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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  G02B
審判 一部申し立て 2項進歩性  G02B
管理番号 1041085
異議申立番号 異議2000-71059  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-06-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-03-13 
確定日 2000-12-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2949044号「撮像装置」の請求項1,2,4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2949044号の請求項2,4に係る特許を取り消す。 同請求項1に係る特許を維持する。 
理由 【1】手続の経緯
特許第2949044号の請求項1、2、4に係る発明は、平成6年11月16日に出願され、平成11年7月2日にその設定登録がなされ、その後、申立人 杉浦一子より特許異議申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年7月10日に訂正請求がなされたものである。

【2】訂正の適否についての判断
《2-1》訂正事項
特許権者が平成12年7月10日付け訂正請求書において求めている訂正事項は、以下のとおりである。

特許請求の範囲の請求項1に係る記載「前記電子部品の全体及び第1の封止剤を第1の封止剤より粘性の高い第2の封止剤により封止している」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「前記回路基板の前記電子部品が搭載される面には、半田付けを必要とするパターンが設けられ、第1の封止剤より粘性の高いものであって、前記電子部品の全体及び第1の封止剤は封止するが、前記半田付けを必要とするパターンは被覆しない第2の封止剤を具備する」と訂正する。
また、請求項2に係る記載「配列されたリード間の中心をパッケージ部の中心に対して離間させて配置すると共に、前記パッケージ部の中心からより離れた一方のリード群に信号線を接続すると共に、他方のリード群に前記一万のリード群側とは反対側の面に前記電子部品を備えた前記回路基板を接続した」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「一方のリード群に信号線を接続し、前記一方のリード群側とは反対側の面に前記電子部品を備えた前記回路基板を他方のリード群に接続すると共に、前記信号線の側面と前記パッケージ部の側面とが略同一面になるように前記一方のリード群を配設し、前記電子部品の側面と前記パッケージ部の側面とが略同一面になるように前記他方のリード群を配設することで、前記一方及び他方のリード群間の中心をパッケージ部の中心に対して離間させて配置した」と、訂正する。
尚、上記請求項1及び請求項2に係る記載の訂正に伴い、特許明細書の段落【0017】及び【0018】の記載を、不明りょうな記載の釈明を目的として対応する記載に訂正する。

《2-2》訂正の目的の適否、新規事項の有無および拡張・変更の存否
上記訂正事項のうち、請求項1に係る記載の「回路基板」の訂正については、特許明細書の段落【0054】の「図3のように…小型化の要請にも反する」の記載と図1及び図2に基づくものである。また、請求項1の「第2の封止剤」の訂正については、特許明細書の段落【0054】の「図3のように…小型化の要請にも反する」の記載に基づくものである。さらに、請求項2の「2列のリード群」の訂正については、特許明細書の段落【0051】の「CCD4の後方…撮像装置1を大きくしないで済む」の記載と図1及び図8に基づくものである。したがって、これらの訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記訂正事項のうち、段落【0017】及び【0018】に係る訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、不明りょうな記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記訂正事項は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

《2-3》むすび
以上のとおり、上記訂正は、平成11年改正特許法第120条の4第2項及び同条第3項で規定する訂正について、平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定により、なお従前の例によるとされる、改正前の特許法第126条第1項ただし書き及び同条第2項の規定に適合する。

【3】特許異議の申立てについての判断
《3-1》申立ての理由の概要
特許異議申立人 杉浦一子は、刊行物1〜5を提示し、請求項1に係る発明は、刊行物1又は2に記載された発明と、刊行物3又は4に記載された発明とに基づいて当業者が容易になし得たものと認められ、特許法第29条第2項の規定により、また、請求項2、4に係るは、刊行物1に記載の発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当するので、同法第113条1項2号の規定により取り消されるべきものである旨主張している。
刊行物1:特開平5-269081号公報 (甲第1号証)
刊行物2:特開昭63-222732号公報 (甲第2号証)
刊行物3:「高密度実装技術への挑戦」株式会社工業調査会、1994年2月10日発行、第131〜137頁 (甲第3号証)
刊行物4: 特開平5-259420号公報 (甲第4号証)
刊行物5:平成元年12月現在の「信越シリコーン 製品総合ガイド」(甲第5号証)

《3-2》本件の発明
本件の請求項1、2、4に係る発明は、平成12年7月10日付けで訂正された特許明細書の特許請求の範囲の請求項1、2、4に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】固体撮像素子と、この固体撮像素子と電気的に接続される回路基板と、少なくとも回路基板に対向した側に配置されてこの回路基板と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品と、を有する撮像装置において、
前記電子部品の端子又は電極と前記回路基板との間には、第1の封止剤を充填し、前記回路基板の前記電子部品が搭載される面には、半田付けを必要とするパターンが設けられ、第1の封止剤より粘性の高いものであって、前記電子部品の全体及び第1の封止剤は封止するが、前記半田付けを必要とするパターンは被覆しない第2の封止剤を具備することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】複数のリード及び撮像素子チップを封止したパッケージ部とを有する固体撮像素子と、この固体撮像素子のリードと電気的に接続される回路基板と、この回路基板と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品と、を有する撮像装置において、
前記固体撮像素子は、対向する二列のリード群を前記パッケージ部から突出して配列し、一方のリード群に信号線を接続し、前記一方のリード群側とは反対側の面に前記電子部品を備えた前記回路基板を他方のリード群に接続すると共に、前記信号線の側面と前記パッケージ部の側面とが略同一面になるように前記一方のリード群を配設し、前記電子部品の側面と前記パッケージ部の側面とが略同一面になるように前記他方のリード群を配設することで、前記一方及び他方のリード群間の中心をパッケージ部の中心に対して離間させて配置したことを特徴とする撮像装置。」、
「【請求項4】前記回路基板は前記二列に配列されたリード群の内側に配置されることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。」
(以下、各請求項に係る発明をそれぞれ本件発明1、2、3という。)

《3-3》甲第1〜4号証刊行物の記載事項
これに対して、当審が通知した取消理由において引用した刊行物1〜5には、以下の事項が記載されている。

《3-3-1》刊行物1
刊行物1には以下の記載がある。
「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、内視鏡の挿入部先端部に設けられ、被写体像を撮像する固体撮像装置等を備えた内視鏡用撮像ユニットと、この内視鏡用撮像ユニットを含む内視鏡の組立方法に関する。」、
「【0011】まず、図1に示すように、映像ユニット12の主要部を組立てる。映像ユニット12は、対物レンズ13,固体撮像装置14,回路基板15及び16,信号ケーブル17及び18を備えて構成されている。最初にCCD等の固体撮像素子チップ19を含む固体撮像装置14を組立てる。固体撮像素子チップ19は、光軸方向から見ると四角形の形状を有しており、基質20の凹部20aに配設されてボンディングワイヤ21で基質20と接続されている。基質20の凹部20aと反対側の面には端子22が延出し、基質20内でボンディングワイヤ21との接続部と導通しており、固体撮像素子チップ19と端子22とが電気的に接続されている。固体撮像素子チップ19の前方には、カバーガラス23が設けられ、固体撮像素子チップ19とカバーガラス23との間は透明の封止樹脂24で封止されている。
【0012】固体撮像装置14を組立てた後、対物レンズ枠25の先端側に対物レンズ13を、後端側に固体撮像装置14を接着剤で気密状態になるように接着固定し、固体撮像装置14の端子22に回路基板15,16を対向して半田付け等で接続する。回路基板15は基板本体15aの両面にICチップ26と電子部品27とを配置、接続した両面回路基板であり、いわゆるチップオンボード方式のハイブリッド基板である。また、回路基板16は固体撮像装置14の端子22と信号ケーブル18とを接続するジャンパー基板として用いられている。なお、ICチップ26は、封止樹脂28によって封止されている。また、回路基板15と16との間にスペーサ29をはさんで固定し、回路基板15上の封止樹脂28と回路基板16との間に放熱性樹脂30を充填して回路基板15,16が固体撮像装置14に対して動かないように固定する。そして、回路基板15に信号ケーブル17を、回路基板16に信号ケーブル18を半田付け等で接続する。」、
「【0014】そして、図3に示すように、映像ユニット12の対物レンズ枠25の外側と先端部本体31の映像ユニット取付け部31bとの間に映像ユニット12を保護する映像ユニット保護部材としての枠体36を嵌入し、枠体36の内部、枠体36と映像ユニット12との間、及び枠体36と先端部本体31との間を樹脂等からなるシール手段としての接着剤37で充填して気密に密封する。なお、枠体36は映像ユニット12のシールド部材としての機能を有しており、絶縁が必要な場合には熱収縮チューブ等で被覆して絶縁する。これにより、映像ユニット12及び枠体36は先端部本体31と一体的に構成され、脱不能となる。すなわち、先端部本体付きの密封された撮像ユニットの状態となる。ここで、このユニットは、鉗子チャンネルチューブ33等の映像機能とは関連のない別機能の構成要素を含んでおり、先端カバー34の部分は内視鏡1全体の組立てが完了した状態では内視鏡1の外表面の一部を形成している。」、及び
「【0026】ところで、映像ユニット12において、固体撮像装置14の端子22と回路基板15との接続部は、図8に示すように構成することもできる。
【0027】図8(a)は、端子22と基板本体15aとの間に電子部品27をはさんで端子22,電子部品27,基板本体15aの回路パターンを電気的に接続した例を示している。また、図8(b)は、基板本体15aと電子部品27との間に端子22をはさんで端子22,電子部品27,基板本体15aの回路パターンを電気的に接続した例である。
【0028】このように、回路基板の同一部位において、固体撮像装置の端子、電子部品、信号ケーブルなどの電気回路要素のうち複数個のものを重ねて電気的に結合することにより、実装密度が上がり、回路基板を小さくできるため、挿入部先端部の硬性部の長さを短くできると共に、内視鏡挿入部を小型化できる。」

《3-3-2》刊行物2
刊行物2には、第3頁右上欄第7行〜第12行及び第1図において、固体撮像素子15と、固体撮像素子15の後部側に固着されたセラミック基板22と、セラミック基板22に配設されたICチップ18や電子部品19とが記載されている。
また、第3頁右上欄第15行〜第17行及び第1図には、ICチップ18とワイヤボンディング部が封止樹脂21によって樹脂封止された構成が説明されている。
さらに、第3頁左下欄第3行〜第7行及び第1図には、前記封止樹脂21,電子部品19,シールド線24,芯線25基板22を上側から弾性を有する、例えばシリコン系接着剤である充填剤26により覆うことが説明されている。

《3-3-3》刊行物3
第133頁第12行〜第22行、及び図9.1(a)、(d)には、フリップチップタイプICのAuバンプと基板電極とを接続する記載があり、接続後に素子の周囲を絶縁樹脂で固めて補強し、バンプ接続の信頼性を確保する記載がある。また、絶縁樹脂は、フリップチップタイプICと基板との間に行き渡っていることが図示されている。

《3-3-4》刊行物4
刊行物4には、以下の事項の記載がある。
「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、いわゆるCCD(Charge Coupled Device) と呼称される固体撮像素子チップを本体とする固体撮像装置に係り、特に基板に対して固体撮像素子チップがフリップチップ方式で装着されて成る固体撮像装置に関する。」、
「【0009】本発明に係る固体撮像装置の構成は、基本的には従来の構成と同様であり、図1に図示した構成においては、装着ないし搭載・実装する固体撮像素子チップ1の画素エリア1a領域に対応する周辺部に、所要の電極パター2aおよび回路パターン(図示せず)が設けられた光透過性基板2、たとえば無アルカリガラス製もしくは光学用のプラスチック製の光透過性基板2を用い、この光透過性基板2面の電極パターン2aに、対応する固体撮像素子チップ1の電極端子(バンプ電極)1bを位置合わせし、熱圧着して電気的な接続を行うとともに、前記熱圧着部領域を全体的に樹脂封止3して、固体撮像素子チップ1の画素エリア1aを気密に封止されている。さらに、4は固体撮像装置の感度を向上させるため、固体撮像素子チップ1の画素エリア1a面に、画素ごとに所要の集光を可能にするため形成された凸レンズである。なお、この集光用の凸レンズ4は、固体撮像素子チップ1の感光画素面1aに透明樹脂層を堆積し、フォトリソグラフィ技術によって任意の画素面上に透明樹脂層を島状に残存させ、その後熱処理を施し、島状に残存させた透明樹脂層を凸レンズ4化させることにより形成されたものである。そして、本発明の固体撮像装置は、前記チップキャリアとしての光透過性基板2面と、この光透過性基板2面に、いわゆるフリップチップ方式(フェースダウン)で実装・装着された固体撮像素子チップ1の画素エリア1a面側とが成す空隙部5を、たとえばフロンに代表されるフッ素系液体,シリコーンオイルなどの不活性で電気的にも絶縁性で、透光性の液体6で充填・封止したことをもって特徴付けられる。」、及び
「【0013】次いで、前記光透過性基板2の電極パターン2aに対応させて、前記固体撮像素子チップ1の電極端子1bを位置合わせ配置し、熱圧着で互いに対応する電極端子1b,電極パター2a同士を電気的に接続する。このとき、前記光透過性基板2面と前記固体撮像素子チップ1の画素エリア1a面との間隙部5の隙間は0.1mm 以下であった。このように組み立てた後、たとえば粘度3000cP程度の樹脂を、前記画素エリア1a周辺部(電極間接続部の外側)にポッテングし、毛細管現象を利用して画素エリア1a周辺部を樹脂封止3する。このとき、互いに対応して電極が接続した接続部間に、樹脂封止3後の液体注入路を成す樹脂未封止部を予め形成しておく。ここでは、間隙部5の隙間は0.1mm 以下で、また電極端子1b,電極パターン2a(バンプ2b)の存在によりポッテング樹脂の侵入が妨げられ、また電極端子1b間や電極パターン2a(バンプ2b)間の隙間も 0.5mm程度以下と小さいので、ポッテング樹脂の表面張力によって侵入が妨げられる。つまり、光透過性基板2面と固体撮像素子チップ1の画素エリア1a面との間隙部5(隙間は0.1mm 以下)は空間としてそのまま保持されている。
【0014】前記樹脂封止3した後、前記樹脂未封止部を開口して液体注入路を形成してから、透光性の液体、たとえばフロンに代表されるフッ素系液体もしくはシリコーンオイルなどを収容した容器とともに真空槽内で減圧処理する。つづいて減圧した状態で固体撮像装置を液体を収容した容器に浸漬した後,常圧処理を施して、前記液体注入路を介してフロンなど、もしくはシリコーンオイルを、前記間隙部5に封入してその空間部を充填する。つまり、前記真空槽内での減圧処理,常圧処理において、光透過性基板2面と前記固体撮像素子チップ1の画素エリア1a面とが成し、かつ樹脂封止3された間隙部(空間)5の圧力が、常圧(外気圧)に比べて十分低いため、前記間隙部(空間)5は自然かつ容易にフロンもしくはシリコーンオイルで充填・封止される。こうして、光透過性基板2面と前記固体撮像素子チップ1の画素エリア1a面とが成し、かつ樹脂封止3された間隙部(空間)5を所要の液体で充填・封止した後、前記真空槽内および容器内から取り出し、液体注入路を封止樹脂で封止することによって、所望の固体撮像装置が構成される。なお、前記では透光性の液体として、フロン,シリコーンオイルを例示したが、他のフッ素系液体、たとえばテクノケアの FRV-1, FRV-2(株式会社東芝製,商品名)、フロリナート(住友スリーエム株式会社製,商品名)などいずれも使用し得る。さらに好ましくは、固体撮像素子チップ1の画素エリア1a面に形成された凸レンズ4の屈折率と異なる屈折率を有する透光性の液体を選択・組み合わせることが望ましい。」

《3-3-5》刊行物5
第34頁〜第35頁には、電気部品の接着・シールに使用される低粘度から高粘度の各種の封止剤が示されている。

《3-4》対比・判断
《3-4-1》本件発明1と刊行物1に記載された発明との対比・判断
本件発明1と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明における「固体撮像装置」、「ICチップ26」、「封止樹脂28」、「映像ユニット」は本件発明1における「固体撮像素子」、「電子部品」、「第2の封止剤」、「撮像装置」に相当する。
してみると、両者は、「固体撮像素子と、この固体撮像素子と電気的に接続される回路基板と、少なくとも回路基板に対向した側に配置されてこの回路基板と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品と、を有する撮像装置において、前記電子部品の全体は封止するが、前記半田付けを必要とするパターンは被覆しない第2の封止剤を具備することを特徴とする撮像装置。」の点で一致する。
そして、本件発明1は「前記電子部品の端子又は電極と前記回路基板との間には、第1の封止剤を充填し、前記回路基板の前記電子部品が搭載される面には、半田付けを必要とするパターンが設けられ」、「第2の封止剤」は「第1の封止剤」より粘性の高いもの」であるのに対して、刊行物1に記載された発明は第1の封止剤が存在せず、すなわち第2の封止剤より粘性の低い第1の封止剤を電子部品の端子又は電極と回路基板との間に充填する点の記載がなく、複数の封止剤の粘性を考慮していない点で相違する。
そこで、上記相違点について検討するに、第2の封止剤より粘性の低い第1の封止剤を電子部品の端子又は電極と回路基板との間に充填する点は、刊行物2〜5に記載されておらず、かつそれを示唆する記載もない。
刊行物2のものでは封止樹脂と充填剤とが使用されているが、本件発明1の「第1の封止剤」に相当するものは存在しない。刊行物4のものでは基板と固体撮像素子との間に透光性の液体が充填されているが、この液体は撮像素子のレンズ効果を確保しつつ放熱性を確保することを目的とするものであり、外部環境による劣化を防止するために透光性の必要のない刊行物1の電子部品の端子又は電極と回路基板との間に粘性の低い封止剤を充填することは、当業者といえども容易に想到できた事項とは認められない。刊行物3は、素子の周囲を絶縁樹脂で固めて補強することを示してはいるが、粘度の異なる第1及び第2の封止剤を用いることを示唆するものではない。
以上のとおり、本件発明1は、刊行物1〜5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。

《3-4-2》本件発明2と刊行物1に記載された発明との対比・判断
刊行物1の段落番号0011〜0012及び0026〜0028並びに第1、8図(b)の記載から、当該箇所には「複数の端子22及び固体撮像装置14と、この固体撮像装置14の端子と電気的に接続される回路基板15と、この回路基板15と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品27と、を有する映像ユニット12において、前記固体撮像装置14は、対向する二列の端子をパッケージ部から突出して配列し、一方の端子に信号線を接続し、前記一方の端子側とは反対側の面に前記電子部品を備えた前記回路基板を他方の端子に接続すると共に、前記一方及び他方のリード群間の中心を固体撮像装置14の中心に対して離間させて配置した映像ユニット。」なる発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
ここで、引用発明における「端子」は、本件発明2の「リード」又は「リード群」に相当し、引用発明における「固体撮像装置14」、「固体撮像装置14の中心」、「映像ユニット」は、本件発明2の「撮像素子チップを封止したパッケージ部とを有する固体撮像素子」、「パッケージ部の中心」、「撮像装置」に相当する。
してみると、本件発明2と引用発明とは「複数のリード及び撮像素子チップを封止したパッケージ部とを有する固体撮像素子と、この固体撮像素子のリードと電気的に接続される回路基板と、この回路基板と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品と、を有する撮像装置において、
前記固体撮像素子は、対向する二列のリード群を前記パッケージ部から突出して配列し、一方のリード群に信号線を接続し、前記一方のリード群側とは反対側の面に前記電子部品を備えた前記回路基板を他方のリード群に接続すると共に、前記一方及び他方のリード群間の中心をパッケージ部の中心に対して離間させて配置したことを特徴とする撮像装置。」の点で一致し、本件発明2は「前記信号線の側面と前記パッケージ部の側面とが略同一面になるように前記一方のリード群を配設し、前記電子部品の側面と前記パッケージ部の側面とが略同一面になるように前記他方のリード群を配設する」のに対して、引用発明は、その点を明記していない点で一応の相違が認められる。
しかし、刊行物1の第8図(b)に図示された撮像素子の側面とリード群及び電子部品の側面との位置関係、及び段落0028に記載された実装密度を上げ、内視鏡挿入部を小型化するという目的からみて、引用発明のものも撮像素子(パッケージ部に相当)の側面とリード群及び電子部品の側面との位置関係が本件発明2と同様の関係になっていることは明らかである。よって、上記相違は、本件発明2と引用発明との実質的な相違ではない。
従って、本件発明2は特許法第29条第1項第3号に該当する発明である。

《3-4-3》本件発明3と刊行物1に記載された発明との対比・判断
本件発明3は、本件発明2の構成を、「前記回路基板は前記二列に配列されたリード群の内側に配置されることを特徴とする」とさらに限定したものであるが、この限定事項は、引用発明の構成を具体的に図示した刊行物1の第8図(b)に示されており、引用発明の具体的構成として示された事項である。
よって、本件発明3は、刊行物1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当する発明である。

《3-5》むすび
以上のとおり、本件の請求項1に係る発明は、異議申立の理由及び証拠方法によっては取り消すことができず、他に取り消すべき理由を発見しない。
また、本件の請求項2、4に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、同第1項の規定に違反して特許されたものであるから特許を受けることができないものに対して特許されたものである。
よって、本件の請求項1、2、4に係る発明の特許について、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
撮像装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】固体撮像素子と、この固体撮像素子と電気的に接続される回路基板と、少なくとも回路基板に対向した側に配置されてこの回路基板と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品と、を有する撮像装置において、
前記電子部品の端子又は電極と前記回路基板との間には、第1の封止剤を充填し、前記回路基板の前記電子部品が搭載される面には、半田付けを必要とするパターンが設けられ、第1の封止剤より粘性の高いものであって、前記電子部品の全体及び第1の封止剤は封止するが、前記半田付けを必要とするパターンは被覆しない第2の封止剤を具備することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】複数のリード及び撮像素子チップを封止したパッケージ部とを有する固体撮像素子と、この固体撮像素子のリードと電気的に接続される回路基板と、この回路基板と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品と、を有する撮像装置において、
前記固体撮像素子は、対向する二列のリード群を前記パッケージ部から突出して配列し、一方のリード群に信号線を接続し、前記一方のリード群側とは反対側の面に前記電子部品を備えた前記回路基板を他方のリード群に接続すると共に、前記信号線の側面と前記パッケージ部の側面とが略同一面になるように前記一方のリード群を配設し、前記電子部品の側面と前記パッケージ部の側面とが略同一面になるように前記他方のリード群を配設することで、前記一方及び他方のリード群間の中心をパッケージ部の中心に対して離間させて配置したことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】複数のリード及び撮像素子チップを封止したパッケージ部とを有する固体撮像素子と、この固体撮像素子のリードと電気的に接続される回路基板と、この回路基板と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品と、を有する撮像装置において、
前記固体撮像素子の複数のリードのうち、同一信号を伝達するリードの数を2以上設けたことを特徴としている撮像装置。
【請求項4】前記回路基板は前記二列に配列されたリード群の内側に配置されることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体撮像素子とこの固体撮像素子の出力を処理する回路を構成する基板を有する撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子技術の発達に伴い、内視鏡の分野においても電子化が進み、電荷結合素子(CCD)などの固体撮像素子を撮像手段に用いた電子内視鏡が各種用いられている。
【0003】この電子内視鏡は、挿入部先端に設けられた先端硬質部に撮像装置を設けており、この撮像装置は、先端側から順に複数のレンズ系からなる観察光学系と、固体撮像素子と、固体撮像素子の出力を増幅等するためのICが実装された回路基板とを有している。回路基板には、ビデオプロセッサに接続されるケーブルが電気的に接続され、このケーブルを介して信号がビデオプロセッサに供給されるようになっている。
【0004】特開昭63-222732号公報には、以下のような撮像装置を有する電子内視鏡が開示されている。すなわち、この電子内視鏡の撮像装置は、先端構成部内に挿入部の軸方向に配置された支持部材とその上部に前記固体撮像素子を固着すると共に、固体撮像素子の操作部側に回路基板を配置し、前記固体撮像素子と前記回路基板をボンディングワイヤにより接続した構造をしている。
【0005】前記公報記載の構成は、先端部の細径化と先端硬質部長の短縮化を図ったものであるが、固体撮像素子の外部リードに直接回路基板を接続した方が、さらなる短縮化を図ることができる。しかしながら、図16の実線で示すように、CCD71のリード72に回路基板73を直接接続した場合、先端硬質部の短縮化は図れても、実装された部品74の高さが高いものがあり、CCD71の幅より突出してしまう。このため、挿入部の細径化は図れない。
【0006】一方、図16の破線で示すように、部品74を内側に向けて回路基板73を配置した場合、部品の高さによる欠点は解消されるが、リード72は通常二列に平行に配列されており、基板73が接続されない側のリード72が半田付け作業の障害となり、作業性の面で効率が悪い。
【0007】また、回路基板に搭載されている部品、特に固体撮像素子の出力を増幅するICは、小型化と共に環境変化に対して安定に動作し信頼性を確保する必要がある。特に、内視鏡に搭載される撮像装置は、体腔内に挿入され湾曲動作がなされ、機械的なストレスが頻繁に加えられる。また、ICを露出したまま実装したのでは、電気的ショックにはとても耐えられない。さらに、空気や、特に工業用の内視鏡において顕著であるが、サーマルショック等の外部環境により、ICの機能が劣化することも考えられ、撮像機能に支障を来す虞がある。
【0008】このため、ICを樹脂等の封止剤により保護することが一般的になされている。例えば図15に示すように、小型のIC81をボンディングワイヤ82を介して回路基板83と接続するワイヤボンディングによる構成がある。この構成では、IC81の端部からボンディングワイヤ82が基板上に接続されるまでの距離をある程度必要とする。従って、封止剤84で封止しても、封止する範囲が広くなり、回路基板全体の小型化には不向きである。
【0009】また、撮像装置を構成する従来の固体撮像装置は、例えば特公昭63-2402072号公報に開示されているように固体撮像素子の撮像面に対向する光学ガラスに極配線部を形成して、この電極配線部と固体撮像素子の電極パッドとの間にバンプなどの部材を介在させると共に、固体撮像素子の撮像面を透光性部材で覆う構成となっている。
【0010】一般に、電極配線部やバンプ等は、金属で形成されており、しかも表面が滑らかなので光を強く反射する。こうした電極配線部などは、特に固体撮像素子の撮像面の近くに形成されているので、例えば電極配線部に当たった光が反射して撮像面に入射しフレアゴーストが発生する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、撮像装置のうち特に内視鏡に搭載されるものは、機械的なストレスが頻繁に加えられ、製作中や湾曲動作中における電気的ショック、あるいは空気やサーマルショック等の外部環境により、ICが破損したりその機能が劣化することも考えられ、撮像機能に支障を来す虞がある。
【0012】このため、封止部材を用いるが、例えばワイヤボンディング接続方式によるICを封止剤で封止しても、封止する範囲が広くなり、回路基板全体の十分な小型化が図れない。
【0013】また、前述のように固体撮像素子のリードに回路基板を直接接続して軸方向の短縮化を図る構成において、軸方向の短縮化は図れても、実装された部品が固体撮像素子の幅より突出してしまい、太径化しつまり挿入部の細径化は図れないという欠点がある。また、部品を内側に向けて突出しない構成にした場合、部品の高さによる欠点は解消されるが、回路基板が接続されない側のリードが半田付け作業の障害となり、作業性の面で効率が悪くなるという欠点を有している。
【0014】また、固体撮像素子は、入出力用信号と一対一に対応して固定化されており、部品の配置や接続位置あるいはパターンの引き回し等の制約により、つまり回路設計上の自由度が小さいので、回路基板の小型化を図る上で難しい面がある。これにより、設計や製作上のコストもかかる傾向にあった。
【0015】本発明は前記事情にかんがみてなされたもので、回路基板上に搭載された部品が機械的・電気的ショック、空気やサーマルショック等の外部環境による劣化することを防止し、撮像装置を構成する回路の信頼性を確保すると共に、小型化を図ることができる撮像装置を提供することを目的としている。
【0016】本発明は前記事情にかんがみてなされたもので、回路設計あるいは回路基板の配置等に伴う大型化の欠点を解消し、小型化を図ることができる撮像装置を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、固体撮像素子と、この固体撮像素子と電気的に接続される回路基板と、少なくとも回路基板に対向した側に配置されてこの回路基板と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品と、を有する撮像装置において、前記電子部品の端子又は電極と前記回路基板との間には、第1の封止剤を充填し、前記回路基板の前記電子部品が搭載される面には、半田付けを必要とするパターンが設けられ、第1の封止剤より粘性の高いものであって、前記電子部品の全体及び第1の封止剤は封止するが、前記半田付けを必要とするパターンは被覆しない第2の封止剤を具備している。
固体撮像素子と電気的に接続される回路基板と、少なくとも回路基板と対向した側に配置されてこの回路基板と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品と、を有する撮像装置において、前記電子部品の端子又は電極と前記回路基板との間には、第1の封止剤を充填し、前記電子部品の全体及び第1の封止剤を第1の封止剤より粘性の高い第2の封止剤により封止している。
【0018】請求項2に記載の発明は、複数のリード及び撮像素子チップを封止したパッケージ部とを有する固体撮像素子と、この固体撮像素子のリードと電気的に接続される回路基板と、この回路基板と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品と、を有する撮像装置において、前記固体撮像素子は、対向する二列のリード群を前記パッケージ部から突出して配列し、一方のリード群に信号線を接続し、前記一方のリード群側とは反対側の面に前記電子部品を備えた前記回路基板を他方のリード群に接続すると共に、前記信号線の側面と前記パッケージ部の側面とが略同一面になるように前記一方のリード群を配設し、前記電子部品の側面と前記パッケージ部の側面とが略同一面になるように前記他方のリード群を配設することで、前記一方及び他方のリード群間の中心をパッケージ部の中心に対して離間させて配置した。
【0019】請求項3に記載の発明は、複数のリード及び撮像素子チップを封止したパッケージ部とを有する固体撮像素子と、この固体撮像素子のリードと電気的に接続される回路基板と、この回路基板と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品と、を有する撮像装置において、前記固体撮像素子の複数のリードのうち、同一信号を伝達するリードの数を2以上設けた。請求項4に記載の発明は、前記回路基板が前記二列に配列されたリード群の内側に配置される。
【0020】
【作用】請求項1に記載の構成では、第2の封止剤より粘性の低い第1の封止剤を充填するので、電子部品の端子又は電極と回路基板との間が狭くても電極等を含めその周囲に封止剤が十分に行き渡りショックや外部環境に対する耐久性が向上し、さらに電子部品の全体及び第1の封止剤を第1の封止剤より粘性の高い第2の封止剤により封止しているので、封止剤の全体的な広がりを小さく抑えられるので小型化が図れる。
【0021】請求項2に記載の構成では、パッケージ部の中心に対して二列のリード群が配列されたリード間の中心を離間させて配置すると共に、前記パッケージ部の中心からより離れた一方のリード群に信号線を接続すると共に、他方のリード群に前記一方のリード群側とは反対側の面に前記電子部品を備えており、回路基板のうち部品が搭載された面を外側つまり固体撮像素子の外端部に向けても離間されたオフセットの分だけ余裕があるので、部品が固体撮像素子の外端部から突出しないように構成でき、また部品搭載側の配線パターンとリードとを直接半田付け等による接続作業も容易である。
【0022】請求項3に記載の構成では、前記固体撮像素子の複数のリードのうち、同一信号を伝達するリードの数を2以上設けてあるので、設計上の自由度が高く小型化が容易である。請求項4に記載の構成では、前記回路基板を、前記二列に配列されたリード群の内側に配置する。
【0023】
【実施例】図を参照して本発明の実施例について、以下に説明する。図1ないし図4は本発明の第1実施例に係り、図1は撮像装置の詳細を示す軸方向縦断面図、図2(a)は撮像装置を構成する回路基板の上面図、図2(b)は回路基板の側面図、図3は比較説明図、図4はCCDの内部を透視した側面図である。
【0024】図1に示す撮像装置1は、図示しない内視鏡の挿入部の先端硬質部に配置され、被写体を撮像して、図示しないビデオプロセッサに撮像信号を出力するものである。
【0025】前記撮像装置1は、固体撮像素子、例えばCCD4を有する固体撮像素子ユニット(以下、CCDユニットと称する)2と、このCCDユニット2より前方に配置され、かつ前記固体撮像素子に像を結像する対物レンズユニット3とを有している。
【0026】前記CCD4は、図4に示すように、撮像面を有しパッケージ4d内に封止された撮像チップ4aと、この撮像チップ4aに電気的に接続され背面側に突出する複数のリード4bと、前記撮像面を保護するように設けられた透明カバー4cとを有している。CCD4の透明カバー4cは、対物レンズユニット3の後述する光学系と対向するように配置されるようになっている。
【0027】前記対物レンズユニット3には、先端側に第1のレンズ群21が第1のレンズ枠22に収められ、第1のレンズ枠22の中途から後端部外周に筒状の絶縁部材23が嵌合している。さらに、第1のレンズ枠22先端近傍から絶縁部材23の外周には、第2のレンズ枠24が嵌合している。
【0028】また、前記対物レンズユニット3には、前記第1のレンズ枠22から後方に延出する絶縁部材23の内面に第3のレンズ枠26が嵌合され、この第3のレンズ枠26には、その内部に第2のレンズ群25が収められている。この第2のレンズ群25は、第1のレンズ群21の後方にあって、この第1のレンズ群21により伝達された被写体像をCCD4の撮像面上に結像するようになっている。
【0029】前記CCDユニット2では、前記対物レンズユニット3の第2のレンズ群25の後方に、第3のレンズ枠26の後部に外嵌されたホルダ6の後端部内に、カバーガラス5を配置している。このカバーガラス5は、その前面の外周側では、ホルダ6の突部との間で、迷光防止用の遮光マスク7をではさみこんだ状態で、このカバーガラス5の外周に塗布された接着剤によってホルダ6に固定されている。また、カバーガラス5は、その背面では、透明カバー4bと対向してCCD4と芯出し接合されている。
【0030】前記撮像装置1は、最終的に第3のレンズ枠26の外周と、ホルダ6の内周とがピント出しされて、嵌合することにより構成されている。
【0031】前記ホルダ6は、その後端部に例えば細長の筒状をした金属製のシールド部材9が外嵌され導通されており、このシールド部材9はホルダ6の後方に延出している。シールド部材9内には、その中途から後部にかけて、例えばCCD4の出力信号を増幅するIC11やコンデンサ等を含む電子部品12,13が実装された回路基板10が、軸方向に沿って配置されている。この回路基板10は、搭載部品とともにCCD4の信号を処理する回路を構成している。
【0032】図4に示すように、CCD4はリードオフセット構造となっている。前記CCD4にはリード4bが複数突設されており、例えば平行に二列に配列されている。このCCD4のリード4bは、二列に配列されたその中心線が図4に示すように、パッケージ部4dの中心に対してオフセットする位置に設けられている。また同様にCCD4のリード4bの中心は、イメージ(撮像面)中心に対してオフセットされている。
【0033】回路基板10の少なくとも片面上には、種々の構成品をバランスよくかつスペースを無駄にしないように配置するために、回路基板の位置を適切に決める必要があり、CCDのリードをオフセットさせた構成をとっている。
【0034】なお、撮像チップ4aは、その撮像面の中心を極力、パッケージ部4dの中心に一致させた方がCCDの小型化を図れるので、リード中心は撮像面(イメージ)の中心とほぼ一致することになる。
【0035】図2(a)に示すように、回路基板10には、少なくとも片側に配線パターンが配置されると共に、例えば図1及び図2(b)に示すように、片側にのみIC11や電子部品13等の突出物が搭載されている。この回路基板10上には、一端に端子SUB(GND),VIN1,VIN2,VDD,φABが配置されており、これらの端子にCCD4のリード4bのうち該当するリードが電気的に接続されるようになっている。なお、VDDは、CCD4を駆動するための電源である。
【0036】前記回路基板10の端子とCCD4の片側に配列されたリード4bとが、電気的に接続されるようになっている。この接続がされる際、前記回路基板10は、電子部品等をシールド部材9側に向けて配置されている。すなわち、回路基板10は、二列に配列されたリード4bの内側に配置されるようになってる。
【0037】前記CCDユニット2内には、その後方から、前記ビデオプロセッサに接続される信号ケーブル14が挿通され、このケーブル14は、CCD4や回路基板10に電気的に接続されている。この信号ケーブル14は、ビデオプロセッサからの駆動信号をCCD4に供給すると共に、CCD4が光電変換し回路基板10のIC11等を介して増幅された電気信号をビデオプロセッサに伝達するものである。
【0038】前記信号ケーブル14は、外皮の内部に、複数の同軸シールド信号線(以下信号線と称する)14a,14bが挿通され、この信号線14a,14bは、被覆材により被覆された導線とこれらを覆う同軸シールド部材とを挿通し、これらがさらにシールド及び外皮により覆われている。なお、信号ケーブル14の構成例は、これに限らない。
【0039】図1に示す信号ケーブル14の信号線14aは、その同軸シールド部材が、電子部品12のGND側に接続され導通している。また、信号線14aの導線は、前記回路基板10上の必要な個所、例えばコンデンサのプラス側に接続されている。
【0040】前記CCD4のリード4bのうち、回路基板10が接続されないリードには、信号ケーブル14の信号線14bの導線が直接接続されている。また、これら信号線14bの同軸シールド部材は導電線17が巻き付けられ、この導電線17を介して前記電子部品12のGND側に電気的に接続されている。
【0041】以上のようにして、CCD4から回路を構成する回路基板10と、信号線14とが電気的に接続される。
【0042】前記信号ケーブル14の先端で露出した信号線14aと信号線14bとは、回路基板10の後端部近傍で、分岐されて配線されている。回路基板10の部品が実装された面上には信号線14aを延出する一方、部品が実装されない面上には、信号線14bを延出している。
【0043】前記回路基板10は、図2(b)に示すように、パターンが形成されていない側の後端部に後端に向かって厚みが小さくなるように形成した面取部10Aが設けられている。面取り部10Aをパターンを設けていない面に構成したのは、回路基板10の全長を極力短くするためである。すなわち、信号ケーブル14の信号線14bは、回路基板10後端にできるだけ近い位置で分岐点14cで分岐できるよう、この面取部10Aに沿って配設されるようになっている。尚、裏側にパターンを設けた基板を用いても良い。
【0044】前記シールド部材9は、前述のようにCCD4及び回路基板10を覆っており、先端部がホルダ6に導通して固定されている。さらにシールド部材9の外周は絶縁性の被覆チューブ19で覆われており、シールド部材9の内部全体には接着剤20が充填されCCD4、回路基板10及び信号ケーブル14を封止している。前記被覆チューブ19は、後端部がシールド部材9より延出し後方に向かって細径となるように形成され、信号ケーブル14の外皮を覆う例えば弾性材で構成された保護部材18を保持・固定している。
【0045】次に、図2(a),(b)を参照して回路基板10上のIC11の構成について説明する。
【0046】前記IC11は、少なくとも回路基板10と対向する側の面に接続電極を有しており、例えばフリップチップ型のものを用いる。従って、この回路基板10の一方の面上には、図2(b)に示す複数のバンプ11cを介して、回路基板10のパターンに接続されている。接続された状態で、このIC11と回路基板10との間は、例えば約10〜30μm程度の隙間が形成される。
【0047】前記IC11は、振動等の機械的ショック、電気的ショックあるいは外部環境から、保護するために封止材により封止する必要がある。
【0048】本実施例では、IC11と回路基板10との間は、第1の封止剤11bで封止し、さらに第1の封止材11bを含めてIC11全体を第2の封止剤11aで封止している。この時使用する第1の封止剤11bは低粘度のものであり、第2の封止剤11aはそれよりも高粘度のものを使用する。
【0049】本実施例では、回路基板10の後端側に面取部10Aを設けており、端部が角張っていないので、分岐点14cにおける信号線14bの外皮を傷つけられることはなく、また分岐点14cをより回路基板10に近づけて配置でき撮像装置1の短縮化が図れ、かつ分岐が容易にできるので組立も容易となる。
【0050】また、本実施例では、回路基板上のICの実装を、バンプ接続によりフリップチップ方式にすることにより、IC実装部の面積を小さくすることができる。これにより基板を小さくでき結果として、撮像装置1を小さくできる。
【0051】さらに本実施例では、CCD4のリード中心を前述したようにオフセットすることにより、CCD4の後方に設けた回路基板10がCCD4外径からはみ出すことがない配置にでき、撮像装置1を大きくしないで済む。
【0052】本実施例では、IC11の封止を前述のように低粘度の第1の封止材11bと高粘度の第2の封止材11aで封止した。
【0053】ここで、仮に、封止材を高粘度のものだけで封止しようとすると、極めて隙間が狭いIC11と回路基板10との間すなわちバンプ11cの周囲等には、封止材が行き渡らず、ICの信頼性向上といった封止材の役割が十分でなくなる。
【0054】一方、封止材全てを低粘度のものとすると、バンプ11cの周囲にも十分、封止材を充填することができるが、図3のように裾のが広がりすぎてしまう。これでは、半田付けを必要とするパターンまで覆ってしまい、作業性が悪くなるばかりか、半田付け部との距離確保の点から小型化の要請にも反する。
【0055】本実施例は、前述のように異なる粘度の封止材を適切に使い分けており、隙間の狭いIC11と回路基板10との間には、粘性の低い封止材を用いて確実な封止を可能とし、ICの信頼性を向上させることができる。そして、さらに本実施例では、全体を覆う第2の封止剤には高粘度のものを用いることによって封止材の広がりをすくなくでき、回路基板10の小型化を容易としている。
【0056】以上述べたよう本実施例は、回路基板上に搭載された部品が機械的・電気的ショック、あるいは空気やサーマルショック等の外部環境による劣化することを防止し、撮像装置を構成する回路の信頼性を確保すると共に、封止材の広がりを防ぐことにより小型化を図ることができる。
【0057】次に、本発明の第2実施例について説明する。
【0058】図5及び図6は本発明の第2実施例に係り、図5(a)は左側面図、図5(b)はCCDの正面図、図5(c)はCCDの右側面図、図5(d)はCCDの内部の概略構成図、図6(a)は図1におけるA方向矢視と同じ向きの断面図、図6(b)は図1におけるB方向矢視と同じ向きの断面図である。
【0059】本第2実施例は、図1に示す第1実施例のCCD4に代えてCCD30が設けられている。その他、第1実施例と同様の構成及び作用については、同じ符号を付して説明を省略すると共に、異なる点についてのみ説明する。
【0060】図5(a)〜(d)に示すように、CCD30は、撮像面を有しパッケージ4d内に封止された撮像チップ30dと、この撮像チップ4aに電気的に接続され背面側に突出するリード30a,30b,30cを含む複数のリードと、前記撮像面を保護するように設けられた透明カバー4cとを有している。CCD4の透明カバー4cは、対物レンズユニット3の図示しない前記光学系と対向するように配置されるようになっている。
【0061】前記CCD30の複数のリードは、例えば10本設けられており、CCD駆動信号φS1,φS2,φP,φABの各入力リード、撮像した信号VIN1,VIN2の出力リード、駆動電源VDDの供給リード30a,30b、及びGND端子SUBからなる。
【0062】前記CCD30では、各信号のうち、例えばCCD駆動電源VDDの信号に対して2つのリード30a,30bが割りあてられている。リード30aと30bは、図5(d)に示すようにCCD30の撮像チップ30d内部で導通している。図示例では、二列に配列されたリード群のそれぞれに設けられている。なお、導通したリードの配置は、この例に限らない。
【0063】図5(a)に示すように、ケーブル14の信号線31が一方のリード30aに接続されることにより、VDD電圧は、前記ビデオプロセッサ側よりCCD30に印加される。また、VDD、GND端子間には電子部品12が直接接続されるが、図5(b)に示すように反対側に設けられた他方のVDD供給リード30bとGND端子30c(SUB)とに、それぞれの電子部品12の電極が接続される。
【0064】本実施例のようにVDDの供給リードを2本設けたことにより、VDDの供給リードが1本の構成である場合に比べ、電子部品12やVDD信号線(単線)31を同一部分に接続する場合に比べ、組立性が向上する。また、同種のリードが複数設けられているので、回路基板10のパターンの引き回しや部品の配置の自由度が増し、回路基板の小型化や回路設計の容易さを向上させることができる。
【0065】なお、導通したリードの種類、その数や配置等は、前述の例に限定されるものではない。
【0066】図7及び図8は本発明の第3実施例に係り、図7(a)は左側面図、図7(b)はCCDの正面図、図7(c)はCCDの右側面図、図7(d)はCCDの内部の概略構成図、図8(a)は図1におけるA方向矢視と同じ向きの断面図、図8(b)は図1と同じ側断面図、図9は図1におけるB方向矢視と同じ向きの断面図である。
【0067】本第3実施例は、図1に示す第1実施例のCCD4に代えてCCD41が設けられている。その他、第1実施例と同様の構成及び作用については、同じ符号を付して説明を省略すると共に、異なる点についてのみ説明する。
【0068】図7(a)〜(d)に示すように、CCD41は、撮像面を有しパッケージ4d内に封止された撮像チップ41dと、この撮像チップ41dに電気的に接続され背面側に突出するリード41a,41b,41c,41fを含む複数のリードと、前記撮像面を保護するように設けられた透明カバー4cとを有している。前記CCD41の透明カバー4cは、対物レンズユニット3の図示しない前記光学系と対向するように配置されるようになっている。
【0069】前記CCD41は、CCDチップ4b上における内部リードバンプ式接合となっている。CCDチップ41d上には、例えば6つの信号用のバンプ接続部41eが設けられている。この6つのバンプ接続部41eには、それぞれ外部リードVDD,Vout,SUB,φP,φS,φABが電気的に接続されている。
【0070】また外部リードは、これら6つの信号に対するものの以外に、リード41b,41cを設けている。このリード41bとリード41cとは、図7(d)に示すように、CCD41内部で導通しているが、リード自体には信号は直接的には割りあてられていない。
【0071】図8(a),(b)及び図9には、CCD41を搭載した撮像装置40を示してい。
【0072】前記CCD41のリード41aは、φAB(アンチブルーミング)信号用であり、図8(a)に示すように、それに隣接するリード41bと接合されるようになっている。一方、その反対側のリード41cと、GNDリード41fとの間には、電子部品12のそれぞれの電極が接続されるようになっている。
【0073】前記構成では、CCD41のリード41bは、リード41aと接合され短絡されることにより、CCD41からのφABの信号が割りあてられる。従って、リード41bと導通するリード41cも同様にφABの信号が割りあてられることになる。
【0074】本実施例ではCCDの構成上、φABやSUB(GND)のリードが予め41a,41fに固定されているが、リード41b,41cの存在により電子部品12等の実装やパターン設計における自由度が増し、設計が容易になると共に、組立性も容易にすることができる。又、本実施例ではリード41b,41cにφABが割りあてられたが、他の信号でもよく図示例に限定されるものではない。
【0075】図10及び図11は第4実施例に係り、図10はCCDの断面図、図11はリードの製造に関する説明図である。
【0076】本実施例の固体撮像素子としてのCCDは、内部リードがバンプ接続式のものであって、バンプ接続部側の内部リード端の物体面側の形状を鋭角に形成している。その他、第1実施例と構成及び作用については同様であり、同じ符号を付して説明を省略すると共に、異なる点についてのみ説明する。
【0077】図10に示すCCD50は、不透明例えば黒色の部材からなるパッケージ部50aと、このパッケージ部50aにより周囲が封止されたCCDチップ50bとを有している。CCDチップ50b上にはボンディングパット部50dと、イメージエリア部50fとが設けられている。リード50cは、金属性のバンプ50gを介して、ボンディングパッド50d上に接続され、チップ50bとリード50cとをつないでいる。
【0078】前記リード50cは、バンプ側端部には、斜面部50eが物体(被写体)側が鋭角に形成され、イメージエリア部50f側に向かって拡径となるテーパー状に形成されている。尚、リード50cの他端は外部リードとなってパッケージ部50aから突出している。また、CCD50は、イメージエリア部50f、斜面部50e及びバンプ50gの一部が透明封止剤50hにより覆われている。
【0079】前記リード50cは、例えばエッチングにより形成することができ、図11に示すようにリード用の板状部材をマスキング51で覆い、エッチング用の溶剤で溶解する。このとき、リード50cは、マスキング51側から次第に溶解し最終的にはマスキング51から離れに従って細径となるテーパー状に形成される。この形状を斜面部50eとして利用して、つまり、図11の部材のうちマスキング側を上にして、図10のようにリード50cを配置する。
【0080】前記構成において、リード50cに被写体側が鋭角の斜面部50eを形成することにより、視野外光が集中して、イメージエリア50fに反射することを減少させることができ、これにより視野外光フレアを防止できる。
【0081】図12及び図13は第5実施例に係り、図12はCCDの断面図、図13はリードの製造に関する説明図である。
【0082】本実施例は、第4実施例のCCDの斜面部を設ける構成に代えて、バンプ接続部側の内部リード端をチップ側に向かって湾曲させる構成になっている。その他、第4実施例と同様の構成及び作用については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0083】本実施例の固体撮像素子としてのCCD52は、リード50cの端部50iの形状をチップ50b側に向かって湾曲させている。
【0084】このリード50cの端部50iを湾曲させるには、次のようなボンディングの接合工程と同時に行うことができる。
【0085】ボンディングベース53に載置されたCCDチップ50b上のバンプ50gに、リード50cを超音波熱圧着により接合させる際に、突部55を設けたボンディングヘッド54をリード50cに当接させ、超音波振動により熱圧着する。このとき、ボンディングヘッド54の突部55によりリード50cの先端が押し下げられ、湾曲した端部50iが形成される。
【0086】本実施例では、リード50cの端部50iをチップ側に湾曲させたことにより、視野外光が内部リード端部付近に当たっても、イメージエリア50fの方向には反射しない。これにより、視野外光によるフレアを防止することができる。
【0087】図14は第6実施例に係るCCDの断面図である。
【0088】本実施例の固体撮像素子としてのCCDは、バンプ接続部側の内部リード端の上方に遮光用のマスクを設けた構成となっている。その他、第4実施例と同様の構成及び作用については、同じ符号を付して説明を省略すると共に、異なる点についてのみ説明する。
【0089】リード50cのボンディングパッド接続部付近の上方には、マスク材56が設けられている。マスク部材56は反射防止効果のある薄板となっている。例えばポリイミドのテープでもよい。
【0090】本実施例では、視野外光がマスク材56でカットされ、イメージエリア50fに入射しない。それにより、視野外光フレアを防止できる。
【0091】[付記]以上詳述したように本発明の実施態様によれば、以下のような構成を得ることができる。すなわち、
(1)固体撮像素子と、この固体撮像素子と電気的に接続される回路基板と、少なくとも回路基板と対向した側に配置されてこの回路基板と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品と、を有する撮像装置において、前記電子部品の端子又は電極と前記回路基板との間には、第1の封止剤を充填し、前記電子部品の全体及び第1の封止剤を第1の封止剤より粘性の高い第2の封止剤により封止している。
【0092】付記1に記載の構成では、撮像装置を構成する回路の信頼性を確保し、小型化を図ることができる。
【0093】(2)第1の封止剤は前記電子部品の端子又は電極と前記回路基板との隙間に充填可能な程度に粘性の低いものである付記1に記載の撮像装置。
【0094】(3)前記第2の封止剤は、前記電子部品を封止した端部が電子部品から極力距離が短くできる程度の高い粘性である付記1に記載の撮像装置。
【0095】(4)前記電子部品は、前記固体撮像素子の出力を増幅するICチップである付記1に記載の撮像装置。
【0096】(5)前記ICチップは、前記回路基板と対向する電極としてのバンプを有するフリップチップ型の素子である付記4に記載の撮像装置。
【0097】(6)複数のリード及び撮像素子チップを封止したパッケージ部とを有する固体撮像素子と、この固体撮像素子のリードと電気的に接続される回路基板と、この回路基板と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品と、を有する撮像装置において、前記固体撮像素子は、対向する二列のリード群を前記パッケージ部から突出して配列し、配列されたリード間の中心をパッケージ部の中心に対して離間させて配置した撮像装置。
【0098】(7)前記配列されたリード間の中心を前記撮像素子チップの撮像面の中心に対して離間させて配置した付記6に記載された撮像装置。
【0099】(8)複数のリード及び撮像素子チップを封止したパッケージ部とを有する固体撮像素子と、この固体撮像素子のリードと電気的に接続される回路基板と、この回路基板と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品と、を有する撮像装置において、前記固体撮像素子の複数のリードのうち、同じ種類の信号を伝達するリードの数を2以上設けた。
【0100】(9)前記固体撮像素子の複数のリードは、前記撮像素子チップと電気的に接続されており、同じ種類の信号を伝達するリードは、前記撮像素子チップ内で電気的に接続されている付記8に記載の撮像装置。
【0101】(10)複数のリード及び撮像素子チップを封止したパッケージ部とを有する固体撮像素子と、この固体撮像素子のリードと電気的に接続される回路基板と、この回路基板と電気的に接続される端子又は電極を有しかつ前記回路基板に搭載された電子部品と、を有する撮像装置において、前記固体撮像素子の外部に延出するリードの数を、前記撮像素子チップ上に設けた電極の数より多く設けた撮像装置。
【0102】(11)前記固体撮像素子の外部に延出するリードのうち一部は、パッケージ内部で電気的に接続されている付記10に記載の撮像装置。
【0103】(12)固体撮像素子と、この固体撮像素子と電気的に接続される回路基板と、この回路基板に搭載された電子部品と、前記回路基板又は固体撮像素子のすくなとも一方と電気的に接続されるケーブルとを有する撮像装置において、前記回路基板のうち前記ケーブルが複数の信号線に分岐される分岐部が配置される側の端部に面取り部を設けている。
【0104】付記12に記載の構成では、ケーブルの分岐部分が配置される側端部を面取りしているので、分岐部分を回路基板の端部により近づけることができ、当該固体撮像素子の小型化を図ることができる。
【0105】(13)撮像面を有する撮像素子チップと、複数のリードと電気的に接続される撮像素子チップと、この撮像素子チップを封止したパッケージ部と、を有する固体撮像素子において、前記リードの撮像素子チップに接続される側の端部であって、被写体側の形状を鋭角にし前記撮像面側が拡径となるテーパー状に形成した固体撮像素子。
【0106】付記13に記載の構成では、視野外光に起因した内部リードによるフレアの防止を図る。
【0107】(14)撮像面を有する撮像素子チップと、複数のリードと電気的に接続される撮像素子チップと、この撮像素子チップを封止したパッケージ部と、を有する固体撮像素子において、前記リードの撮像素子チップに接続される側の端部であって、この端部を前記撮像素子チップ側に向かって湾曲させた固体撮像素子。
【0108】(15)撮像面を有する撮像素子チップと、複数のリードと電気的に接続される撮像素子チップと、この撮像素子チップを封止したパッケージ部と、を有する固体撮像素子において、前記リードの撮像素子チップに接続される側の端部であって、この端部の被写体側を遮光マスクで覆った固体撮像素子。
【0109】付記13〜付記15に記載の構成では、視野外光に起因した内部リードによるフレアの防止を図る。
【0110】
【発明の効果】以上述べたよう請求項1に記載の発明によれば、回路基板上に搭載された部品が機械的・電気的ショック、空気やサーマルショック等の外部環境による劣化することを防止し、撮像装置を構成する回路の信頼性を確保すると共に、封止材の広がりを防ぐことにより小型化を図ることができるという効果がある。
【0111】以上説明したように請求項2に記載の発明によれば、回路基板のうち部品が搭載された面を外側つまり固体撮像素子の外端部に向けてもリード中心がオフセットされた分だけ余裕があるので、回路設計あるいは回路基板の配置等に伴う大型化の欠点が解消でき、小型化を図ることができると共に、作業性も向上させることができるという効果がある。
【0112】以上説明したように請求項3に記載の発明によれば、固体撮像素子の複数のリードのうち、同一信号を伝達するリードの数を2以上設けてあるので、設計上の自由度が高く小型化が容易であり、設計等のコストも低下させることができるという効果がある。以上説明したように請求項4に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1ないし図4は第1実施例に係り、図1は撮像装置の詳細を示す軸方向縦断面図。
【図2】図2(a)は撮像装置を構成する回路基板の上面図、図2(b)は回路基板の側面図。
【図3】図3は比較説明図。
【図4】図4はCCDの内部を透視した側面図。
【図5】図5及び図6は第2実施例に係り、図5(a)は左側面図、図5(b)はCCDの正面図、図5(c)はCCDの右側面図、図5(d)はCCDの内部の概略構成図。
【図6】図6(a)は図1におけるA方向矢視と同じ向きの断面図、図6(b)は図1におけるB方向矢視と同じ向きの断面図。
【図7】図7及び図8は第3実施例に係り、図7(a)は左側面図、図7(b)はCCDの正面図、図7(c)はCCDの右側面図、図7(d)はCCDの内部の概略構成図。
【図8】図8(a)は図1におけるA方向矢視と同じ向きの断面図、図8(b)は図1と同じ側断面図。
【図9】図9は図1におけるB方向矢視と同じ向きの断面図。
【図10】図10及び図11は第4実施例に係り、図10はCCDの断面図。
【図11】図11はリードの製造に関する説明図。
【図12】図12及び図13は第5実施例に係り、図12はCCDの断面図。
【図13】図13はリードの製造に関する説明図。
【図14】図14は第6実施例に係るCCDの断面図。
【図15】図15はワイヤボンディング方式のICの封止に関する説明図。
【図16】図16はCCDと回路基板の直接接続に関する説明図。
【符号の説明】
1…撮像装置
4…CCD
10…回路基板
11…IC
11a…第2の封止剤
11b…第1の封止剤
12,13…電子部品
14…ケーブル
41a…φAB
41b,41c…ショートピン
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許権者が求めている訂正の内容は以下のとおりである。
特許請求の範囲の請求項1に係る記載「前記電子部品の全体及び第1の封止剤を第1の封止剤より粘性の高い第2の封止剤により封止している」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「前記回路基板の前記電子部品が搭載される面には、半田付けを必要とするパターンが設けられ、第1の封止剤より粘性の高いものであって、前記電子部品の全体及び第1の封止剤は封止するが、前記半田付けを必要とするパターンは被覆しない第2の封止剤を具備する」と訂正する。
また、請求項2に係る記載「配列されたリード間の中心をパッケージ部の中心に対して離間させて配置すると共に、前記パッケージ部の中心からより離れた一方のリード群に信号線を接続すると共に、他方のリード群に前記一万のリード群側とは反対側の面に前記電子部品を備えた前記回路基板を接続した」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「一方のリード群に信号線を接続し、前記一方のリード群側とは反対側の面に前記電子部品を備えた前記回路基板を他方のリード群に接続すると共に、前記信号線の側面と前記パッケージ部の側面とが略同一面になるように前記一方のリード群を配設し、前記電子部品の側面と前記パッケージ部の側面とが略同一面になるように前記他方のリード群を配設することで、前記一方及び他方のリード群間の中心をパッケージ部の中心に対して離間させて配置した」と、訂正する。
尚、上記請求項1及び請求項2に係る記載の訂正に伴い、特許明細書の段落【0017】及び【0018】の記載を、不明りょうな記載の釈明を目的として対応する記載に訂正する。
異議決定日 2000-10-12 
出願番号 特願平6-282083
審決分類 P 1 652・ 113- ZD (G02B)
P 1 652・ 121- ZD (G02B)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 峰 祐治里村 利光  
特許庁審判長 森 正幸
特許庁審判官 綿貫 章
高橋 三成
登録日 1999-07-02 
登録番号 特許第2949044号(P2949044)
権利者 オリンパス光学工業株式会社
発明の名称 撮像装置  

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