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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する B66B 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B66B 審判 訂正 2項進歩性 訂正する B66B 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する B66B |
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管理番号 | 1033660 |
審判番号 | 訂正2000-39056 |
総通号数 | 18 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1989-07-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2000-06-07 |
確定日 | 2000-09-04 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2013287号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第2013287号発明の明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
I.請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、特許第2013287号(昭和63年1月21日特許出願、平成7年5月17日に出願公告、特公平7-45314号公報、平成8年2月2日設定登録)の明細書を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記訂正事項(1)〜(3)のとおり訂正することを求めるものである。 (1)特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲「【請求項1】基台に設けられた固定軸と、この固定軸の長手の一側に固定されて磁力を発生する固定子鉄心と、上記固定軸の他側に枢着された綱車と、この綱車から側方に突設されたフレームに固定されて上記固定子鉄心に対向して磁気的に係合する回転子鉄心とを備えたエレベータ巻上機。」を 「基台に設けられた固定軸と、この固定軸の長手の一側に固定されて磁力を発生する固定子鉄心と、上記固定軸の他側に枢着された綱車と、この綱車から側方に突設されたフレームに固定されて上記固定子鉄心に対向して磁気的に係合する回転子鉄心とを備え、前記フレームの外周よりも前記固定軸側に前記固定子鉄心および前記回転子鉄心を配置したエレベータ巻上機。」と訂正する。 (2)特許請求の範囲の上記訂正(1)に伴って発明の詳細な説明を整合させるために、明瞭でない記載の釈明を目的として、願書に添付した明細書第4頁第1行〜2行(特公平7-45314号公報第3欄第26行〜27行)の「フレームに回転子鉄心を取付けたものである。」を、 「フレームに回転子鉄心を取付け、フレームの外周よりも固定軸側に固定子鉄心および回転子鉄心を配置したものである。」と訂正する。 (3)特許請求の範囲の上記訂正(1)に伴って発明の詳細な説明を整合させるために、明瞭でない記載の釈明を目的として、願書に添付した明細書第6頁第10行〜11行(同公報第4欄第27行)の「フレームに回転子鉄心を取付けて、」を、 「フレームに回転子鉄心を取付けて、フレームの外周よりも固定軸側に固定子鉄心および回転子鉄心を配置し、」と訂正する。 II.当審の判断 1.訂正の目的の適否・新規事項の追加の有無及び拡張・変更の存否 上記(1)の訂正は、「前記フレームの外周よりも前記固定軸側に前記固定子鉄心および前記回転子鉄心を配置した」との構成要件を付加して構成を限定するものであり、特許請求の範囲を減縮するものと認められる。そして、上記の付加した構成要件は、願書に添付した明細書第5頁第3行目〜5行目(同公報第4欄第2行〜3行)の「(5)はフレーム(10)内側に固定子鉄心(3)と対向して取付けられた回転子鉄心である。」の記載事項、及び第1図の記載事項の範囲内にあるものと認められ、新規事項の追加に該当せず、また実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないものと認められる。 上記(2)、(3)の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とした特許請求の範囲の上記訂正(1)に伴って、発明の詳細な説明を整合させるためになされたものであって、それぞれ明瞭でない記載の釈明に該当する。そして、上記(2)、(3)の訂正は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内で行う訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないものと認められる。 2.独立特許要件 (a)訂正明細書の発明は、その特許請求の範囲に記載されたとおりの次のものと認められる。 「基台に設けられた固定軸と、この固定軸の長手の一側に固定されて磁力を発生する固定子鉄心と、上記固定軸の他側に枢着された綱車と、この綱車から側方に突設されたフレームに固定されて上記固定子鉄心に対向して磁気的に係合する回転子鉄心とを備え、前記フレームの外周よりも前記固定軸側に前記固定子鉄心および前記回転子鉄心を配置したエレベータ巻上機。」 (b)刊行物記載の発明 審判請求書で引用した刊行物1(オーストラリア特許出願公告明細書AU-B-64611/86号)には、「軸14は機械室のレール32に支持された一対のブラケット30に設けられる。第1の部分12は軸14の第1の部分12を回転支持する軸受34を含む。3つの支持アーム40,42と44は軸14に設けられ、放射状に外方に延在している。支持アーム40から44の外方端は軸14と平行であって、軸14上の鋼車の部分12と20を回転させる電動機固定子鉄心46を支持している。第2の部分20の内部表面21はブレーキシュー50を受け止めるブレーキドラムの表面を形成し、偏心している。」(明細書第8頁第35行〜第9頁12行)、及び 「この綱車構造は、エレベータかごを上下させるための綱車の構造であり、固定軸に設けられた綱車には、主索が巻き付けられる第1の部分と、綱車を回転させる駆動手段が放射状に配置された第2の部分と、綱車を制動するブレーキ手段が設けられた第3の部分とを有しており、駆動手段と、ブレーキ手段とが固定軸に実質的に垂直な面において同一平面上に位置する」(特許請求の範囲の請求項1)と記載されている。 上記記載及び図面の第1、2,3,5図等を参酌すると、刊行物1には、「ブラケットに設けられた固定軸と、この固定軸の長手の一側に支持アームを介して固定されて磁力を発生する固定子鉄心と、上記固定軸の他側に枢着された綱車の第1の部分と、この綱車の第1の部分から側方に突設された第2の部分に固定されて上記固定子鉄心に対向して磁気的に係合する回転子鉄心とを備え、前記第2の部分の外周よりも外方に位置する支持アーム側に前記固定子鉄心および前記回転子鉄心を配置したエレベータ巻上機。」が記載されているものと認められる。 (c)対比・判断 訂正明細書の特許請求の範囲に記載された発明と上記刊行物1を比較すると、後者の「ブラケット」、「第2の部分」は、機能に照らすと、前者の「基台」、「フレーム」に相当するので、両者は「基台に設けられた固定軸と、この固定軸の長手の一側に固定されて磁力を発生する固定子鉄心と、上記固定軸の他側に枢着された綱車と、この綱車から側方に突設されたフレームに固定されて上記固定子鉄心に対向して磁気的に係合する回転子鉄心とを備えたエレベータ巻上機。」の点で一致するが、上記刊行物1に記載されたものは、訂正明細書の特許請求の範囲に記載された発明の構成に欠くことができない事項である「フレームの外周よりも固定軸側に固定子鉄心および回転子鉄心を配置した」点の構成を備えていない。 そして、訂正明細書の特許請求の範囲に記載された発明は、上記構成により、審判請求書に記載のとおりの「回転子鉄心および固定子鉄心が露出せず、綱車に巻き付けられる主索や綱車の摩耗粉やほこり、雨水等から回転子鉄心および固定子鉄心を防ぐことができる」という顕著な効果を奏するものと認められる。 したがって、訂正明細書の特許請求の範囲に記載された発明は、上記刊行物1に記載の発明から当業者が容易に発明できたものとは認められない。 (d)まとめ よって、訂正明細書の特許請求の範囲に記載された発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とすることはできない。 III.むすび 以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第1項第1号乃至第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第2項乃至第4項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 エレベータ巻上機 (57)【特許請求の範囲】 基台に設けられた固定軸と、この固定軸の長手の一側に固定されて磁力を発生する固定子鉄心と、上記固定軸の他側に枢着された綱車と、この綱車から側方に突設されたフレームに固定されて上記固定子鉄心に対向して磁気的に係合する回転子鉄心とを備え、前記フレームの外周よりも前記固定軸側に前記固定子鉄心および前記回転子鉄心を配置したエレベータ巻上機。 【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は主索を介してかご、つり合おもりを昇降させるトラクション式エレベータの巻上機、特に歯車なし巻上機の構造に関するものである。 [従来の技術] 第2図は例へば実開昭52-32870号公報に示されたエレベータ用巻上機が設けられたエレベータ装置の概念縦断面図であり、図において(1)は機械室に設置された基台、(2)は基台に支持されて水平に設けられた固定軸、(3)は固定軸(2)に固定されて一次巻線を有する固定子鉄心、(4)は固定子鉄心(3)をおおつて設けられた円筒体によつて構成された綱車で、円柱面には綱溝(4a)が設けられ両側の側板(4b)の中心が軸受(4c)を介して固定軸(2)に枢持されている。(5)は綱車(4)の内側に設けられて固定子鉄心(3)と対向した回転子鉄心、(6)は基台(1)に設けられて綱車(4)円柱面端部寄りを押圧する電磁ブレーキ装置、(7)は綱溝(4a)に巻き掛けられたエレベータの主索で、一端にかご(8)を、他端にはつり合おもり(9)をそれぞれ吊持している。 従来のエレベータ巻上機は上記のように構成され、固定子鉄心(3)、回転子鉄心(5)を主体としてアウタロータ形の三相誘導電動機が形成され、この電動機を可変電圧可変周波数制御して綱車(4)を回転させ主索(7)によりかご(8)、つり合おもり(9)を互いに反対方向へ昇降させるようになつている。 [発明が解決しようとする課題] 上記のようなエレベータ巻上機では、電気的特性によつて決定される回転子鉄心(5)の直径によつて綱車(4)の直径が左右される。このため電動機への負荷トルクが増加し、必要以上の大きい綱車(4)となり、また綱車(4)の両方の側板(4b)で軸荷重を受けるため中空円筒の綱車(4)全体と基台(1)のブラケツトを強固なものとすることが必要となり、増大する重量を低減させる課題があり、さらに主索(7)による綱車(4)の負荷変動によつて固定子鉄心(3)と回転子鉄心(5)との空隙が変化し電動機の特性に影響してエレベータの乗心地を悪化させることを解消する課題があった。 この発明は上記の課題を解決するためになされたもので、回転子鉄心に制約されることなく綱車の直径を設定でき、小形であつて主索負荷変動によるアウタローラ形電動機の特性変化の少ない歯車なし式のエレベータ巻上機を得ることを目的とする。 [課題を解決するための手段] この発明にかかわるエレベータ巻上機は、固定軸に固定された固定子鉄心に隣接して綱車が配置されて固定軸に枢着され、かつ綱車から側方に突設されたフレームに回転子鉄心を取付け、フレームの外周よりも固定軸側に固定子鉄心および回転子鉄心を配置したものである。 [作用] この発明においては、主索による荷重が回転子鉄心に影響を及ぼすことなく支持され、また綱車直径と回転子鉄心直径をそれぞれ適宜に設定可能となる。 [実施例] 第1図はこの発明によるエレベータ巻上機の一実施例を示す断面図であり、図中、第2図と同符号は相当部分を示し、(1)は機械室に設置されて巻上機の両側にそれぞれ配置された基台、(2)は両端がそれぞれ基台(1)に固定された固定軸、(4)は固定軸(2)の長手の一側に軸受(4c)によつて枢着された綱車、(3)は綱車(4)に隣接し固定軸(2)の長手の他側に固定された固定子鉄心、(10)は円筒体からなる中空の鋼板製のフレームで、固定子鉄心(3)をおおつて設けられ円筒体の両側に側板(10a)が設けられ綱車(4)に対面した側板(10a)がボルト(10b)によつて綱車(4)に締結され、また固定軸(2)と側板(10a)中心との間には空隙(10c)が形成され、側板(10a)には中心に対する円周線上に互いに離れて通気孔(10d)が設けられている。(5)はフレーム(10)内側に固定子鉄心(3)と対向して取付けられた回転子鉄心である。 上記のように構成されたエレベータ巻上機においては主索(7)による荷重がフレーム(10)、回転子鉄心(3)にかかわりなく綱車(4)を介して固定軸(2)によつて支持される。このためフレーム(10)の強度、剛性が少なくて済み巻上機を軽量化することができる。また電気的に要求される回転子鉄心(5)等の鉄心の寸法に関係なく綱車(4)の直径を選定することが可能となつて、必要以上に負荷トルクが増加することがなく巻上機を小型化することができる。さらに回転子鉄心(5)対応箇所に主索(7)による荷重が作用しないので、固定子鉄心(3)との空隙の変化が少なくなり電動機特性が安定して乗心地のよいエレベータが得られる。また幅の狭い綱車(4)が軸受(4c)によつて固定軸(2)に枢着されるため、基台(1)に対し特に高精度で固定軸(2)を芯出調整して固定する必要がなく容易に据付けできるエレベータ巻上機を得ることができる。 なお、第1図において両側の基台(1)を一体に構成して製造することも可能であるが、この場合にも固定軸(2)を高い精度で芯出し固定する必要がなく容易に製造することができる。 [発明の効果] この発明は以上説明したとおり、固定軸に固定された固定子鉄心に隣接して綱車を固定軸に枢着し、綱車から側方に突設したフレームに回転子鉄心を取付けて、フレームの外周よりも固定軸側に固定子鉄心および回転子鉄心を配置し、主索による荷重を回転子鉄心に影響を及ぼすことなく綱車、回転軸によつて支持したものである。これによつて簡易なフレームで済み軽量化でき、また固定子鉄心の寸法に関係なく綱車の直径を選定でき無用に負荷トルクが増加せず小型化でき、さらに固定子鉄心と回転子鉄心の空隙の変化が少なく電動機の特性が安定しエレベータの乗心地が損なわれず、また固定軸の芯合せに高い精度を要せず容易に製作、据付けできるエレベータ巻上機を実現するものである。 【図面の簡単な説明】 第1図はこの発明によるエレベータ巻上機の一実施例を示す巻上機の概念縦断面図、第2図は従来のエレベータ巻上機を示すエレベータ装置の概念縦断面図である。 図中、(1)…基台、(2)…固定軸、(3)…固定子鉄心、(4)…綱車、(5)…回転子鉄心、(10)…フレーム。 なお、図中同一部分または相当部分は同一符号により示す。 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 (1)特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲「【請求項1】基台に設けられた固定軸と、この固定軸の長手の一側に固定されて磁力を発生する固定子鉄心と、上記固定軸の他側に枢着された綱車と、この綱車から側方に突設されたフレームに固定されて上記固定子鉄心に対向して磁気的に係合する回転子鉄心とを備えたエレベータ巻上機。」を 「基台に設けられた固定軸と、この固定軸の長手の一側に固定されて磁力を発生する固定子鉄心と、上記固定軸の他側に枢着された綱車と、この綱車から側方に突設されたフレームに固定されて上記固定子鉄心に対向して磁気的に係合する回転子鉄心とを備え、前記フレームの外周よりも前記固定軸側に前記固定子鉄心および前記回転子鉄心を配置したエレベータ巻上機。」と訂正する。 (2)明瞭でない記載の釈明を目的として、願書に添付した明細書第4頁第1行〜2行(特公平7-45314号公報第3欄第26行〜27行)の「フレームに回転子鉄心を取付けたものである。」を、 「フレームに回転子鉄心を取付け、フレームの外周よりも固定軸側に固定子鉄心および回転子鉄心を配置したものである。」と訂正する。 (3)明瞭でない記載の釈明を目的として、願書に添付した明細書第6頁第10行〜11行(同公報第4欄第27行)の「フレームに回転子鉄心を取付けて、」を、 「フレームに回転子鉄心を取付けて、フレームの外周よりも固定軸側に固定子鉄心および回転子鉄心を配置し、」と訂正する。 |
審決日 | 2000-08-15 |
出願番号 | 特願昭63-11405 |
審決分類 |
P
1
41・
121-
Y
(B66B)
P 1 41・ 851- Y (B66B) P 1 41・ 856- Y (B66B) P 1 41・ 853- Y (B66B) |
最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
藤田 豊比古 |
特許庁審判官 |
飯塚 直樹 西野 健二 |
登録日 | 1996-02-02 |
登録番号 | 特許第2013287号(P2013287) |
発明の名称 | エレベ―タ巻上機 |
代理人 | 高瀬 彌平 |
代理人 | 高瀬 彌平 |
代理人 | 宮田 金雄 |
代理人 | 宮田 金雄 |
代理人 | 家入 健 |
代理人 | 家入 健 |