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審決分類 |
審判 全部申し立て 特39条先願 H01L |
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管理番号 | 1024292 |
異議申立番号 | 異議1999-71507 |
総通号数 | 15 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1990-09-12 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-04-23 |
確定日 | 2000-07-24 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2815113号「半導体装置の製造方法」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2815113号の特許を維持する。 |
理由 |
I.手続の経緯 本件特許第2815113号の請求項1〜6に係る発明は、平成1年3月1日に特許出願され、平成10年8月14日にその特許の設定登録がなされ、その後、佐々木茂之により特許異議の申立てがなされ、当審より取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成11年12月10日に訂正請求がなされ、当審より訂正拒絶理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年3月23日に訂正請求書の補正がなされ、その後、該補正に対し審判長名の手続補正指令(方式)がなされ、その指定期間内である平成12年6月12日に手続補正書(訂正請求書)についての手続補正(方式)がなされたものである。 II.訂正の適否 1.訂正請求に対する補正の適否 前記手続補正(方式)がなされた訂正請求書の補正は、訂正明細書の請求項1を削除し、請求項2を請求項1に繰り上げてその記載形式を独立請求項形式に改めると共に、訂正明細書の記載の整合を図るものであり、その内容からみて訂正請求の要旨を変更するものではないから、特許法第120条の4第3項で準用する同法第131条第2項の規定の適用については、平成6年改正特許法附則第6条第1項の規定によりなお従前の例による、とされることから適用される同改正法による改正前の特許法第131条第2項の規定に適合する。 2.訂正の内容 上記1で述べたことにより、本件訂正の内容は、以下のとおりである。 訂正a: 特許明細書の請求項1〜5を削除し、請求項6を請求項1に繰り上げてその記載形式を独立請求項形式に改める。 訂正b: 特許明細書4頁18行〜5頁9行「即ち、…ものである。」を、以下の記載に変更する。 「即ち、本発明はリードを片面に有する絶縁性フィルムのリード当接領域内に少なくとも1個、または該領域内とその近傍領域に複数個の微細貫通孔を厚み方向に設けた後、リードを電極とした電解メッキによってリード当接領域内に設けた貫通孔にのみ金属物質による導通路を形成すると共に、導通路を形成した貫通孔のリード当接面と反対面の開□部にバンプ状の金属突出物を形成してなるフィルムキャリアにおけるバンプ状の金属突出物に、外部接続用電極形成面に熱接着性樹脂層を形成してなる半導体素子を接続することを特徴とする半導体装置の製造方法を提供するものである。」 訂正c: 特許明細書8頁20行「パンプ」を「バンプ」と訂正する。 訂正d: 特許明細書1頁の発明の名称「フィルムキャリアおよび半導体装置の製造方法」を「半導体装置の製造方法」に変更する。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無および拡張・変更の存否 上記訂正a、b、dは、特許請求の範囲の減縮と、それに伴う明りょうでない記載の釈明に該当し、訂正cは、誤記の訂正に該当する。 また、いずれの訂正も、願書に添付した明細書の記載事項の範囲内のものであり、且つ、特許請求の範囲を実質上拡張ないし変更するものではない。 3.独立特許要件の判断 訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は、後記「III.特許異議申立てについて」において説示するように、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を見出せない。 4.むすび よって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項但書及び同条第3項で準用する同法第126条第2〜4項の規定の適用については、平成6年改正特許法附則第6条第1項の規定によりなお従前の例による、とされることから適用される同改正法による改正前の特許法第126条第1項但書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 III.特許異議申立てについて 1.申立ての理由の概要 特許異議申立人佐々木茂之は、証拠方法として下記甲第1〜3号証を提出して、本件の(訂正前の)請求項1〜6に係る発明は甲第1号証に記載された発明と同一であるから、該請求項1〜6に係る特許は特許法第39条第1項の規定に違反してなされたものであって取り消されるべきである、と主張している。 記 甲第1号証:特公平7- 60840号公報(特願昭63-283207号、特許第2025062号) 甲第2号証:特開昭63-307750号公報 甲第3号証:特開昭63- 92036号公報 2.本件発明 本件の特許異義申立ての対象となった発明のうち、請求項1〜5に係る発明は、前記IIの訂正により削除され、請求項6に係る発明のみが、項番号の繰り上げにより、新たに請求項1に係る発明として残った。 而して、該新たな(=訂正後の)請求項1に係る発明は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】リードを片面に有する絶縁性フィルムのリード当接領域内に少なくとも1個、または該領域内とその近傍領域に複数個の微細貫通孔を厚み方向に設けた後、リードを電極とした電解メッキによってリード当接領域内に設けた貫通孔にのみ金属物質による導通路を形成すると共に、導通路を形成した貫通孔のリード当接面と反対面の開□部にバンプ状の金属突出物を形成してなるフィルムキャリアにおけるバンプ状の金属突出物に、外部接続用電極形成面に熱接着性樹脂層を形成してなる半導体素子を接続することを特徴とする半導体装置の製造方法。」(以下、「本件発明」という。) 3.甲各号証に記載の事項 〈甲第1号証〉 イ.「(a) 絶縁性基材の少なくとも片面にボンディングパッドを有する導体パターンを形成する工程、 (b) 上記絶縁性基材のボンディングパッド当接領域内または該領域内とその近傍に、ボンディングパッドの面積よりも小さな孔ピッチにて少なくとも1個の微細貫通孔を厚み方向に設ける工程、(c) 絶縁性基材の導体パターン形成面をマスクし、ボンディングパッドを含む導体パターンを電極として電解メッキを行ない、ボンディングパッド当接領域内の貫通孔に金属物質層を形成、成長させて貫通孔に導通路を形成し、次いでこの貫通孔の上記絶縁性基材の開□部にバンプ状の金属突出物を形成する工程、 からなることを特徴とする配線基板の製法。」(特許請求の範囲【請求項3】参照) 〈甲第2号証〉 ロ.樹脂膜をレーザーで穿孔し、該孔に半田バンプを形成すること。(2頁左上欄6行〜左下欄10行〔実施例〕参照) 〈甲第3号証〉 ハ.半導体素子を基板上のリード端のバンプに接続する際に熱接着樹脂層を用いること。(2頁右上欄19行〜右下欄23行〈実施例1〉,〈実施例2〉参照) 4.対比・判断 甲第1号証に示された先願(特願昭63-283207号)の発明は、甲第1号証の特許請求の範囲の各請求項に記載されたとおりの内容のものとして、平成8年2月26日にその特許の設定の登録がなされた。 而して、本件発明と上記先願の請求項3に係る発明(以下、「先願発明3」という。)を対比すると、後者における「ボンディングパッド」ないし「ボンディングパッドを有する導体パターン」は、その技術的実体を先願明細書及び図面の記載により把握してみると、前者における「リード」に相当し、また、後者における「絶縁性基材」及び「配線基板」は、それらの技術的実体を同様にして把握してみると、それぞれ、前者における「絶縁性フィルム」及び「フィルムキャリア」に相当するから、結局、両発明は、 リードを片面に有する絶縁性フィルムのリード当接領域内に少なくとも1個、または該領域内とその近傍領域に複数個の微細貫通孔を厚み方向に設けた後、リードを電極とした電解メッキによってリード当接領域内に設けた貫通孔にのみ金属物質による導通路を形成すると共に、導通路を形成した貫通孔のリード当接面と反対面の開□部にバンプ状の金属突出物を形成してフィルムキャリアとすること(以下、「構成A」という。)を構成として有する製造方法、 である点で一致し、次の点で相違する。 先願発明3が、上記構成Aからなる配線基板(=フィルムキャリア)の製造方法であるのに対し、本件発明は、上記構成Aに、更に、該フィルムキャリアのバンプ状金属突出物に、外部接続用電極形成面に熱接着性樹脂層を形成してなる半導体素子を接続すること(以下、「構成B」という。)を構成として加えてなる半導体装置の製造方法である点。 そこで、この相違点について検討するに、上記構成Bについては、甲第1号証に何も記載されておらず、又、その記載から自明なことでもない。 なお、この点に関し、特許異義申立人は、甲第3号証を挙げて、半導体素子をフィルムキャリアに接続する際に熱接着樹脂層を用いることは公知技術である、と主張しており(特許異義申立書10頁(下から)5行〜11頁2行)、また、事実、甲第3号証の記載によれば、前記III.3.ハにみるように、構成Bに相当する技術がそれ自体としては公知であることが認められないではないが、しかし、単にこれを根拠に、本件発明と先願発明3との間に上記相違点が存在することを否定し、これら両発明が同一発明であると結論できる訳のものではないことは多言を要するまでもなく明らかである。 なお又、特許異義申立人が提出した甲第2号証は、もともと、エキシマレーザー照射による穿孔加工を構成要件とする訂正前の本件請求項2に係る発明に対する証拠として提出されたものであり、その記載内容も、前記III.3.ロにみるように樹脂膜のレーザー穿孔と該孔へのバンプ形成に関するものであるから、これ亦、本件発明と先願発明3との間に上記相違点が存在することを否定するに足るものではない。 そして、本件発明は、上記相違点に係る構成を有することにより、半導体素子と絶縁性フィルムとの密着性を向上させて電気的接続を強固ならしめると共に、半導体装置の表面保護にも役立ち、製造工程も簡素化できる、という明細書記載の顕著な効果を奏する。 よって、本件発明は、甲第2〜3号証を参酌しても、甲第1号証に記載された先願発明と同一であるとすることはできない。 なお、既述のとおり、特許異義申立ての対象となった発明のうち、訂正前の本件請求項1〜5に係る発明は、前記IIの訂正の結果、削除されたので、これらに対する特許異義申立て理由は解消された。 5.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 半導体装置の製造方法 (57)【特許請求の範囲】 (1)リードを片面に有する絶縁性フィルムのリード当接領域内に少なくとも1個、または該領域内とその近傍領域に複数個の微細貫通孔を厚み方向に設けた後、リードを電極とした電解メッキによってリード当接領域内に設けた貫通孔にのみ金属物質による導通路を形成すると共に、導通路を形成した貫通孔のリード当接面と反対面の開口部にバンプ状の金属突出物を形成してなるフィルムキャリアにおけるバンプ状の金属突出物に、外部接続用電極形成面に熱接着性樹脂層を形成してなる半導体素子を接続することを特徴とする半導体装置の製造方法。 【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は半導体装置の製造方法に関するものである。 <従来の技術> 従来から半導体素子の実装方式の一つとしてフィルムキャリア方式が採用されている。 フィルムキャリア方式におけるフィンガー状リードと半導体素子とのボンディング(インナーリードボンディング)方法としては、各種の方法が提案されており、半導体素子の電極面にバンプ(突起電極)を形成し、このバンプを利用してフィルムキャリア上のリードとボンディングする方法が提案されている。 しかし、電極面へのバンプ形成工程は、電極面にチタン/クロムなど金属による接着層およびバンプ形成金属の拡散防止のための銅、白金、パラジウムなどの金属からなるバリアー層をスパッタエッチングや蒸着などの方法により形成し、さらに、メッキ法により金メッキなどによりバンプを形成するという複雑な工程が必要となるだけでなく、半導体素子の汚染や損傷を免れることが難しく、決して優れた方法とは云えないものである。 また、前記方法とは逆に、フィルムキャリア側のリードにバンプを形成してボンディングする方法も提案されているが、この方法も上記方法と同様、複雑なバンプ形成工程が必要となるものである。 近年、バンプレスフィルムキャリアとして、異方導電膜を用いたものが提案されている(特開昭63-4633号公報)。用いる異方導電膜としてはカーボンブラック、グラファイト、ニッケル、銅、銀などの導電性粒子を電気絶縁性樹脂膜に分散し、粒子を膜の厚み方向に配向させたものであって、均質な異方導電性を発揮する膜を得るには製法上、煩雑なものとなり、また導電性粒子の配向が不充分な場合は、半導体素子の電極とリードとのインナーリードボンディングが不確実なものとなり、接続信頼性が低下する恐れがある。 <発明が解決しようとする課題> 本発明は上記従来の技術が有する欠点を解決するフィルムキャリアの製造方法、詳しくは半導体素子とリードをボンディングする際の位置決めが容易となり、且つ半導体装置の製造が極めて容易となるフィルムキャリアの製造方法、およびこのフィルムキャリアを用いてなる半導体装置の製造方法を提供することを目的とするものである。 <課題を解決するための手段> 本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、表裏面に導通する貫通孔を設けた絶縁性フィルムを用い、該貫通孔の開口部にバンプ状金属突出物を設けることにより、上記目的を達成できるフィルムキャリアが得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明はリードを片面に有する絶縁性フィルムのリード当接領域内に少なくとも1個、または該領域内とその近傍領域に複数個の微細貫通孔を厚み方向に設けた後、リードを電極とした電解メッキによってリード当接領域内に設けた貫通孔にのみ金属物質による導通路を形成すると共に、導通路を形成した貫通孔のリード当接面と反対面の開口部にバンプ状の金属突出物を形成してなるフィルムキャリアにおけるバンプ状の金属突出物に、外部接続用電極形成面に熱接着性樹脂層を形成してなる半導体素子を接続することを特徴とする半導体装置の製造方法を提供するものである。 <実施例> 以下に、本発明を図面に示す一実施例に基づき説明する。 第1図は本発明の製造方法によって得られる半導体装置の一実例を示す断面図であり、リード3を片面に有する絶縁性フィルム2のリード3当接領域内およびその近傍領域に、複数の貫通孔4が設けられており、このリード3当接領域内に設けられた貫通孔4にのみ金属物質5が充填され、バンプ状金属突出物6が形成されている。 半導体素子1は素子上のアルミニウム電極などの外部接続用電極7を、上記フィルムキャリアのバンプ状金属突出物6に接続することによって半導体装置とすることができる。 第1図において絶縁性フィルム2は電気絶縁特性を有するフィルムであればその素材に制限はなく、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン系樹脂などの熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を問わず使用できる。これらのうち、耐熱性や機械的強度の点からポリイミド系樹脂を用いることが好ましい。 上記絶縁性フィルム2の片面のリード3は、例えば金、銀、銅、ニッケル、コバルトなどの各種金属、またはこれらを主成分とする各種合金などの導電性材料によって形成され、半導体素子1と電気的に接続され、半導体素子1の所定の機能を発揮せしめるように、所望の線状パターンにて配線されている。 本発明の製造方法によって得られるフイルムキャリアの上記絶縁フイルム2に設ける貫通孔4は、リード3と半導体素子1上の外部接続用電極7との接続を果たすために重要であり、リード当接領域内または該領域内とその近傍領域にリード3の幅よりも小さな孔間ピッチにて、少なくとも1個の微細貫通孔がフィルム3の厚み方向に設けられている。貫通孔4は機械加工やレーザー加工、光加工、化学エッチングなどの方法を用い、任意の孔径や孔間ピッチにて設けることができ、例えばエキシマレーザーの照射による穿孔加工を行なうことが好ましい。また、貫通孔4の孔径は、隣合う貫通孔4同士が繋がらない程度にまで大きくし、さらに孔間ピッチもできるだけ小さくしてリードに接する貫通孔4の数を増やすことが、後の工程にて充填する金属物質の電気抵抗を小さくする上で好ましい。 上記のようにして設けられた貫通孔4のうち、リード3当接領域内の貫通孔には、金属物質5を充填することによって導通路が形成される。さらに、導通路が形成されている貫通孔4のリード当接面と反対面の開口部に数μm〜数十μmの高さでバンプ状に突出物6を形成させることによってフィルムキャリアを得ることができる。 金属物質による導通路およびバンプ状金属突出物の形成は、例えばリード3を電極として電解メッキすることによって、リード3当接領域内の貫通孔のみに選択的に行なえるものである。 また、貫通孔に充填および突出させる金属物質は、単一の金属物質に限定されず、複数種の金属を用い、多層構造とすることもできる。例えば第2図に示すように、貫通孔のリード側の第1層に銅などの安価な金属物質5aを用い、半導体素子と接する第3層には接続信頼性の高い金などの金属物質5cを用い、第1層と第3層との間に位置する第2層として、第1層と第3層を形成する金属物質の相互反応を防止するためのバリヤー性金属物質5bとしてニッケルなどを用いることもできる。 本発明の製造方法によって得られるフィルムキャリアは、上記フィルムキャリアに形成されたバンプ状金属突出物6に、半導体素子1上の電極7を通常の接着、電気接続することによって目的とする半導体装置とすることができる。 第3図(a)〜(e)は半導体素子1の外部接続用電極7形成面に熱接着性樹脂8を設けてフィルムキャリアと半導体素子の接続し、半導体装置を得るための製造工程図である。 第3図(a)は前記のように絶縁性フィルム2に貫通孔4を設けたものの断面図、第3図(b)は貫通孔を導通路とするために金属物質5を充填した際の断面図、第3図(c)は第3図(b)の斜視図、第3図(d)は熱接着性樹脂層8を表面に付着した半導体素子1を接続する際の断面図、第3図(e)は接続後の半導体装置の断面図である。 上記接着性樹脂層8に用いる樹脂としては、エポキシ樹脂の如き熱硬化性樹脂やフッ素樹脂の如き熱可塑性樹脂を問わず使用できる。また、該樹脂層8はダイシング前もしくは後のシリコンウエハに付着させて一体化させてフィルムキャリアに接続してもよいし、熱接着性樹脂層8をパターン上に設けてたり、フィルム状やリボン状にしたものを半導体素子とフィルムキャリアとの接続時に挟着して熱圧着してもよい。 このように熱接着性樹脂層8を介在させてフィルムキャリアに半導体素子1を接続した場合、キャリアと素子との間に熱接着性樹脂の層が形成され、且つ貫通孔にまで樹脂が充填されるので密着性が向上し、電気的接続も強固となる。さらに、半導体装置の表面保護も該樹脂層によって行なえるので、製造工程も簡素化できるものである。なお、接続後、第3図(e)に示すように余分な樹脂は金属物質が充填されていない貫通孔内に流入して内部の空気を押し出すので、後の工程で本発明の製造方法によって得られる半導体装置を樹脂封止する際にボイドが発生したり、クラックが入ることもなく信頼性の高いものとなる。 <発明の効果> 以上のように、本発明の製造方法によって得られるフィルムキャリアはリード当接領域内または該領域とその近傍領域の絶縁性フィルムに貫通孔を設け、その内部に金属物質を充填し、さらにバンプ状の金属突出物を形成しているので、貫通孔の形成時はリード形成部に粗位置合わせするだけで良く、また、半導体素子との接続もバンプ状の突出物によって、高精度に位置決めできるものであり、得られる半導体装置の信頼性が向上するものである。 また、高精度のバンプが安価に形成できると共に、配線および貫通孔を微細化することによって、半導体素子配線のファインピッチにも対応できるものである。さらに、半導体素子面の外部接続用電極を素子面内で自由にレイアウト可能となり、配線設計における自由度が増大するものである。 また、本発明の製造方法によって得られるフィルムキャリアと半導体素子との接続時に、熱接着性樹脂層を介在させることによって樹脂封止も同時に行なうことができるので、製造工程が簡素化できると共に、強固な接続ができ、信頼性が向上するものである。 【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の製造方法によって得られる半導体装置の一実例を示す断面図、第2図は貫通孔に金属物質を多層にて充填した場合の拡大断面図、第3図(a)〜(e)は半導体素子1の外部接続用電極7形成面に熱接着性樹脂層8を設けてフィルムキャリアと半導体素子の接続し、半導体装置を得るための製造工程図である。 1・・・半導体素子、2・・・絶縁性フィルム、3・・・リード、4・・・貫通孔、5・・・金属物質、6・・・バンプ状金属突出物、7・・・外部接続用電極、8・・・熱接着性樹脂層 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 特許第2815113号発明の明細書を、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として、補正された訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正する。 すなわち、 1.訂正a 請求項1〜5を削除し、請求項6を請求項1に繰り上げて、その記載形式を独立請求項形式に改める。 2.訂正b 明細書4頁18行〜5頁9行「即ち、…ものである。」を、以下の記載に変更する。 「即ち、本発明はリードを片面に有する絶縁性フィルムのリード当接領域内に少なくとも1個、または該領域内とその近傍領域に複数個の微細貫通孔を厚み方向に設けた後、リードを電極とした電解メッキによってリード当接領域内に設けた貫通孔にのみ金属物質による導通路を形成すると共に、導通路を形成した貫通孔のリード当接面と反対面の開□部にバンプ状の金属突出物を形成してなるフィルムキャリアにおけるバンプ状の金属突出物に、外部接続用電極形成面に熱接着性樹脂層を形成してなる半導体素子を接続することを特徴とする半導体装置の製造方法を提供するものである。」 3.訂正c 明細書8頁20行「パンプ」を「バンプ」と訂正する。 4.訂正d 明細書1頁の発明の名称「フィルムキャリアおよび半導体装置の製造方法」を「半導体装置の製造方法」に変更する。 |
異議決定日 | 2000-06-28 |
出願番号 | 特願平1-50792 |
審決分類 |
P
1
651・
4-
YA
(H01L)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 金 公彦 |
特許庁審判長 |
酒井 正己 |
特許庁審判官 |
伊藤 明 雨宮 弘治 |
登録日 | 1998-08-14 |
登録番号 | 特許第2815113号(P2815113) |
権利者 | 日東電工株式会社 |
発明の名称 | 半導体装置の製造方法 |