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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  G09B
管理番号 1020186
異議申立番号 異議1998-76160  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-05-06 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-12-25 
確定日 2000-04-24 
異議申立件数
事件の表示 特許第2769455号「車両用ナビゲーション装置用地図表示装置」の請求項1、2及び4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2769455号の請求項1、2、4に係る特許を取り消す。 
理由 [1]手続の経緯
本件特許第2769455号は、平成1年1月17日に出願した特願平1ー7999号の一部を、特許法第44条第1項の規定により新たな特許出願としたものに係り、平成10年4月10日に設定登録され、その後、平成10年12月25日に(有)石井興産 より特許異議申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年9月7日に訂正請求がなされた。
これに対して、平成11年9月28日付で当審より訂正拒絶理由を通知したところ、平成11年12月10日付で意見書及び手続補正書が提出されたものである。
[2]訂正及び補正の適否
1.訂正の内容
前記平成11年9月7日付訂正請求の請求の趣旨は本件特許明細書を請求書に添付した訂正明細書のとおり次のように訂正することを求めるものである。
(1)訂正事項a
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1を次のように訂正することを求めるものである。
「電話番号に対応する地図データを記億する記憶手段」を、
「電話番号に対応する位置座標及び位置座標を有する地図データを記憶する記憶手段」
と訂正する。
(2)訂正事項b
特許請求の範囲の不明瞭な記載の釈明を目的として、特許請求の範囲の請求項1を次のように訂正することを求めるものである。
「電話番号入力モードにより前記表示手段の画面に電話番号を入力するための入力部と入力された電話番号を表示するための表示部とを設けて」を、
「電話番号入力モードにおいて前記表示手段の画面に電話番号を入力するための入力部と入力された電話番号を表示するための表示部とを設けて」と訂正する。
(3)訂正事項c
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1を次のように訂正することを求めるものである。
「入力された電話番号に対応する地図データを前記記憶手段から読み出して表示手段に地図を表示する表示制御手段」を、
「入力された電話番号に対応する位置座標を検索して該位置座標に基づき周辺の地図データを前記記憶手段から読み出して表示手段に地図を表示する表示制御手段」と訂正する。
(4)訂正事項d
特許請求の範囲の請求項4を特許請求の範囲の減縮を目的として削除し、請求項5を4に、請求項6を5にそれぞれ繰り上げる。
2.補正の内容
前記平成11年12月10日付手続補正書による補正は、前記訂正請求の請求書を補正するものであり、その内容は前記訂正請求の請求書に添付した訂正明細書を次のように補正するものである(なお、手続補正書に添付された全文訂正明細書における特許請求の範囲の請求項1の記載は誤記と認められる故、下記のように認定した。)。
(1)補正事項a
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1を次のように補正する。
「【請求項1】 車両の現在地から目的地までの経路案内を行う車両用ナビゲーション機能を有し電話番号を入力して表示手段に地図を表示する車両用ナビゲーション装置用地図表示装置において、
電話番号に対応する位置座標及び位置座標を有する地図データを記憶する記憶手段と、
電話番号入力モードにおいて前記表示手段の画面に電話番号を入力するための入力部と入力された電話番号を表示するための表示部とを設けて前記入力部からの電話番号の入力処理を行い、入力された電話番号に対応する位置座標を検索して該位置座標周辺の地図データを前記記憶手段から読み出して表示手段に地図を表示する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置用地図表示装置。」を、
「【請求項1】 車両の現在地から目的地までの経路案内を行う車両用ナビゲーション機能を有し電話番号を入力して表示手段に地図を表示する車両用ナビゲーション装置用地図表示装置において、
グループ化された電話番号に対応する位置座標及び位置座標を有する地図データを記憶する記憶手段と、
電話番号入力モードにおいて前記表示手段の画面に電話番号を入力するための入力部と入力された電話番号を表示するための表示部とを設けて前記入力部からの電話番号の入力処理を行い、入力された電話番号のグループ毎に該電話番号に対応する位置座標を検索して該位置座標に基づき周辺の地図データを前記記憶手段から読み出して表示手段に地図を表示する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置用地図表示装置。」と補正する。
3.補正の適否についての判断
補正事項aは、特許請求の範囲の減縮に該当するものと認められ、請求書の要旨を変更するものとは認められない。
4.訂正の適否についての判断
【1】訂正明細書の請求項1、2に係る発明
訂正明細書の請求項1、2に係る発明は、平成11年12月10日付手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載されている次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 車両の現在地から目的地までの経路案内を行う車両用ナビゲーション機能を有し電話番号を入力して表示手段に地図を表示する車両用ナビゲーション装置用地図表示装置において、
グループ化された電話番号に対応する位置座標及び位置座標を有する地図データを記憶する記憶手段と、
電話番号入力モードにおいて前記表示手段の画面に電話番号を入力するための入力部と入力された電話番号を表示するための表示部とを設けて前記入力部からの電話番号の入力処理を行い、入力された電話番号のグループ毎に該電話番号に対応する位置座標を検索して該位置座標に基づき周辺の地図データを前記記憶手段から読み出して表示手段に地図を表示する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置用地図表示装置。
【請求項2】 前記入力部にはテンキーと該テンキーの入力情報を取り消す取消キーとを有することを特徴とする請求項1記載の車両用ナビゲーション装置用地図表示装置。」。
【2】引用刊行物
訂正明細書の請求項1に係る発明に対し、当審が訂正拒絶理由通知において示した刊行物1(特開昭62ー85400号公報)には、
「この走行軌跡表示装置は、表示地図上に車輌の走行軌跡を表示することにより、道路案内を行うものである。車輌の走行軌跡は、走行開始時に現在位置表示スポットを表示地図上の対応位置に合わせた後に走行を開始し、この走行開始点からの走行距離と車輌の回転角との関係から車輌の現在位置を求めて順次表示することにより行われている。」(公報第1頁右下欄第12行〜19行)、
「道路地図情報と道路地図情報における電話機設置場所情報を記憶格納した電話機設置場所記憶格納手段1として音響再生機能と大容量の信号を記憶格納して電話機設置場所情報と道路地図情報を出力するコンパクトディスク11(以下CDという)・・・」(公報第2頁左下欄第16行〜右下欄第1行)、
「比較検索手段3は、スタートキー25より出力されたスタート信号を受けてCD11の制御を制御信号を出力しCD11より再生された電話機設置場所情報及び道路地図情報を受けてこれらの情報を再出力するCD制御回路31と、CD制御回路31より出力された電話機設置場所を記憶して設置場所記憶情報を出力する電話機設置場所情報記憶回路32と、電話番号記憶回路23より出力された電話番号情報と電話機設置場所情報記憶回路32より出力された設置場所情報を受けて両信号を比較して両信号が一致したときに目的データと再スタート信号を出力する電話番号比較回路33と、電話番号比較回路33より出力された目的データを受けて記憶し目的情報及びCD11の再生をストップする目的データ記憶回路34と、目的データ記憶回路34より出力された目的情報と看板方向比較回路24より出力された車輌方向情報を受けて現在位置マーク情報を出力するマーク信号発生器路35と、マーク信号発生回路35より出力された現在位置マーク情報とCD制御回路31より出力された道路地図情報を受けてビデオ信号を発生するビデオ信号発生回路36とより構成される。」(公報第3頁左上欄第4行〜右上欄第7行)、
「ステップS1より開始し、ステップS2は電話番号を入力する。入力は、車輌より確認できる電話番号情報を操作者によりテンキー21により入力する。」(公報第3頁右上欄第12行〜第15行)、
「このように入力したコードはステップS6でスタートキー25が押され、ステップS8によりCD11の再生がスタートされて、ステップS9からステップS11によって順次電話番号を比較検索する。ステップS12では、一致したデータを目的データ記憶回路32により記憶して、ステップS13でCD11をストップさせる。」(公報第3頁右下欄第4行〜第10行)、
「上述したように、この実施例による車輌用現在位置表示装置は、大容量記憶の可能なCDを利用して道路地図情報と電話の存在位置等をCDに記憶しておき、車輌より確認できる商店やスタンド等の看板に欠かれている電話番号を入力することによって、その電話所在位置を検索して、車載のCRTに地図と現在位置を表示させる。」(公報第3頁右下欄第16行〜第4頁左上欄第2行)、と記載されている。
これらの記載を総合すると、刊行物1には次の発明が開示されていると認められる。
車両の現在地から目的地までの道路案内を行う車両用道路案内機能を有し電話番号を入力してCRTに地図を表示する車両用道路案内装置用現在位置表示装置において、
電話番号に対応する電話機設置場所情報及び電話機設置場所情報を有する地図データを記憶するコンパクトディスク11と、
電話番号を入力するためのテンキー21を設けて前記テンキー21からの電話番号の入力処理を行い、入力された電話番号に対応する電話機設置場所情報を検索して電話機設置位置周辺の地図データを前記コンパクトディスク11から読み出してCRTに地図を表示する比較検索手段3と
を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置用現在位置表示装置。
同じく当審が訂正拒絶理由通知において示した刊行物2(特開昭63ー125039号公報)には、
電話装置に関し、
「液晶表示部6の各数字(テンキーボタン部8)の上に指先を触れることにより、相手方の電話番号をダイヤルし(処理9)、通常のダイヤル発信を行う。この場合、第4図に示すように、液晶表示部6内の特定の部分に入力データ表示部31を設けておき、押した数字等が押圧順に表示されるようにしておけば、電話のかけ間違いを未然に防ぐことができ、安心して使用できる。」(公報第3頁右上欄第18行〜左下欄第6行)、「次に応用機能について説明する。第4図において“オウヨウ”を押すと(処理6)、液晶表示部6の画面が更新されて、第6図に示すようなオウヨウメニューが表示される。」(公報第4頁右上欄第19行〜左上欄第2行)との記載、及び第6図中に「TEL」と表示されている点から見て、タッチパネル7の「TEL」を押すと、元の第4図の表示画面に戻るものと認められる。以上のことを総合勘案すると、刊行物2には、次の発明が開示されているものと認められる。
タッチパネル7を押圧することにより(本願請求項1に係る発明に於ける「電話番号入力モードにより」に相当する。)、液晶表示部6の各数字(テンキーボタン部8)(「電話番号を入力するための入力部」に相当)と液晶表示部6内の特定の部分に設けられた入力データ表示部31(「電話番号を表示するための表示部」に相当)とを備えた入力画面が表示されて、電話番号の入力操作を行う電話装置。
【3】対比
(請求項1に係る発明について)
そこで、請求項1に係る発明と刊行物1の発明とを対比すると、刊行物1中の
「道路」、「道路案内機能」、「CRT」、「車輌用道路案内装置」、「コンパクトディスク11」、「比較検索手段3」、「現在位置表示装置」は、それぞれ請求項1に係る発明の、
「経路」、「ナビゲーション機能」、「表示手段」、「車輌用ナビゲーション装置」、「記憶手段」、「表示制御手段」、「地図表示装置」に相当し、請求項1にかかる発明の「位置座標」も刊行物1における「電話機設置場所情報」も共に電話の「存在位置」であり、請求項1に係る発明の、「電話番号入力モードにより前記表示手段の画面に」設けた「電話番号を入力するための入力部」も刊行物1における「電話番号を入力するためのテンキー21」も共に、「電話番号を入力するための入力部」であるから、両者は、
車両の現在地から目的地までの経路案内を行う車両用ナビゲーション機能を有し電話番号を入力して表示手段に地図を表示する車両用ナビゲーション装置用地図表示装置において、
電話番号に対応する電話の存在位置及び電話の存在位置を有する地図データを記憶する記憶手段と、
電話番号を入力するための入力部を設けて前記入力部からの電話番号の入力処理を行い、入力された電話番号に対応する電話の存在位置を検索して周辺の地図データを前記記憶手段から読み出して表示手段に地図を表示する表示制御手段と
を備えた車両用ナビゲーション装置用地図表示装置。
である点で一致し、以下の点で相違する。
1. 請求項1に係る発明では、「電話番号を入力するための入力部」は「電話番号入力モードにより前記表示手段の画面に」設けられるに対し、刊行物1のものではテンキー21である点。
2.請求項1に係る発明では、表示画面に前記入力部に加えて電話番号を表示するための表示部を設けてあるに対し、刊行物1のものは電話番号を表示するのか否か明らかでない点。
3.請求項1に係る発明では、電話の「存在位置」は位置座標で表現されており、該位置座標を検索して地図データを読み出しているに対し、刊行物1のものでは電話の存在位置は「電話機設置場所情報」と記載されているのみで、その具体的な表現形式を特定していない点。
4.請求項1に係る発明では、電話番号は「グループ化され」ているに対し、刊行物1のものにおける電話番号についてはこの点について明記されていない点。
5.請求項1に係る発明では、「入力された電話番号のグループ毎に該電話番号に対応する位置座標を検索」しているに対し、刊行物1のものでは、入力された電話番号に対応する場所を検索しているものの、「入力された電話番号のグループ毎に」位置座標を検索しているのか否か、記載されていない点。
【4】当審の判断
そこで、前記相違点1〜5につき、以下に検討する。
相違点1、2について、
刊行物2には、電話番号入力モードにより表示手段の画面に電話番号を入力するための入力部と入力された電話番号を表示するための表示部とを備えた入力画面が表示され、電話番号の入力操作を行うようにした電話装置、が記載されており、刊行物1のものも刊行物2のものも共に電話番号の入力を簡便に行う点で共通の技術課題を有するものであるから、刊行物1における電話番号入力手段として刊行物2に記載されたものを採用して本願請求項1に係る発明の構成とすることに格別の創意を要し得たものとは認められない。
相違点3について、
車両用ナビゲーション装置において、位置を緯度、経度等の位置座標で表現すること、及び該位置座標を含む地図情報をCDROM等の記憶手段から検索して表示するようにしたものは、周知である(例えば、特開昭62ー154098号公報、第2頁左上欄第16行〜同頁右下欄第9行の記載参照)から、刊行物1のものにおいて、電話の存在位置を位置座標形式で表現し、位置座標を検索して地図情報を読み出すことは、当業者が容易に想到し得るところと認められる。
相違点4について、
電話番号は、通常、市外局番、市内局番、加入者番号という風にグループ化されている以上、刊行物1における電話番号もそのようにグループ化されているものと認められるから、相違点4は実質的な差異とは認められない。
相違点5について、
入力データで指定された情報を検索する装置において、入力データが階層構造を有し、入力されたデータの各階層(「グループ」に相当する)に対応して情報が出力されるようにしたもの、及び、該入力データとして電話番号の市外、市内局番を用いることは周知である(例えば、特開昭59ー121437号公報参照)以上、該周知技術を刊行物1のものに施して、請求項1に係る発明の構成とすることは、当業者が容易になし得るところと認められる。
(請求項2に係る発明について)
請求項2に係る発明と刊行物1に記載の発明との相違点は前記1〜5に加えて
相違点6
請求項2に係る発明では「入力部にはテンキーと該テンキーの入力情報を取り消す取消キーとを有する」に対し、刊行物1は取消キーに相当する構成を有しない点、
で相違するが、プッシュボタンにより電話番号を入力する電話機において、誤入力した入力情報を取り消す取り消しボタンを備えたものは周知であり(例えば、特開昭60ー9257号公報、実願昭55ー28394号(実開昭56ー130373号)のマイクロフィルム参照)、本願請求項2に係る発明は刊行物1、2に記載されたものに前記周知事項を施したに過ぎない。
【5】むすび
以上のとおりであるから、訂正明細書の請求項1〜2に係る発明は、前記刊行物1乃至2に記載されたもの及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の4第3項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、当該訂正請求は認められない。
[3]特許異議申立てについての判断
【1】請求項1、2、4に係る発明
本件請求項1、2、4に係る発明は、特許明細書及び図面の記載から見て、特許請求の範囲の請求項1、2、4に記載された次の事項によって特定されるとおりのものである。
「【請求項1】 車両の現在地から目的地までの経路案内を行う車両用ナビゲーション機能を有し電話番号を入力して表示手段に地図を表示する車両用ナビゲーション装置用地図表示装置において、
電話番号に対応する地図データを記憶する記憶手段と、
電話番号入力モードにより前記表示手段の画面に電話番号を入力するための入力部と入力された電話番号を表示するための表示部とを設けて前記入力部からの電話番号の入力処理を行い、入力された電話番号に対応する地図データを前記記憶手段から読み出して表示手段に地図を表示する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置用地図表示装置。
【請求項2】 前記入力部にはテンキーと該テンキーの入力情報を取り消す取消キーとを有することを特徴とする請求項1記載の車両用ナビゲーション装置用地図表示装置。
【請求項4】 前記記憶手段は、電話番号に対応する位置座標及び位置座標を有する地図データを記憶し、前記表示制御手段は、前記記憶手段から入力された電話番号に対応する位置座標を検索して該位置座標を含む周辺の地図を前記表示手段に表示するように構成したことを特徴とする請求項1記載の車両用ナビゲーション装置用地図表示装置。」
【2】引用刊行物記載の発明
当審が通知した取消理由に引用した刊行物1(特開昭62ー85400号公報)には、次の発明が記載されている。
車両の現在地から目的地までの道路案内を行う車両用道路案内機能を有し電話番号を入力してCRTに地図を表示する車両用道路案内装置用現在位置表示装置において、
電話番号に対応する地図データを記憶するコンパクトディスク11と、
電話番号を入力するためのテンキー21を設けて前記テンキー21からの電話番号の入力処理を行い、入力された電話番号に対応する地図データを前記コンパクトディスク11から読み出してCRTに地図を表示する比較検索手段3と
を備えたことを特徴とする車両用ナビゲーション装置用現在位置表示装置。
同じく当審が通知した取消理由に引用した刊行物2(特開昭63ー125039号公報)には、次の発明が記載されている。
タッチパネル7を押圧することにより(本願請求項1に係る発明に於ける「電話番号入力モードにより」に相当する。)、液晶表示部6の各数字(テンキーボタン部8)(「電話番号を入力するための入力部」に相当)と液晶表示部6内の特定の部分に設けられた入力データ表示部31(「電話番号を表示するための表示部」に相当)とを備えた入力画面が表示されて、電話番号の入力操作を行う電話装置。
【3】対比・判断
(請求項1に係る発明について)
そこで、請求項1に係る発明と刊行物1に記載の発明とを比較すると、両者は、
車両の現在地から目的地までの経路案内を行う車両用ナビゲーション機能を有し電話番号を入力して表示手段に地図を表示する車両用ナビゲーション装置用地図表示装置において、
電話番号に対応する地図データを記憶する記憶手段と、
電話番号を入力するための入力部を設けて前記入力部からの電話番号の入力処理を行い、入力された電話番号に対応する地図データを前記記憶手段から読み出して表示手段に地図を表示する表示制御手段と
を備えた車両用ナビゲーション装置用地図表示装置。
である点で一致し、以下の点
1. 請求項1に係る発明では、「電話番号を入力するための入力部」は「電話番号入力モードにより前記表示手段の画面に」設けられるに対し、刊行物1のものではテンキー21である点、
2.請求項1に係る発明では、表示画面に前記入力部に加えて電話番号を表示するための表示部を設けてあるに対し、刊行物1のものには該表示部を備えているか否か明らかでない点、
で相違するが、該相違点については、前記[2]4.【4】当審の判断 の相違点1、2について、で述べた理由により、当業者が容易になし得る範囲のものと認められる。
(請求項2に係る発明について)
請求項2に係る発明と刊行物1に記載の発明との相違点は前記1、2に加えて
相違点3
請求項2に係る発明では「入力部にはテンキーと該テンキーの入力情報を取り消す取消キーとを有する」に対し、刊行物1は取消キーに相当する構成を有しない点、
で相違するが、プッシュボタンにより電話番号を入力する電話機において、誤入力した入力情報を取り消す取り消しボタンを備えたものは周知であり(例えば、特開昭60ー9257号公報、実願昭55ー28394号(実開昭56ー130373号)のマイクロフィルム参照)、本願請求項2に係る発明は刊行物1、2に記載されたものに前記周知事項を施したに過ぎない。
(請求項4に係る発明について)
請求項4に係る発明と刊行物1に記載の発明との相違点は前記1、2に加えて
相違点4
請求項4に係る発明では、「記憶手段は、電話番号に対応する位置座標及び位置座標を有する地図データを記憶し、表示制御手段は、前記記憶手段から入力された電話番号に対応する位置座標を検索して該位置座標を含む周辺の地図を前記表示手段に表示する」に対し、刊行物1のものでは記憶手段は電話番号に対応する地図データを記憶し、入力された電話番号に対応する地図データを表示手段に表示している点、
で相違するが、該相違点については、前記[2]4.【4】当審の判断 の相違点3について、で述べた理由により、当業者が容易になし得る範囲のものと認められる。
【5】むすび
以上のとおり、請求項1、2、4に係る発明は、刊行物1、2に記載の発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、本件発明は、旧特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものである。
したがって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第9条第4項及び第7項並びに第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第1項及び第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-03-08 
出願番号 特願平8-136244
審決分類 P 1 652・ 121- ZB (G09B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 田良島 潔橋本 武原 光明  
特許庁審判長 祖父江 栄一
特許庁審判官 槙原 進
西川 一
登録日 1998-04-10 
登録番号 特許第2769455号(P2769455)
権利者 株式会社新産業開発 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
発明の名称 車両用ナビゲーション装置用地図表示装置  
代理人 青木 健二  
代理人 菅井 英雄  
代理人 内田 亘彦  
代理人 蛭川 昌信  
代理人 白井 博樹  
代理人 阿部 龍吉  
代理人 蛭川 昌信  
代理人 菅井 英雄  
代理人 米澤 明  
代理人 米澤 明  
代理人 青木 健二  
代理人 阿部 龍吉  
代理人 内田 亘彦  
代理人 韮澤 弘  
代理人 韮澤 弘  
代理人 白井 博樹  

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