ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C03C |
---|---|
管理番号 | 1006777 |
審判番号 | 審判1996-20693 |
総通号数 | 7 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1991-01-16 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1996-12-12 |
確定日 | 1999-11-01 |
事件の表示 | 平成2年特許願第34893号「水溶解性ガラス水処理剤」拒絶査定に対する審判事件(平成5年8月10日出願公告、特公平5-53733)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
本願は、平成2年2月14日の出願(優先権主張平成1年3月11日 国内)であって、その発明は、出願公告後の平成9年1月13日付手続補正によって補正された明細書の記載よりみて、その特許請求の範囲第1項ないし第5項に記載された次の通りのものである。 「1.SiO2 55〜80%(重量…以下同じ)、Na2O 19.5〜42%及びAg2O(換算) 0.5〜3%より成るボロンフリー水溶解性ガラス水処理剤。 2.SiO2 72%、Na2O 27%及びAg2O(換算) 1%より成る請求項1記載のボロンフリー水溶解性ガフス水処理剤。 3.SiO2 55〜80%、Na2O 19.5〜42%、Ag2O(換算) 0.5〜3%及びAl2O30.5〜25%より成るボロンフリー水溶解性ガラス水処理剤。 4.SiO2 60%、Na2O 35%、Ag2O(換算) 2.0%及びAl2O3 3%より成る請求項3記載のボロンフリー水溶解性ガラス水処理剤。 5.Na2Oの一部をK2O及びもしくはCaOにて置換して成る請求項1乃至4いずれか記載のボロンフリー水溶解性ガラス水処理剤。」 (以下、本願請求項1ないし5の発明という) これに対して、原審の拒絶の理由の概要は、本願各請求項の発明は、特許異議申立人(石塚硝子株式会社 代表者石塚芳三)の提出した本願出願前頒布された特開昭62-215508号公報に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定によって特許を受けることができない、というにある。 そこで検討すると、特開昭62-215508号公報には、以下のことが記載されている。 (A) 「(1)重金属イオン及びアルカリ金属イオンを放出しうる化合物の少なくとも1種を含有するソーダ系、ソーダ石灰系又は(及び)リン酸系ガラスを主体として成る水処理剤。 (2) 上記重金属イオンが銀イオンである特許請求の範囲第1項記載の水処理剤。 (4) 上記ソーダ系又はソーダ石灰系ガラスがNa2O 10〜40重量%、SiO20〜80重量%、及びB2O30〜30重量%を主体として成るガラスである特許請求の範囲第1又は第2項の記載の水処理剤。 (6) 第4項記載のソーダ系またはソーダ石灰系ガラス組成に於いてSiO2 が30〜70重量%、Na2O が30〜40重量%であって且つB2O3 が0〜30重量%であるか、又はAl2O3、MgO、BaO並びにCaOの少なくとも1種が0〜20重量%である溶解速度の大きく且つ均質な溶解性を持つガラスである特許請求の範囲第4項記載の水処理剤。」 (特許請求の範囲、尚、リン酸系ガラスに基づいている第3項、第5項については掲載省略) (B) (1) 「本発明が解決しようとする問題点は」、「水槽やクーリングタワー内の一時ため置き水に於いては、時間の経過とともに残留塩素が除去され、一方で有機物が残る為にバクテリアの如き微生物や藻類の繁殖しやすい条件となり、種々の問題が発生する。たとえば、腐食等の原因となり、又、藻類は圧力損失の原因となる。」等の「従来の水処理装置に於ける上記細菌や藻類に基づく難点を解消することであり、更に詳しくは簡単な操作で安定して長期間細菌や藻類に基づく上記難点を解消しうる手段を開発することである。」 (公報第2頁左上欄中段) (2) 「この問題点は重金属イオンやアルカリ金属イオンの如く、水溶液中で、浄水性能や静菌的作用のあるイオンを放出しうる化合物を、ガラスに含有せしめ、これを水処理装置に適用することによって解決される。即ち本発明は、重金属イオンまたはアルカリ金属イオンを放出しうる化合物の少なくとも1種を含有するソーダ系、ソーダ石灰系又はリン酸系ガラスを主体として成る水処理剤に係るものである。」 (公報第2頁左上欄下段ないし同頁右上欄上段) (3) 「本発明に於いて、これ等ガラス成分に含有させるべき成分としては水溶液中で重金属イオンやアルカリ金属イオンを発生するような化合物であり、重金属イオンとしては銀、金、白金、銅等の各イオンを具体例として」、「例示出来」、「静菌効果と防藻効果の面面から特に銀が好まし」く、「ガラスに対する配合割合は通常0.3〜5%好ましくは0.5〜2.5%程度である。」 (公報第3頁左上欄下第7行ないし同頁右上欄第5行) 以上の記載に基づき上記引用公報(以下、引用例という)に記載するところを検討すると、その摘示(A)の(1)に記載の 「重金属イオン及びアルカリ金属イオンを放出しうる化合物の少なくとも1種を含有するソーダ系、ゾーダ石灰系ガラスを主体として成る水処理剤」は、 摘示(A)の(2)によれば、その「重金属イオンが銀イオンである」態様を含み、その配合割合は、摘示(B)の(3)によれば、「ガラスに対する配合割合」に基づき「0.3〜5%」であり、摘示(A)の(4)、同(6)によれば、「Na2O10〜40重量%、SiO20〜80重量%、及びB2O30〜30重量%を主体として成るガラス」、あるいは「SiO2が30〜70重量%、Na2Oが30〜40重量%であって且つB2O3が0〜30重量%であるガラス」に基づいてなる態様を含むものである。 これを本件請求項1の発明と対比すると、引用例の「水処理剤」は、摘示する態様から導びき出されるその成分組成は、本件請求項1の発明の成分組成と重複一致しているものである。 B2O3が0重量のとき、これはボロンフリーであることは云うまでもないことであり、引用例においては、B2O3は任意成分であり、これを含有しない場合を含んでいること明白である。 してみれば、本件請求項1の発明は、引用例に記載された発明であるので、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 1998-02-27 |
結審通知日 | 1998-03-13 |
審決日 | 1998-05-15 |
出願番号 | 特願平2-34893 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(C03C)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 板橋 一隆、城所 宏 |
特許庁審判長 |
松本 悟 |
特許庁審判官 |
森竹 義昭 能美 知康 |
発明の名称 | 水溶解性ガラス水処理剤 |
代理人 | 松野 英彦 |
復代理人 | 青山 葆 |