷結果である文字境界線と印刷を意図した文字境界線が同一であるかを比較し、前記印刷結果である文字境界線が前記錠剤の一面の中心部にあるか否かを確認する段階と、 前記印刷後撮影部が撮影した前記錠剤の外観境界線及び前記錠剤の表面を検査する段階のうち少なくとも一つの段階を行って、前記印刷結果である文字境界線が錠剤の一面の中心部にあるか、錠剤の外観境界線及び錠剤の表面が意図した外観境界線及び錠剤の表面と同一であると、正常品と判別する、請求項23に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。」 第4 取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由の概要 当審が令和5年9月12日付けで通知した取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。 1 取消理由1(特許法第29条の2) 本件特許の請求項1、3ないし8、11、14、15、17、19ないし23、25及び26に係る発明は、本件特許の出願をしたとみなす日前の日本語特許出願であって、本件特許の出願をしたとみなす日の後に国際公開がされた日本語特許出願の国際出願日における国際出願である先願1の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の発明者が本件特許の出願をしたとみなす日前の日本語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、その出願人が上記先願1の出願人と同一でもないので、特許法第184条の13の規定により読み替える同法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 先願1:特願2020−7238号(甲第2号証) (国際公開第2021/149454号(甲第1号証)) 2 取消理由2(特許法第29条第2項) 本件特許の以下の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・請求項1ないし10,12ないし14、17ないし22及び24 引用文献2,3,4 ・請求項11、15、16、23、25及び26 引用文献2,3,4,5 <引用文献一覧> 引用文献2:特開2018−117949号(甲第3号証) 引用文献3:国際公開第2015/008742号(甲第4号証) 引用文献4:特開2017−144241号公報(甲第5号証) 引用文献5:特開昭64−78843号公報(甲第6号証) 3 取消理由3(特許法第36条第4項第1号) 本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が請求項15及び26に記載された発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではなく、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 4 取消理由4(特許法第36条第6項第2号) 本件特許の請求項1ないし26に係る発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 5 訂正による新たな取消理由(特許法第36条第6項第1号)(以下、「取消理由5」という。) 本件特許の請求項1ないし26に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 第5 取消理由1(特許法第29条の2)に対する判断 1 先願明細書に記載された先願発明 先願1(特に、段落【0001】、【0015】〜【0025】、【0028】〜【0034】、【0038】、【0040】〜【0042】、【0046】〜【0048】(国際公開の[0001]、[0017]〜[0027]、[0030]〜[0036]、[0040]、[0042]〜[0044]、[0049]〜[0051])及び図1〜3,図5、図14参照。)には、以下の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されている。 (先願発明) 「供給装置10の回転ディスクの回転により供給された単列に整列した錠剤などの可食体を受け取って、単列のまま保持部22、32の底部に形成された吸引孔を介して吸引保持して搬送する搬送装置20、30と、 前記可食体の位置および向きに関する位置情報および向き情報を検出するように搬送装置20、30の搬送方向に沿って設けられ、搬送される前記可食体を撮像する検出部210、310と、 前記搬送装置20、30の搬送方向に沿って前記検出部210、310の次に位置し、前記検出部210、310で撮像した可食体の画像情報に対して画像処理を行うことで取得した前記可食体毎の前記位置情報および前記向き情報に基づいてマーキングを行うレーザ加工部220、320と、 前記搬送装置20、30の搬送方向に沿って前記レーザ加工部220、320の次に位置し、前記可食体のマーキング精度を検査するように搬送される前記可食体を撮像するマーキング検査部230、330と、を備え、 前記検出部210、310は、搬送される前記可食体を撮像して可食体の位置および向きに関する位置情報および向き情報を検出し、画像処理を行うことで取得される前記可食体毎の位置情報および向き情報を可食体の情報として制御部228に入力し、 前記制御部228は、前記可食体の情報に基づいて、前記レーザ加工部220、320の基準座標系での座標情報を加工座標系での座標情報に変換し、前記加工座標系で前記レーザ加工部220、320の走査部224の駆動制御を行う、可食体のマーキング装置1。」 2 本件発明1について (1)対比 ア 本件発明1と先願発明とを対比すると、先願発明の「供給装置10」は本件発明1の「錠剤供給部」に相当し、以下同様に、「錠剤などの可食体」及び「可食体」は「錠剤」に、「単列」は「一列」に、「吸引保持して搬送する」は「吸着移送させる」に、「搬送装置20、30」は「移送部」に、それぞれ相当する。 そして、先願発明の「供給装置10の回転ディスクの回転により供給された単列に整列した錠剤などの可食体を受け取って、単列のまま保持部22、32の底部に形成された吸引孔を介して吸引保持して搬送する搬送装置20、30」と本件発明1の「錠剤供給部からの供給を受けた錠剤を、不均一な間隔で一列に配置して吸着移送させる移送部」とは、「錠剤供給部からの供給を受けた錠剤を、一列に配置して吸着移送させる移送部」という限りにおいて一致する。 イ 先願発明の「検出」は本件発明1の「判別」に相当し、以下同様に、「搬送装置20、30の搬送方向に沿って」は「前記錠剤が移送される移送経路に沿って」に、「設けられ」は「位置し」に、「搬送される前記可食体を撮像する」は「移送中の前記錠剤の外観画像を撮影するように配置される」に、「検出部210、310」は「事前撮影部」に、それぞれ相当する。 そして、先願発明の「位置および向きに関する位置情報および向き情報」と本件発明1の「位置ずれ及び傾いた錠剤の姿勢のずれ」とは、「位置の情報」という限りにおいて一致し、同様に「前記可食体の位置および向きに関する位置情報および向き情報を検出するように搬送装置20、30の搬送方向に沿って設けられ、搬送される前記可食体を撮像する検出部210、310」と「一列に配置された前記錠剤の位置ずれ及び傾いた錠剤の姿勢のずれを判別するように前記錠剤が移送される移送経路に沿って位置し、移送中の前記錠剤の外観画像を撮影するように配置される事前撮影部」とは、「一列に配置された前記錠剤の位置の情報を判別するように前記錠剤が移送される移送経路に沿って位置し、移送中の前記錠剤の外観画像を撮影するように配置される事前撮影部」という限りにおいて一致する。 ウ 先願発明の「撮像した可食体の画像情報に対して画像処理を行うことで取得した」は本件発明1の「撮影した画像を介して獲得した」に相当し、以下同様に、「前記可食体毎の前記位置情報および前記向き情報に基づいて」は「判別結果を考慮して」に、「マーキング」は「印刷」に、「レーザ加工部220、320」は「錠剤印刷部」に、それぞれ相当する。 エ 先願発明の「前記可食体のマーキング精度を検査する」は本件発明1の「前記印刷された錠剤の外観又は印刷結果を検査する」に相当し、以下同様に「搬送される」は「移送中の」に、「撮像する」は「外観を撮影する」に、「マーキング検査部230、330」は「印刷後撮影部」に、それぞれ相当する。 オ 先願発明の「撮像して」は本件発明1の「外観画像を獲得して」に相当し、以下同様に、「画像処理を行うことで取得される」は「画像処理を介して獲得した」に、「制御部228」は「制御部」に、「入力し」は「伝達し」に、それぞれ相当し、さらに、先願発明の「可食体の位置および向きに関する位置情報および向き情報を検出し」と本件発明1の「錠剤の位置及び姿勢を認識し」とは、「錠剤の位置を認識し」という限りにおいて一致する。 そして、先願発明の「可食体毎の位置情報」は、その位置の方向を特定しているものではないから、本件発明1の「錠剤の位置ずれ」及び「錠剤の一面の中心のシフト変化」と、「錠剤の位置情報」及び「錠剤の一面の中心のシフト情報」という限りにおいて一致し、先願発明の「可食体毎の」「向き情報」は本件発明1の「錠剤の一面のローテーション情報」に相当するから、先願発明の「前記可食体毎の位置情報および向き情報を可食体の情報として制御部228に入力し」と本件発明1の「前記錠剤の位置ずれ、傾いた錠剤の姿勢のずれ、前記錠剤の一面の中心のシフト変化、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達し」とは、「前記錠剤の位置情報、前記錠剤の一面の中心のシフト情報、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達し」という限りにおいて一致する。 カ 先願発明の「前記可食体の情報に基づいて」は本件発明1の「前記錠剤の情報を基に」に相当する。 そして、先願発明の「レーザ加工部220、320の基準座標系の座標情報を加工座標系での座標情報に変換し、前記加工座標系で前記レーザ加工部220、320の走査部224を駆動制御する」と本件発明1の「錠剤印刷部の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、前記補正値を基準に前記内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御する」とは、「錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御する」限りにおいて一致し、先願発明の「可食体のマーキング装置」は「マーキング検査部230、330」を含むから、先願発明の「可食体のマーキング装置」と本件発明1の「錠剤印刷及び外観検査装置」とは、「錠剤印刷及び検査装置」という限りにおいて一致する。 そうすると、両者は、 「錠剤供給部からの供給を受けた錠剤を、一列に配置して吸着移送させる移送部と、 一列に配置された前記錠剤の位置の情報を判別するように前記錠剤が移送される移送経路に沿って位置し、移送中の前記錠剤の外観画像を撮影するように配置される事前撮影部と、 前記錠剤が移送される移送経路に沿って前記事前撮影部の次に位置し、前記事前撮影部で撮影した画像を介して獲得した判別結果を考慮して印刷を行う錠剤印刷部と、 前記錠剤が移送される移送経路に沿って前記錠剤印刷部の次に位置し、前記印刷された錠剤の外観又は印刷結果を検査するように移送中の前記錠剤の外観を撮影する印刷後撮影部と、を含み、 前記事前撮影部は、移送中の錠剤の外観画像を獲得して錠剤の位置を認識し、画像処理を介して獲得した前記錠剤の位置情報、前記錠剤の一面の中心のシフト情報、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達し、 前記制御部は、前記錠剤の情報を基に、前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御する、錠剤印刷及び検査装置。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 移送部に関し、本件発明1は、「不均一な間隔で」一列に配置して吸着移送させているのに対し、先願発明は、一列に配置して吸着移送させているが「不均一な間隔」で配置しているかは不明な点。 [相違点2] 事前撮影部に関し、本件発明1は、「位置ずれ及び傾いた錠剤の姿勢のずれを判別」しているのに対し、先願発明は、位置情報および向き情報を検出しているが位置「ずれ」を判別しているかは不明であり、「傾いた錠剤の姿勢のずれを判別」していない点。 [相違点3] 錠剤印刷部に関し、本件発明1は、「内部ミラー部を調整し、UVレーザー光を照射して印刷を行う錠剤印刷部」であるのに対し、先願発明は、そのようなものであるか不明な点。 [相違点4] 制御に関し、本件発明1は、「前記錠剤の位置ずれ、傾いた錠剤の姿勢のずれ、前記錠剤の一面の中心のシフト変化、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達し」、「前記錠剤の情報を基に、前記錠剤印刷部の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、前記補正値を基準に内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御」しているのに対し、先願発明は、前記可食体毎の位置情報および向き情報を制御部228に入力し、前記可食体毎の位置情報および向き情報に基づいて、前記レーザ加工部220、320の基準座標系での座標情報を加工座標系での座標情報に変換し、前記加工座標系で前記レーザ加工部220、320の走査部224の駆動制御を行っており、さらに、内部ミラー部を調整しているか不明な点。 [相違点5] 本件発明1は、「錠剤印刷及び外観検査装置」であるのに対し、先願発明は、「可食体のマーキング装置1」である点。 (2)判断 事案に鑑みて、まず相違点4について検討する。 ア 相違点4について 先願1には、少なくとも本件発明1の「傾いた錠剤の姿勢のずれ」を含む錠剤の情報を基に「内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御」することは、記載も示唆もされていない。また、本件発明1の「傾いた錠剤の姿勢のずれ」を含む錠剤の情報を基に「内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御」することは、課題解決のための具体化手段における微差であるともいえない。 よって、相違点4は、実質的な相違点である。 イ まとめ 上記アのとおり、相違点4は、実質的な相違点であるから、相違点1〜3及び5について検討するまでもなく、本件発明1は、先願発明と同一ではなく、実質同一でもない。 3 本件発明3ないし8、11、14及び15について 本件発明3ないし8、11、14及び15は、いずれも本件発明1の全ての発明特定事項を含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、上記2に示した理由と同様の理由により、先願発明と同一ではなく、実質同一でもない。 4 本件発明17、19ないし23、25及び26について 本件発明17は、実質的に本件発明1の「錠剤印刷及び外観検査装置」という物の発明を「錠剤印刷及び外観検査方法」という方法の発明にしたものである。 先願1には、先願発明に係る方法の発明(以下、「先願方法発明」という。)が記載されている。 そして、本件発明17と先願方法発明とは、上記2で対比、判断したのと同様であるから、本件発明17は、先願方法発明と同一ではなく、実質同一でもない。 また、本件発明19ないし23、25及び26は、いずれも本件発明17の全ての発明特定事項を含んだ上で、新たに発明特定事項を追加したものであるから、同様に、先願方法発明と同一ではなく、実質同一でもない。 5 小括 以上により、本件発明1、3ないし8、11、14、15、17、19ないし23、25及び26に係る特許は、特許法第184条の13の規定により読み替える同法第29条の2の規定に違反してされたものではなく、取消理由1によって取り消すことはできない。 第6 取消理由2(特許法第29条第2項)に対する判断 1 引用文献2に記載された引用発明 引用文献2(特に、段落【0001】、【0008】、【0010】、【0015】〜【0019】、【0024】〜【0025】、【0029】、【0031】〜【0033】、【0035】、【0042】、【0051】〜【0053】、【0056】〜【0059】、【0061】〜【0062】、【0069】、【0071】、【0073】〜【0074】、【0076】〜【0077】、【0079】〜【0086】、【0088】〜【0090】及び図1〜6参照。)には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 (引用発明) 「供給手段Fからの供給された錠剤tを一列に配置して吸引保持して搬送する搬送コンベア31、32と、 一列に配置された前記錠剤tの位置情報、及び、割線の角度を認識するように前記搬送コンベア31、32の上方に配置され、搬送中の前記錠剤tの上面の画像を撮影するように配置される錠剤認識カメラ341、351と、 前記搬送コンベア31、32の上方であって前記錠剤認識カメラ341、351の搬送方向下流側に配置され、前記錠剤認識カメラ341、351で撮影した画像を介して取り込まれた認識情報に基づいて印刷するインクヘッド342、352と、 前記搬送コンベア31、32の上方であって更に下流に配置され、前記印刷後の錠剤tの印刷不良の有無が判定されるように通過する前記錠剤tの表面を撮影する印刷検査カメラ343、353と、を備え、 前記錠剤認識カメラ341、351は、通過する錠剤tの上面の画像を撮影して錠剤tの搬送位置を捕捉し及び割線の角度を認識し、画像に基づいて前記錠剤tの位置情報、及び、割線の角度を含む錠剤tの認識情報を印刷制御部に取り込ませ、 前記印刷制御部は、前記錠剤tの認識情報に基づいて、錠剤tの所定位置に予め設定された文字等が印刷されるように前記インクヘッド342、352に印刷させる、外観の良否を判定する検査部2を含む錠剤印刷装置。」 2 引用文献3に記載された事項 (1)「[0001] 本発明は、医薬品や食品等の可食体にマーキングパターンを形成する可食体のマーキング装置および方法に関する。」 (2)「[0016] 以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る可食体のマーキング装置の概略構成図である。図1に示すように、可食体のマーキング装置1は、可食体を供給する供給装置10と、供給装置10から供給された可食体を受け取って搬送する第1の搬送装置20と、第1の搬送装置20から可食体を受け取って搬送する第2の搬送装置30と、第2の搬送装置30から可食体を受け取って外部に排出する排出装置40とを備えている。」 (3)「[0020] 上記の構成を備える可食体のマーキング装置1において、第1の搬送装置20の近傍には、第1の検出装置210、第1のマーキング装置220および第1のマーキング検査装置230が、第1の搬送装置20の搬送方向に沿って順次設けられている。」 (4)「[0024] 第1のマーキング装置220は、レーザマーキング装置であり、マーキングエリアA2に搬送された可食体に対して、レーザスポットの走査によりマーキングを行うことができる。第1のマーキング装置220のメモリ部には、文字、数字、記号、図形等やこれらの組み合わせからなるマーキングパターンの基準座標系での座標データが予め格納されており、第1の検出装置210から入力された可食体毎の位置データおよび方向データに基づいて、基準座標系での座標データを加工座標系での座標データに変換し、この加工座標系でレーザスポットの駆動制御を行うことにより、それぞれの可食体の方向に合わせてマーキングパターンを形成することができる。」 (5)「[0028] 第1のマーキング検査装置230は、マーキングパターンに対応する基準パターンデータがメモリ部に予め格納されており、撮像部234が可食体を撮像したデータからマーキングパターンデータを抽出して、第1の検出装置210から入力された方向データに基づき基準パターンデータと比較することにより、可食体のマーキング精度を検査する。予め設定された基準パターンデータは基準座標系で設定されているため、第1の検出装置210から入力された可食体の位置データおよび方向データに基づいてマーキングパターンデータを補正(あるいは、基準パターンデータを補正)した後に、マーキングパターンデータを基準パターンデータと比較してパターンマッチング等が行われる。第1のマーキング検査装置230は、マーキングパターンデータの抽出時に、可食体に対するマーキング位置の計測を行っており、マーキング位置が所定位置から位置ずれを生じている場合に、このずれ量を第1のマーキング装置220に送信する。これにより、第1のマーキング装置220においては、レーザスポットの駆動部に対してフィードバック制御を行うことができ、周囲温度などの環境変化や機械精度の経時変化等に伴うマーキング精度の低下を抑制して、錠剤等の表面における微小なスペースに必要な情報を正確にマーキングすることができる。フィードバック制御は、平均化等の統計的な処理や補正量の制限等と組み合わせることで段階的に行うことが可能である。あるいは、フィードバック制御の制限を緩和(または除外)して、マーキングおよびマーキング検査を行う可食体のサンプル数が比較的少ない場合(例えば、1万錠程度の錠剤)でも対応可能にすることで、マーキング位置の調整を迅速且つ正確に行うことができる。」 (6)「[図1] 」 3 引用文献4に記載された事項 (1)「【0001】 本発明は、錠剤印刷装置及び錠剤製造方法に関する。」 (2)「【0029】 本実施形態でセンサ30は、検出した距離が近いほど大きな値を出力する。そして、搬送される錠剤Tbの高さ位置を、経時的に検出し続けることにより、例えば、図3や図4に示すような、錠剤Tbの高さ位置の変動情報を得ることができる。高さ位置の変動情報は、本実施形態では、高さ位置の変化を示す波形として示す。詳細は後述するが、ちなみに、図3、図4に示す波形において、横軸は時間軸、縦軸はセンサ30の出力値を示している。 [カメラ] カメラ40は、印刷前の各錠剤Tbを撮像する撮像部である。カメラ40は、印刷部50よりも上流側を搬送される錠剤Tbを撮像して、その撮像信号を画像処理装置41(図5参照)に出力する。画像処理装置41は、カメラ40からの撮像信号を取り込み、錠剤Tbの姿勢を不良判定部95(図5参照)に出力する。錠剤Tbの姿勢とは、搬送ベルト21の上の錠剤Tbの位置ずれ、向き、表裏などの状態である。また、画像処理装置41は、カメラ40から取り込んだ撮像信号を処理して、錠剤Tbの外観の状態を不良判定部95に出力する。外観の状態とは、錠剤の割れ、欠け、あるいは異物、汚れの付着などの外観から分かる錠剤Tbの状態である。カメラ40の視野範囲に入る搬送ベルト21上における領域は、搬送ベルト21の錠剤検出位置Pdと、その下流で印刷を行う印刷位置Ppとの間の所定範囲を含む。 【0030】 カメラ40の視野範囲は、少なくとも1つの錠剤Tbの全体が撮像できる大きさであればよい。なお、撮像される画像のデータ量を抑えつつ、1つの錠剤Tbの全体を確実に撮像できるようにするため、同時に2つの錠剤Tbの全体が収まるが、3つの錠剤Tbの全体は収まらない大きさとすることが考えられる。このような大きさにすると、1つの錠剤Tbの画像が視野範囲の中心に位置づけられた場合、上流側と下流側で隣接する他の錠剤Tbの画像は、その一部が視野範囲外となる。 [印刷部] 印刷部50は、搬送装置20に搬送される錠剤Tbに印刷を行う機構である。印刷部50は、印刷ヘッド51、印刷確認カメラ52、乾燥ユニット53を有する。本実施形態の場合、印刷ヘッド51は、印刷データに従って、錠剤Tbの表面に印刷を行うインクジェットプリンタのヘッドである。印刷ヘッド51は、圧電素子や熱素子等のエネルギー発生素子を駆動させることにより、インク滴を吐出して印刷を行う複数のノズルを有する。印刷ヘッド51は、カメラ40の下流側の印刷位置Ppにおいて、搬送ベルト21の表面に対向して配置されている。 【0031】 印刷確認カメラ52は、印刷後の錠剤Tbを撮像する撮像部である。印刷確認カメラ52は、印刷ヘッド51を通過した後の錠剤Tbを撮像して、その撮像信号を画像処理装置52aに出力する。画像処理装置52aは、カメラ52からの撮像信号を取り込み、印刷状態を不良判定部95に出力する。印刷確認カメラ52の視野範囲は、錠剤Tbの搬送方向Dにおける印刷位置Ppの下流側の所定範囲に設定されている。」 (3)「【0094】 より具体的な不良判定の例を、図15を参照して説明する。図15では、上下に重なり合っている錠剤Tbのうち、下側の錠剤Tbを錠剤Tb1、上側の錠剤Tbを錠剤Tb2とする。また、不良判定するしきい値として、印刷できる錠剤Tbの傾きの最大値を示すしきい値θx、印刷できる錠剤Tbの長さの最小値を示すしきい値Lxが設定されているものとする。印刷ヘッド51は、錠剤Tbの傾きに応じた印刷パターンで正しく印刷できるように調整するが、この調整可能な限界を超える傾きがある場合、印刷した文字やマーク等がずれてしまう。このため、調整可能な限界として、しきい値θxを設定し、このしきい値θx以下の傾きであれば、不良でないと判定できる。なお、錠剤Tbの傾きに応じた印刷パターンの調整は、同一の錠剤Tbの傾斜した印刷面に対して、例えば、インクの吐出範囲、吐出量、インク滴のピッチ等を変化させることにより行う。また、錠剤Tbが重なりにより一部が隠れている場合、上記の実施形態では、印刷の対象から排除していたが、隠れている部分がごく僅かで、露出部分が大きい場合には、印刷ができる場合がある。このため、印刷可能な限界として、しきい値Lxを設定し、このしきい値Lx以上の長さであれば、不良でないと判定できる。」 (4)「【0109】 また、実施形態において、センサ30はレーザセンサのような反射型の光学センサを用いるとしたが、レーザのビーム形状は限定されない。例えば、スポットビームでもよく、ラインビームでも良い。また、ラインセンサのようなイメージセンサでも適用できる。ラインセンサを適用する場合は、画像として処理をするのではなく、しきい値を超えた出力が存在したら出力信号をONとする。また、レーザでない光でも良く、超音波を用いるものでも良い。搬送ベルト21上の錠剤Tbが検出できればさまざまなセンサが適用可能である。 (10)実施形態において、カメラ40の撮像画像から錠剤Tbの割れ、欠けや汚れ等の状態を確認したが、この錠剤Tbの状態の確認は必ずしも行わなくても良い。また、カメラ40とは別に設けた撮像部で錠剤Tbの状態の確認を行っても良い。例えば、印刷確認カメラ52で行う、あるいはまったく別に設けたカメラで行うことも可能である。印刷の後で錠剤Tbの状態の確認を行う場合は、印刷ヘッド51が印刷可能な錠剤Tbとする判定の条件に、錠剤Tbの割れ、欠けや汚れ等の外観上の状態は含まれない。 (11)実施形態において、インクジェットプリンタで説明したが、印刷部50は、非接触でさまざまなタイミングで錠剤Tbに印刷ができればよく、例えばレーザプリンタでも良い。」 (5)「【図15】 」 4 引用文献5に記載された事項 (1)「本発明は、レーザ光線によって被加工物に所要の印刷パターンを印刷するレーザ印刷装置に関し、より詳しくはレーザ光線に所要の印刷パターンを付与するマスク手段を備えるレーザ印刷装置に関する。」(1頁右下欄5行−9行) (2)「然して、上記マスク手段2を通過して所要のパターンが付与されたレーザ光線Lは、フォーカスレンズ10によって集光されるとともに、レーザ光線のガルバノミラ−11により所要方向に反射屈曲されて被加工物12上の所定位置に照射され、該被加工物12に上記マスク手段2で付与されたパターンを印刷する。 上記ガルバノミラー11は、第1ミラー13と第2ミラー14とを備えており、第1ミラー13は、上記マスク手段2から水平方向に放射されたレーザ光線Lを同一水平面内において第2ミラー14に向けて直角方向に反射させ、また第2ミラー14は、第1ミラー13からの水平方向のレーザ光線Lを直角鉛直方向に反射させてそのレーザ光線Lを水平に置かれた上記被加工物12に照射させるようになっている。 そして第1ミラー13は、上記マスク手段2からのレーザ光線Lが第1ミラー13によって反射される反射点13aを通る鉛直軸を中心として回転駆動装置15により回転駆動され、また第2ミラー14は、第1ミラー13からのレーザ光線Lが第2ミラー14によって反射される反射点14aを通り、かつ上記マスク手段2からのレーザ光線Lと平行な水平軸を中心として回転駆動装置16によって回転駆動されるようになっている。 したがって、上記第1ミラー13を回転駆動装置15によって回転させることにより、被加工物12へのレーザ光線Lの照射位置を第1図に示すX方向に移動させることができ、また第2ミラー14を回転駆動装置16によって回転させることにより、レーザ光線Lの照射位置を上記X方向と直交するY方向に移動させることができる。 そして上記回転駆動装置15による第1ミラー13の回転量および回転駆動装置16による第2ミラー14の回転量は上記制御装置6によって制御できるようにしてあり、またこの制御装置6は上記レーザ発振器1の発振も制御できるようになっている。」(3頁左上欄3行−右上欄20行) 5 本件発明1について (1)対比 ア 本件発明1と引用発明とを対比すると、引用発明の「供給手段F」は本件発明1の「錠剤供給部」に相当し、以下同様に、「錠剤t」は「錠剤」に、「吸引保持して搬送する」は「吸着移送させる」に、「搬送コンベア31、32」は「移送部」に、それぞれ相当する。 そして、引用発明の「供給手段Fからの供給された錠剤tを一列に配置して吸引保持して搬送させる搬送コンベア31、32」と本件発明1の「錠剤供給部からの供給を受けた錠剤を、不均一な間隔で一列に配置して吸着移送させる移送部」とは、「錠剤供給部からの供給を受けた錠剤を、一列に配置して吸着移送させる移送部」という限りにおいて一致する。 イ 引用発明の「認識」は本件発明1の「判別」に相当し、以下同様に、「搬送コンベア31、32の上方に配置され」は「前記錠剤が移送される移送経路に沿って位置し」に、「搬送中の前記錠剤tの上面の画像を撮影する」は「移送中の前記錠剤の外観画像を撮影する」に、「錠剤認識カメラ341、351」は「事前撮影部」に、それぞれ相当する。 そして、引用発明の「位置情報、及び、割線の角度」と本件発明1の「位置ずれ及び傾いた錠剤の姿勢のずれ」とは、「位置の情報」という限りにおいて一致する。 ウ 引用発明の「前記搬送コンベア31、32の上方であって」は本件発明1の「前記錠剤が移送される移送経路に沿って」に相当し、以下同様に、「前記錠剤認識カメラ341、351の搬送方向下流側に配置され」は「前記事前撮影部の次に位置し」に、「前記錠剤認識カメラ341、351で撮影した画像を介して取り込まれた認識情報に基づいて」は「前記事前撮影部で撮影した画像を介して獲得した判別結果を考慮して」に、「印刷する」は「印刷を行う」に、「インクヘッド342、352」は「錠剤印刷部」に、それぞれ相当する。 エ 引用発明の「更に下流に配置され」は本件発明1の「前記錠剤印刷部の次に位置し」に相当し、以下同様に「前記印刷後の錠剤tの印刷不良の有無が判定されるように通過する前記錠剤tの表面を撮影する」は「前記印刷された錠剤の外観又は印刷結果を検査するように移送中の前記錠剤の外観を撮影する」に、「印刷検査カメラ343、353」は「印刷後撮影部」に、「備え」は「含み」に、それぞれ相当する。 オ 引用発明の「通過する錠剤tの上面の画像を撮影して」は本件発明1の「移送中の錠剤の外観画像を獲得して」に相当し、以下同様に、「画像に基づいて」は、画像に基づいた処理を行っていることが自明であるから「画像処理を介して獲得した」に、「印刷制御部」は「制御部」に、「取り込ませ」は「伝達し」に、それぞれ相当し、引用発明の「錠剤tの搬送位置を捕捉し及び割線の角度を認識し」と本件発明1の「錠剤の位置及び姿勢を認識し」とは、「錠剤の位置を認識し」という限りにおいて一致する。 そして、引用発明の「錠剤tの位置情報」は、その位置の方向を特定しているものではないから、本件発明1の「錠剤の位置ずれ」及び「錠剤の一面の中心のシフト変化」と、「錠剤の位置情報」及び「錠剤の一面の中心のシフト情報」という限りにおいて一致し、引用発明の「錠剤tの」「割線の角度」は本件発明1の「錠剤の一面のローテーション情報」に相当し、以下同様に「錠剤tの認識情報」は「錠剤の情報」に相当するから、引用発明の「前記錠剤認識カメラ341、351は、通過する錠剤tの上面の画像を撮影して錠剤tの搬送位置を捕捉し及び割線の角度を認識し、画像に基づいて前記錠剤tの位置情報、及び、割線の角度を含む錠剤tの認識情報を印刷制御部に取り込ませ」と本件発明1の「前記錠剤の位置ずれ、傾いた錠剤の姿勢のずれ、前記錠剤の一面の中心のシフト変化、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達し」とは、「前記錠剤の位置情報、前記錠剤の一面の中心のシフト情報、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達し」という限りにおいて一致する。 カ 引用発明の「外観の良否を判定する検査部2を含む錠剤印刷装置」は「錠剤印刷及び外観検査装置」に相当する。 そして、引用発明の「錠剤tの所定位置に予め設定された文字等が印刷されるように前記インクヘッド342、352に印刷させる」と本件発明1の「錠剤印刷部の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、前記補正値を基準に前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御する」とは、「錠剤印刷部の印刷する位置を制御する」という限りにおいて一致する。 そうすると、両者は、 「錠剤供給部からの供給を受けた錠剤を、一列に配置して吸着移送させる移送部と、 一列に配置された前記錠剤の位置の情報を判別するように前記錠剤が移送される移送経路に沿って位置し、移送中の前記錠剤の外観画像を撮影するように配置される事前撮影部と、 前記錠剤が移送される移送経路に沿って前記事前撮影部の次に位置し、前記事前撮影部で撮影した画像を介して獲得した判別結果を考慮して印刷を行う錠剤印刷部と、 前記錠剤が移送される移送経路に沿って前記錠剤印刷部の次に位置し、前記印刷された錠剤の外観又は印刷結果を検査するように移送中の前記錠剤の外観を撮影する印刷後撮影部と、を含み、 前記事前撮影部は、移送中の錠剤の外観画像を獲得して錠剤の位置を認識し、画像処理を介して獲得した前記錠剤の位置情報、前記錠剤の一面の中心のシフト情報、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達し、 前記制御部は、前記錠剤の情報を基に、前記錠剤印刷部の印刷する位置を制御する、錠剤印刷及び外観検査装置。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点6] 移送部に関し、本件発明1は、「不均一な間隔で」一列に配置して吸着移送させているのに対し、引用発明は、一列に配置して吸引保持して搬送しているが「不均一な間隔」で配置しているかは不明な点。 [相違点7] 事前撮影部に関し、本件発明1は、「位置ずれ及び傾いた錠剤の姿勢のずれを判別」しているのに対し、引用発明は、位置情報、及び、割線の角度を認識しているが位置「ずれ」を判別しているかは不明であり、「傾いた錠剤の姿勢のずれを判別」していない点。 [相違点8] 錠剤印刷部に関し、本件発明1は、「内部ミラー部を調整し、UVレーザー光を照射して印刷を行う錠剤印刷部」であるのに対し、引用発明は、そのようなものではない点。 [相違点9] 制御に関し、本件発明1は、「前記錠剤の位置ずれ、傾いた錠剤の姿勢のずれ、前記錠剤の一面の中心のシフト変化、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達し」、「前記錠剤の情報を基に、前記錠剤印刷部の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、前記補正値を基準に内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御」しているのに対し、引用発明は、前記錠剤tの位置情報、及び、割線の角度を含む錠剤tの認識情報を印刷制御部に取り込ませ、前記錠剤tの認識情報に基づいて、錠剤tの所定位置に予め設定された文字等が印刷されるように前記インクヘッド342、352に印刷させている点。 (2)判断 事案に鑑みて、まず相違点9について検討する。 ア 相違点9について 引用文献3ないし5には、傾いた錠剤の姿勢のずれを含む錠剤の情報を基に錠剤印刷部の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、前記補正値を基準に内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御することは、記載も示唆もされていない。 上記3(3)に記載したとおり、引用文献4には、「印刷ヘッド51は、錠剤Tbの傾きに応じた印刷パターンで正しく印刷できるように調整する」と記載されており、「傾いた錠剤の姿勢のずれ」に基づいて印刷パターンを制御する旨が示唆されているものの、「傾いた錠剤の姿勢のずれ」を含む錠剤の情報を基に「錠剤印刷部の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、前記補正値を基準に内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御」することは、記載も示唆もされていない。 また、引用発明において「傾いた錠剤の姿勢のずれ」を含む錠剤の情報を基に「錠剤印刷部の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、前記補正値を基準に内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御」することは、当業者が適宜なし得る事項であるともいえない。 よって、引用発明に引用文献3ないし5に記載された技術を適用して、本件発明1の相違点9に係る構成とすることが、当業者にとって容易に想到し得るとする理由は、見いだせない。 イ まとめ 上記アのとおりであるから、相違点6ないし8について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明及び引用文献3ないし5に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 6 本件発明2ないし16について 本件発明2ないし16は、いずれも本件発明1の全ての発明特定事項を含み、さらに発明特定事項を追加したものであるから、上記5に示した理由と同様の理由により、引用発明及び引用文献3ないし5に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 7 本件発明17ないし26について 本件発明17は、実質的に本件発明1の「錠剤印刷及び外観検査装置」という物の発明を「錠剤印刷及び外観検査方法」という方法の発明にしたものである。 引用文献2には、引用発明に係る方法の発明(以下、「引用方法発明」という。)が記載されている。 そして、本件発明17と引用方法発明とは、上記5で対比、判断したのと同様であるから、本件発明17は、引用方法発明及び引用文献3ないし5に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 また、本件発明18ないし26は、いずれも本件発明17の全ての発明特定事項を含み、さらに発明特定事項を追加したものであるから、同様に、引用方法発明及び引用文献3ないし5に記載された技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 8 小括 以上により、本件発明1ないし26に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、取消理由2によって取り消すことはできない。 第7 取消理由3(特許法第36条第4項第1号)に対する判断 1 請求項15及び26に記載された発明の実施について 本件特許の請求項15及び26に記載された「文字境界線」及び「錠剤の一面の中心部」が、本件訂正及び技術常識により明確となったことに伴い、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明15及び26の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるといえる。 2 小括 よって、本件特許の発明の詳細な説明は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしており、取消理由3によっては、本件発明15及び26に係る特許を取り消すことはできない。 第8 取消理由4(特許法第36条第6項第2号)に対する判断 1 請求項1ないし26の記載について 本件特許の請求項1に記載された「錠剤の位置」及び「姿勢」は、本件訂正により明確なものとなった。 また、本件特許の請求項1に記載された「傾いた錠剤の姿勢のずれ」に基づくレーザー照射位置の制御は、本件訂正により明確なものとなった。 よって、本件発明1は、明確である。 そして、本件発明17の同様の記載も、明確であり、請求項1又は17を引用する本件発明2ないし16及び18ないし26も、明確である。 2 小括 したがって、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に適合するものであり、取消理由4によっては、本件発明1ないし26に係る特許を取り消すことはできない。 第9 取消理由5(特許法第36条第6項第1号)について 1 請求項1ないし26の記載について 本件特許の請求項1に「錠剤供給部からの供給を受けた錠剤を、不均一な間隔で一列に配置して移送させる移送部」と記載された事項に関し、当該移送部は、複数の連通孔が一定の間隔で形成されるものの、錠剤の位置が必ずしも連通孔の位置と対応することなく、不均一な間隔で一列に配置して移送するものであることが技術常識により明らかとなり、発明の詳細な説明に記載されていることが明らかとなった。 よって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載したものである。 そして、同様の理由で本件発明17は、発明の詳細な説明に記載したものであり、請求項1又は17を引用する本件発明2ないし16及び18ないし26も、発明の詳細な説明に記載したものである。 2 小括 したがって、本件特許の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものであり、取消理由5によっては、本件発明1ないし26に係る特許を取り消すことはできない。 第10 取消理由通知書(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 1 取消理由通知書(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由の概要 (1)理由1 本件特許の請求項2、9及び18に係る発明は、本件特許の出願をしたとみなす日前の日本語特許出願であって、本件特許の出願をしたとみなす日の後に国際公開がされた日本語特許出願の国際出願日における国際出願である上記先願1の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の発明者が本件特許の出願をしたとみなす日前の日本語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許の出願の時において、その出願人が上記先願1の出願人と同一でもないので、特許法第184条の13の規定により読み替える同法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 (2)理由3 本件訂正前の本件特許の請求項14の「錠剤のローテーション及びシフト変化による前記錠剤の印刷位置の変化が最小限になるように前記錠剤印刷部を制御する」ことについて、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではなく、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 2 理由1について (1)判断 本件発明2、9及び18は、いずれも本件発明1又は17の全ての発明特定事項を含み、さらに発明特定事項を追加したものであるから、上記第5の2及び4に示した理由と同様の理由により、先願発明と同一ではなく、実質同一でもない。 (2)小括 以上により、本件発明2、9及び18に係る特許は、特許法第184条の13の規定により読み替える同法第29条の2の規定に違反してされたものではなく、上記理由1によって取り消すことはできない。 3 理由3について (1)判断 本件訂正により、本件特許の請求項14は、 「前記制御部は、獲得した前記錠剤の情報に応じた前記錠剤印刷部の制御値を補正値として学習し、前記錠剤のローテーション及びシフト変化による前記錠剤の一面の印刷結果位置の変化が最小限になるように前記錠剤印刷部を前記補正値によって制御する、請求項1に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。」 と訂正された(下線は、訂正箇所を示すもので、当審で付与した。)。 当該訂正に伴い、本件特許の請求項14に記載された制御がより明確化され、その結果として本件特許の発明の詳細な説明の記載(特に、【0086】、【0110】〜【0111】参照。)に基づいて、当業者がその実施をすることができる。 よって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明14の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるといえる。 (2)小括 よって、本件特許の発明の詳細な説明は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしており、上記理由3によっては、本件発明14に係る特許を取り消すことはできない。 第11 むすび 以上のとおり、取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1ないし26に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1ないし26に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 錠剤供給部からの供給を受けた錠剤を、不均一な間隔で一列に配置して吸着移送させる移送部と、 一列に配置された前記錠剤の位置ずれ及び傾いた錠剤の姿勢のずれを判別するように前記錠剤が移送される移送経路に沿って位置し、移送中の前記錠剤の外観画像を撮影するように配置される事前撮影部と、 前記錠剤が移送される移送経路に沿って前記事前撮影部の次に位置し、前記事前撮影部で撮影した画像を介して獲得した判別結果を考慮して内部ミラー部を調整し、UVレーザー光を照射して印刷を行う錠剤印刷部と、 前記錠剤が移送される移送経路に沿って前記錠剤印刷部の次に位置し、前記印刷された錠剤の外観又は印刷結果を検査するように移送中の前記錠剤の外観を撮影する印刷後撮影部と、を含み、 前記事前撮影部は、移送中の錠剤の外観画像を獲得して錠剤の位置及び姿勢を認識し、画像処理を介して獲得した前記錠剤の位置ずれ、傾いた錠剤の姿勢のずれ、前記錠剤の一面の中心のシフト変化、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達し、 前記制御部は、前記錠剤の情報を基に、前記錠剤印刷部の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、前記補正値を基準に前記内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御する、錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項2】 前記事前撮影部は、前記錠剤の印刷前の表面に異常があるか否かを検査するように前記錠剤の表面状態を撮影する錠剤表面検査部をさらに含む、請求項1に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項3】 前記移送部は、前記錠剤供給部からの供給を受けた前記錠剤を移送させる第1移送部、及び前記第1移送部からの伝達を受けた前記錠剤の姿勢を反転して移送させる第2移送部を含む、請求項1に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項4】 前記事前撮影部は第1事前撮影部及び第2事前撮影部を含み、 前記第1移送部の錠剤が移送される移送経路に沿って前記錠剤の第1面に対して事前撮影を行う前記第1事前撮影部が配置され、前記第2移送部の姿勢が反転された錠剤が移送される移送経路に沿って前記第1面の反対面である前記錠剤の第2面を撮影する前記第2事前撮影部が配置される、請求項3に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項5】 前記錠剤印刷部は、前記第1移送部及び前記第2移送部のうち少なくとも一つの移送経路に沿って配置される、請求項4に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項6】 前記印刷後撮影部は第1印刷後撮影部及び第2印刷後撮影部を含み、 前記第1移送部の錠剤が移送される移送経路に沿って前記錠剤の第1面を基準に全体的な外観を撮影する前記第1印刷後撮影部が配置され、前記第2移送部の姿勢が反転された錠剤が移送される移送経路に沿って前記第1面の反対面である前記錠剤の第2面を基準に全体的な外観を撮影する前記第2印刷後撮影部が配置される、請求項4に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項7】 錠剤印刷部は、前記錠剤の一面である第1面に対して印刷を行う第1錠剤印刷部、及び姿勢が反転された前記錠剤の前記第1面の反対面である第2面に対して印刷を行う第2錠剤印刷部を含み、 前記第1移送部の錠剤が移送される移送経路に沿って配置される前記第1事前撮影部、前記第1錠剤印刷部、及び前記第1印刷後撮影部と、 前記第2移送部の姿勢が反転された錠剤が移送される移送経路に沿って配置される前記第2事前撮影部、前記第2錠剤印刷部、及び前記第2印刷後撮影部と、を含む、請求項6に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項8】 ベースフレームと、前記ベースフレームに配置され、ホッパーを介して供給される錠剤を遠心力によって一列に整列する前記錠剤供給部と、をさらに含み、 前記事前撮影部は、前記錠剤供給部の一側に配置され、前記錠剤供給部から吐出されて移送される印刷前の錠剤を撮影し、 前記錠剤印刷部は、前記移送される錠剤に対してレーザー光を照射する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項9】 前記第1印刷後撮影部は、移送中の錠剤の印刷面である第1面及び第1側面端の外観を検査するように撮影を行い、 前記第2印刷後撮影部は、前記第1面の反対面である第2面及び第2側面端の外観を検査するように撮影を行う、請求項6に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項10】 前記第1印刷後撮影部及び前記第2印刷後撮影部のうち少なくとも一つは、 錠剤の一面の正面及び前後方向の側面端部を上部から撮影する2Dカメラ部と、錠剤一面の全体的な形状を上部から撮影する3Dカメラ部と、を含み、 前記第1印刷後撮影部及び前記第2印刷後撮影部のうち残りの一つは、 錠剤の他面の正面及び前後方向の側面端部を下部から撮影する2Dカメラ部と、錠剤の他面の全体的な形状を下部から撮影する3Dカメラ部と、を含む、請求項6に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項11】 制御部と、錠剤が分類排出されるように不良品排出口及び正常品排出口を含む錠剤排出部と、をさらに含み、 前記制御部は、前記事前撮影部から得られた画像に応じて前記錠剤の一定の位置に印刷を行うように前記錠剤印刷部の内部のミラー部を制御し、前記印刷後撮影部から得られた画像に応じて少なくとも1回以上の錠剤の良品判別を行って前記錠剤が分類排出される排出口を決定する、請求項4に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項12】 前記事前撮影部は、位置追跡センサーが設けられたカメラを含む、請求項1に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項13】 前記制御部は、前記事前撮影部を介して得られた移送中の前記錠剤の外観画像を獲得して前記錠剤の印刷前の表面に異常があるか否かを検査する、請求項1に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項14】 前記制御部は、獲得した前記錠剤の情報に応じた前記錠剤印刷部の制御値を補正値として学習し、前記錠剤のローテーション及びシフト変化による前記錠剤の一面の印刷結果位置の変化が最小限になるように前記錠剤印刷部を前記補正値によって制御する、請求項1に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項15】 前記制御部は、 前記印刷後撮影部が撮影した前記錠剤の一面の印刷結果である文字境界線と印刷を意図した文字境界線が同一であるかを比較し、前記印刷結果である文字境界線が前記錠剤の一面の中心部にあるかを確認して、前記錠剤の印刷面が正常品であるか否かを判別する、請求項11に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項16】 前記制御部は、前記印刷後撮影部が撮影した前記錠剤の外観境界線及び前記錠剤の表面を検査して前記錠剤が正常品であるか否かを判別する、請求項11に記載の錠剤印刷及び外観検査装置。 【請求項17】 移送部により、錠剤供給部からの供給を受けた錠剤を、不均一な間隔で一列に配置して吸着移送させる移送段階と、 事前撮影部により、一列に配置された前記錠剤の位置ずれ及び傾いた錠剤の姿勢のずれを判別するように移送中の前記錠剤の外観画像を撮影する事前撮影段階と、 錠剤印刷部により、前記事前撮影部で撮影した画像を介して獲得した判別結果を考慮して内部ミラー部を調整し、UVレーザー光を照射して印刷を行う印刷段階と、 印刷後撮影部により、前記印刷された錠剤の外観又は印刷結果を検査するように移送中の前記錠剤の外観を撮影する検査段階と、を含み、 前記事前撮影部を介して移送中の錠剤の外観画像を獲得して錠剤の位置及び姿勢を認識し、画像処理を介して獲得した前記錠剤の位置ずれ、傾いた錠剤の姿勢のずれ、前記錠剤の一面の中心のシフト変化、及び前記錠剤の一面のローテーション情報を含む錠剤の情報を制御部に伝達する段階、及び、 前記制御部により前記錠剤の情報を基に、前記錠剤印刷部の位置変化値及び回転値を含む補正値をリアルタイムで演算し、前記補正値を基準に前記内部ミラー部を調整して前記錠剤印刷部のレーザー照射位置を制御する段階をさらに含む、錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項18】 前記事前撮影段階は、前記錠剤の印刷前の表面に異常があるか否かを検査するように前記錠剤の表面状態を撮影する段階をさらに含む、請求項17に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項19】 前記事前撮影段階は、錠剤の第1面を撮影し、前記錠剤の第1面の撮影後に移送中の前記錠剤の姿勢を反転させて前記第1面の反対面である前記錠剤の第2面を撮影する、請求項17に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項20】 前記印刷段階は、錠剤の第1面に対して印刷を行うか、又は移送中の錠剤の姿勢を反転させて前記第1面の反対面である錠剤の第2面に対して印刷を行う、請求項19に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項21】 前記検査段階は、錠剤の第1面を基準に、全体的な外観を撮影し、前記撮影後に移送中の前記錠剤の姿勢を反転させて前記第1面の反対面である前記錠剤の第2面を基準に全体的な外観を撮影する、請求項19に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項22】 錠剤の第1面に対して前記移送段階、前記事前撮影段階、前記印刷段階、及び前記検査段階を行った後、 移送中の錠剤の姿勢を反転させて前記第1面の反対面である前記錠剤の第2面に対して前記移送段階、前記事前撮影段階、前記印刷段階、及び前記検査段階を繰り返して行う、請求項17に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項23】 前記印刷段階は、 前記錠剤の一定の位置に印刷を行うように前記事前撮影部が撮影を介して得られた前記錠剤の情報に応じて内部のミラー部を調整してレーザー光を照射する、請求項17から請求項22のいずれか一項に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項24】 前記検査段階は、 移送中の錠剤の一面及び他面のうち少なくとも一つの正面及び前後方向の側面端部を撮影する段階と、前記移送中の錠剤の一面及び他面のうち少なくとも一つの全体的な形状を撮影する段階と、を含む、請求項17から請求項22のいずれか一項に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項25】 前記印刷後撮影部によって獲得した画像に応じて複数の錠剤の良品判別を行い、前記良品判別によって錠剤を分離排出する段階をさらに含む、請求項17から請求項22のいずれか一項に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 【請求項26】 前記印刷後撮影部が撮影した錠剤の一面の印刷結果である文字境界線と印刷を意図した文字境界線が同一であるかを比較し、前記印刷結果である文字境界線が前記錠剤の一面の中心部にあるか否かを確認する段階と、 前記印刷後撮影部が撮影した前記錠剤の外観境界線及び前記錠剤の表面を検査する段階のうち少なくとも一つの段階を行って、前記印刷結果である文字境界線が錠剤の一面の中心部にあるか、錠剤の外観境界線及び錠剤の表面が意図した外観境界線及び錠剤の表面と同一であると、正常品と判別する、請求項23に記載の錠剤印刷及び外観検査方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2024-03-07 |
出願番号 | P2020-182916 |
審決分類 |
P
1
651・
16-
YAA
(A61J)
P 1 651・ 537- YAA (A61J) P 1 651・ 536- YAA (A61J) P 1 651・ 121- YAA (A61J) |
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
佐々木 一浩 |
特許庁審判官 |
安井 寿儀 倉橋 紀夫 |
登録日 | 2022-01-20 |
登録番号 | 7012802 |
権利者 | 株式会社 エンクロニー |
発明の名称 | 錠剤に対する印刷及び検査を行う錠剤印刷及び検査装置ならびに方法 |
代理人 | 小林 俊弘 |
代理人 | 好宮 幹夫 |
代理人 | 大塚 徹 |
代理人 | 大塚 徹 |
代理人 | 好宮 幹夫 |
代理人 | 小林 俊弘 |