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審決分類 |
審判 補正却下の決定 5項独立特許用件 A47J |
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管理番号 | 1012245 |
審判番号 | 審判1999-11730 |
総通号数 | 10 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1998-05-06 |
種別 | 補正却下の決定 |
確定日 | 2000-01-26 |
事件の表示 | 平成9年特許願第310727号「ボール状食品の焼き上げ装置」拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり決定する。 |
結論 | 平成11年7月14日付けの手続補正を却下する。 |
理由 |
1.補正明細書の請求項1に係る発明 平成11年7月14日付け手続補正(当該手続補正は、特許法第121条第1項の審判の請求の日から30日以内にした手続補正である。)により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その補正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものにあると認める。 「蛸焼き等の生地が入る穴を上面に適宜個数形成した焼き型と、この焼き型を加熱するための加熱手段と、前記焼き型が取付けられた支持体と、前記焼き型又は支持体に取付けたバイブレータと、ばねを介して前記支持体を支持するベース体とを備えており、前記ばねは前記ベース体と支持体とにずれ不能に保持されており、前記ばねを弾性変形させることにより、前記焼き型と支持体とベース体とが一体になって振動することが許容されているボール状食品の焼き上げ装置。」 2.引用刊行物 (1)日本経済新聞日本経済新聞社、平成6年12月9日発行(第1引用例) (2)特開昭60-66964号公報(第2引用例) これに対して、上記第1引用例には、「たこ焼きを自動的に焼き上げる機械を導入した。穴つきの鉄板を振動させ、たこ焼きの種をクルクルと回転させながら焼くので、人手でひつくり返さなくても、まんべんなく焼き上げることができる。」こと、及び、「たこ焼き機は三十二個の穴がついた鉄板を備え、七分半で焼き上がる。」ことが掲載されている。 また、上記第2引用例には、「食品粒の被覆方法」が記載されており、この「食品粒の被覆方法」に関して、「本発明実施のための装置として第1図に示すような全体が環状をなし、上部を一定幅に開放した環状管形容器1を使用する。」(第2頁右上欄第14〜16行)こと、及び、「環状管形容器1は駆動モーター3の駆動により回転プーリー2を介して回転される振動子6の回転軸7に取付けられている。振動子6は下錘5の回転によって、上下振動を起し、この振動により架台12上に円形に配設された多数のスプリング9により担持されている容器1とその中に収容されて居る製品粒とが上下振動する。振動子6の回転軸7の下部に取付けられている下錘5は、スプリング9及びスプリング4により担持された容器1及び振動子6よりなる全体の重心より下方に設置されて居るのでスプリング9及びスプリング4の上方に担持された容器1及び振動子6の全体に上下振動が与えられる。この上下振動の振幅は下錘5の重量を大きくしたり小さくしたりすることにより、大小自在に調節することが出来る。一方振動子6の上部に上錘8が取付けられこの上錘8はスプリング9により担持された容器1及び振動子6よりなる全体の重心位置にありその回転により容器1及び振動子6の全体を偏心回転運動させる。その偏心の程度は下錘5の重量により自在に調節出来る。そして下錘5による上下振動と上錘8による偏心運動とにより管形容器1内の製品粒は該管形容器1内を螺旋状に旋回運動をしっっ循環移動することとなる。」(第2頁左下欄第19行〜第3頁左上欄第5行)ことが記載されている。 そして、上記第2引用例の第1図の記載からみて、環状管形容器1は支持体に取り付けられ、この支持体に振動子6が取り付けられていることが窺えるし、また、スプリングがこの支持体と架台12とにずれ不能に保持されていることが窺える。 3.補正明細書の請求項1に記載されたもの(前者)と上記第1引用例に記載されたもの(後者)との対比検討 そこで、補正明細書の請求項1に記載されたもの(前者)と上記第1引用例に記載されたもの(後者)とを対比すると、上記第1引用例の記載からみて、両者は、蛸焼きの生地が入る穴を上面に適宜個数形成した焼き型と、この焼き型を加熱するための加熱手段とを有し、焼き型を振動させる蛸焼き機である点において一致し、前者が、焼き型が取付けられた支持体と、焼き型又は支持体に取付けたバイブレータと、ばねを介して支持体を支持するベース体とを備えており、ばねはベース体と支持体とにずれ不能に保持されており、ばねを弾性変形させることにより、焼き型と支持体とベース体とが一体になって振動するのに対して、後者は、その焼き型を振動させる具体的な機構について何ら記載されていない点において相違している。 よって、上記相違点について検討する。 補正明細書の請求項1には、バイブレータやばねが焼き型又は支持体のどのような位置に取り付けられ、バイブレータにより焼き型又は支持体をどのような向きに加振するのかまでは限定して記載されていないことからみて、前者は、その焼き型又は支持体を振動させる機構として、バイブレーターとばねによる焼き型又は支持体の振動方向等の振動態様がどういうものであれ、焼き型が取付けられた支持体と、焼き型又は支持体に取付けたバイブレータと、ばねを介して支持体を支持するベース体とを備え、ばねはベース体と支持体とにずれ不能に保持され、ばねを弾性変形させることにより焼き型と支持体とベース体とが一体になって振動する振動機構を採用しさえずればよいものであると解することができる。 一方、上記第1引用例には、穴つきの鉄板を振動させ、たこ焼きの種をクルクルと回転させながら焼く自動蛸焼き機について記載されているけれども、たこ焼きの種をクルクルと回転させながら焼くためには、穴つき鉄板の振動態様が特にどのようなものでなければならないとか、穴つき鉄板を振動させる具体的な振動機構が特にどのようなものでなければならないとする記載は見当たらない。 そして、上記第2引用例の記載からみて、上記第2引用例には、環状管形容器1内で食品粒を螺旋状に旋回運動をしつつ循環移動させるようにするために、食品粒を収容する環状管形容器1を振動させる振動機構が採用されること、また、その振動機構は、環状管形容器1を取り付ける支持体を有し、この支持体に振動子6を取り付けて、スプリングがこの支持体と架台12とにずれ不能に保持される機構を備え、スプリング9の上方に担持された容器1及び振動子6の全体に上下振動と偏心運動をを与えるものであることが示されているということができる。 そうすると、後者の焼き型を振動させる機構として、上記第2引用例に記載された上記振動機構を採用し、後者を、前者の如く、焼き型が取付けられた支持体と、焼き型又は支持体に取付けたバイブレータと、ばねを介して支持体を支持するベース体とを備え、ばねはベース体と支持体とにずれ不能に保持され、ばねを弾性変形させることにより、焼き型と支持体とベース体とが一体になって振動するようにすることは、当業者が格別の困難もなく為し得ることであるということができる。 従って、補正明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、上記第1引用例に記載されたもの、及び、上記第2引用例に記載されたものに基づいて、当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4.むすび 以上のとおりであるから、上記補正は、特許法第159条第1項において準用する同法第53条に規定する同法第17条の2第4項において更に準用する同法第126条第4項の規定に適合しないので、同法第159条において準用する同法第53条第1項の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
決定日 | 1999-12-13 |
出願番号 | 特願平9-310727 |
審決分類 |
P
1
93・
575-
(A47J)
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前審関与審査官 | 永石 哲也、関口 哲生、鵜飼 健 |
特許庁審判長 |
寺尾 俊 |
特許庁審判官 |
冨岡 和人 岡田 和加子 |
発明の名称 | ボール状食品の焼き上げ装置 |
代理人 | 石井 暁夫 |
代理人 | 東野 正 |
代理人 | 西 博幸 |