• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G09B
管理番号 1024117
異議申立番号 異議1999-72813  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1991-02-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-07-27 
確定日 2000-06-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2849750号「車載ナビゲーション装置」の請求項1及び請求項2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2849750号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2849750号の請求項1及び請求項2に係る発明は、平成1年7月6日に特許出願され、平成10年11月13日にその特許の設定登録がなされたところ、平山佐智子より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年3月14日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正の内容は以下のとおりである。
A.訂正前明細書の請求項1の記載を、「供給される情報信号に応じた画像の表示をなす表示手段と、地図データを読取る読取手段と、車両の現在地を認識する現在地認識手段と、前記現在地認識手段により認識された現在地の地点座標を地点データとして収集し、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶する記憶手段と、地図の表示縮尺の設定をなす入力手段と、前記記憶手段に記憶されている前記地点データと前記地図データとに基づいて、前記表示手段に走行軌跡を対応する前記地図データと共に表示する制御をなす走行軌跡表示制御手段とを備え、前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより、前記走行軌跡を表示させることを特徴とする車載ナビゲーション装置。」に訂正する。
B.訂正前明細書の請求項2の記載を、「供給される情報信号に応じた画像の表示をなす表示手段と、地図データを読取る読取手段と、車両の現在地を認識する現在地認識手段と、前記現在地認識手段により認識された現在地の地点座標を地点データとして収集し、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶する記憶手段と、地図の表示縮尺の設定をなす入力手段と、前記記憶手段に記憶されている前記地点データと前記地図データとに基づいて、前記表示手段に走行軌跡を対応する前記地図データと共に表示する制御をなす走行軌跡表示制御手段とを備え、前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより、前記走行軌跡を少なくとも走行した順序と逆の順序に読み出して表示させることを特徴とする車載ナビゲーション装置。」に訂正する。
C.訂正前明細書(特許公報)の「前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、前記走行軌跡を表示させる」(3欄37行乃至39行)との記載を「前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより、前記走行軌跡を表示させる」と訂正する。
D.訂正前明細書(特許公報)の「前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、前記走行軌跡を少なくとも走行した順序と逆の順序に読み出して表示させる」(3欄50行乃至4欄3行)との記載を「前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより、前記走行軌跡を少なくとも走行した順序と逆の順序に読み出し表示させる」と訂正する。
E.訂正前明細書(特許公報)の「本発明の請求項1記載の車載ナビゲーション装置においては、車両の現在地を認識し、その現在地の地点座標を示す地点データを車両が一定間隔だけ走行する毎に順次収集して、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶手段に記憶しておき、車両の走行軌跡の表示指令に応答して一連の地点データを表示縮尺に応じたデータ間隔で間欠的に読み出して走行軌跡を表示手段に表示させる構成となっている。」(7欄22行乃至8欄2行)との記載を、「本発明の請求項1記載の車載ナビゲーション装置においては、車両の現在地を認識し、その現在地の地点座標を示す地点データを車両が一定間隔だけ走行する毎に順次収集して、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶手段に記憶しておき、車両の走行軌跡の表示指令に応答して一連の地点データを表示縮尺に応じたデータ間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを表示手段に表示することにより、走行軌跡を表示手段に表示させる構成となっている。」と訂正する。
(2)訂正の適否の検討
(2)-1.訂正の目的の適否、拡張・変更の存否
ア.訂正事項Aは請求項1の記載に「順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより」との構成を付加するものと認められところ、かかる構成は訂正前明細書(特許公報)に、「CPU7は入力装置21からのキー入力指令に応答して先ず、読出しアドレスポインタを走行軌跡の例えば始点の地点データ群が格納されているアドレスにセットし(ステップS31)、その地点データ群をリングバッファから読み出し(ステップS32)、続いてその読出地点データ群による地点座標を中心としかつ入力装置21において予め設定されている表示縮尺に応じた一定範囲の地域の地図データ群をバッファメモリ(例えばグライツクメモリ18)から得てその地図とともに地点座標をカーソルでディスプレイ17上に表示すべく表示装置16を制御する(ステップS33)。次に、CPU17は表示縮尺に応じた値をポインタカウンタにセットし(ステップS34)、しかる後読出しアドレスポインタを1データ群分だけ進める(ステップS35)。……ステップS40で一定時間だけ待機するのは、当該時間の周期で地図をスクロールするためである。以上の処理の繰返しにより、リングバッファから表示縮尺に応じたデータ群間隔Nで地点データ群が読み出され、ディスプレイ17上にはこの地点データ群による地点の座標位置が中心となるようにに地図がスクロールされて走行軌跡が表示されることになる。そして、読出しアドレスポインタが書込みアドレスポインタ、又は区切りポインタと一致していれば、走行軌跡の表示が最終地点まで行われたことになるので、CPU7は走行軌跡を表示するための一連の処理を終了する。」(6欄19行乃至7欄10行)と記載されているものであって、この 「順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより」との構成を付加することにより、訂正前の請求項1に記載された「走行軌跡表示制御手段」を限定するものであることは訂正後の請求項1の記載に照らして明らかであり、そうすると、訂正事項Aは特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
また、訂正前明細書(特許公報)の「かかる車載ナビゲーション装置を用いた車両走行の際に、その走行軌跡データをメモリに記憶保持しておき、必要時にその記憶データに基づいて走行軌跡をディスプレイ上に表示することにより、過去の走行ルートあるいは逆の道順を確認したり、次回に同じルートを走行する際の手助けとなり、非常に便利である。・・・そこで、本発明は、過去の走行軌跡をディスプレイ上に見易く表示して道順の案内にも利用し得る車載ナビゲーション装置を提供することを目的とする。」(3欄17行乃至26行)との記載、「以上説明したように、本発明の請求項1記載の車載ナビゲーション装置においては、車両の現在地を認識し、その現在地の地点座標を示す地点データを車両が一定間隔だけ走行する毎に順次収集して、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶手段に記憶しておき、車両の走行軌跡の表示指令に応答して一連の地点データを表示縮尺に応じたデータ間隔で間欠的に読み出して走行軌跡を表示手段に表示させる構成となっている。これにより、表示縮尺によらず走行軌跡をディスプレイ上に見やすく表示することができる。特に、地点データ群を表示縮尺に応じたデータ群間隔で順次読み出すことにより、軌跡を辿る間隔が表示縮尺に応じて変化することになるため、一定の条件下で収集された地点データ群の集合からなる軌跡データであっても、表示縮尺の変化によって軌跡を辿る間隔が大き過ぎたり小さ過ぎたりすることなく表示縮尺の変化に拘らずほぼ同じように走行軌跡を表示できることになる。」(7欄22行乃至8欄11行)との記載によれば、訂正前の請求項1に係る発明が解決しようとする技術的課題は、車両の過去の走行軌跡をディスプレイ上に表示縮尺の変化に拘わらず見やすく表示して道順の案内に利用するというものであるが、この課題は訂正後の請求項1に係る発明においても達成できるものであり、また、訂正後の請求項1に係る発明が前記技術的課題以外の新たな技術的課題を解決しようとするものであるとする根拠も見当たらず、そうすると、訂正前の請求項1に係る発明と訂正後の請求項1に係る発明とがその技術思想を異にするものとはいえないのであるから、訂正事項Aは特許請求の範囲を変更するものではないというべきである。
イ.訂正事項Bは請求項2の記載に「順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより」との構成を付加するものと認められところ、かかる構成は訂正前明細書(特許公報)に、「CPU7は入力装置21からのキー入力指令に応答して先ず、読出しアドレスポインタを走行軌跡の例えば始点の地点データ群が格納されているアドレスにセットし(ステップS31)、その地点データ群をリングバッファから読み出し(ステップS32)、続いてその読出地点データ群による地点座標を中心としかつ入力装置21において予め設定されている表示縮尺に応じた一定範囲の地域の地図データ群をバッファメモリ(例えばグライツクメモリ18)から得てその地図とともに地点座標をカーソルでディスプレイ17上に表示すべく表示装置16を制御する(ステップS33)。次に、CPU17は表示縮尺に応じた値をポインタカウンタにセットし(ステップS34)、しかる後読出しアドレスポインタを1データ群分だけ進める(ステップS35)。……ステップS40で一定時間だけ待機するのは、当該時間の周期で地図をスクロールするためである。以上の処理の繰返しにより、リングバッファから表示縮尺に応じたデータ群間隔Nで地点データ群が読み出され、ディスプレイ17上にはこの地点データ群による地点の座標位置が中心となるようにに地図がスクロールされて走行軌跡が表示されることになる。そして、読出しアドレスポインタが書込みアドレスポインタ、又は区切りポインタと一致していれば、走行軌跡の表示が最終地点まで行われたことになるので、CPU7は走行軌跡を表示するための一連の処理を終了する。」(6欄19行乃至7欄10行)と記載されているものであって、この 「順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより」との構成を付加することにより、訂正前の請求項2に記載された「走行軌跡表示制御手段」を限定するものであることは訂正後の請求項2の記載に照らして明らかであり、そうすると、訂正事項Bは特許請求の範囲の減縮を目的とするものといえる。
また、訂正前明細書(特許公報)の「かかる車載ナビゲーション装置を用いた車両走行の際に、その走行軌跡データをメモリに記憶保持しておき、必要時にその記憶データに基づいて走行軌跡をディスプレイ上に表示することにより、過去の走行ルートあるいは逆の道順を確認したり、次回に同じルートを走行する際の手助けとなり、非常に便利である。・・・そこで、本発明は、過去の走行軌跡をディスプレイ上に見易く表示して道順の案内にも利用し得る車載ナビゲーション装置を提供することを目的とする。」(3欄17行乃至26行)との記載、「以上説明したように、本発明の請求項1記載の車載ナビゲーション装置においては、車両の現在地を認識し、その現在地の地点座標を示す地点データを車両が一定間隔だけ走行する毎に順次収集して、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶手段に記憶しておき、車両の走行軌跡の表示指令に応答して一連の地点データを表示縮尺に応じたデータ間隔で間欠的に読み出して走行軌跡を表示手段に表示させる構成となっている。これにより、表示縮尺によらず走行軌跡をディスプレイ上に見やすく表示することができる。特に、地点データ群を表示縮尺に応じたデータ群間隔で順次読み出すことにより、軌跡を辿る間隔が表示縮尺に応じて変化することになるため、一定の条件下で収集された地点データ群の集合からなる軌跡データであっても、表示縮尺の変化によって軌跡を辿る間隔が大き過ぎたり小さ過ぎたりすることなく表示縮尺の変化に拘らずほぼ同じように走行軌跡を表示できることになる。さらに、本発明の請求項2記載の車載ナビゲーション装置においては、表示縮尺によらず走行軌跡をディスプレイ上に見やすく表示することができるとともに、逆の方向に走行する場合の道順の案内に便利となる。」(7欄22行乃至8欄15行)との記載によれば、訂正前の請求項2に係る発明が解決しようとする技術的課題は、車両の過去の走行軌跡をディスプレイ上に表示縮尺の変化に拘わらず見やすく表示して逆の方向に走行する場合の道順の案内に利用するというものであるが、この課題は訂正後の請求項2に係る発明においても達成できるものであり、また、訂正後の請求項1に係る発明が前記技術的課題以外の新たな技術的課題を解決しようとするものであるとする根拠も見当たらず、そうすると、訂正前の請求項2に係る発明と訂正後の請求項2に係る発明とがその技術思想を異にするものとはいえないのであるから、訂正事項Bは特許請求の範囲を変更するものではないというべきである。
ウ.訂正事項Cは、明細書の発明の詳細な説明の「発明の概要」の欄を訂正事項Aに対応させて平仄を合わせるために訂正するものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであることは明らかである。
エ.訂正事項Dは、明細書の発明の詳細な説明の「発明の概要」の欄を訂正事項Bに対応させて平仄を合わせるために訂正するものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであることは明らかである。
オ.訂正事項Eは、明細書の発明の詳細な説明の「発明の効果」の欄を訂正事項Aに対応させて平仄を合わせるために訂正するものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであることは明らかである。
(2)-2.独立特許要件の検討
ア.請求項1に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「供給される情報信号に応じた画像の表示をなす表示手段と、地図データを読取る読取手段と、車両の現在地を認識する現在地認識手段と、前記現在地認識手段により認識された現在地の地点座標を地点データとして収集し、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶する記憶手段と、地図の表示縮尺の設定をなす入力手段と、前記記憶手段に記憶されている前記地点データと前記地図データとに基づいて、前記表示手段に走行軌跡を対応する前記地図データと共に表示する制御をなす走行軌跡表示制御手段とを備え、前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより、前記走行軌跡を表示させることを特徴とする車載ナビゲーション装置。」
当審の取消理由で引用した特開昭58-206914号公報(以下、引用例という。)には、(1)表示手段として「走行軌跡をプロットしてそれを表示するディスプレイ10」、(2)地図データの読取方法として「表示メモリ段階判定回路5及び表示メモリアドレス回路6を介することによって外部記憶装置に記憶されている地図情報がアクセスされる」(5頁左上欄18行乃至右上欄1行)、(3)現在位置の測定手段として「方向センサ7からの方向情報は・・・一方、スピードセンサ8からのクロックパルスは、・・・X成分計算部15XとY成分計算部15Yとに供給される。計算部15Xは、・・・X軸上の変化分を抽出して・・・X軸上の現在位置座標を計算し、・・・計算部15Yは・・・Y軸上の現在位置座標を計算する」(2頁左下欄9行乃至右下欄5行)、(4)位置データの記憶手段として「X成分計算部15XやY成分計算部15Yは、・・・各サンプルクロックに対応した時点における自動車走行位置の座標を計算する。この結果は軌跡メモリ16に格納される」(3頁右下欄6行乃至10行)、(5)地図の縮尺入力手段として「入力キー9からの縮尺のデータと・・・入力される」(6頁右上欄10行乃至15行)、(6)記憶した地点データの表示方法として「軌跡メモリ16の内容は軌跡メモリ18に転記するために呼び出され、メモリ変換部17にて所定の変換が行われて、軌跡メモリ18上に格納される。・・・軌跡メモリ18の内容は表示メモリ20に転記するために呼び出され、メモリ変換処理部19において所定の変換・・・が行われて表示用メモリ20に格納される。表示用メモリ20の内容は、・・・表示ドライブ回路21を介して読み出されディスプレイに供給される」(2頁右下欄10行乃至3頁左上欄2行)という点、及び「上述の如く地図情報を用いる場合、ディスプレイ10上の走行軌跡は、地図情報の縮尺に見合う形で表示されるべきである。このため、縮尺率が最も小さい地図情報に対応して走行軌跡を表示するにあたっては、・・・#0バンク上の座標情報の抜き取り間隔を「1」で順次読み出して、・・・縮尺率が約2倍の地図情報を用いる場合には、#0バンク上の座標情報の抜き取り間隔を「2」で・・・読み出し、・・・、合計128個の点よりなる走行軌跡を生成する」(4頁右上欄1行乃至19行)という点が記載されており、これらによれば、引用例には「供給される情報信号に応じた画像の表示をなす表示手段と、地図データを読取る読取手段と、車両の現在地を認識する現在地認識手段と、前記現在地認識手段により認識された現在地の地点座標を地点データとして収集し、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶する記憶手段と、地図の表示縮尺の設定をなす入力手段と、前記記憶手段に記憶されている前記地点データと前記地図データとに基づいて、前記表示手段に走行軌跡を対応する前記地図データと共に表示する制御をなす走行軌跡表示制御手段とを備え、前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、前記走行軌跡を表示させる車載ナビゲーション装置」との発明が開示されていると認めることができる。
請求項1に係る発明と引用例とを対比すると、両者は「供給される情報信号に応じた画像の表示をなす表示手段と、地図データを読取る読取手段と、車両の現在地を認識する現在地認識手段と、前記現在地認識手段により認識された現在地の地点座標を地点データとして収集し、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶する記憶手段と、地図の表示縮尺の設定をなす入力手段と、前記記憶手段に記憶されている前記地点データと前記地図データとに基づいて、前記表示手段に走行軌跡を対応する前記地図データと共に表示する制御をなす走行軌跡表示制御手段とを備え、前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、前記走行軌跡を表示させる車載ナビゲーション装置」の点で一致し、請求項1に係る発明の走行軌跡表示制御手段が順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを表示手段に順次表示する構成であるのに対し、引用例の走行軌跡表示制御手段がそのような構成を有するものではない点で相違する。そして、請求項1の記載の発明は前記相違点に係る構成により、新たに表示された走行軌跡の地点の位置を表示地図内で容易に認識することができるとともに、新たに表示された走行軌跡の地点の周辺の地理をも常に把握することができるという効果を奏するといえるのであるから、前記相違点に係る構成を示す証拠が見当たらない以上、その相違点につき当業者が容易に想到できたものということはできない。
したがって、請求項1に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
イ.請求項2に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項2に記載された次のとおりのものである。
「供給される情報信号に応じた画像の表示をなす表示手段と、地図データを読取る読取手段と、車両の現在地を認識する現在地認識手段と、前記現在地認識手段により認識された現在地の地点座標を地点データとして収集し、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶する記憶手段と、地図の表示縮尺の設定をなす入力手段と、前記記憶手段に記憶されている前記地点データと前記地図データとに基づいて、前記表示手段に走行軌跡を対応する前記地図データと共に表示する制御をなす走行軌跡表示制御手段とを備え、前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより、前記走行軌跡を少なくとも走行した順序と逆の順序に読み出して表示させることを特徴とする車載ナビゲーション装置。」
当審の取消理由で引用した特開昭58-206914号公報(以下、引用例という。)には、(1)表示手段として「走行軌跡をプロットしてそれを表示するディスプレイ10」、(2)地図データの読取方法として「表示メモリ段階判定回路5及び表示メモリアドレス回路6を介することによって外部記憶装置に記憶されている地図情報がアクセスされる」(5頁左上欄18行乃至右上欄1行)、(3)現在位置の測定手段として「方向センサ7からの方向情報は・・・一方、スピードセンサ8からのクロックパルスは、・・・X成分計算部15XとY成分計算部15Yとに供給される。計算部15Xは、・・・X軸上の変化分を抽出して・・・X軸上の現在位置座標を計算し、・・・計算部15Yは・・・Y軸上の現在位置座標を計算する」(2頁左下欄9行乃至右下欄5行)、(4)位置データの記憶手段として「X成分計算部15XやY成分計算部15Yは、・・・各サンプルクロックに対応した時点における自動車走行位置の座標を計算する。この結果は軌跡メモリ16に格納される」(3頁右下欄6行乃至10行)、(5)地図の縮尺入力手段として「入力キー9からの縮尺のデータと・・・入力される」(6頁右上欄10行乃至15行)、(6)記憶した地点データの表示方法として「軌跡メモリ16の内容は軌跡メモリ18に転記するために呼び出され、メモリ変換部17にて所定の変換が行われて、軌跡メモリ18上に格納される。・・・軌跡メモリ18の内容は表示メモリ20に転記するために呼び出され、メモリ変換処理部19において所定の変換・・・が行われて表示用メモリ20に格納される。表示用メモリ20の内容は、・・・表示ドライブ回路21を介して読み出されディスプレイに供給される」(2頁右下欄10行乃至3頁左上欄2行)という点、及び「上述の如く地図情報を用いる場合、ディスプレイ10上の走行軌跡は、地図情報の縮尺に見合う形で表示されるべきである。このため、縮尺率が最も小さい地図情報に対応して走行軌跡を表示するにあたっては、・・・#0バンク上の座標情報の抜き取り間隔を「1」で順次読み出して、・・・縮尺率が約2倍の地図情報を用いる場合には、#0バンク上の座標情報の抜き取り間隔を「2」で・・・読み出し、・・・、合計128個の点よりなる走行軌跡を生成する」(4頁右上欄1行乃至19行)という点、(7)地点座標データの記憶方法及び読み出し方法として「計算部が出力した車両の走行位置の現在地座標は、スタート地点の座標から軌跡メモリ16に格納され、軌跡メモリ16は128ワード分の#0バンク、64ワード分の#1乃至#5バンクを備えており、現在位置の座標を始点として128個の座標は#0バンクに順次プッシュダウン方式で格納され、該#0バンクを溢れ出す座標情報は、順に2個に1個ずつ抽出されて#1バンク乃至#5バンクに順にプッシュダウン方式で格納されていく」(3頁右下欄11行乃至4頁左上欄7行)点、「現在地点からみて128個分の座標情報は#0バンクに格納されており、現在地点からみて129個目から256個目までは、#1バンクに格納される・・・」(4頁左上欄8行乃至13行)点、「走行軌跡を表示するにあたっては、表示縮尺率に対応した抜き取り間隔で#0バンク上の座標情報から順次読み出し、次に#1バンクから、その次に#2バンク、以下順に〜#5バンクという順番で合計128個の座標情報を読み出す」(4頁右下欄4行乃至19行)点が記載されており、これらによれば、引用例には「供給される情報信号に応じた画像の表示をなす表示手段と、地図データを読取る読取手段と、車両の現在地を認識する現在地認識手段と、前記現在地認識手段により認識された現在地の地点座標を地点データとして収集し、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶する記憶手段と、地図の表示縮尺の設定をなす入力手段と、前記記憶手段に記憶されている前記地点データと前記地図データとに基づいて、前記表示手段に走行軌跡を対応する前記地図データと共に表示する制御をなす走行軌跡表示制御手段とを備え、前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、前記走行軌跡を少なくとも走行した順番と逆の順序で読み出し表示させる車載ナビゲーション装置」との発明が開示されていると認めることができる。
請求項2に係る発明と引用例とを対比すると、両者は「供給される情報信号に応じた画像の表示をなす表示手段と、地図データを読取る読取手段と、車両の現在地を認識する現在地認識手段と、前記現在地認識手段により認識された現在地の地点座標を地点データとして収集し、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶する記憶手段と、地図の表示縮尺の設定をなす入力手段と、前記記憶手段に記憶されている前記地点データと前記地図データとに基づいて、前記表示手段に走行軌跡を対応する前記地図データと共に表示する制御をなす走行軌跡表示制御手段とを備え、前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、前記走行軌跡を少なくとも走行した順序と逆の順序に読み出して表示させる車載ナビゲーション装置」の点で一致し、請求項2に係る発明の走行軌跡表示制御手段が順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを表示手段に順次表示する構成であるのに対し、引用例の走行軌跡表示制御手段がそのような構成を有するものではない点で相違する。そして、請求項2の記載の発明は前記相違点に係る構成により、新たに表示された走行軌跡の地点の位置を表示地図内で容易に認識することができるとともに、新たに表示された走行軌跡の地点の周辺の地理をも常に把握することができるという効果を奏するといえるのであるから、前記相違点に係る構成を示す証拠が見当たらない以上、その相違点につき当業者が容易に想到できたものということはできない。
したがって、請求項2に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
(3)むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の4、2項及び同条3項で準用する126条2項乃至4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
申立人平山佐智子は、請求項1及び請求項2に係る発明は甲第1号証(特開昭58-206914号公報)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、特許は取り消されるべきであると主張する。
(2)判断
請求項1及び請求項2に係る発明は、前示(2)ー2.ア及びイ説示のとおり取消理由で引用した特開昭58-206914号公報(甲第1号証)から当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
また、他に請求項1及び請求項2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
車載ナビゲーション装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】供給される情報信号に応じた画像の表示をなす表示手段と、
地図データを読取る読取手段と、
車両の現在地を認識する現在地認識手段と、
前記現在地認識手段により認識された現在地の地点座標を地点データとして収集し、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶する記憶手段と、
地図の表示縮尺の設定をなす入力手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記地点データと前記地図データとに基づいて、前記表示手段に走行軌跡を対応する前記地図データと共に表示する制御をなす走行軌跡表示制御手段とを備え、
前記走行軌跡表示制御手段は、
前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより、前記走行軌跡を表示させることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項2】供給される情報信号に応じた画像の表示をなす表示手段と、
地図データを読取る読取手段と、
車両の現在地を認識する現在地認識手段と、
前記現在地認識手段により認識された現在地の地点座標を地点データとして収集し、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶する記憶手段と、
地図の表示縮尺の設定をなす入力手段と、
前記記憶手段に記憶されている地点データと前記地図データとに基づいて、前記表示手段に走行軌跡を対応する前記地図データと共に表示する制御をなす走行軌跡表示制御手段とを備え、
前記走行軌跡表示制御手段は、
前記一連の地点データの各地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより、前記走行軌跡を少なくとも走行した順序と逆の順序に読み出して表示させることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【発明の詳細な説明】
技術分野
本発明は、車載ナビゲーション装置に関する。
背景技術
近年、地図の道路上の各点を数値化して得られる地図データをCD-ROM等の記憶媒体に記憶しておき、車両の現在地を認識しつつその現在地を含む一定範囲の地域の地図データ群を記憶媒体から読み出して車両の現在地周辺の地図としてディスプレイ上に映し出すとともに、その地図上に車両の現在地を示す自車位置を自動表示させる車載ナビゲーション装置が開発され、実用化されつつある。
かかる車載ナビゲーション装置を用いた車両走行の際に、その走行軌跡データをメモリに記憶保持しておき、必要時にその記憶データに基づいて走行軌跡をディスプレイ上に表示することにより,過去の走行ルートあるいは逆の道順を確認したり、次回に同じルートを走行する際の手助けとなり、非常に便利である。
発明の概要
そこで、本発明は、過去の走行軌跡をディスプレイ上に見易く表示して道順の案内にも利用し得る車載ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1記載の車載ナビゲーション装置は、供給される情報信号に応じた画像の表示をなす表示手段と、地図データを読取る読取手段と、車両の現在地を認識する現在地認識手段と、前記現在地認識手段により認識された現在地の地点座標を地点データとして収集し、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶する記憶手段と、地図の表示縮尺の設定をなす入力手段と、前記記憶手段に記憶されている前記地点データと前記地図データとに基づいて、前記表示手段に走行軌跡を対応する前記地図データと共に表示する制御をなす走行軌跡表示制御手段とを備え、前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより、前記走行軌跡を表示させることを特徴としている。
また、本発明の請求項2記載の車載ナビゲーション装置は、供給される情報信号に応じた画像の表示をなす表示手段と、地図データを読取る読取手段と、車両の現在地を認識する現在地認識手段と、前記現在地認識手段により認識された現在地の地点座標を地点データとして収集し、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶する記憶手段と、地図の表示縮尺の設定をなす入力手段と、前記記憶手段に記憶されている地点データと前記地図データとに基づいて、前記表示手段に走行軌跡を対応する前記地図データと共に表示する制御をなす走行軌跡表示制御手段とを備え、前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより、前記走行軌跡を少なくとも走行した順序と逆の順序に読み出して表示させることを特徴としている。
実 施 例
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳細に説明する。
第1図は本発明による車載ナビゲーション装置の一実施例を示すブロック図である。図において、1は例えば地磁気(地球磁界)によって車両の走行方位を検出するための方位センサ、2は車両の角速度を検出するための角速度センサ、3は車両の走行距離を検出するための距離センサ、4は緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するためのGPS(Global Positioning System)装置であり、これら各センサ(装置)の検出出力はシステムコントローラ5に供給される。
システムコントローラ5は各センサ(装置)1〜4の検出出力を入力としA/D(アナログ/ディジタル)変換等の処理を行なうインターフェース6と、種々の画像データ処理を行なうとともにインターフェース6から順次送られてくる各センサ(装置)1〜4の出力デ一夕に基づいて車両の走行距離、走行方位及び現在地座標(経度、緯度)等の演算を行なうCPU(中央処理回路)7と、このCPU7の各種の処理プログラムやその他必要な情報が予め書き込まれたROM(リード・オンリ・メモリ)8と、プログラムを実行する上で必要な情報の書込み及び読出しが行なわれるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)9とから構成されている。
外部記憶媒体として、読出し専用の不揮発性の記憶媒体としての例えばCD-ROMと、書込み及び読出しが可能な不揮発性の記憶媒体としての例えばDAT(ディジタル・オーディオ・テープ)とが用いられる。なお、外部記憶媒体としては、CD-ROMやDATに限らず、ICカード等の不揮発性記憶媒体を用いることも可能である。CD-ROMには、地図の道路上の各点をディジタル化(数値化)して得られる地図データが予め記憶されている。このCD-ROMはCD-ROMドライバー10によって記憶情報の読取りがなされる。CD-ROMドライバー10の読取出力はCD-ROMデコーダ11でデコードされてバスラインLに送出される。
一方、DATはいわゆるバックアップメモリとして用いられるものであって情報の記録又は読出しはDATデッキ12によって行なわれる。車両電源の断時には、その直前にRAM9に記憶されている車両の現在地座標等の情報がバックアップデータとしてDATエンコーダ/デコーダ13を介してDATデッキ12に供給されることによってDATに記憶され、車両電源の投入時にはDATの記憶情報がDATデッキ12によって読み出される。読み出された情報はDATエンコーダ/デコーダ13を介してバスラインLに送出されることによってRAM9に記憶される。
車両電源の投入及び断は、車両のいわゆるアクセサリスイッチSWの出力レベルを監視する検出回路14によって検出される。アクセサリスイッチSWを経たバッテリ(図示せず)からの車両電源はレギュレータ15で安定化されて装置各部の電源として供給されるようになっている。レギュレータ15の出力電圧は回路の持つ時定数によってアクセサリスイッチSWのオフ時に瞬時に立ち下がることはなく、実際の立ち下がりまでの期間にバックアップメモリとしてのDATへのバックアップデータの記憶が行なわれることになる。
CPU7は、車両の走行時には、タイマー割込みにより所定周期で方位センサ1の出力デ一夕に基づいて車両の走行方位を計算し、かつ距離センサ3の出力デ一夕に基づく一定走行距離毎の割込みにより走行距離及び走行方位から車両の現在地座標を求め、その現在地座標を含む一定範囲の地域の地図データをCD-ROMから収集し、この収集したデータをバッファメモリとしてのRAM9に一時的に蓄えるとともに表示装置16に供給する。方位センサ1の出力デ一夕に基づいて車両の走行方位を求める方法としては、特開昭62-130013号公報等に記載されている方法を用い得る。
表示装置16は、CRT等のディスプレイ17と、V(Video)一ROM等からなるグラフィックメモリ18と、システムコントローラ5から送られてくる地図データをグラフィックメモリ18に画像データとして描画しかつこの画像データを出力するグラフィックコントローラ19と、このグラフィックコントローラ19から出力される画像データに基づいてディスプレイ17上に地図を表示すべく制御する表示コントローラ20とから構成されている。入力装置21は走行軌跡の表示指令をなす軌跡キーや地図の表示縮尺の拡大及び縮小の指令をなす拡大キー及び縮小キーを含むキーボード等からなり、使用者によるキー入力により走行軌跡の表示指令や表示縮尺の拡大又は縮小指令等の各種の指令をシステムコントローラ5に対して発する。
次に、CPU7によって実行される走行軌跡データの収集の処理手順について第2図のフローチャートにしたがって説明する。なお、本サブルーチンは、一定距離da走行毎に車両の現在地を認識しつつその現在地を含む一定範囲の地域の地図データ群をCD-ROMから読み出して車両の現在地周辺の地図としてディスプレイ17上に映し出すとともに、その地図上に車両の現在地を示す自車位置を表示させる処理等をなすメインルーチン(図示せず)の実行中において所定のタイミングで呼び出されて実行されるものとする。
CPU7は先ず、距離センサ3の出力データに基づいて車両が一定距離db(≧da)だけ走行したか否かを判断し(ステップS21)、一定距離だけ走行していれば、車両の現在地認識によって求められた現在地の地点座標及びその座標を含む地図番号等の地点データ群を、RAM9内のりングバッファの書込みアドレスポインタで指定されたアドレス領域に格納し(ステップS22)、続いて書込みアドレスポインタを1データ群分だけ進める(ステップS23)。
この処理が車両の一定距離db走行毎に繰り返されることにより、リングバッファにはその記憶容量に応じた数の地点データ群が走行軌跡データとして順次記憶されることになり、記憶容量を越えると古い走行軌跡データから順に新しい走行軌跡データに更新されていく。なお、リングバッファヘの走行軌跡の格納に際しては、リングバッファの記憶領域の全てに順に走行軌跡データを格納しても良く、又リングバッファの特定の領域の開始アドレスと終了アドレスとを区切りポインタで指定してこの区切りポインタで画定される領域に順に走行軌跡データを格納しても良い。
次に、入力装置21におけるキー入力によって走行軌跡の表示指令がなされた際にCPU7によって実行される走行軌跡の表示の処理手順について第3図のフローチャートにしたがって説明する。なお、入力装置21において拡大キー又は縮小キーによるキー入力によって予め所定の表示縮尺が設定されているものとする。
CPU7は入力装置21からのキー入力指令に応答して先ず、読出しアドレスポインタを走行軌跡の例えば始点の地点データ群が格納されているアドレスにセットし(ステップS31)、その地点データ群をリングバッファから読み出し(ステップS32)、続いてその読出地点データ群による地点座標を中心としかつ入力装置21において予め設定されている表示縮尺に応じた一定範囲の地域の地図データ群をバッファメモリ(例えば、グラフィックメモリ18)から得てその地図とともに地点座標をカーソルでディスプレイ17上に表示すべく表示装置16を制御する(ステップS33)。次に、CPU7は表示縮尺に応じた値をポインタカウンタにセットし(ステップS34)、しかる後読出しアドレスポインタを1データ群分だけ進める(ステップS35)。
続いて、CPU7は読出しアドレスポインタが書込みアドレスポインタと一致したか否かを判断し(ステップS36)、両ポインタが不一致であれば、次に読出しアドレスポインタが先の区切りポインタと一致するか否かを判断する(ステップS37)。読出しアドレスポインタが書込みアドレスポインタとも区切りポインタとも不一致であれば、走行軌跡の表示が最終走行地点まで行なわれていない訳であるから、CPU7はポインタカウンタのカウント値Nを“1”だけカウントダウンし(ステップS38)、続いてポインタカウンタのカウント値Nが0になったか否かを判断する(ステップS39)。N≠0であれば、プログラムはステップS35に戻る。ステップS35〜ステップS39の処理の繰返しにより、表示縮尺に応じたデータ群間隔Nで地点データ群がリングバッファから順に読み出されることになる。N=0であれば、CPU7は一定時間だけ待機し(ステップS40)、しかる後プログラムはステップS32に移行する。ステップS40で一定時間だけ待機するのは、当該時間の周期で地図をスクロールするためである。
以上の処理の繰返しにより、リングバッファから表示縮尺に応じたデータ群間隔Nで地点データ群が順に読み出され、ディスプレイ17上にはこの地点データ群による地点の座標位置が中心となるように地図がスクロールされて走行軌跡が表示されることになる。そして、読出しアドレスポインタが書込みアドレスポインタ、又は区切りポインタと一致していれば、走行軌跡の表示が最終走行地点まで行なわれたことになるので、CPU7は走行軌跡を表示するための一連の処理を終了する。
なお、上記実施例においては、リングバッファに走行軌跡データとして格納された順に表示縮尺に応じたデータ群間隔Nで地点データ群を読み出して走行軌跡を始点から終点に向けて順次表示するとしたが、ステップS31において読出しアドレスポインタを終点アドレスにセットしかつステップS35において読出しアドレスポインタを1データ群分だけ戻すようにすることにより、格納順とは逆順に表示縮尺に応じたデータ群間隔Nで地点データ群を読み出して走行軌跡を終点から始点に向けて順次表示するようにすることも可能である。
発明の効果
以上説明したように、本発明の請求項1記載の車載ナビゲーション装置においては、車両の現在地を認識し、その現在地の地点座標を示す地点データを車両が一定間隔だけ走行する毎に順次収集して、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶手段に記憶しておき、車両の走行軌跡の表示指令に応答して一連の地点データを表示縮尺に応じたデータ間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを表示手段に順次表示することにより、走行軌跡を表示手段に表示させる構成となっている。
これにより、表示縮尺によらず走行軌跡をディスプレイ上に見やすく表示することができる。
特に、地点データ群を表示縮尺に応じたデータ群間隔で順次読み出すことにより、軌跡を辿る間隔が表示縮尺に応じて変化することになるため、一定の条件下で収集された地点データ群の集合からなる軌跡データであっても、表示縮尺の変化によって軌跡を辿る間隔が大き過ぎたり小さ過ぎたりすることなく表示縮尺の変化に拘らずほぼ同じように走行軌跡を表示できることになる。
さらに、本発明の請求項2記載の車載ナビゲーション装置においては、表示縮尺によらず走行軌跡をディスプレイ上に見やすく表示することができるとともに、逆の方向に走行する場合の道順の案内に便利となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による車載ナビゲーション装置の一実施例を示すブロック図、第2図はCPUによって実行される走行軌跡データの収集の処理手順を示すフローチャート、第3図はCPUによって実行される走行軌跡の表示の処理手順を示すフローチャートである。
主要部分の符号の説明
1……方位センサ、3……距離センサ
5……システムコントローラ
10……CD-ドライバー
16……表示装置、17……ディスプレイ
 
訂正の要旨 (3)訂正の要旨
特許請求の範囲の減縮を目的として、【特許請求の範囲】の【請求項1】及び【請求項2】に限定事項を付加した。これに伴い、明りょうでない記載の釈明を目的として、【発明の詳細な説明】の発明の概要と発明の効果を訂正した。以下、各訂正事項を具体的に説明する。
1)訂正事項A
特許請求の範囲の請求項1において、特許請求の範囲の減縮を目的として「前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、前記走行軌跡を表示させる」を「前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し‘順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより、前記走行軌跡を表示させる」と訂正した。
2)訂正事項B
特許請求の範囲の請求項2において、特許請求の範囲の減縮を目的として「前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データの各地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、前記走行軌跡を少なくとも走行した順序と逆の順序に読み出して表示させる」を「前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データの各地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより、前記走行軌跡を少なくとも走行した順序と逆の順序に読み出して表示させる」と訂正した。
3)訂正事項C
特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るために、明瞭でない記載の釈明を目的として、▲1▼発明の概要の 「前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、前記走行軌跡を表示させる」を「前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより、前記走行軌跡を表示させる」と訂正し、▲2▼発明の概要の「前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、前記走行軌跡を少なくとも走行した順序と逆の順序に読み出して表示させる」を「前記走行軌跡表示制御手段は、前記一連の地点データを表示縮尺に応じた間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを前記表示手段に順次表示することにより、前記走行軌跡を少なくとも走行した順序と逆の順序に読み出して表示させる」と訂正し、▲3▼発明の効果の「本発明の請求項1記載の車載ナビゲーション装置においては、車両の現在地を認識し、その現在地の地点座標を示す地点データを車両が一定間隔だけ走行する毎に順次収集して、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶手段に記憶しておき、車両の走行軌跡の表示指令に応答して一連の地点データを表示縮尺に応じたデータ間隔で間欠的に読み出して走行軌跡を表示手段に表示させる構成となっている。」を「本発明の請求項1記載の車載ナビゲーション装置においては、車両の現在地を認識し、その現在地の地点座標を示す地点データを車両が一定間隔だけ走行する毎に順次収集して、車両の走行に伴う一連の地点データを記憶手段に記憶しておき、車両の走行軌跡の表示指令に応答して一連の地点データを表示縮尺に応じたデータ間隔で間欠的に読み出し、順次読み出された一の地点データを中心とする地図データとともに該一の地点データを表示手段に順次表示することにより、走行軌跡を表示手段に表示させる構成となっている。」と訂正した。
異議決定日 2000-05-31 
出願番号 特願平1-175151
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G09B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 深田 高義  
特許庁審判長 大森 蔵人
特許庁審判官 槙原 進
川端 修
登録日 1998-11-13 
登録番号 特許第2849750号(P2849750)
権利者 パイオニア株式会社
発明の名称 車載ナビゲーション装置  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ