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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  C11D
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  C11D
管理番号 1041242
異議申立番号 異議1999-74373  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-08-04 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-11-26 
確定日 2001-02-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2908892号「液体洗浄剤組成物」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2908892号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 (1)手続の経緯
特許第2908892号の請求項1に係る発明についての出願は、平成3年2月1日に特許出願され、平成11年4月2日に特許権の設定登録がなされた。その後、その特許について、異議申立人 日本パーオキサイド株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年7月28日に訂正請求がなされたものである。
(2)訂正の適否についての判断
1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のa、bのとおりである。
a.特許請求の範囲の記載
「【請求項1】 (a)過酸化水素、
(b)アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤および
(c)グルタル酸またはその塩
を含有することを特徴とする液体洗浄剤組成物。
【請求項2】 さらに、
(d)ポリエチレングリコール
を含有する請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。」を
「【請求項1】(a)過酸化水素、:0.5〜8重量%
(b)アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤:1〜10重量%および
(c)グルタル酸またはその塩:0.5〜8重量%
を含有することを特徴とする液体洗浄剤組成物。
【請求項2】 さらに、
(d)ポリエチレングリコール:0.1〜10重量%
を含有する請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。」に訂正する。
b.発明の詳細な説明中の段落【0005】「【課題を解決するための手段】本発明の液体洗浄剤組成物は、以下の(a),(b),(c)の3成分、あるいはさらに(d)成分の4成分を含有することを特徴とする。
(a)過酸化水素。
(b)アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤。
(c)グルタル酸またはその塩。
(d)ポリエチレングリコール。」を
「【課題を解決するための手段】本発明の液体洗浄剤組成物は、以下の(a),(b),(c)の3成分、あるいはさらに(d)成分の4成分を含有することを特徴とする。
(a)過酸化水素:0.5〜8重量%。
(b)アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤:1〜10重量%。
(c)グルタル酸またはその塩:0.5〜8重量%。
(d)ポリエチレングリコール:0.1〜10重量%。」に訂正する。
2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正a.は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内で各配合成分の重量%を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、また、上記訂正b.は、上記訂正a.と整合を図るものであるから、明りようでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
3)独立特許要件の判断
訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「(a)過酸化水素、:0.5〜8重量%
(b)アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤:1〜10重量%および
(c)グルタル酸またはその塩:0.5〜8重量%
を含有することを特徴とする液体洗浄剤組成物。」
これに対して、当審が通知した取消理由で引用した刊行物1(特開昭53-81619号公報)には、「安定な水性ペルオキシ含有濃厚液において、重量で
(a)約8〜45%の過グルタル酸;
(b)約5〜50%の過酸化水素;
(c)約0.01〜5%の、該過グルタル酸と該過酸化水素とに対する安定剤;及び
(d)残部の水
からなる濃厚液。」(特許請求の範囲第1項)が記載され、その発明は、「水性の漂白、洗浄、抗微生物組成物の製造に役立つ安定な過グルタル酸水性濃厚液に関する。」(1頁右下欄5〜7行)ものであり、上記過グルタル酸は、通常、「無水グルタル酸かグルタル酸を過酸化水素水溶液と反応させるか、過グルタル酸の過酸化物を過酸化水素水溶液か水で処理することにより得ることができる。」(3頁左上欄19行〜右上欄1行)こと、「水溶液中においては過カルボン酸と水とは過酸化水素及び対応カルボン酸と平衡して存在する。それゆえ、本発明のペルオキシ含有濃厚液は若干のグルタル酸を必然的に含む。」(3頁右上欄20行〜左下欄4行)こと、「本発明のペルオキシ含有濃厚液の過グルタル酸含量はその8〜45重量%を占め、過酸化水素含量は約5〜50重量%、好ましくは約5〜30重量%を占めることができる。この過グルタル酸の濃度が8〜45重量%の下半部側、即ち約8〜20%に低下するときには、過酸化水素の濃度は重量で濃厚液の約10〜50%、好ましくは20〜50%とすべきである。過グルタル酸の濃度を高くするときには低濃度で過酸化水素を用いることができる。」(2頁左下欄1〜10行)こと、「本発明のペルオキシ含有濃厚液の利点は、その使用特性を改良するために、安定性や過カルボン酸含量に悪影響することなく多数の耐酸化安定性物質と混合できるという点である。例えば、硫酸やリン酸の様な無機酸を加えて濃厚液のPHを調整できる。香料を加えて所望の臭気を濃厚液に付与でき、又界面活性剤を加えて表面張力を下げ即ち発泡製品を生成できる。適当な界面活性剤は、ノニオン性、アニオン性又はカチオン性の湿潤剤、ベタイン類、ジメチルドデシルアミンオキシドり様なアミンオキシド、ジメチルドデシルホスフィンオキシドの様なホスフィンオキシドである。」(4頁右下欄15行〜5頁左上欄6行)ことが記載されている。
(対比・判断)
本件発明と上記刊行物1に記載された発明とを対比する。
刊行物1の濃厚液中では、過カルボン酸と水は過酸化水素及び対応カルボン酸と平衡して水溶液中に存在するから、グルタル酸を含むものであり、さらに、刊行物1の濃厚液は、アニオン性等の界面活性剤を配合できるものである。一方、本件発明においても、水溶液中にグルタル酸と過酸化水素が存在しているので、過グルタル酸が生成し、過グルタル酸、グルタル酸、過酸化水素、水が平衡状態で存在しており、さらに、アニオン性等の界面活性剤も含有されている。そして、刊行物1の濃厚液は洗浄組成物に使用でき、本件発明の用途である液体洗浄剤組成物とも一致している。
したがって、本件発明と上記刊行物1に記載された発明とは、配合成分が過酸化水素、アニオン性等の界面活性剤、平衡状態にあるグルタル酸及び過グルタル酸を含む点及びその用途で一致している。しかし、各成分の配合割合は、i)平衡状態にあるグルタル酸及び過グルタル酸が、本件発明では、グルタル酸が0.5〜8重量%と規定されているのに対して、上記刊行物1に記載された発明では、過グルタル酸が約8〜45%重量%と規定され、平衡状態にあるグルタル酸の存在割合が不明である点、ii)過酸化水素の配合量については一部重複するものの、刊行物1での過酸化水素量は過グルタル酸の濃度と連動して変動する点、iii)本件発明では、アニオン性等の界面活性剤が1〜10重量%であるのに対して、上記刊行物1に記載された発明では、アニオン性等の界面活性剤の配合量が記載されていない点で両者は相違する。
まず、上記相違点i)及びii)について検討する。
本件発明では、過酸化水素は殺菌剤として添加され、グルタル酸は過酸化水素の安定性を高め、経日による沈殿の生成を防止して保存安定性を向上し、洗浄力を改善するために添加されるものである(本件特許公報5欄13〜21行参照)。そして、それらの含有量はいずれも最高で8重量%とかなり低い値であるから、グルタル酸と過酸化水素とが一部反応し、平衡状態で過グルタル酸が存在しているとしても、その量は8重量%よりもかなり少ない量と推測され、刊行物1発明の過グルタル酸、グルタル酸平衡系での過グルタル酸量とは明らかに相違する。さらに、刊行物1の発明では、本件発明のように過グルタル酸の濃度が低い範囲、例えば該濃度が約8〜20重量%に低下するときには、過酸化水素の濃度は重量で濃厚液の10〜50重量%とすべき旨記載されており、本件発明の過酸化水素濃度(最高でも8%)と同一とはなり得ない。また、刊行物1の発明は、過グルタル酸の安定な濃厚液を得ることを目的としているから、過グルタル酸、グルタル酸平衡系を本件発明と同程度の低い配合量になるようにすることは意図されていないし、過酸化水素の配合量についても、本件発明程度の低い過酸化水素の配合範囲は、過グルタル酸濃厚液の安定化という刊行物1の発明の目的を達成できないから、そのような範囲もとり得ない。
よって、本件発明は、相違点iii)を検討するまでもなく、刊行物1に記載された発明とすることはできないし、刊行物1に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
また、本件請求項2に係る発明は、本件発明の配合成分に加えて、さらにポリエチレングリコールを配合するものであるから、本件発明と同様の理由で刊行物1に記載された発明から、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、本件請求項1及び2に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
4)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法改正前の同法第126条1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
(3)特許異議の申立てについての判断
1)申立ての理由の概要
申立人 日本パーオキサイド株式会社は、本件発明は、甲第1号証(特開昭53-81619号公報、取消理由で引用した刊行物1)に記載された発明であり、特許法第29条第1項により、特許を受けることができないものであるから、本件発明に係る特許を取り消すべきと主張している。
2)判断
本件発明は、上記(2)3)で示したように、取消理由通知で示した刊行物(甲第1号証)に記載された発明でもないし、該発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
液体洗浄剤組成物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)過酸化水素、:0.5〜8重量%
(b)アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤:1〜10重量%
および
(c)グルタル酸またはその塩:0.5〜8重量%
を含有することを特徴とする液体洗浄剤組成物。
【請求項2】 さらに、
(d)ポリエチレングリコール:0.1〜10重量%
を含有する請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、殺菌効果をもち、洗浄力に優れた液体洗浄剤組成物に関する、
【0002】
【従来の技術】
住居内の汚れには、カビに起因する汚れや、水道水中のカルシウムなどに起因する汚れがあり、これら汚れの除去のために酸や酸化剤を配合した液体洗浄剤が用いられてきた。例えば、カビやトイレ内の細菌などの汚れを除去するサニタリークリーナーとしては、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いる組成物(特開昭52-78905号公報)が一般的であった。また、トイレや浴室内の水道水由来の汚れを除去する目的では、リンゴ酸、クエン酸などの有機酸を配合した組成物(特開昭51-71302号公報)が開示されている。さらに、殺菌性と汚れ除去性を併せもつものとして、過酸化水素、有機酸および界面活性剤よりなる組成物(特開昭59-164400号公報)も提案されている。そして、これら液体洗浄剤組成物で用いられている有機酸は、その溶解性の点から、ヒドロキシカルボン酸類や不飽和カルボン酸類であった。
【0003】
しかしながら、ヒドロキシカルボン酸や不飽和カルボン酸の如き有機酸と過酸化水素とを併用・共存させた組成物は、保存中に過酸化水素が分解して酸素ガスが発生し、容器内圧が高まり、容器が膨らんだり、破裂するなどの問題があった。また、上記の如き有機酸を配合した液体洗浄剤では、経日により沈澱を生じ、保存安定性の点で問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、過酸化水素が安定に配合され、しかも経日安定性および洗浄性能が優れた液体洗浄剤組成物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の液体洗浄剤組成物は、以下の(a),(b),(c)の3成分、あるいはさらに(d)成分の4成分を含有することを特徴とする。
(a)過酸化水素:0.5〜8重量%。
(b)アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤:1〜10重量%。
(c)グルタル酸またはその塩:0.5〜8重量%。
(d)ポリエチレングリコール:0.1〜10重量%。
【0006】
【実施態様】
(a)成分の過酸化水素は、殺菌剤としての有効性と安定性の観点から、組成物中に0.5〜8重量%、好ましくは1.5〜5重量%配合することが望ましい。
本発明では、(b)成分の界面活性剤としてアニオン性またはノニオン性のものが用いられ、これらは単独でまたは2種以上併用して用いられる。これら界面活性剤は、本発明の液体洗浄剤組成物中に、1〜10重量%配合することが好ましく、より好ましくは2〜5重量%である。
【0007】
アニオン界面活性剤としては、酸性から弱酸性領域で安定なものが好ましく、アルキル(C4〜C12)ジフェニルエーテルジスルホネート、アルキル(C10〜C14)ベンゼンスルホネート、アルカン(C10〜C18)スルホネート、α-オレフィン(C12〜C16)スルホネート、アルキル(C8〜C12)フェノールポリオキシエチレン(p=3〜10)エーテルサルフェート、アルキル(C8〜C12)フェノールポリオキシエチレン(p=3〜16)エーテルサルフェート・スルホネート(NES-D)、ポリオキシエチレン(p=1〜5)アルキル(C10〜C16)エーテルサルフェートなどが挙げられ、好ましくは、アルキルベンゼンスルホネートおよびアルカンスルホネートである。なお、pはエチレンオキシドの平均付加モル数を示す。
【0008】
ノニオン界面活性剤としては、炭素数約8〜24の高級アルコール、多価アルコール、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸アミン、アルキルフェノールおよびn-パラフィンやα-オレフィンを酸化して得られる合成アルコールの、アルキレンオキシド付加物などが用いられる。アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドが用いられる。
【0009】
具体的には、ポリオキシエチレン(p=5〜20)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(p=5〜20)C10〜C14第二級アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(p=5〜20)ヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレン(p=5〜20)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(p=5〜20)グリセリルモノステアレート、ポリオキシエチレン(p=5〜20)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(p=5〜20)モノステアレート、ポリオキシエチレン(p=5〜20)ステアリルアミド等が挙げられ、好ましくは、ポリオキシエチレン(p=5〜20)C12〜C14第二級アルキルエーテルであり、例えば、日本触媒化学工業(株)のソフタノールがある。
【0010】
(c)成分のグルタル酸またはその塩は、通常0.5〜8重量%、好ましくは1〜6重量%配合される。この配合量が0.5重量%未満では酸としての働きが弱く、洗浄力が劣り好ましくない場合がある。一方、8重量%を超えると、過酸化水素の安定性に悪影響を与え酸素ガスを発生する場合があり、また、保存安定性が劣化し、経日により沈澱を生じる場合がある。
【0011】
グルタル酸またはその塩は、工業的に高純度のものが得がたく、また得られたとしても高価である。グルタル酸または塩は、コハク酸(塩)/グルタル酸(塩)/アジピン酸(塩)の重量比が18〜30/60〜70/10〜15の混合物として工業的に安価に入手できるので、この混合物を使用して本発明の液体洗浄剤組成物を調製しても差しつかえがない。この場合、グルタル酸(塩)が、コハク酸(塩)、アジピン酸(塩)に対してハイドロトロープ効果を示し、コハク酸(塩)、アジピン酸(塩)の液安定性を増す。
【0012】
さらに、保存安定性の改良、過酸化水素からの酸素ガス発生抑制の観点から、(d)成分としてポリエチレングリコールを液体洗浄剤組成物中に0.1〜10重量%配合することが好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%配合される。ポリエチレングリコールとしては、重量平均分子量100〜20000のものが好適であり、より好ましくは100〜2000である。
【0013】
さらに本発明の液体洗浄剤組成物中には、過酸化水素の安定剤として、キレート剤、酸化防止剤などを配合することができる。
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等のアミノポリカルボン酸類;トリポリリン酸、ピロリン酸等の無機リン化合物;1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、2-ホスホノ-1,2,4-トリカルボン酸等のホスホン酸類ならびにこれらの塩が挙げられる。
【0014】
酸化防止剤としては、トコフェロール、没食子酸誘導体、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)などが挙げられる。
これら安定化剤は、過酸化水素の濃度にもよるが、液体洗浄剤組成物中に0〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%添加される。
【0015】
本発明の液体洗浄剤組成物は、その他、公知のハイドロトロープ、着色剤(例えば、特公昭55-20519号公報に記載の銅フタロシアニン系顔料)、pH調節剤、粘度調節剤などの任意成分を適宜配合することができる。
また、本発明の液体洗浄剤組成物は、通常、水溶液ないし水性乳化液の形態をとるが、そのpHは6未満が好適であり、好ましくは1.5〜4.5の範囲である。
【0016】
【発明の効果】
本発明では、過酸化水素およびノニオンまたはアニオン界面活性剤を含む系にグルタル酸またはその塩を添加して殺菌性の液体洗浄剤組成物とすることにより、過酸化水素の安定性を高め、経口による沈澱の生成を防止して保存安定性を向上し、しかも洗浄力を大幅に改善することができる。また、さらにポリエチレングリコールを配合することにより、過酸化水素の安定性および組成物の保存安定性をいっそう改善することができる。
【0017】
よって、本発明の液体洗浄剤組成物は、殺菌洗浄に有効であり、特にトイレ用、台所まわり、電子レンジまわり、浴室まわりなどにおける住居用洗浄剤として好適記に使用される。
【0018】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明の効果について具体的に説明するが、これに先立って実施例で用いた評価方法を示す。
(1)洗浄力試験方法
【0019】
(a)モデル尿垢の作成
リン酸カルシウム50重量部、尿素10重量部、尿酸カルシウム10重量部、馬尿酸カルシウム10重量部およびムチン20重量部に水150重量部を添加して混練したペーストを、2.5cm×4.5cmのスリガラスに0.16g均一に塗布した。これを105℃のオーブンで1時間乾燥させたものを、モデル尿垢とした。
【0020】
(b)洗浄力の評価法
洗浄剤100mlに上記方法で作成したモデル尿垢を30秒浸漬した後、スポンジで2回こすった時の汚れ落ちを目視で判定する。
○:モデル尿垢汚れが、ほとんど除去される
△:モデル尿垢汚れが、ある程度除去される
×:モデル尿垢汚れが、ほとんど除去できない
【0021】
(2)凍結復元性の試験方法
100mlのガラス瓶に試料を入れ、-20℃(1日)←→0℃(1日)の凍結復元サイクルを行なった後、5℃で1日保存した時の外観を目視判定する。
◎:凍結復元4サイクルで均一透明
○:凍結復元2サイクルで均一透明
×:凍結復元2サイクルで白濁または沈澱析出
【0022】
(3)ガス発生試験法
300mlのプラスチック容器に試料を入れ、密栓したのち50℃で保存した。保存後のボトル外観を、水のみを封入した同一の容器の外観と比較して、目視判定した。
◎:2週間保存で水封入品と同等
○:1週間保存で水封入品と同等
×:1週間保存で水封入器に較べて明らか、に劣る(膨張)
【0023】
実施例1
後記表1〜表4に示した試料No.1〜13の液体洗浄剤を調製し、性能を評価して、その結果を同表に示した。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
【表3】

【0027】
【表4】


【0028】
実施例2
こすった程度では簡単に除去できないポリ製風呂桶に付着した湯垢汚れ(1ケ月使用品)に、実施例1の試料No.1の配合組成原液をふりかけ、1分放置後、桶表面をウレタン製のスポンジにて10回往復こすり、汚れ落ちを評価したところ、良好な汚れ落ちであった。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
〔訂正事項a〕
特許第2908892号の明細書中の特許請求の範囲に係る記載
「 【請求項1】
(a)過酸化水素、
(b)アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤および
(c)グルタル酸またはその塩
を含有することを特徴とする液体洗浄剤組成物。
【請求項2】 さらに、
(d)ポリエチレングリコール
を含有する請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。」
を、
「 【請求項1】
(a)過酸化水素、:0.5〜8重量%
(b)アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤:1〜10重量%および
(c)グルタル酸またはその塩:0.5〜8重量%
を含有することを特徴とする液体洗浄剤組成物。
【請求項2】 さらに、
(d)ポリエチレングリコール:0.1〜10重量%
を含有する請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。」
と訂正する。
〔訂正事項b〕
(i)同明細書中の段落【0005】(特許第2908892号公報第2頁第3欄の段落【0005】
「【課題を解決するための手段】
本発明の液体洗浄剤組成物は、以下の(a),(b),(c)の3成分、あるいはさらに(d)成分の4成分を含有することを特徴とする。
(a)過酸化水素。
(b)アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤。
(c)グルタル酸またはその塩。
(d)ポリエチレングリコール。」
とあるのを、
「 【課題を解決するための手段】
本発明の液体洗浄剤組成物は、以下の(a),(b),(c)の3成分、あるいはさらに(d)成分の4成分を含有することを特徴とする。
(a)過酸化水素:0.5〜8重量%。
(b)アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤:1〜10重量%。
(c)グルタル酸またはその塩:0.5〜8重量%。
(d)ポリエチレングリコール:0.1〜10重量%。」に訂正する。
異議決定日 2001-02-05 
出願番号 特願平3-33634
審決分類 P 1 652・ 113- YA (C11D)
P 1 652・ 121- YA (C11D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 恵理子  
特許庁審判長 松井 佳章
特許庁審判官 佐藤 修
後藤 圭次
登録日 1999-04-02 
登録番号 特許第2908892号(P2908892)
権利者 ライオン株式会社
発明の名称 液体洗浄剤組成物  
代理人 臼村 文男  
代理人 臼村 文男  

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