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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G09G
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  G09G
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  G09G
管理番号 1031639
異議申立番号 異議1999-74721  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-05-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-12-16 
確定日 2000-08-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2908551号「画像処理装置および画像処理方法」の請求項1及び2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2908551号の請求項1、2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2908551号の請求項1及び2に係る発明は、平成2年10月9日に出願された後、平成11年4月2日にその発明について特許の設定登録がなされたが、その後、その特許について異議申立人 石塚輝より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年6月20日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
ア.訂正の概要及び、その適否の判断
特許権者が求めている訂正の内容は以下のとおりである。
a.請求項1の「前記文字記憶手段により記憶された文字の黒塗りパターンに基づいて輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を生成する文字画像生成手段と、」の記載を「輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を、前記文字記憶手段により記憶された文字の黒塗りパターンに基づいて生成する文字画像生成手段と、」と訂正する。
b.請求項2の「文字の黒塗りパターンに基づいて輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を生成する生成工程と」の記載を「輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を、文字の黒塗りパターンに基づいて生成する生成工程と」と訂正する。

上記a及びbの訂正は、「文字の黒塗りパターンに基づいて」の記載が、訂正前の表現では、それ以下のどの構成要素を修飾するか明りょうでない記載であったものを、明りょうな記載とするため、該「文字の黒塗りパターンに基づいて」の記載が修飾する「生成」の記載の直前に記載したものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。

イ.独立特許要件の判断
a.取消理由通知の概要
当審が平成12年4月4日付けで通知した取消理由通知の概要は、本件特許明細書には下記のとおりの不備があるから、本件発明の特許は特許法第36条に違反して特許されたものである、というものである。

i)特許法第36条第5項について
請求項1の「文字記憶手段により記憶された文字の黒塗りパターンに基づいて輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を生成する文字画像生成手段」という記載は「黒塗りパターンに基づいて」の記載がその後のどの記載を修飾しているか不明瞭である。

請求項2の「文字の黒塗りパターンに基づいて輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を生成する生成工程」という記載は「文字の黒塗りパターンに基づいて」の記載がその後のどの記載を修飾しているか不明瞭である。

したがって、上記請求項の記載は明瞭でない。

ii)特許法第36条第4項について
また、上記「輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を・・・生成する」(請求項1)または「輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を・・・生成する」(請求項2)の記載に関しては、特許明細書の「ステツプS12で内塗りパターンで塗りつぶされた文字を展開する」(明細書9ページ8-10行)、「まずステツプS31で、黒塗り(S0)パターンの“あ”と横線(S1)パターンの“あ”とを展開する。」(明細書10ページ2-4行)程度の記載しかなく、上記請求項に記載した構成を具体的に実施するための技術的事項が詳細な説明に明瞭に記載されていないから、発明の詳細な説明に、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に、その発明の目的、構成及び効果が記載されているとは認められない。

b.当審の判断
i.記載不備の理由iについて
上記iの指摘に対し、特許権者は訂正を行い、明細書の不備はなくなったから、上記取消理由は解消した。

ii.記載不備の理由iiについて
本件特許明細書を詳細に検討したところ「12は論理演算回路であり、文字パターン作成プログラム2aの制御手順に従つて、文字パターンと背景パターンとから新しい文字パターンを作成する。」(特許明細書6頁8-11行)の記載がある。
上記明細書の記載のうち「文字パターン」とは第4図も参照すると背景パターンと合成する以前の、文字データのみから成る画像であることが理解でき、上記画像には「文字の黒塗りパターン」、「横線パターン」も含まれていることも上記明細書及び図面の記載から理解できる。
したがって、上記明細書の記載「(黒塗りパターンを含む)文字パターンと背景パターンとから新しい文字パターンを作成する」は、所定のパターンから成る文字の画像を黒塗りパターンに基づいて生成することを示しているといえる。
よって、上記iiで指摘した記載不備は本件明細書には存在しない。

ウ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項および同条第3項で準用する第126条第2-4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申し立てについて
ア.申立の概要
特許異議申立人 石塚輝は特許異議申立時に、証拠として甲第1号証(特開平2-5185号公報)を提出し、本件請求項1に係る発明の特許は、甲第1号証記載の発明と同一であって、特許法第39条第1項の規定に該当し、もしくは、本件請求項1及び2に係る発明は、甲第1号証に記載の発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当し、また、本件特許明細書には明りょうでない記載があるから、本件請求項1及び2に係る発明は、特許法第36条第3項乃至第5項の規定に違反して特許されたものであり、本件請求項1及び2に係る発明の特許は、特許法第113条第1項第2号及び同法同条同項第4号の規定により取り消されるべきである旨主張している。

ところで、特許異議申立人の主張する特許法第39条の規定に該当するとして提出された甲第1号証で公開された先願発明(特願昭63-155652号)は、当該出願が審査請求されずにみなし取り下げとなっており、前記先願は出願が初めからなかったものとみなされるから、異議申立人の主張する先願の対象は存在しない。
よって、異議申立人の上記特許法第39条に関する主張は採用するに足らないものである。

また、特許法第36条に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされる特許異議の申立てについては、その根拠となる条文は特許法第113条第1項第4号であるから、特許異議申立人の主張はその旨であると解釈した。
加えて、特許異議申立人は本件明細書の記載不備を主張するにあたり、特許法第36条第4項及び第6項の規定を根拠としているが、本件特許出願は、その出願日が平成2年10月9日であるから、根拠となる条文は特許法第36条第3項(詳細な説明における記載要件)及び同法同条第4及び5項(特許請求の範囲の記載要件)であるから、特許異議申立人の主張はその旨であると認める。

イ.当審の判断
a.特許法第36条についての判断
特許異議申立人の主張する本件特許明細書に存在する記載不備の内容は、上記取消理由通知書で通知した内容と同じであるが、訂正後の本件明細書に記載不備が存在しないことは、2.イ.bに記載したとおりである。

b.本件発明
訂正明細書の請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ、本件発明1及び2という。)は、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された下記のとおりのものである。


【請求項1】画面の背景を記憶する背景記憶手段と、文字の黒塗りパターンを記憶する文字記憶手段と、輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を、前記文字記憶手段により記憶された文字の黒塗りパターンに基づいて生成する文字画像生成手段と、前記背景記憶手段に記憶された背景から前記文字の黒塗りパターンに対応するドットを削除し、ドット削除後の領域に前記文字画像生成手段により生成された文字の画像のドットを埋め込むように論理演算を行う論理演算手段と、前記論理演算手段による演算結果に基づいて前記文字および背景を合成する合成処理手段と、前記合成処理手段により合成された前記背景および文字を出力する出力制御手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】画面の背景および文字を記憶し、記憶された背景および文字を合成し、合成された背景および文字を出力する画像処理方法において、輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を、文字の黒塗りパターンに基づいて生成する生成工程と、背景から、前記文字の黒塗りパターンに対応するドットを削除する削除工程と、前記削除工程によりドットを削除した後の領域に前記生成工程により生成された文字の画像のドットを埋め込むように論理演算を行う埋め込み工程と、を含んだことを特徴とする画像処理方法。

c.甲第1号証の記載事項
甲第1号証:特開平2-5185号公報
「図形が記憶された第1の記憶手段と、文字・記号のビットパターンが記憶された第2の記憶手段と、前記文字・記号のビットパターンを膨張させた膨張文字パターンが記憶された第3の記憶手段と、前記第1から第3の記憶手段にそれぞれ記憶された各データに基づいて、前記文字・記号のビットパターンと前記図形から前記膨張文字パターンを除いたビットパターンとを重ねた合成イメージを作成するイメージ処理手段とを具備したことを特徴とするイメージ処理装置。」(公報特許請求の範囲)
「次に第2図を用いてこの実施例装置において代表されるイメージ処理動作について説明する。
この図において、11は第1のメモリ3に記憶された文字パターン、12は第2のメモリ4に記憶された膨張文字パターン、13はイメージメモリ1に記憶された図形(塗り潰し部)である。
ここでイメージメモリ1上の図形13内に第1のメモリ3に記憶された文字パターン11を書込む場合を考える。
まず第1および第2のメモリ3、4をそれぞれ同時にスキャンし、各メモリ3、4上に書込まれたパターンデータを1ビット毎に合成イメージ処理回路5に入力する。
合成イメージ処理回路5は、各メモリ3、4からそれぞれ読出されたデータに基づいてイメージメモリ1に対するデータ書込みを次のような内容で実行する。
第1および第2のメモリ3、4からそれぞれ白ビット(Lレベル信号)が取出された場合、イメージメモリ1に対するデータの書込みは行わない。
第1のメモリ3から白ビット、第2のメモリ4から黒ビット(Hレベル信号)がそれぞれ取出された場合、イメージメモリ1上の対応する位置に白ビットを書き込む。
第1のメモリ3から黒ビット、第2のメモリ4から黒ビットがそれぞれ取出された場合、イメージメモリ1上の対応する位置に黒ビットを書込む。
このような処理を各メモリ3、4の全ビットに対し順次行うことにより、文字パターン11周囲の黒ビットを膨張文字パターン12の領域分だけ除いた合成イメージが最終的にイメージメモリ1上に作成される。」(公報2頁右上欄20行-右下欄11行)

d.特許法第29条第2項についての判断
上記甲第1号証に記載された発明と、本件発明1および2とを対比すると、上記甲第1号証には、本件発明1および2を特定する事項である「輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を、前記文字記憶手段により記憶された文字の黒塗りパターンに基づいて生成する文字画像生成手段」(本件発明1)、「輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を、文字の黒塗りパターンに基づいて生成する生成工程」(本件発明2)の構成が記載されておらず、上記構成上の相違は、本件出願当時周知の技術であるとは言えず、また、上記構成上の相違により、「多様なパターンの文字を発生出来る」という効果を奏するものであるから、本件発明1および2が上記甲第1号証に記載のものから容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由および、証拠によっては、本件発明の特許を取り消すことはできない。

また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像処理装置および画像処理方法
(57)【特許請求の範囲】
(1) 画面の背景を記憶する背景記憶手段と、
文字の黒塗りパターンを記憶する文字記憶手段と、
輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を、前記文字記憶手段により記憶された文字の黒塗りパターンに基づいて生成する文字画像生成手段と、
前記背景記憶手段に記憶された背景から前記文字の黒塗りパターンに対応するドットを削除し、ドット削除後の領域に前記文字画像生成手段により生成された文字の画像のドットを埋め込むように論理演算を行う論理演算手段と、
前記論理演算手段による演算結果に基づいて前記文字および背景を合成する合成処理手段と、
前記合成処理手段により合成された前記背景および文字を出力する出力制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
(2) 画面の背景および文字を記憶し、記憶された背景および文字を合成し、合成された背景および文字を出力する画像処理方法において、
輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を、文字の黒塗りパターンに基づいて生成する生成工程と、
背景から、前記文字の黒塗りパターンに対応するドットを削除する削除工程と、
前記削除工程によりドットを削除した後の領域に前記生成工程により生成された文字の画像のドットを埋め込むように論理演算を行う埋め込み工程と、
を含んだことを特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は画像処理装置および画像処理方法、特に所望のパターンで塗りつぶされた文字を背景と論理演算する画像処理装置および画像処理方法に関するものである。
[従来の技術]
従来から、見出しや表題等の文字を目立たせるため黒塗りや白抜きのみでなく種々のパターンで塗りつぶされた文字が使用されている。このような文字は、文字の輪郭線により所望のパターンを切り取ることにより作成されるのが普通である。又、背景の上に所定のパターンを持つ文字を発生しようとする場合には、背景は無視して文字の持つパターンで塗りつぶしていた。
[発明が解決しようとしている課題]
しかしながら、上記方法では、塗りつぶすパターンの種類にも限界があり、又背景と文字パターンとの関係はオペレータが考慮しながら処理をしなければならない等の煩わしさもあった。更に、背景が一様でない部分に文字を発生するような場合には、文字の一部が識別しにくくなることもある。
本発明は、前記従来の欠点を除去し、多様なパターンの文字を発生出きると共に、背景と文字パターンとの関係を設定可能な画像処理装置および画像処理方法を提供する。
更に、背景との関係を文字毎に設定できるため変化に富んだ文字を発生する画像処理装置および画像処理方法を提供する。
[課題を解決するための手段]
この課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、画面の背景を記憶する背景記憶手段と、文字の黒塗りパターンを記憶する文字記憶手段と、前記文字記憶手段により記憶された文字の黒塗りパターンに基づいて輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を生成する文字画像生成手段と、前記背景記憶手段に記憶された背景から前記文字の黒塗りパターンに対応するドット削除、ドット削除後の領域に前記文字画像生成手段により生成された文字の画像のドットを埋め込むように論理演算を行う論理演算手段と、前記論理演算手段による演算結果に基づいて前記文字および背景を合成する合成処理手段と、前記合成処理手段により合成された前記背景および文字を出力する出力制御手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の画像処理装置は、画面の背景および文字を記憶し、記憶された背景および文字を合成し、合成された背景および文字を出力する画像処理方法において、文字の黒塗りパターンに基づいて輪郭の内側を埋るための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を生成する生成工程と、背景から、前記文字の黒塗りパターンに対応するドットを削除する削除工程と、前記削除工程によりドットを削除する後の領域に前記生成工程により生成された文字の画像のドットを埋め込むように論理演算を行う埋め込み工程と、を含んだことを特徴とする。
[作用]
かかる構成において、オペレータが任意に作成した背景と文字とをドット対応で論理演算することにより、多用なパターンを発生出来ると共に、背景と文字との関係を文字単位で設定可能ともなる。
[実施例]
以下、添付図面に従って本実施例の文字発生装置を詳細に説明する。
第1A図は本実施例の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
図中、1は本装置全体を制御するCPUであり、2はCPU1の実行するプログラムを記憶したROMであり、後述の文字パターン作成プログラム2a及び論理演算プログラム2bとを含んでいる。3は後述する外部記憶装置7から読み込んだプログラムをロードしたり、CPU1のワークエリアとして使用されるRAMであり、文字展開部3aと文字記憶部3bと背景記憶部3cとを有している。文字記憶部3bは1つ又は複数の文字から成る文書を記憶しており、各文字は文字を塗りつぶすパターン及び論理演算の種類を含む文字属性を有している。尚、前記各プログラム2a、2bや文字記憶部3bは外部記憶装置7にあってもよい。又、背景記憶部3cをRAM3内に設けたが、背景は画像メモリ10あるいはVRMA5に既に展開されたイメージでよい。
4は文字を生成するために文字コードに対応してドットデータあるいはベクトルデータ等のデータを記憶しているフォントメモリ、5は表示画面に表示するイメージを展開するVRMA、6はそのVRAM5に展開された画像を表示するCRTディスプレイである。7はフロッピディスク装置やハードディスク装置で代表される外部記憶装置であり、本装置における文書処理に係る各種プログラム等を記憶している。
8は文書を構成する各種文字、或いは本装置に所定の指示を与えるためのキーボード、9はCRTディスプレイ6の表示画面上に表示されたグラフィックカーソルの移動等を制御するためのマウスである。10は実際に印刷処理する段階になったとき、記録紙1ページ分のイメージを展開可能な画像メモリ、11は画像メモリ10に展開されたイメージに基づいて記録媒体上に可視画像を形成するプリンタである。尚、本実施例におけるプリンタ1はレーザビームプリンタとしている。
12は論理演算回路であり、文字パターン作成プログラム2aの制御手順に従って、文字パターンと背景パターンとから新しい文字パターンを作成する。尚、本論理演算回路12はハードウエア回路であっても、マイクロプログラムにより制御されるプロセッサであっても良い。
第1B図は論理演算回路12の一例を示す図である。
21、22はバスよりのデータをラッチするラッチ部である。本ラッチ部21、22のビット数は処理単位に対応して1ビット、1バイト等に変化してよい。23、25はインバート回路であって、CPU1よりの指示に従って入力データを反転するかしないかを決める。24はセレクタであり、CPU1よりの指示に従って論理演算部26のB入力にバスからの値を入力するか、論理演算結果をラッチ部27から入力するかを選択する。26は論理演算部であり、CPU1よりの指示に従つてA入力とB入力あるいはその一方の入力にAND、OR、NOT、EXOR等の論理演算を施す。27は論理演算部26の出力をラッチするラッチ部、28はラッチ部27のデータをバス上に出力するためのゲート部である。この論理演算回路12に対して、入力データ及び論理演算の種類を指示することにより文字と背景との所定の論理演算が達成される。
尚、本実施例では論理演算回路12をシステムバスに繋いだが、例えば画像メモリ10やVRAM5への展開経路上に接続しても、フォントメモリ4から読み出した文字の塗りつぶしの段階に挿入することもできる。
第2A図は各文字が有する文字属性の構成例であり、サイズ、飾り、色、書体、字形等と共に、文字を塗りつぶすための中塗りパターンを決めるパターン41と背景との論理演算を含む文字発生手法を示す書き方42とを有している。
第2B図は文字属性のウィンドウ表示例80を示す図であり、「書き方」が選択された状態を示している。第2C図は文字属性内の「書き方」をクリックした場合の表示例81を示す。
書き方の種類として、本実施例では標準、透過、型抜及びXORを定義する。ここで、“標準”は、第4図(a)に示すように文字を背景に埋め込む処理を行う。この処理を論理式で示すと、背景をD、黒塗り文字をS0、指示パターンの文字をS1の場合、(D AND S0)OR S1となる。“透過”は、第4図(b)に示すように背景が文字を透過して現れる処理を行う。この処理を論理式で示すと、背景をD、指示パターンの文字をS1の場合、D OR S1となる。“型抜き”は、第4図(e)に示すように背景の切り抜きを文字を含む矩形に書き換える処理を行う。この“型抜”では論理演算はなく単なる置き換えとなる。“XOR”は、第4図(c)、(d)に示すようにD XOR S0を行う。
第3A図に本実施例の文字発生手順のフローチャートを示す。尚、背景パターンは既に存在するものとして説明するが、背景パターンをオペレータにより作成するようにすれば、更に変化に富んだ文字が発生できる。
まず、ステップS11で文字属性から内塗りパターンを読み出し、ステップS12で内塗りパターンで塗りつぶされた文字を展開する。次に、ステップS13で書き方を読みだし、ステップS14,S16,S18,S20で書き方が、定義された標準か透過か型抜きかXORかを判断する。ステップS15,S17,S19,S21でそれぞれに対応した論理演算を含む処理を行う。ステップS22で処理後の文字を出力(表示、印刷)して処理を終了する。
第3B図は標準処理の場合の処理手順を示すフローチャートである。尚、背景記憶部3cには縦線の背景パターンが記憶されているものとする。
まずステップS31で、黒塗り(S0)パターンの“あ”と横線(S1)パターンの“あ”とを展開する。ステップS32で、黒塗り(S0)パターンの所定ドットをラッチ21にラッチし、インバート回路23にはインバートを指示する。ステップS33で、前記文字の所定ドットに対応する背景のドットをラッチ22にラッチして、セレクタ24は入力をセレクトし、インバート回路25にはインバート無しを指示する。ステップS34で論理演算としてANDを指示すると、演算結果がラッチ部27にラッチされる。
次に、ステップS35で横線(S1)パターンの対応ビットをインバートなしでラッチ部21にセットする。ステップS36で、セレクタ24はラッチ入力をセレクトして、論理演算部ORを実行する。ステップS37で演算結果が背景記憶部3cに戻される。
こうして、これをVRAM5又は画像メモリ10に出力すると、第4図(a)の縦線の背景内に横線の文字“あ”が出力される。背景記憶部3cをVRAM5又は画像メモリ10とする場合は、VRMA5又は画像メモリ10上の文字展開の領域を示す座標位置を考慮して、背景パターンを読み出せば上記同様に処理できる。
簡単な手順で、第4図(b)、(c)のように文字を新しいパターンで表わすことも可能であり、特に、第4図(d)のように一様でない背景の上に文字がある場合に、XOR処理により文字が背景に埋没することを防ぐことも出来る。
尚、本実施例では“標準”等のその処理に背景と文字との論理演算を含む処理を定義して文字の属性内に記憶させたが、文字の属性としてAND、OR、NOT、XOR等の個々の論理演算が指定されるものであってもよく、この場合は論理演算の組み合わが自由にできるメリットがある。又、論理演算式が登録できるものであっても良い。これらも本発明の範囲内である。
[発明の効果〕
本発明により、多様なパターンの文字を発生出来ると共に、背景と文字パターンとの関係を設定可能な画像処理装置を提供できる。
更に、背景との関係を文字毎に設定できるため変化に富んだ文字を発生する画像処理装置を構成する。
【図面の簡単な説明】
第1A図は本実施例の画像処理装置の横成を示すブロック図、
第1B図は本実施例の論理演算回路の構成例を示す図、
第2A図は文字属性の構成例を示す図、
第2B図は文字属性の表示例を示す図、
第2C図は文字属性の「書き方」を指示した場合の論理演算の表示例を示す図、
第3A図は本実施例の文字発生の手順を示すフローチャート、
第3B図は標準処理の手順を示すフローチャート、
第4図(a)〜(e)は本発明による文字発生の数例を示す図である。
図中、1……CPU、2……ROM、2a……文字パターン作成プログラム、2b……論理演算プログラム、3……RAM、3a……文字展開部、3b……文字記憶部、3C……背景記憶部、4……フォントメモリ、5……VRAM、6……CRT、7……外部記憶装置、8……キーボード、9……マウス、10……画像メモリ、11……レーザビームプリンタ、12……論理演算回路である。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
a.請求項1の「前記文字記憶手段により記憶された文字の黒塗りパターンに基づいて輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を生成する文字画像生成手段と、」の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として「輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を、前記文字記憶手段により記憶された文字の黒塗りパターンに基づいて生成する文字画像生成手段と、」と訂正する。
b.請求項2の「文字の黒塗りパターンに基づいて輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を生成する生成工程と」の記載を、明りょうでない記載の釈明を目的として「輪郭の内側を埋めるための模様を表す所定のパターンから成る文字の画像を、文字の黒塗りパターンに基づいて生成する生成工程と」と訂正する。
異議決定日 2000-07-19 
出願番号 特願平2-269608
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G09G)
P 1 651・ 531- YA (G09G)
P 1 651・ 534- YA (G09G)
最終処分 維持  
特許庁審判長 平井 良憲
特許庁審判官 榮永 雅夫
渡邊 聡
登録日 1999-04-02 
登録番号 特許第2908551号(P2908551)
権利者 株式会社ジャストシステム
発明の名称 画像処理装置および画像処理方法  
代理人 酒井 昭徳  
代理人 酒井 昭徳  

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