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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C12P
審判 全部申し立て 2項進歩性  C12P
管理番号 1024066
異議申立番号 異議1999-72400  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-10-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-06-09 
確定日 2000-06-21 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2844484号「組換え蛋白質の生産方法」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2844484号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第2844484号の請求項1乃至4に係る発明についての出願は、平成2年2月22日に特願平2-41666号として出願され、平成10年10月30日にその特許の設定登録がなされ、その後、東洋紡績株式会社より特許異議申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年1月11日に訂正請求がなされたものである。

II.訂正請求
1.訂正の内容
特許請求の範囲の請求項1に係る記載「有用蛋白質をコードするDNAが組み込まれた発現プラスミドにより形質転換された大腸菌を培養して有用蛋白質を生産するに際し、大豆加水分解物を添加した培地で培養することを特徴とする組換え蛋白質の生産方法。」を、「有用蛋白質をコードするDNAが翻訳開始信号とともに組み込まれた発現プラスミドにより形質転換された大腸菌を培養して有用蛋白質を生産するに際し、大豆加水分解物を添加した培地で培養し、アミノ酸末端に付加しているメチオニン残基の除去率が向上した有用蛋白質を取得することを特徴とする組換え蛋白質の生産方法。」と訂正する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項は、「翻訳開始信号とともに」及び「アミノ酸末端に付加しているメチオニン残基の除去率が向上した有用蛋白質を取得する」という構成要件を直列的に付加するものであるから特許請求の範囲の減縮に該当する。
そして、上記訂正は新規事項に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
3.独立特許要件
当審が通知した取消理由の概要は、請求項1乃至2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法29条1項3号の規定により、また、請求項3乃至4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないというものであるところ、後述の「III.3.判断 」の項に記載のように、訂正された請求項1乃至2に係る発明(以下、「本件発明1乃至2」という。)は、甲第1号証に記載された発明ではなく、また、同請求項3乃至4に係る発明(以下、「本件発明3乃至4」という。)は、甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたとはいえないから、本件発明1乃至4は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
4.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法120条の4,2項、及び同条3項で準用する126条2項から4項の規定に適合するので、請求のとおり当該訂正を認める。

III.特許異議申立
1.特許異議申立書の理由の概要
訂正前の本件請求項1乃至2に係る発明は、甲第1号証(特開昭62-190087号公報)に記載された発明であるから、特許法29条1項3号の規定により、また、同請求項3乃至4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同条2項の規定により特許を受けることができない。
2.甲第1号証の記載内容
甲第1号証には、
「ブドウ球菌性蛋白質Aに関連した免疫グロブリンG結合領域をコード化する組換体DNAフラグメント(Z)であって、該フラグメントのメチオニンコドンがメチオニン不含有蛋白質の発現を可能にする他のアミノ酸残基のコドンにより置換されていることを特徴とするフラグメント。」(特許請求の範囲(1)の項)、
「本発明はブドウ球菌性蛋白質Aに関連した免疫グロブリンG(以下IgGと称す)結合領域をコード化する組換体DNAフラグメントに、このようなフラグメントを含むDNA配列に、及びこのようなフラグメント又は配列を用いることにより発現された融合された蛋白質の開裂方法に関する。本発明はまたこのような組換体DNAフラグメント媒介体及び細菌細胞に関する。基本的には、本発明は細菌中に発現された外来蛋白質を製造かつ精製する改善方法に関する。」(2頁右下欄3〜13行)、
「TSB:30gのトリプシン系大豆汁を1lに調製し、オートクレーブにかけた。」(7頁右上欄11〜12行)、
「プラスミドDNAによる大腸菌K12の転換は記載されたように行った。」(7頁左下欄13〜14行)、
「菌株を15mlのTSBに接種し、振盪フラスコ中で12時間混置した後、・・・」(9頁右上欄1〜2行)が記載されている。
3.判断
(1)本件発明1について
本件発明1は、「大腸菌を用いて有用蛋白質を生産するに際し、培養方法による生産物の生産量向上と同時にアミノ末端メチオニン残基の除去効率の向上」を目的とするものであって、「有用蛋白質をコードするDNAが翻訳開始信号とともに組み込まれた発現プラスミドにより形質転換された大腸菌を培養して有用蛋白質を生産するに際し、大豆加水分解物を添加した培地で培養し、アミノ酸末端に付加しているメチオニン残基の除去率が向上した有用蛋白質を取得することを特徴とする組換え蛋白質の生産方法。」という構成から成るものである。
しかるに、甲第1号証には、大豆加水分解物を使用する記載はあるものの、そこで発現される蛋白質は、外来蛋白質とブドウ球菌性蛋白質Aに関連した免疫グロブリンG結合領域との融合蛋白質であるのに対し、本件発明1に係る「有用蛋白質」は、融合蛋白質ではなく、しかも、該「有用蛋白質」は「アミノ酸末端に付加しているメチオニン残基の除去率が向上」しているものであるから、本件発明1と甲第1号証に記載の事項とは、相違するところがある。
そうすると、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。
(2)本件発明2について
本件発明2は、本件発明1に係る「大豆加水分解物」を「培地あたり1%から10(重量)%の濃度範囲で添加される」と、本件発明1を更に限定するものであるから、上記本件発明1についての判断と同様の理由により、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。
(3)本件発明3乃至4について
甲第1号証には、「ヒトB細胞分化因子」乃至「ヒトインターロイキン2」に言及するところはなく、しかも、「アミノ酸末端に付加しているメチオニン残基の除去率が向上した有用蛋白質を取得する」ことについて教示するところはない。
そうすると、本件発明3乃至4は、甲第1号証に記載された発明に基づき、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
3.まとめ
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明1乃至4についての特許を取り消すことはできない。
また他に本件発明1乃至4についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
組換え蛋白質の生産方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 有用蛋白質をコードするDNAが翻訳開始信号とともにプロモーター制御下に組み込まれている発現プラスミドにより形質転換された大腸菌を培養して有用蛋白質を生産するに際し、大豆加水分解物を添加した培地で培養し、アミノ末端に付加しているメチオニン残基の除去率が向上した有用蛋白質を取得することを特徴とする組換え蛋白質の生産方法。
【請求項2】 大豆加水分解物が、培地あたり1(重量)%から10(重量)%の濃度範囲で添加されることを特徴とする請求項(1)記載の生産方法。
【請求項3】 有用蛋白質がヒトB細胞分化因子である請求項(1)記載の生産方法。
【請求項4】 有用蛋白質がヒトインターロイキン2である請求項(1)記載の生産方法。
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、組換えDNA技術により形質転換された大腸菌を用いて、効率よく有用蛋白質を生産する方法に関する。
〔従来の技術〕
組換えDNA技術を用いて大腸菌により真核生物由来の有用蛋白質、例えば、各種インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子、リンホトキシン、ヒト血清アルブミン等を直接発現法により大量に生産させたい場合、それらの発現プラスミド自体の改良の他、生産菌の培養方法の改良による高生産法が考えられる。特に、目的としている有用蛋白質を医薬品として使用する時などは、大腸菌での遺伝子翻訳開始コドンに対応するアミノ末端メチオニン残基の付加した有用蛋白質は抗原性をもたらす可能性もあり、この観点からメチオニン残基は可能な限り除去しておく必要があること、さらに蛋白質の分離精製段階でのコストダウンを図るためにも、生産菌培養段階で、大量かつアミノ末端メチオニン低含有の目的蛋白質を生産でき得る技術を確立しておく必要があると考えられる。
一般に、組換え大腸菌の培養方法については従来、LB(酵母エキス 0.5%、バクトトリプトン 1.0%、NaCl 0.5%、グルコース 0.2%、pH6.5〜7.5)培地やM9(0.6% Na2HPO4、0.3% KH2PO4、0.05% NaCl、0.1% NH4Cl、0.2%グルコース、0.00147% CaCl2・2H2O.05% MgSO4・7H2O)培地、さらにそれにカザミノ酸、酵母エキス等を加えた半合成培地による培養が一般に知られている。
しかしながら、これらの方法では取得目的の有用蛋白質の生産性、及び生産蛋白質のアミノ末端メチオニン残基除去の点で、まだ十分ではなく、さらなる培養条件の改善が望まれていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、大腸菌を用いて有用蛋白質を生産するに際し、培養方法による生産物の生産量向上と同時にアミノ末端メチオニン残基の除去効率の向上化を目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的は、以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は有用蛋白質を発現生産するように組換えDNA技術により工夫された発現プラスミドにより形質転換された大腸菌を培養して、有用目的蛋白質を生産するに際し、主要栄養源として、大豆加水分解物を添加した培地で培養することを特徴とする有用蛋白質の生産方法である。
本発明の有用蛋白質とは組換えDNA技術により生産できるものであれば、特に限定はなく、例えば、インターロイキンー2、ヒトB細胞分化因子(BCDFと略する)、またα-,β-,γ-インターフェロン等のリンホカイン類、成長ホルモン、インシュリン、ソマトスタチン等のホルモン、ヒト血清アルブミン等の血液関連蛋白質などが挙げられる。尚、ヒトBCDFはヒトインターロイキン6(IL-6)ともB細胞刺激因子(BSF-2)とも呼ばれるが、ここでは従来より用いられているヒトBCDFという名称を用いる。
本発明の発現プラスミドは、基本的には、有用蛋白質が大腸菌体内で生産されるよう該蛋白質をコードするDNA断片が翻訳開始信号とともに、プロモーター制御下に組み込まれているプラスミドであり、さらには構造遺伝子の下流にターミネーターが導入されていてもよい。このプラスミドは公知の方法(例えば、Goedde1,D.V.et a1.,Nucleic Acids Resertch,8,4057(1980))により作成することができる。
該発現プラスミドにより、大腸菌を形質転換する方法としては、公知の方法(例えば、Mandel,M.&Maga,A.,J.Mol.Biol.,53,154(1970))にて行なうことができる。
宿主である大腸菌は特に種類は限定されないが、例えば、K-12系のC-600、HB101、JM105、W3110等が挙げられる。
培地としてはグルコース、ラクトース、ソルビトール等の炭素源、アンモニア、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等の窒素源、肉エキス、酵母エキス、カゼイン分解物、及びペプトン等の有機栄養源、リン酸塩などの無機塩、マグネシウム、カリウム、その他微量金属等を適宜含有する産生培地が使用できる。しかしながら、本発明者らは、種々の培地を検討した結果、大豆加水分解物を上記M9培地(0.6% Na2HPO4、0.3% KH2PO4、0.05% NaCl、0.1% NH4Cl、0.2% グルコース、0.00147% CaCl2・2H2O、0.05% MgSO4・7H2Oの組成より構成される)に、カザミノ酸の代わりに添加した培地を用いることにより、有用蛋白質の生産性、及びそのアミノ末端に付加しているメチオニン残基の除去率が向上する事を見いだした。大豆加水分解物とは例えば、総合アミノ酸(味の素株式会社製、大豆の塩酸加水分解物)、味液、バクトソイトン(DIFCO製)等である。大豆加水分解物の添加濃度は、基本とする培地組成、培養条件、により多少異なるが、通常培地あたり1%から10(重量)%、特に2%から4(重量)%が好ましい。
培養温度は20℃から45℃、好ましくは36℃から39℃であり、培養中の培地のpHは5から9、好ましくは6から7である。培養期間は通常約6時間から約2日である。
〔発明の効果〕
有用蛋白質をコードするDNA断片が組み込まれた発現プラスミドにより形質転換された大腸菌を培養し、有用組換え蛋白質を製造する方法に於て、当該大腸菌を大豆加水分解物を添加した培地で培養することを特徴とする、N末端に翻訳開始コドンATGに対応するメチオニン残基が効率よく除去された有用蛋白質の増収法を提供するものであり、本発明による培養方法は、有用蛋白質の生産性を向上させると同時に、目的蛋白質のアミノ末端に付加しているメチオニン残基の除去効率も向上させることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これにより本発明の有用性が限定されるものではない。
〔実施例〕
実施例1
ヒトBCDF発現プラスミドを保持する大腸菌HB 101/pBSF2-SD7を5L、容ミニジャーを用いて、従来のカザミノ酸を主要栄養源とした培地と大豆加水分解物である総合アミノ酸(味の素株式会社製)を主要栄養源とした培地で比較培養した。なお、プラスミドpBSF2-SD7はプラスミドpUC19(Yanisch-Perron,C.,Vieira,J.and Messing,J.:Gene 33(1985)103-119に記載)上のEcoRI、HindIIIクローニング部位に、EcoR1側より、trpプロモーター、trpLのSD配列、合成SD配列、ヒトBCDF合成遺伝子、trpAターミネーターが組み込まれた構造をしている。(第1図)本プラスミドを大腸菌HB101株へ形質転換する事により、ヒトBCDF生産菌を得た。大腸菌HB101/pBSF2-SD7(AJ-12448)はFERMP-10758として、既に寄託されている。(特願平1-189270に記載)
M9カザミノ酸培地組成は、カザミノ酸 1.0g/dl、酵母エキス 0.2g/dl、塩化アンモニウム 0.5g/dl、硫酸マグネシウム七水和物 0.05g/dl、塩化カルシウム二水和物 0.005g/dl、L-ロイシン 40mg/dl、L-プロリン 40mg/dl、ビタミンB1 0.4mg/dl、グルコース 2.0g/dl、リン酸-カリ0.1g/dl、であり、一方、M9総合アミノ酸培地組成は、上記組成のうちカザミノ酸、ロイシン、プロリンの代わりに総合アミノ酸(味の素株式会社製)を用いた組成の培地となっている。また培養時には両培地に抗生物質であるアンピシリン100μg/ml、ストレプトマイシン25μm/mlを添加した。
そして、両生産培地31.を51.容ミニジャーに仕込んだ。Lブロス(酵母エキス 0.5%、バクトトリプトン 1.0%、NaCl 0.5%、グルコース 0.2%、pH6.5〜7.5)培地にて一晩培養した大腸菌HB 101/pBSF2-SD7(FERM P-10758)を150mlずつ上記の各々の培地を含むミニジャーに加え、撹拝数700rpm、通気量0.5vvm、培養温度37℃、制御pH6.7にて運転した。培養開始後、3〜5時間で培養液のOD 660nmが4〜5に達したので、trpプロモーターの誘導剤であるインドールアクリル酸、及びフィード培地を加えた。フィード培地としてはM9カザミノ酸培地培養には、カザミノ酸1.0g/d1、L-ロイシン40mg/dl、L-プロリン40mg/dl、ビタミンB1 0.4mg/dl、(pH6.7)の組成のものを、そして総合アミノ酸培地培養には総合アミノ酸1.0g/d1、ビタミンB1 0.4mg/dl、(pH6.7)の組成のものを用いた。
両培養は16時間行なった。各々培養経過図を第2図に示す。また、菌体濃度は 最終的にOD 660nmでM9-カザミノ酸培地では16、M9-総合アミノ酸培地では21に達した。
次に、両培養液より菌体を遠心分離により集め、20mMTris-HCl(pH7.5)、30mM NaClにて懸濁後、リゾチーム、EDTAをそれぞれ終濃度0.2mg/ml、0.1Mとなるよう添加し、0℃で1時間処理した。その後、超音波破砕機にて菌体液を70W、20minで破砕し、6000rpm、10minの低速遠心にてヒトBCDFを含む菌体内封入体を回収した。その封入体を上記緩衝液20m MTris-HCl(pH7.5)、30mMNaClで3回洗浄した後、10mMEDTA(pH6.0)にて懸濁し、ヒトBCDF封入体懸濁液を得た。
続いて、その封入体を20mM Tris-HCl(pH8.3)、10mM EDTA、6M塩酸グアニジン溶液にて室温1時間で可溶化し、その可溶化溶液を逆相HPLC(YMC C8カラム 4.6φmm×250mm)にかけ、ヒトBCDF画分を単離精製した。
両培養で得られたヒトBCDF生産量はUV280nmの吸収量により、算出した。またN末端アミノ酸配列は、上記サンプルをプロテインシークエンサー(ABI社製470A)にかけることにより検定した。結果を下記の第1表に示した。
以上のように、大豆加水分解物である総合アミノ酸を主要栄養源として用いることで、従来のM9-カザミノ酸培地に比べ、ヒトBCDFの生産量は約2倍に、またアミノ末端のメチオニン除去率が85%から98%に向上した。このように、総合アミノ酸培地による培養の結果、アミノ末端メチオニンが効率よく除去できたヒトBCDFを大量に取得することができた。

実施例2
ヒトインターロイキン2発現プラスミドを保持する大腸菌HB 101/pT13SNcoを3L.容ミニジャーを用いて実施例1と同様に比較培養した。
ヒトインターロイキン2生産用のプラスミドpT13SNco(Tonouchiら.,J.Biochem.104,30-34(1988))はtrpプロモーターの制御下にヒトインターロイキン2が発現するように設計された発現プラスミドであり、本プラスミドを大腸菌HB101株に形質転換したヒトインターロイキン2生産菌HB101/pT13SNco(AJ-12447)FERM P-10757として既に寄託されている。
培地組成、培養条件は、実施例1と同じである。インターロイキン2の場合もBCDFと同様に、大腸菌体内にインターロイキン2の封入体が形成されていた。生産量、N末端アミノ酸配列を実施例1と同様に検定した結果、下記の第2表に示したようにインターロイキン2の場合も、M9-カザミノ酸培地を用いた培養に比べ、M9-総合アミノ酸培地による培養により、ヒトインターロイキン2の生産量は約1.5倍となり、N末端メチオニン除去率も35%から78%に向上した。このように、アミノ末端メチオニンが効率よく除去できたヒトインターロイキン2を大量に取得することができた。尚、第2表のヒトIL-2はヒトインターロイキン2の略称である。

【図面の簡単な説明】
第1図はヒトBCDFの生産プラスミドであるpBSF2-SD7の構造を示す。
第2図は総合アミノ酸培地を用いた時とカザミノ酸培地の時の、ヒトBCDF生産菌の培養経過を示す。
 
訂正の要旨 (訂正の要旨)
特許請求の範囲の請求項1に係る記載「有用蛋白質をコードするDNAが組み込まれた発現プラスミドにより形質転換された大腸菌を培養して有用蛋白質を生産するに際し、大豆加水分解物を添加した培地で培養することを特徴とする組換え蛋白質の生産方法。」を、特許請求の範囲の減縮を目的として「有用蛋白質をコードするDNAが翻訳開始信号とともに組み込まれた発現プラスミドにより形質転換された大腸菌を培養して有用蛋白質を生産するに際し、大豆加水分解物を添加した培地で培養し、アミノ酸末端に付加しているメチオニン残基の除去率が向上した有用蛋白質を取得することを特徴とする組換え蛋白質の生産方法。」と訂正する。
異議決定日 2000-05-26 
出願番号 特願平2-41666
審決分類 P 1 651・ 113- YA (C12P)
P 1 651・ 121- YA (C12P)
最終処分 維持  
前審関与審査官 加藤 浩  
特許庁審判長 徳廣 正道
特許庁審判官 藤田 節
佐伯 裕子
登録日 1998-10-30 
登録番号 特許第2844484号(P2844484)
権利者 味の素株式会社
発明の名称 組換え蛋白質の生産方法  

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