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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G03G
審判 全部申し立て 特39条先願  G03G
管理番号 1041231
異議申立番号 異議2000-70977  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-03-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-03-06 
確定日 2001-02-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2946133号「重合法トナー粒子の製造方法」の請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2946133号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
特許第2946133号に係る発明は、平成3年9月10日に出願され、平成11年7月2日にその特許の設定の登録がなされ、その後、山田敬子より特許異議申立がなされ、取消理由通知がなされその指定期間内である平成12年8月28日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否について
2.1 訂正の内容
上記訂正請求による訂正の内容は次の通りである。
A.特許請求の範囲の訂正は、訂正前の請求項8を削除し、訂正前の請求項1及び8に基づいて請求項1とし、訂正前の請求項5を請求項3、訂正前の請求項7を請求項4、訂正前の請求項3を請求項5、訂正前の請求項4を請求項6、訂正前の請求項6を請求項7と訂正するものであって、次に記載のとおりである。
「【請求項1】 重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去することにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項2】 重合反応終了後、減圧下及び/又は超音波照射下において、懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去することを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項3】 上記懸濁液の固液比が変化しないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去することを特徴とする請求項1に記載の重
合法トナー粒子の製造方法。
【請求項4】 上記懸濁液の液量が変わらないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去することを特徴とする請求項1に記載の重合法トナーの製造方法。
【請求項5】 重合反応終了後、懸濁液に水を添加しつつ水を留去することを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項6】 得られるトナー粒子の示差走査熱量計測定による吸熱ピークのピークトップ温度以上に該懸濁液を加熱して水系媒体を留去することを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項7】 上記懸濁液からの水系媒体の留去量は、該懸濁液の5乃至100重量%であることを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項8】 上記重合性単量体系は、重合性単量体、着色剤及びワックス類を含有していることを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。」を、
「【請求項1】 重合性単量体、着色剤および重合性単量体100重量部に対して1.0〜100重量部のワックス類を少なくとも含有する重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、該水系媒体中での該重合性単量体系の重合反応終了後、得られた懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、(1)水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、(2)水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は(3)トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項2】 重合反応終了後、減圧下及び/又は超音波照射下において、懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去することを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項3】 重合反応終了後、懸濁液に水を添加しつつ水を留去することを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項4】 上記懸濁液からの水系媒体の留去量は、該懸濁液の5乃至100重量%であることを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項5】重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液の固液比が変化しないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、(1)水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、(2)水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は(3)トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項6】重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液の液量が変わらないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、(1)水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、(2)水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は(3)トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項7】 重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液に水系媒体を添加しつつ、得られるトナー粒子の示差走査熱量計測定による吸熱ピークのピークトップ温度以上に該懸濁液を加熱して水系媒体を留去することにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法。」と訂正する。
B.段落【0012】の、
「【課題を解決するための手段及び作用】
本発明の目的は、以下の本発明の構成により達成される。即ち、本発明は、重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去することにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法である。」を、
「【課題を解決するための手段及び作用】
本件発明の目的は、以下の発明の構成により達成される。即ち、本発明は、
重合性単量体、着色剤および重合性単量体100重量部に対して1.0〜100重量部のワックス類を少なくとも含有する重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、該水系媒体中での該重合性単量体系の重合反応終了後、得られた懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、(1)水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、(2)水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は(3)トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法、
重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液の固液比が変化しないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、(1)水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、(2)水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は(3)トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法、
重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液の液量が変わらないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、(1)水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、(2)水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は(3)トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナーから残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法、及び、
重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液に水系媒体を添加しつつ、得られるトナー粒子の示差走査熱量計測定による吸熱ピークのピークトップ温度以上に該懸濁液を加熱して水系媒体を留去することにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法である。」と訂正する。
(なお、数字を円で囲んだ活字は利用できないので、括弧書きとした。)
2.2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更
訂正事項Aについて
(1)請求項1中の「重合性単量体、着色剤および重合性単量体100重量部に対して1.0〜100重量部のワックス類を少なくとも含有する重合性単量体系」は、「重合性単量体系」を下位概念に限定する訂正であり、訂正前の請求項8,明細書の段落【0020】、【0028】に基づくものである。
また、請求項1中の、「該水系媒体中での該重合性単量体系の重合反応」は「重合反応」を、「得られた懸濁液」は「懸濁液」を、それぞれ明確にする訂正であって、明細書の段落【0042】に基づくものであり、いずれも不明瞭な記載の釈明に該当する。
(2)請求項5は訂正前の請求項3を独立形式の請求項に訂正するものである。
(3)請求項6は、訂正前の請求項4を独立形式の請求項に訂正し、誤記である「重合法トナーの製造方法」を「重合法トナー粒子の製造方法」と訂正するするものである。
(4)請求項1、5及び6の「(但し、(1)水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、(2)水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は(3)トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)」を加入する訂正は、本件発明と先願の特願平3-255908号に係る発明が同一となるのを避けるめの訂正であり、特許請求の範囲の減縮に該当する。
そして、上記訂正Aは特許請求の範囲の減縮、不明瞭な記載の釈明又は誤記の訂正に該当するものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内のものであって、実質的に特許請求の範囲のを拡張又は変更するものでもない。
上記訂正Bについて
訂正Bは、特許請求の範囲の訂正にともなう、明細書の不明瞭な記載を訂正するものであり、明細書に記載の事項の範囲内のものであり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
2.3 訂正の可否についての結論
よって、上記訂正は特許法の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下、「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.異議申立について
3.1 異議申立の理由の概要
申立人山田敬子は、甲第1号証(米国特許第4299903号明細書)及び甲第2号証(特願平3-255908号(特開平5-100485号公報))を提示し、訂正前の請求項1〜8に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができた発明であるから特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、また、請求項1〜8に係る発明は先願の甲第2号証の発明と同一であるから特許法第39条第1項の規定に違反して特許されたものである、と主張する。
3.2 本件発明
本件訂正は認められるので、本件発明は前記のとおりのものである。
3.3 甲号証及び引用刊行物の記載
(当審が通知した取消理由に引用した刊行物1〜5及び先願発明)
刊行物1(特開平1-303450号公報)にはつぎの記載がなされている。
「この懸濁重合によって直接的にトナーを製造する方法においては、着色剤及び電荷制御剤等の多種類のトナー特性付与剤が添加混合された重合性組成物を重合反応を行うのであるが、これらのトナー特性付与剤の中には重合反応を抑制するものが少なくない。特に、一般的な黒色トナーの着色剤であるカーボンブラックは重合禁止作用が強く、重合反応を遅滞させるために、得られ重合体粒子には未反応の単量体が残留することがある。この粒子中に単量体が残留する重合体粒子をトナーとして使用すると、現像器内での耐衝撃性に乏しく、未反応の単量体が表出して、トナーの流動性を低下させて得られる複写画像にカブリを発生させて画像劣化を引き起こし、特に高温・高湿時には現像特性が著しく低下するという問題点があった。」(第2頁右上欄第6行〜左下欄第1行)
「定着性の向上及びオフセットを防止するために上記単量体中にワックスを添加混合することもできる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これら、ワックスは一般に重合性単量体100重量部当たり1乃至5重量部、特に1.5乃至3重量部使用することが好ましい。」(第5頁右上欄第6〜16行)
刊行物2(特開昭60-243664号公報)にはつぎの記載がなされている。
「得られた懸濁液は該懸濁重合に付される。この場合上記した開始剤の分解温度以上の任意の温度で懸濁重合することができるが、通常40〜150℃が好ましい。又この懸濁重合時に所望により前記分散剤を追加して添加してもよい。これにより分散した粒子の再凝集化を防ぐことができる。懸濁重合法にとって単量体の残留は当然のことながら好ましくなく、単量体残留率が高いと分散剤除去時の凝集化、トナーになってからの臭い、帯電性不安定、軟化温度のばらつきの原因となるので、0.5%以下に単量体残留率を下げることが重要である。」(第3頁左上欄第16行〜右上欄第7行)
刊行物3(特開昭52-107087号公報)にはつぎの記載がなされている。
「本発明は水蒸気蒸留のかゝる欠点を改良し、新規な知見を加味し、経済的にしかも効率よく未反応の単量体を含有するスチレン系合成樹脂から未反応の単量体を水蒸気蒸留で除去することに成功したものである。」(第2頁左下欄第13〜17行)
「揮発性物質を含有するスチレン系合成樹脂を温度120〜150℃、圧力1.4〜4kg/cm2Gの条件下で熱水中で混合しながら水蒸気を吹き込み揮発性物質を含有するスチレン系合成樹脂から揮発性物質を除去することを特徴とするスチレン系合成樹脂から揮発性物質を除去する方法。」(特許請求の範囲第1項)
「本発明になる揮発性物質を除去する方法は、特に懸濁重合法によるスチレン系合成樹脂の製造に好適である。
なぜならば、懸濁重合法で得られたスラリーをそのまゝ又は若干の分散剤又は消泡剤を添加するのみで水蒸気蒸留できるという大きなメリットがあるからである。」(第3頁右上欄第14〜20行)
刊行物4(特開昭52-83405号公報)にはつぎの記載がなされている。
「本発明方法により塩化ビニル系重合体の水性媒体懸濁重合反応終了液又は乳化重合反応終了液に直接回転を賦与しつつ水蒸気を吹き込み、液温を40〜100℃の温度として、気相部の圧力をその温度における水の蒸気圧と等しいか又はそれ以下になるよう吸引し、残留単量体を回収除去すれば、驚く程残留単量体の除去が速やかとなりかつ得られた重合体の熱安定性、初期着色及びフィッシュアイ等品質劣化をもたらすことがない。更に副次的効果として熱源の節約と生産性の向上といった工業的価値の極めて優れた効果を奏することもできる。」(第3頁左上欄第7〜19行)
刊行物5(特開昭51-47077号公報)にはつぎの記載がなされている。
「未反応単量体を含む重合体スラリー、重合体ケーキまたは重合体粉末に、10KHz〜1MHzの超音波を照射して、該未反応単量体および適宜含有される単量体以外の揮発性有機化合物を該重合体から脱離させることを特徴とする未反応単量体の除去方法。」(特許請求の範囲)
先願発明(特願平3-255908号(特開平5-100485号公報参照)(甲第2号証に同じ)にはつぎの記載がなされている。
「【請求項1】 懸濁液中にトナー粒子径の液滴を形成した後、重合性単量体を重合せしめてトナー粒子を直接製造するトナー製造方法において、反応後半、或は反応終了後、該懸濁液媒体の飽和蒸気を該懸濁液中に吹き込みつつ該液媒体を溜去する事を特徴とする重合法トナーの製造方法。
【請求項2】 水性懸濁液中にトナー粒子径の液滴を形成した後、重合性単量体を重合せしめてトナー粒子を直接製造するトナー製造方法において、反応後半、或は反応終了後、水溶性溶媒の飽和蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込みつつ、水系溶媒を溜去する事を特徴とする重合法トナーの製造方法。
【請求項3】 水性懸濁液中にトナー粒子径の液滴を形成した後、重合性単量体を重合せしめてトナー粒子を直接製造するトナー製造方法において、トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う事を特徴とするトナー製造方法。」(特許請求の範囲)、
「本発明者は、鋭意検討の結果、懸濁液中に懸濁液媒体飽和蒸気を吹き込む事に依って、気液界面を拡大し、重合性単量体蒸気の重合系外への輸送を速め、一方では気相が懸濁液と同種である事から、泡がいつまでも残留せず、懸濁系の安定を崩さずに済ませる事を見出し、第1発明に至った。」(【0022】)、
「本発明の方法においては、重合転化率が少なくとも90%以上に達した時点で、外部で発生させた、新たな懸濁液媒体蒸気を懸濁液中に導入し、同時に気相の蒸気を溜去する事に重合性単量体を反応系外に排出し、最終的には、残留重合性単体量を1,000ppm以下、臭気を発しない様にとの配慮からは、好ましくは100ppm以下となるまで操作する事が望ましい。この懸濁液媒体蒸気は、多孔質の管等を介して、全体的に且細かな気泡の形で供給すると、よい結果を得る。又、反応操作は、反応系が沸騰しないよう調整する事が望まれる。」(【0028】)、
「懸濁液媒体蒸気に代えて、水溶性溶媒蒸気、或いは乾燥した水溶性気体を用いる場合にも、同様に懸濁液中に導入し、同様の配慮を払うことが望ましい。本発明に使用する水溶性溶媒としては、水に可溶な種々の溶媒が使用出来るが、水への溶解度が高く、揮発性の高いものが発明の目的から言って好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール、アセトン等の低級ケトンの類が、水と任意の割合で混和し、且低沸点であるので好都合である。水溶性の気体としては、炭酸ガス等の酸性ガス、アンモニア等の塩基性ガスが挙げられる。これらの水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体は多孔質の管等を介して、全体的に且細かな気泡の形で供給すると、よい結果を得る。又、反応操作は、反応系が沸騰しないよう調整する事が望まれる。更に、操作中に溜去される水に見合う量の水を補給し水量が変化しないよう配慮する事が望ましい。」(【0029】)、
「【実施例】
実施例1
イオン交換水709gに、0.1M-Na3 PO4 水溶液451gを投入し、60℃に加温した後、1.0M-CaCl2 水溶液67.7gを徐々に添加してCa3(PO4 )2を含む水系媒体を得た。
スチレン 170g
2-エチルヘキシルアクリレート 30g
C.I.ピグメントブルー15:3 10g
スチレン-メタクリル酸-メタクリル酸メチル (85:5:10)分子量(Mw=5万8000) 5g
パラフィンワックス(mp.70℃) 30g
ジ-t-ブチルサリチル酸クロム錯体 5g
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて12,000rpmにて均一に分散、溶解した。これに、重合開始剤2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)[t1/2 =140min.at60℃]10g、及びジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート[t1/2 =1,270min.at60℃、t1/2=80min.at80℃]1gを溶解し、重合性単量体系を調製した。前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N2 雰囲気下においてTK式ホモミキサーにて10,000rpmで20分間撹拌し、トナー粒子サイズの懸濁液滴を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で4時間反応させた。この時点での重合添加率は95%であった。その後、水蒸気の還流を止めて、液温を80℃とし、外部より100℃の水蒸気を、一端を閉じた多孔質セラミック製の管を通して、毎分の水の溜去量が5gになるよう調節しながら、更に10時間撹拌を続けた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えてCa3(PO4 )2 を溶解し、濾過、水洗、乾燥して重量平均径=8.2μm(変動係数[平均径/標準偏差*100%]=23.4%)の重合トナーを得た。この時点で、残留している重合性単量体量は90ppmであった。得られたトナー100重量部に対して、BET法に依る比表面積が200m2 /gである疎水性シリカ0.7重量部を外添した。この外添トナー7重量部に対して、アクリル樹脂で被覆したフェライトキャリア93重量部を混合し、現像剤とした。」(【0056】、【0057】)、
「この現像剤及び外添トナーを用いて、キヤノン製フルカラー複写機CLC-500を用いて画出しを行なった。鮮映で、濃度の高い画像を得た。定着も良好で、オフセット現象も見られなかった。この現像剤を35℃/80%RHの環境に1か月間放置したが、初期と変わらぬ良好な画質であった。定着時にスチレン臭は無く、1万枚画出し後も感光ドラムヘのフィルミング現象やトナーのブロッキング現象は見られなかった。」(【0058】)
(甲第1号証の記載)
甲第1号証は正帯電トナー粒子の製造方法に関し、第6欄第32〜60行の実施例1にはつぎの記載がなされている。
「実施例I
1.典型的な乳化重合技術
乳化重合を達成する一つの方法は、以下の製造工程を含む:
8オンスの圧力ボトルに、次の成分を加えた;45mlの蒸留水、0.3gのドデシルメルカプタン、(連鎖停止剤で重合量を制御する)、0.09gの過酸化カリウム、(開始剤)、及びエマルジョンの安定化材料として使用される3gのラウリル硫酸ナトリウム。本発明の方法においては、長鎖第四級アンモニウム塩がラウリル燐酸ナトリウムに代えられた。
上記混合物に、ブタジエンの含有量が約5〜50%の範囲で、スチレンの含有量が約95〜50%の範囲であるスチレンとブタジエンとから成るモノマー30gを添加した。次いで、ボトルに蓋をして、50℃で、7〜12時間維持した。維持時間はモノマー比に応じて変更した。重合体ラテックスをゆっくりと冷却し、次いで、ボトルを開けた。残存モノマーを水蒸気蒸留で留去し、そして、ラテックスを100mlの2-プロパノールを含有するワーリング・ブレンダー中に注いで凝固させた。凝固物をろ過し、水洗し乾燥させて、スチレンブタジエン共重合樹脂から成る所望のポリマー材料を得た。」(第6欄第32〜59行)
甲第1号証の実施例Vにはつぎの記載がなされている。
「実施例V
928gのスチレン及び672gのn-ブチルメタクリレート(58%/42%)、48gの第三リン酸カルシウム、及び水相で0.6gかつモノマー相で16gのセトール(CetolR)を用いて、実施例Iと同じ方法により懸濁重合を実施した。その結果得られた樹脂から調製したトナーは、実施例Iのキャリアに対して、下記の摩擦帯電値を与えた。」
3.4 対比判断
3.4.1 特許法第29条第2項違反について
3.4.1.1 請求項1に係る発明(以下、本件発明1という)について
刊行物1及び2には、懸濁重合によりトナーを製造する方法において、生成した重合体粒子には未反応の単量体が残留することがあり、この粒子中に単量体が残留した重合体粒子をトナーとして使用すると、悪臭、帯電性不安定、画像劣化等を引き起こす問題点があったこと、また、刊行物1には、懸濁重合のモノマー成分中に、ワックス類を添加混合することが記載されている。
したがって、懸濁重合法によって得られるトナー粒子には未反応の単量体が含有され、トナーとしての性能に悪影響を与えること及びワックスの添加が刊行物1及び2には開示されているが、「懸濁重合により得られたトナー粒子に残存している重合性単量体を除去する方法」に関しては記載又は示唆するところはない。
刊行物3には、スチレン系の合成樹脂から未反応の単量体を水蒸気蒸留で除去する方法に関し、この方法が懸濁重合で得られるスラリーに適用できることは実施例に示され、刊行物4には、懸濁重合反応終了液に水蒸気を吸引減圧下に吹き込み残留単量体を除去することが記載されているところからして、懸濁重合法によって得られる重合粒子には未反応の単量体が含有されていること、及び懸濁重合反応終了液に「水系液体媒体」である水蒸気を吹き込み水を留去することによりその未反応の単量体を除去することが開示されていると認められる(以下、開示事項という)。
そこで、本件発明1と開示事項とを、懸濁重合法により製造されたトナー粒子から残存している重合性単量体の除去する工程について対比すると、
本件発明1が、「得られた懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、(1)水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、(2)水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は(3)トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)」を要件とするのに対し、
開示事項には、「懸濁重合反応終了液に「水系液体媒体」である水蒸気を吹き込む」ことが示されている点で両者は相違する。
本件発明1では、「水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合」を請求項1から除いているのであるから、本件発明1には、該開示された重合性単量体の除去工程を含むものではないことは明らかである。
そして、刊行物3及び4には、「水蒸気を該懸濁液中に吹き込み水を留去する」ことが開示されているにすぎず、本件発明1の前記要件を示唆するものは認められないし、本件発明1の「粒度分布がシャープで単量体の含有量が少なく、トナーとして使用すると良好な画像を提供する」(段落【0071】【発明の効果】参照)ことができるとの効果を示唆するものはない。
刊行物5には、未反応単量体を含むスラリーに超音波を照射して、未反応単量体及び揮発性有機化合物を重合体から除去することが記載されているが、本件発明1の上記要件及び効果を示唆するものはない。
甲第1号証には、懸濁重合反応終了液に「水系液体媒体」である水蒸気を吹き込み水を留去することによりその未反応の単量体を除去すること、及び得られた樹脂からトナーを調製することが記載されているが、本件発明1の上記要件及び効果を示唆するものはない。
したがって、刊行物1〜5及び甲第1号証には本件発明1の要件及び効果を記載又は示唆するものはないので、本件発明1がこれらに記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
3.4.1.2 請求項2〜7に係る発明について
(請求項2〜4に係る発明について)
請求項2〜4に係る発明は、請求項1を引用し、更に限定を付すものであるから、請求項1に係る発明と同様の理由で、刊行物1〜5及び甲第1号証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
(請求項5〜7に係る発明について)
請求項5に係る発明の要件である「重合反応終了後、懸濁液の固液比が変化しないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する」について、 請求項6に係る発明の要件である「 重合反応終了後、懸濁液の液量が変わらないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する」について、及び 請求項7に係る発明の要件である「重合反応終了後、懸濁液に水系媒体を添加しつつ、得られるトナー粒子の示差走査熱量計測定による吸熱ピークのピークトップ温度以上に該懸濁液を加熱して水系媒体を留去する」については、刊行物1〜5及び甲第1号証に記載又は示唆するものはない。 そして、刊行物1〜5及び甲第1号証には、本件請求項5〜7に係る発明の「粒度分布がシャープで単量体の含有量が少なく、トナーとして使用すると良好な画像を提供する」(段落【0071】【発明の効果】参照)ことができるとの効果を示唆するものはない。
したがって、刊行物1〜5及び甲第1号証には本件請求項5〜7に係る発明の要件及び効果を記載又は示唆するところはないので、本件発明がこれらに記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
3.4.2 特許法第39条違反について
訂正後の本件請求項1〜6に係る発明は、先願発明(甲第2号証)に係る発明を除くものであるから、両者が同一の発明であるとすることはできない。
また訂正後の請求項7に係る発明の、「重合反応終了後、懸濁液に水系媒体を添加しつつ、得られるトナー粒子の示差走査熱量計測定による吸熱ピークのピークトップ温度以上に該懸濁液を加熱して水系媒体を留去する」との要件については、先願発明には記載されてはいないので、両者が同一の発明であるとすることはできない。
4.まとめ
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記の通り決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
重合法トナー粒子の製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 重合性単量体、着色剤および重合性単量体100重量部に対して1.0〜100重量部のワックス類を少なくとも含有する重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、該水系媒体中での該重合性単量体系の重合反応終了後、得られた懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、▲1▼水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、▲2▼水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は▲3▼トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項2】 重合反応終了後、減圧下及び/又は超音波照射下において、懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去することを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項3】 重合反応終了後、懸濁液に水を添加しつつ水を留去することを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項4】 上記懸濁液からの水系媒体の留去量は、該懸濁液の5乃至100重量%であることを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項5】 重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液の固液比が変化しないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、▲1▼水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、▲2▼水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は▲3▼トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項6】 重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液の液量が変わらないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、▲1▼水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、▲2▼水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は▲3▼トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項7】 重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液に水系媒体を添加しつつ、得られるトナー粒子の示差走査熱量計測定による吸熱ピークのピークトップ温度以上に該懸濁液を加熱して水系媒体を留去することにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、潜像を顕像化する方法に用いられる重合法トナー粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法は米国特許第2,297,691号明細書等に記載されている如く、多数の方法が知られており、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段で感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写部材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、或いは溶剤蒸気等により定着し複写物を得る。また、トナーを用いて現像する方法、或いはトナー画像を定着する方法としては、従来各種の方法が提案され、それぞれの画像形成プロセスに適した方法が採用されている。
【0003】
従来、これらの目的に用いるトナーは一般に熱可塑性樹脂中に染・顔料からなる着色剤を溶融混合し、均一に分散した後、微粉砕装置、分級機により所望の粒径を有するトナーを製造してきた。
【0004】
この製造方法はかなり優れたトナーを製造し得るが、ある種の制限、即ちトナー用材料の選択範囲に制限がある。例えば樹脂着色剤分散体が充分に脆く、経済的に可能な製造装置で微粉砕し得るものでなくてはならない。ところがこういった要求を満たすために樹脂着色剤分散体を脆くすると、実際に高速で微粉砕した場合に形成された粒子の粒径範囲が広くなり易く、特に比較的大きな割合の微粒子がこれに含まれるという問題が生ずる。さらに、このように脆性の高い材料は、複写機等現像用に使用する際、さらなる微粉砕ないしは粉化を受け易い。また、この方法では、着色剤等の固体微粒子を樹脂中へ完全に均一に分散することは困難であり、その分散の度合によっては、カブリの増大、画像濃度の低下や混色性・透明性の不良の原因となるので、分散に注意を払わなければならない。また、破断面に着色剤が露出することにより、現像特性の変動を引き起こす場合もある。
【0005】
一方、これら粉砕法によるトナーの問題点を克服するため、特公昭36-10231号、同43-10799号及び同51-14895号公報等により懸濁重合法によるトナーの製造方法が提案されている。懸濁重合法においては、重合性単量体、着色剤、重合開始剤さらに必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、その他添加剤を均一に溶解又は分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相、例えば水相中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行なわせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得る。
【0006】
この方法は粉砕工程が全く含まれないため、トナーに脆性が必要ではなく軟質の材料を使用することができ、また、粒子表面への着色剤の露出等が生ぜず、均一な摩擦帯電性を有するという利点がある。
【0007】
しかしながら、この懸濁重合法トナーは、上述のとおり着色剤,荷電制御剤等のトナー特性付与剤が溶解、又は分散された重合性単量体系の重合反応を行なうのであるが、これらのトナー特性付与剤の中には、重合反応を抑制するものが少なくない。特に着色剤,荷電制御剤などを多量に用いた場合など、得られた重合法トナー粒子中に、未反応の単量体が多く残存する傾向にある。このような、残存モノマーを多く含んだトナーは、定着時の悪臭,トナーの流動性低下による画質の低下、耐ブロッキング性の低下等を招くといった問題点があった。
【0008】
これら問題点を解決する手段として半減期の異なる二種類の重合開始剤を用いる等の提案がなされているが、充分満足の行く方法ではない。また、特開平1-303450号公報においては、懸濁重合法により得られた重合生成物を、単量体成分は溶解するが、重合体成分は溶解しない高揮発性有機溶媒中に浸漬して撹拌した後、該溶媒中から重合生成物を取り出し、乾燥する方法が提案されているが、この方法は、固液分離を2回行なうなど製法が複雑であり、また、有機溶媒に可溶のトナー特性付与剤が使用できないといった問題がある。
【0009】
さらに特開平1-70765号公報においては懸濁重合後得られる樹脂のTg以上の温度で加熱し、重合終了時の水量に対して5〜50重量%の水を留去するトナー用樹脂の製造方法が提案されている。この方法によれば確かに残存モノマー量の少ない樹脂が得られるが、この方法を重合トナーの製法に用いた場合、低軟化点化合物(ワックス等)が含まれている場合など粒子の合一が激しく、粒度分布の広いトナーが得られるなどの問題が発生する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上述の如き問題を解決し、残存モノマーの少ない重合法トナー粒子の製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は粒度分布がシャープで、流動性,耐ブロッキング性に優れた、画質の良い重合法トナー粒子を効率良く製造する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明の目的は、以下の発明の構成により達成される。即ち、本発明は、重合性単量体、着色剤および重合性単量体100重量部に対して1.0〜100重量部のワックス類を少なくとも含有する重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、該水系媒体中での該重合性単量体系の重合反応終了後、得られた懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、▲1▼水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、▲2▼水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は▲3▼トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法、
重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液の固液比が変化しないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、▲1▼水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、▲2▼水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は▲3▼トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法、
重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液の液量が変わらないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、▲1▼水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、▲2▼水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は▲3▼トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法、及び、
重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液に水系媒体を添加しつつ、得られるトナー粒子の示差走査熱量計測定による吸熱ピークのピークトップ温度以上に該懸濁液を加熱して水系媒体を留去することにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法である。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明者らは鋭意検討の結果、重合性単量体を水系媒体中で懸濁重合し、反応後半又は終了後、懸濁液に水系媒体を添加しつつ、水系媒体を留去することにより、残存モノマーが少なく、粒度分布がシャープで流動性,耐ブロッキング性に優れた画質の良好なトナー粒子が効率良く得られることを見い出した。
【0015】
即ち、粒子中の残存モノマー量を減少させるべく、懸濁液の水系媒体を留去していくと、固液比が大きくなり、粒子同士の合一、また、反応容器の壁への粒子の融着等が発生してくる。そこで、固液比が変化しないように水系媒体を添加しつつ同時に水系媒体の留去を行なうことで粒度分布がシャープで流動性、耐ブロッキング性に優れた画質の良好なトナー粒子が効率良く得られる。
【0016】
水系媒体の留去の方法としては、得られるトナー粒子の、示差走査熱量計(DSC)測定による吸熱ピークのピークトップ温度以上に加熱しながら、懸濁液量の5〜100重量%の水系媒体を留去する方法が挙げられる。
【0017】
水系媒体の留去量は、5重量%以上であることが必要であり、これより低いとトナー粒子中の残存モノマーが充分少なくならない。逆に100重量%を超えた場合、残存モノマー量の減少は、もはやほとんど認められず、また、残存モノマー量としては本発明の目的を達するに充分である。
【0018】
また、トナー粒子の物性上、留去温度をあまり上げられない場合、減圧下及び/又は超音波を照射しながら水系媒体を留去することで、粒子同士の合一、反応容器壁への粒子付着を防ぐことが可能となる。また、超音波照射は、粒子中の残存モノマーを粒子外へ効率良く追い出してくれる。
【0019】
ただし、この場合もなるべく吸熱ピークトップ温度に近い温度で留去するのが好ましい。これは吸熱ピークトップ温度以下ではトナー粒子中の残存モノマーがトナー粒子中に閉じ込められ、残存モノマーが除去しにくくなるためである。
【0020】
本発明に使用される重合性単量体系を構成する重合性単量体、及び着色剤等のトナー特性付与剤としては、以下のものが挙げられる。
【0021】
重合性単量体としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-エチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n-オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類その他アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
【0022】
これらの単量体は単独、又は混合して使用し得る。上述の単量体の中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独で、又は他の単量体と混合して使用することがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
【0023】
本発明では、単量体系に、極性基を有する樹脂を添加して重合しても良い。本発明に使用できる極性樹脂を以下に例示する。
【0024】
(1)カチオン性重合体としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチル,メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどの含窒素単量体の重合体もしくはスチレン,不飽和カルボン酸エステル等との共重合体が挙げられる。
【0025】
(2)アニオン性重合体としては、アクリロニトリル等のニトリル系単量体、塩化ビニル等の含ハロゲン系単量体、アクリル酸・メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、その他不飽和二塩基酸・不飽和二塩基酸無水物、ニトロ系単量体等の重合体もしくはスチレン系単量体等との共重合体が挙げられる。これら極性樹脂は、トナー粒子の表面付近に局在化することで、トナー粒子の耐ブロッキング性を向上する。
【0026】
本発明で用いられる着色剤としては、公知のものが使用でき、例えば、カーボンブラック、鉄黒の他、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I、アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6等の染料、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、ブリリアントカーミン3B、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、キナクリドン、ローダミンレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等の顔料がある。本発明においては重合法を用いてトナー粒子を得るため、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは、表面改質、例えば、重合阻害のない物質による疎水化処理を施しておいたほうが良い。特に、染料系やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。染料系を表面処理する好ましい方法としては、あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体系に添加する。また、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質、例えば、ポリオルガノシロキサン等でグラフト処理を行っても良い。
【0027】
本発明では、磁性体を添加してもよいが、これも表面処理を行って用いるのが好ましい。
【0028】
また、本発明において熱ロール定着時の離型性を良くする目的で、トナー粒子中に炭化水素系化合物等一般に離型剤として用いられているワックス類を配合しても良い。本発明に用いられるワックス類としては、パラフィン・ポリオレフィン系ワックス及び、これらの変性物、例えば、酸化物やグラフト処理物の他、高級脂肪酸及びその金属塩、アミドワックスなどが挙げられる。これらワックスは環球法(JIS K2531)による軟化点が40〜130℃、好ましくは50〜120℃を有するものが望ましく、軟化点が40℃以下ではトナー粒子の耐ブロッキング性及び保形性が不十分であり、130℃以上では離型性の効果が不十分となる。これら離型剤の添加量としては一般に重合性単量体100重量部あたり1.0〜100重量部使用することが好ましい。
【0029】
本発明においては、トナー粒子の帯電性を制御する目的でトナー材料中に荷電制御剤を添加しておくことが望ましい。これら荷電制御剤としては、公知のもののうち、重合阻害性・水相移行性の殆ど無いものが用いられ、例えば正荷電制御剤としてニグロシン系染料・トリフェニルメタン系染料・四級アンモニウム塩・アミン系及びポリアミン系化合物等が挙げられ、負荷電制御剤としては、含金属サリチル酸系化合物・含金属モノアゾ系染料化合物・スチレン-アクリル酸共重合体・スチレン-メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0030】
重合開始剤としては、いずれか適当な重合開始剤、例えば、2,2’-アゾビスー(2,4-ジメチルバレロニトリル、)2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。これら重合開始剤は、重合性単量体の0.5〜20重量%の添加量が好ましい。
【0031】
本発明では、架橋剤を添加してもよく、好ましい添加量としては、0.001〜15重量%である。
【0032】
本発明で用いられる各種特性付与を目的とした添加剤は、トナー粒子に添加した時の耐久性の点から、トナー粒子の重量平均径の1/10以下の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。これら特性付与を目的とした添加剤としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
【0033】
1)流動性付与剤:金属酸化物(酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンなど)・カーボンブラック・フッ化カーボンなど。それぞれ、疎水化処理を行ったものが、より好ましい。
【0034】
2)研磨剤:金属酸化物(チタン酸ストロンチウム,酸化セリウム,酸化アルミニウム,酸化マグネシウム,酸化クロムなど)・窒化物(窒化ケイ素など)・炭化物(炭化ケイ素など)・金属塩(硫酸カルシウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウムなど)など。
【0035】
3)滑剤:フッ素系樹脂粉末(フッ化ビニリデン,ポリテトラフルオロエチレンなど)・脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムなど)など。
【0036】
4)荷電制御性粒子:金属酸化物(酸化錫,酸化チタン,酸化亜鉛,酸化ケイ素,酸化アルミニウムなど)・カーボンブラックなど。
【0037】
これら添加剤は、トナー粒子100重量部に対し、0.1〜10重量部が用いられ、好ましくは、0.1〜5重量部が用いられる。これら添加剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。
【0038】
本発明において用いられる水系媒体には、いずれ適当な安定化剤を添加する。例えば、無機化合物として、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有機化合物として、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩・ポリアクリル酸及びその塩・デンプン等を水相に分散させて使用できる。この安定化剤は、重合性単量体100部に対して、0.2〜20重量部を使用することが好ましい。
【0039】
また、これら安定化剤の微細な分散のために、0.001〜0.1重量部の界面活性剤を使用してもよい。これは上記分散安定剤の所期の作用を促進するためのものであり、その具体例としては、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
【0040】
これら分散安定剤の中で、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いても良いがより細かい粒子を得るために、水系媒体中にて該無機化合物を生成させても良い。
【0041】
例えばリン酸カルシウムの場合、高撹拌において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合するとよい。
【0042】
本発明において、トナー粒子は、以下の如き方法にて得られる。即ち、重合性単量体中に離型剤、着色剤、荷電制御剤、重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー・超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する水系媒体中に通常の撹拌機又はホモミキサー・ホモジナイサ一等により分散せしめる。好ましくは単量体液滴が所望のトナー粒子のサイズ、一般に30μm以下の粒径を有するように撹拌速度・時間を調整し造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降・浮遊が防止される程度の撹拌を行えば良い。反応終了後、懸濁液に水系媒体を添加しつつ、水系媒体を留去して、分散安定剤を除去し、生成したトナー粒子を洗浄・濾過により回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量体系100重量部に対して水300〜3000重量部を分散媒として使用するのが好ましい。
【0043】
上記工程において、重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行う。また、重合反応後半に昇温しても良い。
【0044】
本発明における粒度分布測定について述べる。
【0045】
測定装置としてはコールターカウンターTA-II型(コールター社製)を用い、個数平均分布、体積平均分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX-1パーソナルコンピューター(キヤノン製)を接続し電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。
【0046】
測定法としては前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を0.5〜50mg加える。
【0047】
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA-II型により、アパチャーとして100μmアパチャーを用いて2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平均分布を求める。これら求めた体積平均分布,個数平均分布より、重量平均粒径を得る。
【0048】
本発明における吸熱ピークトップ温度はDSC-7(パーキンエルマー社製)を用いて昇温速度10℃/minで行ない、1回目の昇温時のDSCカーブにおいて最大の吸熱を示すピークから求めた。
【0049】
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
【0050】
【実施例】
実施例1
イオン交換水709gに0.1M-Na3PO4水溶液451gを投入し60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて12,000rpmにて撹拌した。これに1.0M-CaCl2水溶液67.7gを徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
【0051】
スチレン 170g
2-エチルヘキシルアクリレート 30g
C.I.ピグメントブルー15:3 10g
パラフィンワックス(m.p.70℃) 30g
ジ-tert-ブチルサリチル酸金属化合物 5g
上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて12,000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)10g、及びジメチル2,2’-アゾビスイソブチレート1gを溶解し、重合性単量体系を調製した。前記、水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N2雰囲気下において、TKホモミキサーにて10,000rpmで20分間撹拌し、重合性単量体系を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で3時間反応させた後、液温を80℃とし、10時間反応させた。
【0052】
重合反応終了後200mmHg減圧下、超音波照射下(20KHz,30W)、オイルバス温度を150℃とし、懸濁液の液量が変わらないよう水を添加しつつ、懸濁液の100重量%分の水を留去した。その後、冷却し、塩酸を加え、Ca3(PO4)2を溶解させ、濾過、水洗、乾燥をして重合法トナー粒子を得た。得られたトナー粒子の粒径は重量平均径8.5μmでシャープな粒度分布を有していた。また、DSC測定による吸熱ピークトップ温度は70℃であった。
【0053】
得られたトナー粒子100重量部に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ0.7部を外添した。この外添トナー7部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア93部を混合し、現像剤とした。
【0054】
この現像剤及び外添トナーを用いて、キヤノン製フルカラー複写機CLC-500で画出しを行なった。結果を表1に示す。
【0055】
実施例2
実施例1において、水の留去量を150重量%分とした以外は同様の操作を行なって重合法トナー粒子を得た。得られたトナー粒子の粒径は重量平均径8.7μmでシャープな粒度分布を有していた。また、DSC測定による吸熱ピークトップ温度は70℃であった。
【0056】
実施例1と同様にして現像剤を調製し、画出しを行なった。結果を表1に示す。
【0057】
実施例3
実施例1において、水の留去量を50重量%分とした以外は、同様の操作を行なって重合法トナー粒子を得た。得られたトナー粒子の粒径は、重量平均径8.3μmでシャープな粒度分布を有していた。また、DSC測定による吸熱ピークトップ温度は70℃であった。
【0058】
実施例1と同様にして現像剤を調製し、画出しを行なった。結果を表1に示す。
【0059】
実施例4
実施例1において、水の留去量を5重量%分とした以外は同様の操作を行なって重合法トナー粒子を得た。得られたトナー粒子の粒径は、重量平均径8.4μmでシャープな粒度分布を有していた。また、DSC測定による吸熱ピークトップの温度は70℃であった。
【0060】
実施例1と同様にして現像剤を調製し、画出しを行なった。結果を表1に示す。
【0061】
実施例5
実施例1において、パラフィンワックス量を100gとし、水の留去において、超音波照射を行わず、200mmHgの減圧下、オイルバス温度140℃にて50重量%分の留去を行なった以外は同様の操作を行ない重合法トナー粒子を得た。得られたトナー粒子の粒径は重量平均径8.5μmでシャープな粒度分布を有していた。また、DSC測定による吸熱ピークトップ温度は70℃であった。
【0062】
実施例1と同様にして現像剤を調製し、画出しを行なった。結果を表1に示す。
【0063】
実施例6
実施例1において、常圧下で50重量%分の水を留去した以外は同様の操作を行なって重合法トナー粒子を得た。得られたトナー粒子の粒径は、重量平均径8.6μmでシャープな粒度分布を有していた。また、DSC測定による吸熱ピークトップ温度は70℃であった。実施例3と同様にして現像剤を調製し、画出しを行なった。結果を表1に示す。
【0064】
実施例7
実施例1において、超音波照射を行なわなかった以外は同様にして重合法トナー粒子を得た。
【0065】
得られたトナー粒子の粒径は、重量平均径で8.5μmでシャープな粒度分布を有していた。また、DSC測定による吸熱ピークトップ温度は70℃であった。実施例1と同様にして現像剤を調製し、画出しを行なった。結果を表1に示す
【0066】
比較例1
実施例1において、常圧下、超音波照射をせずかつ、水の留去を行なわなかった以外は、同様の操作を行なって重合法トナー粒子を得た。
【0067】
得られたトナー粒子の粒径は、重量平均径8.4μmでシャープな粒度分布を有していた。またDSC測定による吸熱ピークトップ温度は70℃であった。実施例1と同様にして、現像剤を調製し、画出しを行なった。結果を表1に示す。
【0068】
比較例2
実施例3において、水を添加することなく、50重量%分の水を留去した以外は同様の操作を行なって重合法トナー粒子を得た。得られたトナー粒子は一部合一しており、粒度分布はブロードであった。また、反応容器壁にもトナー粒子が一部融着していた。また、DSC測定による吸熱ピークトップ温度は70℃であった。結果を表1に示す。
【0069】
比較例3
実施例5において、減圧下にすることなくかつ水を添加することなく、液温95℃にて50重量%分の水を留去した以外は同様の操作を行なって重合法トナー粒子を得た。得られたトナー粒子は一部合一しており粒度分布はブロードであった。また、反応容器壁にもトナー粒子が一部融着していた。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】

1)粒度分布 :◎良好,○実用上支障なし,△実用限界,×実用不可
2)定着時悪臭:ベタ画像を100枚定着したときの臭気
◎臭気なし,O極微臭あり,Δやや臭気あり,×臭気あり
3)画質 :◎良好,○実用上支障なし,△実用限界
【0071】
【発明の効果】
本発明の製造方法によるトナー粒子は、粒度分布がシャープで単量体の含有量が少いため、画像定着時の悪臭や、画質の低下を招くことなく良好な画像を提供することができる。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2946133号の明細書を次のとおり訂正する。
特許請求の範囲の訂正は、訂正前の請求項8を削除し、訂正前の請求項1及び8に基づいて請求項1とし、訂正前の請求項5を請求項3、訂正前の請求項7を請求項4、訂正前の請求項3を請求項5、訂正前の請求項4を請求項6、訂正前の請求項6を請求項7と訂正するものであって、次に記載のとおりである。
A.特許請求の範囲の
「【請求項1】 重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去することにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項2】 重合反応終了後、減圧下及び/又は超音波照射下において、懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去することを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項3】 上記懸濁液の固液比が変化しないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去することを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項4】 上記懸濁液の液量が変わらないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去することを特徴とする請求項1に記載の重合法トナーの製造方法。
【請求項5】 重合反応終了後、懸濁液に水を添加しつつ水を留去することを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項6】 得られるトナー粒子の示差走査熱量計測定による吸熱ピークのピークトップ温度以上に該懸濁液を加熱して水系媒体を留去することを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項7】 上記懸濁液からの水系媒体の留去量は、該懸濁液の5乃至100重量%であることを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項8】 上記重合性単量体系は、重合性単量体、着色剤及びワックス類を含有していることを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。」を、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的として、
「【請求項1】 重合性単量体、着色剤および重合性単量体100重量部に対して1.0〜100重量部のワックス類を少なくとも含有する重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、該水系媒体中での該重合性単量体系の重合反応終了後、得られた懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、(1)水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、(2)水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は(3)トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項2】 重合反応終了後、減圧下及び/又は超音波照射下において、懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去することを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項3】 重合反応終了後、懸濁液に水を添加しつつ水を留去することを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項4】 上記懸濁液からの水系媒体の留去量は、該懸濁液の5乃至100重量%であることを特徴とする請求項1に記載の重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項5】重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液の固液比が変化しないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、(1)水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、(2)水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は(3)トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項6】重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液の液量が変わらないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、(1)水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、(2)水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は(3)トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法。
【請求項7】 重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液に水系媒体を添加しつつ、得られるトナー粒子の示差走査熱量計測定による吸熱ピークのピークトップ温度以上に該懸濁液を加熱して水系媒体を留去することにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法。」と訂正する。
B.段落【0012】の、
「【課題を解決するための手段及び作用】
本発明の目的は、以下の本発明の構成により達成される。即ち、本発明は、重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去することにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法である。」を特許請求の範囲の減縮に伴う不明瞭な記載の釈明を目的として、
「本件発明の目的は、以下の発明の構成により達成される。即ち、本発明は、 重合性単量体、着色剤および重合性単量体100重量部に対して1.0〜100重量部のワックス類を少なくとも含有する重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、該水系媒体中での該重合性単量体系の重合反応終了後、得られた懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、(1)水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、(2)水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は(3)トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法、
重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液の固液比が変化しないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、(1)水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、(2)水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は(3)トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法、
重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液の液量が変わらないように、該懸濁液に水系媒体を添加しつつ水系媒体を留去する(但し、(1)水蒸気を該懸濁液中に吹き込み、かつ水を留去する場合、(2)水溶性溶媒蒸気、或は水溶性気体を該懸濁液中に吹き込み、かつ該水溶性溶媒或は該水溶性気体を留去する場合、又は(3)トナー粒子中の溶媒および/あるいは重合性単量体が1%以下になるまで該水性懸濁液中にあるいは過飽和の水蒸気存在下に保持した後、溶媒および/あるいは重合性単量体の低減操作を行う場合を除く)ことにより、得られる重合法トナーから残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法、及び、
重合性単量体系を水系媒体中で懸濁重合して得られる重合法トナー粒子の製造方法であって、重合反応終了後、懸濁液に水系媒体を添加しつつ、得られるトナー粒子の示差走査熱量計測定による吸熱ピークのピークトップ温度以上に該懸濁液を加熱して水系媒体を留去することにより、得られる重合法トナー粒子から残存している重合性単量体を除去することを特徴とする重合法トナー粒子の製造方法である。」と訂正する。
異議決定日 2001-01-29 
出願番号 特願平3-257198
審決分類 P 1 651・ 4- YA (G03G)
P 1 651・ 121- YA (G03G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 菅野 芳男  
特許庁審判長 高梨 操
特許庁審判官 六車 江一
植野 浩志
登録日 1999-07-02 
登録番号 特許第2946133号(P2946133)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 重合法トナー粒子の製造方法  
代理人 渡辺 敬介  
代理人 渡邉 敬介  
代理人 豊田 善雄  
代理人 豊田 善雄  

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