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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A01F
管理番号 1048337
異議申立番号 異議2000-73524  
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-01-06 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-09-18 
確定日 2001-07-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3020056号「コンバイン」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3020056号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3020056号に係る発明は、昭和61年2月19日に出願された実願昭61-23637号を実願平6-8465に分割した後、特願平9-137717号に変更し、更に、特願平10ー208729号として分割出願されたものであって、平成12年1月14日に設定登録され、その後、井関農機株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消の理由が通知され、その指定期間内である平成13年2月1日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正について
(2-1)訂正の内容
訂正事項(a):
特許請求の範囲第1項を次のとおりに訂正する。
「脱穀部(4)一側の機台(3)上の穀粒タンク(14)底部で前後方向に下部コンベア(19)を延設させ、下部コンベア(19)後端部に縦コンベア(20)下端部を連結させ、縦コンベア(20)上端部に上部コンベア(21)基部を連結させると共に、運転席(17)後側下方の穀粒タンク(14)前面外側下部に入力軸(33)を突設させ、穀粒タンク(14)後側支点回りの水平方向の回動によって係脱自在なワンタッチ連結クラッチ(36)により本機側のコンベア駆動軸(35)に前記穀粒タンク(14)前部の入力軸(33)を連結させ、また穀粒タンク(14)前部を本機側に連結させる係脱自在なロック部材(27)を設けるコンバインにおいて、穀粒タンク(14)前部の水平回動遊端側の機台(3)上面に軸受部材(34)を設け、エンジン(13a)出力を伝達する前記コンベア駆動軸(35)を軸受部材(34)に取付け、前記入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)をワンタッチ連結クラッチ(36)によって穀粒タンク(14)前部で着脱自在に連結させ、前記運転席(17)後側下方の穀粒タンク(14)前面外側下部の前記入力軸(33)にコンベア駆動軸(35)及びワンタッチ連結クラッチ(36)及びロック部材(27)を近接配置させ、前記ロック部材(27)の固定動作のときにワンタッチ連結クラッチ(36)の連結を確認させるように構成したことを特徴とするコンバイン。」

訂正事項(b):
【0004】を次のとおりに訂正する。
「【課題を解決するための手段】
然るに、本発明は、脱穀部一側の機台上の穀粒タンク底部で前後方向に下部コンベアを延設させ、下部コンベア後端部に縦コンベア下端部を連結させ、縦コンベア上端部に上部コンベア基部を連結させると共に、運転席後側下方の穀粒タンク前面外側下部に入力軸を突設させ、穀粒タンク後側支点回りの水平方向の回動によって係脱自在なワンタッチ連結クラッチにより本機側のコンベア駆動軸に前記穀粒タンク前部の入力軸を連結させ、また穀粒タンク前部を本機側に連結させる係脱自在なロック部材を設けるコンバインにおいて、穀粒タンク前部の水平回動遊端側の機台上面に軸受部材を設け、エンジン出力を伝達する前記コンベア駆動軸を軸受部材に取付け、前記ロック部材と入力軸とコンベア駆動軸をワンタッチ連結クラッチによって穀粒タンク前部で着脱自在に連結させ、前記運転席後側下方の穀粒タンク前面外側下部の前記入力軸にコンベア駆動軸及びワンタッチ連結クラッチ及びロック部材を近接配置させ、前記ロック部材の固定動作のときにワンタッチ連結クラッチの連結を確認させるように構成したもので、下部コンベアにワンタッチ連結クラッチを介して駆動力を伝えるから、フレキシブルワイヤ伝動またはベルト伝動による不具合をなくすことができ、前後に近接させる運転席後側と穀粒タンク前側の間の狭少空間でのベルト脱着操作などを不要にし、穀粒タンクの水平回動作業性の向上並びに取扱い操作の簡略化などを行い得ると共に、機台に軸受部材を設けるから、前記入力軸とコンベア駆動軸を連結するワンタッチ連結クラッチの係脱動作を穀粒タンク操作で行わせ得、またワンタッチ連結クラッチによる入力軸とコンベア駆動軸の連結を容易に確認し得、コンベア駆動軸の回転力によってワンタッチ連結クラッチが離脱したり係合部の偏心により異音発生または損傷するのを容易に防止し得るものである。」
訂正事項(c):
【0013】を次のとおりに訂正する。
「【考案の効果】
以上実施例から明らかなように本考案は、脱穀部(4)一側の機台(3)上の穀粒タンク(14)底部で前後方向に下部コンベア(19)を延設させ、下部コンベア(19)後端部に縦コンベア(20)下端部を連結させ、縦コンベア(20)上端部に上部コンベア(21)基部を連結させると共に、運転席(17)後側下方の穀粒タンク(14)前面外側下部に入力軸(33)を突設させ、穀粒タンク(14)後側支点回りの水平方向の回動によって係脱自在なワンタッチ連結クラッチ(36)により本機側のコンベア駆動軸(35)に前記穀粒タンク(14)前部の入力軸(33)を連結させ、また穀粒タンク(14)前部を本機側に連結させる係脱自在なロック部材(27)を設けるコンバインにおいて、穀粒タンク(14)前部の水平回動遊端側の機台(3)上面に軸受部材(34)を設け、エンジン(13a)出力を伝達する前記コンベア駆動軸(35)を軸受部材(34)に取付け、前記入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)をワンタッチ連結クラッチ(36)によって穀粒タンク(14)前部で着脱自在に連結させ、前記運転席(17)後側下方の穀粒タンク(14)前面外側下部の前記入力軸(33)にコンベア駆動軸(35)及びワンタッチ連結クラッチ(36)及びロック部材(27)を近接配置させ、前記ロック部材(27)の固定動作のときにワンタッチ連結クラッチ(36)の連結を確認させるように構成したもので、下部コンベア(19)にワンタッチ連結クラッチ(36)を介して駆動力を伝えるから、フレキシブルワイヤ伝動またはベルト伝動による不具合をなくすことができ、前後に近接させる運転席(17)後側と穀粒タンク(14)前側の間の狭少空間でのベルト脱着操作などを不要にし、穀粒タンク(14)の水平回動作業性の向上並びに取扱い操作の簡略化などを行うことができると共に、機台(3)に軸受部材(34)を設けるから、前記入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)を連結するワンタッチ連結クラッチ(36)の係脱動作を穀粒タンク(14)操作で行わせることができ、またワンタッチ連結クラッチ(36)による入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)の連結を容易に確認でき、コンベア駆動軸(35)の回転力によってワンタッチ連結クラッチ(36)が離脱したり係合部の偏心により異音発生または損傷するのを容易に防止できるものである。」。

(2-2)訂正の適否
上記訂正事項(a)は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、上記訂正事項(b)、(c)は、特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載を整合させる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、これらの訂正事項は、特許明細書【0006】〜【0008】、【0011】に記載した事項の範囲内であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについて
(3-1)申立ての理由の概要
申立人は、特許明細書の特許請求の範囲第1項に記載された発明は、甲第1号証の1ないし甲第3号証の2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、特許を取り消すべきと主張している。

(3-2)本件発明
上記(2-2)で示したように上記訂正が認められるから、本件発明は、上記訂正請求に係る訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の第1項に記載されたとおりのものと認める。

(3-3)甲号証記載の発明
甲第1号証の1(実願昭58-62643号(実開昭59-166634号)のマイクロフィルム)には、
「脱穀部(A)の横側方に沿わせて籾タンク(B)を装設し、該籾タンク(B)の一端側に籾排出用の縦オーガ(3)を立設するコンバインの籾受部において、該縦オーガ(3)の中心下方部に装設した軸支部(5)を機台(1)上のメタル(6)に枢支して籾タンク(B)全体を軸支部(5)中心に機体外側方に回動自在に装設し、さらに籾タンク(B)の他端側を機台(1)側に着脱自在に連結固定して構成したことを特徴とする籾タンクの取付構造。」(実用新案登録請求の範囲)、
「・・・ステップ(9)の前後には、・・・シート(11)を・・・立設し、ステップ(9)の後方にはエンジン部(E)を装設・・・する。」(2頁15〜18行)、
「籾タンク(B)の後部上方に装設した連結支持部(14)には・・・排出用オーガ(4)の基部側を回動自在に連設し」(3頁5〜8行)、
「前記横オーガ(12)に伝動する入力プーリ(22)を籾タンク(B)の前部下方に軸架し、前記エンジン部(E)側の伝動プーリ(23)と前記入力プーリ(22)にはベルト(24)を掛廻するとともに、該ベルト(24)には操作自在のテンションプーリ(25)を当接できるように装設して構成する。」(4頁7〜12行)
が記載されている。

甲第1号証の2(実願昭57-30520号(実開昭59-11645号)のマイクロフィルム)には、
「グレンタンク(4)の後側近くには、このグレンタンク(4)の穀粒を上部の前記アンローダ(5)に送る縦スクリュー式搬送装置(8)が固定されている。この縦スクリュー式搬送装置(8)はその外周ケース(9)の下端が前記車体(7)に形成された円孔(10)に対し回転自在に内嵌保持され、その中途部が前記脱穀装置(2)の側壁に一端が固定されたブラケット(11)の遊端に固定の円筒(12)内に回転自在に内嵌保持されている。
前記グレンタンク(4)の底部に配された送り出しスクリュー(13)の一端部は、このグレンタンク(4)から突出されていて、この突出部分にはプーリ(14)が軸支され、このプーリ(14)に前記走行車体(7)に設けられたベルト伝導装置(15)のベルト(16)が巻掛けられるようになっている。」(4頁19行〜5頁13行)
が記載されている。

甲第2号証(実願昭59-82115号(実開昭60-194942号)のマイクロフィルム)には、
「コンバインにおけるカセットタンクの穀粒搬出装置」(考案の名称)、
「・・・第9図に示す如く・・・脱穀機のグレンタンク2の下方に取外し自在に取付られるカセットタンク(3)は籾受台(6)上にセットされるものであり、カセットタンク(3)の下方に装置した第3図に示す横送りコンベア(4)で籾はスロワー(14)のあるスロワー筒(5)を経て外部に排出されるようになっている。」(4頁1〜8行)、
「以上のような横送りコンベアの駆動は、次のようにして行われる。
すなわち、第1、2図に示す如く本機側の籾受台(6)上にセットされたギヤケース(7)にはギヤ(9)(10)が設けられ、エンジンからの動力はVプーリ(8)を介してプーリ軸(11)のギヤ(9)とこれと噛合する駆動軸(12)のギヤ(10)に伝達されるようになっている。
駆動軸(12)にはこれに対して鉛直方向に丸棒(13)が設けられてクラッチのジョイントを形成している。
一方、カセットタンク(3)の横送りコンベア軸(4)の端部に支板(15)が設けられ、これに水平方向に丸棒(16)が一対設けられている。
したがってカセットタンク(3)を籾受台(6)上にセットしたとき丸棒(13)(16)同志が接触するようになる。」(4頁11行〜5頁5行)、
「以上のようなカセットタンク(3)を籾受台(6)上にセットするとき、第8図に示すようにカセットタンク(3)の下面に設けた案内ピン(21)を籾受台(6)のガイド(22)に嵌合することによりカセットタンク(3)とジョイントクラッチの位置合わせを行うことができ、案内ピン(21)でジョイントのセンターズレが発生しない。
したがって、本機とカセットタンクの係合はワンタッチでできる。」(7頁11〜20行)、
「又籾受台(6)にはレール(24)が左右一対設けられており、このレール(24)に案内されるレールガイド(25)がカセットタンク(3)の下方において左右一対に形成されている。これによってカセットタンクの前後方向が規制されると共にタンクがスムーズに本機に対して脱着できる。」(8頁13〜19行)、
「更に又タンクを外す時の把手として防護バーを使用できるし、防護バー(30)が下向きに折曲げられて取り付けられている」(9頁13〜15行)
が記載されている。

甲第3号証の1(実公昭49-4859号公報)には、結束フレーム6の係止部14を支点とする水平方向の回動により係合部12と係止体13を連結させる脱穀機のノッターの取付装置が記載されている。

甲第3号証の2(実公昭47-17491号公報)には、カッター3の枢支部4を支点とする水平方向の回動により伝導軸端部5、6を連動させる脱穀機の排稈カッター取付装置が記載されている。

(3-4)対比・判断
本件発明と甲第1号証の1記載の発明とを対比すると、甲第1号証の1記載の発明の「脱穀部(A)」、「機台(1)」、「籾タンク(B)」、「横オーガ(12)」、「縦オーガ(3)」、「排出用オーガ(4)」、「シート(11)」、「エンジン部(E)」が、本件発明の「脱穀部(4)」、「機台(3)」、「穀粒タンク(14)」、「下部コンベア(19)」、「縦コンベア(20)」、「上部コンベア(21)」、「運転席(17)」、「エンジン(13a)」に相当し、刊行物1記載の発明の「入力プーリ(22)」に入力軸が設けられ、「伝動プーリ(23)」にコンベア駆動軸が設けられ、該コンベア駆動軸の軸受部材が設けられていることは明らかであるから、
両者は、脱穀部一側の機台上の穀粒タンク底部で前後方向に下部コンベアを延設させ、下部コンベア後端部に縦コンベア下端部を連結させ、縦コンベア上端部に上部コンベア基部を連結させると共に、運転席後側下方の穀粒タンク前面外側下部に入力軸を突設させ、穀粒タンク後側支点回りに穀粒タンクを水平方向に回動させ、本機側のコンベア駆動軸に前記穀粒タンク前部の入力軸を連結させるコンバインにおいて、穀粒タンク前部の水平回動遊端側の機台上面に軸受部材を設け、エンジン出力を伝達する前記コンベア駆動軸を軸受部材に取付け、前記入力軸とコンベア駆動軸を穀粒タンク前部で着脱自在に連結させたコンバインである点で一致するが、少なくとも、次の点で相違する。

(イ)本件発明が、「穀粒タンク(14)前部を本機側に連結させる係脱自在なロック部材(27)を設け」、「運転席(17)後側下方の穀粒タンク(14)前面外側下部の前記入力軸(33)にコンベア駆動軸(35)及びワンタッチ連結クラッチ(36)及びロック部材(27)を近接配置させた」構成を有するのに対し、甲第1号証の1記載の発明は、このような構成を有していない点。

上記相違点(イ)を検討する。
甲第1号証の2には、甲第1号証記載の発明と同様に上記一致点の構成が記載されているが、ロック部材、ワンタッチ連結クラッチについて記載されていない。
甲第2号証には、穀粒タンクの一部を構成するカセットタンク(3)を、該カセットタンク(3)のレールガイド(25)を籾受台(6)のレール(24)に摺動させることによって、ワンタッチ連結クラッチ(丸棒13、16からなるジョイントクラッチ)により本機側のコンベア駆動軸(駆動軸(12))に前記カセットタンク(3)前部の入力軸を連結させるようにしたこと、及び、ロック部材(案内ピン(21))が記載されているが、本件発明のように、入力軸、コンベア駆動軸、ワンタッチ連結クラッチ、及び、ロック部材を近接配置させたことは記載されていない。
甲第3号証の1には、結束フレーム6の係止部14を支点とする水平方向の回動により係合部12と係止体13を連結させる脱穀機のノッターの取付装置が記載され、甲第3号証の2には、カッター3の枢支部4を支点とする水平方向の回動により伝導軸端部5、6を連動させる脱穀機の排稈カッター取付装置が、それぞれ記載されているが、本件発明のように、入力軸、コンベア駆動軸、ワンタッチ連結クラッチ、及び、ロック部材を近接配置させたことは記載されていない。

上記のとおり、甲第1号証の1ないし甲第3号証の2には、いずれにも、上記相違点(イ)の本件発明に関する構成は記載されていない。
そして、本件発明は、上記相違点(イ)の本件発明に関する構成により、訂正明細書記載のとおりの「ワンタッチ連結クラッチ(36)による入力軸(33)とこのコンベア駆動軸(35)の連結を容易に確認でき」る格別の作用効果を奏する。
したがって、本件発明は、甲第1号証の1ないし甲第3号証の2記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

なお、申立人は、平成13年4月27日付けの回答書において、本件発明は、同一出願人の同日出願に係る発明(特許第2852650号公報(参考資料1)特許請求の範囲参照)と同一であるから、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないと主張しているが、参考資料1記載の発明は、「穀粒タンク(14)前部の水平回動遊端側下面を摺接させる機台(3)上面に軸受け部材(34)を設け」たものであるのに対し、本件発明には、穀粒タンク(14)前部の水平回動遊端側下面を機台上面に摺接させるとの限定事項はなく、両者を同一とすることはできない。
また、申立人は、同書において、本件発明の「ワンタッチ連結クラッチ(36)の連結を容易に確認させる」という、目的にも似た作用的記載は特許を受けようとする発明を不明確にするものであり、特許法第36条第6項第2項の規定に違反するとも主張しているが、「ワンタッチ連結クラッチ(36)の連結を容易に確認させる」ための構成は、訂正明細書の特許請求の範囲に「穀粒タンク(14)前面外側下部の前記入力軸(33)にコンベア駆動軸(35)及びワンタッチ連結クラッチ(36)及びロック部材(27)を近接配置させた」とすでに記載されており、上記作用的記載によって本件発明が不明確になるものでもない。

(3-5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
コンバイン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 脱穀部(4)一側の機台(3)上の穀粒タンク(14)底部で前後方向に下部コンベア(19)を延設させ、下部コンベア(19)後端部に縦コンベア(20)下端部を連結させ、縦コンベア(20)上端部に上部コンベア(21)基部を連結させると共に、運転席(17)後側下方の穀粒タンク(14)前面外側下部に入力軸(33)を突設させ、穀粒タンク(14)後側支点回りの水平方向の回動によって係脱自在なワンタッチ連結クラッチ(36)により本機側のコンベア駆動軸(35)に前記穀粒タンク(14)前部の入力軸(33)を連結させ、また穀粒タンク(14)前部を本機側に連結させる係脱自在なロック部材(27)を設けるコンバインにおいて、穀粒タンク(14)前部の水平回動遊端側の機台(3)上面に軸受部材(34)を設け、エンジン(13a)出力を伝達する前記コンベア駆動軸(35)を軸受部材(34)に取付け、前記入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)をワンタッチ連結クラッチ(36)によって穀粒タンク(14)前部で着脱自在に連結させ、前記運転席(17)後側下方の穀粒タンク(14)前面外側下部の前記入力軸(33)にコンベア駆動軸(35)及びワンタッチ連結クラッチ(36)及び口ック部材(27)を近接配置させ、前記ロック部材(27)固定動作のときにワンタッチ連結クラッチ(36)の連結を確認させるように構成したことを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は刈取部で刈取った穀稈を脱穀部で脱粒及び選別処理するコンバインに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開昭59-110542号公報に示す如く、穀粒タンク前部を後側支点回りに水平回動させて機体外方へ開放或いは機体内方に収納する技術があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術は、エンジンに連結させる脱穀部の駆動軸に穀粒タンク底部の下部コンベア前部の入力軸をベルト連結させ下部コンベアに駆動力を伝えるから、下部コンベアの連結が制限され易く、伝動構造の簡略化及びコンパクト化などを容易に図り得ないと共に、取扱い作業性の向上を容易に図り得ない等の問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
然るに、本発明は、脱穀部一側の機台上の穀粒タンク底部で前後方向に下部コンベアを延設させ、下部コンベア後端部に縦コンベア下端部を連結させ、縦コンベア上端部に上部コンベア基部を連結させると共に、運転席後側下方の穀粒タンク前面外側下部に入力軸を突設させ、穀粒タンク後側支点回りの水平方向の回動によって係脱自在なワンタッチ連結クラッチにより本機側のコンベア駆動軸に前記穀粒タンク前部の入力軸を連結させ、また穀粒タンク前部を本機側に連結させる係脱自在なロック部材を設けるコンバインにおいて、穀粒タンク前部の水平回動遊端側の機台上面に軸受部材を設け、エンジン出力を伝達する前記コンベア駆動軸を軸受部材に取付け、前記ロック部材と入力軸とコンベア駆動軸をワンタッチ連結クラッチによって穀粒タンク前部で着脱自在に連結させ、前記運転席後側下方の穀粒タンク前面外側下部の前記入力軸にコンベア駆動軸及びワンタッチ連結クラッチ及びロック部材を近接配置させ、前記ロック部材固定動作のときにワンタッチ連結クラッチの連結を確認させるように構成したもので、下部コンベアにワンタッチ連結クラッチを介して駆動力を伝えるから、フレキシブルワイヤ伝動またはベルト伝動による不具合をなくすことができ、前後に近接させる運転席後側と穀粒タンク前側の間の狭少空間でのベルト脱着操作などを不要にし、穀粒タンクの水平回動作業性の向上並びに取扱い操作の簡略化などを行い得ると共に、機台に軸受部材を設けるから、前記入力軸とコンベア駆動軸を連結するワンタッチ連結クラッチの係脱動作を穀粒タンク操作で行わせ得、またワンタッチ連結クラッチによる入力軸とコンベア駆動軸の連結を容易に確認し得、コンベア駆動軸の回転力によってワンタッチ連結クラッチが離脱したり係合部の偏心により異音発生または損傷するのを容易に防止し得るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施例を図面に基づいて詳述する。図1は穀粒タンク部の断面説明図、図2は全体側面図、図3は同平面図であり、図中(1)は左右に走行クローラ(2)(2)を装設するトラックフレーム、(3)は前記トラックフレーム(1)に固定支持する機台、(4)はフィードチェン(5)を左側に張架し扱胴(6)を内蔵してなる脱穀部、(7)は油圧シリンダ(8)を介して機台(3)前方に昇降可能に支持させて刈刃(9)及び穀稈搬送機構(10)などを備える刈取部、(11)は前記フィードチェン(5)終端に連結させる排藁チェン(12)の終端を臨ませる排藁カッター部、(13)はコンバインの各部を駆動するエンジン部、(14)は揚穀筒(15)を臨ませて脱穀部(4)から取出す穀粒を貯留する穀粒タンク、(16)は運転席(17)及び運転操作部(18)を備える運転台であり、前記刈取部(7)で連続的に穀稈を刈取ると共に、この刈取穀稈を前記脱穀部(4)で脱穀処理するように構成している。
【0006】
図4乃至図5に示す如く、前記穀粒タンク(14)は底部に穀粒横送りオーガ(19)を、また後部に前記横送りオーガ(19)からの穀粒を縦送りする縦送りオーガ(20)を、さらに上部に前記縦送りオーガ(20)からの穀粒を機外に取出す横排出オーガ(21)を備え、縦軸である前記オーガ(20)のオーガ筒(22)を中心に該穀粒タンク(14)を外方に回動自在に設けるもので、前記横送りオーガ(19)と縦送りオーガ20)との駆動伝達ケース(23)の下端軸部(23a)を機台(3)の軸受部材(24)に、また縦送りオーガ(20)の中間を前記エンジン部(13)前壁の筒受部材(25)に回動自在に支持させ、穀粒タンク(14)の前部側を外方に開放可能に構成している。また、穀粒タンク(14)の機体内方収納時機台(3)のロック板(26)にロックピン(27)を介し穀粒タンク(14)の固定ホルダ(28)を係脱自在に固定すると共に、脱穀部(4)の内側壁(4a)のロック金具(29)にロックピン(30)を介し穀粒タンク(14)の内側壁の係止金具(31)を係脱自在に固定し、該タンク(14)の位置保持を図るように構成している。
【0007】
さらに、前記横送りオーガ(19)に一対のベベルギヤ(32)を介し連動連結する駆動入力部である入力軸(33)に、前記エンジン部(13)のエンジン(13a)出力を伝達する本機側中間駆動ケース(34)の駆動出力部である出力軸(35)を突合せクラッチ(36)を介し継断自在に結合連結させ、前記タンク(14)の収納或いは開放時これら入力軸(33)と出力軸(35)との結合或いは結合解除をワンタッチで行い得るように構成している。前記クラッチ(36)の結合方向は穀粒タンク(14)の回動を許容するような方向になっていて、タンク(14)の収納或いは開放時支障なくその結合或いは結合解除が行われるように構成したものである。
【0008】
上記から明らかなように、脱穀部(4)一側の機台(3)上の穀粒タンク(14)底部で前後方向に下部コンベアである横送りオーガ(19)を延設させ、横送りオーガ(19)後端部に縦コンベアである縦送りオーガ(20)下端部を連結させ、縦送りオーガ(20)上端部に上部コンベアである横排出オーガ(21)基部を連結させると共に、運転席(17)後側下万の穀粒タンク(14)前面外側下部に入力軸(33)を突設させ、穀粒タンク(14)後側支点回りの水平方向の回動によって係脱自在なワンタッチ連結クラッチである突合せクラッチ(36)により本機側のコンベア駆動軸である出力軸(35)に前記穀粒タンク(14)前部の入力軸(33)を連結させ、また穀粒タンク(14)前部の水平回動遊端側を本機に連結させる係脱自在なロック部材であるロックピン(27)を設ける。また、穀粒タンク(14)前部の水平回動遊端側下面を摺接させる機台(3)上面に軸受部材である本機側中間駆動ケース(34)を設け、エンジン(13a)出力を伝達する前記出力軸(35)を駆動ケース(34)に取付け、前記ロックピン(27)と入力軸(33)と出力軸(35)と突合せクラッチ(36)を穀粒タンク(14)前部で互に近接させて配設させている。そして、横送りオーガ(19)に突合せクラッチ(36)を介して駆動力を伝えるから、フレキシブルワイヤ伝動またはベルト伝動による不具合をなくし、前後に近接させる運転席(17)後側と穀粒タンク(14)前側の間の狭少空間でのベルト脱着操作などを不要にし、穀粒タンク(14)の水平回動作業性の向上並びに取扱い操作の簡略化などを行えると共に、機台(3)の穀粒タンク(14)摺動案内面に駆動ケース(34)を設け、前記入力軸(33)と出力軸(35)を連結する突合せクラッチ(36)の係脱動作を穀粒タンク(14)の摺動操作だけで適正に行わせ、脱穀部(4)を介することなくエンジン(13a)動力を駆動ケース(34)の出力軸(35)によって横送りオーガ(19)に伝達させ、また前記各軸(33)(35)と突合せクラッチ(36)と前記ロックピン(27)を穀粒タンク(14)前部で互に近接配置させ、ロックピン(27)の穀粒タンク(14)固定動作と突合せクラッチ(36)による入力軸(33)と出力軸(35)の連結を容易に確認でき、出力軸(35)の回転力によって突合せクラッチ(36)が離脱したり係合部の偏心により異音発生または損傷するのを防ぎ、またエンジン(13a)出力を本機側中間駆動ケース(34)から横送りオーガ(19)に伝え、脱穀部(4)を停止させた状態で横送りオーガ(19)及び縦送りオーガ(20)を駆動して穀粒タンク(14)内の穀粒を取出し、脱穀部(4)駆動騒音の発生または無駄な燃料消費などの防止並びに取扱い作業性の向上などを行えるように構成している。
【0009】
ところで、前記穀粒タンク(14)の右内側壁面(14a)には、穀粒の貯留量を検知する下限・中間・上限量センサ(37)(38)(39)を設けると共に、これらの貯留量を表示するインジケータ(40)を穀粒タンク(14)の前面壁(14b)上部に設けている。またこれらセンサ(37)(38)(39)及びインジケータ(40)の各接続コード(41)はタンク右内側壁面(14a)上に沿わせて配設すると共に、前記オーガ筒(22)近傍のタンク後面壁(14c)に開口するコード挿通孔(42)よりタンク(14)外側にコード(41)の電源側を導出させ、前記タンク(14)のオーガ筒(22)を中心とした回動操作時コード(41)を引張ったり弛めたりすることなくその変位量を抑制するように構成している。なお、(43)は前記オーガ筒(22)に起伏且つ回動自在に連結支持する横排出オーガ(21)のオーガ筒である。
【0010】
本実施例は上記の如く構成するものにして、刈取部(7)で刈取り脱穀部(4)で脱穀処理した穀粒を前記穀粒タンク(14)内に貯留し、その必要時各オーガ(19)(20)(21)を駆動することによって機外に穀粒タンク(14)内の穀粒を取出すものである。
【0011】
而して、脱穀部(4)と穀粒タンク(14)間のエンジン(13a)からの駆動伝達系などの点検を行うに際しては、各ロックピン(27)(30)のロック解除を行って図3仮想線状態に示す如く前記オーガ筒(22)を中心に穀粒タンク(14)を外方に回動させ開放するもので、この結果駆動伝達系周囲の余剰スペースが拡大され点検作業などを容易とさせることができるものである。また前記タンク(14)の収納或いは開放時にあっては、該タンク(14)の駆動入力軸(33)と本機側の駆動出力軸(35)とが前記クラッチ(36)の突合せ或いは突合せ解除によってワンタッチ操作による簡便な連結及び連結解除が行われる。
【0012】
なお、前述実施例においては、タンク(14)の駆動入力軸(33)と本機側の駆動出力軸(35)とを突合せクラッチ(36)により連結する構成としたが、前記オーガ筒(22)を中心として前記入力軸(33)が描く回転軌跡を許容できる構造のものであれば何でも良く、各軸(33)(35)の対向する面同志を面接触させる摩擦方式或いはカップリングなどのような噛合せ方式など何れを用いても良い。
【0013】
【考案の効果】
以上実施例から明らかなように本考案は、脱穀部(4)一側の機台(3)上の穀粒タンク(14)底部で前後方向に下部コンベア(19)を延設させ、下部コンベア(19)後端部に縦コンベア(20)下端部を連結させ、縦コンベア(20)上端部に上部コンベア(21)基部を連結させると共に、運転席(17)後側下方の穀粒タンク(14)前面外側下部に入力軸(33)を突設させ、穀粒タンク(14)後側支点回りの水平方向の回動によって係脱自在なワンタッチ連結クラッチ(36)により本機側のコンベア駆動軸(35)に前記穀粒タンク(14)前部の入力軸(33)を連結させ、また穀粒タンク(14)前部を本機側に連結させる係脱自在なロック部材(27)を設けるコンバインにおいて、穀粒タンク(14)前部の水平回動遊端側の機台(3)上面に軸受部材(34)を設け、エンジン(13a)出力を伝達する前記コンベア駆動軸(35)を軸受部材(34)に取付け、前記入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)をワンタッチ連結クラッチ(36)によって穀粒タンク(14)前部で着脱自在に連結させ、前記運転席(17)後側下方の穀粒タンク(14)前面外側下部の前記入力軸(33)にコンベア駆動軸(35)及びワンタッチ連結クラッチ(36)及びロック部材(27)を近接配置させ、前記ロック部材(27)固定動作のときにワンタッチ連結クラッチ(36)の連結を確認させるように構成したもので、下部コンベア(19)にワンタッチ連結クラッチ(36)を介して駆動力を伝えるから、フレキシブルワイヤ伝動またはベルト伝動による不具合をなくすことができ、前後に近接させる運転席(17)後側と穀粒タンク(14)前側の間の狭少空間でのベルト脱着操作などを不要にし、穀粒タンク(14)の水平回動作業性の向上並びに取扱い操作の簡略化などを行うことができると共に、機台(3)に軸受部材(34)を設けるから、前記入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)を連結するワンタッチ連結クラッチ(36)の係脱動作を穀粒タンク(14)操作で行わせることができ、またワンタッチ連結クラッチ(36)による入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)の連結を容易に確認でき、コンベア駆動軸(35)の回転力によってワンタッチ連結クラッチ(36)が離脱したり係合部の偏心により異音発生または損傷するのを容易に防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】穀粒タンク部の断面説明図。
【図2】全体側面図。
【図3】同平面図。
【図4】穀粒タンク部の正面説明図。
【図5】部分拡大説明図。
【符号の説明】
(3) 機台
(4) 脱穀部
(13a) エンジン
(14) 穀粒タンク
(17) 運転席
(19) 横送りオーガ(下部コンベア)
(20) 縦送りオーガ(縦コンベア)
(21) 横排出オーガ(上部コンベア)
(33) 入力軸
(34) 本機側中間駆動ケース(軸受部材)
(35) 出力軸(コンベア駆動軸)
(36) 突合せクラッチ(ワンタッチ連結クラッチ)
 
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項(a):
特許請求の範囲第1項を、特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲第1項を次のとおりに訂正する。
「脱穀部(4)一側の機台(3)上の穀粒タンク(14)底部で前後方向に下部コンベア(19)を延設させ、下部コンベア(19)後端部に縦コンベア(20)下端部を連結させ、縦コンベア(20)上端部に上部コンベア(21)基部を連結させると共に、運転席(17)後側下方の穀粒タンク(14)前面外側下部に入力軸(33)を突設させ、穀粒タンク(14)後側支点回りの水平方向の回動によって係脱自在なワンタッチ連結クラッチ(36)により本機側のコンベア駆動軸(35)に前記穀粒タンク(14)前部の入力軸(33)を連結させ、また穀粒タンク(14)前部を本機側に連結させる係脱自在なロック部材(27)を設けるコンバインにおいて、穀粒タンク(14)前部の水平回動遊端側の機台(3)上面に軸受部材(34)を設け、エンジン(13a)出力を伝達する前記コンベア駆動軸(35)を軸受部材(34)に取付け、前記入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)をワンタッチ連結クラッチ(36)によって穀粒タンク(14)前部で着脱自在に連結させ、前記運転席(17)後側下方の穀粒タンク(14)前面外側下部の前記入力軸(33)にコンベア駆動軸(35)及びワンタッチ連結クラッチ(36)及びロック部材(27)を近接配置させ、前記ロック部材(27)の固定動作のときにワンタッチ連結クラッチ(36)の連結を確認させるように構成したことを特徴とするコンバイン。」
訂正事項(b):
【0004】を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のとおりに訂正する。
「【課題を解決するための手段】
然るに、本発明は、脱穀部一側の機台上の穀粒タンク底部で前後方向に下部コンベアを延設させ、下部コンベア後端部に縦コンベア下端部を連結させ、縦コンベア上端部に上部コンベア基部を連結させると共に、運転席後側下方の穀粒タンク前面外側下部に入力軸を突設させ、穀粒タンク後側支点回りの水平方向の回動によって係脱自在なワンタッチ連結クラッチにより本機側のコンベア駆動軸に前記穀粒タンク前部の入力軸を連結させ、また穀粒タンク前部を本機側に連結させる係脱自在なロック部材を設けるコンバインにおいて、穀粒タンク前部の水平回動遊端側の機台上面に軸受部材を設け、エンジン出力を伝達する前記コンベア駆動軸を軸受部材に取付け、前記ロック部材と入力軸とコンベア駆動軸をワンタッチ連結クラッチによって穀粒タンク前部で着脱自在に連結させ、前記運転席後側下方の穀粒タンク前面外側下部の前記入力軸にコンベア駆動軸及びワンタッチ連結クラッチ及びロック部材を近接配置させ、前記ロック部材の固定動作のときにワンタッチ連結クラッチの連結を確認させるように構成したもので、下部コンベアにワンタッチ連結クラッチを介して駆動力を伝えるから、フレキシブルワイヤ伝動またはベルト伝動による不具合をなくすことができ、前後に近接させる運転席後側と穀粒タンク前側の間の狭少空間でのベルト脱着操作などを不要にし、穀粒タンクの水平回動作業性の向上並びに取扱い操作の簡略化などを行い得ると共に、機台に軸受部材を設けるから、前記入力軸とコンベア駆動軸を連結するワンタッチ連結クラッチの係脱動作を穀粒タンク操作で行わせ得、またワンタッチ連結クラッチによる入力軸とコンベア駆動軸の連結を容易に確認し得、コンベア駆動軸の回転力によってワンタッチ連結クラッチが離脱したり係合部の偏心により異音発生または損傷するのを容易に防止し得るものである。」
訂正事項(c):
【0013】を、明瞭でない記載の釈明を目的として、次のとおりに訂正する。
「【考案の効果】
以上実施例から明らかなように本考案は、脱穀部(4)一側の機台(3)上の穀粒タンク(14)底部で前後方向に下部コンベア(19)を延設させ、下部コンベア(19)後端部に縦コンベア(20)下端部を連結させ、縦コンベア(20)上端部に上部コンベア(21)基部を連結させると共に、運転席(17)後側下方の穀粒タンク(14)前面外側下部に入力軸(33)を突設させ、穀粒タンク(14)後側支点回りの水平方向の回動によって係脱自在なワンタッチ連結クラッチ(36)により本機側のコンベア駆動軸(35)に前記穀粒タンク(14)前部の入力軸(33)を連結させ、また穀粒タンク(14)前部を本機側に連結させる係脱自在なロック部材(27)を設けるコンバインにおいて、穀粒タンク(14)前部の水平回動遊端側の機台(3)上面に軸受部材(34)を設け、エンジン(13a)出力を伝達する前記コンベア駆動軸(35)を軸受部材(34)に取付け、前記入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)をワンタッチ連結クラッチ(36)によって穀粒タンク(14)前部で着脱自在に連結させ、前記運転席(17)後側下方の穀粒タンク(14)前面外側下部の前記入力軸(33)にコンベア駆動軸(35)及びワンタッチ連結クラッチ(36)及びロック部材(27)を近接配置させ、前記ロック部材(27)の固定動作のときにワンタッチ連結クラッチ(36)の連結を確認させるように構成したもので、下部コンベア(19)にワンタッチ連結クラッチ(36)を介して駆動力を伝えるから、フレキシブルワイヤ伝動またはベルト伝動による不具合をなくすことができ、前後に近接させる運転席(17)後側と穀粒タンク(14)前側の間の狭少空間でのベルト脱着操作などを不要にし、穀粒タンク(14)の水平回動作業性の向上並びに取扱い操作の簡略化などを行うことができると共に、機台(3)に軸受部材(34)を設けるから、前記入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)を連結するワンタッチ連結クラッチ(36)の係脱動作を穀粒タンク(14)操作で行わせることができ、またワンタッチ連結クラッチ(36)による入力軸(33)とコンベア駆動軸(35)の連結を容易に確認でき、コンベア駆動軸(35)の回転力によってワンタッチ連結クラッチ(36)が離脱したり係合部の偏心により異音発生または損傷するのを容易に防止できるものである。」。
異議決定日 2001-06-20 
出願番号 特願平10-208729
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A01F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 森 正幸山田 昭次瀬津 太朗関根 裕  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 平瀬 博通
藤井 靖子
登録日 2000-01-14 
登録番号 特許第3020056号(P3020056)
権利者 ヤンマー農機株式会社
発明の名称 コンバイン  
代理人 藤原 忠治  
代理人 藤原 忠治  

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