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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B41J
審判 全部申し立て 特39条先願  B41J
管理番号 1027478
異議申立番号 異議1999-73632  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-07-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-09-24 
確定日 2000-06-12 
異議申立件数
事件の表示 特許第2874499号「テープ印字装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2874499号の特許を維持する。 
理由 (1)本件発明
特許第2874499号(平成4年12月28日出願、平成11年1月14日設定登録)の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された下記の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】文字等の文書データからなるテキストを作成するテキスト作成手段と、テキスト作成手段により作成されたテキストを表示する表示手段と、表示手段に表示されたテキストを複数種類のテープ幅を有する長尺状のテープに印字を行なう印字手段とを有するテープ印字装置において、
前記テキストの内容をテキストイメージとして前記表示手段に表示させる表示指示手段と、
前記各テープのテープ幅を検出するテープ幅検出手段と、
前記表示指示手段からの指示に基づいて、前記テープ幅検出手段により検出されたテープ幅に対応させて前記表示手段上に表示されるテキストイメージの倍率を制御する表示制御手段とを備えたことを特徴とするテープ印字装置。」

(2)申立ての理由の概要
申立人・石塚輝は、特開平2-134274号公報(甲第1号証)を提示し、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第39条第1項の規定に違反してなされたものであるか、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、本件発明の特許を取り消すべきと主張している。

(3)甲第1号証の記載事項
甲第1号証には下記の事項が記載されている。
「文字を入力する手段と、入力された文字を文書に編集する文書編集手段と、入力された文字及び編集された文書を表示する表示手段と、該表示手段に表示されている文書を印写用紙に印写する印写手段とを備えた文書処理装置において、
前記印写手段の印写用紙挿通部に形成され、印写用紙の幅方向位置を特定する印写位置特定手段と、
前記印写位置特定手段の画像を前記表示手段に相似的に表示する手段と、
前記表示手段に表示されている印写位置特定手段の画像に沿って文字を配置する文書編集手段と、
前記表示手段に表示されている前記印写位置特定手段の画像と文字列との位置関係に従って前記文字列を前記印写位置特定手段に対応させて印写用紙に印写する印写手段と
を備えたことを特徴とする文書処理装置。」(特許請求の範囲)、
「本発明は文書処理装置、即ちワードプロセッサに関し、更に詳述すれば、たとえばオーディオカセットテープあるいはビデオカセットテープのラベル等に、タイトル等を印写するような際に容易な操作で確実に所定の位置に印写が可能な文書処理装置に関する。」(第1頁右下欄第5〜10行)、
「本発明の文書処理装置では、入力した文字列の各文字が印写用紙のいずれの位置にそれぞれ印写されるかを確認しつつ文字入力を実行することが可能になる。」(第2頁左下欄第3〜6行)、
「本発明のプリンタ4は・・・印写用紙11がボディ1の手前側から背後側へ第1図に矢符にて示す如く直線的に移動するように構成されている。またこのプリンタ4の印写用紙11の挿通部41の手前側には印写用紙11の幅方向位置を特定するための印写位置特定手段としてのスケール42が形成されている。・・・スケール42は5mm単位で目盛が刻まれ、1cm単位で数値が記入されている。・・・3cm位置にはオーディオカセットテープのラベルを印写用紙11として使用する際の左側端位置を指示する表示とがそれぞれ形成されている。」(第2頁右下欄第7行〜第3頁左上欄第7行)、
「第4図は本発明装置により文字入力及びその印写を行うための手順を示すフローチャートである。まずCPU5が起動されると、ユーザに文字入力を促すための表示が液晶ディスプレー31の画面上に第5図に示す如く実行される(ステップS1)。なおこの際の液晶ディスプレー31の表示は、具体的には画面の上部に「文字を入力してください。」というユーザに文字入力を促す表示と、その下部に文字入力のための枠が表示され、この枠内の文字入力位置にカーソルが位置される。・・・この第5図に示す表示状態で、ユーザがキーボード2を介してたとえば「文字の入力」というように文字入力を行うと、第6図に示す如く・・・編集処理が実行されて表示される(ステップS2)。なお、入力された文字列は文字データ管理部70を介した文字データ保存部7へ格納される。文字入力が終了した状態で、所定のキー、たとえば実行キー22等を操作すると印刷イメージ、即ち入力された文字列が印写用紙11に印写された際の実際の状態が表示される(ステップS3)。この印刷イメージの表示はたとえば第7図に示す如く行われる。即ち、液晶ディスプレイ31の画面には、まずスケール42の画像が実寸表示される。そして、印写条件データ管理部80を介して印写条件データ保存部8に保存されているデフォルト値が読出され、これに従ってスケール42の画像に沿って先のステップS2において入力されて文字データ保存部7に格納されている文字列「文字の入力」が文字データ管理部70を介して読出されて表示される。」(第3頁右上欄第8行〜左下欄第20行)、
「本発明の文書処理装置では、入力された文字列が液晶ディスプレイ31の画面に表示されているスケール42の画像に沿って配置され、またそれをユーザが目視しつつ先頭文字の位置あるいは各文字間隔等をソフトキー32により容易にリアルタイムで液晶ディスプレイ31の画面上で実際の印写状態に即して変更し得るので、たとえばオーディオカセットテープあるいはビデオカセットテープのラベル等のような印写対象領域が極めて限定されている印写用紙11に対しても容易な操作で確実な印写が可能である。なお、上記実施例ではスケール42の画像を液晶ディスプレイ31の画面に実寸表示するようにしているが、実寸ではなくたとえば1/2あるいは1/3等の相似表示でもよいことは勿論である。」(第4頁右上欄第6〜20行)。

(4)対比・判断
まず、本件発明と甲第1号証の特許請求の範囲に記載された発明とを対比する。
甲第1号証には、「印写用紙11の挿通部41の手前側には印写用紙11の幅方向位置を特定するための印写位置特定手段としてのスケール42が形成されている。・・・スケール42は5mm単位で目盛が刻まれ、1cm単位で数値が記入されている。・・・3cm位置にはオーディオカセットテープのラベルを印写用紙11として使用する際の左側端位置を指示する表示とがそれぞれ形成されている。」、「液晶ディスプレイ31の画面には、まずスケール42の画像が実寸表示される。」と記載されていることから、印写位置特定手段としてのスケール42は、本件発明の「複数種類のテープ幅を有する長尺状のテープのテープ幅を検出するテープ幅検出手段」に相当するものであるとすることはできない。
さらに、甲第1号証においては、「入力された文字列が液晶ディスプレイ31の画面に表示されているスケール42の画像に沿って配置され、またそれをユーザが目視しつつ先頭文字の位置あるいは各文字間隔等をソフトキー32により容易にリアルタイムで液晶ディスプレイ31の画面上で実際の印写状態に即して変更し得る」ものであり、何等かの表示指示手段からの指示に基づいて、入力された文字列がテキストイメージとして液晶ディスプレイ31へ表示が行われるものとはいえない。また、甲第1号証において、スケール42の画像を液晶ディスプレイ31の画面に実寸表示、あるいは1/2あるいは1/3等の相似表示させることは、何等かの表示指示手段からの指示に基づいて行われるものと解することはできない。
してみると、甲第1号証の特許請求の範囲に記載された発明は、本件発明を特定する事項である「テキストの内容をテキストイメージとして表示手段に表示させる表示指示手段と、複数種類のテープ幅を有する長尺状のテープのテープ幅を検出するテープ幅検出手段と、前記表示指示手段からの指示に基づいて、前記テープ幅検出手段により検出されたテープ幅に対応させて前記表示手段上に表示されるテキストイメージの倍率を制御する表示制御手段」(以下、「相違点」という。)を備えていない。
さらに、甲第1号証における他の記載事項を検討しても、上記相違点を開示もしくは示唆する点を見出すことはできない。
そして、異議申立人が提示した参考資料[実願平1-135146号(実開平3-72461号公報)のマイクロフィルム、特開平1-184156号公報、特開平3-189177号公報]を検討しても、上記相違点について開示もしくは示唆する点を見出すことはできない。
したがって、本件発明と甲第1号証の特許請求の範囲に記載された発明とは同一であるとすることはできないし、本件発明は甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。

(5)むすび
以上、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-05-19 
出願番号 特願平4-360216
審決分類 P 1 651・ 4- Y (B41J)
P 1 651・ 121- Y (B41J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松川 直樹  
特許庁審判長 砂川 克
特許庁審判官 番場 得造
信田 昌男
登録日 1999-01-14 
登録番号 特許第2874499号(P2874499)
権利者 ブラザー工業株式会社
発明の名称 テープ印字装置  

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