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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H05B
審判 全部申し立て 特39条先願  H05B
審判 全部申し立て 発明同一  H05B
管理番号 1041118
異議申立番号 異議2000-70165  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-12-10 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-01-14 
確定日 2001-01-22 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2956691号「有機エレクトロルミネッセンス素子」の請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2956691号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2956691号の請求項1〜8に係る発明は、平成10年5月22日に特許出願され、平成11年7月23日にその特許権の設定登録がなされ、その後、東洋インキ製造株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成12年9月22日に訂正請求(後日取下げ)がなされた後、再度の取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成12年11月27日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
ア.訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のa.〜e.のとおりである。
a.請求項1に記載される「(式中、Ar1、Ar1’、及びAr2はそれぞれ独立に一般式(4)、(5)及び(6)で表される基のいずれかを表す。ただし、Ar1とAr1’は(4)、(5)、(6)のうち互いに異なる一般式で表される基である。」を「(式中、Ar1、Ar1’、及びAr2はそれぞれ独立に一般式(4)、(5)及び(6)で表される基のいずれかを表す。ただし、Ar2が、置換もしくは無置換の9-アンスリル基である場合は除く。また、Ar1とAr1’は(4)、(5)、(6)のうち互いに異なる一般式で表される基であり、かつ異なる基である。」に訂正する。
b.発明の詳細な説明中段落【0008】の「(式中、Ar1、Ar1’、及びAr2はそれぞれ独立に一般式(4)、(5)及び(6)で表される基のいずれかを表す。ただし、Ar1とAr1’は(4)、(5)、(6)のうち互いに異なる一般式で表される基である。」を「(式中、Ar1、Ar1’、及びAr2はそれぞれ独立に一般式(4)、(5)及び(6)で表される基のいずれかを表す。ただし、Ar2が、置換もしくは無置換の9-アンスリル基である場合は除く。また、Ar1とAr1’は(4)、(5)、(6)のうち互いに異なる一般式で表される基であり、かつ異なる基である。」に訂正する。
c.発明の詳細な説明中段落【0027】の「以下に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に使用される化合物例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。」を「以下に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に使用される化合物例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。ただし、化合物(52)、(54)、(60)、(74)、(80)、(81)、(84)、(89)は参考例とする。」に訂正する。
d.発明の詳細な説明中段落【0053】、【0054】、【0056】、【0057】の「合成例」を「合成例(参考例)」に訂正する。
e.発明の詳細な説明中段落【0062】、【0063】、【0065】、【0066】、【0068】、【0069】、【0074】、【0075】、【0077】、【0078】、【0081】、【0082】、【0084】、【0087】、【0088】、【0090】、【0091】の「実施例」を「参考例」に訂正する。
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項a.は、請求項1に記載された発明を特定する事項である一般式(4)〜(6)で表される基から特定の基を除外し、更にAr1とAr1’が互いに異なることを規定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に該当し、また、上記訂正事項b.〜e.は、上記訂正事項a.と整合を図るものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
ウ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議申立てについて
ア.本件特許明細書
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1〜8に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の請求項1〜8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
【請求項1】 陽極と陰極間に発光層を含む一層以上の有機薄膜層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機薄膜層の少なくとも一層が下記一般式(1)、(2)または(3)で示される材料
Ar1-Ar1’(1)
Ar1-Ar3-Ar2(2)
Ar1-Ar3-Ar4-Ar2(3)
(式中、Ar1、Ar1’及びAr2はそれぞれ独立に一般式(4)、(5)及び(6)で表される基のいずれかを表す。ただし、Ar2が、置換もしくは無置換の9-アンスリル基である場合は除く。また、Ar1とAr1’は(4)、(5)、(6)のうち互いに異なる一般式で表される基であり、かつ異なる基である。
【化1】

また、Ar3及びはAr4は一般式(7)ないし(11)で表される2価基を表す。
【化2】

【化3】

(式中、R1〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、(ただし置換若しくは無置換のスチリル基は除く)、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族複素環基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基を表す。またR1〜R3のうちの2つ、R5とR6、R7とR8、R9とR10、及びR13とR14、の各対は連結して環を形成していても良い。また、A1〜A13は、置換または無置換の縮合炭化水素環、あるいは、置換または無置換の縮合複素環を形成する原子団を表す。))のうち、A1〜A13により形成される環構造上の置換基あるいはR1〜R14の少なくとも1つが、-NAr5Ar6(Ar5、Ar6はそれぞれ独立に置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表す。)で表されるジアリールアミノ基である化合物を単独若しくは混合物として含有する事を特徴とする有機エレクトロミネッセンス素子。
【請求項2】 前記有機薄膜層が、発光層であることを特徴とする、請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】 前記有機薄膜層が、正孔輸送層であることを特徴とする、請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】 前記有機薄膜層が、電子輸送層であることを特徴とする、請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】 前記ジアリールアミノ基のAr5,Ar6基の少なくとも一つが置換または無置換のスチリル基を置換基として持つことを特徴とする、請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】 前記有機薄膜層が、発光層であることを特徴とする、請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】 前記有機薄膜層が、正孔輸送層であることを特徴とする、請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】 前記有機薄膜層が、電子輸送層であることを特徴とする、請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
イ.申立て理由の概要
特許異議申立人東洋インキ製造株式会社は、証拠として甲第1号証(特願平9-271824号の出願当初の明細書に相当する特開平11-111460号公報)を提出し、請求項1〜8に係る発明の特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされ、さらに甲第2号証(特願平10-29996号の明細書に相当する特開平11-228951号公報)を提出し、請求項1〜8に係る発明の特許は、特許法第39条第1項の規定に違反してなされたものであるから、その特許を取り消すべき旨主張し、さらに請求項1に係る発明の特許は、その明細書が特許法第36条第6項第2号の規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであるから、その特許を取り消すべき旨主張している。
ウ.判断
i)特許法第36条第6項第2号違反について
本件の請求項1の記載は上記訂正事項2.ア.a.のとおり「Ar1とAr1’は(4)、(5)、(6)のうち互いに異なる一般式で表わされる基であり、かつ異なる基である。」と訂正されたので、申立人が主張するAr1とAr1’ が同一の基の組合せとなることがあるとの記載の不備は解消した。
よって、本件請求項1に係る発明の特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たさない特許出願に対してなされたものとすることはできない。
ii)特許法第29条の2第39条第1項違反について
当審において通知した取消しの理由で引用した先願1:特願平9-271824号(特開平11-111460号公報参照、甲第1号証)、先願2:特願平10-29996号(特開平11-228951号公報参照、甲第2号証)には、本件発明でAr2が置換もしくは無置換の9-アンスリル基に該当する化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子が記載されている。
これに対し、本件請求項1に係る発明では、上記訂正事項2.ア.a.により、Ar2が、置換もしくは無置換の9-アンスリル基である場合は除かれることとなったので、該基を含む材料を使用する先願1に係る発明又は先願2に係る発明と本件請求項1に係る発明とは同一のものとはいえない。
また、請求項1を引用する請求項2〜5に係る発明及び請求項5を引用する請求項6〜8に係る発明も、請求項1に係る発明と同様の理由で、先願1に係る発明又は先願2に係る発明とは同一のものとはいえない。
エ.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1〜8に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜8に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
有機エレクトロルミネッセンス素子
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 陽極と陰極間に発光層を含む一層以上の有機薄膜層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機薄膜層の少なくとも一層が下記一般式(1)、(2)または(3)で示される材料
Ar1-Ar1’(1)
Ar1-Ar3-Ar2(2)
Ar1-Ar3-Ar4-Ar2(3)
(式中、Ar1、Ar1’及びAr2はそれぞれ独立に一般式(4)、(5)及び(6)で表される基のいずれかを表す。ただし、Ar2が、置換もしくは無置換の9-アンスリル基である場合は除く。また、Ar1とAr1’は(4)、(5)、(6)のうち互いに異なる一般式で表される基であり、かつ異なる基である。
【化1】

また、Ar3及びはAr4は一般式(7)ないし(11)で表される2価基を表す。
【化2】

【化3】

(式中、R1〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、(ただし置換若しくは無置換のスチリル基は除く)、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族複素環基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基を表す。またR1〜R3のうちの2つ、R5とR6、R7とR8、R9とR10、及びR13とR14、の各対は連結して環を形成していても良い。また、A1〜A13は、置換または無置換の縮合炭化水素環、あるいは、置換または無置換の縮合複素環を形成する原子団を表す。))のうち、A1〜A13により形成される環構造上の置換基あるいはR1〜R14の少なくとも1つが、-NAr5Ar6(Ar5、Ar6はそれぞれ独立に置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表す。)で表されるジアリールアミノ基である化合物を単独若しくは混合物として含有する事を特徴とする有機エレクトロミネッセンス素子。
【請求項2】 前記有機薄膜層が、発光層であることを特徴とする、請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】 前記有機薄膜層が、正孔輸送層であることを特徴とする、請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】 前記有機薄膜層が、電子輸送層であることを特徴とする、請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】 前記ジアリールアミノ基のAr5,Ar6基の少なくとも一つが置換または無置換のスチリル基を置換基として持つことを特徴とする、請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】 前記有機薄膜層が、発光層であることを特徴とする、請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】 前記有機薄膜層が、正孔輸送層であることを特徴とする、請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】 前記有機薄膜層が、電子輸送層であることを特徴とする、請求項5記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光特性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、電界を印加することにより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子の再結合エネルギーにより蛍光性物質が発光する原理を利用した自発光素子である。C.W.Tangらによる積層型素子による低電圧駆動有機EL素子の報告(C.W.Tang,S.A.VanSlyke,アプライドフィジックスレターズ(Applied Physics Letters),51巻,913頁、1987年など)がなされて以来、有機材料を構成材料とする有機EL素子に関する研究が盛んに行われている。Tangらは、トリス(8-ヒドロキシキノリノールアルミニウム)を発光層に、トリフェニルジアミン誘導体を正孔輸送層に用いている。積層構造の利点としては、発光層への正孔の注入効率を高めること、陰極より注入された電子をブロックして再結合により生成する励起子の生成効率を高めること、発光層内で生成した励起子を閉じこめることなどが挙げられる。この例のように有機EL素子の素子構造としては、正孔輸送(注入)層、電子輸送性発光層の2層型、または正孔輸送(注入)層、発光層、電子輸送(注入)層の3層型等が良く知られている。こうした積層型構造素子では注入された正孔と電子の再結合効率を高めるため、素子構造や形成方法の工夫がなされている。
【0003】正孔輸送性材料としてはスターバースト分子である4,4′,4″-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミンやN,N′-ジフェニル-N,N′-ビス(3-メチルフェニル)-[1,1′-ビフェニル]-4,4′-ジアミン等のトリフェニルアミン誘導体や芳香族ジアミン誘導体がよく知られている(例えば、特開平8-20771号公報、特開平8-40995号公報、特開平8-40997号公報、公報特開平8-543397号公報、特開平8-87122号公報等)。
【0004】電子輸送性材料としてはオキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体等がよく知られている。
【0005】発光材料としてはトリス(8-キノリノラート)アルミニウム錯体等のキレート錯体、クマリン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ビススチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体等の発光材料が知られており、それらの発光色も青色から赤色までの可視領域の発光が得られることが報告されており、カラー表示素子の実現が期待されている(例えば、特開平8-239655号公報、特開平7-138561号公報、特開平3-200289号公報等)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】最近では高輝度、長寿命の有機EL素子が開示あるいは報告されているがまだ必ずしも充分なものとはいえない。したがって、高性能を示す材料開発が強く求められている。本発明の目的は、高輝度の有機EL素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のジアリール化合物または、トリアリール化合物、あるいはテトラアリール化合物のうち、ジアリールアミノ基を置換基に有するものを発光材料として用いて作製した有機EL素子は従来よりも高輝度発光することを見いだした。また、前記材料は高いキャリヤ輸送性を有することがわかり、前記材料を正孔輸送材料、または電子輸送材料として作製した有機EL素子、及び前記材料と他の正孔輸送材料あるいは電子輸送材料との混合薄膜を用いて作製した有機EL素子は従来よりも高輝度発光を示すことを見いだし本発明に至った。また、ジアリールアミノ基を置換基に有する前記化合物の中でも、アリール基がスチリル基を置換基として有するものを発光材料、正孔輸送材料、電子輸送材料として用いて作成した有機EL素子は、特に高い輝度の発光が得られることを見いだし、本発明に至った。
【0008】すなわち本発明は次のようである。
1.陽極と陰極間に発光層を含む一層以上の有機薄膜層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機薄膜層の少なくとも一層が下記一般式(1)、(2)または(3)で示される材料
Ar1-Ar1’(1)
Ar1-Ar3-Ar2(2)
Ar1-Ar3-Ar4-Ar2(3)
(式中、Ar1、Ar1’及びAr2はそれぞれ独立に一般式(4)、(5)及び(6)で表される基のいずれかを表す。ただし、Ar2が、置換もしくは無置換の9-アンスリル基である場合は除く。また、Ar1とAr1’は(4)、(5)、(6)のうち互いに異なる一般式で表される基であり、かつ異なる基である。
【0009】
【化4】

Ar3およびAr4は、一般式(7)ないし(11)で表される2価基を表す。
【0010】
【化5】

【0011】
【化6】

(式中、R1〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、(ただし置換若しくは無置換のスチリル基は除く)、スチリル置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族複素環基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基を表す。またR1〜R3のうちの2つ、R5とR6、R7とR8、R9とR10、及びR13とR14、の各対は連結して環を形成していても良い。また、A1〜A13は、置換または無置換の縮合炭化水素環、あるいは、置換または無置換の縮合複素環を形成する原子団を表す。))のうち、A1〜A13により形成される環構造上の置換基あるいはR1〜R14の少なくとも1つが、-NAr5Ar6(Ar5、Ar6はそれぞれ独立に置換若しくは無置換の炭素数6〜20のアリール基を表す。)で表されるジアリールアミノ基である化合物を単独若しくは混合物として含有することを特徴とする有機エレクトロミネッセンス素子。
2.前記有機薄膜層が、発光層であることを特徴とする、上記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.前記有機薄膜層が、正孔輸送層であることを特徴とする、上記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記有機薄膜層が、電子輸送層であることを特徴とする、上記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.前記ジアリールアミノ基のAr5及びAr6基の少なくとも一つが置換または無置換のスチリル基を置換基として持つことを特徴とする、上記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.前記有機薄膜層が、発光層であることを特徴とする、上記5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
7.前記有機薄膜層が、正孔輸送層であることを特徴とする、上記5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
8.前記有機薄膜層が、電子輸送層であることを特徴とする、上記5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に使用する化合物は、一般式(1)、(2)または(3)で表される構造を有する化合物である。R1〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基(ただし、置換もしくは無置換のスチリル基は除く)、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基またはカルボキシル基を表す。またR1〜R3のうちの2つ、R5とR6、R7とR8、R9とR10、及びR13とR14の各対は連結して環を形成していてもよい。A1〜A13は、置換もしくは無置換の炭化水素環、または、置換もしくは無置換の複素環を形成する原子団を表す。
【0013】A1〜A13によって形成される環構造上の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基(ただし、置換もしくは、無置換のスチリル基は除く)、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基またはカルボキシル基があげられる。これらA1〜A13によって形成される環構造上の置換基は、それら同士で環を形成してもよい。
【0014】以上に述べた置換基の例を以下に示す。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。置換もしくは無置換のアミノ基は-NXlX2と表され、X1、X2としてはそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、S-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシイソブチル基、1,2-ジヒドロキシエチル基、1,3-ジヒドロキシイソプロピル基、2,3-ジヒドロキシ-t-ブチル基、1,2,3-トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1-クロロエチル基、2-クロロエチル基、2-クロロイソブチル基、1,2-ジクロロエチル基、1,3-ジクロロイソプロピル基、2,3-ジクロロ-t-ブチル基、1,2,3-トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1-ブロモエチル基、2-ブロモエチル基、2-ブロモイソブチル基、1,2-ジブロモエチル基、1,3-ジブロモイソプロピル基、2,3-ジブロモt-ブチル基、1,2,3-トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1-ヨードエチル基、2-ヨードエチル基、2-ヨードイソブチル基、1,2-ジヨードエチル基、1,3-ジヨードイソプロピル基、2,3-ジヨードt-ブチル基、1,2,3-トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1-アミノエチル基、2-アミノエチル基、2-アミノイソブチル基、1,2-ジアミノエチル基、1,3-ジアミノイソプロピル基、2,3-ジアミノt-ブチル基、1,2,3-トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1-シアノエチル基、2-シアノエチル基、2-シアノイソブチル基、1,2-ジシアノエチル基、1,3-ジシアノイソプロピル基、2,3-ジシアノt-ブチル基、1,2,3-トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1-ニトロエチル基、2-ニトロエチル基、2-ニトロイソブチル基、1,2-ジニトロエチル基、1,3-ジニトロイソプロピル基、2,3-ジニトロt-ブチル基、1,2,3一トリニトロプロピル基、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、1-ナフタセニル基、2-ナフタセニル基、9-ナフタセニル基、4-スチリルフェニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-ビフェニルイル基、3-ビフェニルイル基、4-ビフェニルイル基、p-ターフェニル-4-イル基、p-ターフェニル-3-イル基、p-ターフェニル-2-イル基、m-ターフェニル-4-イル基、m-ターフェニル-3-イル基、m-ターフェニル-2-イル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、p-t-ブチルフェニル基、p-(2-フェニルプロピル)フェニル基、3-メチル-2-ナフチル基、4-メチル-1-ナフチル基、4-メチル-1-アントリル基、4’-メチルビフェニルイル基、4’’-t-ブチル-p-ターフェニル-4-イル基、2-ピロリル基、3-ピロリル基、ピラジニル基、2-ピリジニル基、3-ピリジニル基、4-ピリジニル基、2-インドリル基、3-インドリル基、4-インドリル基、5-インドリル基、6-インドリル基、7-インドリル基、1-イソインドリル基、3-イソインドリル基、4-イソインドリル基、5-イソインドリル基、6-イソインドリル基、7-イソインドリル基、2-フリル基、3-フリル基、2-ベンゾフラニル基、3-ベンゾフラニル基、4-ベンゾフラニル基、5-ベンゾフラニル基、6-ベンゾフラニル基、7-ベンゾフラニル基、1-イソベンゾフラニル基、3-イソベンゾフラニル基、4-イソベンゾフラニル基、5-イソベンゾフラニル基、6-イソベンゾフラニル基、7-イソベンゾフラニル基、2-キノリル基、3-キノリル基、4-キノリル基、5-キノリル基、6-キノリル基、7-キノリル基、8-キノリル基、1-イソキノリル基、3-イソキノリル基、4-イソキノリル基、5-イソキノリル基、6-イソキノリル基、7-イソキノリル基、8-イソキノリル基、2-キノキサリニル基、5-キノキサリニル基、6-キノキサリニル基、1-カルバゾリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、4-カルバゾリル基、1-フェナンスリジニル基、2-フェナンスリジニル基、3-フェナンスリジニル基、4-フェナンスリジニル基、6-フェナンスリジニル基、7-フェナンスリジニル基、8-フェナンスリジニル基、9-フェナンスリジニル基、10-フェナンスリジニル基、1-アクリジニル基、2-アクリジニル基、3-アクリジニル基、4-アクリジニル基、9-アクリジニル基、1,7-フェナンスロリン-2-イル基、1,7-フェナンスロリン-3-イル基、1,7-フェナンスロリン-4-イル基、1,7-フェナンスロリン-5-イル基、1,7-フェナンスロリン-6-イル基、1,7-フェナンスロリン-8-イル基、1,7-フェナンスロリン-9-イル基、1,7-フェナンスロリン-10-イル基、1,8-フェナンスロリン-2-イル基、1,8-フェナンスロリン-3-イル基、1,8-フェナンスロリン-4-イル基、1,8-フェナンスロリン-5-イル基、1,8-フェナンスロリン-6-イル基、1,8-フェナンスロリン-7-イル基、1,8-フェナンスロリン-9-イル基、1,8-フェナンスロリン-10-イル基、1,9-フェナンスロリン-2-イル基、1,9-フェナンスロリン-3-イル基、1,9-フェナンスロリン-4-イル基、1,9-フェナンスロリン-5-イル基、1,9-フェナンスロリン-6-イル基、1,9-フェナンスロリン-7-イル基、1,9-フェナンスロリン-8-イル基、1,9一フェナンスロリン-10-イル基、1,10-フェナンスロリン-2-イル基、1,10-フェナンスロリン-3-イル基、1,10-フェナンスロリン-4-イル基、1,10-フェナンスロリン-5-イル基、2,9-フェナンスロリン-1-イル基、2,9-フェナンスロリン-3-イル基、2,9-フェナンスロリン-4-イル基、2,9-フェナンスロリン-5-イル基、2,9-フェナンスロリン-6-イル基、2,9-フェナンスロリン-7-イル基、2,9-フェナンスロリン-8-イル基、2,9-フェナンスロリン-10-イル基、2,8-フェナンスロリン-1-イル基、2,8-フェナンスロリン-3-イル基、2,8-フェナンスロリン-4-イル基、2,8-フェナンスロリン-5-イル基、2,8-フェナンスロリン-6-イル基、2,8-フェナンスロリン-7-イル基、2,8-フェナンスロリン-9-イル基、2,8-フェナンスロリン-10-イル基、2,7-フェナンスロリン-1-イル基、2,7-フェナンスロリン-3-イル基、2,7-フェナンスロリン-4-イル基、2,7-フェナンスロリン-5-イル基、2,7-フェナンスロリン-6-イル基、2,7-フェナンスロリン-8-イル基、2,7-フェナンスロリン-9-イル基、2,7-フェナンスロリン-10-イル基、1-フェナジニル基、2-フェナジニル基、1-フェノチアジニル基、2-フェノチアジニル基、3-フェノチアジニル基、4-フェノチアジニル基、1-フェノキサジニル基、2-フェノキサジニル基、3-フェノキサジニル基、4-フェノキサジニル基、2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基、2-オキサジアゾリル基、5-オキサジアゾリル基、3-フラザニル基、2-チエニル基、3-チエニル基、2-メチルピロール-1-イル基、2-メチルピロール-3-イル基、2-メチルピロール-4-イル基、2-メチルピロール-5-イル基、3-メチルピロール-1-イル基、3-メチルピロール-2-イル基、3-メチルピロール-4-イル基、3-メチルピロール-5-イル基、2-t-ブチルピロール-4-イル基、3-(2-フェニルプロピル)ピロール-1-イル基、2-メチル-1-インドリル基、4-メチル-1-インドリル基、2-メチル-3-インドリル基、4-メチル-3-インドリル基、2-t-ブチル1-インドリル基、4-t-ブチル1-インドリル基、2-t-ブチル3-インドリル基、4-t-ブチル3-インドリル基等が挙げられる。
【0015】置換もしくは無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、S-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシイソブチル基、1,2-ジヒドロキシエチル基、1,3-ジヒドロキシイソプロピル基、2,3-ジヒドロキシ-t-ブチル基、1,2,3-トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1-クロロエチル基、2-クロロエチル基、2-クロロイソブチル基、1,2-ジクロロエチル基、1,3-ジクロロイソプロピル基、2,3-ジクロロ-t-ブチル基、1,2,3-トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1-ブロモエチル基、2-ブロモエチル基、2-ブロモイソブチル基、1,2-ジブロモエチル基、1,3-ジブロモイソプロピル基、2,3-ジブロモt-ブチル基、1,2,3-トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1-ヨードエチル基、2-ヨードエチル基、2-ヨードイソブチル基、1,2-ジヨードエチル基、1,3-ジヨードイソプロピル基、2,3-ジヨードt-ブチル基、1,2,3-トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1-アミノエチル基、2-アミノエチル基、2-アミノイソブチル基、1,2-ジアミノエチル基、1,3-ジアミノイソプロピル基、2,3-ジアミノt-ブチル基、1,2,3-トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1-シアノエチル基、2-シアノエチル基、2-シアノイソブチル基、1,2-ジシアノエチル基、1,3-ジシアノイソプロピル基、2,3-ジシアノt-ブチル基、1,2,3-トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1-ニトロエチル基、2-ニトロエチル基、2-ニトロイソブチル基、1,2-ジニトロエチル基、1,3-ジニトロイソプロピル基、2,3-ジニトロt-ブチル基、1,2,3-トリニトロプロピル基等が挙げられる。
【0016】置換若しくは無置換のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1,3-ブタンジエニル基、1-メチルビニル基、1-メチルアリル基、1,1-ジメチルアリル基、2-メチルアリル基、1-フェニルアリル基、2-フェニルアリル基、3-フェニルアリル基、3,3-ジフェニルアリル基、1,2-ジメチルアリル基、1-フェニル-1-ブテニル基、3-フェニル-1-ブテニル基等が挙げられる。
【0017】置換もしくは無置換のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0018】置換もしくは無置換のアルコキシ基は、-OY1で表される基であり、Y1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシイソブチル基、1,2-ジヒドロキシエチル基、1,3-ジヒドロキシイソプロピル基、2,3-ジヒドロキシ-t-ブチル基、1,2,3-トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1-クロロエチル基、2-クロロエチル基、2-クロロイソブチル基、1,2-ジクロロエチル基、1,3-ジクロロイソプロピル基、2,3-ジクロロ-t-ブチル基、1,2,3-トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1-ブロモエチル基、2-ブロモエチル基、2-ブロモイソブチル基、1,2-ジブロモエチル基、2,3-ジブロモイソプロピル基、2,3-ジブロモt-ブチル基、1,2,3-トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1-ヨードエチル基、2-ヨードエチル基、2-ヨードイソブチル基、1,2-ジヨードエチル基、1,3-ジヨードイソプロピル基、2,3-ジヨードt-ブチル基、1,2,3-トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1-アミノエチル基、2-アミノエチル基、2-アミノイソブチル基、1,2-ジアミノエチル基、1,3-ジアミノイソプロピル基、2,3-ジアミノt-ブチル基、1,2,3-トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1-シアノエチル基、2-シアノエチル基、2-シアノイソブチル基、1,2-ジシアノエチル基、1,3-ジシアノイソプロピル基、2,3-ジシアノt-ブチル基、1,2,3-トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1-ニトロエチル基、2-ニトロエチル基、2-ニトロイソブチル基、1,2-ジニトロエチル基、1,3-ジニトロイソプロピル基、2,3-ジニトロt-ブチル基、1,2,3-トリニトロプロピル基等が挙げられる。
【0019】置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基の例としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、1-ナフタセニル基、2-ナフタセニル基、9-ナフタセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-ビフェニルイル基、3-ビフェニルイル基、4-ビフェニルイル基、p-ターフェニル-4-イル基、p-ターフェニル-3-イル基、p-ターフェニル-2-イル基、m-ターフェニル-4-イル基、m-ターフェニル-3-イル基、m-ターフェニル-2-イル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、p-t-ブチルフェニル基、p-(2-フェニルプロピル)フェニル基、3-メチル-2-ナフチル基、4-メチル-1-ナフチル基、4-メチル-1一アントリル基、4’メチルビフェニルイル基、4’’t-ブチル-p-ターフェニル-4-イル基等が挙げられる。
【0020】置換もしくは無置換の芳香族複素環基としては1-ピロリル基、2-ピロリル基、3-ピロリル基、ピラジニル基、2-ピリジニル基、3-ピリジニル基、4-ピリジニル基、1-インドリル基、2-インドリル基、3-インドリル基、4-インドリル基、5-インドリル基、6-インドリル基、7-インドリル基、1-イソインドリル基、2-イソインドリル基、3-イソインドリル基、4-イソインドリル基、5-イソインドリル基、6-イソインドリル基、7-イソインドリル基、2-フリル基、3-フリル基、2-ベンゾフラニル基、3-ベンゾフラニル基、4-ベンゾフラニル基、5-ベンゾフラニル基、6-ベンゾフラニル基、7-ベンゾフラニル基、1-イソベンゾフラニル基、3-イソベンゾフラニル基、4-イソベンゾフラニル基、5-イソベンゾフラニル基、6-イソベンゾフラニル基、7-イソベンゾフラニル基、2-キノリル基、3-キノリル基、4-キノリル基、5-キノリル基、6-キノリル基、7-キノリル基、8-キノリル基、1-イソキノリル基、3-イソキノリル基、4-イソキノリル基、5-イソキノリル基、6-イソキノリル基、7-イソキノリル基、8-イソキノリル基、2-キノキサリニル基、5-キノキサリニル基、6-キノキサリニル基、1-カルバゾリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、4-カルバゾリル基、9-カルバゾリル基、1-フェナンスリジニル基、2-フェナンスリジニル基、3-フェナンスリジニル基、4-フェナンスリジニル基、6-フェナンスリジニル基、7-フェナンスリジニル基、8-フェナンスリジニル基、9-フェナンスリジニル基、10-フェナンスリジニル基、1-アクリジニル基、2-アクリジニル基、3-アクリジニル基、4-アクリジニル基、9-アクリジニル基、1,7-フェナンスロリン-2-イル基、1,7-フェナンスロリン-3一イル基、1,7-フェナンスロリン-4-イル基、1,7-フェナンスロリン-5-イル基、1,7-フェナンスロリン-6-イル基、1,7-フェナンスロリン-8-イル基、1,7-フェナンスロリン-9-イル基、1,7-フェナンスロリン-10-イル基、1,8-フェナンスロリン-2-イル基、1,8-フェナンスロリン-3-イル基、1,8-フェナンスロリン-4-イル基、1,8-フェナンスロリン-5-イル基、1,8-フェナンスロリン-6-イル基、1,8-フェナンスロリン-7-イル基、1,8-フェナンスロリン-9-イル基、1,8-フェナンスロリン-10-イル基、1,9-フェナンスロリン-2-イル基、1,9-フェナンスロリン-3-イル基、1,9-フェナンスロリン-4-イル基、1,9-フェナンスロリン-5-イル基、1,9-フェナンスロリン-6-イル基、1,9-フェナンスロリン-7-イル基、1,9-フェナンスロリン-8-イル基、1,9-フェナンスロリン-10-イル基、1,10-フェナンスロリン-2-イル基、1,10-フェナンスロリン-3-イル基、1,10-フェナンスロリン-4-イル基、1,10-フェナンスロリン-5-イル基、2,9-フェナンスロリン-1-イル基、2,9-フェナンスロリン-3-イル基、2,9-フェナンスロリン-4-イル基、2,9-フェナンスロリン-5-イル基、2,9-フェナンスロリン-6-イル基、2,9-フェナンスロリン-7-イル基、2,9-フェナンスロリン-8-イル基、2,9-フェナンスロリン-10-イル基、2,8-フェナンスロリン-1-イル基、2,8-フェナンスロリン-3-イル基、2,8-フェナンスロリン-4-イル基、2,8-フェナンスロリン-5-イル基、2,8-フェナンスロリン-6-イル基、2,8-フェナンスロリン-7-イル基、2,8-フェナンスロリン-9-イル基、2,8-フェナンスロリン-10-イル基、2,7-フェナンスロリン-1-イル基、2,7-フェナンスロリン-3-イル基、2,7-フェナンスロリン-4-イル基、2,7-フェナンスロリン-5-イル基、2,7-フェナンスロリン-6-イル基、2,7-フェナンスロリン-8-イル基、2,7-フェナンスロリン-9-イル基、2,7-フェナンスロリン-10-イル基、1-フェナジニル基、2-フェナジニル基、1-フェノチアジニル基、2-フェノチアジニル基、3-フェノチアジニル基、4-フェノチアジニル基、10-フェノチアジニル基、1-フェノキサジニル基、2-フェノキサジニル基、3-フェノキサジニル基、4-フェノキサジニル基、10-フェノキサジニル基、2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基、2-オキサジアゾリル基、5-オキサジアゾリル基、3-フラザニル基、2-チエニル基、3-チエニル基、2-メチルピロール-1-イル基、2-メチルピロール-3-イル基、2-メチルピロール-4-イル基、2-メチルピロール-5-イル基、3-メチルピロール-1-イル基、3-メチルピロール-2-イル基、3-メチルピロール-4-イル基、3-メチルピロール-5-イル基、2-t-ブチルピロール-4-イル基、3-(2-フェニルプロピル)ピロール-1-イル基、2-メチル-1-インドリル基、4-メチル-1-インドリル基、2-メチル-3-インドリル基、4-メチル3-インドリル基、2-t-ブチル1-インドリル基、4-t-ブチル1-インドリル基、2-t-ブチル3-インドリル基、4-t-ブチル3-インドリル基等が挙げられる。
【0021】置換もしくは無置換のアラルキル基としては、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルイソプロピル基、2-フェニルイソプロピル基、フェニル-t-ブチル基、α-ナフチルメチル基、1-α-ナフチルエチル基、2-α-ナフチルエチル基、1-α-ナフチルイソプロピル基、2-α-ナフチルイソプロピル基、β-ナフチルメチル基、1-β-ナフチルエチル基、2-β-ナフチルエチル基、1-β-ナフチルイソプロピル基、2-β-ナフチルイソプロピル基、1-ピロリルメチル基、2-(1-ピロリル)エチル基、p-メチルベンジル基、m-メチルベンジル基、o-メチルベンジル基、p-クロロベンジル基、m-クロロベンジル基、o一クロロベンジル基、p-ブロモベンジル基、m-ブロモベンジル基、o-ブロモベンジル基、p-ヨードベンジル基、m-ヨードベンジル基、o-ヨードベンジル基、P-ヒドロキシベンジル基、m-ヒドロキシベンジル基、o-ヒドロキシベンジル基、p-アミノベンジル基、m-アミノベンジル基、o-アミノベンジル基、p-ニトロベンジル基、m-ニトロベンジル基、o-ニトロベンジル基、p-シアノベンジル基、m-シアノベンジル基、o-シアノベンジル基、1-ヒドロキシ-2-フェニルイソプロピル基、1-クロロ-2-フェニルイソプロピル基等が挙げられる。
【0022】置換もしくは無置換のアリールオキシ基は、-OZと表され、Zとしてはフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、1-ナフタセニル基、2-ナフタセニル基、9-ナフタセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-ビフェニルイル基、3-ビフェニルイル基、4-ビフェニルイル基、p-ターフェニル-4-イル基、p-ターフェニル-3-イル基、p-ターフェニル-2-イル基、m-ターフェニル-4-イル基、m-ターフェニル-3-イル基、m-ターフェニル-2-イル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、p-t-ブチルフェニル基、p-(2-フェニルプロピル)フェニル基、3-メチル-2-ナフチル基、4-メチル-1-ナフチル基、4-メチル-1-アントリル基、4’-メチルビフェニルイル基、4’’-t-ブチル-p-ターフェニル-4-イル基、2-ピロリル基、3-ピロリル基、ピラジニル基、2-ピリジニル基、3-ピリジニル基、4-ピリジニル基、2-インドリル基、3-インドリル基、4-インドリル基、5-インドリル基、6-インドリル基、7-インドリル基、1-イソインドリル基、3-イソインドリル基、4-イソインドリル基、5-イソインドリル基、6-イソインドリル基、7-イソインドリル基、2-フリル基、3-フリル基、2-ベンゾフラニル基、3-ベンゾフラニル基、4-ベンゾフラニル基、5-ベンゾフラニル基、6-ベンゾフラニル基、7-ベンゾフラニル基、1-イソベンゾフラニル基、3-イソベンゾフラニル基、4-イソベンゾフラニル基、5-イソベンゾフラニル基、6-イソベンゾフラニル基、7-イソベンゾフラニル基、2-キノリル基、3-キノリル基、4-キノリル基、5-キノリル基、6-キノリル基、7-キノリル基、8-キノリル基、1-イソキノリル基、3-イソキノリル基、4-イソキノリル基、5-イソキノリル基、6-イソキノリル基、7-イソキノリル基、8-イソキノリル基、2-キノキサリニル基、5-キノキサリニル基、6-キノキサリニル基、1-カルバゾリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、4-カルバゾリル基、1-フェナンスリジニル基、2-フェナンスリジニル基、3-フェナンスリジニル基、4-フェナンスリジニル基、6-フェナンスリジニル基、7-フェナンスリジニル基、8-フェナンスリジニル基、9-フェナンスリジニル基、10-フェナンスリジニル基、1-アクリジニル基、2-アクリジニル基、3-アクリジニル基、4-アクリジニル基、9-アクリジニル基、1,7-フェナンスロリン-2-イル基、1,7-フェナンスロリン-3-イル基、1,7-フェナンスロリン-4-イル基、1,7-フェナンスロリン-5-イル基、1,7-フェナンスロリン-6-イル基、1,7-フェナンスロリン-8-イル基、1,7-フェナンスロリン-9-イル基、1,7-フェナンスロリン-10-イル基、1,8-フェナンスロリン-2-イル基、1,8-フェナンスロリン-3-イル基、1,8-フェナンスロリン-4-イル基、1,8-フェナンスロリン-5-イル基、1,8-フェナンスロリン-6-イル基、1,8-フェナンスロリン-7-イル基、1,8-フェナンスロリン-9-イル基、1,8-フェナンスロリン-10-イル基、1,9-フェナンスロリン-2-イル基、1,9-フェナンスロリン-3-イル基、1,9-フェナンスロリン-4-イル基、1,9-フェナンスロリン-5-イル基、1,9-フェナンスロリン-6-イル基、1,9-フェナンスロリン-7-イル基、1,9-フェナンスロリン-8-イル基、1,9-フェナンスロリン-10-イル基、1,10-フェナンスロリン-2-イル基、1,10-フェナンスロリン-3-イル基、1,10-フェナンスロリン-4-イル基、1,10-フェナンスロリン-5-イル基、2,9-フェナンスロリン-1-イル基、2,9-フェナンスロリン-3-イル基、2,9-フェナンスロリン-4-イル基、2,9-フェナンスロリン-5-イル基、2,9-フェナンスロリン-6-イル基、2,9-フェナンスロリン-7-イル基、2,9-フェナンスロリン-8-イル基、2,9-フェナンスロリン-10-イル基、2,8-フェナンスロリン-1-イル基、2,8-フェナンスロリン-3-イル基、2,8-フェナンスロリン-4-イル基、2,8-フェナンスロリン-5-イル基、2,8-フェナンスロリン-6-イル基、2,8-フェナンスロリン-7-イル基、2,8-フェナンスロリン-9-イル基、2,8-フェナンスロリン-10-イル基、2,7-フェナンスロリン-1-イル基、2,7-フェナンスロリン-3-イル基、2,7-フェナンスロリン-4-イル基、2,7-フェナンスロリン-5-イル基、2,7-フェナンスロリン-6-イル基、2,7-フェナンスロリン-8-イル基、2,7-フェナンスロリン-9-イル基、2,7-フェナンスロリン-10-イル基、1-フェナジニル基、2-フェナジニル基、1-フェノチアジニル基、2-フェノチアジニル基、3-フェノチアジニル基、4-フェノチアジニル基、1-フェノキサジニル基、2-フェノキサジニル基、3-フェノキサジニル基、4-フェノキサジニル基、2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基、2-オキサジアゾリル基、5-オキサジアゾリル基、3-フラザニル基、2-チエニル基、3-チエニル基、2-メチルピロール-1-イル基、2-メチルピロール-3-イル基、2-メチルピロール-4-イル基、2-メチルピロール-5-イル基、3-メチルピロール-1-イル基、3-メチルピロール-2-イル基、3-メチルピロール-4-イル基、3-メチルピロール-5-イル基、2-t-ブチルピロール-4-イル基、3-(2-フェニルプロピル)ピロール-1-イル基、2-メチル-1-インドリル基、4-メチル-1-インドリル基、2-メチル-3-インドリル基、4-メチル-3-インドリル基、2-t-ブチル1-インドリル基、4-t-ブチル1-インドリル基、2-t-ブチル3-インドリル基、4-t-ブチル3-インドリル基等が挙げられる。
【0023】置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基は-COOY2と表され、Y2としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、S-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシイソブチル基、1,2-ジヒドロキシエチル基、1,3-ジヒドロキシイソプロピル基、2,3-ジヒドロキシ-t-ブチル基、1,2,3-トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1-クロロエチル基、2-クロロエチル基、2-クロロイソブチル基、1,2-ジクロロエチル基、1,3-ジクロロイソプロピル基、2,3-ジクロロ-t-ブチル基、1,2,3-トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1-ブロモエチル基、2-ブロモエチル基、2-ブロモイソブチル基、1,2-ジブロモエチル基、1,3-ジブロモイソプロピル基、2,3-ジブロモt-ブチル基、1,2,3-トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1-ヨードエチル基、2-ヨードエチル基、2-ヨードイソブチル基、1,2-ジヨードエチル基、1,3-ジヨードイソプロピル基、2,3-ジヨードt-ブチル基、1,2,3-トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1-アミノエチル基、2-アミノエチル基、2-アミノイソブチル基、1,2-ジアミノエチル基、1,3-ジアミノイソプロピル基、2,3-ジアミノt-ブチル基、1,2,3-トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1-シアノエチル基、2-シアノエチル基、2-シアノイソブチル基、1,2-ジシアノエチル基、1,3-ジシアノイソプロピル基、2,3-ジシアノt-ブチル基、1,2,3-トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1-ニトロエチル基、2-ニトロエチル基、2-ニトロイソブチル基、1,2-ジニトロエチル基、1,3-ジニトロイソプロピル基、2,3-ジニトロt-ブチル基、1,2,3-トリニトロプロピル基等が挙げられる。
【0024】環を形成する2価基の例としては、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ジフェニルメタン-2,2’ジイル基、ジフェニルエタン-3,3’-ジイル基、ジフェニルプロパン-4,4’-ジイル基等が挙げられる。
【0025】ジアリールアミノ基は-NAr5Ar6(Ar5,Ar6はそれぞれ独立に置換または無置換の炭素数6〜20のアリール基を表す。)と表される。炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ナフタセニル基、ピレニル基等が挙げられる。これらアリール基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、前記の置換もしくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、前記の置換もしくは無置換のアルキル基、前記の置換もしくは無置換のアルケニル基(ただし、置換もしくは無置換のスチリル基)、前記の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、前記の置換もしくは無置換のアルコキシ基、前記の置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、前記の置換もしくは無置換の芳香族複素環基、前記の置換もしくは無置換のアラルキル基、前記の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、前記の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基またはカルボキシル基が挙げられる。
【0026】Ar5およびAr6が置換基として有するスチリル基としては、無置換のスチリル基、2,2-ジフェニルビニル基の他、末端のフェニル基の置換基として、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、前記の置換もしくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、前記の置換もしくは無置換のアルキル基、前記の置換もしくは無置換のアルケニル基、前記の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、前記の置換もしくは無置換のアルコキシ基、前記の置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、前記の置換もしくは無置換の芳香族複素環基、前記の置換もしくは無置換のアラルキル基、前記の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、前記の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基またはカルボキシル基等を有する置換スチリル基および置換2,2-ジフェニルビニル基等が挙げられる。
【0027】以下に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に使用される化合物例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。ただし、化合物(52)、(54)、(60)、(74)、(80)、(81)、(84)、(89)は参考例とする。
【0028】
【0029】
【化8】

【0030】
【0031】
【化10】

【0032】
【0033】
【0034】
【化13】

【0035】
【化14】

【0036】
【化15】

【0037】
【化16】


【0038】
【0039】
【化18】

【0040】
【化19】

【0041】
【化20】

【0042】
【化21】

本発明における有機EL素子の素子構造は、電極間に有機層を1層あるいは2層以上積層した構造であり、その例として、図1〜4に示すように陽極、発光層、陰極、 陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極、 陽極、正孔輸送層、発光層、陰極、あるいは 陽極、発光層、電子輸送層、陰極等の構造が挙げられる。本発明における化合物は上記のどの有機層に用いられてもよく、他の正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料にドープさせることも可能である。
【0043】本発明に用いられる正孔輸送材料は特に限定されず、通常正孔輸送剤として使用されている化合物であれば何を使用してもよい。例えば、下記のビス(ジ(p-トリル)アミノフェニル)-1,1-シクロヘキサン[01]、N,N‘-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-1,1‘-ビフェニル-4,4’-ジアミン[02]、N,N‘-ジフェニル-N-N-ビス(1-ナフチル)-1,1’-ビフェニル)-4,4‘ジアミン[03]等のトリフェニルジアミン類や、スターバースト型分子([04]〜[06]等)等が挙げられる。
【0044】
【化22】

本発明に用いられる電子輸送材料は特に限定されず、通常電子輸送材として使用されている化合物であれば何を使用してもよい。例えば、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール[07]、ビス{2-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール}-m-フェニレン[08]、等のオキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体([09]、[10]等)、キノリノール系の金属錯体([11]〜[14]等)が挙げられる。
【0045】
【化23】

有機薄膜EL素子の陽極は、正孔を正孔輸送層に注入する役割を担うものであり、4.5eV以上の仕事関数を有することが効果的である。本発明に用いられる陽極材料の具体例としては、酸化インジウム錫合金(ITO)、酸化錫(NESA)、金、銀、白金、銅等が適用できる。また陰極としては、電子輸送帯又は発光層に電子を注入する目的で、仕事関数の小さい材料が好ましい。陰極材料は特に限定されないが、具体的にはインジウム、アルミニウム、マグネシウム、マグネシウム-インジウム合金、マグネシウム-アルミニウム合金、アルミニウム-リチウム合金、アルミニウム-スカンジウム-リチウム合金、マグネシウム-銀合金等が使用できる。
【0046】本発明の有機EL素子の各層の形成方法は特に限定されない。従来公知の真空蒸着法、スピンコーティング法等による形成方法を用いることができる。本発明の有機EL素子に用いる、前記一般式(1)、(2)または(3)で示される化合物を含有する有機薄膜層は、真空蒸着法、分子線蒸着法(MBE法)あるいは溶媒に溶かした溶液のディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の塗布法による公知の方法で形成することができる。 本発明の有機EL素子の各有機層の膜厚は特に制限されないが、一般に膜厚が薄すぎるとピンホール等の欠陥が生じやすく、逆に厚すぎると高い印加電圧が必要となり効率が悪くなるため、通常は数nmから1μmの範囲が好ましい。
【0047】以下、本発明を実施例をもとに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されない。
【0048】
【実施例】先ず前述の本発明における化合物の合成例(合成例1〜9)を示し、ついでこれらの化合物を有機薄膜層として使用した例を実施例1〜38として示す。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】合成例4 化合物(47)の合成
4-ブロモ-1、1’-ビナフチルとマグネシウムをジエチルエーテル中で1時間還流した。これをアントロンのテトラヒドロフラン溶液に加え、さらに2時間加熱した後、希塩酸に注いだ。ジエチルエーテルにより抽出を行い、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。その後、常法に従って精製し、1-(9-アンスリル)-4-(1-ナフチル)-ナフタレンを得た。これをクロロホルムに溶解し、2当量のN-ブロモスクシンイミドを加え、室温で1日反応させた。これを常法に従い精製し、1-(10-ブロモ-9-アンスリル)-4-(4-ブロモ-1-ナフチル)-ナフタレンを得た。これを、ジフェニルアミン、炭酸カリウム、銅粉と共にニトロベンゼン中で180℃で40時間反応させた。減圧蒸留によりニトロベンゼンを留去した後、常法にしたがって精製し、目的の化合物(47)を得た。
【0053】合成例5(参考例) 化合物(54)の合成
合成例3で得た化合物38をクロロホルムに溶解し、2当量のN-ブロモスクシンイミドを加え、室温で1日反応させた。これを常法に従い精製し、9、10-ビス(10’-ブロモ-9-アンスリル)アントラセンを得た。これを、ジフェニルアミン、炭酸カリウム、銅粉と共にニトロベンゼン中で180℃で40時間反応させた。減圧蒸留によりニトロベンゼンを留去した後、常法にしたがって精製し、目的の化合物(54)を得た。
【0054】合成例6(参考例) 化合物(60)の合成
化合物(54)をトルエンに溶解させ、これにオキシ塩化リンを加えて室温で攪拌した。これにN-メチルホルムアニリドを滴下し、50℃で5時間攪拌した。反応終了後冷水にゆっくり注ぎ、分液ロートに移してトルエン層を水で中性になるまで数回洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去して10,10”-ビス(N-p-ホルミルフェニル-N-フェニルアミノ)トリー9,10-アンスリレンを合成した。次いでジメチルスルホキシドに4-メチルベンジルホスホン酸ジエチルと水素化ナトリウムを加え、攪拌したものに10,10”-ビス(N-p-ホルミルフェニル-N-トリルアミノ)トリー9,10-アンスリレンのジメチルスルホキシド溶液を滴下し50℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を氷水に注ぎ、酸を加えて中和し、酢酸エチルで抽出した。溶媒を減圧除去した後、常法に従って精製し、目的の化合物(60)を得た。
【0055】
【0056】合成例8(参考例) 化合物(74)の合成
9-ブトモアントラセンとリチウムから生成した、9-リチオアントラセンとビスアントロンを反応させた後、よう化水素とホスフィン酸により還元的に芳香族化させた。その後常法に従い精製しテトラアンスリレンを得た。得られた化合物をクロロホルムに溶解し、1当量のN-ブロモスクシンイミドを加え、室温で1日反応させた。これを常法に従い精製し、9-(10’-ブロモ-9-アンスリル)-10-(9-アンスリル)アントラセンを得た。これを、ジフェニルアミン、炭酸カリウム、銅粉と共にニトロベンゼン中で180℃で40時間反応させた。減圧蒸留によりニトロベンゼンを留去した後、常法に従って精製し、目的の化合物(74)を得た。
【0057】合成例9(参考例) 化合物(89)の合成
N-ブロモスクシンイミドを2当量用いる他は、合成例8(参考例)と同様の手法により、目的の化合物(89)を得た。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】実施例4
本例にあげた有機EL素子の断面構造を図1に示す。素子は陽極/発光層/陰極により構成されている。ガラス基板1上にITOをスパッタリングによってシート抵抗が20Ω/□になるように製膜し、陽極2とした。その上に発光層4として、化合物(47)を真空蒸着法にて40nm形成した。次に陰極6としてマグネシウム-銀合金を真空蒸着法にて200nm形成して有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を5V印加したところ、360cd/m2の発光が得られた。
【0062】参考例5
発光材料として、化合物(54)を用いる以外は実施例4と同様の操作を行い有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を5V印加したところ、300cd/m2の発光が得られた。
【0063】参考例6
発光材料として、化合物(60)を用いる以外は実施例4と同様の操作を行い有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を5V印加したところ、600cd/m2の発光が得られた。
【0064】
【0065】参考例8
発光材料として、化合物(74)を用いる以外は実施例4と同様の操作を行い有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を5V印加したところ、390cd/m2の発光が得られた。
【0066】参考例9
発光材料として、化合物(89)を用いる以外は実施例4と同様の操作を行い有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を5V印加したところ、810cd/m2の発光が得られた。
【0067】
【0068】参考例11
実施例4と同じ構成の有機EL素子を次のようにして作製した。ガラス基板1上にITOをスパッタリングによってシート抵抗が20Ω/□になるように製膜し、陽極2とした。その上に化合物(60)のクロロホルム溶液を用いたスピンコート法により40nmの発光層4を形成した。次に陰極6としてマグネシウム-銀合金を真空蒸着法により200nm形成した。この素子に直流電圧を5V印加したところ、210cd/m2の発光が得られた。
【0069】参考例12
発光材料として、化合物(89)を用いる以外は参考例11と同様の操作を行い有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を5V印加したところ、340cd/m2の発光が得られた。
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】参考例17
本例にあげた有機EL素子の断面構造を図2に示す。素子は陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極により構成されている。ガラス基板1上にITOをスパッタリングによってシート抵抗が20Ω/□になるように製膜し、陽極2とした。その上に正孔輸送層3として[04]を真空蒸着法にて50nm形成した。次に、発光層4として、化合物(54)を真空蒸着法にて40nm形成した。次に、電子輸送層5として[11]を真空蒸着法にて20nm形成した。次に陰極6としてマグネシウム-銀合金を真空蒸着法によって200nm形成して有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を10V印加したところ、3400cd/m2の発光が得られた。
【0075】参考例18
正孔輸送層として[05]を、発光層として化合物(60)を、電子輸送層として[12]を用いる以外は参考例17と同様の操作を行い有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を10V印加したところ、4500cd/m2の発光が得られた。
【0076】実施例19
発光層として、化合物(47)を用いる以外は参考例18と同様の操作を行い有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を10V印加したところ、4300cd/m2の発光が得られた。
【0077】参考例20
発光層として、化合物(74)を用いる以外は参考例18と同様の操作を行い有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を10V印加したところ、3800cd/m2の発光が得られた。
【0078】参考例21
発光層として、化合物(89)を用いる以外は参考例18と同様の操作を行い有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を10V印加したところ、6000cd/m2の発光が得られた。
【0079】
【0080】
【0081】参考例24
本例にあげた有機EL素子の断面構造を図4に示す。素子は陽極/発光層/電子輸送層/陰極により構成されている。ガラス基板1上にITOをスパッタリングによってシート抵抗が20Ω/□になるように製膜し、陽極2とした。その上に発光層4としてN,N‘-ジフェニル-N-N-ビス(1-ナフチル)-1,1’-ビフェニル)-4,4-‘ジアミン[03]と化合物(54)を1:10の重量比で共蒸着して作製した薄膜を50nm形成した。次いで電子輸送層5として[09]を真空蒸着法にて50nm形成した。次に陰極6としてマグネシウム-銀合金を200nm形成してEL素子を作製した。この素子に直流電圧を10V印加したところ、2300cd/m2の発光が得られた。
【0082】参考例25
化合物(54)の代わりに化合物(89)を用いる以外は実施例24と同様の操作を行い有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を10V印加したところ、4500cd/m2の発光が得られた。
【0083】
【0084】参考例27
ガラス基板上にITOをスパッタリングによってシート抵抗が20Ω/□になるように製膜し、陽極とした。その上に化合物(60)とN,N‘-ジフェニル-N-N-ビス(1-ナフチル)-1,1’-ビフェニル)-4,4‘-ジアミン[03]をモル比で1:10の割合で含有するクロロホルム溶液を用いたスピンコート法により40nmの発光層を形成した。次に[10]を真空蒸着法により50nmの電子輸送層を形成し、その上に陰極としてマグネシウム-銀合金を真空蒸着法により200nm形成して有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を10V印加したところ、900cd/m2の発光が得られた。
【0085】
【0086】
【0087】参考例30
本例にあげた有機EL素子の断面構造を図3に示す。素子は陽極/正孔輸送層/発光層/陰極により構成されている。ガラス基板1上にITOをスパッタリングによってシート抵抗が20Ω/□になるように製膜し、陽極2とした。その上に正孔輸送層3としてN,N‘-ジフェニル-N-N-ビス(1-ナフチル)-1,1’-ビフェニル)-4,4‘-ジアミン[03]を真空蒸着法にて50nm形成した。次に、発光層4として[11]と化合物(54)とを20:1の重量比で真空共蒸着した膜を50nm形成した。次に陰極6としてマグネシウム-銀合金を200nm形成してEL素子を作製した。この素子に直流電圧を10V印加したところ、1800cd/m2の発光が得られた。
【0088】参考例31
正孔輸送層としてN,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-[1,1′-ビフェニル]-4,4′-ジアミン[02]を、発光層として[13]と化合物(60)とを20:1の重量比で真空共蒸着して作製した膜を用いる以
外は参考例30と同様の操作を行い有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を10V印加したところ、2300cd/m2の発光が得られた。
参考例32
正孔輸送層として化合物(54)を、発光層として[13]を用いる以外は参考例17と同様の操作を行い有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を10V印加したところ、1300cd/m2の発光が得られた。
【0089】
【0090】参考例34
正孔輸送材料として、化合物(60)を用いる以外は参考例32と同様の操作を行い有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を10V印加したところ、1800cd/m2の発光が得られた。
【0091】参考例35
正孔輸送材料として、化合物(89)を用いる以外は参考例32と同様の操作を行い有機EL素子を作製した。この素子に直流電圧を10V印加したところ、2900cd/m2の発光が得られた。
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明化合物を有機EL素子の構成材料とすることにより、従来に比べて高輝度な発光が得られ、本発明の効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の断面図である。
【図2】本発明の有機EL素子の断面図である。
【図3】本発明の有機EL素子の断面図である。
【図4】本発明の有機EL素子の断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 陽極
3 正孔輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 陰極
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2956691号発明の明細書中、特許請求の範囲の減縮を目的として、
a.請求項1に記載される「(式中、Ar1、Ar1’、及びAr2はそれぞれ独立に一般式(4)、(5)及び(6)で表される基のいずれかを表す。ただし、Ar1とAr1’は(4)、(5)、(6)のうち互いに異なる一般式で表わされる基である。」を「(式中、Ar1、Ar1’、及びAr2はそれぞれ独立に一般式(4)、(5)及び(6)で表される基のいずれかを表す。ただし、Ar2が、置換もしくは無置換の9-アンスリル基である場合は除く。また、Ar1とAr1’は(4)、(5)、(6)のうち互いに異なる一般式で表わされる基であり、かつ異なる基である。」に訂正する。
上記訂正事項a.と整合を図るため、明りょうでない記載の釈明を目的として、
b.発明の詳細な説明中段落【0008】の「(式中、Ar1、Ar1’、及びAr2はそれぞれ独立に一般式(4)、(5)及び(6)で表される基のいずれかを表す。ただし、Ar1とAr1’は(4)、(5)、(6)のうち互いに異なる一般式で表わされる基である。」を「(式中、Ar1、Ar1’、及びAr2はそれぞれ独立に一般式(4)、(5)及び(6)で表される基のいずれかを表す。ただし、Ar2が、置換もしくは無置換の9-アンスリル基である場合は除く。また、Ar1とAr1’は(4)、(5)、(6)のうち互いに異なる一般式で表わされる基であり、かつ異なる基である。」に訂正する。
c.発明の詳細な説明中段落【0027】の以下に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に使用される化合物例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。」を「以下に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に使用される化合物例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。ただし、化合物(52)、(54)、(60)、(74)、(80)、(81)、(84)、(89)は参考例とする。」に訂正する。
d.発明の詳細な説明中段落【0053】、【0054】、【0056】、【0057】の「合成例」を「合成例(参考例)」に訂正する。
e.発明の詳細な説明中段落【0062】、【0063】、【0065】、【0066】、【0068】、【0069】、【0074】、【0075】、【0077】、【0078】、【0081】、【0082】、【0084】、【0087】、【0088】、【0090】、【0091】の「実施例」を「参考例」に訂正する。
異議決定日 2000-12-26 
出願番号 特願平10-141492
審決分類 P 1 651・ 4- YA (H05B)
P 1 651・ 161- YA (H05B)
P 1 651・ 537- YA (H05B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 恵理子安藤 達也田中 耕一郎  
特許庁審判長 松井 佳章
特許庁審判官 後藤 圭次
山田 泰之
登録日 1999-07-23 
登録番号 特許第2956691号(P2956691)
権利者 日本電気株式会社
発明の名称 有機エレクトロルミネッセンス素子  
代理人 河合 信明  
代理人 京本 直樹  
代理人 福田 修一  
代理人 福田 修一  
代理人 京本 直樹  
代理人 河合 信明  

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