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審決分類 審判 補正却下の決定 5項独立特許用件  C04B
管理番号 1014743
審判番号 審判1998-12797  
総通号数 11 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-01-16 
種別 補正却下の決定 
確定日 2000-02-16 
事件の表示 平成6年特許願第170053号「焼成用治具」拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり決定する。 
結論 平成10年8月18日付けの手続補正を却下する。 
理由 I.補正の経緯
本件補正は、特許法第121条第1項の規定に基づく審判の請求の日から30日以内の平成10年8月18日付けでなされた同法第17条の2第1項第5号の規定による補正である。
II.補正の内容
本件補正の内容は、その手続補正書からみて、特許請求の範囲の請求項1を以下のとおりに補正し、併せて発明の詳細な説明の関連する記載をこれと整合するように補正するものである。
「気孔率40〜80%の球状連通気孔を有し、アルミナの含有量が95%以上で且つセラミック粉体のみからなる、多孔質状のアルミナ質基材の表面に、厚さ40〜700μm且つ純度95%以上の電融マグネシアの被覆層を有することを特徴とする焼成用治具。」
III.判断
ア)特許法第17条の2第3項の要件
当該補正は、旧請求項1に係る発明の構成を更に限定するものであるから、特許法第17条の2第3項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮に該当するものである。
イ)独立特許要件
刊行物1:特開平3-1090号公報
刊行物2:特開平1-176276号公報
刊行物3:特開平1-37001号公報
刊行物4:特開平5-296671号公報
補正後の請求項1に係る発明(以下、「請求項1の発明」という。)は、本件手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
上記刊行物1〜4には、以下の事項が記載されている。
刊行物1
「シリカ成分が1重量%以下の高純度アルミナ質より成り、気孔率が50〜90%で、且つ気孔形状が直径600μm以下の球状連通構造を有する焼成用治具」(第1頁特許請求の範囲)
刊行物2
▲1▼「1)焼結体(1)が、中間緩衝結合層(2)と反応防止のための電融マグネシア層(3)で少なくとも1種以上、覆われていることを特徴とする電子部品焼成用治具。」
2)前記焼結体は…アルミナ質,ムライト質,コージェライト質耐火物のうちいずれか1種であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の電子部品焼成用治具。
・・・・・(中略)・・・・・
4)前記反応防止コーティング層(3)が50〜1000μmの厚みの電融マグネシア層であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の電子部品焼成用治具。」(第1頁特許請求の範囲)
▲2▼「また、最近では、低温焼結タイプの鉛酸化物や亜鉛酸化物を主原料とするコンデンサーやバリスタに対してマグネシアセラミックスを焼成用治具として用いることが主流となりつつある。先に、我々は、特願昭62-193361号において、シリカ・アルミナ質の繊維材からなる成形体の表層に反応防止用のマグネシアコーティングを施した電子部品焼成用治具について提案している。」(第2頁右上欄第2〜9行)
刊行物3
▲1▼「(1)耐熱性無機質繊維と耐火性粉末と無機結合剤とから成り、多数の空隙を有する成形体の表面に、粒子径45μm以下のマグネシア粉末からなる膜厚50〜500μmのマグネシアコーティングを施したことを特徴とするバリスター,サーミスタ,圧電素子,コンデンサ等電子部品焼成用治具。
(2)前記マグネシア粉末は、MgO成分が99wt%以上含有されていることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の電子部品焼成用治具。」(第1頁特許請求の範囲)
▲2▼「従来の繊維質を主体とした焼成治具に施されてあったジルコニアやアルミナのコーティングは、前記鉛やビスマス系の酸化物と反応しやすいため数回で使用できない状況であった。…本発明は、コーティングについての問題を解決すべく、バリスター,圧電素子,サーミスタ,コンデンサ等電子部品との反応を防止し…目的とする。」 (第2頁右上欄第1〜17行)
▲3▼「本発明における耐熱性無機質繊維は、非晶質のシリカ・アルミナ繊維、アルミナ質結晶質繊維の少なくとも一種が有効である。」(第3頁左上欄第4〜6行)
▲4▼「前記の耐火性粉末は、アルミナ質、…等が好ましい。」(第3頁右上欄第9〜16行)
刊行物4
▲1▼「気孔率が20〜85%のアルミナ質基材の表面が未安定化ジルコニアで被覆されていることを特徴とする焼成用治具」(第1頁特許請求の範囲)
▲2▼「本発明の焼成用治具はアルミナ質基材の表面に未安定化ジルコニアが被覆されているので、被焼成物との反応が極めて少なく、更に基材が多孔質であるので基材と被覆層との付着力が高く、長期使用にあたっても被覆層に亀裂や剥離が発生せず安定に使用できる。」(第3頁段落【0023】)
請求項1の発明と刊行物1記載の発明とを対比する。
刊行物1記載の発明の「シリカ成分が1重量%以下の高純度アルミナ質」基材は請求項1の発明の「アルミナの含有量が95%以上で且つセラミック粉体のみからなる…アルミナ質基材」に相当する。
また、刊行物1記載の発明の気孔率50〜90%は請求項1の発明の気孔率40〜80%と重複する部分を有するから、刊行物1記載の発明の「気孔率が50〜90%で、且つ気孔形状が直径600μm以下の球状連通構造を有する」点は請求項1の発明の「気孔率40〜80%の球状連通気孔を有」する点に相当する。
したがって、両者は「気孔率40〜80%の球状連通気孔を有し、アルミナの含有量が95%以上で且つセラミック粉体のみからなる、多孔質状のアルミナ質焼成用治具。」の点で一致し、次の点で相違する。
相違点:請求項1の発明は基材表面に厚さ40〜700μm且つ純度95%以上の電融マグネシアの被覆層を有するのに対して、刊行物1記載の発明はそのような被覆層を有さない点。
そこで、この相違点について検討する。
アルミナ質基材の表面に請求項1と同程度の厚さの電融マグネシア,マグネシアの被覆層を設け、これを焼成用治具として用いることによって、被焼成物と焼成用治具の反応を防止することは刊行物2,3に記載されるとおり公知の技術であるから、刊行物1記載の発明においても、被焼成物と焼成用治具との反応防止という同様の課題を解決するために、この公知技術を適用して「厚さ40〜700μm程度の電融マグネシア被覆層」を設けることは当業者ならば、容易に想到し得たことと認められる。
そして、反応を防止するためには、電融マグネシアの純度が高いほうが好ましいことは明らかであるから、その純度を「95%以上」とすることに格別の困難性は認められない。
また、セラミック多孔質体の表面に被覆層を設けることによって被覆層の付着力を高め、剥離等を防止することは周知の技術的手法に過ぎず(例えば、刊行物4参照)、そのような場合に中間層を介在させずに被覆層を直接「基材表面」に設け得ることは明らかである。
以上のとおりであるから、上記相違点に係る本願発明の構成の点は、刊行物2〜4記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易になし得たことと言えるから、請求項1の発明は、刊行物1〜4記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、請求項1の発明は特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。
IV.むすび
したがって、上記請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第4項の規定により準用する同法第126条第3項の規定に違反するものであるから、本件補正は少なくともこの補正の点により、特許法第159条第1項の規定で準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
決定日 1999-12-09 
出願番号 特願平6-170053
審決分類 P 1 93・ 575- (C04B)
前審関与審査官 米田 健志  
特許庁審判長 沼澤 幸雄
特許庁審判官 山田 充
新居田 知生
発明の名称 焼成用治具  
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