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審決分類 審判 全部申し立て 特29条の2  G11B
管理番号 1031693
異議申立番号 異議2000-71254  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-11-17 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-03-27 
確定日 2000-10-18 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2954083号「情報記録再生用媒体及び情報記録再生用媒体フォーマット装置並びに情報記録再生装置」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2954083号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2954083号の請求項1ないし3に係る発明についての出願は、平成9年5月1日に特許出願され、平成11年7月16日にその特許の設定登録がなされ、その後、異議申立人畑中孝平より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年9月11日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
ア.訂正明細書の請求項1ないし3に係る発明
訂正明細書の請求項1ないし3に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次のとおりのものである。(以下、「本件発明1」ないし「本件発明3」という。)
「【請求項1】 同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域により構成されており、これらヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域は、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有し、前記ヘッダ1領域及びヘッダ3領域における前記第1の領域は36バイトを有し、前記第2領域及び第4領域における前記第1の領域は8バイトを有し、前記ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域における前記第2の領域は3バイトを有する情報記録再生用媒体であって、
前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングス3の繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングス13の違反パターンに隣接してランレングス3のパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークを前記第2の領域に記録したことを特徴とする情報記録再生用媒体。
【請求項2】 同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域により構成されており、これらヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域は、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有し、前記ヘッダ1領域及びヘッダ3領域における前記第1の領域は36バイトを有し、前記第2領域及び第4領域における前記第1の領域は8バイトを有し、前記ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域における前記第2の領域は3バイトを有するように情報記録再生用媒体をフォーマットする情報記録再生用媒体フォーマット装置であって、
前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングス3の繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングス13の違反パターンに隣接してランレングス3のパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークを前記第2の領域にフォーマットするフォーマット手段を備えたことを特徴とする情報記録再生用媒体フォーマット装置。
【請求項3】 同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域により構成されており、これらヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域は、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有し、前記ヘッダ1領域及びヘッダ3領域における前記第1の領域は36バイトを有し、前記第2領域及び第4領域における前記第1の領域は8バイトを有し、前記ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域における前記第2の領域は3バイトを有する情報記録再生用媒体に対して情報の記録及び再生を行う情報記録再生装置であって、
前記同期パターンが記録された前記第1の領域の再生、及び前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングス3の繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングス13の違反パターンに隣接してランレングス3のパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークが記録された前記第2の領域の再生を行い、この再生により得られた再生パターンから前記アドレスマークを検知するアドレスマーク検知手段と、
このアドレスマーク検知手段により検知された前記アドレスマークに従って、前記所定範囲のランレングス制限に従ったコードが記録された前記レコーディング領域の再生、又は前記レコーディング領域に対して前記所定範囲のランレングス制限に従ったコードの記録を行う情報記録再生手段と、
を備えたことを特徴とする情報記録再生装置。」

イ.訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のa〜cのとおりである。
(1)訂正事項a
本件特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】 同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有する情報記録再生用媒体であって、
前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングスmの繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングスnの違反パターンに隣接してランレングスmのパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークを前記第2の領域に記録したことを特徴とする情報記録再生用媒体。」を、
「【請求項1】 同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域により構成されており、これらヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域は、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有し、前記ヘッダ1領域及びヘッダ3領域における前記第1の領域は36バイトを有し、前記第2領域及び第4領域における前記第1の領域は8バイトを有し、前記ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域における前記第2の領域は3バイトを有する情報記録再生用媒体であって、
前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングス3の繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングス13の違反パターンに隣接してランレングス3のパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークを前記第2の領域に記録したことを特徴とする情報記録再生用媒体。」
と訂正する。

(2)訂正事項b
本件特許請求の範囲の請求項2
「【請求項2】 同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有するように情報記録再生用媒体をフォーマットする情報記録再生用媒体フォーマット装置であって、
前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングスmの繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングスnの違反パターンに隣接してランレングスmのパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークを前記第2の領域にフォーマットするフォーマット手段を備えたことを特徴とする情報記録再生用媒体フォーマット装置。」を、
「【請求項2】 同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域により構成されており、これらヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域は、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有し、前記ヘッダ1領域及びヘッダ3領域における前記第1の領域は36バイトを有し、前記第2領域及び第4領域における前記第1の領域は8バイトを有し、前記ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域における前記第2の領域は3バイトを有するように情報記録再生用媒体をフォーマットする情報記録再生用媒体フォーマット装置であって、
前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングス3の繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングス13の違反パターンに隣接してランレングス3のパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークを前記第2の領域にフォーマットするフォーマット手段を備えたことを特徴とする情報記録再生用媒体フォーマット装置。」
と訂正する。

(3)訂正事項c
本件特許請求の範囲の請求項3
「【請求項3】 同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有する情報記録再生用媒体に対して情報の記録及び再生を行う情報記録再生装置であって、
前記同期パターンが記録された前記第1の領域の再生、及び前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングスmの繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングスnの違反パターンに隣接してランレングスmのパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークが記録された前記第2の領域の再生を行い、この再生により得られた再生パターンから前記アドレスマークを検知するアドレスマーク検知手段と、
このアドレスマーク検知手段により検知された前記アドレスマークに従って、前記所定範囲のランレングス制限に従ったコードが記録された前記レコーディング領域の再生、又は前記レコーディング領域に対して前記所定範囲のランレングス制限に従ったコードの記録を行う情報記録再生手段と、
を備えたことを特徴とする情報記録再生装置。」を、
「【請求項3】 同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域により構成されており、これらヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域は、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有し、前記ヘッダ1領域及びヘッダ3領域における前記第1の領域は36バイトを有し、前記第2領域及び第4領域における前記第1の領域は8バイトを有し、前記ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域における前記第2の領域は3バイトを有する情報記録再生用媒体に対して情報の記録及び再生を行う情報記録再生装置であって、
前記同期パターンが記録された前記第1の領域の再生、及び前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングス3の繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングス13の違反パターンに隣接してランレングス3のパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークが記録された前記第2の領域の再生を行い、この再生により得られた再生パターンから前記アドレスマークを検知するアドレスマーク検知手段と、
このアドレスマーク検知手段により検知された前記アドレスマークに従って、前記所定範囲のランレングス制限に従ったコードが記録された前記レコーディング領域の再生、又は前記レコーディング領域に対して前記所定範囲のランレングス制限に従ったコードの記録を行う情報記録再生手段と、
を備えたことを特徴とする情報記録再生装置。」
と訂正する。

ウ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
(1)訂正事項a
上記訂正事項aは、願書に最初に添付した明細書及び図面の段落【0029】、【0030】、【0057】、【0058】の記載に基づくものであり、請求項1のヘッダ領域のデータ構造に関して「このヘッダ領域が、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有する」と記載されていたものを、特許請求の範囲の減縮を目的として、「このヘッダ領域が、ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域により構成されており、これらヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域は、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有し、前記ヘッダ1領域及びヘッダ3領域における前記第1の領域は36バイトを有し、前記第2領域及び第4領域における前記第1の領域は8バイトを有し、前記ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域における前記第2の領域は3バイトを有する」と訂正し、また、ランレングスの数値に関して「前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングス3の繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングス13の違反パターンに隣接してランレングス3のパターンが配置された」と記載されていたものを、特許請求の範囲の減縮を目的として、「前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングス3の繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングス13の違反パターンに隣接してランレングス3のパターンが配置された」と訂正するものである。
したがって、上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項b
上記訂正事項bは、上記訂正事項aと同様であるので、上記訂正事項bは、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項c
上記訂正事項cは、上記訂正事項aと同様であるので、上記訂正事項cは、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立て及び当審取消理由通知についての判断
ア.本件発明
上記「2.訂正の適否についての判断」の「ア.訂正明細書の請求項1ないし3に係る発明」で認定したとおりのものであるので、これを援用する。

イ.当審の取消理由通知及び異議申立て理由の概要
当審の取消理由通知は、(1)異議申立人畑中孝平が提出した甲第1号証を引用して、本件発明1ないし本件発明3は、甲第1号証の刊行物の出願時の明細書及び図面に記載された発明であるから、これらの特許は特許法第29条の2の規定に違反してなされたというべきものである、(2)本件発明1ないし本件発明3は、同一出願人(特許権者)が同日に出願した特願平10-19817号(特許第2954131号)の請求項1ないし3の発明とそれぞれ同一であるから特許法第39条第2項の規定に違反してなされたというべきものである、とするものである。

ウ.取消理由通知に引用された刊行物の記載
当審が取消理由で通知した本件発明1ないし3の出願日前の出願であって、その出願後に出願公開された刊行物(PCT/JP97/00337(国際公開第97/29483号パンフレット参照)、甲第1号証に同じ)の出願(以下「先願」という。)の願書に最初に添付された明細書及び図面(以下、「先願明細書」という。)には、「光ディスク、光ディスク装置及び光ディスク再生方法」に関する発明について以下の記載がある。
・「背景技術」の欄の記載として
(1)「ディスク基板に1〜1.6μmのピッチで凹凸状(それぞれ50%程度の幅)の溝トラックがスパイラル状に形成されており、その基板表面に記録材料(相変化光ディスクの場合、Ge、Sb、Teなど)を成分とする薄膜がスパッタリングなどの方法で形成される。」
(2)「本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、マーク長記録等の採用による高記録密度化によっても、信頼性のある番地情報の読みとりが可能な光ディスク、光ディスク装置及び光ディスク再生方法を提供することにある。」
・「発明の開示」の欄の記載として
(3)「該番地情報は、最大反転間隔Tmaxビット(Tmaxは自然数)のラン長制限符号を用いて変調されており、該アドレス同期情報は、反転間隔が(Tmax+3)ビット以上の2つのパターンを含み、そのことにより該アドレス同期情報の再生信号が、他の情報の再生信号から区別され、そのことにより上記目的が達成される。」
・(実施例1)の欄の記載として
(4)「光ディスク1aには、トラック1bがスパイラル状に形成されており、トラック1bは、所定の物理フォーマットに従って記録セクタ1cに分割されている。図5Aに示すように、記録セクタ1cは円周方向に連続して配置されて、トラック1bを形成している。・・・記録セクタ1cの先頭にはヘッダ領域2が設けられ、番地情報を読み取るためのアドレッシング情報が予め記録されている。ヘッダ領域2の後には、ギャップ領域3、データ記録領域4、バッファ領域5が順に続く。・・・データ記録領域4にはユーザデータが記録される。・・・ヘッダ領域における情報記録は、記録面の凹凸によるピットとして形成してもよいし、・・・ヘッダ領域2には、図5Cに示すように、4つのアドレス領域6a、6b、6c、及び6dに分かれている。さらに各アドレス領域はそれぞれ、VFO領域、アドレスマークAM、及び番地情報領域IDを有している。・・・各VFO領域には、4ビット長のマークとスペースが交互に現れるような連続パターンが記録されている。・・・アドレスマークAMは、その次に続く番地情報領域IDの位置を光ディスク装置が識別し、ビット同期を取るために用いられる。・・・本実施例においてアドレスマークAMは、14ビット長のマークと14ビット長のスペースとをそれぞれ1つ含むパターンである。・・・番地情報領域IDには、トラック番号やセクタ番号等の番地情報を含むデータに所定のエラー検出符号を付加したディジタルデータが、(2,10)変調符号を用いて変調されてマーク長記録される。」
(5)「(2,10)変調符号の最大反転間隔は11であるから、各番地情報領域IDあるいはデータ記録領域のパターンにおけるマーク及びスペースには、12ビット以上の長さ有するものは含まれない。」
(6)「図9は、1データバイトが変調後において16ビットになる変調符号を用いた場合のアドレスマークAMのパターンである。アドレスマークAMの長さは、48ビットであり、3データバイトになっている。パターンは、{4ビット長スペース・4ビット長マーク・14ビット長スペース・4ビット長マーク・4ビット長スペース・14ビット長マーク・4ビット長スペース}よりなるパターンである。
更に、図9に示すアドレスマークAMのパターンは、図7Aのパターンに比べ、マーク/スペースの反転回数が多いパターンとなっている。上記のようにマーク/スペースの反転回数が多いほどエッジの情報が多くなるため、ビットシフトによるエラーに強くなる。即ち、図9のパターンは、図7Aのパターンに比べてビットシフトによる誤同期検出を起こす確率が少ない。」
(7)「図10は、上述した信号フォーマットを有する光ディスク1aにデータの記録再生を行う光ディスク装置100の構成を示すブロック図である。図10に示されるように、光ディスク装置100は、スピンドルモータ7、ヘッド8、プリアンプ9、変調回路11、レーザ駆動回路14、再生系16、システム制御系18、及びサーボ系50を備えている。」
(8)「変調回路11は、入力データ12を(2,10)変調し、変調データ13をレーザ駆動回路14に出力する。レーザ駆動回路14は、再生時においては、ヘッド8に内蔵された半導体レーザが再生用のパワーで発光するようにレーザ駆動信号15を出力する。また、記録時においては、レーザ駆動回路14は、与えられる変調データ13に従ってデータ記録領域4にマーク長記録が行われるようにレーザ駆動信号15を出力し、半導体レーザを記録用のパワーで発光させる。」
(9)「VFO検出回路25は、非同期2値化データ23に基づいてVFO領域VFO1、VFO2、VFO3、及びVFO4に記録された連続パターンの検出を行い、所定の連続パターンが検出されるとVFO検出パルス26を出力する。」
(10)「アドレス復調回路30は、入力されるアドレス再生許可信号36が“1”の場合のみ、上述のようにして、アドレスマークAMのパターンを識別することにより、アドレスマークAMの検出を行う。」
(11)「データ復調回路39は、入力されるデータ再生許可信号38が“1”の場合のみ、同期2値化信号データ24のうち、データ記録領域4から読み出された記録データの復調を行い、再生データ17を出力する。」
(12)「このように、VFO検出回路25及び再生許可回路32を用いることによってヘッダ領域2においてクロックの再生及び番地情報の再生を許可し、クロック信号及び番地情報を読み取ることができる。」
(13)「アドレス復調回路30が番地情報を正しく読み取るとセクタ同期パルス31が“1”となるので、この信号に同期して、アドレス復調回路30より出力された番地情報40が読みとられ、目的の記録セクタであるかどうかが判断される(ステップ7)。読みとった番地情報40が目的の記録セクタのものであれば、記録再生を行うための制御(ステップ8)に移行する。読みとった番地情報40が目的の記録セクタのものでなければ、シーク制御(ステップ9)に移行する。」
(14)「尚、第1の実施例において、ヘッダ領域2の各番地情報領域ID及びデータ記録領域4における変調符号は(2,10)変調符号を用いているが、変調符号はこれに限定されるものではない。最大反転間隔が決まっているラン長制限符号であれば、如何なる種類のものでも差し支えなく、最大反転間隔Tmaxに対する上述の条件を満たすように、アドレスマークAMのパターンを決定すればよい。」
・(実施例3)の欄の記載として
(15)「各VFO領域VFO1、VFO2、VFO3、VFO4は、光ディスク装置が再生信号からクロック再生を行うために用いられる。各VFO領域には、例えば、第1の実施例と同様に、一定長(例えば4ビット長)のマークとスペースとが交互に現れるような連続パターンが記録されている。各VFO領域の長さは同一でもよいし、異なっていてもよい。例えば、先頭のVFO領域VFO1領域を他のVFO領域より長くするすることにより、ヘッダ領域202の先頭におけるクロック再生を安定にすることが出来る。」
(16)「次に、上述の凸状のグループトラック及び凹凸状のピットとしてのアドレス領域を有するディスク基板の作成に用いるスタンパーを作成するためのディスク原盤の形成方法について説明する。トラック及びアドレス領域は、回転させたディスク原盤にカッテング用レーザ光を照射することによって形成される。」
(17)「図21Bは、本実施例における光ディスクにおいて、記録面上に記録されるヘッダ領域202におけるアドレス領域の配置の別の例を示している。・・・ここで、アドレス領域213、217は206aに対応する。アドレス領域214、218は206bに対応する。アドレス領域215、219は206cに対応する。アドレス領域216、220は206dに対応する。ランドトラックの中心線とグルーブトラックの中心線との距離はトラックピッチTpであり、前の2つのアドレス領域(213、214、217、218)は、グルーブトラックの中心線230からTp/2だけ外周側にずらして配置され、後の2つのアドレス領域(215、216、219、220)は、グルーブトラック中心線230からTp/2だけ内周側にずらして配置される。」

エ.対比、判断
・特許法第29条の2違反について
(1)本件発明1
本件発明1と上記先願明細書に記載された発明とを対比する。
本件発明1は、先願明細書の発明と、少なくとも以下の点で相違するものと認められる。

本件発明1のヘッダ領域が、「ヘッダ1領域及びヘッダ3領域における第1の領域は36バイトを有し、第2領域及び第4領域における第1の領域は8バイトを有」するようにしているのに対し、先願明細書記載の発明のヘッダ領域では、本件発明1のヘッダ1領域ないしヘッダ4領域に相当するヘッダ領域6aないし6dを有しているものの、それぞれのヘッダ領域の大きさについて言及していない点

上記相違点について検討する。
先願明細書には、上記3.ウ.(4)、(15)及び(17)に摘記したように、ヘッダ領域に本件発明1のヘッダ1領域ないしヘッダ4領域に相当するヘッダ領域6aないし6dを有していること、実施例3において先頭のヘッダ領域のVFO(本件発明1の「第1の領域」に相当)を他のVFOより長くするとクロック再生を安定化できるとされていること、及び、同じく実施例3において1番目と2番目のヘッダ領域と3番目と4番目のヘッダ領域とを「千鳥状」に配置することについての記載がある。
しかしながら、本件発明1のように1番目と3番目のヘッダ領域の第1の領域を2番目及び4番目のヘッダ領域の第1の領域よりも大きくし、具体的に、「ヘッダ1領域及びヘッダ3領域における第1の領域は36バイトを有し、第2領域及び第4領域における第1の領域は8バイトを有」するようにすることについては、先願明細書には記載もしくは示唆もされていない。そして、本件発明1では、上記相違点に係るヘッダ領域を有することによって、より確実にアドレスマークの誤検出を防止できるという、本件発明1の所期の効果を奏するものと認められる。
したがって、本件発明1は先願明細書に記載された発明と実質的に同一であるとすることはできない。
(2)本件発明2
本件発明2と上記先願明細書記載の発明とを対比すると、本件発明2は、先願明細書記載の発明と上記3.エ.(1)と同じ点で相違するものと認められ、相違点に係る当審の判断については、上記のとおりであるから、本件発明2と先願明細書記載の発明とが実質的に同一であるとすることはできない。
(3)本件発明3
本件発明3と上記先願明細書記載の発明とを対比すると、本件発明3は、先願明細書記載の発明と上記3.エ.(1)と同じ点で相違するものと認められ、相違点に係る当審の判断については、上記のとおりであるから、本件発明3と先願明細書記載の発明とが実質的に同一であるとすることはできない。

・特許法第39条違反について
特願平10-19817号(特許第2954131号)も平成12年9月11日に訂正され、本件発明1ないし本件発明3と上記出願の訂正後の請求項1ないし3に記載された発明とは、それぞれ同一では無くなった。

4.むすび
以上のとおりであるから、当審の取消理由及び特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし3に係る発明についての特許を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1ないし3に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
情報記録再生用媒体及び情報記録再生用媒体フォーマット装置並びに情報記録再生装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域により構成されており、これらヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域は、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有し、前記ヘッダ1領域及びヘッダ3領域における前記第1の領域は36バイトを有し、前記第2領域及び第4領域における前記第1の領域は8バイトを有し、前記ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域における前記第2の領域は3バイトを有する情報記録再生用媒体であって、
前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングス3の繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングス13の違反パターンに隣接してランレングス3のパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークを前記第2の領域に記録したことを特徴とする情報記録再生用媒体。
【請求項2】
同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域により構成されており、これらヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域は、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有し、前記ヘッダ1領域及びヘッダ3領域における前記第1の領域は36バイトを有し、前記第2領域及び第4領域における前記第1の領域は8バイトを有し、前記ヘッダー領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域における前記第2の領域は3バイトを有するように情報記録再生用媒体をフォーマットする情報記録再生用媒体フォーマット装置であって、
前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングス3の繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングス13の違反パターンに隣接してランレングス3のパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークを前記第2の領域にフォーマットするフォーマット手段を備えたことを特徴とする情報記録再生用媒体フォーマット装置。
【請求項3】
同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域により構成されており、これらヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域は、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有し、前記ヘッダ1領域及びヘッダ3領域における前記第1の領域は36バイトを有し、前記第2領域及び第4領域における前記第1の領域は8バイトを有し、前記ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域における前記第2の領域は3バイトを有する情報記録再生用媒体に対して情報の記録及び再生を行う情報記録再生装置であって、
前記同期パターンが記録された前記第1の領域の再生、及び前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングス3の繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングス13の違反パターンに隣接してランレングス3のパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークが記録された前記第2の領域の再生を行い、この再生により得られた再生パターンから前記アドレスマークを検知するアドレスマーク検知手段と、
このアドレスマーク検知手段により検知された前記アドレスマークに従って、前記所定範囲のランレングス制限に従ったコードが記録された前記レコーディング領域の再生、又は前記レコーディング領域に対して前記所定範囲のランレングス制限に従ったコードの記録を行う情報記録再生手段と、
を備えたことを特徴とする情報記録再生装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、レーザ光により情報の記録及び再生が可能な情報記録再生用媒体(光ディスク)、及びこの情報記録再生用媒体に対して所定のフォーマットを施す情報記録再生用媒体フォーマット装置、並びにこの情報記録再生用媒体に対してデータの記録及び再生を行う情報記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ光によりデータの記録およぴ再生が可能な光ディスクには、同心円状又はスパイラル状のトラックが設けられ、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域が設けられている。このセクタ領域には、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化を利用してデータが記録されるレコーディング領域が設けられている。さらに、このヘッダ領域には、VFO(Voltage Frequency Oscillator)領域、AM(Address Mark)領域、PID(Physical ID)領域などが設けられている。
【0003】PID領域には、アドレス情報が記録される。AM領域には、固定長ブロック符号の復調の際にブロックの境界を検出する役割を担うアドレスマークが記録される。具体的に述べると、このAM領域に記録されるアドレスマークは、PID領域に記録されたアドレス情報の位置を示すものである。VFO領域には、PLLの引込み領域としての役割を担う一定周期の同期パターンが記録される。具体的に述べると、このVFO領域に記録される同期パターンは、PID領域に記録されたアドレス情報を再生するための周波数同期を取るためのものである。
【0004】このような光ディスクには、特定の領域(AM領域など)を除いて、ランレングス制限符号からなる符号列を用いて「O」及び「1」からなるビット情報列(2値データ)が記録される。 「O」及び「1」からなるビット情報列において、同一ビットの連続をランと呼ぶ。ランレングス制限符号では、 「1」の連続は発生せず、 「1」と「1」の間の「O」のランレングスが、例えば2以上10以下に制限される。このようなランレングス制限は、RLL(2、10)などと略記される。因みに、RLLは、Run Length Limitedの略である。
【0005】光ディスクのレコーディング領域に記録されるデータのコード化には、固定長ブロック符号が用いられる。固定長ブロック符号とはコード語対データ語の比が例えば2:1などの一定値をもってコード化がなされる符号形態を指す。この固定長ブロック符号の復調の際に、ブロックの境界を誤ると正しい復調ができない。従って、コード化されたデータの前部に設けられたAM領域にアドレスマークを記録し、データ再生時にはこのアドレスマークにより正しいブロック境界が検出され復調が行われる。アドレスマークでないデータの記録部分が誤ってアドレスマークとして判定されてしまうと、以降のデータは正しく復調されない。因みに、エッジ記録方式ではチャネルビット列の「1」の位置で極性を反転させるNRZI(Non Return to Zero Inverted)操作が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題1上記したVFO領域に記録される同期パターンには、欠陥ピットが含まれることもある。ところが、この欠陥ピットが含まれたVFO領域を再生して得られるこの欠陥ピットの影響を受けた再生パターンが原因となり、アドレスマークが誤検知されてしまうことがあった。
【0007】(1)この発明の第1の目的は、VFO領域に欠陥ピットが含まれているとき、この欠陥ピットが含まれたVFO領域を再生して得られる欠陥ピットの影響を受けた再生パターンによるアドレスマークの誤検出防止に貢献できる情報記録再生用媒体を提供することにある。
【0008】(2)この発明の第2の目的は、VFO領域に欠陥ピットが含まれているとき、この欠陥ピットが含まれたVFO領域を再生して得られる欠陥ピットの影響を受けた再生パターンによるアドレスマークの誤検出防止に貢献できる情報記録再生用媒体をフォーマットする情報記録再生用媒体フォーマット装置を提供することにある。
【0009】(3)この発明の第3の目的は、VFO領域に欠陥ピットが含まれているとき、この欠陥ピットが含まれたVFO領域を再生して得られる欠陥ピットの影響を受けた再生パターンによるアドレスマークの誤検出を防止できる情報記録再生装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を達成するために、この発明の情報記録再生用媒体及び情報記録再生用媒体フォーマット装置並びに情報記録再生装置は、以下のように構成されている。
【0011】この発明は、同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有する情報記録再生用媒体であって、前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングスmの繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングスnの違反パターンに隣接してランレングスmのパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークを前記第2の領域に記録したものである。
【0012】この発明は、同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有するように情報記録再生用媒体をフォーマットする情報記録再生用媒体フォーマット装置であって、前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングスmの繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングスnの違反パターンに隣接してランレングスmのパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークを前記第2の領域にフォーマットするフォーマット手段を備えている。
【0013】この発明は、同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有する情報記録再生用媒体に対して情報の記録及び再生を行う情報記録再生装置であって、前記同期パターンが記録された前記第1の領域の再生、及び前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングスmの繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングスnの違反パターンに隣接してランレングスmのパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークが記録された前記第2の領域の再生を行い、この再生により得られた再生パターンから前記アドレスマークを検知するアドレスマーク検知手段と、このアドレスマーク検知手段により検知された前記アドレスマークに従って、前記所定範囲のランレングス制限に従ったコードが記録された前記レコーディング領域の再生、又は前記レコーディング領域に対して前記所定範囲のランレングス制限に従ったコードの記録を行う情報記録再生手段とを備えている。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明の実施の一形態に係る情報記録再生用媒体としての光ディスクに設けられたセクタ領域の概略を示す図である。
【0027】光ディスク1は、例えば、ガラスあるいはグラステックス等で円形に形成された基板の表面に、テルルあるいはビスマス等の金属被膜層がドーナツ型にコーティングされて構成されている。また、この光ディスクには、同心円状又はスパイラル状のトラック(ランドトラック及びグルーブトラック)が設けられている。さらに、これらトラックには、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域が設けられる。
【0028】ここで、図1を参照してセクタ領域の概略構成について説明する。図1示すように、1セクタは、およそ2697バイトで構成され、128バイトのヘッダ領域、2バイトのミラー領域、2567バイトのレコーディング領域から構成されている。ヘッダ領域及びミラー領域は、出荷前に凹凸形状として記録(プリフォーマット)される部分である。レコーディング領域には、ランド及びグルーブが設けられているだけである。セクタ領域(後述するアドレスマークAM領域を除く)に記録されるチャネルビットは、8ビットのデータを16ビットのチャネルビットに8-16コード変調された形式になっている。この8-16コード変調は、RLL(2、10)符号である。
【0029】ヘッダ領域には、光ディスク1を製造する際に所定のデータが記録される。このヘッダ領域は、4つの領域、つまりヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域により構成されている。ヘッダ1領域及びヘッダ3領域は46バイトで、ヘッダ2領域及びヘッダ4領域は18バイトで構成されている。
【0030】ヘッダ1領域及びヘッダ3領域は、36バイトの同期コードVFO(VariableFrequency Oscillator)1領域、3バイトのアドレスマークAM(Address Mark)領域、4バイトのアドレスPID(Physical ID)領域、2バイトの誤り検出コードIED(ID Error Detection Code)領域、1バイトのポストアンブルPA(Post Ambles)領域により構成されている。一方、ヘッダ2領域及びヘッダ4領域は、8バイトの同期コードVFO2領域、3バイトのアドレスマークAM領域、4バイトのアドレスPID領域、2バイトの誤り検出コードIED領域、1バイトのポストアンブルPA領域により構成されている。
【0031】PID領域には、アドレス情報が記録される。具体的に述べると、1バイトから成るセクタインフォメーション(PIDナンバー含む)及び3バイトから成るセクターナンバーが記録される。
【0032】同期コードVFO1領域及びVFO2領域には、PLL(Phase Locked Loop)の引き込みを行うための連続的な繰返しパターン(100010001000…)が記録される。具体的に述べると、このVFO領域に記録されるパターンは、PID領域に記録されたアドレス情報を再生するための周波数同期を取るためのものである。
【0033】AM領域にはアドレスマークが記録され、このアドレスマークが固定長ブロック符号の復調の際にブロックの境界を検出する役割を担う。具体的に述べると、このAM領域に記録されるアドレスマークは、PID領域に記録されたアドレス情報の位置を示すものである。このAM領域に記録されるアドレスマークには、他には現れない特殊なパターンが用いられる。このAM領域に記録されるアドレスマークのパターンがこの発明の特徴であり、そのパターンは、例えば、図2に示すような特定パターンである(チャネルビット:000100010000000000000100010001000000000000010001)。
【0034】アドレスマークは48チャネルビットの長さで、シンボル0のランレングスが13であるパターン(10000000000000)により構成されている。RLL(2、10)符号においては、シンボル0のランレングスが13のパターンは存在しない。つまり、アドレスマークにシンボル0のランレングスが13であるパターンを含ませることにより、他のパターンを誤ってアドレスマークとして検出するのを防止できる。
【0035】また、この発明の特徴であるアドレスマークのパターンにおけるシンボルOのラン長を前から順に並ぺると、3、3、13、3、3、13、3となっており、「3、3、13」というシンボル1を奇数個含むパターン(0001000100000000000001)が偶数回(例えば2回)繰り返されている。これにより直流成分が相殺されている。因みに、アドレスマークには、シンボル0のランレングスが13であるパターン(10000000000000)に隣接してVFO領域に記録される同期パターンを構成するパターン(1000)が配置される。
【0036】誤り検出コードIED領域には、セクタアドレス(ID番号含む)に対するエラー(誤り)検出符号が記録され、このエラー検出符号により読み込まれたPID内のエラーの有無が検出される。
【0037】ポストアンブルPA1領域及びPA2領域には、復調に必要なステート情報が記録されており、ヘッダ領域がスペースで終了するよう極性調整の役割も持つ。ミラー領域は、トラッキングエラー信号のオフセット補正、ランド/グルーブ切り替え信号のタイミング発生等に利用される。
【0038】レコーディング領域は、(10+J/16)バイトのギヤップ領域、(20+K)バイトのガード1領域、35バイトのVFO3領域、3バイトのPS(pre-synchronous code)領域、2418バイトのデータ領域、1バイトのポストアンブルPA3領域、(55-K)バイトのガード2領域、および(25-J/16)バイトのバッファ領域により構成されている。因みに、Jは0〜15、Kは0〜7の整数でランダムな値をとる。
【0039】ギャップ領域は、何も記録されたない領域である。ガード1領域は、相変化記録媒体特有の繰り返し記録時の終端劣化がVFO3領域にまで及ばないようにするために設けられた領域である。
【0040】VFO3領域もPLLロック用の領域ではあるが、同一パターンの中に同期コードを挿入し、バイト境界の同期をとることも目的とする領域である。PS領域は、データ領域につなぐための同調用の領域である。
【0041】データ領域は、データーID、データーIDエラー訂正コードIED(Data ID Error Detection Code)、同期コード、ECC(Error Collection Code)、EDC(Error Detection Code)、ユーザデータ等から構成される領域である。データーIDは、各セクタの4バイト(32チャネルビット)構成のセクターID1〜ID16である。データーIDエラー訂正コードIEDは、データーID用の2バイト(16ビット)構成のエラー訂正コードである。
【0042】ポストアンブルPA3領域は、復調に必要なステート情報を含んでおり、前のデータ領域の最終バイトの終結を示す領域である。ガード2領域は、相変化記録媒体特有の繰り返し記録時の終端劣化がデータ領域にまで及ばないようにするために設けられた領域である。
【0043】バッファ領域は、データ領域が次のヘッダ領域にかからないように、光ディスク1を回転するモータの回転変動などを吸収するために設けられた領域である。続いて、図3を参照して、VFO領域に記録されるVFOパターンの誤検出の一例について説明する。VFO領域には、チャネルビット表示で「1000」を繰返したパターンが記録されている。このようなパターンは周期をチャネルクロック周期Tで表すと4Tとなるので4Tパターンなどとも呼ばれる。また、記録ピットはチャネルビットのシンボル1に対応する位置が支点あるいは終点となるように形成される。図3では、小判型の図形によりピットを表現するものとする。
【0044】図3(a)は、正常に記録されたVFOパターンを正常に検出した状態を示す図である。ピット列から得られる再生信号は、中断に実線で示したような波形となる。この再生信号は点線で示した2値化レベルで2値化信号に変換される。この2値信号を2値化信号と呼ぶ。2値化レベルは、例えば2値化信号のデューティからDSV(Digital Sum Value)が算出され、この算出された値を偏差としたフィードバック制御が行われ決定される。2値化信号のエッジは再生ビット列のシンボル1に対応する。
【0045】図3(b)は、正常に記録されなかったVFOパターンが検出された状態を示す図である。正常に記録されなかったVFOパターンとは、例えば、凹凸が不十分なピットが含まれたVFOパターンである。この凹凸が不十分なピットを図中では、斜線で陰影を施して示す。このような凹凸が不十分なピットが形成される現象は、例えば、マスタリング時に樹脂の充填不足が局所的に発生したり、何らかの原因でディスク基板上にピット単位の欠陥が存在したり、ディスク上に埃が付着していたりするなどのことが要因で起り得る。以下において、陰影を施したピットを欠陥ピットと呼ぶ。
【0046】欠陥ピットは、ピットの深さ(ピットを凹形状と考えた場合)が理論的に最大の反射率変化が得られるλ/4に到達しておらず、再生信号が欠陥ピット位置において充分下がらない。ここで、λはレーザ波長で例えば650[nm]などの値である。このような場合、欠陥ピットがピットとして認識されない。これにより、図3(b)に示すような、RLL(2、10)符号では発生しない12Tパターンが検出されてしまう。
【0047】AM領域に記録されるアドレスマークは、他のパターンと区別できるように、ランレングス制限符号に違反するパターン(10000000000000)が用いらる。さらに詳しくいうと、ランレングス制限符号に違反するパターンでもランレングスが大きい方の違反パターン(ランレングス制限を越えるパターン)が用いられる。
【0048】欠陥ピットが含まれた領域を再生した場合、誤った再生信号が得られることじたいは防ぎようがない。アドレスマークAM領域に記録されているアドレスマークはブロック境界を検出するという役割を担っており、このアドレスマークは復調が必要とされるデータ記録領域の先頭に配置され、かつPLLの引き込み領域であるVFO領域の直後に配置される。つまり、アドレスマークの前部には必ずVFOパターンが記録されており、このVFOパターンにおいて欠陥ピットが発生するとある特定のランレングス制限符号に違反するパターンが発生することが多い。この点が、任意のデータ中において欠陥ピットが発生した場合と大きく異なる点である。
【0049】この発明では、このことを利用して、アドレスマークの誤検出を防止する。つまり、VFO領域にピットとして認識されない欠陥ピットが含まれているとき、この欠陥ピットの影響を受けた再生パターンと異なるパターンをAM領域に記録されるアドレスマークとして採用する。こうすれば、欠陥ピットの影響を受けた再生パターンが原因で、アドレスマークが誤検出されるのを防止できる。アドレスマークのパターンの一例が、図2に示す特定パターンである。
【0050】図2に示す特定パターンには、シンボル0のランレングスが13であるパターン(10000000000000)が含まれている。このパターンは、図3(b)に示すような欠陥ピットの影響を受けた再生パターンには決して現れない。勿論、このパターンは、複数の欠陥ピットの影響を受けた再生パターンにも現れない。
【0051】図3(c)は、正常に記録されなかったVFOパターンが誤検出された状態を示す図である。正常に記録されなかったVFOパターンとは、上記説明したような欠陥ピットが含まれたパターンである。また、ここで言う誤検出とは、何らかの原因によりずれた2値化レベルにより検出された状態のことである。2値化レペルは、大きな欠陥などがあるとVFO領域において再生信号の振幅中心からずれることも起こり得る。
【0052】図3(c)では、2値化レペルが再生信号に対して低いレベル側にずれた場合を示している。この場合、欠陥ピット部分は図3(b)に比ぺてランレングスが2ビット分大きな違反パターン(シンボルOのランレングスが13)として検出されてしまう。この場合、この違反パターンが、図2に示す特定パターンに含まれるランレングス制限を越えるパターンと同じになってしまう。
【0053】しかし、図2に示す特定パターンには、ランレングス制限を越えるパターンに隣接してVFO領域に記録されるVFOパターンを構成するパターン(1000)が配置されているため、図3(c)に示すようなずれた2値化レベルにより再生された再生パターンとは必ず異なるパターンとなる。これにより、図2に示すコードパターンをアドレスマークとして採用することにより、図3(C)に示すようなパターンが再生されたとしても、アドレスマークの誤検出を防止することができる。
【0054】続いて、図4を参照して、図2に示す特定パターンのDSVについて説明する。図4は、奇数パターンを2回繰り返したパターンのDSVの変化を示したものである。奇数パターンはパターン内にシンボル1を奇数個含むパターのことで、NRZ1変換した際に始点と終点の極性が逆転する。図4において奇数パターンと呼んでいるのは、4T-14T-4Tというパターンで、シンボル1を3個含む奇数パターン(図2に示すパターン)である。
【0055】図4の上部には全体で48チャネルビットの長さをもつ、アドレスマークの特定パターンの一例を示した。2値波形のハイレベルがスペース、ローレベルがピットに対応する。2値波形の上部には各々のピットあるいはスペースの長さをチャネルビット周期Tを用いて表している。図4に示したアドレスマークのチャネルビット表現は000100010000000000000100010001000000000000010001である。図4の下部には上記パターンにおけるビット毎のDSV値の変化を示した。奇数パターンを2回繰り返しているので変化の形が左右対称となっており最終的には零に近い値で終わっている。奇数パターンを偶数回繰り返すとお互いのD SVを相殺するのでこのような結果となる。ランレングス制限符号において誤検出を防ぐためアドレスマークにランレングスが大きい違反マークを用いる場合において、直流成分を抑制するために奇数パターンを偶数回繰り返すパターンをアドレスマークとして採用することは2値化回路を簡単な構成にできるという面から非常に有効な手段となる。
【0056】ここで、この発明のアドレスマークのパターンを厳密に記載する。図2に示したパターンは、この発明の特定パターンの一例にすぎない。この発明の特定パターンは、次のように表現することができる。
【0057】VFO領域のVFOパターンのシンボル0のランレングスの上限値をmとすると、この発明の特定パターンは、シンボル0のランレングスn(n>m、n≠r m+(r-1)、r:自然数)を満たすパターンを含むものである。さらに、このシンボル0のランレングスnを満たすパターンに隣接してシンボル0のランレングスmのパターンが配置される。さらに、このパターンが、シンボル1を奇数個含むパターンを偶数回繰返したパターンである。
【0058】なお、m=3、n=13、r=3を満たす場合が\図2に示す特定パターンである。続いて、図5を参照して、上記説明したこの発明のアドレスマークの特定パターンを原盤上に記録する原盤記録装置の概略について説明する。
【0059】図5に示す原盤記録装置において、レーザ光源41から出射されたレーザ光(例えばArレーザもしくはKrレーザ)は、光軸を調整するレーザ光軸制御系42に入射し、レーザ光の温度変化等による光軸変動に対処してある。レーザ光は、ミラー43で反射され、フォーマット手段としてのフォーマット回路49に制御されたE・O変調器44a、44bから成るビーム変調系44によって任意の信号(この発明のアドレスマーク)を有するレーザ光に変調される。ここでレーザ光を所定のフォーマット信号(この発明のアドレスマークの特定パターン)に変調することができる。なお、フォーマット回路49は、後述するカッティング動作に従ってレーザ光の変調を行うようにビーム変調系44の制御を行う。レーザ光は、ピンホールやスリットから成るビーム整形系45を通過してビーム径や形状を調整される。ここまででレーザ光の調整が終わり、ビームモニタ系46でビーム形状の確認ができる。
【0060】レーザ光は、さらにミラー47に案内されて対物レンズ48により光記録原盤4Oに集束、照射される。この光記録原盤40としては、例えばガラス円盤が用いられる。このガラス円盤上には感光塗料(フォトレジスト)を塗布し、この感光塗料の表面にレーザ光を照射する。レーザ光により感光された部分はエッチングを行うと凹型の形状となる。このレーザ光の照射によって形成される表面形状を所望の凹凸形状と為し、グルーブ及びフォーマットパターンを記録する。このように処理されたガラス円盤をもとにして、スタンパが作製される。
【0061】カッティング時にはモータ等の回転手段39により、ガラス円盤4Oを例えば一定回転させる。また、対物レンズ48を有し、ガラス円盤4O上の所定位置にレーザ光を照射するための光ピックアップが、カラス円盤4Oの内周側から外周側へ一定の速度で移動する。カッティングの際、光ピックアップは円盤1回転につきトラックピッチ分だけの割台で内周側から外周方向へ等速移動を行い、この移動に伴ってレーザ光の照射位置を移動させる。このように移動する光ピックアップによって、レーザ光を照射した部分がグループ、照射しない部分がランドになる。ヘッダ領域においては、レーザ光を点滅させることによって凹凸状のピットを形成する。
【0062】続いて、図6を参照して、上記説明したこの発明のアドレスマークAMのコードパターンが記録された光ディスクに対するデータの記録及び再生を行う情報記録再生装置としての光ディスク装置の概略について説明する。
【0063】図6に示す光ディスク装置は、光ディスク1に対し集束光を用いてデータの記録、あるいは記録されているデータの再生を行うものである。光ディスク1はモータ3によって例えば、ゾーンごとに異なった回転数で回転される。このモータ3は、モータ制御回路4により制御される。光ディスク1に対するデータの記録、再生は、情報記録再生手段としての光学ヘッド5によって行われる。光学ヘッド5は、リニアモータ6の可動部を構成する駆動コイル7に固定されており、その駆動コイル7はリニアモータ制御回路8に接続される。
【0064】リニアモータ制御回路8に速度検出器9が接続され、その速度検出器9で検出される光学ヘッド5の速度信号がリニアモータ制御回路8に送られる。リニアモータ6の固定部に、図示しない永久磁石が設けられており、上記駆動コイル7がリニアモータ制御回路8によって励磁されることにより、光学ヘッド5が光ディスク1の半径方向に移動される。
【0065】光学ヘッド5には、図示しないワイヤあるいは板ばねによって支持された対物レンズ10が設けられる。この対物レンズ10は、駆動コイル11の駆動によりフォーカシング方向(レンズの光軸方向)への移動が可能で、また駆動コイル12の駆動によりトラッキング方向(レンズの光軸と直交する方向)への移動が可能である。
【0066】レーザ制御回路13の駆動制御により、半導体レーザ発振器9からレーザ光ビームが発せられる。レーザ制御回路13は、変調回路14とレーザ駆動回路15からなり、PLL回路16から供給される記録用クロック信号に同期して動作する。変調回路14は、エラー訂正回路32から供給される記録データを記録に適した信号つまり8-16変調データに変調する。レーザ駆動回路15は、変調回路14からの8-16変調データに応じて、半導体レーザ発振器(あるいはアルゴンネオンレーザ発振器)19を駆動する。
【0067】PLL回路16は、記録時、水晶発振器17から発せられる基本クロック信号をCPU30により設定される分周値で分周あるいは光ディスク1上のヘッダ領域が再生される時間間隔(ヘッダ間隔)に対応した周波数に分周し、これにより記録用のクロック信号を発生すると共に、再生時は、再生した同期コードに対応の再生用クロック信号を発生するものである。また、PLL回路16は、CPU30からの制御信号と情報記録再生手段としてのデータ再生回路18の2値化回路41からの信号に応じて、記録用あるいは再生用のクロック信号を選択的に出力する。
【0068】半導体レーザ発振器19から発せられるレーザ光ビームは、コリメータレンズ20、ハーフプリズム21、対物レンズ10を介して光ディスク1上に照射される。光ディスク1からの反射光は、対物レンズ10、ハーフプリズム21、集光レンズ22、およびシリンドリカルレンズ23を介して、光検出器24に導かれる。
【0069】光検出器24は、4分割の光検出セル24a、24b、24c、24dにからなる。このうち、光検出セル24aの出力信号は、増幅器25aを介して加算器26aの一端に供給される。光検出セル24bの出力信号は、増幅器25bを介して加算器26bの一端に供給される。光検出セル24cの出力信号は、増幅器25cを介して加算器26aの他端に供給される。光検出セル24dの出力信号は、増幅器25dを介して加算器26bの他端に供給される。
【0070】さらに、光検出セル24aの出力信号は、増幅器25aを介して加算器26cの一端に供給される。光検出セル24bの出力信号は、増幅器25bを介して加算器26dの一端に供給される。光検出セル24cの出力信号は、増幅器25cを介して加算器26dの他端に供給される。光検出セル24dの出力信号は、増幅器25dを介して加算器26cの他端に供給される。
【0071】加算器26aの出力信号は差動増幅器OP2の反転入力端に供給され、その差動増幅器OPの非反転入力端に加算器26bの出力信号が供給される。差動増幅器OP2は、加算器26a、26bの両出力信号の差に応じた、フォーカス点に関する信号を出力する。この出力はフォーカシング制御回路27に供給される。フォーカシング制御回路27の出力信号は、フォーカシング駆動コイル12に供給される。これにより、レーザ光ビームが、光ディスク1上で常時ジャストフォーカスとなる制御される。
【0072】加算器26cの出力信号は差動増幅器OP1の反転入力端に供給され、その差動増幅器OP1の非反転入力端に加算器26dの出力信号が供給される。差動増幅器OP1は、加算器26c、26dの両出力信号の差に応じたトラック差信号を出力する。この出力はトラッキング制御回路28に供給される。トラッキング制御回路28は、差動増幅器OP1からのトラック差信号に応じてトラック駆動信号を作成する。
【0073】トラッキング制御回路28から出力されるトラック駆動信号は、トラッキング方向の駆動コイル11に供給される。また、トラッキング制御回路28で用いられるトラック差信号が、リニアモータ制御回路8に供給される。
【0074】上記フォーカシングおよびトラッキングがなされることで、光検出器24の各光検出セル24a,…24dの出力信号の和信号には、つまり加算器26c、26dの両出力信号の加算である加算器26eの出力信号には、トラック上に形成されたピット(記録データ)からの反射率の変化が反映される。この信号は、データ再生回路18に供給される。データ再生回路18は、PLL回路16からの再生用クロック信号に基づき、記録データを再生する。
【0075】また、データ再生回路18は、加算器26eの出力信号とPLL回路16からの再生用クロック信号とに基づいてプリフォーマットデータ内のセクタマークSMを検出すると共に、PLL回路16から供給される2値化信号および再生用クロック信号に基づき、その2値化信号からアドレス情報としてのPID領域(トラック番号とセクタ番号)を再生する。
【0076】データ再生回路18の再生データはバス29を介してエラー訂正回路32に供給される。エラー訂正回路32は、再生データ内のエラー訂正コード(ECC)によりエラーを訂正したり、あるいはインターフェース回路35から供給される記録データにエラー訂正コード(ECC)を付与してメモリ2に出力する。
【0077】このエラー訂正回路32でエラー訂正される再生データはバス29およびインターフェース回路35を介して外部装置としての光ディスク制御装置36に供給される。光ディスク制御装置36から発せられる記録データは、インターフェース回路35およびバス29を介してエラー訂正回路32に供給される
【0078】上記トラッキング制御回路28によって対物レンズ10が移動されているとき、リニアモータ制御回路8により、対物レンズ10が光学ヘッド5内の中心位置近傍に位置するようリニアモータ6つまり光学ヘッド5が移動される。
【0079】D/A変換器31は、フォーカシング制御回路27、トラッキング制御回路28、リニアモータ制御回路8と光ディスク装置の全体を制御するCPU30との間でのデータの授受に用いられる。
【0080】モータ制御回路4、リニアモータ制御回路8、レーザ制御回路15、PLL回路16、データ再生回路18、フォーカシング制御回路27、トラッキング制御回路28、エラー訂正回路32等は、バス29を介してCPU30によって制御される。CPU30は、メモリ2に記録されたプログラムによって所定の動作を行う。
【0081】ここで、図7を参照して、データ再生回路の詳細について説明する。データ再生回路18は、図7に示すように、2値化回路61、シフトレジスタ62、復調回路63、アドレスマーク検知手段としてのアドレスマーク検知回路64、語境界カウンタ65、IEDチェック回路66、アドレス比較回路67、およびヘッダ検知信号発生回路68によって構成されている。
【0082】2値化回路61は、上記加算器26eからの加算信号を2値化するものである。この2値化回路61からの2値化信号は上記PLL回路16に供給され、再生用クロック信号(チャネルクロック)に同期したデータ系列(チャネルデータ)に変換される。
【0083】PLL回路16の出力信号としてのチャネルクロックとチャネルデータは16ビット構成のシフトレジスタ62に供給される。このチャネルクロックは、復調回路63、アドレスマーク検知回路64、語境界カウンタ65にも供給される。
【0084】シフトレジスタ62は、供給されるチャネルデータを16ビットのパラレノレデータに変換して出力する。このシフトレジスタ62からの16ビットのチャネルデータは、復調回路63、およびアドレスマーク検知回路64に供給される。
【0085】復調回路63は、語境界カウンタ65からの語境界信号が供給された際のシフトレジスタ62からの16ビットのアドレスデータに対応したアドレスに記憶されているデータをROM出力データとして出力する復調ROM(図示しない)と、この復調ROMからのROM出力データとしての復調データをPLL回路16からのチャネルクロックを分周して作成したデータクロックに応じて、シリアルに変換して出力するパラレル-シリアル変換部(図示しない)などから構成されている。
【0086】このROM出力データは、アドレスデータに対応したあらかじめ定められているたとえば8-16符号変調規則に基づいて、つまり16ビットのチャネルビットを8ビットのデータに復調されるデータである。
【0087】復調回路63からの復調データ信号は、IEDチェック回路66、およびアドレス比較回路67へ出力される。また、復調回路63で作成されたデータクロックは、IEDチェック回路66、アドレス比較回路67、およびヘッダ検知信号発生回路68へ出力される。
【0088】アドレスマーク検知回路64は、比較器により構成され、PLL回路16からのチャネルクロックが供給されるごとに、シフトレジスタ62からの16ビットのチャネルデータと16ビットのアドレスマークとが一致するか否かを比較し、一致した際に、アドレスマーク検知信号を出力するものである。アドレスマーク検知回路64からのアドレスマーク検知信号は語境界カウンタ65、IEDチェック回路66、アドレス比較回路67、およびヘッダ検知信号発生回路68に出力される。
【0089】語境界カウンタ65は、アドレスマーク検知回路64からのアドレスマーク検知信号をトリガとしてカウントを行い、固定長ブロック符号(16チャネルビット)ごとに語境界信号を出力するものである。語境界カウンタ65からの語境界信号は復調回路63に出力される。
【0090】IEDチェック回路66は、アドレスマーク検知回路64からのアドレスマーク検知信号が供給された後、復調回路63から供給される6バイト分のアドレス部PIDのセクタアドレスと誤り検出コードIEDとをデータクロックに基づいて受入れ、この受入れたセクタアドレスの誤り検出コードIEDとの演算結果が「0」か否かで、セクタアドレスが正しいか否かを判定するものである。
【0091】このIEDチェック回路66のチェック結果は、ヘッダ検知信号発生回路68に出力される。アドレス比較回路67は、アドレスマーク検知回路64からのアドレスマーク検知信号が供給された後、復調回路63から供給される4バイト分のアドレス部PIDのセクタアドレスをデータクロックに基づいて受入れ、この受入れたセクタアドレス内のID番号が「1」〜「4」のいずれに対応しているかを比較し、一致するID番号に対応する信号を出力するものである。アドレス比較回路67からのID番号に対応する信号はヘッダ検知信号発生回路68に出力される。たとえば、ID番号が「1」の場合「00」が出力され、ID番号が「2」の場合「01」が出力され、ID番号が「3」の場合「10」が出力され、ID番号が「4」の場合「11」が出力される。
【0092】また、アドレス比較回路67は、受入れたセクタアドレスをアドレスデータとしてCPU30へ出力するようになっている。ヘッダ検知信号発生回路68は、IEDチェック回路66からのチェック結果が正しいものである場合にアドレス比較回路67から供給されるID番号に対応する信号と、アドレスマーク検知回路64からのアドレスマーク検知信号と復調回路からのデータクロックとにより計数されるバイト数とに応じて、ミラーマーク領域の終了時に対応してヘッダ検知信号を発生するものであり、たとえばアドレスマーク検知信号が供給されてからのバイト数を復調回路からのデータクロックにより計数するバイナリカウンタである。このヘッダ検知信号発生回路68からのヘッダ検知信号は、PLL回路16およびCPU30へ出力される。たとえば、チェック結果が正しくID番号として「1」を示す信号が供給された場合、アドレスマーク検知回路64からのアドレスマーク検知信号が供給されてから94バイト後にヘッダ検知信号を発生し、チェック結果が正しくID番号として「2」を示す信号が供給された場合、アドレスマーク検知回路64からのアドレスマーク検知信号が供給されてから76バイト後にヘッダ検知信号を発生し、チェック結果が正しくID番号として「3」を示す信号が供給された場合、アドレスマーク検知回路64からのアドレスマーク検知信号が供給されてから30バイト後にヘッダ検知信号を発生し、チェック結果が正しくID番号として「4」を示す信号が供給された場合、アドレスマーク検知回路64からのアドレスマーク検知信号が供給されてから12バイト後にヘッダ検知信号を発生するようになっている。
【0093】以上説明したデータ再生回路18のアドレスマーク検出回路64において、図2に示すパターンが検出されたとき、このパターンをアドレスマークとして認識する。既に説明したように、図2に示すアドレスマークの特定パターンは、VFO領域における欠陥ピットの影響を受けた再生パターン、及びずれた2値化レベルにより再生された再生パターンにも現れることのないパターンである。従って、図2に示すような特定パターンをアドレスマークとして採用することにより、アドレスマークの誤検出を防止することができる。
【0094】
【発明の効果】この発明によれば下記の情報記録再生用媒体、情報記録再生用媒体フォーマット装置、及び情報記録再生装置を提供できる。
(1)VFO領域に欠陥ピットが含まれているとき、この欠陥ピットが含まれたVFO領域を再生して得られる欠陥ピットの影響を受けた再生パターンによるアドレスマークの誤検出防止に貢献できる情報記録再生用媒体。
【0095】(2)この発明の第2の目的は、VFO領域に欠陥ピットが含まれているとき、この欠陥ピットが含まれたVFO領域を再生して得られる欠陥ピットの影響を受けた再生パターンによるアドレスマークの誤検出防止に貢献できる情報記録再生用媒体をフォーマットする情報記録再生用媒体フォーマット装置。
【0096】(3)この発明の第3の目的は、VFO領域に欠陥ピットが含まれているとき、この欠陥ピットが含まれたVFO領域を再生して得られる欠陥ピットの影響を受けた再生パターンによるアドレスマークの誤検出を防止できる情報記録再生装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態に係る情報記録再生用媒体としての光ディスクに設けられたセクタ領域の概略を示す図である。
【図2】この発明のアドレスマークの一例を示す図である。
【図3】正常に記録されたVFO領域を正規の2値化レベルにより再生した様子、欠陥ピットが含まれたVFO領域を正規の2値化レベルにより再生した様子、及び欠陥ピットが含まれたVFO領域をずれた2値化レベルで再生したときの様子を示す図である。
【図4】この発明のアドレスマークのDSV値を示した概念図である。
【図5】この発明の実施の一形態に係るフォーマット装置の概略を示す図である。
【図6】この発明の実施の一形態に係る情報記録再生装置の概略を示す図である。
【図7】情報記録再生装置におけるデータ再生回路の概略を示す図である。
【符号の説明】
1…光ディスク
5…光学ヘッド
15…レーザ駆動回路
16…PLL回路
18…データ再生回路
64…アドレスマーク検知回路
 
訂正の要旨 (1)訂正事項a
本件特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】 同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有する情報記録再生用媒体であって、
前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングスmの繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングスnの違反パターンに隣接してランレングスmのパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークを前記第2の領域に記録したことを特徴とする情報記録再生用媒体。」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】 同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域により構成されており、これらヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域は、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有し、前記ヘッダ1領域及びヘッダ3領域における前記第1の領域は36バイトを有し、前記第2領域及び第4領域における前記第1の領域は8バイトを有し、前記ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域における前記第2の領域は3バイトを有する情報記録再生用媒体であって、
前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングス3の繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングス13の違反パターンに隣接してランレングス3のパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークを前記第2の領域に記録したことを特徴とする情報記録再生用媒体。」と訂正する。
(2)訂正事項b
本件特許請求の範囲の請求項2
「【請求項2】 同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有するように情報記録再生用媒体をフォーマットする情報記録再生用媒体フォーマット装置であって、
前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングスmの繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングスnの違反パターンに隣接してランレングスmのパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークを前記第2の領域にフォーマットするフォーマット手段を備えたことを特徴とする情報記録再生用媒体フォーマット装置。」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項2】 同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域により構成されており、これらヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域は、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有し、前記ヘッダ1領域及びヘッダ3領域における前記第1の領域は36バイトを有し、前記第2領域及び第4領域における前記第1の領域は8バイトを有し、前記ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域における前記第2の領域は3バイトを有するように情報記録再生用媒体をフォーマットする情報記録再生用媒体フォーマット装置であって、
前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングス3の繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングス13の違反パターンに隣接してランレングス3のパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークを前記第2の領域にフォーマットするフォーマット手段を備えたことを特徴とする情報記録再生用媒体フォーマット装置。」と訂正する。
(3)訂正事項c
本件特許請求の範囲の請求項3
「【請求項3】 同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有する情報記録再生用媒体に対して情報の記録及び再生を行う情報記録再生装置であって、
前記同期パターンが記録された前記第1の領域の再生、及び前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングスmの繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングスnの違反パターンに隣接してランレングスmのパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークが記録された前記第2の領域の再生を行い、この再生により得られた再生パターンから前記アドレスマークを検知するアドレスマーク検知手段と、
このアドレスマーク検知手段により検知された前記アドレスマークに従って、前記所定範囲のランレングス制限に従ったコードが記録された前記レコーディング領域の再生、又は前記レコーディング領域に対して前記所定範囲のランレングス制限に従ったコードの記録を行う情報記録再生手段と、
を備えたことを特徴とする情報記録再生装置。」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項3】 同心円状又はスパイラル状のトラックを有し、所定のトラック長から成る複数のセクタ領域を有し、このセクタ領域が、エンボスピットによりデータが記録されるヘッダ領域、及び相変化によりデータが記録されるレコーディング領域を有し、このヘッダ領域が、ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域により構成されており、これらヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域は、周波数同期を取るための同期パターンが記録される第1の領域、この第1の領域に続く領域でありアドレス情報の位置を示すアドレスマークが記録される第2の領域、及びこの第2の領域に続く領域でありアドレス情報が記録される第3の領域を有し、前記ヘッダ1領域及びヘッダ3領域における前記第1の領域は36バイトを有し、前記第2領域及び第4領域における前記第1の領域は8バイトを有し、前記ヘッダ1領域、ヘッダ2領域、ヘッダ3領域、及びヘッダ4領域における前記第2の領域は3バイトを有する情報記録再生用媒体に対して情報の記録及び再生を行う情報記録再生装置であって、
前記同期パターンが記録された前記第1の領域の再生、及び前記第1の領域に記録される同期パターンがランレングス3の繰り返しパターンであるとき、所定範囲のランレングス制限に違反するランレングス13の違反パターンに隣接してランレングス3のパターンが配置された特定パターンを含むアドレスマークが記録された前記第2の領域の再生を行い、この再生により得られた再生パターンから前記アドレスマークを検知するアドレスマーク検知手段と、
このアドレスマーク検知手段により検知された前記アドレスマークに従って、前記所定範囲のランレングス制限に従ったコードが記録された前記レコーディング領域の再生、又は前記レコーディング領域に対して前記所定範囲のランレングス制限に従ったコードの記録を行う情報記録再生手段と、
を備えたことを特徴とする情報記録再生装置。」と訂正する。
異議決定日 2000-09-27 
出願番号 特願平9-113877
審決分類 P 1 651・ 16- YA (G11B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 後藤 和茂  
特許庁審判長 麻野 耕一
特許庁審判官 田良島 潔
藤井 浩
登録日 1999-07-16 
登録番号 特許第2954083号(P2954083)
権利者 株式会社東芝
発明の名称 情報記録再生用媒体及び情報記録再生用媒体フォーマット装置並びに情報記録再生装置  
代理人 橋本 良郎  
代理人 坪井 淳  
代理人 橋本 良郎  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 坪井 淳  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 村松 貞男  
代理人 村松 貞男  

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