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審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  C12Q
管理番号 1014683
異議申立番号 異議1999-72197  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-06-07 
確定日 2000-02-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2833063号「核酸の検出法」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2833063号の特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第2833063号に係る発明についての出願は、平成1年10月31日に特願平1-284322号として出願され、平成10年10月2日にその特許の設定登録がなされ、その後、作元利光より特許異議申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年11月11日に訂正請求がなされたものである。
II.訂正請求
1.訂正の内容
▲1▼特許請求の範囲の請求項1に係る記載「目的DNAあるいはRNAの塩基配列の一部に補助的な配列を持つラベル化オリゴヌクレオチドを、溶液中で目的DNAあるいはRNAと交雑せしめ、その溶液を分子量の大小、あるいは荷電の大小の差を利用して該オリゴヌクレオチドを分離することにより特定の核酸の塩基配列を検出することを特徴とする核酸の検出法。」を、「目的DNAあるいはRNAの塩基配列の一部に補助的な配列を持つラベル化オリゴヌクレオチドを、溶液中で目的DNAあるいはRNAと交雑せしめ、その溶液を分子量の大小、あるいは荷電の大小の差を利用して(高速液体クロマトグラフィを除く)該オリゴヌクレオチドを分離することにより特定の核酸の塩基配列を検出することを特徴とする核酸の検出法。」と訂正する。
▲2▼特許明細書5頁18〜19行の「荷電の大小の差を利用して」を「荷電の大小の差を利用して(高速液体クロマトグラフィを除く)」と、同6頁8行の「分子量の大小を識別できる装置」を「分子量の大小を識別できる装置(高速クロマトグラフを除く)」と、同8頁欄17〜18行の「荷電の大小」を「荷電の大小(高速クロマトグラフィを除く)」とそれぞれ訂正する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項▲1▼は、特許請求の範囲の減縮に該当し、訂正事項▲2▼は、訂正事項▲1▼に伴う訂正である。
そして、訂正事項▲1▼の「(高速液体クロマトグラフィを除く)」は、いわゆる「除くクレーム」とする補正であるので、新規事項の追加には該当せず(「明細書及び図面の補正の運用指針」8頁(4)参照)、訂正事項▲2▼も新規事項に該当しない。
また、上記訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
3.独立特許要件
当審が通知した取消理由の概要は、請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法29条の2の規定に違反してなされたものであり、特許を受けることができないというものであるところ、訂正された請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、後述の「III.3.判断」の項に記載のように、甲第1号証に記載された発明と同一であるとはいえないので、本件発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
4.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法120条の4,2項、及び同条3項で準用する126条2項から4項の規定に適合するので、請求のとおり当該訂正を認める。
III.特許異議申立
1.特許異議申立書の理由の概要
訂正前の本件請求項1に係る発明は、甲第1号証(特願平1-100970号の願書に最初に添付された明細書(特開平2-28557号公報))に記載された発明と同一であるから、特許法29条の2の規定に違反し、特許を受けることができない。
2.甲第1号証の記載内容
「(1)測定材料物質を含有する生体由来の試料を、標識物質で標識された或いはされない、測定対象物質に対する結合能を有する物質(以下、結合能物質と略記する。)と混合して反応させた後、測定対象物質と結合能物質とを複合体(以下、単に複合体と略記する。)と、遊離型の結合能物質とを高速液体クロマトグラフィにより分離し、複合体中の標識物質の量又は結合能物質の量を測定することにより試料中の測定対象物質量を測定することにより試料中の測定対象物質量を測定することを特徴とする測定方法。
(8)測定対象物質がデオキシリボ核酸を構成する1本鎖ポリヌクレオチドであり、結合能物質が該ポリヌクレオチド鎖に対して相補的なポリヌクレオチド鎖である請求項1に記載の測定方法。
(10)標識物質が蛍光性物質、発光性物質、放射性物質、酵素、紫外部に吸収を有する物質又はスピンラベル化剤としての性質を有する物質である請求項1に記載の測定方法。
(12)複合体と、遊離型の結合能物質との分離を、ゲル濾過(ゲルクロマトグラフィ)用充填剤、イオン交換クロマトグラフィ用充填剤、疎水クロマトグラフィ用充填剤、等電点クロマトグラフィ用充填剤、逆相クロマトグラフィ用充填剤又はハイドロキシアパタイトを充填したカラムを装着した高速液体クロマトグラフィにより行う請求項1に記載の測定方法。」(特許請求の範囲の項)、
「2本鎖DNAの1対のポリヌクレオチド鎖等は、互いに強い相互作用affinity;親和力或いは親和性)を及ぼしあい、強固な複合体を形成することが知られている。」(2頁右下欄1〜4行)、
「先ず測定対象物質を含む生体由来の試料と、標識された或いはされない結合能物質とを、要すれば適当な緩衝液中に添加、混合して反応させ、複合体を形成させた後、・・・」(4頁右上欄8〜11行)と記載され、また実施例として、「B型肝炎ウイルス(HBs)DNAの測定」(実施例7)、及び「HBsDNAの測定-2」(実施例8)に関し、
「試料100μlを95℃で10分間加熱処理した後氷冷し、これに標識オリゴヌクレオチドプローブ溶液100μlを加え、37℃で30分間加熱後、この50μlをHPLCにより分析した。」(14頁右上欄18行〜左下欄1行、14頁右下欄19行〜15頁左上欄2行)が記載されている。
3.判断
本件発明と甲第1号証に記載された発明とを対比するに、「目的DNAあるいはRNAの塩基配列の一部に補助的な配列を持つラベル化オリゴヌクレオチドを、溶液中で目的DNAあるいはRNAと交雑せしめ、その溶液」を分離するために、後者では「ゲル濾過(ゲルクロマトグラフィ)用充填剤、イオン交換クロマトグラフィ用充填剤、疎水クロマトグラフィ用充填剤、等電点クロマトグラフィ用充填剤、逆相クロマトグラフィ用充填剤又はハイドロキシアパタイトを充填したカラムを装着した高速液体クロマトグラフィ」を用いているが、前者では、「高速液体クロマトグラフィを除く」と、高速液体クロマトグラフィを用いて分離する場合を除いている。
そうすると、本件発明と甲第1号証に記載された発明とが同一であるということはできない。
したがって、本件発明は、特許法29条の2の規定に違反しているとはいえない。
4.まとめ
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
核酸の検出法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】目的DNAあるいはRNAの塩基配列の一部分に相補的な配列を持つラベル化オリゴヌクレオチドを、溶液中で目的DNAあるいはRNAと交雑せしめ、その溶液を分子量の大小、あるいは荷電の大小の差を利用して(高速液体クロマトグラフィを除く)該オリゴヌクレオチドが交雑した目的DNAあるいはRNAと、交雑していないオリゴヌクレオチドを分離することにより特定の核酸の塩基配列を検出することを特徴とする核酸の検出法。
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は特定の塩基配列を持つDNAあるいはRNAを検出する方法でありウイルスや細菌による疾患、遺伝病の診断、あるいは種の同定、親子鑑別などの分野に用いられる。
(従来の技術)
ハイブリダイゼーション法は遺伝子の変異により生じる疾患やウイルスによる病気の診断に有効である。
従来、検出の際には目的DNAやRNAを菌、ウイルス、白血球などから超音波破砕、などの物理学的方法、プロテネースKのような酵素やドデシル硫酸ナトリウム(SDS)のような界面活性剤、を用いて化学的な方法で抽出する。その後フェノール、クロロホルム処理、エタノール沈澱でDNA(RNA)を精製した後,NaOHのようなアルカリで変性させて1本鎖DNA(RNA)にする。そしてこの目的の1本鎖DNA(RNA)をメンブランフィルター(二トロセルロース、ナイロン)上に固定する方法が、よく知られたフィルターハイブリダイゼーション法である。このDNA(RNA)を固定したフィルターに放射性同位元素、酵素、ビオチン、蛍光物質などでラベルしたオリゴヌクレオチドプローブを加えると、オリゴヌクレオチドが対象DNA(RNA)と相補的配列を持つと両者の間に水素結合が生じて2本鎖を形成する。相補鎖をもたなかったり過剰のオリゴヌクレオチドプロ一ブは洗浄によってフィルターから除去される。その後放射活性、酵素活性、蛍光強度測定によって目的DNA(RNA)の検出を行う。
あるいはフィルターを使わない方法としてポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)(Saiki,R.K.et al,Science 239 487-491(1988))を利用して、各々のプライマーにビオチンをラベルしてPCR反応を行つた後ラベルDNAプローブと液相でハイブリダイゼーションを行なった後アビジンを固定したアフィニティマトリックスを用いて検出する方法,(Ann-Christine Syvanen et al,Nucl.Acids Res.16 11327-11338(1988)))、オリゴヌクレオチドプローブに複数のビオチンを標識し目的RNAと液相でハイブリタイゼーションを行つた後、アビジンを固定したアフィニティマトリックスと酵素標識抗RNA-DNA抗体を添加して検出する方法(Clifford O.Yehle et al,Molecular and Celluar Probes1,177-193(1987)などがある
(発明が解決しようとする課題)
フィルターを用いる方法では、フィルターにDNA(RNA)を固定するための操作、DNA(RNA)を熱や紫外線によって固定する操作、及び相補鎖を形成しなっかたたDNAプローブの洗浄の煩雑な操作がつきまとう。さらにオリゴヌクレオチドプローブがフィルター表面に非特異的に吸着して検出感度の低下やバックグランドの上昇を招くという不都合もあった。
またアフィニティーマトリックスを用いる方法においてもフィルター法に較べて操作性か優れるものの、アフィニティーマトリックスの添加の操作、及び二本鎖を形成しなかったオリゴヌクレオチドプローブをのぞくための操作(B/F分離)が必要となる。
(課題を解決するための手段)
上記観点から鋭意研究を行った結果、ラベル化オリゴヌクレオチドを用いて溶液中でハイブリダイゼーションを行い、その溶液を直接分子量の大小、あるいは荷電の大小の差を利用して(高速液体クロマトグラフィを除く)、相補鎖を形成しなかったオリゴヌクレオチドプローブを自動的に分離することで、特定の核酸の塩基配列を検出することを見いだしこの発明に達した。
具体的には、a)目的DNAあるいはRNAの塩基配列の一部分に相補的な配列を持つラベル化オリゴヌクレオチドとDNA(RNA)を溶液中で交雑(ハイブリダイゼーション)させ、b)溶液をそのまま荷電の大小、あるいは分子量の大小を識別できる装置(高速液体クロマトグラフを除く)で分析しラベル剤をそのラベル剤の検出に適した検出器で識別する。
こうして目的DNA(RNA)の存在をしいては特定遺伝子の検出を行うことができる。この発明の目的(対象)DNAあるいはRNAはウイルス、細菌、血液等をプロテネースKのような酵素、SDSのような界面活性剤、NaOHのようなアルカリで処理すること、超音波破砕のような物理的手段によって、あるいはそれらの組合せで入手することができる。
オリゴヌクレオチドプローブは目的DNA(RNA)と相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドに適当なラベルを施した物を使用する。ここでラベル化オリゴヌクレオチドのラベル剤としては、β-壊変をする32P、131I、のような放射性同位元素やFITC(フルオレセインイソシアネート)のような蛍光物質、ルミノール及びその誘導体である化学発光物質、4-イソシアネート-テンプ、4-マレイミド-テンプのようなスピンラベル剤、ユーロピウム錯体のような遅延蛍光を示す物質等が用いられる。ラベル剤とオリゴヌクレオチドの結合はオリゴヌクレオチドにアミノ基、チオール基等の官能基を化学的に導入した後アミノ基あるいはチオール基特異的なラベル剤と反応させることができる。オリゴヌクレオチドヘの官能基の導入はオリゴヌクレオチドを固相合成した後5’位の保護基であるジメトキシトリチル(DMTr)基を酸処理ではずした後、カルボニルイミダゾールを反応させヘキサエチレンジアミンを反応だせアミノ基を導入する方法(L.Wachter et al,Nucl.Acids Res.14,7985(1986)))、脱保護したオリゴヌクレオチドの5’位を酵素的に燐酸化した後エチレンジアミン、シスタミンのようなジアミンと反応させアミノ基あるいはチオール基を導入させる方法(B.F.Chu et al,Nucl.Acids Res.11,6513(1983))、H-ホスホネートを用いて四塩化炭素、I2、ジアミンを保護オリゴヌクレオチドの燐酸基にアミノ基を導入する方法(B.Froehler,Nucl.Acids Res.16,4831(1988))、などの方法で行うことができる。
アミノ基を導入したオリゴヌクレオチドにはアミノ基指向性のFITCのような蛍光物質、4-イソシアネート-テンプのようなスピンラベル剤、などを用いることで適当なラベル剤を導入することができる。目的DNA(RNA)の検出は、分子量の大小あるいは、荷電の大小(高速液体クロマトグラフィを除く)で対象DNA(RNA〉と二本鎖を形成したラベル化プローブと二本鎖を形成しなかったラベル化プローブを識別することで行う。例えば電気泳動法、ゲルろ過法、キャピラリー電気泳動法、イオン交換法、等の方法で行うことができる。検出器としては蛍光物質をプローブにラベルした時には蛍光光度計、放射性同位元素をラベルした時にはRIディテクター、化学発光物質の時にはルミノメー夕ー、などの検出器を用いることができる。このようにして目的DNA(RNA)の存在を、あるいは特定遺伝子の塩基配列を検出することができる。
(実施例)
(サンプルの調製)対象DNAとしてM13mp8一本鎖ファージDNA、オリゴヌクレオチドプローブとしてはM13ファージDNAの一部分に相補的な配列を持つ17量体(dGTAAAACGACGGCCAGT,以下P17と呼ぶ)とした。P17を島津DNA合成装置NS-1で合成後脱保護を施しC18カラムを備えた液体クロマトグラフィー(HPLC)で精製した。P17(25nmol)をT4ポリヌクレオチドキナーゼ(30U.)で37℃、2時間処理し5’位に燐酸残基を導入した。(以下P17P)反応液はSEP PAKC18カラム(ミリポア社)で精製した。振とう下減圧濃縮した。
次にフォスフォロアミデート法(B.F.Chu et al,Nucl.Acids Res.11,6513(1983))を用いて5’位にアミノ基を導入した。すなわちP17P(5nmol)に対して1-エチル-3-(ジメチル)アミノプロピルカルボヂイミド(1M10ul)、ルチジン塩酸緩衝液(0.75M,88ul)の存在下、シスタミン塩酸塩(1M,2ul)と20℃、18時間反応させた。(以下アミノ-P17と呼ぶ。)(詳細はA.Murakami et al,Nucl.Acids Res.17 5587(1989)に記載した。)アミノ-P17(5nmol)を炭酸緩衝液(0.5M,100ul)に溶解してFITC(1mg)を加えて室温で15時間反応させた。精製はG-25ゲルろかカラムでまず行い、つぎにHPLCで目的ピークを回収した。残査を減圧下振とう濃縮し蒸留水に溶解した。
(FITCを標識したアミノP17を以下FITC-P17と呼ぶ)
(ハイブリダイゼーション) ハイブリダイゼーションは目的DNAであるM13mp8ファージDNA(100pmol)を6XSSC(0.9M NaCl)(50ul)に溶解し、FITC-P17(1pmol)を加えて37Cで30分ハイブリダイゼーションを行った。その溶液をそのままキャピラリー電気泳動に用いた。
(キャピラリー電気泳動)
1.電気泳動用緩衝液の調製
80mlの蒸留水に0.5gの低融点アガロースを加え、よく攬はんした後加熱し溶解させ放冷後、これに1.21gのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、93mgの工チレンジアミン四酢酸二ナトリウム及び20mgのドデシル硫酸ナトリウムを溶解させた。これにさらにほう酸を加え、pHを8.1に調整し、蒸留水を加えて正確に100mlにした。
2.ハイブリダイゼーション溶液のキャピラリー電気泳動
第1図に示したシステムを用いてキャピラリー電気泳動を行った。すなわち、蛍光検出器(1)は島津RF-540型蛍光分光光度計(励起波長490nm、検出波長520nmに設定)、高電圧電源(2)は松定プレシジョンHER-30P0.1、記録計(3)は島津C-R4A型、電極(4)はPt線(0.5mmφ-30mm)、電極槽(5)は1.5mlのサンプリングチューブを用いた。
キャピラリー(6)はScientific Glass Engineering社のフューズドシリカキャピラリーの内径75μmのものを使用した。キャピラリーの全長は450mmであり+極側から300mmの所から2mmの幅で被覆を剥し、蛍光検出器に取り付けた。このキャピラリー内には使用時に上記の低融点アガロースを含有する電気泳動用緩衝液を満たし、両端はそれぞれ低融点アガロースを含有する電気泳動用緩衝液を入れた+極側電極槽及び-極側電極槽に浸しておいた。このとき二つの電極槽内の緩衝液の液面の高さが同じになるように調整しておいた。
試料のキャピラリーへの導入はキャピラリーの+極側の端部を+側電極槽から引き上げ試料溶液中に10秒間浸して行った。このとき試料の液面の高さは電極槽内の緩衝液の液面より50mm高くなるように調整して行った。
試料をキャピラリー内に導入した後、キャピラリーの端部を電極槽に戻しキャピラリーの両端に7.5kVの直流電圧を印加した。電流値は12〜15μAとなり、キャピラリー内には+極側から-極側に向かって緩衝液の流れが生じ、標的DNA(RNA)とハイブリダイズしたラベル化オリゴヌクレオチドとハイブリダイズしていないラベル化オリゴヌクレオチドは分離され蛍光検出器で検出された。すなわち、電気泳動開始後約10分に標的DNA(RNA)とハイブリダイズしたラベル化オリゴヌクレオチドが検出され、約25分にハイブリダイズしていないラベル化オリゴヌクレオチドが検出された。この結果から本発明の方法によって標的DNAを簡便に検出することができることがわかる。
(発明の効果)
本発明を用いると従来法のようにメンブランフィルターに目的DNAを固定してハイブリダイゼーションを行う煩雑さから開放される。また液相でハイブリダイゼーションを行うためメンブランフィルターを使う時のようにオリゴヌクレオチドプローブのメンブランフィルター上への非特異吸着が避けられる。本発明はウイルスや細菌による病気の診断等に用いられる方法に適用でき本発明を用いることで目的DNAの検出が自動化できる。そのため自動臨床検査機器への応用も可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る方法を実施するための装置図である。
 
訂正の要旨 (1)訂正の理由
特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明
(2)訂正事項
▲1▼訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1中の「分子量の大小、あるいは荷電の大小の差を利用して」を特許請求の範囲の減縮を目的として、「分子量の大小、あるいは荷電の大小の差を利用して(高速液体クロマトグラフィを除く)」と訂正する。
▲2▼訂正事項b
明りょうでない記載の釈明を目的として、特許明細書第5頁第18行〜19行目(特許公報第2頁第3欄第37行〜38行目)「荷電の大小の差を利用して」を「荷電の大小の差を利用して(高速液体クロマトグラフィを除く)」と、特許明細書第6頁第8行目(特許公報第2頁第3欄第45行〜46行目)「分子量の大小を識別できる装置」を「分子量の大小を識別できる装置(高速液体クロマトグラフを除く)」と、特許明細書第8頁第17行〜第18行目(特許公報第2頁第4欄35行目)「荷電の大小」を「荷電の大小(高速液体クロマトグラフィを除く)」と各々訂正する。
異議決定日 2000-01-14 
出願番号 特願平1-284322
審決分類 P 1 651・ 161- YA (C12Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平田 和男  
特許庁審判長 徳▲廣▼ 正道
特許庁審判官 田中 久直
大高 とし子
登録日 1998-10-02 
登録番号 特許第2833063号(P2833063)
権利者 株式会社島津製作所
発明の名称 核酸の検出法  
代理人 喜多 俊文  
代理人 江口 裕之  
代理人 喜多 俊文  
代理人 西岡 義明  
代理人 西岡 義明  
代理人 江口 裕之  

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