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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G11B
審判 全部申し立て 特39条先願  G11B
管理番号 1027528
異議申立番号 異議1999-73603  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-02-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-09-22 
確定日 2000-07-25 
異議申立件数
事件の表示 特許第2875797号「光ディスク」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2875797号の請求項2ないし3に係る特許を取り消す。 同請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2875797号の請求項1ないし3に係る発明についての出願は、平成9年4月11日に特許出願(優先権主張、平成8年4月11日)され、平成11年1月14日にその特許の設定登録がなされ、その後、異議申立人往西佐惠子より特許異議の申立てがなされ、その後、請求項2ないし3に係る発明について取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは何らの応答もなかったものである。

2.本件請求項1ないし3に係る発明
本件請求項1ないし3に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明3」という。)は、それぞれ特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3に記載された次のとおりである。
「【請求項1】 データが記録される複数のビデオタイトルセットの総タイトル数を獲得する獲得手段と、
データが記録される複数のビデオタイトルセットの選択画面としてのタイトルメニューが存在するか否かを判断する判断手段と、
データが記録される複数のビデオタイトルセットの選択画面としてのタイトルメニューの表示を指示するタイトルキーと、
このタイトルキーによりタイトルメニューの表示が指示された際に、上記判断手段によりタイトルメニューが存在すると判断した場合に、タイトルメニューを再生する再生手段と、
上記タイトルキーによりタイトルメニューの表示が指示された際に、上記判断手段によりタイトルメニューが存在していないと判断した場合に、上記獲得手段により獲得した総タイトル数の数値に対応する文字コードとフォーマットデータとによりタイトルメニュー画面を作成する作成手段と、
からなる光ディスク再生装置に用いられる光ディスクにおいて、
データが記録される複数のビデオタイトルセットが記録されているビデオタイトルセット記録領域と、
このビデオタイトルセット記録領域に記録されている複数のビデオタイトルセットの総タイトル数を記録する総タイトル数記録領域と、
上記ビデオタイトルセット記録領域の複数のビデオタイトルセットの選択画面としてのタイトルメニューを意味するメニューIDを記録するメニューID記録領域と、
上記ビデオタイトルセット記録領域の複数のビデオタイトルセットの選択画面としてのタイトルメニューを記録するタイトルメニュー画面記録領域と、
からなることを特徴とする光ディスク。
【請求項2】 データが記録される複数のビデオタイトルセットごとの総オーディオストリーム数と各オーディオストリームの言語コードとを獲得する獲得手段と、
上記ビデオタイトルセットごとの複数のオーディオストリームの選択画面としてのオーディオメニューが存在するか否かを判断する判断手段と、
複数のオーディオストリームの選択画面としてのオーディオメニューの表示を指示する指示キーと、
この指示キーによりオーディオメニューの表示が指示された際に、上記判断手段によりオーディオメニューが存在すると判断した場合に、オーディオメニューを再生する再生手段と、
上記指示キーによりオーディオメニューの表示が指示された際に、上記判断手段によりオーディオメニューが存在していないと判断した場合に、上記獲得手段により獲得した総オーディオストリーム数の数値に対応する文字コードとフォーマットデータとによりオーディオメニュー画面を作成する作成手段と、
からなる光ディスク再生装置に用いられる光ディスクにおいて、
データが記録される複数のビデオタイトルセットが記録されているビデオタイトルセット記録領域と、
このビデオタイトルセット記録領域に記録されている各ビデオタイトルセットごとの総オーディオストリーム数を記録する総オーディオストリーム数記録領域と、
このビデオタイトルセット記録領域に記録されている各ビデオタイトルセットのオーディオストリームごとの言語コードを記録するオーディオストリーム言語コード記録領域と、
上記オーディオストリームの選択画面としてのオーディオメニューを意味するメニューIDを記録するメニューID記録領域と、
上記オーディオストリームの選択画面としてのオーディオメニューを記録するオーディオメニュー画面記録領域と、
からなることを特徴とする光ディスク。
【請求項3】 データが記録される複数のビデオタイトルセットごとの総副映像ストリーム数と各副映像ストリームの言語コードとを獲得する獲得手段と、
上記ビデオタイトルセットごとの複数の副映像ストリームの選択画面としての副映像メニューが存在するか否かを判断する判断手段と、
複数の副映像ストリームの選択画面としての副映像メニューの表示を指示する指示キーと、
この指示キーにより副映像メニューの表示が指示された際に、上記判断手段により副映像メニューが存在すると判断した場合に、副映像メニューを再生する再生手段と、
上記指示キーにより副映像メニューの表示が指示された際に、上記判断手段により副映像メニューが存在していないと判断した場合に、上記獲得手段により獲得した総副映像ストリーム数の数値に対応する文字コードとフォーマットデータとにより副映像メニュー画面を作成する作成手段と、
からなる光ディスク再生装置に用いられる光ディスクにおいて、
データが記録される複数のビデオタイトルセットが記録されているビデオタイトルセット記録領域と、
このビデオタイトルセット記録領域に記録されている各ビデオタイトルセットごとの総副映像ストリーム数を記録する総副映像ストリーム数記録領域と、
このビデオタイトルセット記録領域に記録されている各ビデオタイトルセットの副映像ストリームごとの言語コードを記録する副映像ストリーム言語コード記録領域と、
上記副映像ストリームの選択画面としての副映像メニューを意味するメニューIDを記録するメニューID記録領域と、
上記副映像ストリームの選択画面としての副映像メニューを記録する副映像メニュー画面記録領域と、
からなることを特徴とする光ディスク。」

3.申立て理由の概要
異議申立人往西佐惠子は、証拠として甲第1号証ないし甲第3号証を提出し、「根拠i)」として請求項1ないし請求項3に記載された発明は、甲第1号証の記載のうち甲第2号証に記載されていた発明と同一であるから、これらの発明に係る特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであるので請求項1ないし3に記載された発明に係る特許は取り消されるべきものであり、「根拠ii)」として請求項1ないし請求項3に記載された発明は、同一出願人が出願した甲第3号証の発明と同一であるから、これらの発明に係る特許は特許法第39条第1項の規定に違反してなされたものであるので請求項1ないし3に記載された発明に係る特許は取り消されるべきものである旨主張している。
4.各刊行物の記載
(1)甲第1号証(特開平8-339662号公報)
(a)本件発明1に関する記載について
・【0130】、【0152】および図57のS52には、「総タイトル数を得る」と記載されている。【0058】によれば、ビデオタイトルセットの総タイトル数を得ることができる。
・【0136】および図58のS61には、「タイトルメニュー(ビデオタイトルセットメニュー)が存在しているか否かを判断する」と記載されている。さらに【0145】には、「タイトルメニューが存在しているか否かを判断する。この判断の結果、タイトルメニューが存在していると判断した場合」として、タイトルメニューが存在する場合の動作が記載され、第【0152】には、「タイトルメニューが存在していないと判断した場合」として、タイトルメニューが存在していない場合の動作が記載されている。
・【0033】および【0145】には、タイトルメニュー画面の表示を指示するタイトルキー51が記載されている。
・【0145】および図61(a)には、「タイトルメニューが存在しているか否かを判断する。この判断の結果、タイトルメニューが存在していると判断した場合、タイトルメニューのデータを・・・読出し、再生する。」と記載されている。
・【0152】には、「タイトルメニューが存在していないと判断した場合、上述したように獲得しているタイトル数分の数値に対応する文字コードとそのフォーマットデータとタイトルメニュー画面の作成の指示とを画面作成装置66に出力する。これにより、画面作成装置66は、システムCPU部50からの文字コードとそのフォーマットデータとによりタイトルメニュー画面を作成し」と記載されている。図62(a)には、作成され、表示されたタイトルメニュ)画面が示されている。
・【0019】および【0020】には、「この発明の一実施例に係る光ディスクからデータを再生する光デイス再生装置」が記載されており、「光ディスク」の記録データが再生される、と記載されている。
・【0036】、【0037】、【0189】および図6には、「少なくとも1以上のビデオタイトルセット72」を有するファイル構造において、「各ビデオタイトルセット72には、・・・圧縮されたビデオデータ、オーディオデータ及び副映像データ及びこれらの再生情報が格納され」と記載されている。
・【0059】、【0130】および図12には、「タイトルサーチポインタの数(TT_Ns)により光ディスク10内の総タイトル数を得る」と記載されている。
・【0068】および図19には、「ビデオマネージャーメニューのプログラムチェーンのカテゴリー(VMGM_PGC_CAT)には、・・・メニューかを示すメニューIDが記述されている。このメニューIDとしては、“0010”が記述される場合、タイトルメニューを意味している。」と記載されている。
・【0039】および図7には、「ビデオマネージャー71は、・・・ビデオマネージャー情報メニューの為のビデオオブジェクトセット(VMGM_VOBS)76・・・から構成されている。・・・このVMGM用のビデオオブジェクトセット(VMGM VOBS)76には、ビデオマネージャー71が管理する当該光ディスクのボリュームに関するメニューのビデオデータ、オーディオデータ及び副映像データが格納されている。」と記載されている。さらに、【0096】には、「メニューIDとしては、“0010”の場合、ビデオマネージャー情報メニュー(VMGM)で用いるタイトルメニューを示し」と記載されており、【0145】には、「タイトルメニューのデータを光ディスク10のビデオマネージャーメニュー(VMGM)75の為のビデオオブジェクトセット(VMGM_VOBS)76に対応する領域から読出し、再生する。」と記載されている。

(b)本件発明2に関する記載について
・【0132】および図57のS55には、「オーディオストリームの数(VTS_AST_Ns)により各タイトルごとのオーディオストリーム数を得」ると記載されている。さらに【0133】および図57のS56には、「オーディオストリームごとのオーディオの言語コード」により「各タイトルのオーディオストリームごとの言語を得る」と記載されている。
・【0140】および図58のS67、および【0147】には、「オーディオメニュー・・・が存在しているか否かを判断する」と記載されている。【0147】にはさらに、「オーディオメニューが存在していると判断した場合」として、オーディオメニューが存在している場合の動作が記載され、【0154】には、「オーディオメニューが存在していないと判断した場合」として、オーディオメニューが存在していない場合の動作が記載されている。
・【0147】には、オーディオメニュー画面の表示を指示するための、オーディオに対応する「3」キーが記載されている。
・【0147】および図61(c)には、「オーディオメニューが存在しているか否かを判断する。この判断の結果、オーディオメニューが存在していると判断した場合、・・・オーディオメニューのデータを・・・読出し、再生する。」と記載されている。
・【0154】には、「オーディオメニューが存在していないと判断した場合、上述したように獲得しているオーディオ数分の数値に対応する文字コードとそのフォーマットデータとオーディオメニュー画面の作成の指示とを画面作成装置66に出力する。これにより、画面作成装置66は、システムCPU部50からの文字コードとそのフォーマットデータとによりオーディオメニュー画面を作成し」と記載されている。図62(c)には、作成され、表示されたオーディオメニュー画面が示されている。
・【0019】および【0020】には、「この発明の一実施例に係る光ディスクからデータを再生する光ディスク再生装置」が記載されており、「光ディスク」の記録データが再生される、と記載されている。
・【0036】、【0037】、【0189】および図6には、「少なくとも1以上のビデオタイトルセット72」を有するファイル構造において、「各ビデオタイトルセット72には、・・・圧縮されたビデオデータ、オーディオデータ及び副映像データ及びこれらの再生情報が格納され」と記載されている。
・【0081】および図21には、「ビデオタイトルセット(VTS)72中の・・・オーディオストリームの数(VTS_AST_Ns)」が記載されている。【0132】には、「オーディオストリームの数(VTS_AST_Ns)により各タイトルごとのオーディオストリーム数を得」と記載されている。
・【0083】および図21には、「テーブル(VTSI_MAT)98には、ビデオタイトルセット(VTS)72中の・・・オーディオストリーム属性(VTS_AST_ATR)が記載されている。この属性(VTS_AST_ATR)には、・・・オーディオの言語コード等が記載される。」と記載されている。【0133】には、「各ビデオタイトルセット72ごとのテーブル(VTS_PTT_SRPT)99のオーディオストリーム属性(VTS_AST_ATR)に記載されているオーディオストリームごとのオーディオの言語コードにより、各タイトルのオーディオストリームごとの言語を得る」と記載されている。
・【0095】および図29には、「プログラムチェーン(PGC)のカテゴリー(PGC_CAT)は、メニュー用のプログラムチェーン(PGC)の場合、図29に示すように・・・ビット番号b27からビット番号b24にはメニューの種別を示すメニューIDが記述され」と記載されている。さらに【0096】には、「メニューIDとしては、・・・“0101”の場合、ビデオタイトルセットメニュー(VTSM)で用いるオーディオメニューを示し・・・ている。」と記載されている。
・【0070】および図20には、「ビデオタイトルセットメニュー用のビデオオブジェクトセット(VTSM_VOBS)95」が記載されている。【0096】には、「ビデオタイトルセットメニュー(VTSM)で用いるオーディオメニューを示し」と記載されている。さらに、【0147】には、「オーディオメニューが存在していると判断した場合、・・・オーディオメニューに対応して記憶されている先頭ビデオオブジェクトユニット(VOBU)85のスタートアドレス(C_FVOBU_SA)・・・に対応するオーディオメニューのデータを・・・ビデオオブジェクトセット(VTSM_VOBS)9 5に対応する領域から読出し、再生する。」と記載されている。

(c)本件発明3に関する記載について
・【0132】および図57のS55には、「各ビデオタイトルセット72ごとのテーブル(VTS_PTT_SRPT)99に記載されている・・・副映像ストリームの数(VTS_SPST_Ns)により各タイトルごとの副映像ストリームの数を得る(ステップS55)。」と記載されている。さらに【0134】および図57のS57には、「副映像ストリームごとの副映像の言語コードもこより、各タイトルの副映像ストリームごとの言語を得る」と記載されている。
・【0140】および図58のS67には、「副映像メニュー・・・が存在しているか否かを判断する」と記載されている。【0148】にはさらに、「副映像メニューが存在していると判断した場合」として、副映像メニューが存在している場合の動作が記載され、【0155】には、「副映像メニューが存在していないと判断した場合」として、副映像メニューが存在していない場合の動作が記載されている。
・【0148】には、副映像メニュー画面の表示を指示するための、副映像に対応する「4」キーが記載されている。
・【0148】および図61(d)には、「副映像メニューが存在しているか否かを判断する。この判断の結果、副映像メニューが存在していると判断した場合、・・・副映像メニューのデータを・・・読出し、再生する。」と記載されている。
・【0155】には、「副映像メニューが存在していないと判断した場合、上述したように獲得している副映像数分の数値に対応する文字コードとそのフォーマットデータと副映像メニュー画面の作成の指示とを画面作成装置66に出力する。これにより、画面作成装置66は、システムCPU部50からの文字コードとそのフォーマットデータとにより副映像メニュー画面を作成し」と記載されている。図62(d)には、作成され、表示されたオーディオメニュー画面が示されている。
・【0019】および【0020】には、「この発明の一実施例に係る光ディスクからデータを再生する光ディス再生装置」が記載されており、「光ディスク」の記録データが再生される、と記載されている。
・【0036】、【0037】、【0189】および図6には、「少なくとも1以上のビデオタイトルセット72」を有するファイル構造において、「各ビデオタイトルセット72には、・・・圧縮されたビデオデータ、オーディオデータ及び副映像データ及びこれらの再生情報が格納され」と記載されている。
・【0083】および図21には、「ビデオタイトルセット(VTS)72中の・・・副映像ストリームの数(VTS_SPST_Ns)」が記載されている。【0132】には、「副映像ストリームの数(VTS_SPST_Ns)により各タイトルごとの副映像ストリームの数を得る」と記載されている。
・【0083】および図21には、「テーブル(VTSI_MAT)98には、ビデオタイトルセット(VTS)72中の・・・副映像ストリーム属性(VTS_SPST_ATR)が記載されている。この属性(VTS_SPST_ATR)には、・・・副映像の言語コード等が記載される。」と記載されている。【0134】には、「各ビデオタイトルセット72ごとのテーブル(VTS_PTT_SRPT)99の副映像ストリーム属性(VTS_SPST_ATR)に記載されている副映像ストリームごとの副映像の言語コードもこより、各タイトルの副映像ストリームごとの言語を得る」と記載されている。
・【0095】および図29には、「プログラムチェーン(PGC)のカテゴリー(PGC_CAT)は、メニュー用のプログラムチェーン(PGC)の場合、図29に示すように・・・ビット番号b27からビット番号b24にはメニューの種別を示すメニューIDが記述され」と記載されている。さらに【0096】には、「メニューIDとしては、・・・ ”0100”の場合、ビデオタイトルセットメニュー(VTSM)で用いる副映像メニューを示し・・・ている。」と記載されている。
・【0070】および図20には、「ビデオタイトルセットメニュー用のビデオオブジェクトセット(VTSM_VOBS)95」が記載されている。【0096】には、「ビデオタイトルセットメニュー(VTSM)で用いる副映像メニューを示し」と記載されている。さらに、【0148】には、「副映像メニューが存在していると判断した場合、・・・副映像メニューに対応して記憶されている先頭ビデオオブジェクトユニット(VOBU)85のスタートアドレス(C_FVOBU_SA)・・・に対応する副映像メニューのデータを・・・ビデオオブジェクトセット(VTSM_VOBS)95に対応する領域から読出し、再生する。」と記載されている。

(2)甲第2号証(特願平7-114004号)
(a)本件発明1に関する記載について
・【0079】、【0081】および図19、20には、「各メニューごとのメニューの個数」が格納されたメニュー位置テーブルを作成すると記載されている。
・【0078】、【0083】および図18には、「MSINF-TMSCEL」および「MCITの上記セル番号のMCI」によって「タイトルメニューの有無が分かる」および「タイトルメニュー画面の有無を調べ」ると記載されている。
・【0083】には、タイトルメニュー画面を表示するための「テンキーの[1]キーまたは[タイトル]キー」が記載されている。
・【0083】には、「タイトルメニュー画面がある場合、・・・タイトルメニュー画面のデータを・・・読み出し、再生する。」と記載されており、図20(a)には再生されたタイトルメニュー画面が示されている。
・【0084】には、「タイトルメニュー画面がない場合、タイトルとなるコードとタイトルメニュー画面の作成の指示とを画面作成装置66に出力する。この結果、画面作成装置66はシステムCPU50からのコードによりタイトルメニュー画面を作成し」と記載されている。【0085】および図21(a)には、作成され、表示されたタイトルメニュー画面が示されている。このとき、このタイトルメニュー画面では、光ディスクに存在するタイトル番号が全て表示され、各タイトルは番号順に表記されている。
・【0020】および【0021】には、「この発明の一実施例に係る光ディスクからデータを再生する光ディス再生装置」が記載されており、「光ディスク」の記録データが再生される、と記載されている。
・【0029】および図4では、光ディスクには、映像(ムービ)ファイル、ミュージックファイルとして利用されるファイルのファイル領域(80)が記録されている。
・【0076】によれは、光ディスクには、ファイル内のシーケンス数を表すFSINFが含まれている。【0073】には、「シーケンス」が「タイトル」を示すことが記載されている。
・【0055】および図5、8によれば、メニューセル情報(MCI)(89)は、「メニューセル種別」を表すパラメータ(MCCAT)を含む。【0056】では、MCCATには、タイトルメニューかその他のメニューかが記述されると記載されている。
・【0301】および図5には、「メニュー映像データエリア84には、タイトル等の選択メニュー7を表示する為のメニュー画面の画像データが・・・格納されている。」と記載されている。

(b)本件発明2に関する記載について
・【0079】および図19、20には、「メニュー位置テーブル56aは、図19に示すように、各メニューごとのメニューの個数・・・により構成されている。」と記載されている。【0095】には、「オーディオ種別が「言語」の場合は、その言語名をDSINFのFCINF内のFACODEから取得して表示する」と記載されている。
・【0078】および図18には、「オーディオメニューの有無」と記載されている。【0096】には、「音声メニュー画面の有無を調べ」と記載されている。
・【0096】には、オーディオメニュー画面を表示するための「テンキーの[3]キーまたは[音声]キー」が記載されている。
・【0096】には、「音声メニュー画面がある場合、・・・タイトル音声メニュー画面のデータを・・・読み出し、再生する」と記載されており、図20(c)には再生された音声メニュー画面が示されている。
・【0097】には、「音声メニュー画面がない場合、音声の種別を示すコードと音声メニュー画面の作成の指示とを画面作成装置66に出力する。この結果、画面作成装置66はシステムCPU50からのコードにより音声メニュー画面を作成し」と記載されている。図21(c)には、作成され、表示された音声メニュー画面が示されている。【0098】には、「音声メニュー画面では、選択されているタイトルに存在する音声ストリーム番号・・・を表示する」と記載されている。
・【0020】および【0021】には、「この発明の一実施例に係る光ディスクからデータを再生する光ディス再生装置」が記載されており、「光ディスク」の記録データが再生される、と記載されている。
・【0029】および図4では、光ディスクには、映像(ムービ)ファイル、ミュージックファイルとして利用されるファイルのファイル領域(80)が記録されている。
・【0071】および【0076】によれば、光ディスクには、ファイル内のオーディオストリーム数を表すFSINFが含まれている。
・【0076】には「FACODEから音声コードを取得し」と記載され、【0095】には、「オーディオ種別が「言語」の場合は、その言語名をDSINFのFCINF内のFACODEから取得して表示する」と記載されている。
・【0055】および図5、8によれば、メニューセル情報(MCI)(89)は、「メニューセル種別」を表すパラメータ(MCCAT)を含む。【0056】では、MCCATには、オーディオメニューかその他のメニューかが記述されると記載されている。
・【0030】および図5には、「メニュー映像データエリア84には、タイトル等の選択メニューを表示する為のメニュー画面の画像データが・・・格納されている。」と記載されている。

(c)本件発明3に関する記載について
・【0079】および図19、20には、「メニュー位置テーブル56aは、図19に示すように、各メニューごとのメニューの個数・・・により構成されている。」と記載されている。【0101】には、「副映像種別が「言語」の場合は、その言語名をDSINFのFCINF内のFSPCODEから取得して表示する」と記載されている。
・【0078】および図18には、「副映像メニューの有無」が、【0102】には、「副映像メニュー画面の有無を調べ」と記載されている。
・【0102】には、オーディオメニュー画面を表示するための「テンキーの[4]キーまたは[副映像]キー」が記載されている。
・【0102】には、同一映像メニュー画面がある場合、・・・副映像メニュー画面のデータを・・・読み出し、再生する」と記載されており、図20(d)には再生された副映像メニュー画面が示されている。
・【0103】には、「副映像メニュー画面がない場合、副映像チャネル番号、言語名等のコードと副映像メニュー画面の作成の指示とを画面作成装置66に出力する。この結果、画面作成装置66はシステムCPU50からのコードにより副映像メニュー画面を作成し」と記載されている。図21(d)には、作成され、表示された副映像メニュー画面が示されている。【0104】には、「副映像メニュー画面では、選択されているタイトルに存在する副映像チャネル番号・・・を表示する」と記載されている。
・【0020】および【0021】には、「この発明の一実施例に係る光ディスクからデータを再生する光ディスク再生装置」が記載されており、「光ディスク」の記録データが再生される、と記載されている。
・【0029】および図4では、光ディスクには、映像(ムービ)ファイル、ミュージックファイルとして利用されるファイルのファイル領域(80)が記録されている。このうち、ムービファイルがビデオタイトルセットに相当する。
・【0071】および第【0076】によれば、光ディスクには、ファイル内の副映像ストリーム数(チャネル数)を表すFNSPCHが含まれている。
・【0076】には「FSPCODEから副映像コードを取得し」と記載され、【0101】には、「副映像種別が「言語」の場合は、その言語名をDSINFのFCINF内のFSPCODEから取得して表示する」と記載されている。
・【0055】および図5、8によれば、メニューセル情報(MCI)(89)は、「メニューセル種別」を表すパラメータ(MCCAT)を含む。【0056】では、MCCATには、副映像メニューかその他のメニューかが記述されると記載されている。
・【0030】および図5には、「メニュー映像データエリア84には、タイトル等の選択メニューを表示する為のメニュー画面の画像データが・・・格納されている。」と記載されている。

(3)甲第3号証(特願平9-77153号、特許第2869048号参照)
(a)本件発明1に関する記載について
「【請求項1】 映像用データが記録される複数のファイルが記録されているファイル領域と、
このファイル領域に記録されている複数のファイルの総タイトル数を記録する総タイトル数記録領域と、
上記ファイル領域のタイトルの選択画面としてのタイトルメニューが存在するか否かを示すタイトルメニュー存在情報を記録するタイトルメニュー存在情報記録領域と、
上記タイトルメニューのためのメニュー映像用データが記録されるメニュー映像データ記録領域と、
からなる光ディスクからデータを再生する光ディスク再生装置において、
上記総タイトル数記録領域に記録されている総タイトル数により、上記光ディスク内に存在するタイトル総数を得る手段と、
上記タイトルメニューの表示を指示するタイトルキーと、
このタイトルキーによりタイトルメニューの表示が指示された際に、上記タイトルメニュー存在情報記録領域のタイトルメニュー存在情報によりタイトルメニューが存在するか否かを判断する判断手段と、
この判断手段によりタイトルメニューが存在すると判断した場合に、上記メニュー映像データ記録領域に記録されているタイトルメニューのためのメニュー映像用データを再生する再生手段と、
上記タイトルキーによりタイトルメニューの表示が指示された際に、上記判断手段によりタイトルメニューが存在していないと判断した場合に、上記手段により得た総タイトル数の数値の文字コードに対応する文字パターンによりタイトル
メニュー画面を作成する作成手段と、
を具備したことを特徴とする光ディスク再生装置。」(特許第2869048号の特許請求の範囲)

(b)本件発明2に関する記載について
「【請求項2】 映像用データが記録される複数のファイルが記録されているファイル領域と、
このファイル領域に記録されている複数のファイルのオーディオストリーム数を記録するオーディオストリーム数記録領域と、
オーディオストリームごとの言語コードを記録するオーディオストリーム言語コード記録領域と、
上記ファイル領域のオーディオストリームの選択画面としてのオーディオメニューが存在するか否かを示すオーディオメニュー存在情報を記録するオーディオメニュー存在情報記録領域と、
上記オーディオメニューのためのメニュー映像用データが記録されるメニュー映像データ記録領域と、
からなる光ディスクからデータを再生する光ディスク再生装置において、
上記オーディオストリーム数、種別記録領域に記録されているオーディオストリーム数とオーディオストリーム種別とにより、上記光ディスク内に存在するオーディオストリーム数とオーディオストリーム種別を得る手段と、
上記オーディオメニューの表示を指示するオーディオキーと、
このオーディオキーによりオーディオメニューの表示が指示された際に、上記オーディオメニュー存在情報記録領域のオーディオメニュー存在情報によりオーディオメニューが存在するか否かを判断する判断手段と、
この判断手段によりオーディオメニューが存在すると判断した場合に、上記メニュー映像データ記録領域に記憶されているオーディオメニューのためのメニュー映像用データを再生する再生手段と、
上記オーディオキーによりオーディオメニューの表示が指示された際に、上記判断手段によりオーディオメニューが存在していないと判断した場合に、上記手段により得たオーディオストリーム数の数値の文字コードとオーディオストリーム種別の言語コードに対応する文字パターンとによりオーディオメニュー画面を作成する作成手段と、
を具備したことを特徴とする光ディスク再生装置。」(特許第2869048号の特許請求の範囲)

(c)本件発明3に関する記載について
「【請求項3】 映像用データが記録される複数のファイルが記録されているファイル領域と、
このファイル領域に記録されている複数のファイルの副映像チャネル数と副映像チャネル種別を記録する副映像チャネル数、種別記録領域と、
上記ファイル領域の副映像チャネルの選択画面としての副映像メニューが存在するか否かを示す副映像メニュー存在情報を記録する副映像メニュー存在情報記録領域と、
上記副映像メニューのためのメニュー映像用データが記録されるメニュー映像データ記録領域と、
からなる光ディスクからデータを再生する光ディスク再生装置において、
上記副映像チャネル数、種別記録領域に記録されている副映像チャネル数と副映像チャネル種別とにより、上記光ディスク内に存在する副映像チャネル数と副映像チャネル種別を得る手段と、
上記副映像メニューの表示を指示する副映像キーと、
この副映像キーにより副映像メニューの表示が指示された際に、上記副映像メニュー存在情報記録領域の副映像メニュー存在情報により副映像メニューが存在するか否かを判断する判断手段と、
この判断手段により副映像メニューが存在すると判断した場合に、上記メニュー映像データ記録領域に記憶されている副映像メニューのためのメニュー映像用データを再生する再生手段と、
上記副映像キーにより副映像メニューの表示が指示された際に、上記判断手段により副映像メニューが存在していないと判断した場合に、上記手段により得た副映像チャネル数の数値の文字コードと副映像チャネル種別の言語コードに対応する文字パターンとにより副映像メニュー画面を作成する作成手段と、
を具備したことを特徴とする光ディスク再生装置。」(特許第2869048号の特許請求の範囲)

5.対比、判断
(1)本件発明1
(ア)特許法第29条第1項第3号について
本件に係る特許出願の優先権主張の基礎とされた先の特許出願(特願平8-89553、以下「第1の特許出願」という。)は、さらに第1の特許出願の基礎とされた先の特許出願(特願平7-114004、以下「第2の特許出願」という。)に基づいている。特許法第41条第2項括弧書きによれば、先の出願が優先権の主張を伴う場合には累積的に優先権主張の効果を認めず、先の出願において新たに追加された事項についてのみ優先権主張の効果を認めることとしている。
したがって、第1の特許出願の出願当初の明細書及び図面に記載され、かつ、第2の特許出願の出願当初の明細書及び図面に記載された事項については、優先権主張の効果は認められないので、第1の特許出願の公開公報である上記甲第1号証(特開平8-339662号公報)に記載された事項のうち、第2の特許出願である甲第2号証(特願平7-114004号)の明細書及び図面に記載された事項は、本件出願前の公知事項である。

ここで、本件発明1の「ビデオタイトルセット記録領域に記録されている複数のビデオタイトルセットの総タイトル数を記録する総タイトル数記録領域」なる構成に注視する。

当該構成に係る甲第1号証の記載は、【0130】に「・・・ビデオマネージャー71の第2番目のテーブルであるタイトルサーチポインタテーブル(TT_SRPT)79がサーチされる・・・タイトルサーチポインタテーブル(TT_SRPT)79内のタイトルサーチポインタテーブルの情報(TT_SRPTI)92に記載されているタイトルサーチポインタの数(TT_Ns)により光ディスク10内の総タイトル数を得る(ステップS52)」、【0059】に「タイトルサーチポインタテーブル情報(TSPTI)92には、図12に示されるのようにタイトルサーチポインタの数(TT_Ns)及び・・・が記載されている。」とあり、本願発明1の当該構成と同様な構成が甲第1号証に記載されていると認められる。
しかしながら、甲第2号証には、【0081】において「・・・タイトル総数(M1)は各ファイル毎の「タイトル選択対象シーケンス数」(DSINFのFSINFに記述)をファイル数(DSINFのDSINFに記述)分、加算した値である。・・・」、図16の上から三番目のブロックに「DSINF-DSINF(ディスク中のファイル数) DSINF-FSINF(ファイル単位のタイトル選択対象シーケンス数) このデータからディスク中の全タイトル数が分かる」と記載されており、本件発明1の「総タイトル数」に相当する「タイトル総数」は直接記録媒体に記録されておらず、計算により得ているものと認められる。即ち、甲第2号証の明細書及び図面には、「ビデオタイトルセット記録領域に記録されている複数のビデオタイトルセットの総タイトル数を記録する総タイトル数記録領域」に関する記載はなく、示唆もされていない。
したがって、当該構成は、上記「第2の特許出願」時に記載されていた構成であるとは認められず、「第1の特許出願」時に新たに追加された構成であると認められるので、上記「公知事項」には該当しない本件特許出願の優先権の効果が生ずる構成であるといえる。
本件発明1は、この「ビデオタイトルセット記録領域に記録されている複数のビデオタイトルセットの総タイトル数を記録する総タイトル数記録領域」を有することによって光ディスクに記録されている内容をメニューにて容易に確認したり、選択することが可能であるという本件発明1の所期の効果を生じるものであるので、本件発明1の他の構成要件について検討するまでもなく、本件発明1が上記「公知事項」に記載された発明と同一であるということはできない。
また、上記「公知事項」に記載された発明から容易に発明できたものとすることもできない。
(イ)特許法第39条第1項について
本件発明1と上記甲第3号証の請求項1記載の発明は、同一出願人の発明に係るものであり、前者が「光ディスク」に関する発明であり、後者がその光ディスクを再生する「光ディスク再生装置」に関する発明である。「光ディスク」と「光ディスク再生装置」は互いに相補的な関係にあるため、それぞれの特許請求の範囲の記載には異議申立人の主張するように同様な構成要素が記載されているものではあるが、その発明の対象が異なるものであることは明かであるので、両者を同一の発明とすることはできない。

(2)本件発明2
当審は、平成12年2月23日付け取消理由通知書において、甲第1号証(特開平8-339662号公報)の記載のうち、上記5.(1)(ア)の「公知事項」に係る記載には、本件発明2と同一の構成が記載されており本件発明2に係る特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものである旨の通知を行い、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは何らの応答もなかった。
そして、上記の取消理由は妥当なものと認められるので、本件発明2に係る特許は、上記の取消理由により取り消すべきものである。

(3)本件発明3
当審は、上述の平成12年2月23日付け取消理由通知書において、甲第1号証(特開平8-339662号公報)の記載のうち、上記5.(1)(ア)の「公知事項」に係る記載には、本件発明3と同一の構成が記載されており本件発明3に係る特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものである旨の通知を行い、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは何らの応答もなかった。
そして、上記の取消理由は妥当なものと認められるので、本件発明3に係る特許は、上記の取消理由により取り消すべきものである。

6.むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1に係る発明の特許については、特許異議申立の理由及び証拠によって取り消すことはできず、また、他に取消理由を発見しない。
そして、本件請求項2ないし請求項3に係る発明は、上記甲第1号証に記載された発明と同一であるので本件請求項2ないし請求項3に係る発明の特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2項に該当するので、取り消されるべきものである。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-06-06 
出願番号 特願平9-93713
審決分類 P 1 651・ 4- ZC (G11B)
P 1 651・ 113- ZC (G11B)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 後藤 和茂  
特許庁審判長 麻野 耕一
特許庁審判官 田良島 潔
藤井 浩
登録日 1999-01-14 
登録番号 特許第2875797号(P2875797)
権利者 株式会社東芝
発明の名称 光ディスク  

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