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審決分類 審判 査定不服 特38条共同出願 取り消して特許、登録 C08G
管理番号 1042537
審判番号 不服2000-3211  
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-07-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-03-09 
確定日 2001-08-07 
事件の表示 平成 2年特許願第224303号「ノボラック型エポキシ樹脂の製法およびノボラック型エポキシ樹脂組成物」拒絶査定に対する審判事件〔平成 3年 7月15日出願公開、特開平 3-163128、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 (1)手続の経緯・本願発明
本願は、平成2年8月28日の出願であって、その請求項1〜3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」〜「本願発明3」という。)は、平成11年9月6日付けの手続補正書によって補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
「1.下記一般式

一般式1
(式中、Xは、1価フェノール構造またはフェノール性水酸基を2個以上有する縮合多環式化合物構造である。一般式1中のメチレン基は該フェノール化合物構造又は該多環式化合物構造中の芳香環に結合しており、また、水酸基の置換位置は、ナフタレン環上のメチレンが置換する芳香環と同一であっても異なっていてもよい。また、nは1又は2の整数である。)で表されるノボラック化合物(a)を15重量%以上の割合で含有するノボラック樹脂(A)を、エピハロヒドリン(B)と反応させることを特徴とするノボラック型エポキシ樹脂の製法。
2.ノボラック樹脂(A)が、塩基性触媒の存在下で、1価フェノール化合物またはフェノール性水酸基を2個以上有する縮合多環式化合物とホルムアルデヒドとを反応させた後、中和し、次いで酸性触媒の存在下でβ-ナフトールと反応させて得られる物である請求項1記載の製法。
3.下記一般式

一般式1
(式中、Xは、1価フェノール構造またはフェノール性水酸基を2個以上有する縮合多環式化合物構造である。一般式1中のメチレン基は該フェノール化合物構造又は該多環式化合物構造中の芳香環に結合しており、また、水酸基の置換位置は、ナフタレン環上のメチレンが置換する芳香環と同一であっても異なっていてもよい。また、nは1又は2の整数である。)で表されるノボラック化合物(a)を15重量%以上の割合で含有するノボラック樹脂(A)を、エピハロヒドリン(B)と反応させることを特徴とするノボラック型エポキシ樹脂と、硬化剤とを必須成分とすることを特徴とするノボラック型エポキシ樹脂組成物。」
(2)原査定の理由
これに対して、原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
「この出願は、下記の点で特許法第37条に規定する要件を満たしていない。

この出願の本願発明1及び2は、エポキシ樹脂の製法に関する発明であり、それに対して本願発明3はエポキシ樹脂、硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物に関する発明であって、本願発明3を特定発明としても、本願発明1及び2は、エポキシ樹脂自体の製法であって、エポキシ樹脂、硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物の製法ではないので、特許法第37条第1項第3号に掲げる関係を有していない。」
(3)当審の判断
特定発明が「物の発明」であって、関連発明が「その物を生産する方法の発明」の場合は、特許法第37条第1項第3号の関係を有しており、そして、「生産する方法」が特定発明以外の物を生産できる場合であっても、特定発明の物の生産に適していれば、単一性の要件を満たしているとされている。
そこで、本願発明1及び2の「エポキシ樹脂の製法」が特定発明である本願発明3の「エポキシ樹脂組成物」の生産に適しているかどうか検討する。
本願発明3の「エポキシ樹脂組成物」は特定方法によって得られるエポキシ樹脂と硬化剤を必須成分とするものであるが、ここにおける硬化剤は通常のエポキシ樹脂において用いられるところの硬化剤であって、それ自体には特徴がないことは明らかであり、それに対して、特定方法によって得られるエポキシ樹脂は、特定発明である本願発明3の「エポキシ樹脂組成物」における重要な構成部分といえるものであり、この場合は、本願発明3の「エポキシ樹脂組成物」の生産方法においても、エポキシ樹脂の生産方法は重要な構成部分となるものと認められる。
そうであるならば、重要な構成部分である特定方法によって得られるエポキシ樹脂の生産方法に相当する本願発明1及び2の「エポキシ樹脂の製法」は、エポキシ樹脂自体の生産方法ではあっても、特定発明である本願発明3の「エポキシ樹脂組成物」の生産においても適しているものといわざるを得ないものである。
(5)むすび
したがって、本願発明1及び2は、特定発明である本願発明3の生産方法でないとし、特許法第37条第1項第3号の関係を満たしていないとした原査定の判断は妥当ではない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2001-07-24 
出願番号 特願平2-224303
審決分類 P 1 8・ 151- WY (C08G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 均  
特許庁審判長 柿崎 良男
特許庁審判官 佐野 整博
船岡 嘉彦
発明の名称 ノボラック型エポキシ樹脂の製法およびノボラック型エポキシ樹脂組成物  
代理人 高橋 勝利  

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