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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B63B
管理番号 1024223
異議申立番号 異議1999-71921  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-04-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-05-14 
確定日 2000-08-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2826273号「小型滑走艇」の請求項1及び2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2826273号の請求項1及び2に係る特許を維持する。 
理由 1手続きの経緯
本件特許2826273号の請求項1及び2に係る発明は、平成6年(1994)10月4日出願され、平成10年(1998)9月11日にその特許の設定登録がなされ、その後、小林瑞保より異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年4月14日に訂正請求がなされたものである。
2訂正の適否について
(1) 訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
(特許請求の範囲)
a 請求項1の「内部ハルは、内方へ突出して前後方向に延び、かつ両側で前記外部ハルの底壁の内面に接合されたリブを有している」を「内部ハルは、内方へ突出して前後方向に延びるリブと、その両側の接合部とが前記型成形で一体形成されており、前記接合部で前記外部ハルの底壁の内面に接合されている」と訂正する。
(発明の詳細な説明)
b 明細書の【課題を解決するための手段】(【0005】)及び【作用および効果】(【0007】)中の記載について上記aと同じ趣旨の訂正をする。
(2) 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(特許請求の範囲)
上記訂正事項aについては、特許明細書の特許請求の範囲に記載された内部ハルのリブと接合部との成型時の態様をA「一体成形」にまで限定するものである。
したがって、上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
当該事項Aは、願書に添付した明細書の【従来の技術】及び【発明が解決しようとする課題】に記載された「ハンドレイアップ」に対向した表現であって、【特許請求の範囲】及び【発明の詳細な説明】中の「型成形」の用語をより明確にしたものであるから、上記訂正事項aは、実質願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内での訂正である。
更に、上記訂正事項aは、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(発明の詳細な説明)
上記訂正事項bについては、明細書の【課題を解決するための手段】において、請求項1の上記訂正事項aに対応する部分を当該訂正事項aと整合するように明確化したものであるから、不明瞭な記載の釈明に相当するものである。
そして、上記発明の詳細な説明の訂正は、いずれも新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(3) 独立特許要件の判新
ア 訂正明細書の請求項1及び2に係る発明〈以下、「本件発明」という。〉
本件発明は、訂正明細書の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりの次のものである。
「【請求項1】 型成形されて船体下部の外形を形成する外部ハルと、型成形されて前記外部ハルの底壁にのみ対向する内部ハルとを備え、
前記内部ハルは、内方へ突出して前後方向に延びるリブと、その両側の接合部とが前記型成形で一体形成されており、前記接合部で前記外部ハルの底壁の内面に接合されている二重構造ハルを備えた小型滑走艇。
【請求項2】 請求項1において、前記外部ハルの上部にデッキが接合されており、このデッキに前記内部ハルのリブの突出端が接合されている小型滑走艇 。」
イ 引用刊行物の記載
(刊行物1)
当審での取消理由通知で引用した刊行物1(特開昭55―76782号公報)には、「縦通材12,14,16と連結部材18とは型成形により一体に構成され、この一体に構成された縦通材12,14,16と連結部材18は船体10の内側に第2図こ示すように配置されて接着される。」(第2頁(3)欄第14行〜第18行)と記載され、また、第1図及び第2図から明らかなように、上記縦通材12,1 4,16および連結部材1 8は、船体10の底壁にのみ対向しでいる。
第1,2,3図からみると、縦通材12,14,16およびその連結部材18は、内方へ突出して前後方に延びている。
また、第2頁(3)欄第18行〜(4)欄第1行には、「縦通材12,14,16を船体10の内側に接着するには、第3図に示すように不飽和ポリエステルを含浸した未硬化の繊維強化プラスチック22で目張りをすることによって行なう。」と記載され、 第1頁(1)欄第20行〜(2)欄第2行には、「船舶としての剛性を確保するために船体内側に縦通材が接着されて取り付けられるo 」と記載され、2頁(4)欄第2行〜6行には「フロア一20が縦通材12,14,16の上面に配置される。フロア一20と縦通材12,1 4,16との接着は、第3図に示すように…中略…によって接着する。」と記載されいる。
(刊行物2)
当審での取消理由通知で引用した刊行物2[実願昭58―199989号(実開昭59―111789号)のマイクロフィルム]の明細書には、「船体外形を有する外側板1Aと、船内形状を有する内側板1Bとを備えた船体1を合成樹脂のブロー成形手段により一体に成形し、該船体1は両側板1A,1B間に中空空間2を有し、外側板1Aには底部下方へ突出する複数の突条1 6を前後方向へ並設する一方、内側板1Bには外側板1Aの船底部3に接する補強用凹部17及び内部4に一又は二以上の腰掛突部5、すのこ 14、凹部1 7を適宜突設し、更に内外両側板1A,1Bの境界に於ける船体前後に内外側板1A,1Bが一体化した。‐プ挿通部1 3を設けるとともに、船体1の左右のへり6に内外両側板1A,1Bにわたりオール係止鈎7の取付具8を固着したことを特徴とするポート。」(実用新案登録請求の範囲)と記載されている。
また、図面第3図には.船底部3に接する補強用凹部17部分の断面図が開示されている。
ウ 対比・判断
本件発明と上記刊行物1及び2に記載の発明とを対比すると、上記刊行物1には、縦通材〈本件発明の「リブ」に相当している。〉[以下、〈〉内には、本件発明で相当している事項の用語を示す。]を船体〈外部ハルの底壁の内面〉へ接着するに際し、目張りを利用しており、本件発明のように、リブと一体形成された接合部を利用する記載はない。
刊行物2には、リブと一体成形された補強用凹部17〈リブの両側〉が有り、これは船底部3〈外部ハルの底壁の内面〉に接してはいるが、刊行物2に記載されたボートは、本件発明のような型成型で作られたものではなく、船体全体をブロー成形したものであるから、本件発明のように補強用凹部17〈リブの両側〉と船底部3〈外部ハルの底壁の内面〉が接合しているわけではなく、また内側板1B〈内部ハル〉はブロー成形であるが故に本件発明のように外側板〈外部ハル〉の底壁にのみ対向したものではない。
したがって、本件発明を特定する事項である『底壁にのみ対向し、リブと、底壁の内面に接合される接合部とが型成形で一体形成された内部ハル』は、上記刊行物1及び2の何れにも記載されていない。
そして本件発明は、上記事項の構成を採用したことにより、計量で且つ作成時に作業性の良い小型滑走艇が得られるという効果を奏する。
したがって、本件発明が、上記刊行物1及び2に記載のものから当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
なお、本件請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明を更に限定したものであるから、上記請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により、上記刊行物1及び2に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とする他の理由も発見しない。
(4) むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法120条の4第2項及び同条第3項で準用する特許法126条の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3特許異議の申立てについて
上記のとおり、訂正が認められる結果、本件特許に係る発明は、訂正明細書の請求項1および2に記載された事項により構成されるとおりのものである。
申立人は、甲第1号証(特開昭55―76782号公報ー前記刊行物1)及び甲第2号証(特開昭57―7779号公報)を提出し、
本件請求項1及び2に係る各特許発明は、甲第1号証と甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、したがって、各発明に係る特許はいずれも特許法113条1項2号の規定により取り消すべき旨主張している。
また、原審での引用例として特開平2―169385号公報(引用例1)と実開昭59―111789号公報(引用例2 前記刊行物2)も提出されている。
ア 甲各号証の記載
(甲第1号証 前記刊行物1)
前記2(3)イで示したとおりである。
(甲第2号証)
明細書中に、「ロンジ4は…中略…船底外板1に対してFRPの目張り材11によって強固に固着されている。」(2頁3欄13行ないし16行)と記載されており、第3図には、ロンジ4が、その両側で船底外板1の底壁の内面に接合されている点が明示されている。
(引用例1)
明細書中に、「船底が第1船底板及び第2船底板を有する二重構造とされ、これら第1及び第2船底板間に発泡材からなる浮力体が充填されて構成されるとともに、上記第2船底板上に船内機器取付用の取付金具を固着し得るよう構成され」(特許請求の範囲)と記載されている。
また、第5図には、ステンレスインサートFRPベースでエンジンをエンジンルームに接着した従来例が示されている。
(引用例2 前記引用刊行物2)
前記2(3)イで示したとおりである。
イ 対比・判断
本件発明は、上記2(3)ウで示した理由と同じ理由で、甲第1号証(刊行物1)及び引用例2(刊行物2)から容易に発明することができたものであるとすることはできない。
甲第2号証の記載及び引用例1の記載を合わせて比較検討する。
甲第2号証にはロンジ4〈リブ〉が、その両側で船底外板1の底壁の内面に接合されてはいるが、リブと接合部とが型成形で一体形成されたものではなく、単なるロンジの接合に過ぎず、本件発明のような二重構造ハルとは言い難い。
引用例1は、出願人が従来例として指摘した芯材入りの二重構造ハルに過ぎない。
また、第5図の例は、FRPベースをエンジンルームに接着したものではあるが、部分的なものでとうていハルとは言い難い。
したがって、甲第2号証の記載及び引用例1の記載も、本件発明の『リブと、底壁の内面に接合される接合部とが型成形で一体形成された内部ハル』を示唆するものではない。
ウ むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
小型滑走艇
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 型成形されて船体下部の外形を形成する外部ハルと、型成形されて前記外部ハルの底壁にのみ対向する内部ハルとを備え、
前記内部ハルは、内方へ突出して前後方向に延びるリブと、その両側の接合部とが前記型成形で一体形成されており、前記接合部で前記外部ハルの底壁の内面に接合されている二重構造ハルを備えた小型滑走艇。
【請求項2】 請求項1において、前記外部ハルの上部にデッキが接合されており、このデッキに前記内部ハルのリブの突出端が接合されている小型滑走艇。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、外部ハルと内部ハルとでなる二重構造ハルを備えた小型滑走艇に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
小型滑走艇においては、船体下部を構成するハルに上部のデッキを接合してなるが、これまでのハルは、単板式のものが一般的であった(意匠登録第449793号参照)。
船体の強度を高くすること、浸水時の船体浮力を確保するための密閉された浮力室を作ることなど、構造的な要求から、ハルを内外二重構造にしたものもある。このものは、船体下部の外形を形成する外部ハルと、外部ハルの内面に接合される内部ハルとを備えるが、内部ハルの形成は、外部ハルの内面に芯材を付加し、この芯材を覆う形で、ハンドレイアップ方式によりなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の二重構造ハルは、前記のように、芯材を付加する方式であるため、まず芯材を作成するのに手間がかかり、しかも、ハンドレイアップであるために内部ハル作成の作業性が悪く、また、作成後にあっては不要な芯材がそのまま残ってしまう不都合もある。
【0004】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたもので、芯材の作成およびその内部ハルヘの付加作業が不要であるとともに、ハル作成後に芯材が残らず軽量化できる小型滑走艇を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1の発明は、型成形されて船体下部の外形を形成する外部ハルと、型成形されて前記外部ハルの底壁にのみ対向する内部ハルとを備え、前記内部ハルは、内方へ突出して前後方向に延びるリブと、その両側の接合部とが前記型成形で一体形成されており、前記接合部で前記外部ハルの底壁の内面に接合されている。
【0006】
また、請求項2の発明は、請求項1において、前記外部ハルの上部にデッキが接合されており、このデッキに前記内部ハルのリブの突出端が接合されている。
【0007】
【作用および効果】
請求項1では、外部ハルと内部ハルがそれぞれ型成形されたものであり、その内部ハルが、内方へ突出して前後方向に延びるリブと、その両側の接合部とが型成形で一体形成されており、前記接合部で外部ハルの底壁の内面に接合されているので、ハルの強度が向上する。また、前記のような芯材を作成する必要がないだけでなく、内部ハル形成時に同芯材を付加する必要がなくて作業が容易になる。しかも、芯材が船体に残って重量アップを招くようなこともない。
【0008】
請求項2では、デッキに内部ハルのリブの突出端が接合されているから、デッキがリブにより補強される。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら詳述する。
図1において、小型滑走艇は、上部の樹脂製デッキDと、下部の樹脂製ハルHとを接合して形成されている。デッキDは、その中央上部のハンドルバー1の後方に2人掛けの搭乗シート2を備える。同デッキDは、搭乗シート2付近を横断面にした図5に示すように、シート台15の両サイドに、搭乗者の足が載るステップ部Sを備え、その外側には、全周にわたる外縁フランジ4を備えている。
【0010】
一方、ハルHは、図2に分離状態を示すように、船体下部の外形を形成する外部ハル20と、外部ハル20の内面に接合される内部ハル30とを備える。これら両ハル20,30は共に、型成形された樹脂からなる。
【0011】
外部ハル20は、外縁フランジ21を全周にわたって備え、同フランジ21には、図5に示すように、デッキDの外縁フランジ4が被さるように接合される。外部ハル20の後部中央には、要部の縦断面図である図4に示すように、ダクト部22が斜め後ろ上がり状の凹入部として一体形成され、このダクト部22の後側に、推進機収納部23が横断面矩形の凹入部として一体形成されている。この推進機収納部23には推進機3(図1)の外殻となる金属製のポンプケース24と、その下方を覆って船底外面の一部を形成するポンプカバー25とが取り付けられている。
【0012】
内部ハル30は、図2に示すように、その左右両側に、内方(上方)へ突出して前後方向に延びる外側リブ31を有している。その断面は、図5に示すように、台形状であり、その上壁にデッキDのステップ部Sが接合されている。その接合個所は、図3にドットを付した領域として示されている。また、図3の斜線部分は、外部ハル20と内部ハル30の接着による接合部分を示す。
【0013】
内部ハル30の各外側リブ31の内側と外側には、図2に示すように、内側接合部32と外側接合部33とが設けられ、これらの接合部32,33は、図5に示すように、外部ハル20の底壁20aの内面に添って接着により接合される。ここで、外側接合部33は、外部ハル20の側壁20bまで延びず、軽量化のため短く抑えてある。したがって、内部ハル30は外部ハル20の底壁20aの内面にのみ対向する形になる。
【0014】
図2に示す内部ハル30の船首部34は、外部ハル20の外縁フランジ21に、図3のハッチングで示されたように接合される。また、図2の内部ハル30の船尾部35は、外部ハル20の船尾部26上に、図3のハッチングで示されたように接合される。さらに、内部ハル30の後部には、図4に示すように、エンジン5からの推進軸6を軸受7で挿通支持するための支持ボックス36が形成され、このボックス36は、その根元部の外周に位置する外周接合部37において、外部ハル20に接合されている。その接合部分は、図3にハッチングで表示されている。こうして、前記支持ボックス36と外部ハル20のダクト部22との間に、密閉された空間からなる浮力室38が形成されている。
【0015】
さらに、図2に示すように、内部ハル30の前部には、前側凹部39と後側凹部40が第1の横リブ41を介して形成され、各凹部39,40は、図3にハッチングで示すように、その周囲の一部39a,40aが外部ハル20に接合される。また、後側凹部40の後側に第2の横リブ42が形成されている。
【0016】
これら第1および第2の横リブ41,42には、それぞれ1対ずつ取付部45が配され、各取付部45は、いわゆる接着ナット方式で、図6にその拡大断面を示すように、横リブ41,42の下面(裏面)に設けたボス45aにナット46を挿通して接着剤47で固着して構成されている。これらの取付部45に、図4に示す燃料タンク(搭載物の一例)8が固定されている。同燃料タンク8は、後側凹部40内にセッティングされ、取付部45は、同タンク8にバンド9を掛けて、その先端金具10をボルト11で前記取付部45に固定している。
【0017】
図2に示す内部ハル30の外側リブ31よりも内側には、第2横リブ42につながり前後に長手方向を向けた内側リブ48が左右1対突設されている。各内側リブ48の上面には、前後に複数の取付部50が配され、同取付部50は、図7にその拡大断面を示すように、内側リブ48の下面に設けたボス50a内にナット51を挿通してこれを接着剤47で埋込み固着してある。これらの取付部50は、図4に示すように、ボルト11によりエンジン(搭載物の一例)5を内部ハル30、つまり船体に固定するために構成されている。
【0018】
さらに、内部ハル30の後部の支持ボックス36にも、図6と同様の構造の接着ナット方式の取付部53が、図2に示すように複数配され、これらの取付部53により、図4の電装品ボックス12が固定されている。
【0019】
上記構成において、図2の外部ハル20と内部ハル30がそれぞれ型成形されたものであり、その内部ハル30が、内方へ突出して前後方向に延びる外側リブ31および内側リブ48を有しているので、ハルHの強度が向上する。また、従来技術におけるような芯材を作成する必要がないだけでなく、内部ハル形成時に同芯材を付加する必要がないので、作業が容易になる。しかも、芯材が船体に残らないので、計量化が実現される。
【0020】
また、デッキDに内部ハル30の外側リブ31が接合されているから、デッキDが外側リブ31により補強される。さらに、内部ハル30にエンジン5、燃料タンク8のような各種搭載物の取付部45,50,53が形成されているから、取付部にかかる荷重は内部ハル30にかかり、直接外部ハル20にかからないので、外部ハル20の耐久性が向上する。
【0021】
しかも、取付部45,50,53を構成するボス45a,50aおよび接着ナット46,51は、内部ハル30の裏側、つまり外部ハル20との接合面側に設けられているから、取付部45,50,53が船内にはみ出すことがなくなるので、取付部45,50,53に周囲の搭載物が接触するおそれがなくなる。
【0022】
また、内部ハル30の支持ボックス36と外部ハル20とにより、密閉された浮力室38が形成されているから、浮力を発生するのに寄与する。
【0023】
上記実施例では、外部ハル20、内部ハル30およびデッキDを樹脂製としたが、これらの一部または全部をアルミニウムのような軽金属製として、型成形で作成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例に係る小型滑走艇を示す右側面図である。
【図2】
同実施例の外部ハルと内部ハルとを分離状態にして示す斜視図である。
【図3】
同実施例の内部ハルを基準にして外部ハルおよびデッキに対する接合状態を示す平面図である。
【図4】
同実施例のタンク、エンジン等の搭載状態を示す縦断面図である。
【図5】
同実施例においてエンジン搭載部付近の外部ハルと内部ハルの接合構造を示す横断面図である。
【図6】
接着ナット方式の一例を示す拡大断面図である。
【図7】
接着ナット方式の他の例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
D…デッキ、H…ハル、5,8…搭載物、20…外部ハル、30…内部ハル、31…リブ、45,50,53…取付部。
 
訂正の要旨 特許第2826273号の明細書を以下のとおりに訂正する。
(特許請求の範囲)
a 請求項1の「内部ハルは、内方へ突出して前後方向に延び、かつ両側で前記外部ハルの底壁の内面に接合されたリブを有している」を特許請求の範囲の減縮を目的として「内部ハルは、内方へ突出して前後方向に延びるリブと、その両側の接合部とが前記型成形で一体形成されており、前記接合部で前記外部ハルの底壁の内面に接合されている」と訂正する。
(発明の詳細な説明)
b 明細書の段落番号【0005】及び【0007】を特許請求の範囲との整合をはかるため不明瞭な記載の釈明を目的として上記aと同じ訂正をする。
異議決定日 2000-07-12 
出願番号 特願平6-266251
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B63B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大島 祥吾  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 鈴木 久雄
鈴木 法明
登録日 1998-09-11 
登録番号 特許第2826273号(P2826273)
権利者 川崎重工業株式会社
発明の名称 小型滑走艇  
代理人 佐渡 昇  
代理人 杉本 修司  
代理人 杉本 修司  

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