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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G07G
管理番号 1412017
総通号数 31 
発行国 JP 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2024-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2023-05-31 
確定日 2024-07-09 
事件の表示 特願2018−183408「システム、及び機器」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月 2日出願公開、特開2020− 52868、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年9月28日の出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。

令和2年 9月24日 :手続補正書の提出
令和4年 8月 2日付け:拒絶理由通知
令和4年12月 8日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 2月14日付け:拒絶査定(原査定)
令和5年 5月31日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和5年2月14日付け)の概要は次のとおりである。

本願請求項1、3に係る発明は、以下の引用文献1及び3ないし6に記載された発明に基いて、本願請求項2、4に係る発明は、以下の引用文献1ないし6に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2016−177725号公報
2.特開2016−192091号公報
3.特許第6355060号公報
4.国際公開第2017/204130号
5.国際公開第2006/129655号
6.特開2012−166108号公報

第3 本願発明
本願請求項1−2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」−「本願発明2」という。)は、令和5年5月31日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1−2に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
物品に関する情報を読み取る読取部と、
前記読み取った情報を送信する送信部と、
カゴとは別体であり、当該カゴに設けられた一対の取っ手の各々の間に外付けされ、上に重ねられた他の機器に対して給電するための給電端子をその上面に有し、下に重ねられた他の機器から受電するための受電端子をその下面に有する一対のケースと、
を備え、
前記ケースの一方は、前記読取部と前記送信部を収納し、その給電端子及び受電端子が、カゴの中心に対して前記ケースの他方の給電端子及び受電端子と対称的に配置されている、ことを特徴とする、後付用機器。
【請求項2】
前記読取部はカメラを含み、
前記カメラは、前記カゴの内方を撮像するように設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の後付用機器。」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1、引用発明
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。

ア 「【0024】
読取部11は、バスケットに取り付けられる。読取部11は、商品識別コードを読み取り、読み取った商品識別コードを蓄積する。商品識別コードは、各商品を識別するための情報である。商品識別コードは、例えば、バーコード等の一次元コードや、QRコード(登録商標)等の二次元コードの形態で、各商品に付される。読取部11は、商品に付されたこのような形態の商品識別コードを、スキャナー等で読み取り、解読する。そして、読取部11は、解読した商品識別コードを蓄積する。図3に、読取部11により蓄積された商品識別コードの一例(蓄積データ)を模式的に示す。」

イ 「【0046】
図示するように、バスケット100の任意の位置に、制御装置101が取り付けられる。制御装置101が、図2の読取部11及び判断部13を備える。また、バスケット100の底の裏面に、重量センサー102が取り付けられる。重量センサー102が、図2の測定部12に対応する。図示する例では、バスケット100の底の裏面の四隅に重量センサー102が取り付けられているが、重量センサーの数及び位置は設計的事項である。」

ウ 「【0048】
制御装置101は、商品識別情報を読み取るためのスキャナーを有する。また、制御装置101は、任意の通信規格で重量センサー102と通信し、測定データを取得する。制御装置101は、任意の通信規格で、図4に示すような商品情報を記憶するデータベースサーバと通信可能に構成されてもよい。また、制御装置101は、任意の通信規格でPOSレジスターと通信し、読取部11が蓄積した蓄積データ(商品識別コード群)を送信するよう構成されてもよい。」

エ 「【0050】
当該例では、バスケット100と、バスケット100に取り付けられた取っ手103との間に、重量センサー102が取り付けられている。」

オ 図5




カ 上記イ、エ、オの記載から、制御装置101は、バスケット100の二つの取っ手103の間の位置に取り付けられることが記載されていると認められる。

(2)引用発明
上記(1)から引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「商品識別コードを読み取る読取部11を備え、
POSレジスターと通信し、読取部11が蓄積した蓄積データを送信し、
バスケット100の二つの取っ手103の間の位置に取り付けられる、
制御装置101。」

2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0017】
未登録商品は、例えば、以下のようにして精算対象の商品として登録される。まず、商品認識部120のコード取得部122により、コード取得部122は、商品認識部120にかざされた未登録商品の商品識別コードを、精算対象の商品の商品識別コードとして取得する。ここで、商品識別コードとは、各商品を特定するために予め決められた、文字、数字、記号などから形成されるデータである。商品識別コードには、PLU(Price Look Up)コード(例えば、JAN(Japan Article Number)コードなど)、またはNon−PLUコードなどが利用され得る。」

イ 「【0044】
〔処理構成/ハードウエア構成〕
本実施形態の情報処理装置10は、図1に示される構成と同様に、画像認識部110、商品認識部120(コード取得部122、撮像部124、サーモグラフィ情報取得部126)、大きさ/形状情報取得部130、大きさ/形状情報記憶部132、及び判定部140を備える。また、本実施形態の情報処理装置10も、第1実施形態と同様のハードウエア構成を有し、第1実施形態と同様にして各処理部を実現する。但し、図4に示される情報処理装置10の各ハードウエア構成要素は、バスケット20に取り付けるために、第1実施形態よりも小型化される。
【0045】
図5は、第2実施形態における情報処理装置10の取付例を示す図である。情報処理装置10は、図5に示されるように、バスケット20に取り付けられている。図5に示されるように、未登録商品は、情報処理装置10で精算対象の商品として登録された後に、バスケット20の中に載置される。」

ウ 図5




3 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0013】
充電システム10は、例えばコンビニエンスストア、スーパーマーケット、百貨店、ドラッグストア、家電量販店及びホームセンター等の小売店の店舗で用いられる買物かご2を充電するためのシステムである。買物かご2は、スキャナ及び送受信回路等の電子回路、並びに電子回路の動作用の電源となる二次電池22を備えた、電子機器である。」

イ 「【0026】
ここで、給電装置1及び複数台の買物かご2は、少なくとも充電用電力の供給路について、給電装置1を最上位ノードとしてデイジーチェーン接続される。本実施形態では、給電装置1及び複数台の買物かご2は、充電用電力の供給路についてだけでなく、通信経路についても、給電装置1を最上位ノードとしてデイジーチェーン接続される。具体的には、給電装置1及び複数台の買物かご2の各々は、下位側の買物かご2を接続するための出力部34を有している。また、複数台の買物かご2の各々は、上位側の給電装置1の出力部14又は買物かご2の出力部34に接続される入力部35を更に有している。そして、1段目の買物かご201の入力部35は、給電装置1の出力部14に接続され、1段目の買物かご201の出力部34は、2段目の買物かご202の入力部35に接続される。2段目の買物かご202の出力部34は、3段目の買物かご203の入力部35に接続される。」

ウ 「【0118】
また、給電装置1の出力部14は、1つの枠本体101に対して複数設けられる構成に限らず、1つのみ設けられていてもよい。又は、買物かご2の出力部34は、給電装置1の出力部14と同様に、1つのかご本体21に対して複数設けられていてもよい。これら複数の出力部34が、鍔部212の開口部の周囲であって、開口部の中心点を対称点としたときに点対称となる位置に配置されることにより、複数台の買物かご2を重ねる向きによらずに、入力部35を出力部34に接続することが可能である。さらに、買物かご2の入力部35についても、出力部34と同様に、1つのかご本体21に対して複数設けられていてもよい。これら複数の入力部35が、鍔部212の開口部の周囲であって、開口部の中心点を対称点としたときに点対称となる位置に配置されることにより、複数台の買物かご2を重ねる向きによらずに、入力部35を出力部34に接続することが可能である。したがって、買物かご2においては、出力部34及び入力部35が1つずつの構成と、出力部34が複数で入力部35が1つの構成と、出力部34及び入力部35が複数ずつの構成と、の3通りの構成を採用可能である。」

エ 図3




4 引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「[0026] ここで、複数台の買物かご2は、充電台1に対してデイジーチェーン(Daisy Chain)接続される。つまり、買物かご2に設けられているコネクタ27には、入力端子271と出力端子272とがある。そして、1段目の買物かご201の入力端子271は、充電台1のコネクタ17に接続され、1段目の買物かご201の出力端子272は、2段目の買物かご202の入力端子271に接続される。2段目の買物かご202の出力端子272は、3段目の買物かご203の入力端子271に接続される。このように、充電対象群200を構成する複数台の買物かご2は、充電台1に対して電気的に直列に接続される。これにより、充電台1は、充電対象群200を構成する複数台の買物かご2に対して電力を供給可能となる。各買物かご2は、充電台1からの電力供給を受けて、充電回路22にて二次電池21を充電する。」

イ 図2




5 引用文献5
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「[0017] 各容器片を、同一構造・形状・大きさの開口部を有する構成とし、互いに密着できる開口面を含む構成としたので、2つの容器片を、一方を容体とし他方を蓋として搬送容器を構成できる。また、異なる高さの容器片を含めた場合には、容器片の種類に応じて、より多い搬送容器を構成できる。従って、容器片のストックを少なくして、様々の大きさの製品に対応できる搬送容器を構成でき、搬送効率を高めることができる。また、少なくとも同一高さの容器片は、互いに上下に重ねてネスティング可能としたので、製品搬送後の搬送容器を容器片毎に分解して、同じ容器片毎にまとめてネステイングして効率よく回収できる効果がある。」

イ 図5




6 引用文献6
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0049】
このように、球誘導部27aと球誘導部27bは対称位置に形成されるため、遊技球貯留箱100を重ねる場合、遊技球貯留箱100の向きを気にすることなく重ねることができる。」

イ 図2




第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明における「商品識別コードを読み取る読取部11」は、本願発明1における「物品に関する情報を読み取る読取部」に相当する。

イ 引用発明においては「読取部11が蓄積した蓄積データを送信」する手段を備えることは自明であるから、引用発明における「読取部11が蓄積した蓄積データを送信」する手段は、本願発明1における「読み取った情報を送信する送信部」に相当する。

ウ 引用発明における「バスケット100」、「バスケット100の二つの取っ手103」は、本願発明1における「カゴ」、「カゴに設けられた一対の取っ手」に相当する。

エ 引用発明においては「制御装置101」は「読取部11を備え」ており、また、上記イを踏まえると、「制御装置101」は「読取部11が蓄積した蓄積データを送信」する手段を備えているから、「制御装置101」は、「読取部11」及び「読取部11が蓄積した蓄積データを送信」する手段を内部に含む外周面を有することは自明である。したがって、本願発明1と引用発明とは、「ケース」を「備え」る点において共通する。

オ 引用発明における「制御装置101」は、「バスケット100」「に取り付けられる」ものであるから、上記エを踏まえると、引用発明における「制御装置101」の外周面は、「バスケット100」とは別体であることは自明である。また、上記ウを踏まえると、引用発明における「バスケット100の二つの取っ手103の間の位置に取り付けられる」ことは、本願発明1における「カゴに設けられた一対の取っ手の各々の間に外付けされ」ることに相当する。したがって、上記ウ、エを踏まえると、本願発明1と引用発明とは、「カゴとは別体であり、当該カゴに設けられた一対の取っ手の各々の間に外付けされ」る「ケース」を「備え」る点において共通する。

カ 上記エを踏まえると、本願発明1と引用発明とは、「ケース」は「読取部と送信部を収納」している点において共通する。

キ 引用発明における「制御装置101」は、後述する相違点を除き、本願発明1における「後付用機器」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「物品に関する情報を読み取る読取部と、
前記読み取った情報を送信する送信部と、
カゴとは別体であり、当該カゴに設けられた一対の取っ手の各々の間に外付けされるケースと、
を備え、
前記ケースは、前記読取部と前記送信部を収納する、後付用機器。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1は「一対のケース」「を備え」ているのに対し、引用発明は単一の「制御装置101」の外周面を備えている点。
(相違点2)本願発明1においては「一対のケース」が「上に重ねられた他の機器に対して給電するための給電端子をその上面に有し、下に重ねられた他の機器から受電するための受電端子をその下面に有」し、「その給電端子及び受電端子が、カゴの中心に対して前記ケースの他方の給電端子及び受電端子と対称的に配置されている」のに対し、引用発明はそのような構成を有していない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記(相違点2)について検討する。
本願発明1の(相違点2)に係る「一対のケース」が「上に重ねられた他の機器に対して給電するための給電端子をその上面に有し、下に重ねられた他の機器から受電するための受電端子をその下面に有」し、「その給電端子及び受電端子が、カゴの中心に対して前記ケースの他方の給電端子及び受電端子と対称的に配置されている」構成について、引用文献1には、記載も示唆も無く、(相違点2)は実質的なものであるといえる。
また、引用文献3には、複数の入力部35が、開口部の中心点を対称点としたときに点対称となる位置に配置される技術的事項が記載されているものの、当該入力部はカゴと一体の構成であるから、後付用機器のケースに転用することが当業者にとって容易であったとはいえない。
さらに、引用文献4−6には、本願発明1の(相違点2)に係る構成について記載も示唆も無く、(相違点2)に係る構成が周知であったとも認められない。
したがって、当業者は、引用発明及び引用文献3−6に記載された技術的事項に基づいて、本願発明1の(相違点2)に係る構成を容易に想到することができない。

2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。したがって、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2−6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定について
上記第5で説示したとおり、本願発明1は、当業者が引用発明及び引用文献3−6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではなく、本願発明2は、当業者が引用発明及び引用文献2−6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2024-06-24 
出願番号 P2018-183408
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G07G)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 篠塚 隆
特許庁審判官 村松 貴士
北元 健太
発明の名称 システム、及び機器  
代理人 福屋 好泰  
代理人 浅野 哲平  

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