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審決分類 |
審判 補正却下の決定 5項独立特許用件 H01L |
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管理番号 | 1012185 |
審判番号 | 審判1998-9271 |
総通号数 | 10 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1997-02-14 |
種別 | 補正却下の決定 |
確定日 | 2000-01-26 |
事件の表示 | 平成7年特許願第194647号「半導体装置及びその製造方法」拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり決定する。 |
結論 | 平成10年7月13日付けの手続補正を却下する。 |
理由 |
本願は平成7年7月31日の出願であって、平成10年7月13日付けで提出された手続補正書の補正内容は、明細書の特許請求の範囲および発明の詳細な説明について補正しようとするものである。 そして、同手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、本願第1発明という。)は、次のとおりのものである。 「素子あるいは配線間を接続するために層間絶縁膜に設けた貫通口を高融点金属や高融点金属化合物で埋め込んだ半導体装置であって、前記貫通口は、微細なものであり、該貫通口のほとんどは窒化チタニウムで埋め込まれ、前記窒化チタニウム膜上のみは薄いタングステン膜あるいはタングステン化合物膜で覆われたものであることを特徴とする半導体装置。」 上記補正は、補正前の請求項1の「前記窒化チタニウム膜上は」を補正後の「前記窒化チタニウム膜上のみは」に補正しようとするものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。 そこで、以下前記補正後における、特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。 原審の査定に引用された特開平7-29903号公報(以下、第1引用例という。)には、「まず、Si基板11上にSiO2からなる下地絶縁膜12が形成され、この下地絶縁膜12上にAl金属からなる下層配線金属膜13が0.8μmの厚さでスパッタ蒸着される。・・・パターニングされた下層配線金属膜13上にSiO2からなる層間絶縁膜14が1μmの厚さに形成され、さらに、この層間絶縁膜14上にホトレジスト15が塗布される。次に、ホールパターンマスクを用いたホトリソグラフィ技術により、ホトレジスト15が露光され、引き続いて現像処理が行われてホトレジスト15がパターニングされる(図1(a)参照)。」(第4欄第3〜18行)、「次に、パターニングされたこのホトレジスト15をマスクに弗素(F)系ガスを用いたRIEエッチングが行われ、層間絶縁膜14が選択的に除去されてヴィア孔14aが開口される(同図(b)参照)。」(第4欄第19〜22行)、「この選択CVDにより、ヴィア孔14aの途中まで埋め込まれたAl金属膜16上にW金属が選択堆積される。このW金属のヴィア孔14aへの選択堆積は、50〜200nmの厚さで、プラグ高さが層間絶縁膜14の表面とほぼ同じ高さになるまで行われ、W金属膜17が選択形成されてヴィア孔14aが埋め込まれる。(同図(c)参照)。」(第4欄第37〜43行)、「このホトレジスト19をマスクにCl2とBCl2とを主成分とするガス雰囲気でRIEが行われ、上層配線金属膜18が選択的に除去されてパターニングされる(同図(e)参照)。」(第5欄第43〜46行)、「マスク合わせずれに起因してホールパターン21および配線パターン20間にずれが生じ、上層配線金属膜18のパターニング時に埋込プラグの一部が基板表面に露出しても、埋込プラグには従来のように溝が形成されない。これは、埋込プラグの上層部に形成されたW金属膜17は、上層配線金属膜18よりもこの上層配線金属膜18のRIEに対してエッチング速度が遅く、このRIEのエッチングガスプラズマに晒されてもほとんどエッチングされないからである。」(第6欄第1〜10行)と記載されている。 すなわち、第1引用例には半導体装置の貫通口に埋め込まれたAlが、塩素系ガスによりエッチングされて溝が形成されるのを防止する目的で、配線間を接続するために層間絶縁膜に設けた貫通口を高融点金属やAlで埋め込んだ半導体装置であって、前記貫通口のほとんどはAl膜で埋め込まれ前記Al膜上のみは薄いタングステン膜で覆われたものであることを特徴とする半導体装置が示されている。 同じく引用された「1993年秋季第54回応用物理学会学術講演会 講演予稿集」p.70728p-ZEー2(以下、第2引用例という。)には、「実験結果一現在コンタクトホールの埋め込みにはWプロセスもしくはAlリフロープロセスが有望視されている。我々はバリアメタルとして使用されるTiNを、そのまま連続プロセスにてプラグ形成に適用した。図1,2はECRーCVDにてTiN埋め込み後CMP(Chemical Mechanical Polishing)にて上部TiNを除去し、プラグ形成を行った結果である。微細ホールに対してもボイドの無い良好な埋め込み・平坦化が得られることが解る。」と記載されている。 したがって、第2引用例には微細貫通口を高融点金属化合物である窒化チタニウムで埋め込むことが記載されている。 本願第1発明と上記第1引用例記載の発明とを対比すると、両者は「配線間を接続するために層間絶縁膜に設けた貫通口を高融点金属や他の埋め込み部材で埋め込んだ半導体装置であって、前記貫通口のほとんどは他の埋め込み部材膜で埋め込まれ前記他の埋め込み部材膜上のみは薄いタングステン膜で覆われたものであることを特徴とする半導体装置。」の点で一致し、本願第1発明では、貫通口が微細であり、貫通口の他の埋め込み部材が高融点金属化合物である窒化チタニウムであるのに対し、第1引用例記載の発明では貫通口が微細であることが明記されておらず、貫通口の他の埋め込み部材がAlである点で相違している。 そこで、上記相違点について検討する。 本願出願前に半導体装置を微細化する要望は周知であり、また第2引用例には微細な貫通口の埋め込み部材として高融点金属化合物である窒化チタニウムを用いることが記載されており、かつ窒化チタニウムも塩素系ガスによりエッチングされやすいことは周知であるから、第1引用例の貫通口をAlで埋め込むことに代えて、第2引用例の微細貫通口を高融点金属化合物である窒化チタニウムで埋め込む技術を採用することは当業者にとって容易なことである。 以上のとおりであるから、平成10年7月13日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される発明は第1引用例、第2引用例および周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものと認められるから、上記補正は特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に適合しないので、同法第159条第1項の規定により準用する同法第53条の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
決定日 | 1999-10-04 |
出願番号 | 特願平7-194647 |
審決分類 |
P
1
93・
575-
(H01L)
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前審関与審査官 | 瀧内 健夫 |
特許庁審判長 |
張谷 雅人 |
特許庁審判官 |
小田 裕 橋本 武 |
発明の名称 | 半導体装置およびその製造方法 |
代理人 | 京本 直樹 |
代理人 | 河合 信明 |
代理人 | 福田 修一 |