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審決分類 審判 全部申し立て 特39条先願  A01F
管理番号 1027450
異議申立番号 異議1999-74503  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-11-17 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-12-01 
確定日 2000-07-12 
異議申立件数
事件の表示 特許第2900032号「コンバインの脱穀装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2900032号の特許を維持する。 
理由 1.本件発明
本件特許第2900032号(昭和63年5月9日出願の実願昭63-60904号を出願変更した特願平5-212345号の一部を新たな出願とした特願平9-82365号の一部を更に新たな出願とした特願平9-278226号の一部を重ねて新たな出願とした特願平10-189678号に係り、平成11年3月19日設定登録。)の請求項1に係る発明(以下、本件発明という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「脱穀部(4)一側で前後方向にフィードチエン(5)を張設させるコンバインの脱穀装置において、縦軸(33)(34)回りにフィードチェン(5)を水平方向に回動させると共に、フィードチエン(5)を張設させる前後の輪体(30)(42)の間で下方に駆動スプロケット(26)を設け、またフィードチェン(5)の非搬送側で緩み側にテンションローラ(41)を設け、さらに本機側の駆動軸を突設させて軸芯方向に係脱自在にフィードチェンの駆動スプロケットを連結させたことを特徴とするコンバインの脱穀装置。」

2.申立ての理由の概要
特許異議申立人井関農機株式会社は、証拠として甲第1号証(特許第2852652号公報)及び甲第2号証(実公昭62一28840号公報)を提出し、本件発明は、同日に出願された特願平9-278226号に係る発明(甲第1号証参照)と実質的に同一であり、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許を取り消すべきである旨主張している。

3.甲各号証等の発明及び記載事項
特願平9-278226号に係る発明(以下、先願発明という。)は、本件特許出願の原出願であって、遡及出願日が昭和63年5月9日であり、平成10年11月20日に設定登録されたものであって、その特許明細書(甲第1号証)の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「脱穀部(4)一側で前後方向にフィードチエン(5)を張設させるコンバインの脱穀装置において、縦軸(33)(34)回りにフィードチェン(5)を水平方向に回動させると共に、フィードチエン(5)を張設させる前後の輪体(30)(42)の間で下方に駆動スプロケット(26)を設け、またフィードチェン(5)の非搬送側で緩み側にテンションローラ(41)を設けたことを特徴とするコンバインの脱穀装置。」
また、甲第2号証の刊行物には、
「扱室2の上部を覆う部材に挟扼レール10´を装着し、上記扱室2を覆う部材を退避させて扱室2の上部を開放し得るようにした脱穀機において、扱口3下方の側枠7の下部を開放可能に枢着し、この開放可能な側枠7の上部に上記挟扼レール10´に対設したフィードチェーン10とそのガイドレール11とを装着して扱室2の上部から側部に亘って開放できるように構成したことを特徴とする脱穀機における機枠。」(実用新案登録請求の範囲)、
「その際、駆動スプロケット13,13´は横軸23に係脱自在な継手により連繋されているので簡単に離脱し、また側枠7をセットする時クラッチ板21,24に多少の芯ずれがあっても簡単に接続し、伝動することができる。」(第3欄25〜29行)
が記載されている。
参考資料1の1(実開昭62-204445号公報)、参考資料1の2(実開昭62-134350号公報)、参考資料1の3(実開昭60-147243号公報)、参考資料1の4(実開昭62-45949号公報)には、
「作業装置を本機に対して回動可能に構成すると共に、本機側の駆動軸を突設させて軸芯方向に係脱自在に作業装置の駆動回転体を連結させること」が記載されている。

4.対比・判断
本件発明と先願発明とを対比すると、両者は、脱穀部(4)一側で前後方向にフィードチエン(5)を張設させるコンバインの脱穀装置において、縦軸(33)(34)回りにフィードチェン(5)を水平方向に回動させると共に、フィードチエン(5)を張設させる前後の輪体(30)(42)の間で下方に駆動スプロケット(26)を設け、またフィードチェン(5)の非搬送側で緩み側にテンションローラ(41)を設けたコンバインの脱穀装置である点で一致し、本件発明は、本機側の駆動軸を突設させて軸芯方向に係脱自在にフィードチェンの駆動スプロケットを連結させているのに対して、先願発明では、上記の点をその構成要件としていない点で相違する。
上記の相違点について検討すると、甲第2号証記載の刊行物に、上記のとおり、フィードチェーンを装着した脱穀機であって、駆動スプロケットが横軸に係脱自在な継手により連繋されており、簡単に離脱できることが記載されているが、この事実のみによって、フィードチエンを回動させる形式の脱穀機において、駆動スプロケットを本機側の駆動軸に係脱自在に連結させることが、本件出願前から周知慣用されていた事項であると認めることはできない。
それゆえ、本件発明は、甲第1号証の発明に本件出願前から周知慣用されていた手段を単に付加したものであるということはできないから、本件発明が、甲第1号証の特許発明と同一であるとすることはできない。
なお、参考資料1の1〜4には、「作業装置を本機に対して回動可能に構成すると共に、本機側の駆動軸を突設させて軸芯方向に係脱自在に作業装置の駆動回転体を連結させること」が記載されているものの、上記相違点の「本機側の駆動軸を突設させて軸芯方向に係脱自在にフィードチェンの駆動スプロケットを連結させている」ことは記載されておらず、上記相違点が参考資料1の1〜4に記載されているということはできない。

5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-06-19 
出願番号 特願平10-189678
審決分類 P 1 651・ 4- Y (A01F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高橋 三成吉田 英一  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 鈴木 寛治
新井 重雄
登録日 1999-03-19 
登録番号 特許第2900032号(P2900032)
権利者 ヤンマー農機株式会社
発明の名称 コンバインの脱穀装置  
代理人 藤原 忠治  

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