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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G08B |
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管理番号 | 1415136 |
総通号数 | 34 |
発行国 | JP |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2024-10-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2024-01-31 |
確定日 | 2024-09-24 |
事件の表示 | 特願2019−157422「制御システム、防災システム、処理方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 3月 1日出願公開、特開2021− 33981、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和元年8月29日の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 5年 5月22日付け 拒絶理由通知書 7月31日 意見書・手続補正書 10月25日付け 拒絶査定 令和 6年 1月31日 審判請求書・手続補正書 5月10日 前置報告書 以下では、令和5年10月25日付け拒絶査定を「原査定」といい、令和6年1月31日の手続補正書による補正を「本件補正」という。 第2 本件補正について 本件補正は、以下の1〜5に示すように、適法なものである。 1 本件補正の内容 本件補正前後の特許請求の範囲の記載を、それぞれ以下の(1)及び(2)に示す。 (1)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の令和5年7月31日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。 「 【請求項1】 施設からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する取得部と、 前記発生情報の取得をトリガとして前記施設における避難経路に関する経路情報を生成して、前記経路情報に応じた出力を実行する出力処理部と、 前記施設における人の在・不在に関する情報を取得する在・不在取得部と、 を備え、 前記出力処理部は、前記経路情報に応じた前記出力の実行として、前記施設における少なくとも1つの外部機器を制御するための制御信号を送出し、 前記外部機器は、前記施設における電気錠制御装置、シャッタ制御装置、及び照明制御装置の少なくとも1つを含み、 前記出力処理部は、前記発生情報が前記災害の発生を示す場合、 前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が在であれば、前記避難経路を確保するように前記外部機器を制御する制御信号を送信し、 前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が不在であれば、前記外部機器へ前記制御信号を送信しない、 制御システム。 【請求項2】 前記発生情報は、前記施設に設置されて前記施設における前記災害の発生を検知する1又は複数の検知器における前記災害の検知結果を示す情報である、 請求項1に記載の制御システム。 【請求項3】 前記出力処理部は、前記1又は複数の検知器の設置位置に関する設置情報に基づき、前記経路情報を生成する、 請求項2に記載の制御システム。 【請求項4】 前記出力処理部は、 前記発生情報と前記設置情報とに基づき、前記1又は複数の検知器のうちの前記災害の発生を検知した検知器の設置位置を特定し、 特定した前記設置位置を前記災害の発生位置であると判定して、前記発生位置に基づき前記経路情報を生成する、 請求項3に記載の制御システム。 【請求項5】 前記施設は、複数の管理領域に区分され、 前記出力処理部は、前記複数の管理領域の各々を出発点として避難する場合における前記避難経路に関するパターン情報に基づいて、前記経路情報を生成する、 請求項1〜4のいずれか1項に記載の制御システム。 【請求項6】 前記出力処理部は、前記災害の発生位置に基づき前記施設における複数の出口から避難口を決定して、前記避難口の位置に基づき前記経路情報を生成する、 請求項1〜5のいずれか1項に記載の制御システム。 【請求項7】 前記出力処理部は、少なくとも前記施設の外周囲の環境に関する環境情報に基づいて前記経路情報を生成する、 請求項1〜6のいずれか1項に記載の制御システム。 【請求項8】 前記施設は、複数の管理領域に区分され、 前記出力処理部は、前記複数の管理領域のうちのいずれかの管理領域に人が存在する場合、前記管理領域を出発点とした前記避難経路に関する前記経路情報を生成する、 請求項1〜7のいずれか1項に記載の制御システム。 【請求項9】 前記外部機器は、前記施設における前記災害の発生を検知する検知器以外の機器である、 請求項1〜8のいずれか1項に記載の制御システム。 【請求項10】 前記出力処理部は、前記避難経路を確保するように前記外部機器を制御する、 請求項9に記載の制御システム。 【請求項11】 前記外部機器に対して前記制御信号の送出を行うか否かを設定する設定部を、更に備える、 請求項9又は10に記載の制御システム。 【請求項12】 前記経路情報を表示する表示部を、更に備え、 前記出力処理部は、前記経路情報に応じた前記出力の実行として、前記表示部に前記経路情報を表示させる、 請求項1〜11のいずれか1項に記載の制御システム。 【請求項13】 請求項1〜12のいずれか1項に記載の制御システムと、 前記施設に設置されて前記施設における前記災害の発生を検知する1又は複数の検知器と、 を備え、 前記発生情報は、前記1又は複数の検知器における前記災害の検知結果を示す情報である、 防災システム。 【請求項14】 制御システムの処理方法であって、 施設からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する取得ステップと、 前記発生情報の取得をトリガとして前記施設における避難経路に関する経路情報を生成して、前記経路情報に応じた出力を実行する出力処理ステップと、 前記施設における人の在・不在に関する情報を取得する在・不在取得ステップと、 を含み、 前記出力処理ステップでは、前記経路情報に応じた前記出力の実行として、前記施設における少なくとも1つの外部機器を制御するための制御信号を送出し、 前記外部機器は、前記施設における電気錠制御装置、シャッタ制御装置、及び照明制御装置の少なくとも1つを含み、 前記出力処理ステップでは、前記発生情報が前記災害の発生を示す場合、 前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が在であれば、前記避難経路を確保するように前記外部機器を制御する制御信号を送信し、 前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が不在であれば、前記外部機器へ前記制御信号を送信しない、 処理方法。 【請求項15】 1以上のプロセッサに請求項14に記載の処理方法を実行させるためのプログラム。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正後の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。なお、下線は補正箇所を示す。 「 【請求項1】 施設からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する取得部と、 前記発生情報の取得をトリガとして前記施設における避難経路に関する経路情報を生成して、前記発生情報の取得元とは異なる出力先に対して、前記経路情報に応じた出力を実行する出力処理部と、 前記施設における人の在・不在に関する情報を取得する在・不在取得部と、 を備え、 前記出力処理部は、前記経路情報に応じた前記出力の実行として、前記施設における少なくとも1つの外部機器を制御するための制御信号を送出し、 前記外部機器は、前記施設における電気錠制御装置、シャッタ制御装置、及び照明制御装置の少なくとも1つを含み、 前記出力処理部は、前記発生情報が前記災害の発生を示す場合、 前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が在であれば、前記避難経路を確保するように前記外部機器を制御する制御信号を送信し、 前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が不在であれば、前記外部機器へ前記制御信号を送信しない、 制御システム。 【請求項2】 前記発生情報は、前記施設に設置されて前記施設における前記災害の発生を検知する1又は複数の検知器における前記災害の検知結果を示す情報である、 請求項1に記載の制御システム。 【請求項3】 前記出力処理部は、前記1又は複数の検知器の設置位置に関する設置情報に基づき、前記経路情報を生成する、 請求項2に記載の制御システム。 【請求項4】 前記出力処理部は、 前記発生情報と前記設置情報とに基づき、前記1又は複数の検知器のうちの前記災害の発生を検知した検知器の設置位置を特定し、 特定した前記設置位置を前記災害の発生位置であると判定して、前記発生位置に基づき前記経路情報を生成する、 請求項3に記載の制御システム。 【請求項5】 前記施設は、複数の管理領域に区分され、 前記出力処理部は、前記複数の管理領域の各々を出発点として避難する場合における前記避難経路に関するパターン情報に基づいて、前記経路情報を生成する、 請求項1〜4のいずれか1項に記載の制御システム。 【請求項6】 前記出力処理部は、前記災害の発生位置に基づき前記施設における複数の出口から避難口を決定して、前記避難口の位置に基づき前記経路情報を生成する、 請求項1〜5のいずれか1項に記載の制御システム。 【請求項7】 前記出力処理部は、少なくとも前記施設の外周囲の環境に関する環境情報に基づいて前記経路情報を生成する、 請求項1〜6のいずれか1項に記載の制御システム。 【請求項8】 前記施設は、複数の管理領域に区分され、 前記出力処理部は、前記複数の管理領域のうちのいずれかの管理領域に人が存在する場合、前記管理領域を出発点とした前記避難経路に関する前記経路情報を生成する、 請求項1〜7のいずれか1項に記載の制御システム。 【請求項9】 前記外部機器は、前記施設における前記災害の発生を検知する検知器以外の機器である、 請求項1〜8のいずれか1項に記載の制御システム。 【請求項10】 前記出力処理部は、前記避難経路を確保するように前記外部機器を制御する、 請求項9に記載の制御システム。 【請求項11】 前記外部機器に対して前記制御信号の送出を行うか否かを設定する設定部を、更に備える、 請求項9又は10に記載の制御システム。 【請求項12】 前記経路情報を表示する表示部を、更に備え、 前記出力処理部は、前記経路情報に応じた前記出力の実行として、前記表示部に前記経路情報を表示させる、 請求項1〜11のいずれか1項に記載の制御システム。 【請求項13】 請求項1〜12のいずれか1項に記載の制御システムと、 前記施設に設置されて前記施設における前記災害の発生を検知する1又は複数の検知器と、 を備え、 前記発生情報は、前記1又は複数の検知器における前記災害の検知結果を示す情報である、 防災システム。 【請求項14】 制御システムの処理方法であって、 施設からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する取得ステップと、 前記発生情報の取得をトリガとして前記施設における避難経路に関する経路情報を生成して、前記発生情報の取得元とは異なる出力先に対して、前記経路情報に応じた出力を実行する出力処理ステップと、 前記施設における人の在・不在に関する情報を取得する在・不在取得ステップと、 を含み、 前記出力処理ステップでは、前記経路情報に応じた前記出力の実行として、前記施設における少なくとも1つの外部機器を制御するための制御信号を送出し、 前記外部機器は、前記施設における電気錠制御装置、シャッタ制御装置、及び照明制御装置の少なくとも1つを含み、 前記出力処理ステップでは、前記発生情報が前記災害の発生を示す場合、 前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が在であれば、前記避難経路を確保するように前記外部機器を制御する制御信号を送信し、 前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が不在であれば、前記外部機器へ前記制御信号を送信しない、 処理方法。 【請求項15】 1以上のプロセッサに請求項14に記載の処理方法を実行させるためのプログラム。」 2 本件補正の目的 本件補正は、本件補正前の請求項1及び14に係る発明を特定するために必要な事項である「前記経路情報に応じた出力を実行する」について、「前記発生情報の取得元とは異なる出力先に対して、」との限定を付加するものであって、本件補正前の請求項1及び14に係る発明と本件補正後の請求項1及び14に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものに該当する。 3 新規事項の追加の有無 本件補正による新規事項の追加の有無について判断する。 (1)「発生情報の取得元」の解釈 本件補正により付加される「前記発生情報の取得元とは異なる出力先に対して」との限定における「発生情報の取得元」は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の「取得部11は、施設200からの避難を要する火災(災害)の発生に関する発生情報を取得する。具体的には、取得部11は、通信部14の第1通信インタフェースを介して、第1警報器2Aから、発生情報として、火災が発生したという検知結果を示す情報を取得する。」(【0049】、下線は強調のために当審で付した。)との記載を参照すれば、「第1警報器2A」を包含すると解される。 (2)「前記経路情報に応じた出力を実行する」の解釈 本件補正により前記(1)の限定が付加される「前記経路情報に応じた出力を実行する」との発明特定事項について、当初明細書等には、以下の記載がある。 「次に「経路情報に応じた出力の実行」について説明する。ここでは一例として、出力処理部12は、第1出力と、第2出力と、第3出力の3つを実行するが、いずれか一つの出力のみを実行してもよい。」(【0062】) 「第1出力は、外部機器3を制御するための制御信号の送出を含む。」(【0063】) 「第2出力は、表示部D1への経路情報の表示を含む。」(【0067】) 「第2出力は、住人が携帯する情報端末4の表示部への経路情報の表示を含んでもよい。」(【0069】) 「第3出力は、情報提供として外部サーバ5への経路情報の送出を含む。」(【0070】) 上記各記載によれば、本件補正後の「前記経路情報に応じた出力を実行する」ことは、外部機器3を制御するための制御信号の送出(第1出力)、表示部への経路情報の表示(第2出力)、又は、外部サーバ5への経路情報の送出(第3出力)を実行することを包含すると解される。 (3)「発生情報の取得元とは異なる出力先」の記載の有無 前記(1)及び(2)の解釈を踏まえると、本件補正後の「前記発生情報の取得元とは異なる出力先に対して、前記経路情報に応じた出力を実行する」との発明特定事項は、以下に示すように、当初明細書等に記載された事項である。 第1出力、すなわち、外部機器3を制御するための制御信号の送出は、当初明細書等の「外部機器3は、施設200における火災(災害)の発生を検知する警報器2以外の機器である。」(【0063】)との記載によれば、「発生情報の取得元」である第1警報器2Aとは異なる装置に対して実行される。 第2出力、すなわち、表示部への経路情報の表示は、「表示部D1」及び「情報端末4の表示部」に対する出力であり(前記(2)に掲げた【0067】及び【0069】)、「表示部D1」は「制御装置10」に備わるもの(【0040】)であるから、いずれも第1警報器2Aとは異なる装置に対して実行される。 第3出力、すなわち、外部サーバ5への経路情報の送出は、「外部サーバ5」という第1警報器2Aとは異なる装置に対して実行される。 したがって、当初明細書等には、「発生情報の取得元」である第1警報器2Aとは「異なる出力先」に対して、「前記経路情報に応じた出力を実行する」態様が記載されている。 したがって、本件補正は、当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法17条の2第3項の規定に適合する。 4 その他の補正要件 本件補正前後の特許請求の範囲の各請求項に係る発明が、特許法37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当することは明らかであり、本件補正は特許法17条の2第4項の規定に適合する。 そして、本件補正の目的は限定的減縮に該当するので、本件補正後の請求項1〜15に係る発明(以下、それぞれ「本件補正発明1」〜「本件補正発明15」といい、これらを総称して「本件補正発明」という。)が特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明の認定 本件補正発明は、前記1(2)に示した各請求項に記載されたとおりのものと認める。 なお、後の参照の便宜のため、請求項1を以下のA〜Eに分説し、「発明特定事項A」のようにして参照する。 【請求項1】 A1 施設からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する取得部と、 A2 前記発生情報の取得をトリガとして前記施設における避難経路に関する経路情報を生成して、前記発生情報の取得元とは異なる出力先に対して、前記経路情報に応じた出力を実行する出力処理部と、 A3 前記施設における人の在・不在に関する情報を取得する在・不在取得部と、 A を備え、 B 前記出力処理部は、前記経路情報に応じた前記出力の実行として、前記施設における少なくとも1つの外部機器を制御するための制御信号を送出し、 C 前記外部機器は、前記施設における電気錠制御装置、シャッタ制御装置、及び照明制御装置の少なくとも1つを含み、 D 前記出力処理部は、前記発生情報が前記災害の発生を示す場合、 D1 前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が在であれば、前記避難経路を確保するように前記外部機器を制御する制御信号を送信し、 D2 前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が不在であれば、前記外部機器へ前記制御信号を送信しない、 E 制御システム。 (2)引用文献の記載内容 原査定で引用された特開2012−64181号公報(以下「引用文献」という。)の記載を以下のアに示し、以下のイにおいて引用文献に記載された発明を認定する。 ア 引用文献の記載 引用文献には以下の記載がある。なお、下線は強調のために当審で付した。 (ア)「【0024】 <センサ内蔵無線通信デバイス2の構成> 図1及び図2に示すように、本実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス2は、センサネットワーク1におけるセンサノードとしてセンシング機能及び無線通信機能を備えるとともに、ネットワークNW1とネットワークNW2とを繋ぐゲートウェイ機能を有している。具体的には、外部環境をセンシングして外部情報を取得するセンサ部20と、無線通信により外部情報を送受信可能な通信部21と、センサ部20及び通信部21等を制御する制御部22と、各部へ電力を供給する電源部23と、液晶パネル等の画像表示部に所定の画像情報を出力する出力端末としての出力部24等とで構成されている。そして、センサ内蔵無線通信デバイス2が他のセンサ内蔵無線通信デバイス2と無線通信可能に接続されることで、上述したネットワークNW1が構成されるとともに、所定のセンサ内蔵無線通信デバイス2を介して、ネットワークNW1がネットワークNW2に接続される。 【0025】 センサ部20は、物理量や化学量を認識・計測・感知してこれを電気量に変換して出力可能な構成とされ、その構成については特に限定されない。通常は、熱、温度、煙、水、湿度、音、光、磁気、風、振動、圧力、加速度、方向、位置、人間感知などを検出するセンサや、人の体温、血圧、脈拍、心拍数、血糖値、心電、筋電などを測ったり、特定の化学物質・反応を検知したりするセンサなどが用いられる。本実施例では、例えば、温湿度、照度、空気流、微粒子などを検出して外部環境や災害時の危険度などを計測できる環境センサや、音響や音声を検出して破壊音や悲鳴、叫び声、騒乱音などを計測できるサウンドセンサや、赤外反射を検出して、外部環境の混雑量(人の通行量)や災害時の温度変化などを計測できる赤外線センサや、画像処理により外部環境の混雑量(人の通行量)やその属性などを測定できる画像センサなどが好ましく用いられる。」 (イ)「【0049】 次に、本実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス2を用いたセンサネットワーク1の適用例として、災害検知及び避難誘導システム101について、以下に概説する。 図5及び図6に示すように、災害検知及び避難誘導システム101は、施設100内で火災、地震、浸水などの災害が発生した際に、その場の災害状況を把握して事実に基づいた適切な災害対策を可能とするものであり、施設100内の多数箇所に設置された避難誘導標識105に取り付けられたセンサ内蔵無線通信デバイス102により外部環境をセンシングして外部情報を取得し、かかる取得された外部情報に基づいて施設内の人間に適時に避難誘導情報を提供するものである。」 (ウ)「【0051】 施設100としては、地下鉄、地下街、地下駐車場、大型総合ビル等の内部空間であって、店舗(図5において斜線で区画された部分)の壁面により空間が所定形状に区画されて通路が形成されている。 【0052】 図6に示すように、避難誘導標識105は、施設100における防災対策として、災害時に外界へ脱出するための出口や非常口を案内表示する標識のことであり、センサ内蔵無線通信デバイス102が取り付けられた状態で、施設100内の通路に面した壁面の多数個所に所定の離間を有して設置されている。本実施例の避難誘導標識105は、非常口の場所の方向などを示す誘導標識が表示される誘導表示部105aと、固有の個体番号が表示される識別番号表示部105bと、所定の画像情報を表示する画像表示部105c等が設けられており、センサ内蔵無線通信デバイス102が取り付けられることで画像表示部105cに所定の画像を出力表示可能な画像表示装置が構成されている。 【0053】 画像表示部105cとしては、液晶モニタ、電子ペーパ、又は有機ELモニタ等により構成され、センサ内蔵無線通信デバイス102より出力部124を介して所定の画像情報が出力可能とされている。所定の画像情報としては、例えば、センサ内蔵無線通信デバイス102のセンサ部120により取得された外部情報に基づく災害情報を示す画像情報や、後述する制御センタ130aにより解析された最適な避難経路や緊急の誘導標識を示す画像情報や、地域イベント等の地域関連情報を示す画像情報などが含まれる。なお、画像表示部105cにおいて、避難誘導標識105の設置に協賛した企業等の協賛者を示す企業ロゴ等の画像情報が表示されてもよい。」 (エ)「【0055】 本実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス102は、センサ部120において、施設100内の外部環境をセンシングして災害内容を検出する各種センサが用いられる。施設100内における災害の多くは、火災であるが、ガス漏れ、水漏れ、犯罪、又は事故など緊急避難をすべき外部環境の変化がセンサ部120にて検出されると、通信部121の第一通信部121aにより外部情報が他のセンサ内蔵無線通信デバイス102に送信され、又は第二通信部121bにより制御センタ130a又は管理サーバ130bに送信される。 【0056】 センサ内蔵無線通信デバイス102は、基本的なデバイス構成が全て同一のものを用いることができるが、本実施例では、第一通信部121aがZigBeeプロトコルで無線通信を行う通信モジュールとして構成され、第一通信部121aの通信方式が予め設定されているものが用いられる。具体的には、制御部122により、他の全てのセンサ内蔵無線通信デバイス102との間で所定情報を送受信する直接通信方式で通信可能に制御されるセンサ内蔵無線通信デバイス102a(102c)と、所定のセンサ内蔵無線通信デバイス102を介してのみ他のセンサ内蔵無線通信デバイス2との間で所定情報を送受信する間接通信方式で通信可能に制御されるセンサ内蔵無線通信デバイス102bとで構成されている。また、センサ内蔵無線通信デバイス102aの中でも、一のセンサ内蔵無線通信デバイス102cは、外部装置3との間で所定情報を送受信する通信方式で通信可能に制御される。」 (オ)「【0060】 制御センタ130aは、施設100内に隔離された別室に載置された据置型のパーソナル・コンピュータとして構成され、管理サーバ130bとアクセス可能に接続されている。また、この制御センタ130aには平常時の制御プログラム、災害判定プログラム、及び災害対策制御プログラムが格納されている。なお、制御センタ130aとしては、据置型のパーソナル・コンピュータとは別に移動式の携帯型の端末として構成されてもよい。」 (カ)「【0062】 以上のように構成される災害検知及び避難誘導システム101では、平常時には、制御部122により制御されて、センサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cの各センサ部120にて外部情報が取得され、センサ内蔵無線通信デバイス102cを介して制御センタ130aに送信され、制御センタ130aにて送信された外部情報が解析されるとともに、管理サーバ130bの管理データベース131にかかる外部情報が格納される。また、制御センタ130aによりセンサ内蔵無線通信デバイス102cに指示信号が送信されて、制御部122により制御されて、各センサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cを介して避難誘導標識105の画像表示部105cに、地域イベント等の地域関連情報などの画像情報などが表示される。 【0063】 そして、災害時、すなわち、あるセンサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cのセンサ部120において、設定値以上の検知温度を検出したり、煙を検知したり、設定値以上の検知加速度を検出したり、通信が途絶えたりすると、異常が検知された外部情報を受信した制御センタ130aにおいて、平常時の制御プログラムが災害判定プログラムに切り替えられ、災害発生の有無が判定される。なお、制御センタ130aにおける判定は、例えば、ある閾値以上の複数のセンサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cで異常が検知された場合などには施設100内の所定箇所で何らかの災害が発生したものと判断される。 【0064】 制御センタ130aにおいて災害が発生したと判断された場合には、災害判定プログラムが災害対策制御プログラムに切り替えられる。災害対策制御プログラムでは、例えば、フロア内に火災警報を発したり、施設100内の各人に火災警報信号を送信したりして災害発生が通知される。このとき、制御部122により制御されて、センサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cにより避難誘導標識105の画像表示部105cに災害発生を示す画像が表示される。さらに、同時にスプリンクラーの作動、防火シャッターの作動と連動させれば、火災拡大防止にもなる。 【0065】 制御センタ130aでは、予め組み込まれた施設100の避難経路や、異常が検知された外部情報を送信したセンサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cの位置情報により特定された災害発生箇所に基づいて、各センサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cの設置場所から危険箇所を避けながら最適な出口までの最適な避難経路が探索される。そして、かかる探索結果に基づいて、センサ内蔵無線通信デバイス102cを介して、各センサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cに指示信号が送信され、制御部122により制御されて、最適な出口への避難方向を示す画像が避難誘導標識105の誘導表示部105aに表示される。 【0066】 以上の実施例では、本実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス2を用いた災害検知及び避難誘導システム101の一実施例を説明した。本実施例の災害検知及び避難誘導システム101によれば、災害の発生位置、状況を的確に検知することができるとともに、避難誘導の経路を人々の所在地に応じて個別に指示することができる。」 (キ)「【0071】 以上において説明した実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス2の構成としては、上述した実施例に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。 【0072】 すなわち、上述した実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス2では、センサ部20がセンサ内蔵無線通信デバイス2に一体に組み付けられた構成について説明したが、センサ部20は、センサ内蔵無線通信デバイス2と別体に構成して、制御部22と有線接続又は無線接続されるように構成されてもよい。」 (ク)図2 (ケ)図5 (コ)図6 イ 引用発明の認定 前記アの記載に基づいて、引用文献に記載された発明(以下「引用発明」という。)を認定する。引用発明を認定する上での前提を、以下の(ア)〜(ウ)に示し、認定した引用発明を以下の(エ)に示す。 (ア)引用文献には、「センサ内蔵無線通信デバイス2を用いたセンサネットワーク1の適用例として、災害検知及び避難誘導システム101」(【0049】)が記載されており、「災害検知及び避難誘導システム101」は「センサ内蔵無線通信デバイス102により外部環境をセンシングして外部情報を取得」する(【0049】)ものであるから、「災害検知及び避難誘導システム101」に用いられる「センサ内蔵無線通信デバイス102」と、「センサネットワーク1」に用いられる「センサ内蔵無線通信デバイス2」とは、同等のものと解される。このことは、一実施形態における「センサ内蔵無線通信デバイス2」がセンサ部20、通信部21、制御部22及び出力部24を備えており(【0024】、図2)、同様に、一実施形態における「センサ内蔵無線通信デバイス102」がセンサ部120(【0053】)、通信部121(【0055】)、制御部122(【0064】)及び出力部124(【0053】)を備えること(図6)とも整合する。 よって、以下では、「センサ内蔵無線通信デバイス2」と「センサ内蔵無線通信デバイス102」とを同一視し、「センサ内蔵無線通信デバイス2」についての引用文献の記載を「センサ内蔵無線通信デバイス102」についての記載として読み替える。 (イ)引用文献の【0056】には「センサ内蔵無線通信デバイス102」として、通信機能が相違する3種類のデバイス、すなわち、「センサ内蔵無線通信デバイス102a」、「センサ内蔵無線通信デバイス102b」及び「センサ内蔵無線通信デバイス102c」が記載されているが、「センサ内蔵無線通信デバイス102は、基本的なデバイス構成が全て同一のものを用いることができる」ものである。 そして、本件補正発明1との対比においては、センサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cの通信機能の差異は影響を与えないから、以下では、引用発明の認定を簡単にするため、「センサ内蔵無線通信デバイス102a」、「センサ内蔵無線通信デバイス102b」及び「センサ内蔵無線通信デバイス102c」を区別せずに「センサ内蔵無線通信デバイス102」として認定する。 (ウ)引用文献は、「センサ部20がセンサ内蔵無線通信デバイス2に一体に組み付けられた構成について説明し」ている(【0072】)が、「センサ部20は、センサ内蔵無線通信デバイス2と別体に構成して、制御部22と有線接続又は無線接続されるように構成されてもよい。」(【0072】)と記載されているので、引用発明として認定する発明としては、センサ部120とセンサ無線通信デバイス102とが別体であり、センサ部120と制御部122とが接続されているものを認定する。 また、センサ部120を別体とすることにより、「センサ内蔵」ではなくなるので、「センサ内蔵無線通信デバイス102」を「無線通信デバイス102」と読み替える。 つまり、引用発明を認定する際には、「センサ内蔵無線通信デバイス102」を「無線通信デバイス102」と読み替え、「センサ部120」を「別体のセンサ部120」と読み替え、「センサ内蔵無線通信デバイス102のセンサ部120」を「無線通信デバイス102に接続された別体のセンサ部120」と読み替える。 (エ)前記(ア)〜(ウ)を前提として、前記アの記載によれば、引用文献には、以下の引用発明が記載されていると認められる。なお、後の参照の便宜のため、引用発明をa〜nに分説し、「構成a」のようにして参照する。 a 災害検知及び避難誘導システム101であって、(【0049】) b 災害検知及び避難誘導システム101は、施設100内で火災などの災害が発生した際に、その場の災害状況を把握して事実に基づいた適切な災害対策を可能とするものであり、(【0049】) c 施設100は、地下街の内部空間であって、(【0051】) d 避難誘導標識105は、非常口の場所の方向などを示す誘導標識が表示される誘導表示部105aと、所定の画像情報を表示する画像表示部105c等が設けられており、無線通信デバイス102が取り付けられることで画像表示部105cに所定の画像を出力表示可能であり、(【0052】、前記(ウ)) e 画像表示部105cは、無線通信デバイス102より出力部124を介して所定の画像情報が出力可能とされており、所定の画像情報としては、別体のセンサ部120により取得された外部情報に基づく災害情報を示す画像情報や、制御センタ130aにより解析された最適な避難経路などが含まれ、(【0053】、前記(ウ)) f 無線通信デバイス102は、火災など緊急避難をすべき外部環境の変化が別体のセンサ部120にて検出されると、通信部121により外部情報が制御センタ130aに送信され、(【0055】、前記(ウ)) g 別体のセンサ部120は、熱、温度、煙、人間感知などを検出するセンサが用いられ、(【0025】、前記(ア)及び(ウ)) h 無線通信デバイス102に接続された別体のセンサ部120にて外部情報が取得され、制御センタ130aに送信され、(【0062】、前記(ア)〜(ウ)) i 無線通信デバイス102に接続された別体のセンサ部120において、設定値以上の検知温度を検出したり、煙を検知したりすると、異常が検知された外部情報を受信した制御センタ130aにおいて、災害発生の有無が判定され、(【0063】、前記(イ)及び(ウ)) j 制御センタ130aは、施設100内に隔離された別室に載置された据置型のパーソナル・コンピュータとして構成され、(【0060】) k 制御センタ130aにおいて災害が発生したと判断された場合には、このとき、制御部122により制御されて、無線通信デバイス102により避難誘導標識105の画像表示部105cに災害発生を示す画像が表示され、同時にスプリンクラーの作動、防火シャッターの作動と連動させれば、火災拡大防止にもなり、(【0064】、前記(イ)及び(ウ)) l 制御センタ130aでは、異常が検知された外部情報を送信した無線通信デバイス102の位置情報により特定された災害発生箇所に基づいて、危険箇所を避けながら最適な出口までの最適な避難経路が探索され、かかる探索結果に基づいて、各無線通信デバイス102に指示信号が送信され、制御部122により制御されて、最適な出口への避難方向を示す画像が避難誘導標識105の誘導表示部105aに表示され、(【0065】、前記(イ)及び(ウ)) m 災害検知及び避難誘導システム101によれば、災害の発生位置、状況を的確に検知することができるとともに、避難誘導の経路を人々の所在地に応じて個別に指示することができる(【0066】) n 災害検知及び避難誘導システム101。 (3)本件補正発明1と引用発明との対比 以下、本件補正発明1と引用発明とを対比する。 ア 発明特定事項A1について 発明特定事項A1は、「施設からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する取得部と、」というものである。 (ア)本願明細書の「施設200は、戸建の住宅であることを想定する。しかしながら、施設200は、集合住宅(マンション)であってもよい。更に、施設200は、住宅に限らず、非住宅として、例えば、オフィスビル、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、学校、ホテル、旅館、病院、老人ホーム、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅、空港等であってもよい。」(【0014】、下線は強調のために当審で付した。以下同様。)との記載によれば、本件補正発明1の「施設」は、地下街を包含するものと解される。 そして、引用発明の「施設100」は「地下街の内部空間」である(構成c)。 そうすると、引用発明の「施設100」は、本件補正発明1の「施設」に相当する。 (イ)引用発明の「施設100内」での「火災など」は、「災害」であり(構成b)、「緊急避難をすべき」(構成f)ものである。そうすると、引用発明の「火災などの災害」は、施設100からの避難を要する災害であるといえる。 よって、本件補正発明1の「災害」と、引用発明の「火災などの災害」とは、「施設からの避難を要する災害」である点で一致する。 (ウ)引用発明の「外部情報」は、「火災など緊急避難をすべき外部環境の変化が別体のセンサ部120にて検出されると」「制御センタ130aに送信され」るものである(構成f)から、「火災など」の発生に関する情報と解され、これを「発生情報」と呼ぶことは任意である。 また、引用発明の「火災など」(構成f)が、「火災などの災害」(構成b)と同じことを指しているのは明らかである。 よって、前記(イ)をも勘案すると、本件補正発明1の「発生情報」と、引用発明の「外部情報」とは、「施設からの避難を要する災害の発生に関する発生情報」である点で一致する。 (エ)前述のとおり、引用発明の「外部情報」は、「制御センタ130aに送信され」る(構成f)のだから、「制御センタ130a」は「外部情報」を取得する機能を担う部分を当然に備えていると解され、その部分を「取得部」と呼ぶことは任意である。 よって、前記(ウ)をも勘案すると、本件補正発明1と、引用発明の「制御センタ130a」とは、「施設からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する取得部」を備える点で一致する。 イ 発明特定事項A2について 発明特定事項A2は、「前記発生情報の取得をトリガとして前記施設における避難経路に関する経路情報を生成して、前記発生情報の取得元とは異なる出力先に対して、前記経路情報に応じた出力を実行する出力処理部と、」というものである。 (ア)引用発明は、「無線通信デバイス102に接続された別体のセンサ部120において」「異常が検知された外部情報」を「制御センタ130a」が「受信」する(構成i)ものであり、かつ、「異常が検知された外部情報」を「無線通信デバイス102」が「送信」する(構成l)ものであるから、引用発明の「外部情報」は、「別体のセンサ部120」が検知し、当該センサ部120が接続された「無線通信デバイス102」により送信されて「制御センタ130a」が受信するものと解される。 引用発明の「制御センタ130a」では「異常が検知された外部情報を送信した無線通信デバイス102の位置情報により特定された災害発生箇所に基づいて」「最適な出口までの最適な避難経路が探索され」る(構成l)から、「最適な出口までの最適な避難経路」は、「異常が検知された外部情報」を「制御センタ130a」が受信した後に生成されると解される。そして、引用発明の「異常が検知された外部情報」は、前記ア(ウ)の「外部情報」と同じく、火災などの災害の発生に関する情報であると解される。社会通念に照らし、「最適な出口までの最適な避難経路」は、災害発生後、可能な限り速やかに得る必要があると認められるから、引用発明の「最適な出口までの最適な避難経路」は、「外部情報」を制御センタ103aが受信した直後から生成される、すなわち、「外部情報」の取得をトリガとして生成されると解される。 ここで、引用発明の「最適な出口までの最適な避難経路」が「施設100」における避難経路であることは明らかであり、かつ、当該「最適な出口までの最適な避難経路」が情報であることも明らかであるから、引用発明の「最適な出口までの最適な避難経路」は、本件補正発明1の「前記施設における避難経路に関する経路情報」に相当する。 そうすると、本件補正発明1と、引用発明の「制御センタ130a」とは、「前記発生情報の取得をトリガとして前記施設における避難経路に関する経路情報を生成」する点で一致する。 (イ)本願明細書には、「次に「経路情報に応じた出力の実行」について説明する。ここでは一例として、出力処理部12は、第1出力と、第2出力と、第3出力の3つを実行するが、いずれか一つの出力のみを実行してもよい。」(【0062】)との記載、「第1出力は、外部機器3を制御するための制御信号の送出を含む。」(【0063】)との記載、「第2出力は、表示部D1への経路情報の表示を含む。」(【0067】)との記載、「第2出力は、住人が携帯する情報端末4の表示部への経路情報の表示を含んでもよい。」(【0069】)との記載及び「第3出力は、情報提供として外部サーバ5への経路情報の送出を含む。」(【0070】)との記載がある。 上記各記載によれば、本件補正発明1の「前記経路情報に応じた出力を実行する」ことは、外部機器3を制御するための制御信号の送出(第1出力)、表示部への経路情報の表示(第2出力)、又は、外部サーバ5への経路情報の送出(第3出力)を実行することを包含すると解される。 (ウ)引用発明では、「制御センタ130a」が「探索結果に基づいて、各無線通信デバイス102に指示信号」を送信し、その結果、「誘導表示部105a」に「最適な出口への避難方向を示す画像」が表示される(構成l)。上記「探索結果」は、「最適な出口までの最適な避難経路」のことであると解されるから、「最適な出口への避難方向を示す画像」の表示は、「最適な出口までの最適な避難経路」に応じた出力であると解される。 また、引用発明では、「画像表示部105c」に「制御センタ130aにより解析された最適な避難経路」が出力される(構成e)。当該「制御センタ130aにより解析された最適な避難経路」は、「最適な出口までの最適な避難経路」のことであると解される。 そうすると、引用発明の「誘導表示部105a」による「最適な出口への避難方向を示す画像」の表示と、「画像表示部105c」による「制御センタ130aにより解析された最適な避難経路」の出力とは、いずれも、前記(イ)の第2出力の意味で、本件補正発明1の「前記経路情報に応じた出力」に相当する。 (エ)引用発明の「誘導表示部105a」による「最適な出口への避難方向を示す画像」の表示は、「制御センタ130a」からの「指示信号」により実行されると解される(構成l)。 また、引用発明の「画像表示部105c」による「制御センタ130aにより解析された最適な避難経路」の出力も、同様に、「制御センタ130a」からの指示により実行されると解される。 前記(ア)で触れた引用発明の「最適な出口までの最適な避難経路」の生成は、「制御センタ130a」により実行されることが明らかである。 以上によれば、引用発明の「制御センタ130a」は、「最適な出口までの最適な避難経路」の生成、「最適な出口への避難方向を示す画像」の表示、及び、「制御センタ130aにより解析された最適な避難経路」の出力を実行するための部分を備えることが明らかであり、当該部分を「出力処理部」と呼ぶことは任意である。 (オ)引用発明の「外部情報」は、「別体のセンサ部120」により検出されるものであり(構成f)、引用発明の「外部情報」は本件補正発明1の「発生情報」に相当する(前記ア(ウ))から、引用発明の「別体のセンサ部120」は、本件補正発明1の「前記発生情報の取得元」に相当する。 (カ)引用発明における「最適な出口への避難方向を示す画像」が表示される「誘導表示部105a」と、「制御センタ130aにより解析された最適な避難経路」が出力される「画像表示部105c」とは、いずれも「避難誘導標識105」に備わるものであり、「避難誘導標識105」には「無線通信デバイス102」が取り付けられている(構成d)。 引用発明の「別体のセンサ部120」は、「無線デバイス102」と別体である(前記(2)イ(ウ))から、「無線デバイス102が取り付けられる」「避難誘導標識105」(構成d)も、「別体のセンサ部120」とは別体であると解される。 そうすると、「最適な出口への避難方向を示す画像」及び「制御センタ130aにより解析された最適な避難経路」の出力先である「避難誘導標識105」は、「別体のセンサ部120」とは異なる出力先であるから、前記(オ)も考慮すると、本件補正発明1の「前記発生情報の取得元とは異なる出力先」に相当し、前記(エ)も考慮すると、本件補正発明1の「出力処理部」と、引用発明の「制御センタ130a」の出力処理部とは、「前記発生情報の取得元とは異なる出力先に対して、前記経路情報に応じた出力を実行する」点で一致する。 (キ)前記(ア)〜(カ)を総合すると、本件補正発明1と、引用発明の「制御センタ130a」とは、「前記発生情報の取得をトリガとして前記施設における避難経路に関する経路情報を生成して、前記発生情報の取得元とは異なる出力先に対して、前記経路情報に応じた出力を実行する出力処理部」を備える点で一致する。 ウ 発明特定事項A3について 発明特定事項A3は、「前記施設における人の在・不在に関する情報を取得する在・不在取得部と、」というものである。 引用発明の「別体のセンサ部120」は、「人間感知」を検出するセンサが用いられており(構成g)、「別体のセンサ部120にて外部情報が取得され、制御センタ130aに送信され」る(構成h)から、引用発明の「制御センタ130a」は、「別体のセンサ部120」からの「人間感知」に関する「外部情報」を取得する部分を当然に備えている。 そして、引用発明の「人間感知」に関する「外部情報」は、「施設100」における人の在・不在に関する情報に他ならないから、本件補正発明1の「前記施設における人の在・不在に関する情報」に相当する。 そうすると、引用発明の「制御センタ130a」のうち、「人間感知」に関する「外部情報」を取得する部分を「在・不在取得部」と呼ぶことは任意である。 よって、本件補正発明1と、引用発明の「制御センタ130a」とは、「前記施設における人の在・不在に関する情報を取得する在・不在取得部」を備える点で一致する。 エ 発明特定事項Aについて 発明特定事項Aは、発明特定事項A1〜A3を備えることを特定したものである。 そして、前記ア〜ウによれば、引用発明の「制御センタ130a」は、発明特定事項A1〜A3に相当する構成を備えている。 オ 発明特定事項Bについて 発明特定事項Bは、「前記出力処理部は、前記経路情報に応じた前記出力の実行として、前記施設における少なくとも1つの外部機器を制御するための制御信号を送出し、」というものである。 前記イ(イ)に示したように、本件補正発明1における「前記経路情報に応じた前記出力の実行」は、外部機器3を制御するための制御信号の送出(第1出力)、表示部への経路情報の表示(第2出力)、又は、外部サーバ5への経路情報の送出(第3出力)を実行することを包含すると解され、これら3つの出力のうち、本願明細書において「制御信号を送出」するとの表現を用いるものは第1出力のみであり、第2出力の経路情報の表示及び第3出力の経路情報の送出においては、「制御信号を送出」するとの表現は用いられていない。 そうすると、発明特定事項Bにおける「少なくとも1つの外部機器を制御するための制御信号を送出し」との部分は、第1出力を実行することを特定したものであると解され、第2出力又は第3出力を実行することを意味しないと解される。 そして、引用発明においては、「避難経路」は、「避難誘導標識105」の「誘導表示部105a」及び「画像表示部105c」に表示されるのみであり、本件補正発明1の第1出力の実行に用いられてはいない。 よって、本件補正発明1は「前記出力処理部は、前記経路情報に応じた前記出力の実行として、前記施設における少なくとも1つの外部機器を制御するための制御信号を送出」するのに対し、引用発明の「制御センタ130a」はそのような制御信号を送出しない点で相違する。 カ 発明特定事項Cについて 発明特定事項Cは、「前記外部機器は、前記施設における電気錠制御装置、シャッタ制御装置、及び照明制御装置の少なくとも1つを含み、」というものである。 引用発明には、「火災拡大防止」のための「防火シャッター」が存在し、該「防火シャッター」は「災害発生を示す画像」を「画像表示部105c」に表示することと連動する(構成k)から、防火シャッターを制御する装置(以下「引用発明シャッタ制御装置」という。)を備えると解される。 そして、引用発明の「制御センタ130a」が「施設100内に隔離された別室に載置された据置型のパーソナル・コンピュータとして構成され」ていること(構成j)に鑑みれば、「引用発明シャッタ制御装置」は、「制御センタ130a」の外にある装置と解され、「制御センタ130a」の外部機器であるといえる。 よって、本件補正発明1と、引用発明とは、「前記外部機器は、前記施設における電気錠制御装置、シャッタ制御装置、及び照明制御装置の少なくとも1つを含」む点で一致する。 キ 発明特定事項D〜D2について 発明特定事項D〜D2を以下に再掲する。 D 前記出力処理部は、前記発生情報が前記災害の発生を示す場合、 D1 前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が在であれば、前記避難経路を確保するように前記外部機器を制御する制御信号を送信し、 D2 前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が不在であれば、前記外部機器へ前記制御信号を送信しない、 発明特定事項D1及びD2は、「前記外部機器を制御する制御信号」を備えるが、前記オのとおり、引用発明には本件補正発明1の「制御信号」に対応する構成を備えていない。 よって、本件補正発明1は、「前記出力処理部は、前記発生情報が前記災害の発生を示す場合、」「前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が在であれば、前記避難経路を確保するように前記外部機器を制御する制御信号を送信し、」「前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が不在であれば、前記外部機器へ前記制御信号を送信しない」のに対し、引用発明の「制御センタ130a」はそのような動作をしない点で相違する。 ク 発明特定事項Eについて 発明特定事項Eは、「制御システム。」というものである。 引用発明の「制御センタ130a」は、「据置型のパーソナル・コンピュータ」であり(構成j)、パーソナル・コンピュータはそれ自体がシステムであるから、本件補正発明1と、引用発明の「制御センタ130a」とは、「制御システム」である点で一致する。 ケ 一致点及び相違点 前記ア〜クによれば、本件補正発明1と、引用発明の「制御センタ130a」との一致点及び相違点は以下のとおりである。 〈一致点〉 「施設からの避難を要する災害の発生に関する発生情報を取得する取得部と、 前記発生情報の取得をトリガとして前記施設における避難経路に関する経路情報を生成して、前記発生情報の取得元とは異なる出力先に対して、前記経路情報に応じた出力を実行する出力処理部と、 前記施設における人の在・不在に関する情報を取得する在・不在取得部と、 を備え、 外部機器は、前記施設における電気錠制御装置、シャッタ制御装置、及び照明制御装置の少なくとも1つを含む、 制御システム。」である点。 〈相違点〉 本件補正発明1は「前記出力処理部は、前記経路情報に応じた前記出力の実行として、前記施設における少なくとも1つの外部機器を制御するための制御信号を送出」するのに対し、引用発明の「制御センタ130a」はそのような制御信号を送出しない点。 上記に付随して、本件補正発明1は、「前記出力処理部は、前記発生情報が前記災害の発生を示す場合、」「前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が在であれば、前記避難経路を確保するように前記外部機器を制御する制御信号を送信し、」「前記在・不在に関する情報に基づき、前記施設に人が不在であれば、前記外部機器へ前記制御信号を送信しない」のに対し、引用発明の「制御センタ130a」はそのような動作をしない点。 (4)相違点についての判断 上記相違点に係る構成は、拒絶査定で引用されたいずれの文献にも記載されておらず、かつ、周知技術でもない。 特に、原査定において請求項1に係る発明の拒絶理由に引用された引用文献5、7及び8については、以下のとおりである。 引用文献5(特開2010−152416号公報)には、「火災が感知されたときに当該避難経路に沿って設定されている照明負荷Lのみを点灯させること」及び「火災が感知されたときに当該避難経路に沿って設置されている電気錠が全て自動的に解錠される」こと(【0078】)について記載はあるが、本件補正発明の発明特定事項D1及びD2のように、人の在・不在に関する情報に基づいて制御信号を送信するか送信しないかを変える制御については、記載も示唆もされていない。 引用文献7(特開2016−123151号公報)には、「住人が家屋に在宅していると判定し、…分電盤4の電源路を遮断しないで、照明装置3を常時点灯可能な状態とする」こと(【0029】)及び、「住人が家屋に不在であると判定し、…照明装置3を意図的に点灯可能な状態とするような制御を行うことなく、分電盤4の電源路を接続したままとする」こと(【0030】)の記載はあるものの、引用文献7は「電源自動遮断装置」に関する技術であり(【0001】)、引用文献7に記載された技術の照明装置3は制御の対象ではないから上記相違点に係る「外部機器」ではない。そして、引用文献7に記載された技術の分電盤4は、住人が家屋に在宅しているか否かによらず、所定震度よりも大きな地震の発生時に、電源路を遮断するよう制御される(【0026】、【0027】、図4)。よって、引用文献7は、本件補正発明1の発明特定事項D1及びD2のように、施設に人が在であれば、制御信号を送信し、施設に人が不在であれば、制御信号を送信しないような制御を開示するものではない。 引用文献8(特開2015−226275号公報)には、「ユーザが不在であるため、テレビ7および避難誘導灯61をONにする必要はない。このため、…ブレーカ62をOFFにする。…自動ドア8を閉じた状態でロックする…」(【0123】)との記載があるものの、以下に掲げる図11及び図14を参照すると、いずれの機器も不在時に制御が行われており、本件補正発明1の発明特定事項D2のように、施設に人が不在であれば、制御信号を送信しないような制御を開示するものではない。 引用文献8 図11 引用文献8 図14 原査定で引用されたその他の引用文献にも、上記相違点に係る構成は記載も示唆もされていない。 したがって、上記相違点に係る構成は、当業者といえども容易に想到し得たものではない。 (5)本件補正発明の容易想到性 前記(4)に示したとおり、本件補正発明1と引用発明との相違点に係る構成は、容易に想到し得たものではないから、本件補正発明1は、原査定で引用された各引用文献及び周知技術を参照しても、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。 そして、本件補正発明2〜13は、本件補正発明1の発明特定事項を全て備え、さらに別の発明特定事項を備えるものであるから、本件補正発明2〜13と引用発明との間には、少なくとも前記(3)ケに示した相違点が存在し、当該相違点に係る構成が容易に想到し得たものではないことは、前記(4)のとおりである。 また、本件補正発明14は、本件補正発明1を方法の発明として表現したものであるから、本件補正発明14と引用発明との間には、前記(3)ケで示した相違点と同様の相違点が存在し、当該相違点に係る構成が容易に想到し得たものではないことは、前記(4)と同様である。 そして、本件補正発明15は、本件補正発明14の発明特定事項を全て備え、さらに別の発明特定事項を備えるものであるから、本件補正発明14と同様である。 以上によれば、本件補正発明は、いずれも、原査定で引用された各引用文献及び周知技術を参照しても、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。 (6)小括 前記4冒頭に示したように、本件補正は特許法17条の2第4項の規定に適合する。 さらに、前記(5)のとおりであるから、本件補正発明は、いずれも、特許法29条2項の規定に該当せず、他に、本件補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由もないので、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合する。 5 本件補正についてのむすび 前記1〜4によれば、本件補正は、適法になされたものである。 第3 本願発明 本件補正は上述のとおり適法になされたものであるため、本願の請求項1〜15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」〜「本願発明15」といい、これらを総称して「本願発明」という。)は、それぞれ前記第2、4(1)で認定した本件補正発明1〜15と同じものと認める。 第4 原査定の概要 原査定の概要は、以下のとおりである。 (進歩性)この出願の請求項1〜4、6、9、10及び12〜15に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明、引用文献5に示される周知技術並びに引用文献7及び8に示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 この出願の請求項5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明、引用文献3に示される周知技術、引用文献5に示される周知技術並びに引用文献7及び8に示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 この出願の請求項7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2に示される周知技術、引用文献3に示される周知技術、引用文献5に示される周知技術並びに引用文献7及び8に示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 この出願の請求項8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2及び4に示される周知技術、引用文献5に示される周知技術並びに引用文献7及び8に示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 この出願の請求項11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1に記載された発明、引用文献5に示される周知技術、引用文献6に示される周知技術並びに引用文献7及び8に示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2012−64181号公報 2.特開2008−158879号公報 3.特開2003−151057号公報 4.特開平6−111172号公報 5.特開2010−152416号公報 6.特開2013−42389号公報 7.特開2016−123151号公報 8.特開2015−226275号公報 第5 本願発明と引用発明との対比・判断 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(この審決における引用文献)の記載事項は、前記第2、4(2)に示したとおりである。 本願発明は、前記第3のとおり、本件補正発明と同じであるから、前記第2、4(3)〜(5)に示したとおり、本願発明と引用発明との間には相違点が存在し、該相違点は、原査定が引用した各引用文献を参照しても、当業者といえども容易に想到し得たものではないので、本願発明は、引用発明及び引用文献2〜8に示される周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 第6 むすび 前記第5のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び引用文献2〜8に示される周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものとは認められないから、特許法29条2項の規定に該当しない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2024-09-10 |
出願番号 | P2019-157422 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G08B)
|
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
馬場 慎 |
特許庁審判官 |
稲葉 崇 丸山 高政 |
発明の名称 | 制御システム、防災システム、処理方法、及びプログラム |
代理人 | 弁理士法人北斗特許事務所 |