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審決分類 |
審判 補正却下の決定 5項独立特許用件 C01B 審判 補正却下の決定 2項進歩性 C01B |
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管理番号 | 1010370 |
審判番号 | 審判1998-5238 |
総通号数 | 9 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-08-27 |
種別 | 補正却下の決定 |
確定日 | 1999-10-08 |
事件の表示 | 平成7年特許願第25456号「改質装置」拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり決定する。 |
結論 | 平成10年5月6日付けの手続補正を却下する。 |
理由 |
I.補正の経緯 本件補正は、特許法第121条第1項の規定に基づく審判の請求の日から30日以内の平成10年5月6日付けでなされた同法第17条の2第1項第5号の規定による補正である。 II.補正の内容 本件補正の内容は、その手続補正書からみて、特許請求の範囲及び明細書の一部を補正するものであるところ、請求項1を以下のように補正している。 「プロパンと水蒸気を供給し改質管に充填した改質触媒上で水蒸気改質反応を行わせることによって水素リッチなガスをつくる改質装置において、前記改質管内部の触媒層を二層構造とし、前記水蒸気と前記プロパンとからなる原料ガスの入口側のプロパンの分解反応が起こる領域にRu-Al2O3からなる貴金属系触媒層を設け、改質ガスの出口側にNi-Al2O3からなる卑金属系触媒層を設けてカーボン析出が起こらないようにしたことを特徴とする改質装置。」 III.補正の適否 ア)特許法第17条の2第3項の要件について 当該補正は、旧請求項1に係る発明において、「燃料」を「プロパン」に限定し、「貴金属系触媒層」を「Ru-Al2O3からなる貴金属系触媒」に、また、「卑金属系触媒層」を「Ni-Al2O3からなる卑金属系触媒層層」に限定するものであるから、特許法第17条の2第3項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当するものである。 イ)独立特許要件について (補正後の本願発明) 補正後の本願請求項1に係る発明(以下「補正後の本願発明」という。)は、上記手続補正書の特許請求の範囲請求項1に記載された事項により特定されるものである。 (引用例記載の発明) 原査定において引用した引用例1には、以下の事項が記載されている。 ・引用例1:特開平2-302304号公報 「触媒層に炭化水素と水蒸気とを供給して炭化水素を改質する炭化水素の水蒸気改質方法において、、前記触媒層が、ルテニウム又はロジウムをジルコニア担体に担持した触媒を・・・充填した上流側触媒層と、ニッケル担持触媒を・・・充填した下流側触媒層とからなることを特徴とする炭化水素の水蒸気改質方法。」(特許請求の範囲参照)、「ニッケル担持触媒としては、ニッケルをアルミナ、シリカ・・・の担体に・・・通常用いられている触媒を使用することができる。」(第4頁左欄上欄参照)、「ルテニウム等担持触媒においては、この発明の目的を阻害しない範囲で、前記担体として、ジルコニアの外にシリカ、アルミナ・・・を含んでもよい。」(第3頁右欄下欄参照)、「炭化水素としては、・・・プロパン、ブタン・・・を挙げることができる。」(第4頁左欄上欄ないし右欄上欄参照)、「炭化水素と水蒸気とを反応させると活性の高いルテニウム等担持触媒により主として反応式(1)にしたがって反応が進行し、また生成される一酸化炭素と水とが・・・」(第4頁右欄下欄参照)、「水素リッチなガスを得ることができる。」(第4頁右欄下欄参照)、「第1図はこの発明の反応装置にルテニウム又はロジウムをジルコニア担体に担持した触媒とニッケル担持触媒とを充填した状態」(第6頁左欄上欄参照)、「ニッケル担持触媒としては、ニッケルをアルミナ、シリカ・・・等の担体に・・・担持させた」、「炭化水素としては、プロパン、ブタン・・・を挙げることができる。」(第4頁左欄上欄、右欄上欄参照)と記載されている。そして、これら記載を合わせると、引用例1には、プロパンと水蒸気を供給し改質管に充填した改質触媒上で水蒸気改質反応を行わせることによって水素リッチなガスをつくる改質装置において、原料ガスの入口側の領域にRuからなる貴金属系触媒層を設け、改質ガスの出口側にNi-Al2O3からなる卑金属系触媒層を設けてカーボン析出が起こらないようにした改質装置が示されているということができる。 (対比・判断) 補正後の本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると、両者は、プロパンと水蒸気を供給し改質管に充填した改質触媒上で水蒸気改質反応を行わせることによって水素リッチなガスをつくる改質装置において、原料ガスの入口側の領域にRuからなる貴金属系触媒層を設け、改質ガスの出口側にNi-Al2O3からなる卑金属系触媒層を設けてカーボン析出が起こらないようにした改質装置である点で一致し、(1)補正後の本願発明では、貴金属系触媒層の設ける位置を原料ガスの入口側のプロパンの分解反応が起こる領域としているのに対し、引用例1の発明では入口側とあるだけで、分解反応については記載がない点、および(2)補正後の本願発明では、Ruの担体をAl2O3としているのに対し、引用例1の発明では、ジルコニアとしている点で、両者は相違する。次ぎに、これら相違点について検討する。 相違点(1)について: 引用例には、上記したように、「炭化水素と水蒸気とを反応させると活性の高いルテニウム等担持触媒により主として反応式(1)にしたがって反応が進行し」と記載され、反応式(1)は分解反応であることは引用例1に記載された反応式(第4頁右欄上欄参照)から明らかであるから、引用例のルテニウム担持触媒が担持された入口側は分解反応が起こる領域と認められ、この相違は単なる表現上の相違にすぎない。 相違点(2)について 引用例には、上記したように、「ルテニウム等担持触媒は、この発明の目的を阻害しない範囲で、ジルコニアの外にシリカ、アルミナ・・・を含んでいてもよい」と記載されているから、ジルコニアに替えてアルミナをルテニウムの担体とするこは当業者であれば、容易になし得る程度のものである。 ウ)むすび したがって、上記請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第4項の規定により準用する同法第126条第3項の規定に違反するものであるから、他の補正事項について論ずるまでもなく、本件補正は、特許法第159条第1項の規定により準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
決定日 | 1999-07-30 |
出願番号 | 特願平7-25456 |
審決分類 |
P
1
93・
121-
(C01B)
P 1 93・ 575- (C01B) |
前審関与審査官 | 前田 仁志 |
特許庁審判長 |
沼澤 幸雄 |
特許庁審判官 |
山田 充 新居田 知生 |
発明の名称 | 改質装置 |
代理人 | 澤井 敬史 |