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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C30B
審判 全部申し立て 特39条先願  C30B
管理番号 1041251
異議申立番号 異議2000-70239  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-01-13 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-01-26 
確定日 2001-02-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2923260号「単結晶引上装置、高純度黒鉛材料及びその製造方法」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2923260号の請求項1〜3に係る特許を維持する。 
理由 1.本件の経緯
本件特許第2923260号は、昭和62年7月13日に出願した特願昭62-174398号の一部を新たな特許出願として、平成9年3月19日に出願し、平成11年4月30日に設定登録され、同年7月26日に特許公報に掲載されたところ、平成12年1月26日に田中和幸から特許異議の申立を受けたもので、その後平成12年5月31日付で取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年8月21日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否
(1)訂正事項
(a)特許請求の範囲の請求項1の「前記減圧下より更に低い」を、「冷却途中で前記減圧下より更に低い」と訂正する。
(b)特許請求の範囲の請求項1の「全灰分5ppm以下の高純度化黒鉛材料」を、「全灰分5ppm以下でアウトガスが少ない高純度化黒鉛材料」と訂正する。
(c)特許請求の範囲の請求項2の「前記減圧下より更に低い」を、「冷却途中で前記減圧下より更に低い」と訂正する。
(d)特許請求の範囲の請求項2の「強減圧下で冷却され」を、「強減圧下で冷却され、窒素ガス雰囲気下で常温常圧に戻すように冷却され」と訂正する。
(e)特許請求の範囲の請求項2の「全灰分5ppm以下に高純度化された高純度黒鉛材料」を、「全灰分5ppm以下でアウトガスが少ない高純度黒鉛材料」と訂正する。
(f)特許請求の範囲の請求項3の「全灰分5ppm以下の高純度黒鉛材料」を、「全灰分が5ppm以下でアウトガスが少ない高純度黒鉛材料」と訂正する。
(g)特許請求の範囲の請求項3の「前記減圧下より更に低い」を、「冷却途中で前記減圧下より更に低い」と訂正する。
(h)特許請求の範囲の請求項3の「強減圧下の冷却工程」を、「強減圧下で冷却され、窒素ガス雰囲気下で常温常圧に戻す冷却工程」と訂正する。
(i)本件明細書の[0007]段落(本件特許公報第3欄34〜35行)の「前記減圧下より更に低い」を、「冷却途中で前記減圧下より更に低い」と訂正する。
(j)本件明細書の[0007]段落(本件特許公報第3欄35行)の「強減圧下で冷却し」を、「強減圧下で冷却し、窒素ガス雰囲気下で常温常圧に戻すように冷却し」と訂正する。
(k)本件明細書の[0007]段落(本件特許公報第3欄35〜36行)の「全灰分5ppm以下に高純度化された高純度黒鉛材料」を、「全灰分5ppm以下でアウトガスが少ない高純度化黒鉛材料」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記(a)〜(h)の訂正は、特許請求の範囲の内容を技術的にさらに限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるし、上記(i)〜(k)の訂正は、上記(a)〜(h)の訂正に伴い、本件明細書の発明の詳細な説明の記載を特許請求の範囲の記載内容と整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記(a)〜(k)の訂正は、本件特許明細書の[0022]段落に記載された事項等に基づくものであるから、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内のものであり、また、上記(a)〜(k)の訂正は、特許請求の範囲を実質的に拡張・変更するものではない。
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項第1号もしくは第3号に掲げる事項を目的とするものであり、また、同条第3項で準用する同法第126条第2項および第3項の規定に適合するものであるから、上記訂正を認める。
3.特許異議の申立てについての判断
(1)訂正後の本件発明
訂正後の本件発明は、訂正請求書に添付された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された以下のものである。
[請求項1]単結晶引上装置に於いて、黒鉛ルツボ、黒鉛ヒーター及び黒鉛保温筒の少なくとも1種が、ハロゲンガスを用いた減圧下で高純度化され、冷却途中で前記減圧下より更に低い強減圧下で冷却され、全灰分5ppm以下でアウトガスが少ない高純度化黒鉛材料から成ることを特徴とする単結晶引上装置。
[請求項2]ハロゲンガスを用いた減圧下で高純度化され、冷却途中で前記減圧下より更に低い強減圧下で冷却され、窒素ガス雰囲気下で常温常圧に戻すように冷却され、全灰分5ppm以下でアウトガスが少ない高純度黒鉛材料。
[請求項3]全灰分5ppm以下でアウトガスが少ない高純度黒鉛材料の製造方法であって、ハロゲンガスを用いた減圧下の高純度化処理工程、冷却途中で前記減圧下より更に低い強減圧下で冷却され、窒素ガス雰囲気下で常温常圧に戻す冷却工程と、を含んでなる高純度黒鉛材料の製造方法。
(2)特許異議申立人の主張
特許異議申立人田中和幸は、甲第1号証(特公平6-2637号公報:本件特許に係る分割出願の原出願である特願昭62-174398号の公告公報)、甲第2号証(特公平6-35325号公報)、甲第3号証(甲第2号証に係る特許出願についての平成8年5月13日付手続補正書)、甲第4号証(「化学工業日報」、昭和61年8月8日発行)、甲第5号証(特開昭63-79759号公報)、甲第6号証(特開昭64-18986号公報:本件特許に係る出願の分割原出願である特願昭62-174398号の公開公報)を提出して、次のa.およびb.の主張をしている。
a.本件特許は、昭和62年7月13日に出願した特願昭62-174398号の一部を新たな特許出願として平成9年3月19日に出願したものであるが、本件特許に係る出願は、原出願に含まれていない発明について出願したものであって、特許法第44条第1項の規定を満たしていないから、本件特許の出願日は原出願の出願日に遡及しない。してみると、本件特許の出願日は平成9年3月19日であり、本件請求項1〜3に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
b.本件請求項1〜3に係る発明は、仮に本件特許に係る出願が特許法第44条第1項の規定により適法に分割したものであるとしても、本件特許の出願前に本件特許権者が出願した甲第2号証に示される先願の請求項3に係る発明と同一であるから、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない。
(3)検討・判断
i)上記a.の主張について
特許異議申立人は、甲第6号証で示される分割原出願の出願当初の明細書には、本件特許発明の構成に関して、「高純度化操作が完了した時点で、炉内の温度を更に上げ、3000℃にて10〜30時間程度保って工程を完了する。炉を冷却する工程の途中、約2000℃に於いて容器内圧力を10-2乃至10-4Toorに強減圧し、冷却することにより、アウトガスの少ない高純度炭素材を得ることが出来る。」の記載(甲第6号証の第4頁右下欄1〜7行)があるに過ぎないとして、[本件特許発明の構成である「減圧下で高純度化され、前記減圧下より更に低い強減圧下で冷却され」の構成が開示されていない。すなわち、本件特許発明の構成に含まれる、高純度化の温度から直ちに冷却されることおよび冷却を1Toorから10-2Toor間の減圧下で行うことについては記載がなく、高純度化の温度2450から2500℃から一度3000℃に上げ、2000℃に冷却されたところで10-2乃至10-4Toorの範囲の強減圧下で冷却すること以外の発明は原出願の明細書に開示されていなかったものである。]と主張し、さらに、[本件特許の出願の明細書[0034]〜[0036]に記載されている、本件特許発明の製造方法により得られた黒鉛材の性質([表1]に示される)を測定することおよびその測定結果については原出願の明細書に記載も示唆もなく、さらに、明細書の[0040]や[0042]に記載される本件特許発明の効果等も原出願の明細書には開示されていない。]と主張する(申立書第3頁14行〜第4頁4行)。
しかしながら、原出願の当初明細書には、本件特許発明に係る黒鉛材と従来品との性質比較に関する「表1」および段落[0034]〜[0036]の記載について、段落等の記載形式は異なるものの、上記「強減圧」以外については同様の内容が記載されているし、また、原出願の明細書第14頁(甲第6号証の第4頁右下欄)4〜7行の「炉を冷却する工程の途中、約2000℃に於いて容器内圧力を10-2乃至10-4Toorに強減圧し、冷却することにより、アウトガスの少ない高純度炭素材を得ることが出来る。」という記載からみて、冷却途中での強減圧は、黒鉛材料に残存するガスをより確実に放出するための手段であることが示されているといえるから、原出願の出願当初の明細書には、「冷却途中でその前の高純度化操作の減圧下より更に低い強減圧下で冷却する」という技術思想が示されているというべきである。つまり、高純度化操作が完了した時点で炉内の温度を更に上げて3000℃で10〜30時間程度保つことや、炉を冷却する工程の途中で約2000℃で容器内圧力を10-2乃至10-4Toorに強減圧することは、好適な条件を示した例示としての記載であって、必ず該条件に保持しなければ実施できないといえるような根拠は示されていない。
更に、原出願の出願当初明細書には、訂正後の本件請求項1〜3に係る発明に関して、「単結晶引上装置に於いて、黒鉛ルツボ、黒鉛ヒーター及び黒鉛保温筒の少なくとも1種が、全灰分5ppm以下の高純度黒鉛材料から成ることを特徴とする単結晶引上装置。」(特許請求の範囲第1項)、「容器内は加熱を始めた時点から1〜100Toor好ましくは10〜40Toor程度に保たれているので、この段階で僅かに揮散してくる脱ガスの排出には好都合である。黒鉛化がある程度進んだ段階で、減圧状態のままガス供給管(108)からハロゲン化ガス例えばジクロルジフルオルメタンを・・・例えば1〜7lNTP/kg程度で3〜8時間程度供給する。高純度化に用いるハロゲンガスは、炭素材中に含まれる不純物、特に金属不純物をハロゲン塩として蒸気圧を高め、これの蒸発、揮散によって母材である炭素材の純度を高めるために必要であるが、・・・」(甲第6号証の第4頁右上欄14行から同頁左下欄7行)、「炉を冷却する工程の途中、約2000℃に於いて容器内圧力を10-2乃至10-4Toorに強減圧し、冷却することにより、アウトガスの少ない高純度炭素材を得ることが出来る。通電を停止、容器内にN2ガスを充填、置換し乍ら常圧、常温に戻す。」(甲第6号証の第4頁右下欄4〜9行)、「尚、本発明の何れの材料に於いても、全灰分が5ppm以下であることが必要である。」(甲第6号証の第6頁右下欄13〜14行)等の事項が記載されていたのであるから、訂正後の本件請求項1〜3に係る発明が、原出願の当初明細書に記載されていない発明であるとすることはできない。
結局、本件特許に係る出願は、特許法第44条第1項の規定による適法な分割出願であると認められ、その出願日は原出願の出願日に遡及するから、甲第1号証(特公平6-2637号公報)は本件特許の出願前に頒布された刊行物ではなく、上記aの主張は理由がない。

ii)上記bの主張について
甲第2号証に係る先願の請求項3に係る発明は、平成8年5月13日付手続補正書(甲第3号証)により補正された先願明細書の特許請求の範囲に記載された、「3.炭素材を、焼成、黒鉛化、及びハロゲン化合物のガスによる高純度化を施して高純度黒鉛材を製造する方法に於いて、黒鉛化と高純度化とを同一装置で真空乃至減圧下に、ハロゲン化合物のガスを流量1〜7lNTP/kgで供給しつつ、高周波加熱手段により、少なくとも一部並行して行い、ついで高純度化終了後、2000℃以下の温度下、10-2〜10-4Torrの減圧下で冷却することを特徴とする高純度黒鉛材を製造する方法。」である。
そこで、訂正後の本件請求項1〜3に係る発明と、先願の特許請求の範囲第3項に記載された発明とを対比すると、本件請求項1に係る発明は、「単結晶引上装置」、「全灰分5ppm以下でアウトガスが少ない高純度化黒鉛材料から成る」、「黒鉛ルツボ、黒鉛ヒーター及び黒鉛保温筒の少なくとも1種」等の要件によって、また、本件請求項2、3に係る発明は、「窒素ガス雰囲気下で常温常圧に戻すように冷却され、」、「全灰分5ppm以下でアウトガスが少ない」の要件によって、先願の特許請求の範囲第3項に記載された発明と区別されるものである。
なお、甲第4号証には、「東洋炭素独自のCVD法で実現」という見出しで、「東洋炭素は、超高純度黒鉛の製造技術を確立、生産を開始した。通常の黒鉛は純度が99%程度だが、同社は特殊なガス処理によって九九.九九九九%(シックスナイン)以上の超高純度化を実現、不純物を一ppm(約百万分の一)以下にした。半導体製造用のルツボやヒーターなどのほか黒鉛サセプター向けに本格供給を始めている。」として、「特殊なガス処理」等が指摘されているにすぎないものであるし、甲第5号証は上記先願の公開公報であって、本件特許の出願日以降に頒布されたものにすぎず、上記同一性の判断を左右するものではない。
したがって、訂正後の本件請求項1〜3に係る発明は、先願の特許請求の範囲第3項に記載された発明と同一であるとはいえず、上記bの主張は理由がない。
4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立の理由ならびに証拠によっては、訂正後の本件請求項1〜3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の本件請求項1〜3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
単結晶引上装置、高純度黒鉛材料及びその製造方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 単結晶引上装置に於いて、黒鉛ルツボ、黒鉛ヒーター及び黒鉛保温筒の少なくとも1種が、ハロゲンガスを用いた減圧下で高純度化され、冷却途中で前記減圧下より更に低い強減圧下で冷却され、全灰分5ppm以下でアウトガスが少ない高純度化黒鉛材料から成ることを特徴とする単結晶引上装置。
【請求項2】 ハロゲンガスを用いた減圧下で高純度化され、冷却途中で前記減圧下より更に低い強減圧下で冷却され、窒素ガス雰囲気常温圧に戻すように冷却され、全灰分5ppm以下でアウトガスが少ない高純度黒鉛材料。
【請求項3】 全灰分が5ppm以下でアウトガスが少ない高純度黒鉛材の製造方法であって、ハロゲンガスを用いた減圧下の高純度化処理工程、冷却途中で前記減圧下より更に低い強減圧下で冷却され、窒素ガス雰囲気下で常温常圧に戻す冷却工程と、を含んでなる高純度黒鉛材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体用単結晶引上装置等の単結晶引上装置、及びそれに用いられる高純度黒鉛材料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
単結晶引上装置就中半導体用単結晶引上装置としてその代表的なものにシリコン単結晶引上装置があり、その他ガリウム系例えばGa-As系Ga-P系の単結晶引上装置がある。いまこれ等を代表してシリコン単結晶引上装置について説明する。
【0003】
即ち石英ガラス(Ga-As系単結晶の場合には通常窒化ホウ素)製ルツボにシリコン多結晶を充填する。この際使用される石英ルツボは通常肉薄のものが使用されるためその強度では石英が軟化したり、時に割れることもあるため、これの補強のために黒鉛ルツボに内挿する。そしてこのシリコンを充填したルツボを回転させまたはそのままで高周波誘導加熱または抵抗式発熱体(ヒーター)により加熱し約1500°C前後に加熱してシリコンを溶融する。ルツボ上部の引上機に支承されたシリコン単結晶の種をシリコン溶融体中に浸漬し、これを引上げつつ徐冷して他結晶体を単結晶体とするものである。
【0004】
この単結晶は主に半導体に使用されるために極めて高純度であることが要求され、溶融体が直接接触する石英ガラスは、その純度が非常に高いものが要求されるが、これと共に用いられる装置内部の各部材についても高純度のものが要求される。そしてこの引上装置に於いては、上記した通り極めて高温であって耐熱性、低蒸気圧性が要求され、現在そのほとんどは炭素材通常は黒鉛が使用されている。
【0005】
しかし乍ら非常に高温のため炭素材中の不純物が惨出、蒸散して、石英ルツボ内のシリコン溶融液を汚染し惹いては引上げ単結晶の品位を低下せしめ、結果として歩留りを大きく低下せしめる。
しかも最近の技術の進歩により、高集積回路用基板として益々超高純度の単結晶が要求されるようになり、これに伴い引上装置に使用する各黒鉛部材の高純度化が益々要求されるようになって来た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする問題点は、従来の単結晶引上装置に要求される上記要望に応える装置を開発することであり、更に詳しくは極めて高純度であって、しかも単結晶引上装置用部材として要求される各種特性、例えば耐熱性、耐熱衝撃性、機械的特性、低蒸気圧性、化学的安定性、低アウトガス性等を満足する黒鉛材料及びその製法を開発し、これを単結晶引上装置の部材として使用することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この問題点は、ハロゲンガスを用いた減圧下で高純度化し、冷却途中で前記減圧下より更に低い強減圧下で冷却し、窒素ガス雰囲気下で常温常圧に戻すように冷却し、灰分5PPm以下でアウトガス少ない高純度化黒鉛材を用いることによって解決される。
【0008】
本発明者は従来から黒鉛材料就中高純度黒鉛材料について研究を続けて来たが、この研究に於いて、従来の黒鉛材料に比しその純度が極めて高く、しかも従来法の操作上のトラブルを解決した黒鉛材料並びにその製法を開発しすでに出願した(特願昭61-224131号)。更に引き続く研究に於いて上記出願に係る新しい高純度黒鉛材料が、単結晶引上装置の部材として極めて好適であって、この装置用部材として要求される諸特性を満足しうるものであることを見出し、茲に本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
この高純度黒鉛材料は次の様にして製造することは出来る。即ち基本的には上記特願昭61-224231号の方法によって製造される。更に詳しく説明する以下の通りである。
【0010】
炭素材を順次、焼成し、黒鉛化し、且つ高純度化する高純度黒鉛材料の製造方法に於いて、高純度化を真空乃至減圧下で高周波加熱手段により行う方法であり、更に好ましい態様をあげれば以下の通りである。即ち
(イ)炭素材を順次、焼成し、黒鉛化し次いで高純度化する高純度黒鉛材の製造法に於いて、黒鉛化と高純度とを同一装置で真空乃至減圧下に高周波加熱手段により行うことを特徴とする製造方法、
(ロ)黒鉛化と高純度化とを一部重複して並行的に行う製造方法、
(ハ)上記高純度黒鉛材の製造方法に於いて、黒鉛化及び高純度化の少なくとも1つを100Torr乃至1Torrの圧力下で高純度黒鉛材の製造方法、
(ニ)真空乃至減圧条件下に於ける高純度化工程に於いて、ハロゲン化反応及びハロゲン化生成物の離脱反応を同時に行わしめる製造方法、
等である。
【0011】
これ等方法について更に詳しく説明すると以下の通りである。尚、説明の便宜上本製法の装置を示す図面を用いて本製法を説明することとする。尚、図1は本製法にかゝる真空式・高周波加熱方式の高純度炭素材の製造装置の側断面図を模式的に示したものである。
【0012】
本製法を構成する第一の要因は、原料素材の加熱に、床面積が小さく、エネルギー効率の高い高周波加熱炉を採用したことである。
第二の構成要因として誘導加熱炉の高周波コイル(105)と被加熱炭素材(104)の中間に黒鉛ヒーター即ちサセプター(106)を設けたことである。
第三の構成要因として、上記の要因、即ち高周波コイル(105)、サセプター(106)、被加熱炭素材(104)を減圧若しくは真空に耐える密閉容器に収納することである。
尚、被加熱炭素材(104)、高周波コイル(105)、サセプター(106)を真空容器内に収納することは、本製法に於いて下記に示すガス供給管(108)、ガス排出管(101)の設置と共に最も重要な構成要因であり、これにより被加熱炭素材(104)を効率よく、一貫して黒鉛化、高純度化を進めることは可能になる。
第四の構成要因として該真空容器内に、ガス供給管(108)、ガス排出管(101)を設けることである。
ガス排出管(101)は容器内部を減圧又は真空にする際、及び黒鉛化工程、高純度化工程に際し発生するガスの排気に必要不可欠である。特に、高純度工程に左いて黒鉛材から蒸散された金属ハロゲン化物、金属水素化化合物等を反応系外に引き出す目的にも使用される。
ガス供給管(108)は、高純度化工程に於いて便用されるハロゲン含有ガス、又は/及びH2ガスを供給する目的に使用される。
これ等ガスの供給用と排出用の管は、真空容器の適宜の場所に、必要に応じ数個所に設けることが出来るが、容器内のガスの流通と炭素材との接触効率をえて、上下、又は左右と対称側に設けることが望ましい。
図1には縦型高周波炉を用い、ガス排出管(101)及び供給管(108)を夫々上、下に設けた例を記したが、高周波炉を横型にした場合には、これ等各管を夫々左、右に設けることも出来る。
【0013】
以上の主要構成要因の他に必要に応じて次に要因を付加することが出来る。
即ち第五の要因として高周波コイルとサセプターの間に断熱材(102)、(103)を用いることが出来る。断熱材としては、セラミックファイバー、カーボンファイバー、カーボンブラック等公知の材料を使用する。
第六の要因として、必要により真空容器の外部に水冷ジャケット(109)を設けることが出来る。
高周波コイルには250〜3000Hzの高周波電圧が印加され、真空容器の壁を貫いて内装されたコイルに電力が供給される。
【0014】
次に上述の装置を用いた本製法の高純度黒鉛の製造方法について記す。
本製法は基本的には高純度化工程を真空乃至減圧下に高周波加熱手段を用いて行う用法であり、その望ましい一態様は上記図1に示す本装置を用いて上記方法を行うものである。また本法に於いては、更に黒鉛化と高純度化工程とを一つの炉で、これ等工程を順次、又は少なくとも一部並行して行う方法も包含される。更に詳しく説明すると以下の通りである。
【0015】
まずガス供給管(108)からN2ガスを送気して、容器内部の空気をN2ガスで置換したのち、ガス排出管(101)から減圧、又は真空に引き、雰囲気を非酸化性とする。
【0016】
次に誘導コイル(105)に徐々に電圧を印加してサセプター(106)を加熱し、その輻射熱により被加熱炭素材(104)を800〜1000°Cに通常1〜10時間好ましくは3〜5時間保ったのち、徐々に昇温を続け、2450〜2500°Cに調節しながら5〜24時間好ましくは7〜15時間保持する。
【0017】
容器内は加熱を始めた時点から1〜100Torr好ましくは10〜40Torr程度に保たれているので、この段階で僅かに揮散してくる脱ガスの排出には好都合である。
【0018】
黒鉛化がある程度進んだ段階で、減圧状態のままガス供給管(108)からハロゲンガス例えばジクロルジフルオルメタンを(流量は容器内に充填する被加熱炭素材の量により増減されるが、例えば1〜71NTP/kg程度で3〜8時間程度供給する。
【0019】
高純度化に用いるハロゲンガスは、炭素材中に含まれる不純物、特に金属不純物をハロゲン塩として蒸気圧を高め、これの蒸発、揮散によって母材である炭素材の純度を高めるために必要であるが、このハロゲンとしては従来から使用されて来たものがいずれも使用出来、例えば塩素や塩素化合物ばかりでなく弗素や弗素化合物にも使用出来、また更には塩素系或いは弗素系ガスを同時に併用してもよい。また同一分子内に弗素と塩素とを含む化合物、例えばモノクロロトリフルオルメタン、トリクロロモノフルオルメタン、ジクロルジフルオルエタン、トリクロロモノフルオルエタン等を使用することも出来る。
【0020】
また不純物の種類、例えば硫黄分等については、H2が高い精製効果を示すので、特に低硫黄グレード品については、ジクロルジフルオルメタンの供給を停止したのち、引き続いてH2ガスを供給することも出来る。
【0021】
高純度化操作が完了した時点で、炉内の温度を更に上げ、3000°Cにて10〜30時間程度保って工程を完了する。
【0022】
特に注目すべき工程として、炉を冷却する工程の途中、約2000°Cに於いて容器内圧力を10-2乃至10-4Torrに強減圧し、冷却することにより、アウトガスの少ない高純度炭素材を得ることが出来る。通電を停止、容器内にN2ガスを充填、置換し乍ら常圧、常温に戻す。
【0023】
上記方法は黒鉛化と高純度を一つの炉で行う方法を示しているが、本法に於しては高純度化だけを上記の方法で行ってもよいことは勿論である。
本法により高純度化又はこれと黒鉛化を実施する際の容器内の圧力は、100Torr乃至1Torrの範囲内に保つことが望ましい。容器内の圧力は、ハロゲン化物、塩素化又は/及び弗素化された不純物、又は置換時の残存N2ガス等の種々の化合物の蒸気圧(分圧)の総和(全圧)として圧力計に示されるが、これが100Torrより高い場合は減圧効果が低くなり、従って高純度化に要する時間は長くなり、品質的にも従来の常圧法と変りなく、また1Torrに達しない場合ではハゲン供給絶対量が少なくなり、炭素材深部の高純度化が不充分になったり、また生成ガスの排除に多大のポンプ動力を要し、得策ではない。尚、100〜1Torr、特に好ましくは50〜5Torrが最も良好な製品が得られる。
【0024】
本発明実施の一つの応用的態様として、高純度操作中、反応容器内の圧力をパルス的に増減せしめる場合には、炭素材の深層部へのハロゲンガスの拡散、置換及び深層部からのハロゲン化生成物の離脱、置換が完全になり、より効果的である。
【0025】
本発明の黒鉛材料としては、上記高純度の他に、更に等方性であることが好ましい。この際の等方性とは、すべての物的に於いて、各方向に於いてほぼ等しい性質を示すことをいい、例えば電気的にも、熱体にもほぼ等しい挙動を示すことを意味する。この等方性は本発明黒鉛材を引上装置に使用する場合、その部材の種類、部位に応じて電気抵抗、熱膨張率、機械的強度等要求される項目に差異があるが、等方性炭素材は何れもこれ等を充足し、特に本発明にかかる装置の構成材料としては異方比が1.10以下特に1.03〜1.07以下の高度に等方化された材料が好ましい。この際の異方比とは、各材料の物理的、機械的、電気的、化学的等の諸性質がx、y、z各軸、各方向に対して最大値を最小値との比率が1.10以下、好ましくは1.07〜1.03以下にあることを言う。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の引上装置について図2乃至図5を用いて説明する。ただし図2乃至図5は本発明装置の一部を示す図面であり、説明の便宜上これを模擬的に4図に別けて表したものである。図2は主にルツボを中心とした部分を示し、図3は主に側部を中心とした部分を示し、図4はルツボの下部を中心とした部分を示し、また図5は上部並びに下部を中心とした部分を示す模擬的な断面説明図を示す。
【0027】
同図中(1)は黒鉛ルツボ、(2)は黒鉛ヒーター、(3)は保温筒、(4)は断熱材、(5)は緩衝材、(6)はスペーサー、(7)はルツボ受皿、(8)はルツボ受皿の支持体、(9)はルツボ受皿の維持体カバー、(10)は電極(ヒーター)とクランプとを固定するための固締具、(11)は蒸気洩れ防止リング、(12)は電極(ヒーター)、(13)は電極用クランプ、(14)は液漏れ用受皿、(15)は上部蓋を示す。また(20)は石英または窒化ホウ素製ルツボ、(30)はシリコンを示す。
【0028】
本発明の装置は上記(1)〜(15)の各部材の少なくとも1種が上記高純度黒鉛材料から成るものであり、好ましくは(1)〜(3)の各部材が共に上記高純度黒鉛材料から成るものである。
【0029】
黒鉛ルツボ(1)はその内部の石英または窒化ホウ素製ルツボを保護補強するために使用されるものであり、その形状、大きさ等は従来のものと特に変わらない。ヒーター(2)はこの図2では抵抗式の場合を示している。また保温筒(3)はヒーター(2)からの輻射熱を反射するためと、断熱材(4)の保護のために使用されるもので、厚みは通常3〜12好ましくは5〜8mm程度である。通常この保温筒(3)は黒鉛ヒータ(2)との間に若干空間を設け、また断熱材(4)とは空間を設けまたは設けずに設置される。これ等(1)〜(3)の部材は高純度であると共に等方性であることが特に好ましい。等方性であることにより、耐破損性が向上し、加工が用意となり、熱膨張が等方的となり、特にヒーター(2)では電気特性が均一となる。
【0030】
断熱材(4)は断熱のために使用され、ヒーター(2)との外壁との間に設けられ断熱、保温効果を発揮する。断熱材(4)は断熱のために使用され、ヒーター(2)と外壁との間に設けられ、断熱、保温効果を発揮する。
【0031】
本発明装置に於いて緩衝材(5)は石英ルツボ(20)と黒鉛ルツボ(1)との間にあって、これ等の間で緩衝作用を発揮し、両ルツボの保護のために使用される。またルツボの位置(高さ)を調整する作用をも有する。この緩衝材(5)としては波形シートや平面シートが使用される。これ等断熱材並びに緩衝材は必ずしも等方性でなくても良く、黒鉛フェルト、発泡黒鉛圧密体、中空バルーン黒鉛球、またはその圧密体、及び黒鉛材を黒鉛質外被材で被覆したものでも良い。スペーサー(6)は黒鉛ルツボ(1)とルツボ受皿(7)との間にあってこれ等の断熱作用、位置調節及び緩衝材として使用される。使用される材料としては黒鉛黒鉛圧密体、中空黒鉛球を樹脂またはピッチで固めて炭化したもの等、及びそれ等と平板状等方性炭素材との積層構造体が用いられるが、何れの材料も全灰分が5ppm以下であることが必要である。ルツボ受皿はルツボを所定の位置にセットするために使用され、等方性黒鉛材を使用することが好ましい。またこの際炭素繊維で補強した黒鉛材(以下複合材という)を使用しても良い。
【0032】
ルツボ受皿の支持体(8)は、ルツボ受皿(7)の支持のために使用され、ルツボ受皿と別々に、またはこれと一体的になしても良い。この支持体(8)とても黒鉛材料として複合材を使用しても良く、また、等方性のものを使用するのが好ましい。
カバー(9)は支持体(8)をシリコン蒸気から保護する目的で使用され、やはり等方性であることが好ましく、また複合材を用いても良い。
また固締具(10)としては、電極(ヒーター)とクランプ(13)とを固締するために使用されるため複合材を使用することが好ましい。
蒸気洩れ防止リング(11)は必ずしも必要ではないが、ルツボ内の蒸気が上部に移動するのを防ぐ作用を有し、黒鉛材としては等方性であることは好ましい。
【0033】
本発明装置は、上記各部材の少なくとも1種が高純度黒鉛材からなっており、また好ましくは等方性のものまたは複合材から成っているために、結果として高純度の単結晶が収得出来るものである。
【0034】
【実施例】
いま、本発明の黒鉛材が超高純度であることを示すために、表1に本発明にかゝる装置及び方法により製造せられたる高純度黒鉛材中の不純物量と、従来法により得られたる市販高純度品中の不純物量、並びに高純度処理を全く行わない通常の黒鉛材の不純物量を対比して示した。
【0035】
【表1】

【0036】
但し上記A、B及びCの各試料は夫々次のものである。
試料A:本発明法による製品。原料黒鉛材は試料Cを高純度化容器を用いて内圧20〜25Torr、900°Cで4HR、2450〜2500°Cで10HR、途中ゾクロルジフルオルメタン31NTP/kgで高純度化、更に3000°Cにて20HRの条件で製造し、強減圧下での冷却とN2ガス置換とを行ったもの。
試料B:試料Cを公知方法による常圧高純度化処理を行ったもの。
試料C:市販品(見掛け密度1.80の等方性黒鉛材、高純度化する前のもの)、東洋炭素(株)製。
また分析方法は発光分光分析法及び原子吸光分析法によった。数字の単位はppm、(-)印は「検出されず」を表す。
尚、本発明の何れの材料に於いても、全灰分が5ppm以下であることが必要である。
【0037】
因に、前記試料A、B及びCの全灰分量は、日本工業規格(JIS)R7223-1979に準拠して測定して、夫々1ppm、10ppm、410ppmであり、従って試料Aは本発明範囲内、試料B及びCは本発明範囲外である。
【0038】
前記表1に於ける分析値に示す如く、本発明装置に適用される黒鉛材としては、高純度化反応装置から取り出された状態での全灰分量としては1ppm以下、実質的に0ppm(検出されない程度)に近いものであるが、取り出されたあと、包装、運送、引上げ装置内に装着する作業工程等において、取扱い中、若干の汚染は避けられず、このため少なくとも5ppmの高純度化炭素材を使用するものである。
【0039】
【発明の効果】
本発明においては、ハロゲンガスを用いた減圧下で高純度化し、冷却途中で前記減圧下より更に低い強減圧下で冷却し、窒素ガス雰囲気下で常温圧に戻すように冷却し、全灰分5ppm以下に高純度化した高純度黒鉛材料を用いることにより、前述した様に、引上単結晶の品質に影響を与える黒鉛部材のアウトガス性等の性質が改良されるという効果がある。
【0040】
強減圧下の冷却を行わない常法にあっては、冷却時にハロゲンガス等に含まれる不純物が再び吸着され、物理的且つ化学的に吸着している物質が若干残る。単結晶引上装置のように減圧且つ高温の使用条件では、材料内部の不純物がアウトガスとして放出され、このガスが拡散されて溶融体中に取り込まれ、単結晶中の純度に影響を与える。
【0041】
実際に、ハロゲンガスを用いた減圧下で高純度化し、前記減圧下より更に低い強減圧下で冷却し、全灰分5ppm以下に高純度化した高純度黒鉛材料と、従来のように全灰分が5ppm前後であっても強減圧冷却をしない黒鉛材と比較すると、シリコン単結晶引上を行ったところ、単結晶の品位確保や結晶欠陥発生防においてその結果に顕著な差があることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に於いて使用する高純度黒鉛材の製造装置の一例の断面図を模擬的に示したものである。
【図2】
本発明装置の一例を模擬的に表したものであり、主にルツボを中心とした部分を示す。
【図3】
本発明装置の一例を模擬的に表したものであり、主に側部を中心とした部分を示す。
【図4】
本発明装置の一例を模擬的に表したものであり、ルツボの下部を中心とした部分を示す。
【図5】
本発明装置の一例を模擬的に表したものであり、上部並びに下部を中心とした部分を示す。
【符号の説明】
(1)黒鉛ルツボ
(2)黒鉛ヒーター
(3)保温筒
(4)断熱材
(5)緩衝材
(6)スペーサー
(7)ルツボ受皿
(8)ルツボ受皿の支持体
(9)ルツボ受皿の支持体カバー
(10)電極(ヒーター)とクランプを固定するための固締具
(11)蒸気洩れ防止リング
(12)電極ヒーター
(13)電極ヒーター用クランプ
(14)液漏れ用受皿
(15)上部蓋
(20)石英または窒化ホウ素製ルツボ
(30)シリコン
(101)ガス排出管
(102)保温材
(103)保温材
(104)被加熱炭素材
(105)高周波コイル
(106)サセプター
(107)受皿
(108)ガス供給管
(109)ジャケット
 
訂正の要旨 特許第2923260号の明細書中、特許請求の範囲の減縮を目的として、
(a)特許請求の範囲の請求項1の「前記減圧下より更に低い」を、「冷却途中で前記減圧下より更に低い」と訂正し、
(b)特許請求の範囲の請求項1の「全灰分5ppm以下の高純度化黒鉛材料」を、「全灰分5ppm以下でアウトガスが少ない高純度化黒鉛材料」と訂正し、
(c)特許請求の範囲の請求項2の「前記減圧下より更に低い」を、「冷却途中で前記減圧下より更に低い」と訂正し、
(d)特許請求の範囲の請求項2の「強減圧下で冷却され」を、「強減圧下で冷却され、窒素ガス雰囲気下で常温常圧に戻すように冷却され」と訂正し、
(e)特許請求の範囲の請求項2の「全灰分5ppm以下に高純度化された高純度黒鉛材料」を、「全灰分5ppm以下でアウトガスが少ない高純度黒鉛材料」と訂正し、
(f)特許請求の範囲の請求項3の「全灰分5ppm以下の高純度黒鉛材料」を、「全灰分が5ppm以下でアウトガスが少ない高純度黒鉛材料」と訂正し、
(g)特許請求の範囲の請求項3の「前記減圧下より更に低い」を、「冷却途中で前記減圧下より更に低い」と訂正し、
(h)特許請求の範囲の請求項3の「強減圧下の冷却工程」を、「強減圧下で冷却され、窒素ガス雰囲気下で常温常圧に戻す冷却工程」と訂正し、
明りょうでない記載の釈明を目的として、
(i)本件明細書の[0007]段落(本件特許公報第3欄34〜35行)の「前記減圧下より更に低い」を、「冷却途中で前記減圧下より更に低い」と訂正し、
(j)本件明細書の[0007]段落(本件特許公報第3欄35行)の「強減圧下で冷却し」を、「強減圧下で冷却し、窒素ガス雰囲気下で常温常圧に戻すように冷却し」と訂正し、
(k)本件明細書の[0007]段落(本件特許公報第3欄35〜36行)の「全灰分5ppm以下に高純度化された高純度黒鉛材料」を、「全灰分5ppm以下でアウトガスが少ない高純度化黒鉛材料」と訂正する。
異議決定日 2001-02-06 
出願番号 特願平9-66023
審決分類 P 1 651・ 4- YA (C30B)
P 1 651・ 113- YA (C30B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平塚 政宏五十棲 毅  
特許庁審判長 加藤 孔一
特許庁審判官 西村 和美
唐戸 光雄
登録日 1999-04-30 
登録番号 特許第2923260号(P2923260)
権利者 東洋炭素株式会社
発明の名称 単結晶引上装置、高純度黒鉛材料及びその製造方法  
代理人 梶 良之  
代理人 須原 誠  
代理人 梶 良之  
代理人 須原 誠  

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