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審決分類 |
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 訂正を認める。無効としない H01L 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効としない H01L |
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管理番号 | 1038429 |
審判番号 | 審判1999-35196 |
総通号数 | 19 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-07-13 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1999-04-28 |
確定日 | 2000-07-25 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2634350号発明「ウエハ処理方法およびその装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
【1】 手続きの経緯 特許出願 平成3年12月24日 特許権設定登録 平成9年4月25日 特許異議の申立て(平成10年異議第70335号) 平成10年1月23日 特許無効審判の請求 平成11年4月28日 訂正請求 平成11年8月11日 【2】 訂正の適否について [1] 訂正請求により訂正される発明は、その特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 (a)n枚のウエハをピッチPでそれぞれ整立収納する2つのキャリアから当該ウエハを抜き出し、ピッチPの第1のウエハ群とピッチPの第2のウエハ群とを形成する工程と、(b)第1のウエハ群のウエハ間の各隙間に第2のウエハ群の各ウエハを相互に接触しない状態で挿入し、第1のウエハ群とほぼ同一の並び方向の幅であって2n枚のウエハからなる第3のウエハ群を形成する工程と、(c)第3のウエハ群を一括して処理槽内の処理液に浸漬させ表面処理する工程と、を備えるウエハ処理方法。 【請求項2】 ウエハをキャリアから取り出して搬送手段で搬送し、所定の薬液が満たされた処理槽内に浸漬させることにより当該ウエハの表面処理を行なうウエハ処理装置において、(a)n枚のウエハをピッチPで整立して収納するキャリアから当該ウエハを挿出入させるウエハ挿出入手段と、(b)前記ウエハ挿出入手段により、2つのキャリアからウエハを挿出させてピッチPの第1のウエハ群とピッチPの第2のウエハ群を形成し、第1のウエハ群のウエハ間の各隙間に第2のウエハ群の各ウエハを相互に接触しない状態で挿入することにより、第1のウエハ群とほぼ同一の並び方向の幅であって2n枚のウエハからなる第3のウエハ群を形成するウエハビッチ変換手段と、(c)前記ウエハピッチ変換手段によって形成された第3のウエハ群をキャリアレス方式にて一括して処理槽に搬送する搬送手段と、を備えたことを特徴とするウエハ処理装置。」 [2] 訂正事項 1 訂正事項1 特許請求の範囲の【請求項2】における「……(c)前記ウエハピッチ変換手段によって形成された第3のウエハ群を一括して処理槽に搬送する搬送手段と、を備えたことを特徴とするウエハ処理装置。」を「……(c)前記ウエハビッチ変換手段によって形成された第3のウエハ群をキャリアレス方式にて一括して処理槽に搬送する搬送手段と、を備えたことを特徴とするウエハ処理装置。」とおり訂正する。 2 訂正事項2 明細書の段落番号0010における「……(c)前記ウエハピッチ変換手段によって形成された第3のウエハ群を一括して処理槽に搬送する搬送手段と、を備えたことを特徴とするウエハ処理装置。」を「……(c)前記ウエハビッチ変換手段によって形成された第3のウエハ群をキャリアレス方式にて一括して処理槽に搬送する搬送手段と、を備えたことを特徴とするウエハ処理装置。」とおり訂正する。 [3] 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張、変更の存否 1 訂正事項1による訂正について 請求項2に係る発明における搬送手段をキャリアレス方式に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当する。 2 訂正事項2による訂正について 訂正事項1による訂正に伴い、発明の詳細な説明の対応する記載をこれに整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明に該当する。 そして、訂正事項1及び訂正事項2において搬送手段をキャリアレス方式とした点は、明細書の段落番号0013及び段落番号0079の「キャリアレス方式」の記載に基づくものである。 したがって、訂正事項1及び訂正事項2は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張し変更するものではない。 そして、これらの訂正がなされた後の特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載された事項により特定される発明は、後述するように、特許出願の際、独立して特許を受けることができるものである。 以上のとおりであるから、前記訂正請求は、特許法第134条第2項及び第5項で準用する同法第126条第2項及び同条第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 【3】 請求人が本件特許を無効とすべきである旨主張している理由の概要は、次のとおりである。 理由1 請求項1及び請求項2に係る発明が、甲第1号証(CFM Manufacturig System Proposals)に記載された発明と同一の発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1及び請求項2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してなされたものである。 理由2 請求項1及び請求項2に係る発明が、甲第1号証及び甲第2号証の1(特開昭61-166037号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1及び請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 理由3 請求項1及び請求項2に係る発明が、甲第1号証及び甲第3号証(特開平3-131050号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1及び請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 【4】 [1] 前記理由1について検討する。 1 本件請求項1及び請求項2に係る発明は、訂正明細書の請求項1及び請求項2に記載された事項により特定されるとおりのものである。 2 甲第1号について検討する。 審判請求人は、審判請求書において、甲第1号は、「この技術資料は秘密にすべき資料ではなく、1991年3月26日当時何人も入手し得るものであった。秘密にすべき資料ではなかったことの立証は、甲第5号証〜甲第14号証で行います。」と主張している。 さらに、弁駁書と共に甲第15号証〜甲第18号証を提出して、「甲第1号は、特許法第29条第1項第3号でいう刊行物である。」と主張している。 そこで、甲第1号が刊行物で有るか否かついて検討する。 ところで、甲第1号証の訳文第1頁には、「インテル社」と、同じく第2頁第10行ないし同頁第13行には、「装置の全てのフルフロー(商標)ラインは、完全に一体化したシステムとして働く。CFM は本提案に記載していない他のモジュールを製作し、我々は顧客の仕様に従って特定のモジュールを注文製造する予定である。」と、同じく第27頁第10行ないし同頁第18行には、「2.0 合意書の具体的な条件 1.1 CFMの社員 インテルの設備にいる現場技術者は、常にCFMの社員であり続け、いずれの目的でも、インテルの社員または代理人とは見なされない。CFMま、この社員に対する仕事上の指導および指示、およびこの社員の給料の支給(所得税、年金などの源泉徴収を含めて)を行うことにのみ責任がある。 2.2 同意書の期限 本同意書は、この技術者が最初にインテルの設備に到着した日から1年間有効であり、破棄できない。インテルは、本同意書の期限の少なくとも90日前に、CFMに文書で通知することにより、最初の1年間を超えて、随意に、本同意書を延長することを選択できる。CFMこは、この同意書の任意の延長に関する月額を調節する権利がある。 3.0 費用CFMま、CFMの社員に対する全報酬に対してのみ責任がある。このサポートプログラムに対するインテルの全費用は、購入の注文時点で決定する。」と記載されている。 これらの記載からすると、甲第1号は、「フルフロー」を特定の者である「インテル」に特定の条件で購入をしてもらうために特に「インテル」のために作成された文書であるとすることができる。 すなわち、甲第1号は、内容自体が広く第三者に情報として流通されるべき性質、すなわち、情報性を有するものではなく、公開を目的として作成され文書ではない。 したがって、甲第1号は、公衆に広く情報を提供することを目的とする文書ではないから、刊行物ではない。 審判請求人が主張するごとく、甲第5号証ないし甲第18号証によって、甲第1号が「秘密にすべき資料ではなかったことの立証」がされたとしても、すなわち、秘密にすべき文書でなく、その閲覧又は複写ができたとしても、甲第1号そのものが情報として流通されることを目的として作成されたものではないから、甲第1号は、刊行物ではない。 なお、甲第16号証ないし甲第18号証の記載を根拠として、甲第15号証のものが、CFMばかりでなく、AIMへも送られたものであることからしても甲第1号が刊行物である旨主張している。 しかし、この点については、甲第1号証の一部分である甲第15号証がAIMへも送られたことを立証しているにすぎない。 すなわち、一部分が共通する文書が他にも存在することを立証してするにすぎず、このことからして、ただちに甲第1号証を刊行物であるとすることはできない。 また、甲第7号証及び甲第14号証は、甲第1号証を刊行物であると立証する証拠ではない。 よって、審判請求人のこの項における主張は認めることができない。 [2] 前記理由2について検討する。 甲第1号証は、[1]において記載したとおり刊行物ではない。 また、甲第2号証の1には、第1のウエハ群のウエハ間の各隙間に第2のウエハ群の各ウエハを相互に接触しない状態で挿入し、第1のウエハ群とほぼ同一の並び方向の幅のウエハからなる第3のウエハ群を形成する点、すなわち、半ピッチウエハ群を形成する点については記載されている。 しかし、半ピッチウエハ群を一括して処理槽内の処理液に浸潰させ表面処理する点については記載されていない。 そして、本件請求項1及び請求項2に係る発明は、前記した甲第2号証の1に記載していない構成要件を具備していることによって、処理槽内の処理液に浸漬させて行うウエハの表面処理において、処理槽の内容積を従来の約半分にし、薬液の消費量の削減、処理時間の短縮を図ることができるものである。 したがって、前記した構成要件を具備させることは、当業者が容易に想到できたものではない。 [3] 前記理由3について検討する。 甲第1号証は、[1]において記載したとおり刊行物ではない。 また、甲第3号証には、第1のウエハ群のウエハ間の各隙間に第2のウエハ群の各ウエハを相互に接触しない状態で挿入し、第1のウエハ群とほぼ同一の並び方向の幅のウエハからなる第3のウエハ群を形成する点、すなわち、半ピッチウエハ群を形成する点については記載されている。 しかし、半ピッチウエハ群を一括して処理槽内の処理液に浸漬させ表面処理する点については記載されておらず、この点を具備させることは、[2]において記載したとおり、当業者が容易に想到できるものではない。 【5】 以上のとおりであるから、本件特許の請求項1及び請求項2に係る特許は、請求人の主張する理由によって無効にすることができない。 また、本件審判費用は、特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定を適用する よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ウエハ処理方法およびその装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 (a)n枚のウエハをピッチPでそれぞれ整立収納する2つのキャリアから当該ウエハを抜き出し、ピッチPの第1のウエハ群とピッチPの第2のウエハ群とを形成する工程と、 (b)第1のウエハ群のウエハ間の各隙間に第2のウエハ群の各ウエハを相互に接触しない状態で挿入し、第1のウエハ群とほぼ同一の並び方向の幅であって2n枚のウエハからなる第3のウエハ群を形成する工程と、 (c)第3のウエハ群を一括して処理槽内の処理液に浸漬させ表面処理する工程と、 を備えるウエハ処理方法。 【請求項2】 ウエハをキャリアから取り出して搬送手段で搬送し、所定の薬液が満たされた処理槽内に浸漬させることにより当該ウエハの表面処理を行なうウエハ処理装置において、 (a)n枚のウエハをピッチPで整立して収納するキャリアから当該ウエハを挿出入させるウエハ挿出入手段と、 (b)前記ウエハ挿出入手段により、2つのキャリアからウエハを挿出させてピッチPの第1のウエハ群とピッチPの第2のウエハ群を形成し、第1のウエハ群のウエハ間の各隙間に第2のウエハ群の各ウエハを相互に接触しない状態で挿入することにより、第1のウエハ群とほぼ同一の並び方向の幅であって2n枚のウエハからなる第3のウエハ群を形成するウエハピッチ変換手段と、 (c)前記ウエハピッチ変換手段によって形成された第3のウエハ群をキャリアレス方式にて一括して処理槽に搬送する搬送手段と、 を備えたことを特徴とするウエハ処理装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、半導体基板や液晶用又はフォトマスク用ガラス基板等の薄板状基板(以下、単に「ウエハ」という。)を各種薬液に浸漬させて表面処理を行なう方法およびその装置に関する。 【0002】 【従来技術】 ウエハをキャリア内に収容せずに直接チャックなどの保持手段で保持し、これを所定の処理槽内に浸漬させて表面処理するキャリアレス方式のウエハ処理装置にあっては、キャリア(ウエハ収納容器)が不要のため、それだけ各処理槽を小型化できる。このため消費する薬液や洗浄液の量が少なくて済み、しかも処理時間を短縮できるという利点がある。 【0003】 特に最近は、ウエハの径が6インチから8インチヘと大型化する傾向にあり、キャリアレス方式のウエハ処理装置は、上述のようにメンテナンスコストおよび処理能力の点で従来のキャリア方式のものに比べてすぐれているため、ウエハ処理の主流になりつつある。 【0004】 このような、キャリアレス方式のウエハ処理装置においては、まず、ウエハを直接ウエハ保持装置で保持して所定の処理槽の上方に搬送する。次に、ウエハ保持装置を下降させて、ウエハを処理槽内に設置されたウエハ保持ホルダに整立保持させるか、もしくは、当該ウエハ保持ホルダを上昇させてウエハ保持装置からウエハを受けとった後、下降させてウエハを処理槽内に浸漬させる方式をとっている。処理槽内にはウエハ処理のため必要な薬液や洗浄液などが満たされており、ここで必要な表面処理を行なった後、再びウエハを上方に引上げ、次の処理槽もしくは乾燥器に搬送して次々とウエハ処理を行なうようになっている。 【0005】 この際、製造コストの低減のため、ウエハ処理の処理能力をアップすることが望ましいことはもちろんであるが、ウエハは、SEMI規格によりウエハのサイズに応じて所定のピッチPでキャリア(ウエハ収納容器)内にn枚(通常25枚)ずつ収納するようになっている。そこで、従来は、ウエハ処理の際に、2つのキャリアからウエハを取り出し、2n枚のウエハを一括してチャックで保持し、処理槽に搬送するようにしていた。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 ところが、ウエハ間のピッチPは、上述のようにSEMI規格で決まっており、50枚のウエハを一括して処理するためには、当該ウエハ群の並び方向の幅は相当大きなものとなり、したがって、それらを一括して収納する処理槽の奥行きも大きくならざるを得ず、その分だけ消費する薬液などの量が多くなり、また交換時間もかかることになる。 【0007】 一回のウエハの処理枚数を2n枚に維持しながら、表面処理のための処理槽の内容積を小さくするためには、SEMI規格で規定された当該ウエハ間のピッチを変換し、より小さくするようにすればよいが、キャリアレス方式のウエハ処理装置においてそのような処理方法を行なうようなものは従来全くなかった。 【0008】 本発明は上述のような問題点を解消し、一回のウエハの処理枚数を維持して、処理槽の内容積をできるだけ小さくし、これによりメンテナンスコストおよび処理時間をより少なくできるウエハ処理方法およびその装置を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するため、本発明にかかるウエハ処理方法は、 (a)n枚のウエハをピッチPでそれぞれ整立収納した2つのキャリアから、当該ウエハを抜き出し、ピッチPの第1のウエハ群とピッチPの第2のウエハ群とを形成する工程と、 (b)第1のウエハ群のウエハ間の各隙間に第2のウエハ群の各ウエハを相互に接触しない状態で挿入し、第1のウエハ群とほぼ同一の並び方向の幅であって2n枚のウエハからなる第3のウエハ群を形成する工程と、 (c)第3のウエハ群を一括して処理槽内の処理液に浸漬させ表面処理する工程と、からなることを特徴とする。 【0010】 さらにこのウエハ処理方法を実施するために、本発明にかかるウエハ処理装置は、ウエハをキャリアから取り出して搬送手段で搬送し、所定の薬液が満たされた処理槽内に浸漬させることにより当該ウエハの表面処理を行なうウエハ処理装置において、 (a)n枚のウエハをピッチPで整立して収納するキャリアから当該ウエハを挿出入させるウエハ挿出入手段と、 (b)前記ウエハ挿出入手段により、2つのキャリアからウエハを挿出させてピッチPの第1のウエハ群とピッチPの第2のウエハ群を形成し、第1のウエハ群のウエハ間の各隙間に第2のウエハ群の各ウエハを相互に接触しない状態で挿入することにより、第1のウエハ群とほぼ同一の並び方向の幅であって2n枚のウエハからなる第3のウエハ群を形成するウエハピッチ変換手段と、 (c)前記ウエハピッチ変換手段によって形成された第3のウエハ群をキャリアレス方式にて一括して処理槽に搬送する搬送手段と、を備えたことを特徴とする。 【0011】 【作用】 本発明にかかるウエハ処理方法によれば、2つのキャリアに収納されたウエハを当該キャリアから抜き出してピッチPの第1のウエハ群とピッチPの第2のウエハ群を形成し、互いの隙間にウエハを挿入することにより、第1のウエハ群とほぼ同一の並び方向の幅である第3のウエハ群を形成する。第3のウエハ群は、第1のウエハ群とほぼ同一の並び方向の幅であるが、ウエハ枚数は第1のウエハ群の倍になる。この第3のウエハ群を一括して処理槽の処理液に浸漬させて表面処理を行なう。 【0012】 また、本発明にかかるウエハ処理装置によれば、ウエハ挿出入手段によって2つのキャリアからウエハを挿出させてピッチPの第1のウエハ群とピッチPの第2のウエハ群を形成し、ウエハピッチ変換手段によって第1のウエハ群のウエハ間の各隙間に第2のウエハ群の各ウエハを相互に接触しない状態で挿入することにより、第1のウエハ群とほぼ同一の並び方向の幅である第3のウエハ群を形成し、搬送手段によって第3のウエハ群を一括して処理槽に搬送する搬送手段によって、上記ウエハ処理方法を実施することができる。 【0013】 【実施例】 以下、図面を参照して本発明にかかるウエハ処理装置の実施例を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれによって制限されるものではないことはもちろんである。 (1)ウエハ処理装置の第1の実施例およびその動作 図1に、本発明にかかるウエハ処理装置の第1の実施例としてキャリアレス方式の処理を一槽で行うウエハ処理装置1の概要を示す。 【0014】 当該ウエハ処理装置1は、ウエハ2を収納したキャリア3を載置するロード部4、キャリア3からウエハ2を挿出入するためのウエハ挿出入部5、ウエハ2の整立のピッチを変換するウエハピッチ変換部6、薬液に浸漬させて各種の表面処理や洗浄を行なうウエハ処理部7、洗浄後のウエハ2を高速回転させて乾燥させる乾燥部8からなっている。 【0015】 ウエハ2は,ウエハ搬送用のキャリア3に収納されたまま図示しないロボットにより搬送されて、ウエハ処理装置1のロード部4上に載置される。このキャリア3は、たとえば、図2に示すような形状になっており、その内面にはn本のガイド溝3aが一定のピッチPで平行に刻設されており、ウエハ2の外縁がこのガイド溝3aに挿入されて、一定の間隔をおいて垂直に整列したまま収納されるようになっている。キャリア3の上面部には、側方に広がる鍔3bが設けられており、この部分に搬送手段のアームなどを係合させてキャリア3の搬送を容易に行なえるようになっている。また、底面部には開口部3cが形成されており、後述のウエハ挿出入装置53、54で内部のウエハ2のみを押上げてキャリア3から上方に挿出するようになっている。 【0016】 ロード部4上に載置されたキャリア3は後述するキャリア搬送装置120(図4参照)によってウエハ挿出入部5の移し変え位置51および52上に順次移送され載置される。 【0017】 この移し変え位置51および52の下方には、挿出入装置53および54が配設されている。 【0018】 挿出入装置53、54は、それぞれ上面にピッチPでn本のガイド溝が平行に刻設された保持板531、541と、これらを支持するアーム532、542、及びこのアーム532、542を上下駆動させるためのアクチュエータ533,543から構成されている。上記保持板531、541は、アクチュエータ533、543の駆動によりキャリア3の開口部3cを通過して上方に押し上げられるようになっており、ウエハ2の下部外縁を保持板531、541のガイド溝に挿入させてそのままの状態でウエハ2を上方に押し上げ、キャリア3からウエハ2を抜き出して第1のウエハ群21を形成する。 【0019】 移し変え位置51の上方には、前記第1のウエハ群21を保持して次のウエハピッチ変換部6に移送するための第1の搬送装置55が待機している。 【0020】 この第1搬送装置55は、ウエハ2を保持する保持部材551とこれを支持するアーム552と、このアーム552を開閉自在に保持するヘッド553とからなっている。 【0021】 図3に示すように保持部材551の内面には、ウエハ2の外縁が通過するため大きく穿設された通過溝551aとウエハ2の外縁に当接してこれを保持するための通常のガイド溝551bとが、ピッチP/2でそれぞれn本ずつ交互に刻設されている。 【0022】 ウエハピッチ変換部6には、上面に2n本のガイド溝をピッチP/2で平行に刻設したピッチ変換用保持板61とこれを当該ガイド溝の並び方向に、少なくともピッチP/2だけスライドすることができるスライド装置62が設けられている。 【0023】 ウエハピッチ変換の操作は次のようにしてなされる。 【0024】 まず、挿出入装置53を作動させて、移し変え位置51に載置されたキャリア3内のウエハ2を上方に押し上げて、第1のウエハ群を形成し、この第1のウエハ群を第1搬送装置55の保持部材551で保持する。この場合、保持部材551のガイド溝551bによって、当該ウエハ2が保持される。 【0025】 その後、第1搬送装置55をウエハピッチ変換部6の上方まで水平に移動してから下降させ、第1のウエハ群21をピッチ変換用保持板61の上面に形成されたガイド溝に挿入しピッチPで整立保持させる。 【0026】 次に、挿出入装置54を作動させて、移し変え位置52に載置されたキャリア3内のウエハ2を上方に押し上げて、第2のウエハ群22を形成し、この第2のウエハ群22を上述と同様にして第1搬送装置55の保持部材551で保持し、水平に移動して、ウエハピッチ変換部6上方で停止させる。 【0027】 ピッチ変換用保持板61をスライド装置62によりP/2だけスライドさせた後、第1搬送装置55を下降させ、第1のウエハ群21の各ウエハ間に第2のウエハ群22の各ウエハを挿入し、ピッチ変換用保持板61のガイド溝に整立保持させる。この際、第1搬送装置55における保持部材551には上述のように通過溝551aとガイド溝551bが形成されており、第2のウエハ群22のウエハ2の外縁は、ガイド溝551bに保持され、すでにピッチ変換用保持板61に載置されている第1のウエハ群21のウエハ21の外縁は、挿入の際通過溝551a内を通過するので、保持部材551が第1のウエハ群21のウエハに接触することなしに第2のウエハ群22のウエハ2がスムーズに挿入され、ピッチ変換用保持板61に整立保持される。 【0028】 このようにして形成された第3のウエハ群23は、2n枚のウエハのピッチがP/2に変換され、従来のn枚の場合とほぼ同じ並び幅の中に整立されることになる。 【0029】 このようなピッチ変換方法によると、第1のウエハ群21と保持部材551の間に機械的な摺動が全くないので、ウエハ2が傷付かない上、ウエハ処理に悪影響を与える粉塵も発生せず、またピッチを一挙に半分にすることができ、大変効率よくウエハピッチを変換できる。 【0030】 これにより、次のウエハ処理部7における処理槽71の奥行きを従来のほぼ半分にすることができる。 【0031】 ウエハ処理部7は、処理槽71と、この処理槽71に各種薬液や洗浄液を供給する薬液供給装置72と、処理槽71上方に第3のウエハ群23を搬送する第2搬送装置73とを備えている。処理槽71内には、上面に2n枚のウエハ2をピッチP/2で垂直に保持するためのガイド溝を刻設した3本のガイド棒711とこのガイド棒を水平に保持するガイド板712が設けられており、ガイド板712は図示しない垂直駆動装置によって上下方向に駆動させられ、第3のウエハ群23を保持したまま第2搬送装置73と処理層71間を移動することができる。 【0032】 薬液供給装置72は、電磁切換弁721とこれに接続された第1薬液供給装置722、第2薬液供給装置723、洗浄液供給装置724とからなる。 【0033】 これらの第1薬液供給装置722、第2薬液供給装置723、洗浄液供給装置724は、内部に供給ポンプと貯液タンク(図示せず)を有し、電磁切換弁721を切り換え、当該供給ボンプを作動させて、流入口725から処理槽71内に必要な液体を供給するようになっている。 【0034】 第2搬送装置73は、内面に2n本のガイド溝が、ピッチP/2で刻設された保持部材731とこれを保持する一対のアーム732と、このアーム732を開閉駆動する駆動手段733とからなっている。 【0035】 第2搬送装置73は、ウエハピッチ変換部6に移動し、ピッチ変換用保持板61に整立された第3のウエハ群23を保持部材731で保持し、ウエハ処理部7の上方に移動して停止する。するとガイド板712が、図示しない垂直駆動装置によって上方に移動される。ガイド棒711のガイド溝に第3のウエハ群23の各ウエハ2の下部外縁が挿入されるとアーム732を開放して、第3のウエハ群23をガイド棒711に移し変える。 【0036】 その後、ガイド板712を下方に移動させ第3のウエハ群23を処理槽71内の薬液に浸漬させ、薬液供給装置72により処理槽71内の薬液を次々に置換しながら所定のウエハ処理を行なう。 【0037】 この際、第3のウエハ群23のウエハ2間のピッチは従来の1/2になっているので、その隙間を流れる薬液が層流を形成し、ウエハ2の表面をより一層均一に処理することが可能である。 【0038】 また、本実施例では、第2搬送装置73の保持部分を下降させて直接第3のウエハ群23を処理槽71内のガイド棒711に載置せずに、ガイド板712を上下移動させることにより、処理槽71上部でガイド棒711と第2搬送装置73との第3のウエハ群23の受取りを行なっているので、次のような利点がある。 【0039】 (a)第2搬送装置73のウエハ保持部分すなわちアーム732や保持部材731を処理槽71内に挿入する必要がないので、当該保持部分が薬液によって汚染されるおそれがない(保持部材731は、処理前と洗浄後のウエハ2にしか接することがないので汚染されない。)。このため、第2搬送装置73によるウエハ汚染のおそれがなく、当該ウエハ保持部分を洗浄するための特別な装置も不要である。 【0040】 (b)また、第2搬送装置73の上記ウエハ保持部分を処理槽71内に挿入してウエハをガイド棒711に直接整立させる場合には、アーム732を処理槽71内で開閉動作することになるが、その開閉動作のスペースだけ余分に処理槽71の幅を大きくしなけらればならず、内容積が大きくなる。しかし、本実施例では、上述のようにガイド板712を上下させて上方で受け渡しする方法を採用しているので、処理槽71の幅はウエハ2の直径よりやや大きくするだけでよく、余分なスペースが不要であり、内容積を小さくすることができる。 【0041】 上記ウエハ処理部7で薬液処理の最後に洗浄液供給装置724に切り換えて洗浄液を処理槽71内に供給してウエハ2表面に付着した薬液を洗い流したあと、再びガイド板712を上昇させて、第3のウエハ群23を処理槽71から取り出し、上方に待機している第2搬送装置73の保持部材731で保持し、次の乾燥部8に移送する。 【0042】 乾燥部8における乾燥は、第3のウエハ群23を回転板81にガイド棒82などで固定し、この回転板81を図示しない回転駆動装置によって高速回転させてウエハ2の表面の水分を遠心力により散逸せしめることによって達成される。 【0043】 このようにして全ての処理を終えた第3のウエハ群23は、再び第2搬送装置73によりウエハピッチ変換部6に搬送され、ピッチ変換用保持板61の各ガイド溝に整立させられる。そこで、第1搬送装置55で、第3のウエハ群23の中から第1搬送装置55で一方のウエハ群、たとえば第1のウエハ群21を抜き出して、キャリア3の上方に押出されて待機している挿出入装置53の保持板531のガイド溝に整立させ、この保持板531を下降させてキャリア3に第1のウエハ群21を収納し、キャリア搬送装置120(図4参照)でこのキャリア3をロード部(アンロード部)4に移動せしめる。 【0044】 この間第1搬送手段55は、ピッチ変換用保持板61に向かい、このピッチ変換用保持板61をP/2だけスライドさせて、第2のウエハ群22を保持し、上記と同様にして第2のウエハ群22をキャリア3内に収納し、ロード部(アンロード部)4に移送して一連のウエハ処理の動作が終了する。 【0045】 なお、上述の実施例においては、処理槽71はひとつだけしか設けていないが、これを複数設けてそれぞれの処理槽71においてワンバス方式の処理を行なうようにすれば、各搬送手段を共用することができ、処理能力も倍加する。 (2)第1の実施例におけるウエハピッチ変換部の具体例 上記実施例にかかるウエハ処理装置のロード部4からウエハピッチ変換部6に至る具体的な構成について説明する。 【0046】 図4は、ウエハ処理装置100のウエハピッチ変換部の周辺を斜め上方から見た図である。ロード部110には、キャリア3を載置したときの位置決め用の突起111が設けられており、このロード部110には図示しない搬送ロボヅトもしくは人がキャリア3の下部のコーナーをこの位置決め用の突起111に係合させて載置する。 【0047】 キャリア搬送装置120は、y方向とz方向および支柱123を中心に回転が可能なようになっており、アーム121が開閉自在にヘッド122に取り付けられている。 【0048】 ロード部110に載置されたキャリア3をウエハ挿出入部130に移送するには、まず、キャリア搬送装置120のヘッド122を図の位置から180度回転させるとともに、y方向に移動させて搬送すべきキャリア3の前に移動する。アーム121を広げて、ヘッド122を下降させ、アーム121の位置がキャリア3の鍔3bの位置より下方にきたとき、アーム121の間隔を狭め、ヘッド122を上方に移動すると、アーム121の上面が鍔3bの下面に当接して、キャリア3も上昇する。そこでヘッド122を180度回転してキャリア3を第1のウエハ挿出入位置に設けられた第1の回転板131上に載置する。この回転板131は90度回転しキャリアの向きを図4の方向に変える。 【0049】 同様にして別のキャリア3を第2の回転板132上に載置して90度回転させる。 【0050】 この第1の回転板131、第2の回転板132の中央には上面にn本のガイド溝133a,134aがピッチPで刻設された保持部材133、134が位置しており、ステージ下方に設置された挿出入装置(図1の53、54参照)によってこの保持部材133、134を上方に押し上げることによってウエハ2をキャリア3から抜き出すことができるようになっている。 【0051】 ウエハピッチ変換部140には、ピッチ変換用保持板141が、y方向にスライド可能に設けられている。このピッチ変換用保持板141はまた、z方向にも上下移動できるように設定されている。 【0052】 ピッチ変換用保持板141の上面には2n本のガイド溝141aがピッチP/2で刻設されている。 【0053】 第1搬送装置150は、保持部材151とこれを支持する一対のアーム152と、アーム152を回動自在に支持するヘッド153を備え、ヘッド153はx方向に移動可能な支柱154に支持されている。保持部材151の内面にはn本のガイド溝151aが、ピッチPで刻設されている。 【0054】 同様に、第2搬送装置160は、保持部材161とこれを支持する一対のアーム162と、アーム162を回動自在に支持するヘッド163を備え、ヘッド163はx方向に移動可能な支柱164に支持されている。 【0055】 ただし、アーム162は回動可能になっており、保持部材161を180度回転させ、その両主面のガイド溝を使用できるようになっている。保持部材161の両主面に形成された溝形状は、図5に示すように、内面には、ウエハを通過させるための通過溝161aとウエハをしっかり保持するためのガイド溝161bが交互にn本ずつピッチP/2で刻設されており、外側の面には、ガイド溝161cが2n本ピッチP/2で刻設されている。 【0056】 上述のような構成で、ウエハピッチ変換部140でピッチ変換を行なう際には、次のような動作が行なわれる。 【0057】 まず、第1搬送装置150を-x方向に移動し回転板131の前で停止させ、保持部材151の下端を広げる方向にアーム152を回動しガイド溝部が垂直になるようにして待機する。図示しない挿出入装置でウエハ2を押上げてキャリア3から挿出させる。保持部材151の下端を閉じる方向にアーム152を回動させ、ウエハ(第1のウエハ群)を保持し、+x方向に移動する。この間ピッチ変換用保持板141を、-y方向に移動して第1搬送装置150のアーム152下方に位置させておき、このピッチ変換用保持板141を上昇させて、第1搬送装置150から第1のウエハ群を受け取り、再び下降して+y方向に移動する。 【0058】 次に、第2搬送装置160を-x方向に移動し、回転板132の前で停止させ、保持部材161のガイド溝部が垂直になるようにして待機する。図示しない挿出入装置で回転板132に載置されたキャリア3からウエハ2を押上げて、アーム162を回動させて保持部材161の下端を閉じてガイド溝161bでウエハ2(第2のウエハ群)を保持し、+x方向に移動する。ピッチ変換用保持板141は、+y方向に移動して、ヘッド163を下降したときに第2のウエハ群が丁度、すでに載置されてる第1のウエハ群のウエハの隙間に挿入される位置に停止している。そこでピッチ変換用保持板141を上昇させて、第2のウエハ群を第1のウエハ群のウエハ間に挿入して、アーム162を保持部材161の下端が開く方向に回動ずるとピッチ変換用保持板141のガイド溝141aに2n枚のウエハがピッチP/2で整立し第3のウエハ群が形成される。 【0059】 上述のように保持部材161の内面は、ガイド溝161bと通過溝161aとがピッチP/2ごとに交互に配列されているので、第1のウエハ群のウエハ2はその通過溝161aの中央を当該溝に接触することなく通過する形になるので、第1のウエハ群が傷付くおそれがなく、また機械的な摺動による粉塵の発生もない。 【0060】 その後、ピッチ変換用保持板141を若干下降させて、アーム162を180度回転させて保持部材161の外側の面を内側に変える。 【0061】 そして再度ピッチ変換用保持板141を上昇させた後、保持部材161で当該ピッチ変換用保持板141に載置された第3のウエハ群を一括して保持し、次のウエハ処理部に移送し図1で示した工程を実施する。 【0062】 上述とほぼ逆の動作により、処理された第3のウエハ群を第1のウエハ群と第2のウエハ群に分離しキャリア3に収納し、ロード部(アンロード部)110に移動して一連の動作を終了する。 【0063】 なお、この具体例では、ピッチ変換用保持板141を上下させて、第1搬送装置150、第2搬送装置160との間で、ウエハ2の受け渡しを行なったが、ピッチ変換用保持板141はそのままで、第1搬送装置150、第2搬送装置160のヘッド153、163のそれぞれを上下方向に移動できるように設定してもよい。しかし、この場合は上下駆動のための装置が2つ必要になるので、コスト面では前者の方が優れている。 (3)ウエハ処理装置の第2の実施例とその動作 図1における第1搬送手段55の保持部材551の溝を図6の保持部材561のように構成することによりピッチ変換の処理をより簡略化することができる。 【0064】 保持部材561の内面には、通常のガイド溝562と、可変ガイド溝563が交互にn本ずつ、P/2ピッチで配列されている。 【0065】 可変ガイド溝563は、ガイド溝562に比べ、溝幅も深さもより大きく形成されているが、その底面部563aには圧電素子564を多層に重ねた上に、小溝565を有する溝板566が取り付けられており、圧電素子564に所定の電圧をかけると、溝板566が上方に押し上げられるようになっている。 【0066】 図7はこのような可変ガイド溝を有する保持部材561を使用したときのウエハ処理装置100の構成を示すものであり、図1と同じ符号を付したものは、同じ内容を示すので説明は省略される。 【0067】 キャリア3を移し変え位置51、移し変え位置52に載置したのち、挿出入装置53で第1のウエハ群21を押し上げて搬送装置56の保持部材561で保持する。’ 【0068】 その後、搬送装置56を移し変え位置52上方に移動し、挿出入装置54で第2のウエハ群22を上方に押し上げる。第2のウエハ群22の各ウエハは、保持部材561の可変ガイド溝563内を通過するので、第1の実施例でも述べたように第1のウエハ群21が保持部材561に接触することなく、第1のウエハ群21の各ウエハ間に第2のウエハ群22のウエハが円滑に挿入される。 【0069】 一方、挿出入装置54の上部に取り付けられている保持板544の上面には、2n本のガイド溝がP/2ピッチで刻設されており、この保持板544に第1のウエハ群21の下部外縁が挿入され、第1のウエハ群と第2のウエハ群22の位置が重なった時点で、挿出入装置54の上昇を停止する。 【0070】 その後、保持部材561の可変ガイド溝563内の圧電素子564に所定の電圧を負荷して溝板566を移動させ、第2のウエハ群22の外縁をしっかりと保持する。挿出入装置54により保持板544を下降させ、第3のウエハ群23が形成される。 【0071】 この搬送装置56でウエハ処理部7の処理槽71の上方に第3のウエハ群を移送し、以下図1のウエハ処理装置1と同じ操作行なう。 【0072】 このようなウエハ処理装置100においては、移し変え位置52で図1のウエハ処理装置1におけるウエハピッチ変換部6を兼用することができ、それだけスペースを節約できるるとともに、第2搬送装置73を不要とすることができ、装置構成や制御系を簡易にすることができる。 【0073】 なお、可変ガイド溝563における圧電素子564の変わりに、たとえば形状記憶合金を取り付けて、保持部材561内部にヒータコイルや冷却素子などを埋め込んで、これに負荷する電圧を変化することにより可変ガイド溝563部の温度を制御し、これにより当該形状記憶合金を変形させて、溝板566の位置を偏位させるようにすることも可能である。 (4)ウエハピッチ変換部の別の実施例 本発明では、機械的な摺動部分なしに、第1のウエハ群のウエハ間に第2のウエハ群のウエハを挿入してピッチ変換する点に大きな特徴があるが、上述のように通過溝とガイド溝をピッチP/2で交互に刻設した保持部材を用いて当該ピッチ変換を行なう以外に、たとえば櫛状のピッチ変換用保持板を2つ用意し、それぞれの櫛状の歯の部分を交差させて挿入させるようにすることも可能である。 【0074】 図8に、このような櫛状のピッチ変換用保持板の一実施例を上方からみた概略図を示す。第1のピッチ変換用保持板63は、ピッチPで配列された棒状の保持部631をn本有しており、それぞれの保持部631は、ウエハ2の外縁を挿入するためのガイド溝632が刻設されている。 【0075】 一方の第2のピッチ変換用保持板64も、第1のピッチ変換用保持板63同様に棒状の保持部641、ガイド溝642を有している。第1のピッチ変換用保持板63と第2のピッチ変換用保持板64のそれぞれの保持部631、641の間にある隙間633、643の幅は、それぞれ他方の保持部641、631を挿入できるだけの間隔を有しており、相互に挿入される。 【0076】 ただし、ウエハ処理装置においては、粉塵の発生を嫌うため機械的な接触はできるだけ避ける必要があるので、互いの保持部631と保持部641が接触しない程度に隙間633、643の幅が設定される。 【0077】 図9は、図8のピッチ変換用保持板63、64によってピッチ変換するときの動作を示す図である。 【0078】 搬送装置によって移送された第1のウエハ群21と第2のウエハ群22を保持した第1のピッチ変換用保持板63の第2のピッチ変換用保持板64の双方もしくは一方のみをスライドさせて、その保持部631、641を相互に交差させる。完全に第1のウエハ群21と第2のウエハ群22の位置を重ねて第3のウエハ群23を形成する。内面に2n本のガイド溝741を、ピッチP/2で刻設した保持部材742を有する搬送手段74で第3のウエハ群を保持し、処理槽71(図1)に搬送する。 【0079】 なお、本実施例では、キャリアレス方式の一槽式ウエハ処理装置について説明したが、通常のキャリアレス方式のウエハ処理装置についても同様に適用できるものである。 【0080】 また、第2のウエハ群22は、上述のように第1のウエハ群21のウエハ間の丁度中央に挿入して各ピッチをP/2にする必要は必ずしもなく、第1のウエハ群21と第2のウエハ群22の各ウエハが接触しない程度の適当な隙間を設けて挿入すればよい。 【0081】 【発明の効果】 本発明にかかるウエハ処理方法によれば、2つのキャリアから抜き出されたピッチPの第1のウエハ群とピッチPの第2のウエハ群を互いの隙間にウエハを挿入して、第1のウエハ群とほぼ同一の並び方向の幅である第3のウエハ群を形成してピッチを変換するため、処理槽の内容積を従来の約半分にすることができる。このため、消費する薬液量も半分で済むと共に、ウエハ処理装置においては処理槽内の薬液の置換に要する時間を大幅に短縮することができ、単位時間当たりのウエハ処理能力が向上し、製造コストを低くすることができる。 【0082】 また、本発明にかかるウエハ処理装置によれば、ウエハピッチ変換手段によりピッチPの第1のウエハ群のウエハ間の各隙間にピッチPの第2のウエハ群の各ウエハを相互に接触しない状態で挿入して、第1のウエハ群とほぼ同一の並び方向の幅である第3のウエハ群を形成し、これを搬送手段によって一括して処理槽に搬送することによって、上記のウエハ処理方法の実施を可能ならしめるものである。また、処理槽も小型化することで、クリーンルームのスペースも小型化できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の第1の実施例にかかるウエハ処理装置の概要を示す図である。 【図2】 キャリアの形状を示す図である。 【図3】 図1における第1搬送装置の保持部材の溝形状を示す図である。 【図4】 図1の実施例におけるピッチ変換部の具体的な機構を示す斜視図である。 【図5】 図4における第2搬送装置の保持部材の溝形状を示す図である。 【図6】 搬送装置の保持部材の別の実施例を示す図である。 【図7】 図6の搬送装置を利用したウエハ処理装置の構成を示す図である。 【図8】 ピッチ変換用保持板の別の実施例を示す図である。 【図9】 図8のピッチ変換用保持板によってピッチが変換される様子を示す図である。 【符号の説明】 1、100 ウエハ処理装置 2 ウエハ 3 キャリア 4 ロード部 5 ウエハ挿出入部 6 ウエハピッチ変換部 7 ウエハ処理部 8 乾燥部 21 第1のウエハ群 22 第2のウエハ群 23 第3のウエハ群 53、54 挿出入装置 55 第1搬送装置 61 ピッチ変換用保持板 62 スライド装置 71 処理槽 71 薬液供給装置 73 第2搬送装置 81 回転体 82 ガイド棒 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 【1】 訂正事項 1 訂正事項1 特許請求の範囲の【請求項2】における「……(c)前記ウエハピッチ変換手段によって形成された第3のウエハ群を一括して処理槽に搬送する搬送手段と、を備えたことを特徴とするウエハ処理装置。」を「……(c)前記ウエハビッチ変換手段によって形成された第3のウエハ群をキャリアレス方式にて一括して処理槽に搬送する搬送手段と、を備えたことを特徴とするウエハ処理装置。」とおり訂正する。 2 訂正事項2 明細書の段落番号0010における「……(c)前記ウエハピッチ変換手段によって形成された第3のウエハ群を一括して処理槽に搬送する搬送手段と、を備えたことを特徴とするウエハ処理装置。」を「……(c)前記ウエハビッチ変換手段によって形成された第3のウエハ群をキャリアレス方式にて一括して処理槽に搬送する搬送手段と、を備えたことを特徴とするウエハ処理装置。」とおり訂正する。 【2】 訂正の目的 1 訂正事項1による訂正について 特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 2 訂正事項2による訂正について 明細書の明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。 |
審理終結日 | 2000-02-09 |
結審通知日 | 2000-02-22 |
審決日 | 2000-03-06 |
出願番号 | 特願平3-357260 |
審決分類 |
P
1
112・
113-
YA
(H01L)
P 1 112・ 121- YA (H01L) |
最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
小林 武 |
特許庁審判官 |
鈴木 孝幸 桐本 勲 |
登録日 | 1997-04-25 |
登録番号 | 特許第2634350号(P2634350) |
発明の名称 | ウエハ処理方法およびその装置 |
代理人 | 吉田 茂明 |
代理人 | 吉竹 英俊 |
代理人 | 松阪 正弘 |
代理人 | 有田 貴弘 |
代理人 | 有田 貴弘 |
代理人 | 吉竹 英俊 |
代理人 | 吉田 茂明 |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 松阪 正弘 |