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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C12Q
審判 一部申し立て 2項進歩性  C12Q
管理番号 1020730
異議申立番号 異議1999-73569  
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-03-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-09-24 
確定日 2000-08-16 
異議申立件数
事件の表示 特許第2872983号「1,5-アンヒドログルシトールの定量法及び定量用試薬」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2872983号の請求項1、2、5、6に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第2872983号に係る発明についての出願は、平成9年9月10日に特願平9-262776号として出願され、平成11年1月8日にその特許の設定登録がなされ、その後、日本化薬株式会社より特許異議申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年3月10日に訂正請求がなされたものである。

II.訂正請求
1.訂正の内容
(1)特許請求の範囲の請求項1に係る記載を「体液を検体とし、1,5-アンヒドログルシトールに作用すると共に、電子キャリアー非存在下においてテトラゾリウム又はその塩類を直接還元する反応を触媒する1,5-アンヒドログルシトール脱水素酵素を用い、グルコース消去剤によって前記検体中のグルコースを前記1,5-アンヒドログルシトール脱水素酵素と反応しない構造に変化させた後、又は変化させながら、前記検体中の1,5-アンヒドログルシトールにテトラゾリウム又はその塩類の存在下で前記1,5-アンヒドログルシトール脱水素酵素を作用させ、生成する還元された発色物質を測定することを特徴とする1,5-アンヒドログルシトールの定量法。」と訂正する。
(2)特許請求の範囲の請求項3及び8を削除する。
(3)本件明細書の請求項4を請求項3に繰り上げ、「請求項1〜3のいずれか1つに記載の」という記載を「請求項1又は2に記載の」と、本件明細書の請求項7を請求項6に繰り上げ、「請求項6記載の」という記載を「請求項5記載の」と、本件明細書の請求項9を請求項7に繰り上げ、「請求項6〜9のいずれか1つに記載の」という記載を「請求項5又は6に記載の」と、並びに、本件明細書の請求項10を請求項8に繰り上げ、「請求項6〜9のいずれか1つに記載の」という記載を「請求項5〜7のいずれか1つに記載の」と訂正する。
(4)本件明細書の請求項5を請求項4に繰り上げ、「請求項1〜4のいずれか1つに記載の」という記載を「請求項1〜3に記載の」と訂正し、「(1)作用:」の欄における「直接還元性発色剤を還元する」を「テトラゾリウム又はその塩を直接還元する」と、「(8)電子受容体:」の欄における「還元性発色剤」を「テトラゾリウム又はその塩類」と訂正する。
(5)本件明細書の請求項6を請求項5に繰り上げ、「還元性発色剤を直接還元する」を「テトラゾリウム又はその塩を直接還元する」と、「還元性発色剤とを含む」を「テトラゾリウム又はその塩類とを含む」と訂正する。
(6)段落【0011】、【0012】、【0013】、【0014】、【0016】、【0045】、【0055】、及び【0072】の「還元性発色剤」という記載を「テトラゾリウム又はその塩類」と訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項(1)及び(5)は、「還元性発色剤」を下位概念たる「テトラゾリウム又はその塩類」に訂正するものであるから特許請求の範囲の減縮に該当し、訂正事項(2)は、請求項を削除するものであるから特許請求の範囲の減縮に該当し、訂正事項(3)、(4)及び(6)は、訂正事項(1)に伴う訂正である。
そして、上記いずれの訂正も新規事項に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。

3.独立特許要件
当審が通知した取消理由の概要は、請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明である、若しくは、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条1項3号又は同2項に規定する発明に該当する、並びに、請求項3、6乃至8に係る発明は甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項に規定する発明に該当するので、請求項1乃至3及び6乃至8に係る発明の特許は取り消されるべきものであるところ、訂正された請求項1乃至8に係る発明(以下、「本件発明1乃至8」という。)のうち、本件発明1,2,5及び6は、後述の「III.3.判断」の項に記載のように、特許法29条1項3号又は同2項に規定する発明に該当しない。
また、本件発明3及び4は、本件発明1乃至2を更に限定したものであり、本件発明7及び8は、本件発明5乃至6を更に限定したものであるから、同様に、特許法29条1項3号又は同2項に規定する発明に該当するとはいえず、他に本件発明3,4,7及び8の特許を取り消すべき理由はない。
したがって、本件発明1乃至8は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法120条の4,2項、及び同条3項で準用する126条2項から4項の規定に適合するので、請求のとおり当該訂正を認める。

III.特許異議申立
1.特許異議申立書の理由の概要
特許異議申立人は、甲第1号証乃至甲第4号証を提出し、訂正前の本件請求項1乃び2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明である、或いは、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条1項3号或いは同条2項の規定により特許を受けることができない、並びに、同請求項3、6,7及び8に係る発明は、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないと主張している。

2.甲各号証の記載内容
甲第1号証(特開平3-27299号公報)には、
「本発明者らは研究の結果、試料中のグルコースを・・・の様なグルコース6位リン酸化酵素とアデノシン3リン酸(・・)でグルコース6リン酸(・・)とし、これを更にG6P脱水素酵素とニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(・・)で酸化するとグルコースを完全に消去しうること、そして生じたNADPの還元型(・・)はAGの酵素的定量に際し影響するのでこの消去液にNADPHを補酵素とする酸化還元酵素並びに該酸化還元酵素でNADPHを酸化した後であれば試料中のAGをAG酸化酵素を用いて測定できることを見出した。」(1頁右下欄末行〜2頁左上欄14行)、
「この様にして前処理した試料中のAGを酵素を用いて測定するにはピラノースオキシダーゼ[・・]あるいはAG酸化酵素を用いる公知の方法、例えばピラノースオキシダーゼを作用させて生ずる過酸化水素を指標とした定量法に関する特開昭63-185397号公報記載の方法や特開昭62-79780号公報記載の方法で行うことができる。」(2頁欄右下13〜末行)が、
甲第2号証(特開昭62-79780号公報)には、
「試料中の1,5-アンヒドログルシトールに電子受容体の存在下、1,5-アンヒドログルシトール酸化能を有する酵素を作用させ、試料中の酸素の消費量を測定するか、又は生成する過酸化水素電子受容体の還元体もしくは下記式(1)又は(2)で示される化合物を定量することを特徴とする1,5-アンヒドログルシトールの定量法。」(特許請求の範囲の項)、
「本発明で用いられる電子受容体としては、1,5-AGの酸化反応に関与するものであれば、特に制限なく、例えば、酸素、フェナジンメトサルフェート、ジクロルフエノールインドフエノール、フエリシアン化カリウム、フエリシアン化ナトリウムなどのフエリシアン化化合物、チトクロムC、NAD+,NADP+,FMNなどの補酵素があげられる。」(2頁右下欄下3行〜3頁左上欄5行)が、
甲第3号証(FEMS Microbiology Letters 141(1996)p45-50)には、
「表1に示すように、PEG脱水素酵素はMTT、DCIP、フェリシアミド、NBT及びチトクロームcのような種々の電子受容体を還元した。」(48頁左欄18〜20行)が、
甲第4号証(実験成績証明書)には、「結論」として、
「特開昭62-79780号公報記載の1,5AG酸化酵素は、NTBを還元する反応を触媒する能力を持ち、DCIPに対する相対活性は53%であった。」が、それぞれ記載されている。

3.判断
(1)本件発明1について
本件発明1は、「テトラゾリウム又はその塩類を直接還元する反応を触媒する1,5-アンヒドログルシトール脱水素酵素を用いる」もの、すなわち、還元性発色剤として「テトラゾリウム又はその塩類」を使用するものであって、その還元反応は非可逆的反応であるため、発色後のホルマザン色素が安定となり、還元物質が変化してしまうことがないことにより、高感度で高い測定精度が得られることに特徴がある。
しかるに、甲第1号証には、1,5-アンヒドログルシトールを酵素的に定量する記載はあるものの、その定量において、還元性発色剤を使用することまでは記載されておらず、また、甲第2号証には、テトラゾリウム又はその塩類を使用することについて言及されているところはない。
そうすると、本件発明1は、甲第1号証乃至甲第2号証に記載された発明であるとはいえない。
そして、甲第2号証には、1,5-AGの酵素的酸化反応に際し、酸素、フェナジンメトサルフェート、ジクロルフエノールインドフエノール、フエリシアン化カリウム、フエリシアン化ナトリウム、チトクロムC、NAD+,NADP+,FMNなどを用いること、甲第3号証には、酵素反応に際し、DCIP、フェリシアミド、及びチトクロームcと並んで、MTTやNTBのようなテトラゾリウム化合物を用いることが記載されているものの、
これらには、「テトラゾリウム又はその塩類」を使用した還元反応は、非可逆的反応であるため発色後のホルマザン色素が安定となることについて教示するところはない。
してみれば、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された事項を組み合わせても、本件発明1に係る構成を採用することは、当業者にとって容易に想到し得るとはいえない。
(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1の「グルコース消去剤」を更に限定したものであるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、甲第1号証乃至甲第2号証に記載された発明であるとはいえず、また、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたともいえない。
(3)本件発明5及び6について
本件発明5は、本件発明1の「定量法」を実施するための「定量用試薬」に相当するものであるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
また、本件発明6は、本件発明5の「グルコース消去剤」を更に限定したものであるから、本件発明5についての判断と同様の理由により、甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
4.まとめ
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明1,2,5,及び6についての特許を取り消すことはできない。
また他に本件発明1,2,5,及び6についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-07-26 
出願番号 特願平9-262776
審決分類 P 1 652・ 113- YA (C12Q)
P 1 652・ 121- YA (C12Q)
最終処分 維持  
前審関与審査官 滝本 晶子  
特許庁審判長 徳廣 正道
特許庁審判官 田中 久直
藤田 節
登録日 1999-01-08 
登録番号 特許第2872983号(P2872983)
権利者 第一化学薬品株式会社
発明の名称 1,5-アンヒドログルシトールの定量法及び定量用試薬  
代理人 松井 茂  
代理人 佐伯 憲生  
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