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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  E03D
審判 一部申し立て 2項進歩性  E03D
管理番号 1027807
異議申立番号 異議1999-70401  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-01-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-02-05 
確定日 2000-10-20 
異議申立件数
事件の表示 特許第2782985号「衛生洗浄装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2782985号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 (一)手続きの経緯
特許第2782985号の請求項1及び2に係る発明は、平成3年7月2日の出願で、平成10年5月22日に設定登録(公報発行日 平成10年8月6日)されたが、その後、平成11年2月5日に本件請求項1に係る特許について特許異議の申立てがなされ、当審が平成11年12月3日付けで特許取消理由を通知したところ、その指定期間内である平成12年2月15日に意見書の提出と共に明細書の訂正請求がなされた。その後、当審が平成12年3月2日付けで訂正拒絶理由を通知したのに対し、その指定期間内に特許権者からは何ら応答がなかった。
(二)本件訂正の請求について
1.本件訂正
本件訂正は、特許第2782985号の明細書の特許請求の範囲(請求項1及び2)及び発明の詳細な説明を、特許請求の範囲の減縮並びに明りょうでない記載の釈明を目的として、訂正明細書に記載のとおりに訂正しようとするものである。
2.訂正の適否
(1)訂正発明1
訂正明細書の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
【請求項1】便器と、この便器上に載置された便座と、前記便座を回動自在に支持し内部に人体局部を洗浄する洗浄装置と洗浄後の洗浄部を乾燥する乾燥装置と前記洗浄装置、乾燥装置などの動作を制御する装置制御部とを備えた装置本体と、前記装置本体の装置制御部に非結線で制御指令を与えるリモコン制御手段とを備え、前記リモコン制御手段は、電源となる電池と、制御指令に対応した光信号を送信する光信号送信手段と、前記洗浄装置、乾燥装置などの初期駆動状態を設定する初期設定手段とを有し、前記装置本体の装置制御部は、前記光信号を受信する光信号受信手段と、前記光信号受信手段の受信信号に基づいて信号を解読する信号解読手段とを有するとともに、前記リモコン制御手段の初期設定手段で設定された初期設定値を次の初期設定値が送信されてくるまで記憶保持して、その記憶保持した初期設定値を基に制御動作を行う構成とした衛生洗浄装置。(以下、請求項1に係る発明を訂正発明1という。)
(2)引用例
引用例:実願平1-15154号(実開平2-106074号)のマイクロフィルム(異議申立人中沢誠の提出した甲第1号証)
引用例には、次の事項が記載されている。
「局部洗浄装置のビデ洗浄又は肛門洗浄の切り換え、水量調節並びに温風温度調節等を行うための操作機構において、トイレ室壁面に取り付けたワイヤレス式の壁スイッチ部と、トイレ室床面に設置した足踏スイッチ部とより成り、前記足踏スイッチは壁スイッチ部に電気的に配線接続されていることを特徴とする局部洗浄装置の操作機構」(実用新案登録請求の範囲)に関し、その考案の詳細な説明欄の記載において、「壁スイッチ部をワイヤレス式とし、この壁スイッチ部を電気的に配線接続する。壁スイッチ部には、水量調節スイッチや温風温度調節スイッチ等を組み込むことが可能である。」(第5頁13行〜16行)、「第1図は全体を示すトイレ室内の斜視図、第2図は壁スイッチ11のスイッチ類を示す正面図であり、同図に示す如く、この実施例にあっては、壁スイッチ部11をワイヤレス式とし、・・・便器本体14の一方側のサイドには、ワイヤレス式壁スイッチ部11から発信された信号を受信するための受信部16が設けられている。この受信部16は、局部洗浄装置本体の制御回路へ接続されている。壁スイッチ部11は、第2図に示すように、肛門洗浄スイッチaと、ビデ洗浄スイッチbと、温風乾燥スイッチcと、ストップスイッチdとが所定の間隔を保って一列に配列されている。そして、これらのスイッチa乃至dの下方側に、水量調節摘みeと、温風温度切換摘みfとが設けられている。」(第6頁6行〜第7頁2行)、「更に、水量調節スイッチeの左側には、前記各スイッチa乃至gを操作したときに、それぞれの内容を受信部16へ赤外線等で伝達する発信部17が設けられている。」(第7頁5行〜8行)、「使用者が壁スイッチ部11を使用する場合は、その使用目的に応じて各スイッチa乃至dを押圧操作すればよい。例えば、肛門洗浄を行う場合は、スイッチaを押すと、これに対応する信号が発信部17から便器本体14の受信部16へ向けて発信される。受信部16は、前記信号を局部洗浄装置本体の制御回路へ送り、各部へ指令を与える。これにより、図示しない洗浄ノズルが便鉢内において突出動作し、ノズル先端から使用者の肛門へ向けて洗浄水を噴出するようになる。肛門洗浄を停止したい場合は、ストップスイッチdを押せばよい。・・・また、水量調節や温風の温度を調節したい場合は、水量調節スイッチe及び温風温度調節スイッチfを所望する位置へ切換操作すればよい。」(第7頁16行〜第8頁11行)と記載されており、図面の第1図には、腰掛式の便器本体14、該便器本体14の脇に設置した受信部16、該受信部16とは非結線の発信部17を備えた壁スイッチ部11などを有する実施例が示されている。ここで、便器本体14に関しては「汎用されている製品に改良を施すことなく、壁スイッチ部と足踏スイッチ部とを設けることのできる局部洗浄装置の操作機構を提供せんとする」(明細書4頁19行〜5頁3行)こと、「便器本体14側に改良を加えることなく・・・局部洗浄装置として利用することができ」(9頁13行〜17行)るものであること、また、局部洗浄装置は、温風乾燥手段を有していることを前提としており(温風温度調節スイッチを有している)、引用例の出願時に、便器上に便座が載置されており、乾燥装置を有する局部洗浄装置や該装置を制御する制御部を備える装置に、便座を回動自在に支持する便器は、例を挙げるまでもなく周知であったことを考慮すると、引用例に記載された便器には、便座が乾燥装置を有する局部洗浄装置や該装置を制御する制御回路を備える装置に回動自在に取り付けられているということができ、更に、引用例に記載された制御回路は光信号受信部の受信信号に基づいて信号を解読する機能を有することは当然であるから、引用例には、「便器本体と、この便器本体上に載置された便座と、前記便座を回動自在に支持し内部に人体局部を洗浄する洗浄装置と洗浄後の洗浄部を乾燥する乾燥装置と前記洗浄装置、乾燥装置などの動作を制御する装置制御部とを備えた装置本体と、前記装置本体の装置制御部に非結線で制御指令を与える壁スイッチ部とを備え、前記壁スイッチ部は、制御指令に対応した光信号を発信する光信号発信部と、前記洗浄装置、乾燥装置などの初期駆動状態を設定する水量調節スイッチ及び温風温度調節スイッチとを有し、前記装置本体の装置制御部は、前記光信号を受信する光信号受信部と、前記光信号受信部の受信信号に基づいて信号を解読する制御回路とを有する局部洗浄装置」の発明が記載されているものと認められる。
(3)対比・判断
訂正発明1と引用例に記載された発明(以下、引用発明という。)とを対比して検討する。
引用発明の「局部洗浄装置」は訂正発明1の「衛生洗浄装置」に相当し、同じく「壁スイッチ部」は「リモコン制御手段」に、「水量調節スイッチ及び温風温度調節スイッチ」は「初期設定手段」に、「制御回路」は「信号解読手段」に相当するから、両者は、共に「便器と、この便器上に載置された便座と、前記便座を回動自在に支持し内部に人体局部を洗浄する洗浄装置と洗浄後の洗浄部を乾燥する乾燥装置と前記洗浄装置、乾燥装置などの動作を制御する装置制御部とを備えた装置本体と、前記装置本体の装置制御部に非結線で制御指令を与えるリモコン制御手段とを備え、前記リモコン制御手段は、制御指令に対応した光信号を送信する光信号送信手段と、前記洗浄装置、乾燥装置などの初期駆動状態を設定する初期設定手段とを有し、前記装置本体の装置制御部は、前記光信号を受信する光信号受信手段と、前記光信号受信手段の受信信号に基づいて信号を解読する信号解読手段とを有する衛生洗浄装置」である点において一致しており、訂正発明1は、(ア)リモコン制御手段の電源が電池である点、(イ)リモコン制御手段の初期設定手段で設定された初期設定値を次の初期設定値が送信されてくるまで記憶保持して、その記憶保持した初期設定値を基に制御動作を行う構成とした点を備えるものであるのに対し、引用発明はこれらの点については明記されていない点で、両者は相違していると認められる。
しかしながら、一般にこの種技術分野において、リモコン制御手段の電源を電池とすること、及び、リモコン制御される制御部において、初期設定値を次の初期設定値が送信されてくるまで記憶保持して、その記憶保持した初期設定値を基に制御動作を行う機能を備えるようにすることは、広く知られている周知の技術手段であり、このような周知の技術手段を用いて訂正発明1の上記相違点(ア)及び(イ)の構成とすることは、当業者であれば格別な困難を伴うことなくなし得た程度のことにすぎない。
したがって、訂正発明1は、引用発明及び上記周知の技術手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3.むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法120条の4、3項で準用する同法126条4項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。
(三)特許異議の申立てについて
1.本件発明1
本件特許の請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(以下、請求項1に係る発明を本件発明1という。)。
【請求項1】便器と、この便器上に載置された便座と、前記便座を回動自在に支持し内部に人体局部を洗浄する洗浄装置と洗浄後の洗浄部を乾燥する乾燥装置と前記洗浄装置、乾燥装置などの動作を制御する装置制御部とを備えた装置本体と、前記装置本体の装置制御部に非結線で制御指令を与えるリモコン制御手段とを備え、前記リモコン制御手段は制御指令に対応した光信号を送信する光信号送信手段と、前記洗浄装置、乾燥装置などの初期駆動状態を設定する初期設定手段とを有し、前記装置本体の装置制御部は前記光信号を受信する光信号受信手段と、前記光信号受信手段の受信信号に基づいて信号を解読する信号解読手段を有する衛生洗浄装置。
2.引用例
刊行物1:実願平1-15154号(実開平2-106074号)のマイクロフィルム)(異議申立人の提出した甲第1号証)
刊行物2:特開昭62-82136号公報(異議申立人の提出した甲第2号証)
刊行物3:実願昭63-60617号(実開平1-164377号)のマイクロフィルム(異議申立人の提出した甲第3号証)
3.対比・判断
刊行物1は、上記「(二)」、「2」、「(2)」に記載した引用例と同じ刊行物であり、刊行物1には、当該「(2)」に記載した事項が記載されていると認められる。
そして、刊行物1に記載されたものの「局部洗浄装置」は、本件発明1の「衛生洗浄装置」に相当し、同じく「ワイヤレス式壁スイッチ部」は前者の「リモコン制御手段」に、「水量調節スイッチ及び温風温度調節スイッチ」は「初期設定手段」に、「制御回路」は「信号解読手段」に相当する。
そこで、本件発明1と刊行物1に記載されたものとを対比して検討すると、「便器と、この便器上に載置された便座と、前記便座を回動自在に支持し内部に人体局部を洗浄する洗浄装置と洗浄後の洗浄部を乾燥する乾燥装置と前記洗浄装置、乾燥装置などの動作を制御する装置制御部とを備えた装置本体と、前記装置本体の装置制御部に非結線で制御指令を与えるリモコン制御手段とを備え、前記リモコン制御手段は制御指令に対応した光信号を送信する光信号送信手段と、前記洗浄装置、乾燥装置などの初期駆動状態を設定する初期設定手段とを有し、前記装置本体の装置制御部は前記光信号を受信する光信号受信手段と、前記光信号受信手段の受信信号に基づいて信号を解読する信号解読手段を有する衛生洗浄装置」の構成を備えるものである点において一致していると認められる。
したがって、本件発明1は刊行物1に記載された発明と同一であり、特許法29条1項3号に該当する。
4.意見書の主張について
特許権者は意見書を提出しているが、意見書の内容は訂正後の請求項1の記載に基づく主張だけであり、訂正前の請求項1の記載に基づく取消理由に対する実質的な主張はない。
5.むすび
以上のとおり、本件発明1は、特許法第29条1項3号該当し、特許を受けることができない。
したがって、本件発明1についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであり、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令205号)4条2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-08-31 
出願番号 特願平3-161562
審決分類 P 1 652・ 121- ZB (E03D)
P 1 652・ 113- ZB (E03D)
最終処分 取消  
前審関与審査官 家田 政明  
特許庁審判長 田中 弘満
特許庁審判官 富田 哲雄
斎藤 利久
登録日 1998-05-22 
登録番号 特許第2782985号(P2782985)
権利者 松下電器産業株式会社
発明の名称 衛生洗浄装置  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 坂口 智康  

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