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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A63F 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A63F |
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管理番号 | 1031776 |
異議申立番号 | 異議1999-74401 |
総通号数 | 17 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2000-01-11 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-11-25 |
確定日 | 2000-10-10 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2896369号「遊技機」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2896369号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第2896369号の請求項1ないし4に係る発明は、平成10年6月18日に特許出願され、平成11年3月5日に設定登録された。その後、平成11年11月25日に粟井英一郎より、また平成11年11月30日に荒井俊之より特許異議の申立てがあり、これを受けて平成12年4月25日付け取消理由通知がなされ、平成12年7月7日付け訂正請求がなされた。 2.訂正の内容とその適否について (1)訂正の内容 イ.特許請求の範囲の訂正 「【請求項1】表示状態が変化可能な可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて前記可変表示部に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技進行を制御する遊技制御手段が搭載された遊技制御基板と、前記遊技制御基板からの信号にもとづいて前記可変表示部の表示制御を行う表示制御手段が搭載された表示制御基板とを有し、前記表示制御基板に、前記遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を設けたことを特徴とする遊技機。」を、 「【請求項1】表示状態が変化可能な可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて前記可変表示部に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技進行を制御する遊技制御手段が搭載された遊技制御基板と、前記遊技制御基板からの信号にもとづいて前記可変表示部の表示制御を行う表示制御手段が搭載された表示制御基板とを有し、前記表示制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について前記遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を実装し、前記遊技制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について前記表示制御基板への信号の出力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を実装したことを特徴とする遊技機。」と訂正し、【請求項4】を削除する。 ロ.発明の詳細な説明の欄の訂正 (訂正事項a) 「【0008】 【課題を解決するための手段】 本発明による遊技機は、表示状態が変化可能な可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて可変表示部に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技進行を制御する遊技制御手段が搭載された遊技制御基板と、遊技制御基板からの信号にもとづいて可変表示部の表示制御を行う表示制御手段が搭載された表示制御基板とを有し、表示制御基板に、遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段が搭載されていることを特徴とする。」を、 「【0008】 【課題を解決するための手段】 本発明による遊技機は、表示状態が変化可能な可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて可変表示部に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技進行を制御する遊技制御手段が搭載された遊技制御基板と、遊技制御基板からの信号にもとづいて可変表示部の表示制御を行う表示制御手段が搭載された表示制御基板とを有し、表示制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段が実装され、遊技制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について表示制御基板への信号の出力のみを可能とする信号伝達方向規制手段が実装されていることを特徴とする。」と訂正する。 (訂正事項b) 「【0096】 遊技制御基板にも、表示制御基板への信号の出力のみを可能とする信号伝達方向規制手段が搭載されている場合には、表示制御基板側から遊技制御基板側に信号が入力されてしまうことがさらに確実に防止される。」を、 「【0096】 遊技制御基板にも、表示制御基板への信号の出力のみを可能とする信号伝達方向規制手段が搭載されているので、表示制御基板側から遊技制御基板側に信号が入力されてしまうことがさらに確実に防止される。」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否及び拡張・変更の存否 上記特許請求の範囲の訂正内容は、特許明細書及び図面に記載された事項の範囲内であり、かつ特許請求の範囲の減縮に該当し、実質的に特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。 また、同時になされた発明の詳細な説明の欄の訂正内容は、特許明細書及び図面に記載された事項の範囲内であって、上記特許請求の範囲の訂正内容との整合性を図るべく明瞭でない記載の釈明を目的とし、実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものではない。 (3)独立特許要件の判断 (3-1)訂正明細書の発明 訂正明細書の請求項1ないし3に係る発明(以下、第1発明ないし第3発明という)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次の事項により特定されるものである。 「【請求項1】表示状態が変化可能な可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて前記可変表示部に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技進行を制御する遊技制御手段が搭載された遊技制御基板と、前記遊技制御基板からの信号にもとづいて前記可変表示部の表示制御を行う表示制御手段が搭載された表示制御基板とを有し、前記表示制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について前記遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を実装し、前記遊技制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について前記表示制御基板への信号の出力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を実装したことを特徴とする遊技機。 【請求項2】信号伝達方向規制手段は、汎用のバッファIC回路で構成されている請求項1記載の遊技機。 【請求項3】バッファIC回路のイネーブル端子は、常に入出力導通状態に設定されている請求項2記載の遊技機。」 (3-2)引用刊行物記載の発明 第1発明ないし第3発明に対し、当審が先の取消理由通知書にて示した本件特許の出願日前に頒布された刊行物である特開平8-224339号公報には、以下の発明が記載されている。 「【請求項1】パチンコ機のパチンコ遊技全体に関わる制御を行うためのメイン制御部と、前記パチンコ機が備えた図柄表示装置に配備されると共に、前記メイン制御部からの制御信号に応じて前記図柄表示装置を表示駆動制御するためのサブ制御部と、前記メイン制御部とサブ制御部との間に介在されると共に前記メイン制御部からサブ制御部へのみコマンドデータの転送を可能とし、前記サブ制御部からメイン制御部へのデータ信号入力を禁止する一方向データ転送手段とを設けたことを特徴とするパチンコ機におけるデータ伝送装置。」 「【0011】一方向データ転送手段により、サブ制御部からメイン制御部へのデータ信号入力が禁止されるため、図柄表示装置を介するサブ制御部からメイン制御部への不正信号の入力が防止され、入賞が成立していないにもかかわらず、入賞状態となるといったことが防止される。」 「【0020】また、第3図は、サブ制御部8における各表示手段の接続を示すブロック図であり、サブ制御部8には、・・・、普通図柄記憶数表示LED29、大入賞口入賞数表示LED32及び開放回数表示LED33がそれぞれ接続され、これら各表示手段はサブCPU8により個別にまたは同時に表示駆動されるように構成されている。」 「【0128】さらに、サブ制御部からメイン制御部へのデータ信号入力が禁止されるため、何等かの手段により、図柄表示装置を介してサブ制御部からメイン制御部へ不正信号の出力がなされたとしても、サブ制御部からのメイン制御部への不正信号の入力を防止することができ、したがって、入賞が成立していないにもかかわらず、入賞状態となるといったことが防止することができる。」 (3-3)対比判断 本件第1発明と引用例記載の発明とを対比すると、引用例記載の遊技機には、「表示状態が変化可能な可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて可変表示部に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機」であって、「遊技進行を制御する遊技制御手段が搭載された遊技制御基板と、遊技制御基板からの信号にもとづいて可変表示部の表示制御を行う表示制御手段が搭載された表示制御基板とを有し、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について前記遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を設ける」とする構成を備えているものの、本件第1発明で特定する「表示制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を実装し、遊技制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について表示制御基板への信号の出力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を実装した」とする構成の開示はなく、またそれを示唆する記載もない。 そして本件第1発明は、この構成によって「表示制御基盤側から遊技制御基盤側に信号が入力されてしまうことを確実に防止しうる」とする明細書記載の格別の効果を奏するものと認めるから、当該引用例記載の発明から容易になし得たものとすることはできない。 また、本件第2発明及び第3発明は、いずれも第1発明を引用する従属発明であるから、上記引用例記載の発明から容易になし得たものとすることはできない。 したがって、本件第1発明ないし第3発明は、いずれも特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 (4)むすび 以上のとおり、上記訂正の内容は特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する同法第126条第2ないし4項の規定に適合するから、当該訂正請求を認める。 3.特許異議の申立てについての判断 (1)申立て理由の概要 申立人粟井英一郎は、本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許の出願日前に頒布された甲第1号証ないし甲第2号証に記載された発明と同一であり、また請求項2ないし4に係る発明は、甲第1号証ないし甲第2号証記載の発明から容易に想到し得たものであって、特許法第29条第1項3号、または同2項の規定に違反して特許されたものであるから、同法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきである旨主張している。 また、同荒井俊之は、本件特許の請求項1ないし請求項4に係る発明は甲第1号証ないし甲第4号証記載の発明から容易に発明し得たものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、同法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきである旨主張している。 (2)訂正後の本件請求項1ないし3に係る発明 本件特許の請求項1ないし3に係る発明(以下、本件第1発明ないし第3発明という)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりのものである(前記2.(3)独立特許要件の判断参照)。 (3)証拠及び対比・判断 (申立人粟井英一郎が提出した証拠について) 申立人粟井英一郎が提出した甲第1号証(特開平8-224339号公報)は、当審による先の取消理由の引用例である。そして、前記2.(3)独立特許要件で示したように、本件第1ないし第3発明は、甲第1号証記載の発明であるとも、またこの発明から容易になし得たものであるとすることはできない。 また、甲第2号証(特開平7-299209号公報)には、遊技機の制御に関し、「遊技盤の制御を行う第1制御装置と、第1制御装置に従属的に動作する第2の制御装置を設け、第1の制御装置から第2の制御装置に向けて一方向のみにデータを送るように構成する」ことが開示されているに止まり、本件第1発明で特定する「表示制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を実装し、遊技制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について表示制御基板への信号の出力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を実装した」とする構成の開示はなく、またそれを示唆する記載もない。 そして本件第1発明は、この構成によって「表示制御基盤側から遊技制御基盤側に信号が入力されてしまうことを確実に防止しうる」とする明細書記載の格別の効果を奏するものと認めるから、甲第2号証に記載の発明であるとも、また同発明から容易になし得たものとすることもできない。また、甲第1号証及び甲第2号証記載の発明を組み合わせたとしても、本件第1発明の構成を想到することが容易であるとすることもできない。 さらに、第2発明ないし第3発明は、いずれも第1発明を引用する従属発明であるから、同証拠に記載の発明から容易になし得たものとすることはできない。 (申立人荒井俊之が提出した証拠について) 申立人荒井俊之が提出した甲第1号証(特開平8-224339号公報)は、当審による先の取消理由の引用例である。そして、前記2.(3)独立特許要件で示したように、本件第1ないし第3発明は、甲第1号証記載の発明であるとも、またこの発明から容易になし得たものであるとすることはできない。 また、甲第2号証(特開平7-24108号公報)には、遊技機用画像サウンド制御装置に関し「遊技機制御基板と、画像サウンド制御基板のコマンド受信専用I/Fとを制御線で接続する」技術が、甲第3号証(日立Bi-CMOS/CMOSロジック HD74BC/AC/HU/UHシリーズデータブック。平成8年9月発行)には「バッファ回路としての汎用IC」に関する技術が、甲第4号証(特開平10-118273号公報)には、パチンコ機における映像表示装置の障害監視システムに関し「主基板に、オープンコレクター出力の8ビット並列インターフェース用ICを搭載し、映像表示装置とケーブルにより接続する」技術がそれぞれ開示されているに止まり、本件第1発明で特定する「表示制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を実装し、遊技制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について常時制御基板への信号の出力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を実装した」とする構成の開示はなく、またそれを示唆する記載もない。 そして本件第1発明は、この構成によって「表示制御基盤側から遊技制御基盤側に信号が入力されてしまうことを確実に防止しうる」とする明細書記載の格別の効果を奏するものと認めるから、甲第1号証ないし甲第4号証に記載の各発明から容易になし得たものとすることはできない。 また、第2発明ないし第3発明は、いずれも第1発明を引用する従属発明であるから、同証拠に記載の発明から容易になし得たものとすることはできない。 (4)むすび 以上のとおり、申立人が主張する各理由及び各証拠によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。 さらに、本件発明に係る特許を取り消すべき他の理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 遊技機 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 表示状態が変化可能な可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて前記可変表示部に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、 遊技進行を制御する遊技制御手段が搭載された遊技制御基板と、 前記遊技制御基板からの信号にもとづいて前記可変表示部の表示制御を行う表示制御手段が搭載された表示制御基板とを有し、 前記表示制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について前記遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を実装し、 前記遊技制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について前記表示制御基板への信号の出力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を実装した ことを特徴とする遊技機。 【請求項2】 信号伝達方向規制手段は、汎用のバッファIC回路で構成されている 請求項1記載の遊技機。 【請求項3】 バッファIC回路のイネーブル端子は、常に入出力導通状態に設定されている 請求項2記載の遊技機。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、遊技者の操作に応じて遊技が行われるパチンコ遊技機やコイン遊技機等の遊技機に関し、特に、表示部に表示される図柄やキャラクタによって遊技演出が行われる遊技機に関する。 【0002】 【従来の技術】 遊技機として、表示状態が変化可能な可変表示部を有する可変表示装置が設けられ、可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に遊技者に有利となる特定遊技状態に移行するように構成されたものがある。可変表示装置には複数の可変表示部があり、通常、複数の可変表示部の表示結果を時期を異ならせて表示するように構成されている。可変表示部には、例えば、図柄等の複数の識別情報が可変表示される。可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様の組合せとなることを、通常、「大当り」という。なお、遊技価値とは、遊技機の遊技領域に設けられた可変入賞球装置の状態が打球が入賞しやすい遊技者にとって有利な状態になることや、遊技者にとって有利な状態となるための権利を発生させたりすることである。 【0003】 また、「大当り」の組合せ以外の「はずれ」の表示態様の組合せのうち、複数の可変表示部の表示結果のうちの一部が未だに導出表示されていない段階において、既に表示結果が導出表示されている可変表示部の表示態様が特定の表示態様の組合せとなる表示条件を満たしている状態を「リーチ」という。遊技者は、大当りをいかにして発生させるかを楽しみつつ遊技を行う。 【0004】 大当りが発生すると、例えば、大入賞口が所定回数開放して打球が入賞しやすい大当り遊技状態に移行する。そして、各開放期間において、所定個(例えば10個)の大入賞ロヘの入賞があると大入賞口は閉成する。そして、大入賞口の開放回数は、所定回数(例えば15ラウンド)に固定されている。なお、各開放について開放時間(例えば29.5秒)が決められ、入賞数が所定個に達しなくても開放時間が経過すると大入賞口は閉成する。また、大入賞口が閉成した時点で所定の条件(例えば、大入賞口内に設けられているVゾーンヘの入賞)が成立していない場合には、大当り遊技状態は終了する。 【0005】 このように、大当りが発生すると遊技者に極めて有利な状態になるので、不正に大当りを発生させる不正行為が行われる可能性もある。不正行為は、遊技機の表側からだけでなく、遊技機裏面に設置されている各種回路基板に不正改造を行うことによってなされる可能性もある。不正に大当りが頻発すると、遊技店に多大な損失を与えることになる。その上、遊技店の損失が大きくなると、損失を補填するために一般遊技客に還元されるべき利益が減らされるおそれもある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 以上に述べたように、不正行為を受けると遊技店や一般遊技客が大きな損失を受けるために、不正行為を受けにくい遊技機の出現が強く望まれている。特に、遊技機裏面に設置されている各種回路基板に対する不正改造は発見されにくいので、遊技機において、回路基板改造による不正行為の防止は重要な課題になっている。 【0007】 本発明は、そのような課題を解決するためになされたものであって、回路基板改造による不正行為を効果的に防止して不正行為を受けにくくする遊技機を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】 本発明による遊技機は、表示状態が変化可能な可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて可変表示部に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技進行を制御する遊技制御手段が搭載された遊技制御基板と、遊技制御基板からの信号にもとづいて可変表示部の表示制御を行う表示制御手段が搭載された表示制御基板とを有し、表示制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段が実装され、遊技制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について表示制御基板への信号の出力のみを可能とする信号伝達方向規制手段が実装されていることを特徴とする。 【0009】 信号伝達方向規制手段は、汎用のバッファIC回路で構成されていてもよい。また、バッファIC回路のイネーブル端子は、常に入出力導通状態に設定されていてもよい。 【0010】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。 まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図、図2はパチンコ遊技機1の内部構造を示す全体背面図、図3はパチンコ遊技機1の遊技盤を背面からみた背面図である。なお、ここでは、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、例えばコイン遊技機等であってもよい。 【0011】 図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3からあふれた景品玉を貯留する余剰玉受皿4と打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の後方には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が設けられている。 【0012】 遊技領域7の中央付近には、複数種類の図柄を可変表示するための画像表示部9と7セグメントLEDによる可変表示器10とを含む可変表示装置8が設けられている。画像表示部9には、「左」、「中」、「右」の3つの図柄表示エリアがあり、これらの図柄表示エリアは各可変表示部を構成する。可変表示装置8の側部には、打球を導く通過ゲート11が設けられている。通過ゲート11を通過した打球は、玉出口13を経て始動入賞口14の方に導かれる。通過ゲート11と玉出口13との間の通路には、通過ゲート11を通過した打球を検出するゲートセンサ12がある。また、始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口センサ17によって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。 【0013】 可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。この実施の形態では、開閉板20が大入賞口を開閉する手段となる。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(Vゾーン)に入った入賞球はVカウントセンサ22で検出される。また、開閉板20からの入賞球はカウントセンサ23で検出される。可変表示装置8の下部には、始動入賞口14に入った入賞球数を表示する4個の表示部を有する始動入賞記憶表示器18が設けられている。この例では、4個を上限として、始動入賞がある毎に、始動入賞記憶表示器18は点灯している表示部を1つずつ増やす。そして、画像表示部9の可変表示が開始される毎に、点灯している表示部を1つ減らす。 【0014】 遊技盤6には、複数の入賞口19,24が設けられている。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cが設けられている。そして、この例では、一方のスピーカ27の近傍に、景品玉払出時に点灯する賞球ランプ51が設けられ、他方のスピーカ27の近傍に、補給玉が切れたときに点灯する玉切れランプ52が設けられている。さらに、図1には、パチンコ遊技台1に隣接して設置され、プリペイドカードが挿入されることによって玉貸しを可能にするカードユニット50も示されている。 【0015】 打球発射装置から発射された打球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。打球が通過ゲート11を通ってゲートセンサ12で検出されると、可変表示器10の表示数字が連続的に変化する状態になる。また、打球が始動入賞口14に入り始動口センサ17で検出されると、図柄の変動を開始できる状態であれば、画像表示部9内の図柄が回転を始める。図柄の変動を開始できる状態でなければ、始動入賞記憶を1増やす。なお、始動入賞記憶については、後で詳しく説明する。画像表示部9内の画像の回転は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の画像の組み合わせが大当り図柄の組み合わせであると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に打球が特定入賞領域に入賞しVカウントセンサ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。この継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。 【0016】 停止時の画像表示部9内の画像の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、高確率状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。 また、可変表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定時間だけ開状態になる。さらに、高確率状態では、可変表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。 【0017】 次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図2を参照して説明する。 可変表示装置8の背面では、図2に示すように、機構板36の上部に景品玉タンク38が設けられ、パチンコ遊技機1が遊技機設置島に設置された状態でその上方から景品玉が景品玉タンク38に供給される。景品玉タンク38内の景品玉は、誘導樋39を通って玉払出装置に至る。 【0018】 機構板36には、中継基板30を介して画像表示装置9を制御する可変表示制御ユニット29、基板ケース32に覆われ遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板31、可変表示制御ユニット29と遊技制御基板31との間の信号を中継するための中継基板33が設置されている。また、景品玉の払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された賞球基板37、およびモータの回転力を利用して打球を遊技領域7に発射する打球発射装置34が設置されている。さらに、機構板36の枠側において、遊技効果LED28a、遊技効果ランプ28b,28c、賞球ランプ51および玉切れランプ52に信号を送るためのランプ制御基板35が設置されている。また、図2には示されていないが、スピーカ27からの音声発生を制御するための音声制御基板および打球発射装置34を制御するための発射制御基板91も設けられている。 【0019】 また、遊技盤6の裏面には、図3に示すように、各入賞口および入賞球装置に入賞した入賞玉を所定の入賞経路に沿って導く入賞玉集合カバー40が設けられている。入賞玉集合カバー40に導かれる入賞玉のうち、開閉板20を経て入賞したものは、玉払出装置97が相対的に多い景品玉数(例えば15個)を払い出すように制御される。始動入賞口14を経て入賞したものは、玉払出装置(図3において図示せず)が相対的に少ない景品玉数(例えば6個)を払い出すように制御される。そして、その他の入賞口24および入賞球装置を経て入賞したものは、玉払出装置が相対的に中程度の景品玉数(例えば10個)を払い出すように制御される。 【0020】 このような制御を行うために、入賞球検出スイッチ99、始動口センサ17およびVカウントセンサ22からの信号が、遊技制御基板31に送られる。遊技制御基板31に入賞球検出スイッチ99のオン信号が送られると、遊技制御基板31から賞球基板37に賞球個数信号が送られる。入賞があったことは入賞球検出スイッチ99で検出されるが、その場合に、遊技制御基板31から、賞球基板37に賞球個数信号が与えられる。例えば、始動口センサ17のオンに対応して入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数信号に「6」が出力され、カウントセンサ23またはVカウントセンサ22のオンに対応して入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数信号に「15」が出力される。そして、それらのセンサがオンしない場合に入賞球検出スイッチ99がオンすると、賞球個数信号に「10」が出力される。 【0021】 図4は、遊技制御基板(メイン基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図4には、賞球基板37、ランプ制御基板35、音声制御基板70、発射制御基板91および表示制御基板80も示されている。メイン基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートセンサ12、始動口センサ17、Vカウントセンサ22、カウントセンサ23および入賞球検出スイッチ99からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16および開閉板20を開閉するソレノイド21を基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59と、始動記憶表示器18の点灯および滅灯を行うとともに7セグメントLEDによる可変表示器10を駆動し、また、装飾ランプ25を点滅させるランプ・LED回路60とを含む。 【0022】 また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、画像表示部9の画像表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等をホール管理コンピュータ等のホストコンピュータに対して出力する情報出力回路64を含む。 【0023】 遊技玉を打撃して発射する打球発射装置34は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の操作量に応じた速度で打球が発射されるように制御される。 【0024】 基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用されるRAM55、制御用のプログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。なお、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている場合もある。 【0025】 さらに、メイン基板31には、電源投入時に基本回路53をリセットするための初期リセット回路65と、定期的(例えば、2ms毎)に基本回路53にリセットパルスを与えてゲーム制御用のプログラムを先頭から再度実行させるための定期リセット回路66と、基本回路53から与えられるアドレス信号をデコードしてI/Oポート部57のうちのいずれかのI/Oポートを選択するための信号を出力するアドレスデコード回路67とが設けられている。 【0026】 図5は、表示制御基板80内の回路構成を、画像表示部9を実現するCRT82とともに示すブロック図である。表示制御基板80には、CRT82の画像表示を制御する表示コントロール回路81が設けられている。さらに、表示制御基板80には、表示コントロール回路81をリセットするためのリセット回路83と、表示コントロール回路81にクロック信号を与える発振回路84と、使用頻度の高い画像を表すデータを記憶するキャラクタROM86と、表示コントロール回路81が生成した画像データを記憶するVRAM87と、1画面分の画像データが設定されるフレームメモリ回路88とが含まれている。フレームメモリ回路88内の画像データは、所定の同期信号に同期して、RGB色信号とSYNC信号とからなるビデオ信号としてCRT82に送出され、CRT82において画像が表示される。 なお、キャラクタROM86に格納される使用頻度の高い画像データとは、例えば、CRT82に表示される人物、動物、または、文字、図形もしくは記号等からなる画像などである。 【0027】 表示コントロール回路81は、メイン基板31の表示装置回路63からストローブ信号が入力されると表示装置回路63からの表示制御コマンドデータを入力し、そのコマンドデータが示す状態を認識する。表示コントロール回路81は、コマンドデータの状態に従ってCRT82に表示するための画像データを生成する。そして、画像データをVRAM87に記憶する。 【0028】 図6は、表示コントロール回路81の構成の一例を示すブロック図である。CRTコントロール回路81には、表示制御用CPU101、VDP103および制御データが記憶された制御データROM102が含まれる。表示制御用CPU101は、表示装置回路63からの表示制御コマンドデータに従って、キャラクタROM86から必要なデータを読み出す。そして、表示制御用CPU101は、読み出したデータをVDP103に出力する。VDP103は、入力したデータに従ってCRT82に表示するための画像データを生成し、その画像データをVRAM87に格納する。そして、VRAM87内の画像データは、フレームメモリ回路88に転送される。 なお、図6には示されていないが、表示制御基板80とCRT82との間には、ビデオ信号にもとづいてCRT82を駆動するためのCRT駆動回路を有するCRT基板が設けられている。 【0029】 図7は、メイン基板31および表示制御基板80における表示制御コマンドデータ送受信に関わる部分を示す回路図である。図7には、表示制御コマンドデータを送出する出力ポート571およびストローブ信号を出力する出力ポート572が示されている。なお、出力ポート571,572は、図4に示されたI/Oポート部57の一部である。 【0030】 図7に示すように、表示制御コマンドデータは、基本回路53におけるI/Oポート部57の出力ポート571から出力される。表示制御基板80において、表示制御コマンドデータは、バッファ回路105を介して表示制御用CPU101に入力する。また、出力ポート571からの出力に同期して出力ポート572のビット7からストローブ信号が出力される。表示制御基板80において、ストローブ信号もバッファ回路105を介して表示制御用CPU101に入力する。なお、表示制御用CPU91がI/Oポートを内蔵していない場合には、バッファ回路105と表示制御用CPU101との間に、I/Oポートが設けられる。 【0031】 ストローブ信号は、表示制御用CPU101の割込入力端子であるIRQ2端子に入力される。従って、表示制御用CPU101は、IRQ2端子の割込要求によって表示制御コマンドデータが送出されたことを知ることができる。表示制御プログラムにおける割込制御プログラムでは、入力ポートに入力された表示制御コマンドデータを取り込んでそれを記憶する。 【0032】 図8は、メイン基板31から表示制御基板80に送信される表示制御コマンドデータを示す説明図である。図8に示すように、この実施の形態では、表示制御コマンドデータは、表示制御信号CD0〜CD7の8本の信号線でメイン基板31から表示制御基板80に送信される。また、メイン基板31と表示制御基板80との間には、ストローブ信号を送信するための表示制御信号INTの信号線、表示制御基板80の電源となる+5V,+12Vの供給線、および接地レベルを供給するための信号線も配線されている。 【0033】 図9は、メイン基板31から遊技制御基板80に与えられる表示制御コマンドデータの送出タイミングを示すタイミング図である。表示制御コマンドデータを構成する各表示制御データは連続して送出されるが、図9に示すように、表示制御データは2ms毎に送出される。そして、各表示制御データに同期してストローブ信号が出力される。表示制御用CPU101には、ストローブ信号の立ち上がりで図7に示すようにIRQ2割込がかかるので、表示制御用CPU101は、割込処理プログラムによって各表示制御データを取り込むことができる。 【0034】 図10は、表示制御コマンドデータの一例を示す説明図である。この実施の形態では、表示制御コマンドデータは、表示制御コマンドデータ1〜8の8バイトの表示制御データで構成されているとする。そして、表示制御コマンドデータ1〜6が本来の遊技制御において用いられる表示制御データであるとする。なお、図10には「全図柄変動表示」等の代表的な表示制御データのみが示されているが、その他、リーチ種類を示す表示制御データ、具体的な図柄を指示する表示制御データ等が用意されている。 【0035】 図11は、表示制御基板80に設置されたバッファ回路105の構成例を示す回路図である。この例では、バッファ回路105として、汎用のCMOS-ICである74HC244が用いられている。74HC244は8個のバッファが内蔵されているので、この例では、2チップの74HC244が用いられる。74HC244にはイネーブル端子が設けられ、イネーブル端子の信号レベルによって各バッファの状態が制御される。イネーブル端子の信号レベルがハイレベルであればバッファの出力はハイインピーダンス状態になるが、ローレベルであればバッファの出力レベルは入力レベルと同じになる。なお、ここでは、常にイネーブル端子にローレベル(GNDレベル)が与えられている。 【0036】 次に遊技機の動作について説明する。 図12は、メイン基板31における基本回路53の動作を示すフローチャートである。上述したように、この処理は、定期リセット回路66が発するリセットパルスによって、例えば2ms毎に起動される。基本回路53が起動されると、基本回路53は、まず、スタックポインタの指定アドレスをセットするためのスタックセット処理を行う(ステップS1)。次いで、初期化処理を行う(ステップS2)。初期化処理では、基本回路53は、RAM55にエラーが含まれているか判定し、エラーが含まれている場合には、RAM55を初期化するなどの処理を行う。そして、表示制御基板80に送出されるコマンドコードをRAM55の所定の領域に設定する処理を行った後に(ステップS3)、コマンドコードを表示制御データとして出力する処理を行う(ステップS4)。 【0037】 次いで、ランプ制御基板35および音声制御基板70に音声発生やLED点灯制御用の所定のコマンドを送信するための処理を行うとともに、情報出力回路64を介して、ホール管理用コンピュータに大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを送信するための処理を行う(データ出力処理:ステップS5)。また、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断処理が行われ、その結果に応じて必要ならば警報が発せられる(エラー処理:ステップS6)。 【0038】 次に、遊技制御に用いられる各判定用乱数を示す各カウンタを更新する処理を行う(ステップS7)。ステップS7では、基本回路53は、判定用乱数としての大当り判定用乱数等のカウントアップ(1加算)を行う。 【0039】 次に、基本回路53は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS8)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS9)。普通図柄プロセス処理では、7セグメントLEDによる可変表示器10を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。さらに、基本回路53は、スイッチ回路58を介して、ゲートセンサ12、始動口センサ17およびカウントセンサ23の状態を入力し、各入賞口や入賞装置に対する入賞があったか否か判定する(ステップS10)。 【0040】 基本回路53は、さらに、表示用乱数を更新する処理を行う(ステップS11)。すなわち、図柄決定用の乱数等のカウントアップ(1加算)を行う。 【0041】 また、基本回路53は、賞球基板37との間の信号処理を行う(ステップS12)。すなわち、所定の条件が成立すると賞球基板37に賞球個数信号を出力する。賞球基板37に搭載されている賞球制御用CPUは、賞球個数信号に応じて玉払出装置97を駆動する。 その後、基本回路53は、次に定期リセット回路66からリセットパルスが与えられるまで、ステップS13の表示用乱数更新処理を繰り返す。 【0042】 図13は基本回路53における特別図柄プロセス処理のプログラムの一例を示すフローチャートである。図13に示す特別図柄プロセス処理は、図12のフローチャートにおけるステップS8の具体的な処理である。基本回路53のCPU56は、特別図柄プロセス処理を行う際に、その内部状態に応じて、図13に示すステップS300〜S309のうちのいずれかの処理を行う。各処理において、以下のような処理が実行される。 【0043】 特別図柄変動待ち処理(ステップS300):始動入賞口14(この実施の形態では可変入賞球装置15の入賞口)に打球入賞して始動口センサ17がオンするのを待つ。始動口センサ17がオンすると、始動入賞記憶数が満タンでなければ、始動入賞記憶数を+1するとともに大当り判定用乱数を抽出する。 特別図柄判定処理(ステップS301):特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、始動入賞記憶数を確認する。始動入賞記憶数が0でなければ、抽出されている大当り判定用乱数の値に応じて大当たりとするかはずれとするか決定する。 停止図柄設定処理(ステップS302):左右中図柄の停止図柄を決定する。 【0044】 リーチ動作設定処理(ステップS303):リーチ判定用乱数の値に応じてリーチ動作するか否か決定するとともに、リーチ動作用乱数の値に応じてリーチ動作の変動態様を決定する。 【0045】 全図柄変動開始処理(ステップS304):画像表示部9において全図柄が変動開始されるように制御する。また、画像表示部9に背景やキャラクタも表示される場合には、それに応じた表示制御コマンドデータが表示制御基板80に送出されるように制御する。 全図柄停止待ち処理(ステップS305):所定時間が経過すると、画像表示部9において表示される全図柄が停止されるように制御する。また、全図柄停止のタイミングまで、所定のタイミングで左右図柄が停止されるように制御するとともに、適宜、画像表示部9において表示される背景やキャラクタに応じた表示制御コマンドデータが表示制御基板80に送出されるように制御する。 【0046】 大当たり表示処理(ステップS306):停止図柄が大当たり図柄の組み合わせである場合には、大当たり表示の表示制御コマンドデータが表示制御基板80に送出されるように制御するとともに内部状態(プロセスフラグ)をステップS307に移行するように更新する。そうでない場合には、内部状態をステップS309に移行するように更新する。なお、大当たり図柄の組み合わせは、左右中図柄が揃った組み合わせである。また、遊技制御基板80の回路は表示制御コマンドデータに従って、画像表示部9に大当り表示を行う。大当り表示は遊技者に大当りの発生を報知するためになされるものである。 大入賞口開放開始処理(ステップS307):大入賞口を開放する制御を開始する。具体的には、カウンタやフラグを初期化するとともに、ソレノイド21を駆動して大入賞口を開放する。 【0047】 大入賞口開放中処理(ステップS308):大入賞口ラウンド表示の表示制御コマンドデータが表示制御基板80に送出する制御や大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口の閉成条件が成立したら、大当り遊技状態の終了条件が成立していなければ内部状態をステップS307に移行するように更新する。大当り遊技状態の終了条件が成立していれば、内部状態をステップS309に移行するように更新する。 【0048】 大当たり終了処理(ステップS309):大当たり遊技状態が終了したことを遊技者に報知するための表示を行う。その表示が終了したら、内部フラグ等を初期状態に戻し、内部状態をステップS300に移行するように更新する。 【0049】 上記の各ステップの処理に応じて、遊技制御プログラム中の表示制御コマンドデータを送出する処理を行うモジュール(図12におけるステップS4)は、対応する表示制御コマンドデータを出力ポート571に出力するとともに、ストローブ信号を出力ポート572に出力する。 【0050】 図14は、表示制御データ出力処理(ステップS4)の動作例を示すフローチャートである。表示制御データ出力処理において、CPU56は、まず、データ送出中フラグがセットされているか否か確認する(ステップS411)。セットされていなければ、表示制御コマンドデータの送出要求フラグがセットされているか否か確認する(ステップS412)。送出要求フラグがセットされていれば、送出要求フラグをリセットする(ステップS413)。また、データ送出中フラグをセットするとともに、ポインタをクリアする(ステップS414)。ポインタは、表示制御コマンドデータ格納エリアにおける何バイト目を送出するか指し示すものである。 【0051】 データ送出中フラグがセットされている場合には、表示制御コマンドデータ格納エリアにおいてポインタによって示されているデータを、出力ポート571を介して表示制御基板80に出力する(ステップS415)。さらに、CPU56は、ストローブ信号をON状態にする(ステップS416)。そして、500μsのウエイト期間をおいた後(ステップS417)、ストローブ信号をOFF状態にする(ステップS418)。従って、図9に示されたようなタイミングで、表示制御データおよびストローブ信号が出力される。 【0052】 次いで、CPU56は、ポインタの値を+1する(ステップS419)。そして、ポインタの値が8になった場合には、8バイトの表示制御コマンドデータ全ての送出が完了したことになるので、データ送出中フラグをリセットする(ステップS420,S421)。 以上のような処理によって、8バイトの表示制御コマンドデータが、2msに1バイトずつ送出される。 【0053】 図15は、表示制御基板80における表示制御用CPU101の表示制御コマンドデータ受信処理を示すフローチャートである。上述したように、メイン基板31からのストローブ信号は表示制御用CPU101のIRQ2割込端子に入力されているので、IRQ2割込処理によって表示制御コマンドデータが受信される。また、メイン基板31からの各表示制御データは、表示制御用CPU101において入力ポートに入力される。 【0054】 IRQ2割込処理において、表示制御用CPU101は、まず、データ受信中フラグがセットされているか否か確認する(ステップS501)。セットされていなければ、この割込が第1バイトの表示制御データ送出による割込であるので、ポインタをクリアするとともに(ステップS502)、データ受信中フラグをセットする(ステップS503)。ポインタは、表示制御用CPU101が内蔵しているRAMにおける表示制御コマンドデータ格納エリアにおける何バイト目に受信データを格納するか指し示すものである。 【0055】 データ受信中フラグがセットされている場合には、ストローブ信号がOFFするのを待つ(ステップS504)。ストローブ信号は、表示制御用CPU101において、IRQ2割込端子に入力されているとともに、入力ポートにも入力されている。よって、表示制御用CPU101は、その入力ポートの状態を検査することによってストローブ信号のOFFを知ることができる。ストローブ信号がOFFすると、表示制御用CPU101は、入力ポートからデータを入力し、表示制御コマンドデータ格納エリアにおいてポインタによって示されているアドレスに、入力データを格納する(ステップS505)。よって、図9に示されたようなタイミングで、表示制御用CPU101は、各表示制御データを受信する。 【0056】 そして、表示制御用CPU101は、ポインタの値を+1する(ステップS506)。そして、ポインタの値が8になった場合には、8バイトの表示制御コマンドデータの受信が完了したことになるので、データ受信完了フラグをセットするとともに、データ受信中フラグをリセットする(ステップS507,S508,S509)。以上のような処理によって、8バイトの表示制御コマンドデータが、表示制御基板80において受信される。 【0057】 図7および図11に示すように、表示制御基板80において、バッファ回路105における各バッファは、常にイネーブル端子にローレベル(GNDレベル)が与えられている。よって、各バッファの出力レベルは、入力レベルすなわちメイン基板31からの信号レベルに確定している。従って、表示制御基板80側からメイン基板31側に信号が伝わる余地はない。表示制御基板80内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号がメイン基板31側に伝わることはない。 【0058】 メイン基板31の基本回路53は始動入賞にもとづいて、大当りとするか否か決定する。始動入賞があったか否かは、メイン基板31の外部から入力される始動口センサ17の情報に応じて判断される。従来の表示制御基板の構成では、表示制御基板からの信号がメイン基板31に伝わる余地が残されていた。よって、表示制御基板80の不正改造によって不正に始動入賞信号を送ることができる余地が残されていた。外部からメイン基板31に信号が与えられる可能性がある信号ラインをできるだけなくすことが不正防止のために有効であるが、この実施の形態のように、表示制御基板80においてメイン基板31からの信号を受ける部分に一方にしか信号を通さないバッファを設ければ、表示制御基板80からメイン基板31に信号が与えられうる信号ラインをなくすことができる。 【0059】 例えば、表示制御基板80において、メイン基板31の基本回路53に大当りを生じさせるための不正信号を与えるような改造を行ったとしても、不正信号をメイン基板31に伝えることはできない。すなわち、表示制御基板80における不正改造は無意味になって、そのような改造がなされることが防止される。 【0060】 図16は、本発明の他の実施の形態を示すブロック図である。この実施の形態では、メイン基板31において、出力ポート571,572の外側に信号伝達方向規制手段としてのバッファ回路63が設けられている。バッファ回路63として、例えば、汎用のCMOS-ICである74HC244が2チップ用いられる。イネーブル端子には常にローレベル(GNDレベル)が与えられている。このような構成によれば、外部からメイン基板31の内部に入力される信号が阻止されるので、表示制御基板80からメイン基板31に信号が与えられる可能性を、さらに確実になくすことができる。なお、信号伝達方向規制手段として、個別のトランジスタ等の他の回路素子を用いてもよい。 【0061】 図17は、メイン基板31における表示制御を検査する形態の一例を示すブロック図である。図7には示されていなかったが、表示制御基板80には、メイン基板31からの信号ケーブルを接続するためのコネクタ110が搭載されている。本来そのコネクタ110に接続されるケーブルを検査装置200のコネクタ210に接続すれば、メイン基板31から表示制御基板80に入力される信号が検査装置200に入力する。従って、検査装置200において、メイン基板31からの信号出力状態をチェックすることによってメイン基板31における表示制御を検査することができる。そして、この実施の形態によれば、表示制御基板80からメイン基板31に伝わることのできる信号はないので、表示制御基板80を検査装置で検査することなく、メイン基板31からの信号状態をチェックするだけでメイン基板31における表示制御の検査を完了することができる。 【0062】 図18は、メイン基板31および枠側に設けられている制御基板としてのランプ制御基板35における信号送受信部分を示すブロック図である。この実施の形態では、遊技領域7の外側に設けられている遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cの点灯/滅灯を示すランプ制御コマンドと割り込み信号とが、メイン基板31からランプ制御基板35に出力される。また、メイン基板31からランプ制御基板35に、賞球ランプ51および玉切れランプ52の点灯/滅灯を示す信号が出力される。 【0063】 図18に示すように、ランプ制御に関する各信号は、基本回路53におけるI/Oポート部57の出力ポート573,574から出力される。ランプ制御基板35において、メイン基板31からの各信号は、バッファ回路355を介してランプ制御用CPU351に入力する。なお、ランプ制御用CPU351がI/Oポートを内蔵していない場合には、バッファ回路355とランプ制御用CPU351との間に、I/Oポートが設けられる。 【0064】 図19は、ランプ制御コマンドの一構成例を示す説明図である。この実施の形態では、図19に示すように、遊技進行の各状態に応じたコマンドが定義されている。メイン基板31の基本回路53は、ステップS5(図12参照)の処理において、所定のコマンドを出力ポート573に出力するとともに、割込信号を出力ポート574に出力する、なお、各コマンドの出力の要求は、特別図柄プロセス処理等で設定される。 【0065】 ランプ制御基板35において、ランプ制御用CPU351は、各コマンドに応じて定義されている遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cの点灯/滅灯パターンに従って、遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cに対して点灯/滅灯信号を出力する。点灯/滅灯信号は、増幅器(図示せず)を介して遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28cに出力される。なお、点灯/滅灯パターンは、ランプ制御用CPU351の内蔵ROMまたは外付けROMに記憶されている。 【0066】 メイン基板31において、基本回路53は、賞球時に賞球ランプ点灯指示信号を出力し、遊技盤裏面の遊技球補給路に設置されている玉切れ検出センサがオンすると玉切れランプ点灯指示信号を出力する。ランプ制御基板35において、それらの信号は、バッファ回路355を介してランプ制御用CPU351に入力する。ランプ制御用CPU351は、それらの信号に従って、賞球ランプ51および玉切れランプ52を点灯/滅灯する。 【0067】 バッファ回路355として、例えば、汎用のCMOS-ICである74HC244が用いられる。74HC244のイネーブル端子には、常にローレベル(GNDレベル)が与えられている。よって、各バッファの出力レベルは、入力レベルすなわちメイン基板31からの信号レベルに確定している。従って、ランプ制御基板35側からメイン基板31側に信号が伝わる余地はない。たとえ、ランプ制御基板35内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号がメイン基板31側に伝わることはない。 【0068】 従って、ランプ制御基板35からメイン基板31に信号が与えらる可能性がある信号ラインをなくすことができる。すなわち、メイン基板31からランプ制御基板35への信号の一方向性が確実になり、メイン基板31における遊技制御に対してランプ制御基板35が影響を及ぼす可能性がなくなる。この結果、例えば、ランプ制御基板35において、メイン基板31の基本回路53に大当りを生じさせるための不正信号を与えるような改造を行ったとしても、不正信号をメイン基板31に伝えることはできない。 【0069】 図20は、本発明の他の実施の形態を示すブロック図である。この実施の形態では、メイン基板31において、出力ポート573,574の外側に信号伝達方向規制手段としてのバッファ回路62が設けられている。バッファ回路62として、例えば、汎用のCMOS-ICである74HC244が用いられる。イネーブル端子には常にローレベル(GNDレベル)が与えられている。このような構成によれば、外部からメイン基板31の内部に入力される信号が阻止されるので、ランプ制御基板35からメイン基板31に信号が与えらる可能性がある信号ラインをさらに確実になくすことができる。なお、信号伝達方向規制手段として、個別のトランジスタ等の他の回路素子を用いてもよい。 【0070】 図21は、メイン基板31および枠側制御基板としての音声制御基板70における信号送受信部分を示すブロック図である。この実施の形態では、遊技領域7の外側に設けられているスピーカ27の音声出力を指示するための音声再生用データが、メイン基板31から音声制御基板70に出力される。 【0071】 図21に示すように、音声再生用データは、基本回路53におけるI/Oポート部57の出力ポート575から出力される。音声制御基板70において、メイン基板31からの各信号は、バッファ回路705を介して音声制御用CPU701に入力する。なお、音声制御用CPU701がI/Oポートを内蔵していない場合には、バッファ回路705と音声制御用CPU701との間に、I/Oポートが設けられる。そして、例えばディジタルシグナルプロセッサによる音声合成回路702は、音声制御用CPU701の指示に応じた音声や効果音を発生し音量切替回路703に出力する。音量切替回路703は、音声制御用CPU701の出力レベルを、設定されている音量に応じたレベルにして音量増幅回路704に出力する。音量増幅回路704は、増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。 【0072】 図22は、音声再生用データの出力例を示すタイミング図である。図に示すように、この実施の形態では、メイン基板31から、転送リクエスト信号(SIRQ)、シリアルクロック信号(SICK)、シリアルデータ信号(SI)および転送終了信号(SRDY)が出力される。音声制御用CPU701は、SIRQがローレベルになると、SICKに同期してSIを1ビットずつ取り込み、SRDYがローレベルになるとそれまでに受信した各SIからなるデータを1つの音声再生用データと解釈する。なお、音声再生用データは例えば16ビットからなり、2msの間に1つの音声再生用データが出力される。 【0073】 メイン基板31における基本回路53は、遊技進行の各状態に応じて音声再生用データを出力する。メイン基板31の基本回路53は、ステップS5(図12参照)の処理において、遊技進行の各状態に応じて音声再生用データを出力する。なお、音声再生用データの出力の要求は、特別図柄プロセス処理等で設定される。 【0074】 音声制御基板70において、音声制御用CPU701は、各音声再生用データに応じて定義されている音声/効果音パターンに従って、音声合成回路702に音声を出力させる。なお、音声/効果音パターンは、音声制御用CPU701の内蔵ROMまたは外付けROMに記憶されている。 【0075】 バッファ回路705として、例えば、汎用のCMOS-ICである74HC244が用いられる。74HC244のイネーブル端子には、常にローレベル(GNDレベル)が与えられている。よって、各バッファの出力レベルは、入力レベルすなわちメイン基板31からの信号レベルに確定している。従って、音声制御基板70側からメイン基板31側に信号が伝わる余地はない。たとえ、音声制御基板70内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号がメイン基板31側に伝わることはない。 【0076】 従って、音声制御基板70からメイン基板31に信号が与えらる可能性がある信号ラインをなくすことができる。よって、メイン基板31から音声制御基板70への信号の一方向性が確実になり、メイン基板31における遊技制御に対して音声制御基板70が影響を及ぼす可能性がなくなる。この結果、例えば、音声制御基板70において、メイン基板31の基本回路53に大当りを生じさせるための不正信号を与えるような改造を行ったとしても、不正信号をメイン基板31に伝えることはできない。 【0077】 図23は、本発明の他の実施の形態を示すブロック図である。この実施の形態では、メイン基板31において、出力ポート575の外側に信号伝達方向規制手段としてのバッファ回路71が設けられている。バッファ回路71として、例えば、汎用のCMOS-ICである74HC244が用いられる。イネーブル端子には常にローレベル(GNDレベル)が与えられている。このような構成によれば、外部からメイン基板31の内部に入力される信号が阻止されるので、音声制御基板70からメイン基板31に信号が与えられる可能性がある信号ラインをさらに確実になくすことができる。なお、信号伝達方向規制手段として、個別のトランジスタ等の他の回路素子を用いてもよい。 【0078】 また、ここでは、音声制御基板70において、音声合成回路702と音量増幅回路704との間に、音量切替回路703が設けられている。音量切替回路703は、スイッチ設定に応じて信号レベルの減衰量を可変にするものであるが、このように音量増幅回路704の前段に音量切替回路703を設ければ、音量切替回路703における制御対象の電流レベルが小さくなる。従って、消費電流が少なくなるとともに、使用されるスイッチを安価なものにすることができる。 【0079】 図24は、メイン基板31および枠側制御基板としての賞球基板37における信号送受信部分を示すブロック図である。図24に示すように、賞球個数信号および賞球可能信号が、基本回路53におけるI/Oポート部57の出力ポート576から賞球基板37に出力される。賞球基板37において、メイン基板31からの各信号は、バッファ回路375を介して賞球制御用CPU371に入力する。なお、賞球制御用CPU371がI/Oポートを内蔵していない場合には、バッファ回路375と賞球制御用CPU371との間に、I/Oポートが設けられる。 【0080】 図24には、賞球制御に関わる入賞球検出スイッチ99、玉切れスイッチ121、余剰玉受皿4における遊技球満杯を検出する満タンスイッチ122、および払い出される賞球をカウントする賞球カウントスイッチ123も示されている。入賞球検出スイッチ99、玉切れスイッチ121、満タンスイッチ122および賞球カウントスイッチ123の検出信号は、基本回路53におけるI/Oポート部57の入力ポート579を介してCPU56に入力する。CPU56は、玉切れスイッチ121がオンしたとき、および満タンスイッチ122がオンしたときに賞球可能信号をオフにする。また、上述したように、基本回路53は、入賞球検出スイッチ99がオンすると、所定個の賞球を示す賞球個数信号を出力する。 【0081】 賞球基板37において、賞球制御用CPU371は、賞球個数信号が入力されると、I/Oポート372を介して玉払出装置97の賞球モータを駆動して指定された個数の遊技球を景品玉として払い出す。また、カードユニット50から玉貸し信号が入力されると、玉払出装置97の玉貸しモータを駆動して所定個の遊技球を払い出す。 【0082】 バッファ回路375として、例えば、汎用のCMOS-ICである74HC244が用いられる。74HC244のイネーブル端子には、常にローレベル(GNDレベル)が与えられている。よって、各バッファの出力レベルは、入力レベルすなわちメイン基板31からの信号レベルに確定している。従って、賞球基板37側からメイン基板31側に信号は伝わらない。たとえ、賞球基板37内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号がメイン基板31側に伝わることはない。 【0083】 従って、賞球基板37からメイン基板31に信号が与えらる可能性がある信号ラインをなくすことができ、メイン基板31における遊技制御に対して賞球基板37が影響を及ぼす可能性がなくなる。この結果、例えば、賞球基板37において、メイン基板31の基本回路53に大当りを生じさせるための不正信号を与えるような改造を行ったとしても、不正信号をメイン基板31に伝えることはできない。 【0084】 図25は、本発明の他の実施の形態を示すブロック図である。この実施の形態では、メイン基板31において、出力ポート576の外側に信号伝達方向規制手段としてのバッファ回路61が設けられている。バッファ回路61として、例えば、汎用のCMOS-ICである74HC244が用いられる。イネーブル端子には常にローレベル(GNDレベル)が与えられている。このような構成によれば、外部からメイン基板31の内部に入力される信号が阻止されるので、賞球基板37からメイン基板31に信号が与えらる可能性がある信号ラインをさらに確実になくすことができる。なお、信号伝達方向規制手段として、個別のトランジスタ等の他の回路素子を用いてもよい。 【0085】 図26は、メイン基板31および枠側制御基板としての発射制御基板91における信号送受信部分を示すブロック図である。図26に示すように、発射制御信号が、基本回路53におけるI/Oポート部57の出力ポート577から発射制御基板91に出力される。発射制御基板91において、メイン基板31からの発射制御信号は、バッファ回路915を介して発射制御用CPU911に入力する。なお、発射制御用CPU911がI/Oポートを内蔵していない場合には、バッファ回路915と発射制御用CPU911との間に、I/Oポートが設けられる。また、図26には、遊技球の発射制御に関わる満タンスイッチ122も示されている。満タンスイッチ122がオンすると、基本回路53は、発射制御信号をオフ状態にする。 【0086】 図27は、発射制御用CPU911の動作を説明するためのブロック図である。発射制御用CPU911は、速度制御部151、シーケンス制御部153およびトルク制御部154をソフトウェアによって実現する。速度制御部151は、遊技玉を発射する球打ち動作および次の玉を発射する準備である復旧・球補給動作の各期間における駆動モータ94の回転速度を制御する電圧を発生する。球打ち動作期間では、操作ノブ5に対する回転操作角に対応して徐々に増加する電圧を発生し、復旧・球補給動作期間では、あらかじめ定められた所定の電圧を発生する。 【0087】 タッチセンサ回路93(図26において図示せず)は、操作ノブ5に取り付けられた人体検出用の電極(タッチセンサ)93に人体が接触している間、発射許可信号をシーケンス制御部153に出力する。具体的には、所定のクロック信号をシーケンス制御部153に出力する。また、シーケンス制御部153には、メイン基板31からの発射制御信号が与えられる。シーケンス制御部153は、発射制御信号および発射許可信号がオンすると、球打ち動作期間および復旧・球補給動作期間のシーケンス動作の切り替えを制御するとともに、駆動モータ94の駆動に必要な駆動パターン信号および駆動電圧切替信号を発生する。 【0088】 バッファ回路915として、例えば、汎用のCMOS-ICである74HC244が用いられる。74HC244のイネーブル端子には、常にローレベル(GNDレベル)が与えられている。よって、各バッファの出力レベルは、入力レベルすなわちメイン基板31からの信号レベルに確定している。従って、発射制御基板91側からメイン基板31側に信号は伝わらない。たとえ、発射制御基板91内の回路に不正改造が加えられても、不正改造によって出力される信号がメイン基板31側に伝わることはない。 【0089】 従って、発射制御基板91からメイン基板31に信号が与えらる可能性がある信号ラインをなくすことができ、メイン基板31における遊技制御に対して発射制御基板91が影響を及ぼす可能性がなくなる。この結果、例えば、発射制御基板91において、メイン基板31の基本回路53に大当りを生じさせるための不正信号を与えるような改造を行ったとしても、不正信号をメイン基板31に伝えることはできない。 【0090】 図28は、本発明の他の実施の形態を示すブロック図である。この実施の形態では、メイン基板31において、出力ポート577の外側に信号伝達方向規制手段としてのバッファ回路92が設けられている。バッファ回路92として、例えば、汎用のCMOS-ICである74HC244が用いられる。イネーブル端子には常にローレベル(GNDレベル)が与えられている。このような構成によれば、外部からメイン基板31の内部に入力される信号が阻止されるので、発射制御基板91からメイン基板31に信号が与えらる可能性がある信号ラインをさらに確実になくすことができる。なお、信号伝達方向規制手段として、個別のトランジスタ等の他の回路素子を用いてもよい。 【0091】 以上のように、本発明によれば、遊技盤の中央付近に設置される画像表示部9の制御を行う遊技制御基板、ならびに、遊技盤が組み付けられた枠側の各機構部の制御を行うランプ制御基板35、音声制御基板70、賞球基板37および発射制御基板91において、遊技制御を司るメイン基板31からの信号を受ける部分に、信号の一方向性を確実にする回路素子を設置したので、各基板からメイン基板31に信号が与えらる可能性がある信号ラインをなくすことができる。その結果、不正に大当りを発生させる行為を防止することができる。 【0092】 なお、上記の各実施の形態では、枠側機構部の制御を行う回路基板として、ランプ制御基板35、音声制御基板70、賞球基板37および発射制御基板91を例示したが、遊技機の構成に応じて他の回路基板が存在する場合には、その回路基板にも信号の一方向性を確実にする回路素子を設置することができる。 【0093】 また、上記の各実施の形態では、複数種類の図柄を可変表示するためのCRTによる画像表示部9を用いた場合について説明したが、LCDによる可変表示装置を用いた場合であってもよい。さらに、可変表示装置としてドラム式やベルト式の装置を用いる場合にも、枠側機構部の制御を行う回路基板や可変表示装置を制御する回路基板に本発明を適用できる。 【0094】 【発明の効果】 以上のように、本発明によれば、遊技機を、遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段が表示制御基板に設けられている構成にしたので、表示制御基板改造による不正行為を効果的に防止して、遊技機に対する不正行為を受けにくくすることができる効果がある。 【0095】 信号伝達方向規制手段が汎用のバッファIC回路で構成されている場合には、特殊な回路構成を採用しなくても、容易に表示制御基板改造による不正行為を防止することができる。また、バッファIC回路のイネーブル端子が常に入出力導通状態に設定されている場合には、バッファIC回路の出力レベルが遊技制御基板からの信号レベルに確定しているので、表示制御基板側から遊技制御基板側に信号が伝わる余地はなく、確実に信号の不可逆性を達成することができる。 【0096】 遊技制御基板にも、表示制御基板への信号の出力のみを可能とする信号伝達方向規制手段が搭載されているので、表示制御基板側から遊技制御基板側に信号が入力されてしまうことがさらに確実に防止される。 【図面の簡単な説明】 【図1】 パチンコ遊技機を正面からみた正面図である。 【図2】 パチンコ遊技機の内部構造を示す全体背面図である。 【図3】 パチンコ遊技機の遊技盤を背面からみた背面図である。 【図4】 遊技制御基板における回路構成の一例を示すブロック図である。 【図5】 表示制御基板内の回路構成を示すブロック図である。 【図6】 表示コントロール回路の構成の一例を示すブロック図である。 【図7】 メイン基板および表示制御基板における表示制御コマンドデータ送受信に関わる部分を示す回路図である。 【図8】 表示制御コマンドデータを示す説明図である。 【図9】 表示制御コマンドデータの送出タイミングを示すタイミング図である。 【図10】 表示制御コマンドデータの一例を示す説明図である。 【図11】 表示制御基板に設置されたバッファ回路の構成例を示す回路図である。 【図12】 基本回路のメイン処理を示すフローチャートである。 【図13】 特別図柄プロセス処理を示すフローチャートである。 【図14】 表示制御データ出力処理の動作例を示すフローチャートである。 【図15】 表示制御用CPUの表示制御コマンドデータ受信処理を示すフローチャートである。 【図16】 メイン基板および表示制御基板における表示制御コマンドデータ送受信に関わる部分の他の実施の形態を示すブロック図である。 【図17】 メイン基板における表示制御を検査する形態の一例を示すブロック図である。 【図18】 メイン基板およびランプ制御基板における信号送受信部分を示すブロック図である。 【図19】 ランプ制御コマンドの一構成例を示す説明図である。 【図20】 メイン基板およびランプ制御基板における信号送受信部分の他の実施の形態を示すブロック図である。 【図21】 メイン基板および音声制御基板における信号送受信部分を示すブロック図である。 【図22】 音声再生用データの出力例を示すタイミング図である。 【図23】 メイン基板および音声制御基板における信号送受信部分の他の実施の形態を示すブロック図である。 【図24】 メイン基板および賞球基板における信号送受信部分を示すブロック図である。 【図25】 メイン基板および賞球基板における信号送受信部分の他の実施の形態を示すブロック図である。 【図26】 メイン基板および発射制御基板における信号送受信部分を示すブロック図である。 【図27】 発射制御用CPUの動作を説明するためのブロック図である。 【図28】 メイン基板および発射制御基板における信号送受信部分の他の実施の形態を示すブロック図である。 【符号の説明】 14 始動入賞口 15 可変入賞球装置 17 始動口センサ 31 遊技制御基板(メイン基板) 35 ランプ制御基板 37 賞球基板 53 基本回路 61,62,63,71,92 バッファ回路 70 音声制御基板 80 表示制御基板 105 バッファ回路 355,375,705,915 バッファ回路 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 1.特許請求の範囲の訂正 「【請求項1】表示状態が変化可能な可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて前記可変表示部に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技進行を制御する遊技制御手段が搭載された遊技制御基板と、前記遊技制御基板からの信号にもとづいて前記可変表示部の表示制御を行う表示制御手段が搭載された表示制御基板とを有し、前記表示制御基板に、前記遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を設けたことを特徴とする遊技機。」を、 「【請求項1】表示状態が変化可能な可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて前記可変表示部に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技進行を制御する遊技制御手段が搭載された遊技制御基板と、前記遊技制御基板からの信号にもとづいて前記可変表示部の表示制御を行う表示制御手段が搭載された表示制御基板とを有し、前記表示制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について前記遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を実装し、前記遊技制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について前記表示制御基板への信号の出力のみを可能とする信号伝達方向規制手段を実装したことを特徴とする遊技機。」と訂正し、【請求項4】を削除する。 2.発明の詳細な説明の欄の訂正 (訂正事項a) 「【0008】 【課題を解決するための手段】 本発明による遊技機は、表示状態が変化可能な可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて可変表示部に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技進行を制御する遊技制御手段が搭載された遊技制御基板と、遊技制御基板からの信号にもとづいて可変表示部の表示制御を行う表示制御手段が搭載された表示制御基板とを有し、表示制御基板に、遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段が搭載されていることを特徴とする。」を、 「【0008】 【課題を解決するための手段】 本発明による遊技機は、表示状態が変化可能な可変表示部を含み、変動開始の条件の成立に応じて可変表示部に表示される識別情報の変動を開始し、識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定の表示態様となった場合に所定の遊技価値が付与可能となる遊技機であって、遊技進行を制御する遊技制御手段が搭載された遊技制御基板と、遊技制御基板からの信号にもとづいて可変表示部の表示制御を行う表示制御手段が搭載された表示制御基板とを有し、表示制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について遊技制御基板からの信号の入力のみを可能とする信号伝達方向規制手段が実装され、遊技制御基板内に、遊技制御基板と表示制御基板との間の信号について表示制御基板への信号の出力のみを可能とする信号伝達方向規制手段が実装されていることを特徴とする。」と訂正する。 (訂正事項b) 「【0096】 遊技制御基板にも、表示制御基板への信号の出力のみを可能とする信号伝達方向規制手段が搭載されている場合には、表示制御基板側から遊技制御基板側に信号が入力されてしまうことがさらに確実に防止される。」を、 「【0096】 遊技制御基板にも、表示制御基板への信号の出力のみを可能とする信号伝達方向規制手段が搭載されているので、表示制御基板側から遊技制御基板側に信号が入力されてしまうことがさらに確実に防止される。」と訂正する。 |
異議決定日 | 2000-09-12 |
出願番号 | 特願平10-188142 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YA
(A63F)
P 1 651・ 121- YA (A63F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 土屋 保光 |
特許庁審判長 |
藤井 俊二 |
特許庁審判官 |
日高 賢治 吉村 尚 |
登録日 | 1999-03-05 |
登録番号 | 特許第2896369号(P2896369) |
権利者 | 株式会社三共 |
発明の名称 | 遊技機 |