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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A61B 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A61B |
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管理番号 | 1041080 |
異議申立番号 | 異議2000-71189 |
総通号数 | 20 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1998-05-12 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2000-03-27 |
確定日 | 2000-12-27 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第2953689号「検眼装置」に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第2953689号に係る特許を維持する。 |
理由 |
1 手続の経緯 本件特許第2953689号の出願は、昭和62年1月20日に出願した特願昭62-11744号の一部を新たな特許出願とした特願平2-212628号の一部をさらに平成9年9月5日に新たな特許出願としたものであり、平成11年7月16日に発明の数1として特許権の設定登録がなされた後、本件特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年9月13日に訂正請求がなされた。 2 訂正の適否 (1)訂正の内容 特許権者が求める訂正は、次のとおりである。 【訂正事項1】 特許請求の範囲第1項の記載を次のとおり訂正する。 「1. 被検眼角膜に向けて指標を投影し、その像の位置を検出する測定光学系の検出結果に基づいて角膜形状を得る装置であって、該測定光学系の焦点距離が固定である角膜形状測定装置において、前記測定光学系の二次元撮像素子で撮像されフレームメモリに記憶された画像を画像処理して作動距離検出用の指標を検知することにより、所定の作動距離に対する測定時の作動距離の変化を検出する作動距離検出手段と、該作動距離検出手段で検出された変化量及び前記測定光学系の検出結果に基づいて作動距離の変化が補正された角膜形状を演算する演算手段と、該演算手段により得られた角膜形状を表示するディスプレイと、を有することを特徴とする角膜形状測定装置。」 【訂正事項2】 特許請求の範囲の訂正に伴い、【0006】を次のとおり訂正する。 「(1) 被検眼角膜に向けて指標を投影し、その像の位置を検出する測定光学系の検出結果に基づいて角膜形状を得る装置であって、該測定光学系の焦点距離が固定である角膜形状測定装置において、前記測定光学系の二次元撮像素子で撮像されフレームメモリに記憶された画像を画像処理して作動距離検出用の指標を検知することにより、所定の作動距離に対する測定時の作動距離の変化を検出する作動距離検出手段と、該作動距離検出手段で検出された変化量及び前記測定光学系の検出結果に基づいて作動距離の変化が補正された角膜形状を演算する演算手段と、該演算手段により得られた角膜形状を表示するディスプレイと、を有することを特徴とする。」 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 訂正事項1は、(a)「測定光学系の検出結果に基づいて角膜形状を得る角膜形状測定装置」に「測定光学系の焦点距離が固定である」の構成を付加するとともに、(b)「所定の作動距離に対する測定時の作動距離の変化を検出する作動距離検出手段」に「前記測定光学系の二次元撮像素子で極像されフレームメモリに記憶された画像を画像処理して作動距離検出用の指標を検知する」の構成を付加するもので、特許請求の範囲の減縮を目的とする。 また、訂正(a)については、特許明細書の記載(【0022】〜【0024】)及び図1の配置関係より、測定光学系の焦点距離が固定である構成が開示され、訂正(b)については、特許明細書の記載(【0026】〜【0030】)及び図7に示す電気系のブロック回路図により、測定光学系の二次元撮像素子で撮像され、フレームメモリに記憶された画像を画像処理して作動距離検出用の指標を検知する構成が開示されていることから、訂正事項1は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 訂正事項2は、訂正された特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を整合させるための訂正であり、不明りょうな記載の釈明を目的とするもので、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3) 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号。以下「平成6年改正法」という。)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法126条1項ただし書、2項及び3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3 特許異議の申立てについての判断 (1)申立ての理由の概要 申立人株式会社トプコンは、本件発明は、甲第1号証(特開昭59 一230536号公報)に記載された発明と実質的に同一であるから、特許法29条1項3号に該当するし、また甲第1号証又は甲第2号証(特開昭61一268228号公報)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許を取り消すべきであると主張している。 (2)本件発明 上記2で示したように、訂正が認められるから、本件発明は、訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲第1項に記載された次のとおりのものと認められる。 「被検眼角膜に向けて指標を投影し、その像の位置を検出する測定光学系の検出結果に基づいて角膜形状を得る装置であって、該測定光学系の焦点距離が固定である角膜形状測定装置において、前記測定光学系の二次元撮像素子で撮像されフレームメモリに記憶された画像を画像処理して作動距離検出用の指標を検知することにより、所定の作動距離に対する測定時の作動距離の変化を検出する作動距離検出手段と、該作動距離検出手段で検出された変化量及び前記測定光学系の検出結果に基づいて作動距離の変化が補正された角膜形状を演算する演算手段と、該演算手段により得られた角膜形状を表示するディスプレイと、を有することを特徴とする角膜形状測定装置。」 (3)刊行物に記載された発明 特許異議申立人が証拠として提示した刊行物には、それぞれ、以下のような発明が記載されている。 刊行物1:特開昭59 一230536号公報(甲第1号証) 「眼科装置特に被検眼の角膜形状を測定する装置」(1頁右欄5〜6行)に関し、被検眼角膜(Ec)に向けて指標(測定指標たる光源La、Lb)を投影し、その像の位置を検出する測定光学系(結像レンズ、テレビカメラ4)の検出結果に基づいて角膜形状を表す角膜曲率を得る装置が記載されている(第1、2図)。 また、測定時に被検眼が所定位置から光軸方向にずれると、視標光源La、Lbを見込む角度θ及び結像光学系の撮影倍率mが変化することにより、従来のように作動距離が一定で、総合倍率Mが一定という前提では、角膜形状測定が正確に行えない(2頁左上欄9〜15行、3頁左上欄14〜右上欄1行参照)という認識のもとに、「本発明は上述した欠点を解決するものであり、作動距離の変化に応じた総合倍率Mを検出し、撮像面上での反射鏡の間隔dをMで除算することにより、すなわち両者の比を求めて角膜曲率Rを安定して測定できるようにしたものである。第2図で被検眼が光軸方向に動いて作動距離が変化する場合、非合焦の状態となるが、合焦の状態とすべく結像レンズ1のフォーカシングレンズ部を光軸方向に移動させる。 そして、プリセット位置から合焦となる位置までのズームレンズであるフォーカシングレンズ部の移動量から」(3頁右上第11〜左下欄2行)、作動距離u等を算出することが記載されている。 総合倍率Mは、指標光源La、Lb(第2図参照)からの照明主光線と測定光軸のなす角度をθ、結像レンズ1の撮影倍率をmとして、M=(2sin(θ/2))×mと表され(3頁左上欄1行)、総合倍率Mは作動距離uの関数(第3図参照)であることが認められる。 さらに、算出された角膜曲率Rの値を示す文字データがモニタ画面上に映写される旨(4頁右上欄15〜20行参照)記載されている。 刊行物2:特開昭61一268228号公報(甲第2号証) 「被検眼眼底に測定ターゲット像を投影し、この測定ターゲット像の合焦状態を検出して被検眼の屈折度数を測定する測定系を有する眼屈折力測定装置において、 前記測定系光軸方向での被検眼の適正位置からのずれ量を検出する被検眼位置検出系と、その検出結果に基づいて前記屈折度数の測定結果を補正する補正手段が設けられていることを特徴とする眼屈折力測定装置。」(特許請求の範囲第1項) (4)対比・判断 本件発明と刊行物1、2に記載された発明とを対比すると、訂正された構成要件に係る「測定光学系の焦点距離が固定である」点、及び「測定光学系の二次元撮像素子で撮像されフレームメモリに記憶された画像を画像処理して作動距離検出用の指標を検知する」点は、いずれの発明にも開示ないし示唆するところはない。 すなわち、刊行物1記載の発明は、被検眼角膜に向けて指標を投影し、その像の位置を検出する測定光学系の検出結果に基づいて角膜形状を得る装置であって、作動距離の変化が補正された角膜形状を演算する演算手段と、該演算手段により得られた角膜形状を表示するディスプレイとを有する角膜形状測定装置が記載されているものの、被検眼が結像面上に合焦して結像されるように移動するフォーカシング手段と、該フォーカシング手段の移動量より結像光学系の投影倍率の積である総合倍率に関する出力を得て角膜形状を得るものであって、「測定光学系の焦点距離が固定である」角膜形状測定装置に対する作動距離の誤差を補正するものではなく、「測定光学系の二次元撮像素子で撮像されフレームメモリに記憶された画像を画像処理して作動距離検出用の指標を検知する」ことにより、所定の作動距離に対する測定時の作動距離の変化を検出するものではない。 刊行物2記載の発明は、被検眼眼底に測定ターゲット像を投影する眼屈折力測定装置であり、被検眼角膜に向けて指標を投影する角膜形状測定装置ではなく、角膜形状測定装置に適用することを示唆するものではない。また、「測定光学系の二次元撮像素子で撮像されフレームメモリに記憶された画像を画像処理して作動距離極出用の指標の位置を得る」ことにより、所定の作動距離に対する測定時の作動距離の変化を検出することを開示するものでもない。 そして、本件発明は、その構成により、明細書記載の効果を奏することが認められる。 したがって、本件発明は、刊行物1に記載された発明と同一ではなく、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (5)むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 検眼装置 (57)【特許請求の範囲】 1. 被検眼角膜に向けて指標を投影し、その像の位置を検出する測定光学系の検出結果に基づいて角膜形状を得る装置であって該測定光学系の焦点距離が固定である角膜形状測定装置において、前記測定光学系の二次元撮像素子で撮像されフレームメモリに記憶された画像を画像処理して作動距離検出用の指標を検知することにより、所定の作動距離に対する測定時の作動距離の変化を検出する作動距離検出手段と、該作動距離検出手段で検出された変化量及び前記測定光学系の検出結果に基づいて作動距離の変化が補正された角膜形状を演算する演算手段と、該演算手段により得られた角膜形状を表示するディスプレイと、を有することを特徴とする角膜形状測定装置。 2. 請求項1の角膜形状測定装置において、前記演算手段は前記作動距離の変化による像倍率の変化に基づく誤差を補正することを特徴とする角膜形状測定装置。 3. 請求項1の角膜形状測定装置において、前記演算手段は前記作動距離の変化による角膜反射光の主光線の角度変化に基づく誤差を補正することを特徴とする角膜形状測定装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、眼の角膜形状を自動的に補正する角膜形状測定装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 角膜曲率測定装置、眼屈折力測定装置、非接触式眼圧計等の検眼装置では、被検眼に対して装置を上下左右方向にアライメント調整するとともに、作動距離方向にアライメント調整して検眼を行っている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上下左右方向に加えて作動距離方向も正確にアライメント調整することは容易でなく、作動距離方向のアライメント調整が正確でないと、測定誤差の要因になるという欠点があった。 【0004】 本発明は上記問題点に鑑み、作動距離の違いによる測定誤差をなくし、アライメントを容易に行うことができる角膜形状測定装置を提供することを技術課題とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】 本発明は上記課題を解決するために、以下のような構成を備えることを特徴とする。 【0006】 (1) 被検眼角膜に向けて指標を投影し、その像の位置を検出する測定光学系の検出結果に基づいて角膜形状を得る装置であって、該測定光学系の焦点距離が固定である角膜形状測定装置において、前記測定光学系の二次元撮像素子で撮像されフレームメモリに記憶された画像を画像処理して作動距離検出用の指標を検知することにより、所定の作動距離に対する測定時の作動距離の変化を検出する作動距離検出手段と、該作動距離検出手段で検出された変化量及び前記測定光学系の検出結果に基づいて作動距離の変化が補正された角膜形状を演算する演算手段と、該演算手段により得られた角膜形状を表示するディスプレイと、を有することを特徴とする。 【0007】 (2) (1)の角膜形状測定装置において、前記演算手段は前記作動距離の変化による像倍率の変化に基づく誤差を補正することを特徴とする。 【0008】 (3) (1)の角膜形状測定装置において、前記演算手段は前記作動距離の変化による角膜反射光の主光線の角度変化に基づく誤差を補正することを特徴とする。 【0009】 【実施例】 まず、本実施例の前提となる測定原理を説明する。なお、理解が容易なように対物レンズの像側焦点位置にテレセントリック絞りが配置され、光軸に平行な光束を取り出す場合で説明する。 【0010】 図5は、本発明の実施例の測定原理を説明する図で、所定の距離から円環状の指標を角膜上に投影したときに、角膜上にできる角膜反射像を表しているものとする。図示なき円環状の指標を角膜上に投影した際、角膜が球面の場合は、半径aの円ができる。角膜がトーリック面の場合長径線b1、短径線b2の楕円ができる。ここで、円上の点(A)(B)が楕円状の(A´)(B´)に対応しているものとする。さらに、楕円は原点を中心にx軸より(θ)だけ傾いているものとする。 【0011】 ここで、(A)から(A´)への変化量の(x,y)成分をそれぞれ(ΔAx)(ΔAy)、(B)から(B´)への変化量の(x,y)成分をそれぞれ(ΔBx)(ΔBy)とすると、以下の関係が成立する。 【0012】 【数1】 ΔAx=b1cos2θ+b2sin2θ-a (1) ΔAy=(b1-b2)sinθ・cosθ (2) ΔBx=(b1-b2)sinθ・cosθ (3) ΔBy=b1sin2θ+b2cos2θ-a (4) これにより、b1,b2,θは次の式で表すことができる。 【0013】 【数2】 b2=ΔBy+ΔAx+2a-b1 (6) さらに(A´)と対称な点(C´)の位置を検出し、(A´)と(C´)の2点間の中心を求めることにより原点Oの位置を求める。 【0014】 以上、基準円内の点(A)(B)(C)の各(x,y)座標をあらかじめ記憶させるとともに、形状が未知の角膜によりできる点(A)(B)(C)の各(x,y)座標を検出することにより、角膜形状の測定が可能となる。 【0015】 次に、楕円形状と角膜トーリック面形状との関係について、図6により説明する。 【0016】 光軸Oに対しαの角度をもってコリメイトされた点光源を角膜上に投影する。このときできる像の光軸からの距離をb1とすると、この断面における角膜曲率半径Rb1は次式により表すことができる。 【0017】 【数3】 同様に光軸Oからの距離b2の像ができるときの角膜曲率半径Rb2は次式により表すことができる。 【0018】 【数4】 (8)、(9)式に(5)、(6)式を代入することにより、長径のRb1、短径のRb2を求めることができる。 【0019】 なお、検出光学系にテレセントリック光学系を用いない場合は角膜反射像からの主光線は被検眼の光軸と平行ではないから検出像の位置と求める角膜上での像の位置とは異なるので、正確を期するためにはこれを補正することが必要である。尤も、開口の位置を調整すればその誤差は非常に小さくなるので、これを無視しても実用上問題は小さい。 【0020】 因みに、角膜反射像からの主光線と光軸となす角をΔθとすると角膜曲率半径Rは、 【0021】 【数5】 となることは容易に算出できる。 【0022】 図1は上記の測定原理と基本的には同一な原理に基づく1実施例の光学系の配置図である。発光ダイオード等の点光源1a、1bより出射した光はコリメーティングレンズ2a、2bにより平行光束となり、被検眼角膜に光軸とαの角度をもって投影され、点光源像3a、3bができる。 【0023】 同様に点光源を光軸に90°回転させた位置にある図示なき点光源1cより出射した光は図示なき点光源像3cをつくる。 【0024】 結像レンズ4は撮像素子7の撮像面と点光源像3a、3b、3cが共役となる位置に配置され、撮像素子の撮像面上に点光源像が結像する。光路はロータリーソレノイド6で回転駆動される開口マスク5により変更される。 【0025】 図4は、開口マスク5の形状例を示す。9は開いている開口部で、8は閉じている開口部である。 【0026】 図7は、本発明の実施例の電気系のブロック回路図である。 【0027】 撮像素子7は、CCDを使用したTVカメラ21である。このTVカメラは標準TV信号を出力するものであればとくに問題はないが、小型で撮像歪のない等の特徴があるCCDTVカメラが有利である。TVカメラからの信号は、同期信号を含んだコンポジットビデオ信号であるが、後に水平垂直の同期信号を分離しなければならないことを考えると外部同期式のセパレートタイプの出力を持つTVカメラがよい。 【0028】 TVカメラ21からの映像信号は、コンポジットビデオ信号の場合同期分離回路22を必要とする。ここでビデオ信号と同期信号が分離される。分離された同期信号は、水平・垂直同期分離回路28によって水平同期信号と垂直同期信号に分離される。これらの同期信号はフレームメモリ26にビデオ信号を書き込むときのフレームメモリアドレスを生成するのに使う。 【0029】 またビデオ信号は増幅器23により、適当な振幅に増幅した後、A/Dコンバータ24に入力されデジタイズされる。デジタイズされた画像データは、同期信号に基づきフレームアドレスジュネレータ29によって生成されたフレームメモリアドレスの番地のメモリに記憶される。 【0030】 またA/Dコンバータを通した後の画像データ信号ラインの画像データバスと画像メモリの読み出しデータバスは理論演算ユニット32にそれぞれ接続され、画像間演算が可能である。この画像間演算機能により始めに測定用の点光源が消灯時の画像を記憶した後、点光源が点灯している画像データから引き算することにより手術顕微鏡の観察照明による影響を除去できる。画像間演算された画像データはコンパレータ33によって予め設定された輝度レベルと比較され、画像データの明るい部分のデータのみを取りだす。ここで取りだされるデータは、2種類あり、1つは輝度値、もう1つがフレームメモリアドレスで、撮像素子上の位置を示す。この2つのデータはデータメモリ36に記憶される。この処理により点光源像を取り出すことが可能となる。データメモリ36から周知の画像処理により各点光源像の中心座標が求められ、マイクロコンピュータ回路37により前記した測定原理に基づく計算処理が行われ被検眼の角膜形状が求められる。 【0031】 次に装置と被検眼との位置が所定の位置にない場合の測定値の誤差の補正を図2、図3に従って説明する。 【0032】 作動距離の変化による測定値の誤差の補正の基本的な考え方は開口マスクの2つの位置における画像から得られた各点光源の位置変化量を求め、この値と2つの開口マスク間距離の変化量、結像レンズの焦点距離、結像レンズと撮像面までの距離等の値から作動距離の変化量を求めて補正する。 【0033】 図2は測定時の作動距離を求める具体的な考え方を示す。 【0034】 lは基準作動距離、l´は測定時作動距離、Hは開口マスク間距離、hは測定時光束円の大きさ、fは結像レンズの焦点距離、mは結像レンズと撮像面までの距離、m´は測定時結像レンズと結像点までの距離を示す。 【0035】 測定時作動距離は次のようにして求める。 【0036】 【数6】 (11)より 【0037】 【数7】 (12)式を(10)へ代入し、 【0038】 【数8】 となる。 【0039】 また前述したように、図6における角膜反射像からの光の主光線が光軸となす角Δθが作動距離によって変化するため角膜曲率半径Rの計算においては、 【0040】 【数9】 Δθをその都度計算して利用する。 【0041】 また、作動距離の変化に伴う結像光学系の倍率変化による測定誤差の補正は、結像レンズと撮像面までの距離によって求める。 【0042】 図3はこの補正の基本的な考え方を示す図である。 【0043】 hは基準作動距離での撮像面上での点光源像の高さを示す。lからl´へ作動距離が移動することにより撮像面上の像高さはhからh1´〜h2´となる。なお、Hは開口マスクと光軸との間距離とする。このときの結像点における像の高さをgとすると、次式が成り立つ。 【0044】 【数10】 よって、 【0045】 【数11】 故に、撮像面上の測定時の点光源像高さhを基準作動距離lと測定時の作動距離l´によって補正することにより正しい点光源像高さhを求めることができる。以上示した方法により作動距離が異なっても測定誤差をなくすことができる。 【0046】 以上のようにして、演算された角膜曲率半径はディスプレイ38、プリンタ39によって表示される他、他の機器にデータとして通信40される。 【0047】 なお、実施例中において投影手段としてコリメータ光学系を使っているが、作動距離の違いによる測定誤差を補正できるので、とくにコリメータ光学系を採用する必要はない。 【0048】 一般に手術用顕微鏡には観察用のテレビカメラが設けられているので、本発明を手術用顕微鏡に応用するときはこのまま利用することができるので特に観察用の光学系を配置する必要がない。 【0049】 また、点光源数を多くすることにより、測定精度が向上するほかに、被検眼角膜表面が凸凹なイレギュラー面の場合に点光源像の数が減少しても残りの点光源数によって計算を行うことが可能となる。 【0050】 なお、本発明は検出系にテレセントリック光学系を用いた角膜形状測定装置にも使用することができることは明白である。 【0051】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明によれば、作動距離の違いによる測定誤差をなくすことができる。よって、アライメントが容易になる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の1実施例の光学系の配置図である。 【図2】 測定値の誤差の補正を説明する説明図である。 【図3】 測定値の誤差の補正を説明する説明図である。 【図4】 開口マスクの形状例を示す図である。 【図5】 本発明の実施例の測定原理を説明する説明図である。 【図6】 角膜投影像と角膜トーリック面形状との関係を説明する説明図である。 【図7】 本発明の実施例の電気系のブロック回路図である。 【符号の説明】 1a,1b 点光源 4 対物レンズ 5 開口マスク 7 撮像素子 21 TVカメラ 22 同期分離回路 26 フレームメモリ 32 理論演算ユニット 33 コンパレータ回路 36 データメモリ 37 マイクロコンピュータ回路 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 【訂正事項1】 特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲第1項の記載を次のとおり訂正する。 「1. 被検眼角膜に向けて指標を投影し、その像の位置を検出する測定光学系の検出結果に基づいて角膜形状を得る装置であって、該測定光学系の焦点距離が固定である角膜形状測定装置において、前記測定光学系の二次元撮像素子で撮像されフレームメモリに記憶された画像を画像処理して作動距離検出用の指標を検知することにより、所定の作動距離に対する測定時の作動距離の変化を検出する作動距離検出手段と、該作動距離検出手段で検出された変化量及び前記測定光学系の検出結果に基づいて作動距離の変化が補正された角膜形状を演算する演算手段と、該演算手段により得られた角膜形状を表示するディスプレイと、を有することを特徴とする角膜形状測定装置。」 【訂正事項2】 不明瞭な記載の釈明として、明細書段落番号【0006】を次のとおり訂正する。 「(1)被検眼角膜に向けて指標を投影し、その像の位置を検出する測定光学系の検出結果に基づいて角膜形状を得る装置であって、該測定光学系の焦点距離が固定である角膜形状測定装置において、前記測定光学系の二次元撮像素子で撮像されフレームメモリに記憶された画像を画像処理して作動距離検出用の指標を検知することにより、所定の作動距離に対する測定時の作動距離の変化を検出する作動距離検出手段と、該作動距離検出手段で検出された変化量及び前記測定光学系の検出結果に基づいて作動距離の変化が補正された角膜形状を演算する演算手段と、該演算手段により得られた角膜形状を表示するディスプレイと、を有することを特徴とする。」 |
異議決定日 | 2000-11-30 |
出願番号 | 特願平9-257586 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YA
(A61B)
P 1 651・ 121- YA (A61B) |
最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
伊坪 公一 |
特許庁審判官 |
住田 秀弘 志村 博 |
登録日 | 1999-07-16 |
登録番号 | 特許第2953689号(P2953689) |
権利者 | 株式会社ニデック |
発明の名称 | 検眼装置 |
代理人 | 田村 和彦 |