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審決分類 審判 全部申し立て 特39条先願  A01F
管理番号 1009085
異議申立番号 異議1998-74624  
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-08-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-09-18 
確定日 1999-12-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2729614号「コンバインの脱穀装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2729614号の特許を維持する。 
理由 I.手続きの経緯
本件特許第2729614号発明は、昭和63年5月9日に出願された実願昭63-60904号を特願平5-212345号に変更し、この特許出願の一部を平成9年3月14日に新たな特許出願としたものであり、その特許は平成9年12月19日に設定登録された。
この特許に対し、異議申立人井関農機株式会社より特許異議の申立てがなされ、当審において取消理由を通知したところ、平成11年4月20日に訂正請求がなされ、この訂正請求に対し異議申立人に審尋したが、異議申立人は応答していない。
II.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。すなわち、
(1)特許請求の範囲の訂正
特許請求の範囲の「前記フィードチェンを水平方向に回転自在に水平回動点軸を介して脱穀部側面に取付けると共に、」を、「前記フィードチェンを張設するチェンレールを上部チェンレールと下部チェンレールで構成し、駆動スプロケットを下部チェンレール前端に備えると共に、従動スプロケットを、下部及び上部チェンレールの後端に固設する巻付防止用の上部枢着板に備え、各スプロケットにフィードチェンを張設させ、かつ前記上部枢着板の下方に支柱を介して連結固定する下部枢着板を設け、前記上部枢着板と前記下部枢着板とに上下の水平回動支点軸をそれぞれ固設し、前記フィードチェンを水平方向に回転自在に上下の水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付けると共に、」と訂正する。
(2)発明の詳細な説明の訂正
▲1▼特許明細書2頁8〜9行の「前記フィードチェンを水平方向に回転自在に水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付けると共に、」を、「前記フィードチェンを張設するチェンレールを上部チェンレールと下部チェンレールで構成し、駆動スプロケットを下部チェンレール前端に備えると共に、従動スプロケットを、下部及び上部チェンレールの後端に固設する巻付防止用の上部枢着板に備え、各スプロケットにフィードチェンを張設させ、かつ前記上部枢着板の下方に支柱を介して連結固定する下部枢着板を設け、前記上部枢着板と前記下部枢着板とに上下の水平回動支点軸をそれぞれ固設し、前記フィードチェンを水平方向に回転自在に上下の水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付けると共に、」と訂正する。
▲2▼同明細書6頁16〜18行の「前記フィードチェン(5)を水平方向に回転自在に水平回動支点軸(33)(34)を介して脱穀部(4)側面に取付けると共に、」を、「前記フィードチェン(5)を張設するチェンレールを上部チェンレール(28)と下部チェンレール(27)で構成し、駆動スプロケット(26)を下部チェンレール(27)前端に備えると共に、従動スプロケット(30)を、下部及び上部チェンレール(27)(28)の後端に固設する巻付防止用の上部枢着板(29)に備え、各スプロケット(26)(30)にフィードチェン(5)を張設させ、かつ前記上部枢着板(29)の下方に支柱(31)を介して連結固定する下部枢着板(32)を設け、前記上部枢着板(29)と前記下部枢着板(32)とに上下の水平回動支点軸(33)(34)をそれぞれ固設し、前記フィードチェン(5)を水平方向に回転自在に上下の水平回動支点軸(33)(34)を介して脱穀部(4)側面に取付けると共に、」と訂正する。
▲3▼同明細書7頁6行の「(27)(28)チェンレール」を、「(26)駆動スプロケット
(27) 下部チェンレール
(28) 上部チェンレール
(29) 上部枢着板
(30) 従動スプロケット
(31) 支柱
(32) 下部枢着板」と訂正する。
2.訂正の目的の適否及び拡張・変更の存否
上記(1)の訂正は、特許請求の範囲の記載において、構成要件を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、(2)▲1▼ないし▲3▼の訂正は、発明の詳細な説明の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記(1)ないし(2)▲3▼の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって新規事項を追加するものでなく、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3.独立特許要件の判断
(訂正明細書の発明)
訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、「訂正明細書の発明」という)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、次の事項により特定されるものである。
「脱穀部一側で前後方向にフィードチェンを張設させるコンバインの脱穀装置において、前記フィードチェンを張設するチェンレールを上部チェンレールと下部チェンレールで構成し、駆動スプロケットを下部チェンレール前端に備えると共に、従動スプロケットを、下部及び上部チェンレールの後端に固設する巻付防止用の上部枢着板に備え、各スプロケットにフィードチェンを張設させ、かつ前記上部枢着板の下方に支柱を介して連結固定する下部枢着板を設け、前記上部枢着板と前記下部枢着板とに上下の水平回動支点軸をそれぞれ固設し、前記フィードチェンを水平方向に回転自在に上下の水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付けると共に、脱穀部内部のクリンプ網一側外方に配置させる扱胴側部カバーを前記フィードチェンのチェンレール内側に取付け、前記フィードチェン及び扱胴側部カバーを一体的に側方に回動させるように構成したことを特徴とするコンバインの脱穀装置。」
(同日出願の発明)
当審において通知した取消理由で引用した、特許第2729610号(特願平9-82336号)発明は本件と同日に出願されたものであり、その請求項1に係る発明(以下、「同日出願の発明」という)は、特許明細書と図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおり、
「脱穀部一側で前後方向にフィードチェンを張設させるコンバインの脱穀装置において、チェンレールに前記フィードチェンを取付け、前記チェンレールを水平方向に回転自在に設ける水平回動支点軸を介してチェンレールを脱穀部側面に連結させ、脱穀部のクリンプ網側端に当接させる扱胴側部カバーを前記チェンレールに取付けたことを特徴とするコンバインの脱穀装置。」
にあると認められる。
(対比・判断)
訂正明細書の発明と同日出願の発明とを比較すると、
訂正明細書の発明が、「フィードチェンを張設するチェンレールを上部チェンレールと下部チェンレールで構成し、駆動スプロケットを下部チェンレール前端に備えると共に、従動スプロケットを、下部及び上部チェンレールの後端に固設する巻付防止用の上部枢着板に備え、各スプロケットにフィードチェンを張設させ、かつ前記上部枢着板の下方に支柱を介して連結固定する下部枢着板を設け、前記上部枢着板と前記下部枢着板とに上下の水平回動支点軸をそれぞれ固設し、前記フィードチェンを水平方向に回転自在に上下の水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付け」ているのに対し、同日出願の発明は、「チェンレールに前記フィードチェンを取付け、前記チェンレールを水平方向に回転自在に設ける水平回動支点軸を介してチェンレールを脱穀部側面に連結させ」ている点
で両者は構成が相違している。
そして、上記構成の相違は、周知事項ではなく、また、当業者が適宜できる程度の設計事項でもないから、訂正明細書の発明と同日出願の発明とが同一であるとはいえない。
したがって、訂正明細書の発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
4.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項、同条第3項で準用する第126条第2ないし4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III.特許異議の申立てについて
1.異議申立て理由の概要
本件の請求項1に係る発明は、下記の甲第2号証の1ないし甲第3号証の2を考慮すると、本件と同日に出願された特許第2729610号発明(甲第1号証)と同一であるから、その特許は、特許法第39条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきである。

甲第1号証:特許第2729610号公報
甲第2号証の1:特開昭61-12213号公報
甲第2号証の2:実願昭54-62270号(実開昭55-162533号)のマイクロフィルム
甲第3号証の1:特開昭60-156322号公報
甲第3号証の2:実開昭60-87524号公報
2.本件発明
本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という)は、上記II.3.独立特許要件の判断における「(訂正明細書の発明)」に記載したとおりのものである。
3.当審の判断
上記II.3.独立特許要件の判断における
「(対比・判断)」に記載した理由により、本件発明が特許第2729610号発明(甲第1号証)と同一とすることはできない。
4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠方法によって、本件発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
コンバインの脱穀装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 脱穀部一側で前後方向にフィードチェンを張設させるコンバインの脱穀装置において、前記フィードチェンを張設するチェンレールを上部チェンレールと下部チェンレールで構成し、駆動スプロケットを下部チェンレール前端に備えると共に、従動スプロケットを、下部及び上部チェンレールの後端に固設する巻付防止用の上部枢着板に備え、各スプロケットにフィードチェンを張設させ、かつ前記上部枢着板の下方に支柱を介して連結固定する下部枢着板を設け、前記上部枢着板と前記下部枢着板とに上下の水平回動支点軸をそれぞれ固設し、前記フィードチェンを水平方向に回転自在に上下の水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付けると共に、脱穀部内部のクリンプ網一側外方に配置させる扱胴側部カバーを前記フィードチェンのチェンレール内側に取付け、前記フィードチェン及び扱胴側部カバーを一体的に側方に回動させるように構成したことを特徴とするコンバインの脱穀装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は刈取部で刈取った穀稈を脱穀処理するようにしたコンバインの脱穀装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、実開昭61-170241号公報に示す如く、脱穀部の側方を開放させて扱室及ぴ扱胴の保守点検やクリンプ網の交換などを行う場合、支点軸を中心にフィードチェンを移動させて脱穀部側面を開放させる技術があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術は、フィードチェンを取外す面倒な作業手間を省けたが、脱穀部側面下方側にフィードチェンを下降回動させて開放させていたから、扱胴の保守点検またはクリンプ網の交換などをフィードチェン上方空間から行う必要があり、作業者が脱穀部にフィードチェン越しに接近して作業を行う面倒があると共に、作業終了時にフィードチェンを持上げて元の位置に戻す必要があり、重いフィードチェンを持上げる面倒があり、また固定部の損傷などによりフィードチェンが自重降下する不具合がある。また、実開昭62-128734号公報に示す如く、扱胴側部カバーによってクリンプ網を固定させる技術もあるが、前記カバー下端部を脱穀部側面に支点軸を介して連結させて下向きに開放させる構造であり、前記同様の不具合があると共に、前記カバーに挾扼杆を設けるから、挾扼杆を支える強度が前記カバーに必要であり、前記カバー構造の簡略化並びに前記カバー開閉操作性の向上などを容易に行い得ない等の問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
然るに、本発明は、脱穀部一側で前後方向にフィードチェンを張設させるコンバインの脱穀装置において、前記フィードチェンを張設するチェンレールを上部チェンレールと下部チェンレールで構成し、駆動スプロケットを下部チェンレール前端に備えると共に、従動スブロケットを、下部及ぴ上部チェンレールの後端に固設する巻付防止用の上部枢基板に備え、各スプロケットにフィードチェンを張設させ、かつ前記上部枢着板の下方に支柱を介して連結固定する下部枢基板を設け、前記上部枢着板と前記下部枢着板とに上下の水平回動支点軸をそれぞれ固設し、前記フィードチェンを水平方向に回転自在に上下の水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付けると共に、脱穀部内部のクリンプ網一側外方に配置させる扱胴側部カバーを前記フィードチェンのチェンレール内側に取付け、前記フィードチェン及び扱胴側部カバーを一体的に側方に回動させるように構成したもので、フィードチェンを水平方向に回動させて脱穀部側面を開放させるから、従来のようにフィードチェンを下げ上げ操作する面倒がなく、脱穀部側面に対しフィードチェンを離反または接合させる操作を従来よりも容易に行い得ると共に、従来のようにフィードチェン越しにクリンプ網交換などを行う面倒がなく、脱穀部側面部での作業者の行動がフィードチェンによって規制される不具合をなくし得、またフィードチェンを側方に開放させる操作によって前記扱胴側部カバーを開放させ得、前記扱胴側部カバーの開放によってクリンプ網の交換作業または脱穀部内側の掃除作業などを容易に行い得、またフィードチェン取付構造と扱胴側部カバーの相互補強によって強度向上などを容易に図り得るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はフィードチェン部の側面説明図、図2はコンバインの全体側面図、図3は同平面図であり、図中(1)は走行クローラ(2)を装設するトラックフレーム、(3)は前記トラックフレーム(1)上に架設する機台、(4)はフィードチェン(5)を左側に張架し扱胴(6)及び処理胴(7)を内蔵している脱穀部、(8)は刈刃及び穀稈搬送機構などを備える刈取部、(9)は排藁チェン(10)終端を臨ませる排藁処理部、(11)は運転席(12)及び運転操作部(13)を備える運転台、(14)は機台(3)の右側後部に配備してエンジン(15)を内設するエンジン部、(16)は前記エンジン部(14)前方に配設して脱穀部(4)からの穀粒を溜める穀粒タンク、(17)は前記穀粒タンク(16)内の穀粒を外側に取出す排出オーガであり、連続的に刈取り・脱穀作業を行うように構成している。
【0006】
図4乃至図6に示す如く、前記脱穀部(4)の上側壁カバー(18)を上方に開放自在に設けると共に、前記フィードチェン(5)を脱穀部(4)左側方に開放自在に設けるもので、前記カバー(18)の支柱(19)にフレーム(20)を介して挾扼杆(21)を連結支持させ、前記カバー(18)の基端を脱穀本体側の固定ブラケット(22)に支点軸(23)を介して開閉自在に支持させている。なお、(24)は挾扼杆(21)の外側を覆う挾扼杆カバー、(25)は前記カバー(18)を閉封保持するロック部材である。
【0007】
また、前部回転体である駆動スプロケット(26)を下部チェンレール(27)前端に備えると共に、下部及び上部チェンレール(27)(28)の後端に固設する巻付防止板である上部枢着板(29)に後部回転体である従動スプロケット(30)を備え、各スプロケット(26)(30)にフィードチェン(5)を張設させるもので、前記枢着板(29)と、該枢着板(29)下方に支柱(31)を介して連結固定する下部枢着板(32)とに、上下の水平回動支点軸(33)(34)をそれぞれ固設し、脱穀本体側の固定ブラケット(35)(36)に前記支点軸(33)(34)を介してフィードチェン(5)を側方に開放可能に支持するように構成している。
【0008】
さらに、前記扱胴(6)下部のクリンプ網(37)の外方側端部(37a)に下端部を圧接させる扱胴側部カバー(38)を、前記チェンレール(27)(28)に取付フレーム(39)(40)を介して一体連結すると共に、前記フィードチェン(5)のテンションローラ(41)及びスプロケット(42)をガイド板(42a)などを介して前記チェンレール(27)に取付け、前記フィードチェン(5)を側方開放時、側部カバー(38)・テンションローラ(41)・スプロケット(42)も側方に一体的に回動させるように構成している。
【0009】
そして、前記フィードチェン(5)を閉動作時、前記側部カバー(38)の前側板(38a)の係止ピン(43)を脱穀前側板(44)にロック板(45)を介し係合保持させるもので、前側板(44)に支軸(46)・ストッパピン(47)及びバネ(48)を介してロック板(45)が位置保持され、側部カバー(38)が閉封されるとき、ロック板(45)に固設するガイドレバー(49)に前記ピン(43)が当接し、バネ(48)に抗してロック板(45)を下方に押し下げ、ロック板(45)のピン係合溝(50)に前記ピン(43)が係合し、側部カバー(38)及びフィードチェン(5)を閉位置に固定保持するように構成している。
【0010】
また、前記脱穀部(4)本体側に固設する駆動ケース(51)に、前記フィードチェン(5)を駆動する駆動軸(52)を備えるもので、該駆動軸(52)を入力軸(53)にギヤ(54)を介し連結すると共に、前記駆動スプロケット(26)のスプロケット軸(55)にリミットクラッチ(56)を介して継断自在に前記駆動軸(52)を結合連結させ、リミットクラッチ(56)のクラッチ爪による駆動伝達方式とすることにより、従来のピン結合方式に比べ、部品点数を削減させ耐久性向上を図るもので、脱穀用穀稈を搬送するフィードチェン(5)を脱穀部(4)側方に開放可能に設け、フィードチェン(5)を縦軸である水平回動支点軸(33)(34)回りに回転自在に脱穀部(4)の側部に設けると共に、本機側の駆動部である駆動軸(52)に着脱自在に連結させる伝動接続部であるスプロケツト軸(55)を前記水平回動支点軸(33)(34)と離れた側に設けている。
【0011】
さらに、前記フィードチェン(5)の後端側を支持する前記支点軸(33)(34)は、前記従動スプロケット(30)のスプロケツト軸(57)より寸法(t)後部位置で、フィードチェン(5)より脱穀本体側寄りに配設していて、フィードチェン(5)を開放時、該チェン(5)の最後端部である枢着板(29)(32)の脱穀本体側への入り込み代を最小限にし、機体左右全巾を一定寸法内に抑制しながら脱穀本体とフィードチェン(5)の干渉を防止するように構成するもので、脱穀用穀稈を搬送するフィードチェン(5)を脱穀部(4)側方に開放可能に設ける構造において、脱穀部(4)側方に開放するフィードチェン(5)の水平回動支点軸(33)(34)を、フィードチェン(5)の端部を支持する前記スプロケット(30)のスプロケツト軸(57)よりもさらに端部外方位置でフィードチェン(5)よりも脱穀本体寄りに設けている。
【0012】
上記から明らかなように、脱穀部(4)一側で前後方向にフィードチェン(5)を張設させるコンバインの脱穀装置において、前記フィードチェン(5)を水平方向に回転自在に水平回動支点軸(33)(34)を介して脱穀部(4)側面に取付けると共に、脱穀部(4)内部のクリンプ網(37)一側外方に配置させる扱胴側部カバー(38)を前記フィードチェン(5)のチェンレール(27)(28)内側に取付け、前記フィードチェン(5)及び扱胴側部カバー(38)を一体的に側方に回動させるもので、フィードチェン(5)を水平方向に回動させて脱穀部(4)側面を開放させ、従来のようにフィードチェン(5)を下げ上げ操作する面倒がなく、脱穀部(4)側面に対しフィードチェン(5)を離反または接合させる操作を従来よりも容易に行えると共に、従来のようにフィードチェン(5)越しにクリンプ網(37)交換などを行う面倒がなく、脱穀部(4)側面部での作業者の行動がフィードチェン(5)によって規制される不具合をなくし、またフィードチェン(5)を側方に開放させる操作によって前記扱胴側部カバー(38)を開放させ、前記扱胴側部カバー(38)の開放によってクリンプ網(37)の交換作業または脱穀部(4)内側の掃除作業などを行え、またフィードチェン(5)取付構造と扱胴側部カバー(38)の相互補強によって強度向上などを図れるように構成している。
【0013】
本実施例は上記の如く構成するものにして、前記フィードチェン(5)を開放自在に支持する回動支点軸(33)(34)を、前記従動スプロケット(30)のスプロケツト軸(57)より寸法(t)後部位置で、フィードチェン(5)より脱穀本体側寄りに配設するものであるから、前記フィードチェン(5)を開放時に最後端となる枢着板(29)(32)後端の脱穀本体側への入り込み代が最小となり、フィードチェン(5)を脱穀本体外方に張出させることなく機体全巾を一定寸法内に抑制した状態で干渉など不都合のない安全な開放作業を行える。
【0014】
また、前記フィードチェン(5)を回動開放時、前記駆動スプロケット(26)にフィードチェン(5)が巻回された状態でチェンレール(27)(28)などと一体的に開放されるものであるから、フィードチェン(5)開放操作を容易に行えて作業能率に秀れ、しかもフィードチェン(5)開放時、前記扱胴側部カバー(38)も同時に外方に引出され、脱穀部(4)側面が開放状態となり、扱室内の点検保守やクリンプ網(37)の交換作業を至便に行えるものである。
【0015】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、脱穀部(4)一側で前後方向にフィードチェン(5)を張設させるコンバインの脱穀装置において、前記フィードチェン(5)を張設するチェンレールを上部チェンレール(28)と下部チェンレール(27)で構成し、駆動スプロケット(26)を下部チェンレール(27)前端に備えると共に、従動スブロケット(30)を、下部及ぶ上部チェンレール(27)(28)の後端に固設する巻付防止用の上部枢着板(29)に備え、各スプロケツト(26)(30)にフィードチェン(5)を張設させ、かつ前記上部枢着板(29)の下方に支柱(31)を介して連結固定する下部枢着板(32)を設け、前記上部枢着板(29)と前記下部枢着板(32)とに上下の水平回動支点軸(33)(34)をそれぞれ固設し、前記フィードチェン(5)を水平方向に回転自在に上下の水平回動支点軸(33)(34)を介して脱穀部(4)側面に取付けると共に、脱穀部(4)内部のクリンプ網(37)一側外方に配置させる扱胴側部カバー(38)を前記フィードチェン(5)のチェンレール(27)(28)内側に取付け、前記フィードチェン(5)及び扱胴側部カバー(38)を一体的に側方に回動させるように構成したもので、フィードチェン(5)を水平方向に回動させて脱穀部(4)側面を開放させるから、従来のようにフィードチェン(5)を下げ上げ操作する面倒がなく、脱穀部(4)側面に対しフィードチェン(5)を離反または接合させる操作を従来よりも容易に行うことができると共に、従来のようにフィードチェン(5)越しにクリンプ網(37)交換などを行う面倒がなく、脱穀部(4)側面部での作業者の行動がフィードチェン(5)によって規制される不具合をなくすことができ、またフィードチェン(5)を側方に開放させる操作によって前記扱胴側部カバー(38)を開放させることができ、前記扱胴側部カバー(38)の開放によってクリンプ網(37)の交換作業または脱穀部(4)内側の掃除作業などを容易に行うことができ、またフィードチェン(5)取付構造と扱胴側部カバー(38)の相互補強によって強度向上などを容易に図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィードチェン部の側面説明図。
【図2】コンバインの全体側面図。
【図3】同平面図。
【図4】脱穀部の断面説明図。
【図5】フィードチェン部の平面説明図。
【図6】同部分説明図。
【符号の説明】
(4) 脱穀部
(5) フィードチェン
(26) 駆動スプロケット
(27) 下部チェンレール
(28) 上部チェンレール
(29) 上部枢着板
(30) 従動スプロケット
(31) 支柱
(32) 下部枢着板
(33)(34) 水平回動支点軸
(37) クリンフ網
(38) 扱胴側部カバー
 
訂正の要旨 特許第2729614号発明の明細書を本件訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに、すなわち、特許請求の範囲の減縮を目的として下記▲1▼のとおりに訂正し、明りょうでない記載の釈明を目的として下記▲2▼ないし▲4▼のとおりに訂正する。
▲1▼特許明細書の特許請求の範囲(特許公報第1欄3〜5行)の「前記フィードチェンを水平方向に回転自在に水平回動点軸を介して脱穀部側面に取付けると共に、」を、「前記フィードチェンを張設するチェンレールを上部チェンレールと下部チェンレールで構成し、駆動スプロケットを下部チェンレール前端に備えると共に、従動スプロケットを、下部及び上部チェンレールの後端に固設する巻付防止用の上部枢着板に備え、各スプロケットにフィードチェンを張設させ、かつ前記上部枢着板の下方に支柱を介して連結固定する下部枢着板を設け、前記上部枢着板と前記下部枢着板とに上下の水平回動支点軸をそれぞれ固設し、前記フィードチェンを水平方向に回転自在に上下の水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付けると共に、」と訂正する。
▲2▼同明細書2頁8〜9行(同公報第2欄13〜15行)の「前記フィードチェンを水平方向に回転自在に水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付けると共に、」を、「前記フィードチェンを張設するチェンレールを上部チェンレールと下部チェンレールで構成し、駆動スプロケットを下部チェンレール前端に備えると共に、従動スプロケットを、下部及び上部チェンレールの後端に固設する巻付防止用の上部枢着板に備え、各スプロケットにフィードチェンを張設させ、かつ前記上部枢着板の下方に支柱を介して連結固定する下部枢着板を設け、前記上部枢着板と前記下部枢着板とに上下の水平回動支点軸をそれぞれ固設し、前記フィードチェンを水平方向に回転自在に上下の水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付けると共に、」と訂正する。
▲3▼同明細書6頁16〜18行(同公報第6欄28〜31行)の「前記フィードチェン
(5)を水平方向に回転自在に水平回動支点軸(33)(34)を介して脱穀部
(4)側面に取付けると共に、」を、「前記フィードチェン(5)を張設するチェンレールを上部チェンレール(28)と下部チェンレール(27)で構成し、駆動スプロケット(26)を下部チェンレール(27)前端に備えると共に、従動スプロケット(30)を、下部及び上部チェンレール(27)(28)の後端に固設する巻付防止用の上部枢着板(29)に備え、各スプロケット(26)(30)にフィードチェン(5)を張設させ、かつ前記上部枢着板(29)の下方に支柱(31)を介して連結固定する下部枢着板(32)を設け、前記上部枢着板(29)と前記下部枢着板(32)とに上下の水平回動支点軸(33)(34)をそれぞれ固設し、前記フィードチェン(5)を水平方向に回転自在に上下の水平回動支点軸(33)(34)を介して脱穀部(4)側面に取付けると共に、」と訂正する。
▲4▼同明細書7頁6行(同公報第8欄5行)の「(27)(28)チェンレール」を、
「(26)駆動スプロケット
(27)下部チェンレール
(28)上部チェンレール
(29)上部枢着板
(30)従動スプロケット
(31)支柱
(32)下部枢着板」と訂正する。
異議決定日 1999-11-17 
出願番号 特願平9-82366
審決分類 P 1 651・ 4- YA (A01F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉田 英一高橋 三成  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 吉村 尚
新井 重雄
登録日 1997-12-19 
登録番号 特許第2729614号(P2729614)
権利者 ヤンマー農機株式会社
発明の名称 コンバインの脱穀装置  
代理人 藤原 忠治  
代理人 藤原 忠治  

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