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審決分類 審判 全部申し立て その他  A01F
管理番号 1012386
異議申立番号 異議1998-74620  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-08-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-09-18 
確定日 2000-01-17 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2729606号「コンバインの脱穀装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2729606号の特許を維持する。 
理由 I.手続きの経緯
本件特許第2729606号発明は、昭和63年5月9日に出願された実願昭63-60904号を特願平5-212345号に変更し、平成9年3月14日にこの特許出願の一部を新たな特許出願としたものであり、その特許は平成9年12月19日に設定登録された。
この特許に対し、異議申立人井関農機株式会社より特許異議の申立てがなされ、当審において取消理由を通知したところ、平成11年4月20日に訂正請求がなされ、この訂正請求に対し異議申立人に審尋したが、異議申立人は応答していない。
II.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。すなわち、
(1)特許請求の範囲の訂正
特許請求の範囲の「前記フィードチェンを水平方向に回転自在に水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付け、前記水平回動支点軸軸芯延長線を接線とする回動方向に、」を、「前記フィードチェンを水平方向に回転自在に、フィードチェンの後端側を支持する水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付け、さらに前記水平回動支点軸を、フィードチェンの後端部を支持するスプロケットのスプロケット軸よりもさらに端部外方位置に設けると共に、前記水平回動支点軸軸芯延長線を接線とする回動方向に、」と訂正する。
(2)発明の詳細な説明の訂正
▲1▼明細書第2頁の【0004】段落の4〜6行の「前記フィードチェンを水平方向に回転自在に水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付け、前記水平回動支点軸軸芯延長線を接線とする回動方向に、」を、「前記フィードチェンを水平方向に回転自在に、フィードチェンの後端側を支持する水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付け、さらに前記水平回動支点軸を、フィードチェンの後端部を支持するスプロケットのスプロケット軸よりもさらに端部外方位置に設けると共に、前記水平回動支点軸軸芯延長線を接線とする回動方向に、」と訂正する。
▲2▼明細書第6頁の【0015】段落の5〜7行の「前記フィードチェン(5)を水平方向に回転自在に水平回動支点軸(33)(34)を介して脱穀部(4)側面に取付け、前記水平回動支点軸(33)(34)軸芯延長線を接線とする回動方向に、」を、「前記フィードチェン(5)を水平方向に回転自在に、フィードチェン(5)の後端側を支持する水平回動支点軸(33)(34)を介して脱穀部(4)側面に取付け、さらに前記水平回動支点軸(33)(34)を、フィードチェン(5)の後端部を支持するスプロケット(30)のスプロケット軸(57)よりもさらに端部外方位置に設けると共に、前記水平回動支点軸(33)(34)軸芯延長線を接線とする回動方向に、」と訂正する。
2.訂正の目的の適否及び拡張・変更の存否
上記(1)の訂正は、特許請求の範囲の記載において、構成要件を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、(2)▲1▼及び▲2▼の訂正は、発明の詳細な説明の記載を訂正後の特許請求の範囲の記載と整合させるためのものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記(1)ないし(2)▲2▼の訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって新規事項を追加するものではなく、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3.独立特許要件の判断
(訂正明細書の発明)
訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、「訂正明細書の発明」という)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、次の事項により特定されるものである。
「脱穀部一側で前後方向にフィードチェンを張設させると共に、フィードチェン搬送部に対設させる挾扼杆を上方開放自在な扱胴上面カバーに取付けるコンバインの脱穀装置において、前記フィードチェンを水平方向に回転自在に、フィードチェンの後端側を支持する水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付け、さらに前記水平回動支点軸を、フィードチェンの後端部を支持するスプロケットのスプロケット軸よりもさらに端部外方位置に設けると共に、前記水平回動支点軸軸芯延長線を接線とする回動方向に、フィードチェン上側の挾扼杆及び扱胴上面カバーが一体的に開閉作動するように構成したことを特徴とするコンバインの脱穀装置。」
(同日出願の発明)
当審において通知した取消理由で引用した、特許第2741372号(特願平9-82365号)発明は本件と同日に出願されたものであり、その請求項1に係る発明の要旨(以下、「特許第2741372号発明」という)は、特許明細書と図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、
「脱穀部一側で前後方向にフィードチェンを張設させるコンバインの脱穀装置において、縦軸回りにフィードチェンを水平方向に回動させるように構成したことを特徴とするコンバインの脱穀装置。」
にあると認められる。
(対比・判断)
訂正明細書の発明と特許第2741372号発明とを比較すると、両者は、脱穀部一側で前後方向にフィードチェンを張設させるコンバインの脱穀装置において、縦軸回りにフィードチェンを水平方向に回動させるように構成したことを特徴とするコンバインの脱穀装置で一致しているが、
(1)訂正明細書の発明が、「フィードチェン搬送部に対設させる挾扼杆を上方開放自在な扱胴上面カバーに取付け」「水平回動支点軸軸芯延長線を接線とする回動方向に、フィードチェン上側の挾扼杆及び扱胴上面カバーが一体的に開閉作動するように構成」しているのに対し、特許第2741372号発明は、前記構成が特定されていない点
(2)訂正明細書の発明が、「水平回動支点軸を、フィードチェンの後端部を支持するスプロケットのスプロケット軸よりもさらに端部外方位置に設け」ているのに対し、特許第2741372号発明は、前記構成が特定されていない点
で両者は構成が相違している。
そして、上記相違点(1)は、周知事項であるといえるが、上記相違点(2)は周知事項といえないから、訂正明細書の発明と特許第2741372号発明とが同一であるとは認められない。
したがって、訂正明細書の発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
4.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項、同条第3項で準用する第126条第2ないし4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
III.特許異議の申立てについて
1.異議申立て理由の概要
本件の請求項1に係る発明は、下記の甲第3号証ないし甲第4号証の3を考慮すると、本件出願と同日に出願された甲第1号証(特許第2729613号)発明又は甲第2号証(特許第2741372号)発明と同一であるから、その特許は、特許法第39条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきである。

甲第1号証:第2729613号特許公報(特願平9-82363号)
甲第2号証:第2741372号特許公報(特願平9-82365号)
甲第3号証:特開昭63-22114号公報
甲第4号証の1:特開昭61-12213号公報
甲第4号証の2:実開昭59-172525号公報
甲第4号証の3:特開昭60-153715号公報
2.本件発明
本件の請求項1に係る発明の要旨(以下、「本件発明」という)は、上記II.3.独立特許要件の判断における「(訂正明細書の発明)」に記載したとおりのものである。
3.当審の判断
甲第1号証である特許第2729613号発明の請求項1に係る発明の要旨(以下、「甲第1号証発明」という)は、特許明細書と図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、
「脱穀部一側で前後方向にフィードチェンを張設させるコンバインの脱穀装置において、チェンレールに前記フィードチェンを取付け、前記チェンレールを上下の水平回動支点軸に連結させる支柱を設け、前記支柱及び上下の水平回動支点軸を介してチェンレールを脱穀部側面に水平方向に回動自在に連結させたことを特徴とするコンバインの脱穀装置。」
にあると認められる。
本件発明と甲第1号証発明とを比較すると、両者は、脱穀部一側で前後方向にフィードチェンを張設させるコンバインの脱穀装置において、上下の水平回動支点軸を介してフィードチェンを脱穀部側面に水平方向に回動自在に連結させたことを特徴とするコンバインの脱穀装置で一致しているが、
(1)本件発明が、「フィードチェン搬送部に対設させる挾扼杆を上方開放自在な扱胴上面カバーに取付け」「水平回動支点軸軸芯延長線を接線とする回動方向に、フィードチェン上側の挾扼杆及び扱胴上面カバーが一体的に開閉作動するように構成」しているのに対し、甲第1号証発明は、前記構成が特定されていない点
(2)本件発明が、「水平回動支点軸を、フィードチェンの後端部を支持するスプロケットのスプロケット軸よりもさらに端部外方位置に設け」ているのに対し、甲第1号証発明は、「チェンレールに前記フィードチェンを取付け、前記チェンレールを水平方向に回転自在に設ける水平回動支点軸を介してチェンレールを脱穀部側面に連結させ」ている点
(3)甲第1号証発明が「チェンレールに前記フィードチェンを取付け、前記チェンレールを上下の水平回動支点軸に連結させる支柱を設け」ているのに対し、本件発明は前記構成が特定されていない点
で両者は構成が相違している。
そして、上記相違点(1)の構成は甲第4号証の1ないし3から周知技術であるといえるが、上記相違点(2)(3)の構成は甲第3号証を考慮しても周知・慣用技術といえないから、本件発明と甲第1号証発明とが同一であるとはいえない。
また、上記II.3.独立特許要件の判断における「(対比・判断)」に記載した理由により、本件発明が甲第2号証である特許第2741372号発明と同一とすることはできない。
したがって、甲第3号証ないし甲第4号証の3を考慮しても、本件発明が甲第1号証発明又は甲第2号証発明と同一であるとは認められない。
4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠方法によって、本件発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
コンバインの脱穀装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 脱穀部一側で前後方向にフィードチェンを張設させると共に、フィードチェン搬送部に対設させる挾扼杆を上方開放自在な扱胴上面カバーに取付けるコンバインの脱穀装置において、前記フィードチェンを水平方向に回転自在に、フィードチェンの後端側を支持する水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付け、さらに前記水平回動支点軸を、フィードチェンの後端部を支持するスプロケットのスプロケット軸よりもさらに端部外方位置に設けると共に、前記水平回動支点軸軸芯延長線を接線とする回動方向に、フィードチェン上側の挾扼杆及び扱胴上面カバーが一体的に開閉作動するように構成したことを特徴とするコンバインの脱穀装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は刈取部で刈取った穀稈を脱穀処理するようにしたコンバインの脱穀装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、実開昭61-170241号公報に示す如く、脱穀部の側方を開放させて扱室及び扱胴の保守点検やクリンプ網の交換などを行う場合、支点軸を中心にフィードチェンを移動させて脱穀部側面を開放させる技術があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術は、フィードチェンを取外す面倒な作業手間を省けたが、脱穀部側面下方側にフィードチェンを下降回動させて開放させていたから、扱胴の保守点検またはクリンプ網の交換などをフィードチェン上方空間から行う必要があり、作業者が脱穀部にフィードチェン越しに接近して作業を行う面倒があると共に、作業終了時にフィードチェンを持上げて元の位置に戻す必要があり、重いフィードチェンを持上げる面倒があり、また固定部の損傷などによりフィードチェンが自重降下する不具合がある。また、実開昭62-128734号公報に示す如く、扱胴側部カバーによってクリンプ網を固定させる技術もあるが、前記カバー下端部を脱穀部側面に支点軸を介して連結させて下向きに開放させる構造であり、前記同様の不具合があると共に、前記カバーに挾扼杆を設けるから、挾扼杆を支える強度が前記カバーに必要であり、前記カバー構造の簡略化並びに前記カバー開閉操作性の向上などを容易に行い得ない等の問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
然るに、本発明は、脱穀部一側で前後方向にフィードチェンを張設させると共に、フィードチェン搬送部に対設させる挾扼杆を上方開放自在な扱胴上面カバーに取付けるコンバインの脱穀装置において、前記フィードチェンを水平方向に回転自在に、フィードチェンの後端側を支持する水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付け、さらに前記水平回動支点軸を、フィードチェンの後端部を支持するスプロケットのスプロケット軸よりもさらに端部外方位置に設けると共に、前記水平回動支点軸軸芯延長線を接線とする回動方向に、フィードチェン上側の挾扼杆及び扱胴上面カバーが一体的に開閉作動するように構成したもので、フィードチェンを水平方向に回動させて脱穀部側面を開放させるから、従来のようにフィードチェンを下げ上げ操作する面倒がなく、脱穀部側面に対しフィードチェンを離反または接合させる操作を従来よりも容易に行い得ると共に、従来のようにフィードチェン越しにクリンプ網交換などを行う面倒がなく、脱穀部側面部での作業者の行動がフィードチェンによって規制される不具合をなくし得ると共に、フィードチェンの側方開放と挾扼杆及び扱胴上面カバーの上方開放によって脱穀部側部に広い保守作業空間を容易に形成し得るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はフィードチェン部の側面説明図、図2はコンバインの全体側面図、図3は同平面図であり、図中(1)は走行クローラ(2)を装設するトラックフレーム、(3)は前記トラックフレ一ム(1)上に架設する機台、(4)はフィードチェン(5)を左側に張架し扱胴(6)及び処理胴(7)を内蔵している脱穀部、(8)は刈刃及び穀桿搬送機構などを備える刈取部、(9)は排藁チェン(10)終端を臨ませる排藁処理部、(11)は運転席(12)及び運転操作部(13)を備える運転台、(14)は機台(3)の右側後部に配備してエンジン(15)を内設するエンジン部、(16)は前記エンジン部(14)前方に配設して脱穀部(4)からの穀粒を溜める穀粒タンク、(17)は前記穀粒タンク(16)内の穀粒を外側に取出す排出オーガであり、連続的に刈取り・脱穀作業を行うように構成している。
【0006】
図4乃至図6に示す如く、前記脱穀部(4)の上側壁カバー(18)を上方に開放自在に設けると共に、前記フィードチェン(5)を脱穀部(4)左側方に開放自在に設けるもので、前記カバー(18)の支柱(19)にフレーム(20)を介して挾扼杆(21)を連結支持させ、前記カバー(18)の基端を脱穀本体側の固定ブラケット(22)に支点軸(23)を介して開閉自在に支持させている。なお、(24)は挾扼杆(21)の外側を覆う挾扼杆カバー、(25)は前記カバー(18)を閉封保持するロック部材である。
【0007】
また、前部回転体である駆動スプロケット(26)を下部チェンレール(27)前端に備えると共に、下部及び上部チェンレール(27)(28)の後端に固設する巻付防止板である上部枢着板(29)に後部回転体である従動スプロケット(30)を備え、各スプロケット(26)(30)にフィードチェン(5)を張設させるもので、前記枢着板(29)と、該枢着板(29)下方に支柱(31)を介して連結固定する下部枢着板(32)とに、上下の水平回動支点軸(33)(34)をそれぞれ固設し、脱穀本体側の固定ブラケット(35)(36)に前記支点軸(33)(34)を介してフィードチェン(5)を側方に開放可能に支持するように構成している。
【0008】
さらに、前記扱胴(6)下部のクリンプ網(37)の外方側端部(37a)に下端部を圧接させる扱胴側部カバー(38)を、前記チェンレール(27)(28)に取付フレーム(39)(40)を介して一体連結すると共に、前記フィードチェン(5)のテンションローラ(41)及びスプロケット(42)をガイド板(42a)などを介して前記チェンレール(27)に取付け、前記フィードチェン(5)を側方開放時、側部カバー(38)・テンションローラ(41)・スプロケット(42)も側方に一体的に回動させるように構成している。
【0009】
そして、前記フィードチェン(5)を閉動作時、前記側部カバー(38)の前側板(38a)の係止ピン(43)を脱穀前側板(44)にロック板(45)を介し係合保持させるもので、前側板(44)に支軸(46)・ストッパピン(47)及びバネ(48)を介してロック板(45)が位置保持され、側部カバー(38)が閉封されるとき、ロック板(45)に固設するガイドレバー(49)に前記ピン(43)が当接し、バネ(48)に抗してロック板(45)を下方に押し下げ、ロック板(45)のピン係合溝(50)に前記ピン(43)が係合し、側部カバー(38)及びフィードチェン(5)を閉位置に固定保持するように構成している。
【0010】
また、前記脱穀部(4)本体側に固設する駆動ケース(51)に、前記フィードチェン(5)を駆動する駆動軸(52)を備えるもので、該駆動軸(52)を入力軸(53)にギヤ(54)を介し連結すると共に、前記駆動スプロケット(26)のスプロケット軸(55)にリミットクラッチ(56)を介して継断自在に前記駆動軸(52)を結合連結させ、リミットクラッチ(56)のクラッチ爪による駆動伝達方式とすることにより、従来のピン結合方式に比べ、部品点数を削減させ耐久性向上を図るもので、脱穀用穀を搬送するフィードチェン(5)を脱穀部(4)側方に開放可能に設け、フィードチェン(5)を縦軸である水平回動支点軸(33)(34)回りに回転自在に脱穀部(4)の側部に設けると共に、本機側の駆動部である駆動軸(52)に着脱自在に連結させる伝動接続部であるスプロケット軸(55)を前記水平回動支点軸(33)(34)と離れた側に設けている。
【0011】
さらに、前記フィードチェン(5)の後端側を支持する前記支点軸(33)(34)は、前記従動スプロケット(30)のスプロケット軸(57)より寸法(t)後部位置で、フィードチェン(5)より脱穀本体側寄りに配設していて、フィードチェン(5)を開放時、該チェン(5)の最後端部である枢着板(29)(32)の脱穀本体側への入り込み代を最小限にし、機体左右全巾を一定寸法内に抑制しながら脱穀本体とフィードチェン(5)の干渉を防止するように構成するもので、脱穀用穀桿を搬送するフィードチェン(5)を脱穀部(4)側方に開放可能に設ける構造において、脱穀部(4)側方に開放するフィードチェン(5)の水平回動支点軸(33)(34)を、フィードチェン(5)の端部を支持する前記スプロケット(30)のスプロケット軸(57)よりもさらに端部外方位置でフィードチェン(5)よりも脱穀本体寄りに設けている。
【0012】
上記から明らかなよう、脱穀部(4)一側で前後方向にフィードチェン(5)を張設させると共に、フィードチェン(5)搬送部に対設させる挾扼杆(21)を上方開放自在な扱胴上面カバーである上側壁カバー(18)に取付けるコンバインの脱穀装置において、前記フィードチェン(5)を水平方向に回転自在に水平回動支点軸(33)(34)を介して脱穀部(4)側面に取付け、前記水平回動支点軸(33)(34)軸芯延長線を接線とする回動方向に、フィードチェン(5)上側の挾扼杆(21)及び上側壁カバー(18)が一体的に開閉作動するもので、フイードチェン(5)を水平方向に回動させて脱穀部(4)側面を開放させ、従来のようにフィードチェン(5)を下げ上げ操作する面倒がなく、脱穀部(4)側面に対しフィードチェン(5)を離反または接合させる操作を従来よりも容易に行えると共に、従来のようにフィードチェン(5)越しにクリンプ網(37)交換などを行う面倒がなく、脱穀部(4)側面部での作業者の行動がフィードチェン(5)によって規制される不具合をなくせると共に、前記挾扼杆(21)の上方開動によってフィードチェン(5)の水平開動が許可され、コンバインがフィードチェン(5)側に傾斜していても閉位置の挾扼杆(21)によって分解途中のフィードチェン(5)が自重回動により開動ずるのを防止でき、また分解途中のフィードチェン(5)の自重回動を挾扼杆(21)との当接によって防いでも、フィードチェン(5)の自重の殆んどを水平回動支点軸(33)(34)が受けるから、フィードチェン(5)の当接によって挾扼杆(21)が損傷する不具合をなくせるように構成している。
【0013】
本実施例は上記の如く構成するものにして、前記フィードチェン(5)を開放自在に支持する回動支点軸(33)(34)を、前記従動スプロケット(30)のスプロケット軸(57)より寸法(t)後部位置で、フィードチェン(5)より脱穀本体側寄りに配設するものであるから、前記フィードチェン(5)を開放時に最後端となる枢着板(29)(32)後端の脱穀本体側への入り込み代が最小となり、フィードチェン(5)を脱穀本体外方に張出させることなく機体全巾を一定寸法内に抑制した状態で干渉など不都合のない安全な開放作業を行える。
【0014】
また、前記フィードチェン(5)を回動開放時、前記駆動スプロケット(26)にフィードチェン(5)が巻回された状態でチェンレール(27)(28)などと一体的に開放されるものであるから、フィードチェン(5)開放操作を容易に行えて作業能率に秀れ、しかもフィードチェン(5)開放時、前記扱胴側部カバー(38)も同時に外方に引出され、脱穀部(4)側面が開放状態となり、扱室内の点検保守やクリンプ網(37)の交換作業を至便に行えるものである。
【0015】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、脱穀部(4)一側で前後方向にフィードチェン(5)を張設させると共に、フィードチェン(5)搬送部に対設させる挾扼杆(21)を上方開放自在な扱胴上面カバー(18)に取付けるコンバインの脱穀装置において、前記フィードチェン(5)を水平方向に回転自在に、フィードチェン(5)の後端側を支持する水平回動支点軸(33)(34)を介して脱穀部(4)側面に取付け、さらに、前記水平回動支点軸(33)(34)を、フィードチェン(5)の後端部を支持するスプロケット(30)のスプロケット軸(57)よりもさらに端部外方位置に設けると共に、前記水平回動支点軸(33)(34)軸芯延長線を接線とする回動方向に、フィードチェン(5)上側の挾捌手(21)及び扱胴上面カバー(18)が一体的に開閉作動するように構成したもので、フィードチェン(5)を水平方向に回動させて脱穀部(4)側面を開放させるから、従来のようにフィードチェン(5)を下げ上げ操作する面倒がなく、脱穀部(4)側面に対しフィードチェン(5)を離反または接合させる操作を従来よりも容易に行うことができると共に、従来のようにフィードチェン(5)越しにクリンプ網(37)交換などを行う面倒がなく、脱穀部(4)側面部での作業者の行動がフィードチェン(5)によって規制される不具合をなくすことができると共に、フィードチェン(5)の側方開放と挾扼杆(21)及び扱胴上面カバー(18)の上方開放によって脱穀部(4)側部に広い保守作業空間を容易に形成できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィードチェン部の側面説明図。
【図2】コンバインの全体側面図。
【図3】同平面図。
【図4】脱穀部の断面説明図。
【図5】フィードチェン部の平面説明図。
【図6】同部分説明図。
【符号の説明】
(4) 脱穀部
(5) フィードチェン
(18) 上側壁カバー(扱胴上面カバー)
(21) 挾扼杆
(30) 従動スプロケット
(33)(34) 水平回動支点軸
(57) スプロケット軸
 
訂正の要旨 特許第2729606号発明の明細書を本件訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに、すなわち、特許請求の範囲の減縮を目的として下記(1)のとおりに訂正し、明りょうでない記載の釈明を目的として下記(2)ないし(3)のとおりに訂正する。
(1)特許請求の範囲(本件特許公報第1欄5〜8行)の「前記フィードチェンを水平方向に回転自在に水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付け、前記水平回動支点軸軸芯延長線を接線とする回動方向に、」を、「前記フィードチェンを水平方向に回転自在に、フィードチェンの後端側を支持する水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付け、さらに前記水平回動支点軸を、フィードチェンの後端部を支持するスプロケットのスプロケット軸よりもさらに端部外方位置に設けると共に、前記水平回動支点軸軸芯延長線を接線とする回動方向に、」と訂正する。
(2)明細書第2頁の【0004】段落の4〜6行(同公報第2欄16〜18行)の「前記フィードチェンを水平方向に回転自在に水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付け、前記水平回動支点軸軸芯延長線を接線とする回動方向に、」を、「前記フィードチェンを水平方向に回転自在に、フィードチェンの後端側を支持する水平回動支点軸を介して脱穀部側面に取付け、さらに前記水平回動支点軸を、フィードチェンの後端部を支持するスプロケットのスプロケット軸よりもさらに端部外方位置に設けると共に、前記水平回動支点軸軸芯延長線を接線とする回動方向に、」と訂正する。
(3)明細書第6頁の【0015】段落の5〜7行(同公報第6欄34〜37行)の「前記フィードチェン(5)を水平方向に回転自在に水平回動支点軸(33)(34)を介して脱穀部(4)側面に取付け、前記水平回動支点軸(33)(34)軸芯延長線を接線とする回動方向に、」を、「前記フィードチェン(5)を水平方向に回転自在に、フィードチェン(5)の後端側を支持する水平回動支点軸(33)(34)を介して脱穀部(4)側面に取付け、さらに前記水平回動支点軸(33)(34)を、フィードチェン(5)の後端部を支持するスプロケット(30)のスプロケット軸(57)よりもさらに端部外方位置に設けると共に、前記水平回動支点軸(33)(34)軸芯延長線を接線とする回動方向に、」と訂正する。
異議決定日 1999-12-16 
出願番号 特願平9-82332
審決分類 P 1 651・ 5- YA (A01F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉田 英一高橋 三成  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 新井 重雄
吉村 尚
登録日 1997-12-19 
登録番号 特許第2729606号(P2729606)
権利者 ヤンマー農機株式会社
発明の名称 コンバインの脱穀装置  
代理人 藤原 忠治  
代理人 藤原 忠治  

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