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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C09D
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  C09D
管理番号 1018128
異議申立番号 異議1997-70106  
総通号数 13 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-07-17 
種別 異議の決定 
異議申立日 1997-01-10 
確定日 1999-11-27 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2515409号「摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料」の請求項1ないし11に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2515409号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。 
理由 [1]手続の経緯
本件特許第2515409号の請求項1〜11に係る発明は、平成1年11月9日に出願(優先権主張1988年11月9日、1988年11月26日オランダ)され、平成8年4月30日にその特許の設定登録がなされ、その後、ユ セ ベ ソシエテ アノニムより特許異議の申立がなされ、平成9年7月10日付けで取消理由が通知(発送日平成9年8月19日)され、その指定期間内である平成10年2月19日に特許異議意見書と共に訂正請求書が提出されたものである。
なお、本件特許異議申立事件において、平成9年9月24日付けで特許異議申立取下げ書が提出されたところ、該取下げ書に係る手続きは特許法第120条の6において準用する同法第133条の2第1項の規定により却下されている。
[2]訂正について
イ.訂正の内容は次のとおりである。
1.請求項1を次のとおり訂正する。
「ポリエステル-エポキシ系結合剤及び窒素含有添加剤よりなる摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料において、窒素含有添加剤は、硬化反応に対する触媒活性を示さないか又は極僅かな活性のみを示す立体的に障害された第三級アミン又はアミノアルコールである、但し、立体的に障害された第三級アミンは、アミジン触媒と一緒には使用されず、かつヒドロキシル官能性ポリエステルが使用される場合には、窒素含有添加剤としてのビス-(1,2,2,6,6-ペンタ-メチルピペリジル-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-ブチルマロネート(Tinuvin 144R)、ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-セバケート(Tinuvin 292R)及びN-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールとコハク酸のオリゴマー(Tinuvin 622R)を除くことを特徴とする、摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料。」
2.明細書第4頁第18行の「第360395号公報」を「第3600395号公報」と訂正する。
3.明細書第9頁第10行〜第11行の「N,N-ジエタニロール-」を「N,N-ジエタノール-」と訂正する。
ロ.訂正の適否についての判断
1.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正事項2及び3は、誤記の訂正を目的とするものであるから、これらの訂正は、特許法第120条の4第2項ただし書に規定する要件を満たすものである。また、訂正事項1〜3は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。
したがって、本件訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第2項及び第3項に規定する要件を満たすものである。
2.独立特許要件について
(i)訂正明細書の請求項に係る発明
訂正明細書の請求項1〜11に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜11に記載のとおりであり、請求項1の記載は前記訂正のとおり、また、請求項2には「ポリエステル-エポキシ系結合剤及び窒素含有添加剤よりなる摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料において、窒素含有添加剤は、式:

〔式中R1、R2及びR3はアルキル基またはアリール基であり、R1、R2及びR3のうち少なくとも一つは、少なくとも3個の炭素原子を有する分枝アルキル基であり、アミノアルコールの場合には、3個の基の少なくとも1個はヒドロキシル基を有する〕を有する立体的に障害された第三級アミン又はアミノアルコールである、摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料」と記載されている。
(ii)刊行物及び甲各号証
刊行物1(講演論文W.Kleber,H.Bauch,D.Auerbach:Conference“Electrostatics’87,Oxford,1987;Inst.Phys.Conf.Ser.No.85,Section 1″,33頁乃至38頁発行日:1987年)、刊行物2(ドイツ国特許明細書第3600395号)、刊行物3(Woriee-Additives for powder coatings,technical product description of Resiflow PV 88 and PV 5)、刊行物4(ドイツ工業規格の解説書DIN55990,part8,page2、発行日:1980年6月)、刊行物5(B.Perkett著Powder Coatings,2頁乃至3頁 発行日:1985年6月)、刊行物6(T.J.Henman著World index of Polyolefine Stabilizers,Kogan Page London 1982,90頁発行年:1982年)、刊行物7(ドイツ国特許明細書第3545061号)、刊行物8(Powder Coatings′85 Conference,Birmingham 1985での講演論文Weathering performance of clear powder coatings containing all-aliphatic polyesters based on dimethy1-1,4-cyclohexanedicarboxylate 発行年:1985年)、刊行物9(製品パンフレットTinuvin 292発行年:1981年)、刊行物10(特開昭60-188958号公報)、刊行物11(特開昭60-188959号公報)、刊行物12(米国特許明細書第4426472号)
甲第1号証(DMS Resins;Manual for uralag polyester resins for powder coatings 第2〜12頁)、甲第2号証(Powder Coating;Particle charging for powder coating全4頁)、甲第3号証(Inst.Phys.Conf.Ser.No.143,Paper presented at 9th Int.Conf.on Electrostatics.York.2-5 April 1995,第201〜204頁)、甲第4号証(EP-A 0260638)、甲第5号証(USP5,073,579)、甲第6号証(DE 3600395AI)、甲第7号証(Establishing gelation time automatically,第41〜42頁)、甲第8号証(Polymers Paint Colour Journal,August 6/20,1980,第630〜632,635〜636及び639〜640頁)、甲第9号証(USP 4,656,113)、甲第10号証(Powder optimisation-an alternative approach?,第20〜21頁)、甲第11号証(USP 4,021,358)、甲第12号証(特開昭60-188959の英文抄録)、甲第13号証(特開昭60-188958号公報の英文抄録)、甲第14号証(USP 4,137,277)、甲第15号証(Catalytic Effects of Substituted Pyridines and Quinolines on the Reaction of Phenyl Glycidyl Ether and Benzoic Acid,全5頁(第2405頁),1967年8月発行)、甲第16号証(INDUSTRIAL AND ENGINEERING CHEMISTRY;Vol.48,No.1,第86〜93頁;1956年1月発行)、甲第17号証(EPOXY RESINS;MARCEL DEKKER,INC.,1973年発行;第135及び169頁)
刊行物1には、界面動電荷電力荷電による静電粉末スプレイについて記載されている。刊行物2には、摩擦電気加工可能なエポキシ樹脂-ポリエステル粉末ラッカーにおけるトリエチルアミンの使用を示し、粒子の荷電可能性に対してトリエチルアミンが積極的な効果を有することが記載されている。刊行物4には、ドイツ工業規格について記載されている。刊行物5には、ポリエステル-エポキシ系結合剤をベースとする粉末被覆材料における、立体的に障害された第三級アミンの使用を開示している。刊行物6には、Tinuvin 622の化学構造について開示されている。刊行物7には、酸価10-150を有するカルボキシル基含有ポリマー、ポリエポキシド、慣用の添加剤及び、第三級アミンを含む混合触媒よりなる粉末被覆組成物が開示されている。刊行物8には、Tinuvin 292を含有するポリエステル粉末被覆組成物が開示されている。刊行物9には、Tinuvin292について記載されている。刊行物10には、静電荷像を現像する際用いるトナーにおいて、ピペリジン誘導体からなるポリアミン化合物を含有する静電荷像現像用トナーついて記載されている。刊行物11には、静電荷像を現像する際用いるトナーにおいて、ピペリジン誘導体からなる化合物を含有する静電荷像現像用トナーついて記載されている。刊行物12には、縮合によるポリエステル樹脂への1-ヒドロキシエチル-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの混和について記載されている。
甲第4号証には、静電塗装の使用する樹脂粉末について、樹脂に帯電増加剤を配合した樹脂組成物に関して記載されている。甲第5号証には、窒素含有化合物を粉末塗料又は粉末に均一に配合することによって粉末塗料又は粉末の帯電性を高める技術に関して記載されている。甲第6号証には、摩擦帯電噴霧装置で腐食を防ぐために及び/又は基体に装飾外観を付与するために、バインダーとして樹脂を含有し、摩擦帯電被覆プロセスにより基体上に沈積できないかまたは十分できない粉末状の熱硬化性樹脂塗料組成物において、バインダー混合物よりも高い電気伝導性とより大きな多孔度を有し、摩擦帯電において2μmより大きな値を生ずる添加物を混合する熱硬化性塗料組成物が記載されている。甲第7号証には、ゲル時間の自動測定について記載されている。甲第8号証には、カルボキシル基含有オイルフリーポリエステルとトリグリシジルイソシアヌレイトとを基礎とする耐候性粉末塗料に関する技術が記載されている。甲第9号証には、電子写真法、静電印刷法、静電記録法等において形成される静電像を現像するのに使用されるトナーを製造するのに有用な染料組成物に関して記載されている。甲第11号証には、静電気潜像を現像する、樹脂を染料の代わりに帯電調節剤として使用する安定なトナーについて記載されている。甲第12号証には、ピペリジン誘導体からなる帯電調節剤を含有する静電気像現像用トナーについて記載されている。甲第13号証には、ヘテロサイクリック化合物を含有する静電気潜像現像トナーについて記載されている。甲第14号証には、粉末塗料に関して、エポキシ樹脂をジカルボン酸と反応させて、粉末塗料組成物に適した架橋剤として使用されるカルボキシ末端エポキシエステルに関して記載されている。甲第15号証には、フェニルグリシジルエーテルと安息香酸の反応に及ぼす置換ピリジン類とキノリン類の触媒効果について記載されている。甲第16号証には、アルコール、フェノール、カルボン酸、酸無水物とのグリシジルエーテル反応について記載されている。甲第17号証には、エポキシ樹脂に関して記載されている。
(iii)対比判断
本件請求項1に係る発明と前記刊行物1-2,4-12及び甲第4-17に記載の事項とを対比検討すると、何れの刊行物及び甲各号証にも本件請求項1に係る構成である「ポリエステル-エポキシ系結合剤及び窒素含有添加剤よりなる摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料において、窒素含有添加剤は、硬化反応に対する触媒活性を示さないか又は極僅かな活性のみを示す立体的に障害された第三級アミン又はアミノアルコールである、但し、立体的に障害された第三級アミンは、アミジン触媒と一緒には使用されず、かつヒドロキシル官能性ポリエステルが使用される場合には、窒素含有添加剤としてのビス-(1,2,2,6,6-ペンタ-メチルピペリジル-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-ブチルマロネート(Tinuvin 144R)、ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-セバケート(Tinuvin 292R)及びN-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールとコハク酸のオリゴマー(Tinuvin 622R)を除く」ことについての記載はないし、また、示唆がされているものでもない。
本件請求項2に係る発明と前記刊行物1-2,4-12及び甲第4-17に記載の事項とを対比検討すると、何れの刊行物及び甲各号証にも本件請求項2に係る構成である「ポリエステル-エポキシ系結合剤及び窒素含有添加剤よりなる摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料において、窒素含有添加剤は、式:

〔式中R1、R2及びR3はアルキル基またはアリール基であり、R1、R2及びR3のうち少なくとも一つは、少なくとも3個の炭素原子を有する分枝アルキル基であり、アミノアルコールの場合には、3個の基の少なくとも1個はヒドロキシル基を有する〕を有する立体的に障害された第三級アミン又はアミノアルコールである」ことについての記載はないし、また、示唆がされているものでもない。
また、請求項3〜11に係る発明は、請求項1〜2項にかかる発明を限定したものであるから、同様の理由により前記いずれの刊行物及び甲各号証にも記載はないし、また、示唆がされているものでもない。
そして、本件請求項1〜11に係る発明は前記記載の構成を採用することにより特許明細書記載の格別の効果を奏するものである。
したがって、本件請求項1〜11に係る発明は、前記刊行物1-2,4-12及び甲第4-17号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたとすることはできず、特許法第29条第2項の規定に該当するものではないから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
ハ.むすび
したがって、本件訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する同法第126条第4項に規定する要件を満たすものであるから、本件訂正を認める。
[3]特許異議の申立について
イ.特許異議申立人は、前記甲第1-17号証及び参考資料1-4を提出して、訂正前の請求項1〜11に係る発明は、前記甲第4-17号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に規定に違反してされたものであり、また、本件特許の訂正前の明細書の記載には不備があり、特許法第36条に規定する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるから、訂正前の請求項1〜11に係る発明の特許を取り消すべき旨、主張をしている。
ロ.異議申立について検討する。
(i)前記[2]ロ.2.(iii)に記載のとおり、本件請求項1〜11に係る発明は、前記甲第4-17号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたとすることはできず、特許法第29条第2項の規定に該当するものではない。
(ii)また、訂正前の明細書における記載不備は訂正され、訂正後の明細書の記載に不備はなくなった。
[4]むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立人の主張および挙証によっては本件の請求項1〜11に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1〜11に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料
(57)【特許請求の範囲】
1.ポリエステル-エポキシ系結合剤及び窒素含有添加剤よりなる摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料において、窒素含有添加剤は、硬化反応に対する触媒活性を示さないか又は極僅かな活性のみを示す立体的に障害された第三級アミン又はアミノアルコールである、但し、立体的に障害された第三級アミンは、アミジン触媒と一緒には使用されず、かつヒドロキシル官能性ポリエステルが使用される場合には、窒素含有添加剤としてのビス-(1,2,2,6,6-ペンタ-メチルピペリジル-(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-ブチルマロネート(Tinuvin 144R)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-セバケート(Tinuvin 292R)及びN-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールとコハク酸のオリゴマー(Tinuvin 622R)を除くことを特徴とする、摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料。
2.ポリエステル-エポキシ系結合剤及び窒素含有添加剤よりなる摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料において、窒素含有添加剤は、式:

〔式中R1、R2及びR3はアルキル基またはアリール基であり、R1、R2及びR3のうち少なくとも一つは、少なくとも3個の炭素原子を有する分枝アルキル基であり、アミノアルコールの場合には、3個の基の少なくとも1個はヒドロキシル基を有する〕を有する立体的に障害された第三級アミン又はアミノアルコールである、摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料。
3.立体的に障害された第三級アミンまたはアミノアルコールは、式:

〔式中、R1、R2およびR3はアルキル基またはアリール基であり、R1、R2およびR3のうち少なくとも一つは、少なくとも3個の炭素原子を有する分枝アルキル基であり、R1、R2および/またはR3は2個のヒドロキシル基を有する〕を有する化合物である、請求項1に記載の粉末被覆材料。
4.R1は1〜10個の炭素原子を有し、R2は1〜10個の炭素原子を有し、R3は3〜10個の炭素原子を有する、請求項2または3に記載の粉末被覆材料。
5.窒素含有添加剤のアルキル基は、窒素原子に対してα-位で、2個の炭素原子に結合した少なくとも1個の炭素原子が存在するように分枝しているか、又はβ-位で、各炭素原子が3個の炭素原子に結合している、少なくとも2個の炭素原子が存在するように分枝しているか、または1個の炭素原子が4個の炭素原子に結合して存在するように分枝している、請求項1から4までのいずれか1項に記載の粉末被覆材料。
6.少なくとも2μAの荷電性を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の粉末被覆材料。
7.使用される立体的に障害された第三級アミンまたはアミノアルコールは、N,N-ジイソブチル-3-アミノ-2,4-ジメチルペンタンまたは第三級ブチルジエタノールアミンである、請求項1から6までのいずれか1項に記載の粉末被覆材料。
8.芳香族二塩基性酸およびグリコールよりなる摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料用ポリエステルにおいて、グリコールの一部が請求項3で定義されているような2個のヒドロキシル基を有する立体的に障害された化合物からなることを特徴とする、摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料用ポリエステル。
9.摩擦電気系で使用するための請求項1から7までのいずれかに1項に記載の粉末被覆材料。
10.摩擦電気系で使用するための請求項8に記載の粉末被覆材料用ポリエステル。
11.摩擦電気的方法により粉末被覆材料をスプレーすることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の粉末被覆材料で基板を被覆する方法。
【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は、ポリエステル含有結合剤及び窒素含有添加剤からなる摩擦電気的に処理し得る粉末被覆材料に関する。
[従来の技術]
このような粉末被覆はすでに西ドイツ特許公開(DE-A-)第3600395号公報に記載されている。電気的スプレーガンを用いて、被覆されるべきアースした表面に粉末被覆材料はしばしば噴霧される。摩擦(摩擦電気)によって電気的に荷電した粒子を発生させるガンは、ファラデー箱からなる著しくカーブした物品のトップコート被覆のために良く使用される。実質的にポリエステルからなる粉末被覆を摩擦電気的方法によって設けることは、ポリエステルが低い荷電ポテンシャルを有するために困難であった。西ドイツ特許公開(DE-A)第3600395号公報から、粒子の荷電可能性に対してトリエチルアミンが積極的な効果を有することが知られている。しかしながらトリエチルアミンはエポキシ化合物が結合剤に使用された場合に硬化反応に関して好ましくない触媒活性を示すことによって、粉末被覆材料の安定性を減少させる。
[発明が解決しようとする課題]
この発明はこの点についての解決を提供するものである。
[課題を解決するための手段]
ポリマー含有結合剤及び窒素含有添加剤からなる摩擦電気的に処理し得る粉末被覆材料は、窒素含有添加剤が立体的に障害された3級アミンまたはアミノアルコールであることに特徴を有する。
この窒素含有添加剤は、全く触媒活性を示さないかまたは非常に僅かな触媒活性を示し、したがって、硬化法の反応速度(kinetics)に影響を及ぼしてはならない。窒素含有添加剤は、添加剤を含有しない系と比較してゲル化時間を2/3より、好ましくは5/6より多くは減少させてならない。
発明の好ましい具体化によれば、立体的に障害された3級アミン又はアミノアルコールは次の化学式を有するアミンである:

〔式中、R1、R2およびR3はアルキル基またはアリール基であって、R1、R2およびR3のうち少なくとも一つは、少なくとも3個の炭素を有する分枝したアルキル基である〕。
アミノアルコールの場合には、3個の基のうち少なくとも1個は水酸基である。
本発明の好ましい具体例によれば、窒素含有添加剤は少なくとも二つの水酸基を有する立体的に障害された3級アミンである。好ましくは、障害された3級アミンまたはアミノアルコールは次の式を有するアミンである:

〔式中、R1、R2およびR3はアルキル基またはアリール基であり、R1、R2およびR3のうちの少なくとも一つは少なくとも3個の炭素原子を有する分枝したアルキル基であり、R1、R2および/またはR3は2個の水酸基を有する〕。
好ましくは、R1は1-10個の炭素原子を有し、R2は1-10個の炭素原子を有し、R3は3-10個の炭素原子を有する。
発明のより好ましい具体例によれば、R3は少なくとも4個の炭素原子を有する。
窒素含有添加剤のアルキル基は、窒素原子に対するα位に2個の炭素原子に結合した少なくとも1個の炭素原子が存在するか、β位にそれぞれが3個の炭素原子に結合した少なくとも2個の炭素原子あるいは4個の炭素原子に結合した1個の炭素原子が存在するように分枝しているのが有利である。
窒素含有添加剤は、好ましくはα及び/またはβ位に少なくとも2個の、特に、少なくとも3個の上記のように炭素原子と結合した炭素原子を有する。
ひとつの好ましい本発明の具体化によれば、適用される立体的に障害された3級アミンまたはアミノアルコールは、N,N-ジイソブチル-3-アミノ-2,4-ジメチルペンタンである。他の好ましい立体的に障害された3級アミンは、例えばN,N-ジメチル-3-アミノ-2,4-ジメチルペンタンおよび2-メチル-N,N-ビス(2-メチルプロピル)-1-プロパンアミンである。
本発明の他の一つの有利な具体化によれば、立体的に障害された3級アミンまたはアミノアルコールは3級ブチルジエタノールアミンである。
他の好適な立体的に障害された3級アミンまたはアミノアルコールは、例えば、N,N-ジメチル-3-アミノ-2,4-ジメチルペンタン、2-メチル-N,N-ビス(2-メチロールプロピル)-2-プロパンアミン;N,N-ジエタノール-3-アミノ-2,4-ジメチルペンタン;ジイソプロピルエタノールアミンおよびジメチルネオペンタノールアミンである。
本発明による窒素含有添加剤は、例えば立体的に障害された2級アミンあるいは立体的に障害されたアルコールのような他の立体的に障害された化合物と組み合わせて使用され得る。
一つの好適な本発明の具体化によれば、窒素含有添加剤の量は、粉末被覆組成物に対して計算して、0.01-10(重量)%である。
使用されるポリエステルはカルボキシル基官能性ポリエステル又は水酸基官能性ポリエステルである。この結合剤系は好ましくは97-40(重量)%、より好ましくは95-50(重量)%のポリエステルを含む。
本発明の化合物は、例えば結合剤が酸価が10〜80の間のポリエステル94-90重量部と硬化剤としてのエポキシ化合物6-10重量部よりなる粉末被覆材料として使用される。適用されるエポキシ化合物は、例えば、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)あるいはジグリシジルテレフタレートである。しかし、例えばビスフェノール-Aからなるエポキシを適用することによってエポキシ:ポリエステル比が20:80〜50:50の間にある結合剤をつくることもまた可能である。ポリエステルは、好ましくは、イソ-およびテレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸および、例えばネオペンチルグリコール、ブタンジオールおよびプロピレングリコールのような脂肪族グリコールからなる。
本発明の好ましい具体化によれば、芳香族酸とグリコールからなる摩擦電気的に処理し得る粉末被覆材料用のポリエステルは、グリコールの一部が少なくとも2つのヒドロキシル基を有する立体的に障害された3級アミンからなることを特徴とする。
例えばトリメチロールプロパンおよびトリメリット酸のような三官能性モノマーは少量使用することができる。任意に3個以上の水酸基を有する3級アミンを使用することができ、それによってこの化合物は分枝剤としても役立つ。
主として、結合剤成分、触媒および添加剤を最初に押出し機中で融解、混合し、引き続いて、冷却し、粉砕して、例えば、特に屋外で使用される金属部品の被覆に使用できる粉末を形成する。
使用される添加剤は例えば着色剤、UV安定剤、流動化剤および消泡剤である。
窒素含有添加剤は、樹脂の冷却、樹脂の加熱の問に又は押出し機中で粉末被覆粉末製造工程の間に、結合剤に添加される。窒素含有樹脂はまた、硬化剤にも添加できる。少なくとも二つの水酸基を有する立体的に障害された3級アミンは好ましくはポリエステルの製造中に添加され、添加剤は共重合される。その結果として、被覆からの添加剤の拡散が避けられる。
粉末被覆による基材の被覆は、摩擦電気法(tribo system)により本発明の粉末を噴霧することにより行われる。
摩擦電気法は例えばOppervlakte technieken(31)1987,No.2,pp28-31,およびFarbe und Lack10/1985,pp900-906に記載されている。
実施例
本発明を以下の実施例によってより明らかにするのが、それに制限されるものではない。
実施例I-Vおよび比較例1-2
第I表(重量単位)に記載の成分を押出し機で混合することにより、7種の粉末被覆用材料を製造した。化合物AとしてN,N-ジイソブチル-3-アミノ-2,4-ジメチル-ペンタン、化合物BとしてN,N-ジメチル-3-アミノ-2,4-ジメチルペンタン、化合物Cとして2-メチル-N,N-ビス-2-メチルプロピル-1-プロパンアミン、化合物Dとしてジイソプロピルエタノールアミン、化合物Eとしてジメチルネオペンタノールアミンおよび比較化合物Fとしてトリエチルアミンを使用した。

荷電性(chargeability)および硬化特性を第II表に示す。粉末被覆の摩擦電気的噴霧に使用されるガンはRansburg-Gema HT100ガンである。DSC(示差走査熱分析differential scanning calorimetry)測定はMettlerTA3000で行った・適切な摩擦電気的方法を得るために、少なくとも2μAの荷電性が必要である。

実施例I〜Vおよび比較例1の測定の結果は、立体的に障害された窒素を含む添加剤の添加が2μA以上の粉末の摩擦電気的荷電性をもたらし、同時に良好な流動性をもたらすことを示している。
比較例2の測定の結果は、摩擦電気的荷電性は十分であるが、得られる流れは良くないほど高い反応性を示すことを示している。
実施例VI-VIIIおよび比較例3-5
これら実施例および比較例において、N,N-ジイソブチル-3-アミノ-2,4-ジメチルペンタン(化合物A)の、ポリエステルおよびエポキシ樹脂からなる混成系における荷電性に関する硬化を測定した。

実施例IX
テレフタル酸633kg、トリメチロールプロパン13kg、ネオペンチルグリコール478kgおよび第三級ブチルジエタノールアミン4kgを12時間、250℃で、OH-価38になるまで水を蒸発させながらエステル化することによってポリエステル樹脂を製造した。引き続いて、イソフタル酸93kgを添加し、引続き、酸価36になるまで3時間以上加熱した。得られたポリエステル樹脂を冷却し、粉砕した。押出し機の中で、トリグリシジルイソシアヌレート7重量%(ポリエステルに基づく計算)及び酸化チタン50重量%(結合剤に基づく計算)、流動化剤1.5重量%およびベンゾイン0.8重量%と混合した後、混合物を冷却し、粉砕した。
粉末被覆材料の摩擦電気的噴霧に使用されたガンはRansburg-Gema HT 100ガンであった。適切な摩擦電気的方法を得るためには、少なくとも2μAの荷電性が必要であろう。荷電性および硬化特性は、それぞれ2.2μAと160秒である故、良好であった。
 
訂正の要旨 (訂正の要旨)
1.請求項1を次のとおり訂正する。
「ポリエステル-エポキシ系結合剤及び窒素含有添加剤よりなる摩擦電気的に処理しうる粉末被覆剤において、窒素含有添加剤は、硬化反応に対する触媒活性を示さないか極僅かな活性のみを示す立体的に障害された第三級アミンまたはアミノアルコールである、但し、立体的に障害された第三級アミンは、アミジン触媒と一緒には使用されず、かつヒドロキシル官能性ポリエステルが使用される場合には、窒素含有添加剤としてのビス-(1,2,2,6,6-ペンタ-メチルピペリジル-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-ブチルマロネート(Tinuvin 144R)、ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-セバケート(Tinuvin 292R)及びN-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールとコハク酸のオリゴマー(Tinuvin 622R)を除くことを特徴とする、摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料。」
2.明細書第4頁第18行の「第360395号公報」を「第3600395号公報」と訂正する。
3.明細書第9頁第10行〜第11行の「N,N-ジエタニロール-」を-N,N-ジエタノール-」と訂正する。
1.の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
2〜3.の訂正は、誤記の訂正を目的とするものである。
異議決定日 1999-10-18 
出願番号 特願平1-290160
審決分類 P 1 651・ 531- YA (C09D)
P 1 651・ 121- YA (C09D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鐘尾 みや子  
特許庁審判長 三浦 均
特許庁審判官 谷口 浩行
柿澤 紀世雄
登録日 1996-04-30 
登録番号 特許第2515409号(P2515409)
権利者 デ-エスエム ナムロ-ゼ フェンノ-トシャップ
発明の名称 摩擦電気的に処理しうる粉末被覆材料  
代理人 山崎 利臣  
代理人 エス・ウント・エー有限会社  
代理人 エス・ウント・エー有限会社  
代理人 山崎 利臣  
代理人 矢野 敏雄  
代理人 矢野 敏雄  
代理人 浅村 皓  
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