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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  D06M
管理番号 1012463
異議申立番号 異議1999-72612  
総通号数 10 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-03-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-07-08 
確定日 2000-03-21 
異議申立件数
事件の表示 特許第2852887号「弾性繊維用油剤」の請求項1及び2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2852887号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2852887号は、平成7年9月4日に出願されたものであって、平成10年11月20日にその特許の設定登録がなされ、その後松本油脂製薬株式会社、竹本油脂株式会社及び小山憲一より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年12月6日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否
(1).訂正の内容
請求された訂正の内容は、訂正請求書の記載からみて、次のとおりのものである。
ア.特許請求の範囲の請求項1中の「シリコンレジン(MQレジン)を含有し、該シリコンレジンのM単位/Q単位の比が0.4〜1.5であることを」を、「シリコンレジン(MQレジン)を膠着防止成分として含有し、該シリコンレジンのM単位/Q単位の比が0.4〜1.5であり、高級脂肪酸の金属塩を含有しないことを」と訂正し、
イ.【0011】中の「シリコンレジン(MQレジン)を含有し、該シリコンレジンのM単位/Q単位の比が0.4〜1.5であることを」を「シリコンレジン(MQレジン)を膠着防止成分として含有し、該シリコンレジンのM単位/Q単位の比が0.4〜1.5であり、高級脂肪酸の金属塩を含有しないことを」と訂正し、
ウ.【0023】中の「さらに必要により膠着防止成分、例えば、タルク、シリカ、コロイダルアルミナ等の鉱物性固体微粒子、あるいは高級脂肪酸の金属粉末塩、あるいはパラフィン」を、「さらに必要により高級脂肪酸の金属塩以外の膠着防止成分、例えば、タルク、シリカ、コロイダルアルミナ等の鉱物性固体微粒子、あるいはパラフィン」と訂正する。
(2).訂正の適否判断
A.本件訂正において、明細書の特許請求の範囲を前記ア.のように訂正することは、高級脂肪酸の金属塩を含有するものと含有しないものを包含していたものを、高級脂肪酸の金属塩を含有しないもののみに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであり、かつ特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものであるとも認められない。
また、明細書の発明の詳細な説明を前記イ.及びウ.のように訂正することは、いずれも特許請求の範囲の訂正に伴い、これに整合させるために明細書の発明の詳細な説明の記載を訂正するものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに相当し、かつ、これらの訂正は願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであり、かつ特許請求の範囲を実質上拡張し又は変更するものであるとも認められない。
B.次に、訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された発明(以下、「訂正後の本件発明」という。)が、本件出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて検討する。
当審で通知した取消理由は、本件請求項1及び請求項2に係る発明は、本件出願の日前の出願であって、本件出願後に出願公開された特願平6-230787号(特開平8-74179号公報参照)の願書に最初に添付した明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本件請求項1及び請求項2に係る発明の発明者が上記出願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、本件出願の時において、本件出願人が上記出願の出願人と同一であるとも認められないので、これらの特許は、特許法第29条の2第1項の規定に違反して特許されたというものであるから、以下に訂正後の本件発明について、前記理由を検討する。
上記出願の願書に最初に添付した明細書(以下、先願明細書という。)には、「(A)25℃における粘度が2〜100センチストークスであるジメチルポリシロキサン100重量部、(B)炭素原子数が10〜20である高級脂肪酸の金属塩1〜20重量部および(C)式:SiO4/2 で示されるシロキサン単位と式R3 SiO1/2 (式中、Rは1価炭化水素基である。)で示されるシロキサン単位とからなるオルガノポリシロキサン樹脂{ただし、該オルガノポリシロキサン樹脂は、式:RSiO3/2 (式中、Rは1価炭化水素基である。)で示されるシロキサン単位を含有しない。}0.05〜10重量部からなることを特徴とする繊維糸状物用ストレート油剤組成物。」(特許請求の範囲の請求項1)が、記載されている。
訂正後の本件発明と上記先願明細書に記載の発明を対比すると、訂正後の本件発明は、高級脂肪酸の金属塩を含有しない組成物であるのに対し、上記先願明細書に記載の発明は高級脂肪酸の金属塩を含有する組成物であるから、両者はその組成を異にするものである。そして、上記先願明細書には、他に、高級脂肪酸の金属塩を含有しない組成物は記載されていない。
したがって、訂正後の本件発明が、先願明細書に記載された発明と同一であるとすることはできない。
また、下記のとおり本件特許異議申立の理由及び証拠によっても、訂正後の本件発明を特許すべきでないとすることはできず、他に訂正後の本件発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとすべき理由を発見しない。
(3).むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成六年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第2項、同条第3項で準用する第126条第2〜4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議申立の判断について
(1).松本油脂製薬株式会社,竹本油脂株式会社及び小山憲一の異議申立て
松本油脂製薬株式会社は、甲第1号証として特願平6-230787号の公開公報(特開平8-74179号公報)を提出し、訂正前の本件請求項1及び請求項2係る発明は甲第1号証に記載された発明と同一であるから、訂正前の本件請求項1及び請求項2に係る特許は特許法第39条第1項の規定に違反してなされたものであり、本件特許を取り消すべきであるとし、竹本油脂株式会社及び小山憲一は、同じく甲第1号証として特開平8-74179号公報(特願平6-230787号)を提出し、訂正前の本件請求項1及び請求項2係る発明は特願平6-230787号の願書に最初に添付した明細書甲第1号証に記載された発明と同一であり、しかも、本件請求項1及び請求項2係る発明の発明者が上記出願明細書に記載された発明の発明者と同一ではなく、本件出願の時において、本件出願人が上記出願の出願人と同一でもないから、訂正前の本件請求項1及び請求項2に係る特許は特許法第29条の2第1項の規定に違反してなされたものであるとして、本件特許を取り消すべきであるとする特許異議の申立を行った。
(2).判断
甲第1号証には、上記1.(2).B.中で記載した油剤組成物が記載され、訂正後の本件発明が、先願明細書に記載された発明と同一であるとすることはできないことは、同じく上記1.(2).B.に記載したとおりである。
したがって、異議申立人の主張はいずれも採用できず、本件特許異議申立の理由及び証拠によって本件特許を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1及び請求項2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-03-01 
出願番号 特願平7-251771
審決分類 P 1 651・ 161- YA (D06M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松縄 正登  
特許庁審判長 石橋 和美
特許庁審判官 仁木 由美子
石井 克彦
登録日 1998-11-20 
登録番号 特許第2852887号(P2852887)
権利者 三洋化成工業株式会社
発明の名称 弾性繊維用油剤  
代理人 入山 宏正  

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