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審決分類 |
審判 補正却下の決定 判示事項別分類コード:2 G11B |
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管理番号 | 1014741 |
審判番号 | 審判1994-19842 |
総通号数 | 11 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1990-11-09 |
種別 | 補正却下の決定 |
確定日 | 1999-10-08 |
事件の表示 | 平成2年特許願第60901号「携帯用ステレオ音楽等聴取装置」拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり決定する。 |
結論 | 平成2年4月11日付けの手続補正を却下する。 |
理由 |
平成2年4月11日付け手続き補正書(以下、第1補正書と言う。)の内容の主要なものは、願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」と言う。)の特許請求の範囲第1項の記載を変更するとともに、実施態様として第2〜8項を追加し(この部分は、平成6年12月28日付手続き補正書(以下、第2補正書と言う。)により補正されている。)、更に、当初明細書第11頁第3行(発明の詳細な説明)に「番組源再生装置4のケーシング(容器)は、その最も大きい表面積部分が、第2図に示すように、標準のオーディオカセットの最も大きい側面部分の2倍よりも大きくない大きさを有している。好ましくは、第3図に示すように、その表面積部分が、平均的な大人の手のひらの大きさより大きくない寸法となっている。」を挿入するものである。 ところで、上記挿入による補正部分は当初明細書に記載されていなかった事項であり、しかも該補正部分により、上記第2補正書により補正された特許請求の範囲の「読み取り装置、増幅手段および電源手段を保持し、聴取者の身体により担持される保持手段」の意味が実質的に変更されるものと思われる。 そこで、この点について、当初明細書および図面について検討する。 (1)当初明細書の発明の詳細な説明について 当初明細書の同第10頁第2行〜同頁第5行には、「番組源再生装置、信号増幅手段およびバッテリを備えた電源手段を、小型化された単一の携帯用ユニットの形態で保持し、聴取者の身体により担持し、」と記載されており、第6頁第10行〜同第13行、同第8頁14行〜同第16行にも同趣旨の記載が認められ、また、当初明細書第13頁第20行〜同第14頁第7行には、「番組源再生装置4、と増幅器5とおよびバッテリ7・・・(中略)・・・を小型の単一の容器に収容して携帯するようにする」と記載されている。 上記記載によれば、本願発明の携帯用ステレオ音楽等聴取装置は、読み取り装置も含む番組源再生装置、増幅器、電源手段を保持、収容する手段として単一の携帯用ユニット又は容器(ケーシング)を用いることが認められる。 また、担持する手段としても、当初明細書第14頁第10行〜同第11行には、「装置の収容されている容器を直接聴取者のポケットに入れて携帯してもよい。」と記載されているように、前記「容器(ケーシング)」を用いることが認められる。 従って、特許請求の範囲に直接記載されていないが、担持、保持する機能を果たしている「容器(ケーシング)」についての発明の詳細な説明中に記載された事項は、特許請求の範囲における保持手段の実質的な意味を規定しているものと認められる。 (2)第2図について 請求人が補正の根拠としている第2図は、磁気テープカセット10に対して、該カセットが収容されるケース9が小さく描かれている点から見て、大小関係を精確に表していないものと認められる。 一体にベルトに取り付けられているために、同じ縮尺で描かれていると思われる該ケース9と番組源再生装置4をあえて比較してみても、該再生装置の方が、はるかに大きく、「番組源再生装置4のケーシング(容器)は、その最も大きい表面積部分が、標準のオーディオカセットの最も大きい側面部分の2倍よりも大きくない大きさを有している。」の根拠は見出せない。 (3)第3図について 同じく請求人が補正の根拠としている第3図について検討すると、該図面にから、記載されている人物が平均的であると判断する根拠が何ら認められない。また、手のひらは直接記載されておらず、しかも親指らしきものは認められるが、手のひらの長さを特定するために必要な手首の位置、最長の指先の位置も図示されていないために、手のひらの面積はおろか、長ささえも不明なために、その大きさ(面積)を特定することは出来ない。よって、大きさの不明な手のひらと番組源再生装置との比較することは、不可能であり、前記第3図からは、「その表面積部分が、平均的な大人の手のひらの大きさより大きくない寸法となっている。」の根拠は見出せない。 以上の通り、上記補正により、特許請求の範囲に記載の「保持手段」は、願書に最初に添付した明細書および図面に記載した事項の範囲内でない「番組源再生装置4のケーシング(容器)は、その最も大きい表面積部分が、第2図に示すように、標準のオーディオカセットの最も大きい側面部分の2倍よりも大きくない大きさを有している。好ましくは、第3図に示すように、その表面積部分が、平均的な大人の手のひらの大きさより大きくない寸法となっている。」の構成を実質的に備えることになり、かつ、同明細書および図面の記載から見て自明なこととも認められない。 従って、この補正は、明細書の要旨を変更するものと認められるから、特許法第159条第1項により準用する特許法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
決定日 | 1996-02-19 |
出願番号 | 特願平2-60901 |
審決分類 |
P
1
93・
2-
(G11B)
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前審関与審査官 | 相馬 多美子、橋本 武、小川 昭和 |
特許庁審判長 |
横田 芳信 |
特許庁審判官 |
犬飼 宏 三友 英二 |
発明の名称 | 携帯用ステレオ音楽等聴取装置 |
代理人 | 大川 晃 |
代理人 | 黒瀬 雅志 |
代理人 | 前島 旭 |
代理人 | 佐藤 一雄 |