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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H05H
管理番号 1048434
異議申立番号 異議1999-72615  
総通号数 24 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-06-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-07-07 
確定日 2001-08-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2856130号「高周波加速空胴」の請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2856130号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
本件特許第2856130号の出願は、平成7年12月18日に出願され、平成10年11月27日に請求項の数7として特許権の設定登録がされた後、申立人三菱電機株式会社及び申立人堀田雄次より特許異議の申立てがされ、取消理由の通知がされ、その指定期間内である平成13年6月25日に訂正請求がされた。

2 訂正の適否
(1)訂正の内容
特許権者が求める訂正は、次のとおりである。
【訂正事項a】
請求項1〜7を次のとおり訂正する。なお、下線部が訂正個所である。
【請求項1】環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-αCuXSiYBZM′α(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z及びαはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30及び0.1≦α≦30を満たす。)により表される組成を有し、
組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、
前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項2】 環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-βCuXSiYBZM′αM″β(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,Cr,Mn,Al,白金属元素,Sc,Y,希土類元素,Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z,α及びβはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30,0.1≦α≦30及び0<β≦10を満たす。)により表される組成を有し、組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、
前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空洞。
【請求項3】環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-γCuXSiYBZM′αM″γ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はC,Ge,P,Ga,Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z,α及びγはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30,0.1≦α≦30 及び0<γ≦10を満たす。)により表される組成を有し、組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、
前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項4】環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-β-γCuXSiYBZM′αM″βLγ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,Cr,Mn,Al,白金属元素,Sc,Y,希土類元素,Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、LはC,Ge,P,Ga,Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z,α,β及びγはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30,0.1≦α≦30,0<β≦10及び0<γ≦10を満たす。)により表される組成を有し、
組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、
前記磁性体に100kHz〜10MHzの固波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項5】請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記磁性体を複数備え、各磁性体毎に高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項6】請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記磁性体を複数備え、該複数の磁性体を少なくとも2つのグループに分け、グループ毎に高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項7】請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記結晶粒は、1000Å以下の平均粒径を有することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。」
【訂正事項b】
特許請求の範囲の訂正に伴い、明細書の段落【0005】、【0006】、【0024】を次のとおり訂正する。なお、下線部が訂正個所である。
「 【0005】
本発明の目的は、広い周波数帯域、特に低周波数側で効率よく高い加速間隙電圧を得ることのできる環状加速器用の高周波加速空胴の提供にある。
「 【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、その磁性体として 一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-αCuXSiYBZM′α(原子%)(ただし、 MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z及びαはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0≦Y≦30,0≦Z≦25,5≦Y+Z≦30及び0.1≦α≦30を満たす。)により表される組成を有し、組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電するFe基軟磁性合金からなることにより達成され
る。前記磁性体は一般的に優れた磁気特性を示し、キュリー温度,飽和磁束密度、および比透磁率が高いことに特徴がある。これにより磁性体の温度上昇,磁束の飽和による高電圧化の制限を緩和するとともに低い周波数での使用を可能とすることができる。」
「 【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、環状加速器用の高周波加速空胴を構成する磁性体の温度上昇や磁束の飽和による高電圧化の制限を緩和できるとともに低い周波数での使用を可能とすることができる。さらに、空胴内に装荷した複数の磁性体毎又はそのグループ毎に高周波電力を給電することで高周波電源と空胴とのインピーダンス整合をとることができるので、高周波電力の給電効率を向上できる。以上の結果、広い周波数帯域、特に低い周波数側で効率よくかつ安定に高い加速間隙電圧を得ることができる。」

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項aは、請求項1〜4について、「磁性体装荷型の高周波装置」及び「高周波装置」を「環状加速器用」に限定し、また「磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電する」との限定を付加するものであり、請求項5〜7について、「高周波加速空洞」を「環状加速器用」に限定するものである。したがって、訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とし、明細書【0010】【0021】及び図6に記載されているように、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項bは、訂正された特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を整合させるための訂正であり、不明りょうな記載の釈明を目的とするもので、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)独立特許要件
(ア)訂正発明
訂正明細書に記載された請求項1〜7に係る発明(以下、各々「訂正発明1」等という。)は、請求項1〜7に記載された事項により特定される次のとおりのものである
「【請求項1】環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-αCuXSiYBZM′α(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z及びαはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30及び0.1≦α≦30を満たす。)により表される組成を有し、
組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、
前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項2】 環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-βCuXSiYBZM′αM″β(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,Cr,Mn,Al,白金属元素,Sc,Y,希土類元素,Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z,α及びβはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30,0.1≦α≦30及び0<β≦10を満たす。)により表される組成を有し、組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、
前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空洞。
【請求項3】環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-γCuXSiYBZM′αM″γ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はC,Ge,P,Ga,Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z,α及びγはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30,0.1≦α≦30 及び0<γ≦10を満たす。)により表される組成を有し、
組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、
前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項4】環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-β-γCuXSiYBZM′αM″βLγ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,Cr,Mn,Al,白金属元素,Sc,Y,希土類元素,Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、LはC,Ge,P,Ga,Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z,α,β及びγはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30,0.1≦α≦30,0<β≦10及び0<γ≦10を満たす。)により表される組成を有し、
組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、
前記磁性体に100kHz〜10MHzの固波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項5】請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記磁性体を複数備え、各磁性体毎に高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項6】請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記磁性体を複数備え、該複数の磁性体を少なくとも2つのグループに分け、グループ毎に高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項7】請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記結晶粒は、1000Å以下の平均粒径を有することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。」

(イ)刊行物記載の事項
取消理由に引用した刊行物は次の刊行物1〜6であり、以下に摘記する事項が記載されている。
[刊行物1:特公平4-4393号公報]
(訂正発明1のFe基軟磁性合金について)
「一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-αCuXSiYBZM′α(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,x,y,z及びαはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦x≦3,0<y≦30,0<z≦25,5≦y+z≦30及び0.1≦α≦30を満たす。)により表される組成を有し、組織の少なくとも50%が1000Å以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であることを特徴とするFe基軟磁性合金。」(特許請求の範囲第1項)
(訂正発明2のFe基軟磁性合金について)
「一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-βCuXSiYBZM′αM″β(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,Cr,Mn,AI,白金属元素,Sc,Y,希土類元素,Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,×,y,z,α及びβはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦x≦3,0<y≦30,0<z≦25,5≦y+z≦30,0.1≦α≦30及び0<β≦10を満たす。)により表される組成を有し、組織の少なくとも50%が1000Å以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であることを特徴とするFe基軟磁性合金。」(特許請求の範囲第14項)
(訂正発明3のFe基軟磁性合金について)
「一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-γCuXSiYBZM′αXγ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、XはC,Ge,P,Ga,Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,×,y,z,α及びγはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦x≦3,0<y≦30,0<z≦25,5≦y+z≦30,0.1≦α≦30 及び0<γ≦10を満たす。)により表される組成を有し、組織の少なくとも50%が1000Å以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であることを特徴とするFe基軟磁性合金。」(特許請求の範囲第26項)
(訂正発明4のFe基軟磁性合金について)
「一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-β-γCuXSiYBZM′αM″βXγ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,Cr,Mn,AI,白金属元素,Sc,Y,希土類元素Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、XはCGe,P,Ga,Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,×,y,z,α,β及びγはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦x≦3,0<y≦30 ,0<z≦25,5≦y+z≦30,0.1≦α≦3 0,0<β≦10及び0<γ≦10を満たす。)により表される組成を有し、組織の少なくとも50%が1000Å以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であることを特徴とするFe基軟磁性合金。」(特許請求の範囲第39項)
(Fe基軟磁性合金の特性と用途について)
「従来、高周波トランス、磁気ヘッド、可飽和リアクトル、チョークコイル等の磁心材料として、うず電流損が少ない等の利点を有するフエライトが主に用いられていた。フエライトは飽和磁束密度が低く、温度特性も悪いため、高周波トランスやチョークコイルに用いる場合磁心を小型化することが困難であるという欠点があった。」(4頁第8欄16〜22行)
「本発明のFe基軟磁性合金は微細結晶粒が全体の50%以上を占めることにより、コア損失が著しく低く,Co基非晶質合金と同程度であるとともに、コア損失の経時変化も小さい。また透磁率及び飽和磁束密度が高く、耐磨耗性にも優れている。さらに高周波磁気特性に優れ、含浸や変形等による歪に帰因する特性劣化が小さく、低磁歪のものである。このような本発明のFe基軟磁性合金は高周波トランス、チョークコイル、可飽和リアクトルだけでなく磁気ヘッド等にも最適な材料であり、著しい特性改善が達成できる。」(28頁第56欄5〜16行)

[刊行物2:Proceedings of the 1989 IEEE Particle Accelerator Conference March 20-23,1989 Chicago,IL Volume 1 of 3, 234頁〜236頁 1989年(平成1年)発行]
「環状加速器向けのフェライト装荷非同調形高周波加速空胴」(表題)に関し、次のとおり記載されている。
(低いQと高いμについて)
「同調型加速空胴では高いQが望ましく、従って共振周波数で高いインピーダンスを得るためにはμの低いフェライトが使用される。しかし非同調型の加速空胴の場合、Qが高いと周波数帯域において、インピーダンスが大きく変化することを意味し、μが低いと低周波数以外ではインピーダンスが低くなってしまうことを意味する。この場合、低いQと高いμは必須である。」(235頁左欄2行〜9行)
「低い周波数で高いμがMn-Znフェライトによって達成されると思われる。Ni-Znフェライトのμは低いが広い周波数で一定である。Qは外部並行抵抗器によって下げられる。もし、適切な種類のフェライトが選択されたならば、0.88〜5.11MHzの小さい周波数領域でこれらの特性の両方を満足できる。選択されたフェライトは、日本の日立金属製のT-314である。それは、1MHzでμ=1200を有するNi-Znフェライトであり、1MHzを超えるごとに周波数の-1乗に比例して減少する。」(235頁左欄13〜21行)
(シャント抵抗について)
「加速間隙に取り付けたシャント抵抗器(50、100及び200オーム)がある状態で、空胴インピーダンスの大きさと位相をネットワークアナザイラで測定した。」(235頁左欄下から14行〜下から11行)
「図3 シャント抵抗器を有する加速空胴のインピーダンスの大きさ及び位相。黒塗りの点は150Vrfでの測定。白抜きの点はネットワークアナライザによる測定。」(235頁右欄 Fig.3)
「図3に示すように、周波数範囲0.88〜5.11MHzにおける空胴インピーダンスの大きさ及び位相の変化は、シャント抵抗器が小さくなるほど小さくなる。50オームのシャント抵抗器を設けたとき、2kWの高周波電力が450Vの高周波振幅を生じ、そして電力の大部分が、W=Vrf2/(2R)で示されるようにシャント抵抗器で消費される。100オームまたはそれよりも高いシャント抵抗器を設けることは、高周波増幅器の要求電力を減らすために好ましいことである。」(235頁左欄下から4行〜236頁左欄7行)
「高電力測定のデータから、フェライトディスク及びシャント抵抗器における各高周波電力消費は、分離される。図4において、200オームのシャント抵抗器あり及びそのシャント抵抗器なしにおける高周波電力の消費がプロットされる。シャント抵抗器を有する場合におけるその電力の消費は、その抵抗器での消費と抵抗器なしの場合の加速空洞(フェライト)での消費の合計に等しい。」(236頁左欄20行〜30行)
(μ’低下の利用について)
「Snoekの限界というものが存在し、それ以上の周波数ではフェライト材のμ’が周波数の増加と共に下がっていく。このμ’が下がる傾向を積極的に利用することで非同調型空胴を広い帯域にて比較的高インピーダンスに維持することができる。今回使用したフェライトディスクでは周波数が2MHz以下の領域では空胴インピーダンスの位相と絶対値が大きく変化したが、低周波数領域でμ’が高く、0.5MHz付近から下がり始めるようなフェライトディスクを用いれば、本論文で試験したものよりインピーダンスの変化は抑えることができる。」(236頁右欄1行〜14行)

[刊行物3:Journal of Applied Physics 64(10)6044頁〜6046頁 1988年(昭和63年)11月15日発行]
「結晶温度を超える単ローラ法によって非晶質合金を焼き戻して得られるFe-Si-B-M(M:付加剤)合金の磁気特性は、新Fe基軟磁性合金の開発のために研究された。優れた軟磁気特性は、Fe-Si-B合金に二要素CuとNbを加えることにより得られた。”FINEMET”と呼ばれるこれらの新合金はbcc Fe固溶体から成る微細粒構造を有することが分った。超軟磁気特性、高飽和磁束密度、並びに磁界焼き戻しにより得られる種々のB-Hヒステリシスループによって、可飽和リアクトル、チョークコイル、トランスのような各種磁気要素として適する。」(6044頁5行〜13行)と記載され、Fig.6には、「FINEMETと他の材料に対する比透磁率の周波数依存性」が記載され、「FINEMET(Fe73.5Cu1Nb3Si13.5B9)及び「Mn-Znフェライト」について、FINEMETの比透磁率の値が高く、周波数の増加に応じて比透磁率の値が低下する傾向が認められる。
[刊行物4:特開平6-333717号公報]
「絶縁膜が形成されたナノ結晶軟磁性合金薄帯および磁心ならびにパルス発生器、レーザ装置、加速器」(発明の名称)に関し、次のとおり記載されている。
「【0004】また、前記線形誘導加速器では、・・・電子ビームなどの荷電粒子ビームの発生あるいは加速に磁心を利用した加速空洞が用いられる。」
「【0006】これらの用途で用いられる磁性部品は一般に磁心の小型化と低損失化が重要である。損失による磁心の温度上昇を無視すれば、・・・磁心体積と損失は占積率Kと動作磁束密度量△Bの積で定義される実効動作磁束密度量K・△Bの2乗に反比例することが知られている。リセットエネルギーの大きさを大とすれば△Bはおよそ実効飽和磁束密度Bmsの2倍となる。このため実効飽和磁束密度Bmsの高いFe基軟磁性合金を用いた磁心を使用するのが好ましい。」
「【0030】また、以上説明したようなセラミック絶縁膜の形成されたナノ結晶軟磁性合金薄帯を用いた磁心は、占積率Kと動作磁束密度量ΔBの積である実効動作磁束密度量K・ΔBが大きく、単位体積当たりの半周期の磁心損失Pcgも小さくできるため実効動作磁束密度量K・ΔBの2乗で割った損失計数Pcg/(K・ΔB)2が小さくでき低損失となる。
【0031】前記磁心を用いて構成した・・・加速器は、装置の小型化が容易になるとともに、損失の発生源であった・・・磁性部品の損失を低減できるため高効率化も図れる。」
「【0067】【発明の効果】以上説明した本発明によれば、・・・線形誘導加速器などの加速器に用いられる・・・加速空胴・・・さらにはこれらの磁性部品を用いたシステムの高信頼性と高性能化を両立することができる。」

[刊行物5:特開平2-297903号公報]
「Fe基微結晶軟磁性合金からなる巻磁心及びその製造方法」(発明の名称)が記載されている。

[刊行物6:PHILPS TECHNICAL REVIEW,VOL.30,1969年 No.11/12,316頁]
複数の磁性体毎に高周波電力を給電することが記載されている(316頁Fig.7)。

(ウ)対比・判断
[訂正発明1について]
訂正発明1の磁性体であるFe基軟磁性合金と同一組成のものは、刊行物1に記載されている。しかしながら、訂正発明1が、該磁性体を環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴に用い、前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電するものであるのに対して、刊行物1記載の発明は、高周波トランス、チョークコイル、可飽和リアクトル、磁気ヘッド等の材料として利用することを開示するものの加速空洞についての利用を開示するものではない点で、訂正発明1は刊行物1記載の発明と相違する。
そこで、上記相違点を検討する。
刊行物2には、環状加速器向けのフェライト装荷非同調形高周波加速空胴について記載され、非同調型の加速空胴の場合、低いQと高いμは必須であること、低周波数領域でμが高く、0.5MHz付近から下がり始めるようなフェライトディスクを用いれば、よりインピーダンスの変化は抑えることができることが記載され、環状加速器向けのフェライト装荷非同調形高周波加速空胴において高い比透磁率を有するフェライトを用いることを開示するものであるが、低いQを得るために、シャント抵抗器を用いるものである。したがって、刊行物2は、シャント抵抗器を必須のものとしこれと共に適切なフェライトを用いることを開示するもので、シャント抵抗器を必要としない本件発明1を開示ないし示唆するものではない。
また、刊行物4には、Fe基軟磁性合金を線型誘導加速器の加速空洞に用いることが記載されている。しかしながら、線型誘導加速器の加速空洞においては、磁性体の損失を少なく(Qを高く)することが望まれるものであり、Fe基軟磁性合金の採用も磁性体の損失が少ない点に着目してされたものである。本件発明1の環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴においては、適度な磁性体損失を利用するもので、磁性体を利用する目的ないし条件が異なり、たとえ刊行物4にFe基軟磁性合金を線型誘導加速器の加速空洞に用いることが開示されていたとしても、本件発明1の環状加速器用の高周波加速空胴にFe基軟磁性合金を用いることを示唆するものとはいえない。
また、刊行物3、5は、Fe基軟磁性合金であるFINEMETとその特性を開示するものの、環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴に用いることを開示ないし示唆するものではない。
さらに、刊行物6も、上記相違点を開示ないし示唆するものではない。
以上のように、Fe基軟磁性合金を、環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴における磁性体とし採用し、該磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電することは、各引用例に記載も示唆もされていない。そして、訂正発明1は、「環状加速器用の高周波加速空胴を構成する磁性体の温度上昇や磁束の飽和による高電圧化の制限を緩和できるとともに低い周波数での使用を可能とすることができ」、「広い周波数帯域、特に低い周波数側で効率よくかつ安定に高い加速間隙電圧を得ることができる」(【0024】)という明細書記載の顕著な作用効果を奏することが認められる。
したがって、引用発明1は、出願前頒布された刊行物1〜6に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得るものではなく、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
[訂正発明2〜4について]
訂正発明2〜4の磁性体であるFe基軟磁性合金と同一組成のものは、刊行物1に記載されているものの、訂正発明1についての対比・判断と同様に、訂正発明2〜4の、環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴であって、前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電するものである点については、各引用例に開示も示唆もされていない。そして、訂正発明2〜4は、訂正発明1と同様に明細書記載の作用効果を奏することが認められる。
したがって、訂正発明2〜4は、出願前頒布された刊行物1〜6に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得るものではなく、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
[訂正発明5〜7について]
訂正発明5〜7は、訂正発明1〜4のいずれかを限定するものであるから、訂正発明1〜4が、出願前頒布された刊行物1〜6に記載された発明から当業者が容易になし得るものではない以上、訂正発明5〜7も、該刊行物1〜6に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得るものではなく、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

(4)以上のとおりであるから、上記訂正は、平成11年改正前の特許法120条の4第2項及び第3項において準用する特許法126条2項から4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。

3 特許異議の申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
(ア)申立人三菱電機株式会社は、甲第1〜5号証(上記刊行物1〜5と同じ。)を提出して、請求項1〜7に係る発明は、甲第1〜5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許を取り消すべきであると主張している。
(イ)申立人堀田雄次は、甲第1、2号証(上記刊行物1、6と同じ。)を提出して、請求項1〜6に係る発明は、甲第1、2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許を取り消すべきであると主張している。

(2)本件発明
本件発明は、訂正明細書の特許請求の範囲請求項1〜7に記載されたとおりのものと認められる。

(3)甲号証記載の事項
(ア)申立人三菱電機株式会社が提出した甲第1〜5号証には、上記2(3)(イ)で刊行物1〜5として摘記した事項が記載されている。
(イ)申立人堀田雄次が提出した甲第1、2号証には、上記2(3)(イ)で刊行物1及び6として摘記した事項が記載されている。

(4)対比・判断
上記2(3)(ウ)で検討したとおり、本件請求項1〜7に係る発明は、出願前頒布された刊行物1〜6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって、本件請求項1〜7に係る発明は、申立人三菱電機株式会社が提出した甲第1〜5号証(上記刊行物1〜5と同じ。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
また、本件請求項1〜6に係る発明は、申立人堀田雄次が提出した甲第1、2号証(上記刊行物1、6と同じ。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたともいえない。

(5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
高周波加速空胴
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-αCuXSiYBZM′α(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z及びαはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30及び0.1≦α≦30を満たす。)により表される組成を有し、
組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、
前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項2】 環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-βCuXSiYBZM′αM″β(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,Cr,Mn,Al,白金属元素,Sc,Y,希土類元素,Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z,α及びβはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30,0.1≦α≦30及び0<β≦10を満たす。)により表される組成を有し、組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、
前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項3】環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-γCuXSiYBZM′αM″γ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はC,Ge,P,Ga,Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z,α及びγはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30,0.1≦α≦30 及び0<γ≦10を満たす。)により表される組成を有し、
組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、
前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項4】環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-β-γCuXSiYBZM′αM″βLγ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,Cr,Mn,Al,白金属元素,Sc,Y,希土類元素,Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、LはC,Ge,P,Ga,Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z,α,β及びγはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30 ,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30,0.1≦α≦30,0<β≦10及び0<γ≦10を満たす。)により表される組成を有し、
組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、
前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項5】請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記磁性体を複数備え、各磁性体毎に高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項6】請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記磁性体を複数備え、該複数の磁性体を少なくとも2つのグループに分け、グループ毎に高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項7】請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記結晶粒は、1000Å以下の平均粒径を有することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、広い周波数帯域、特に低周波数側で効率よくかつ安定に高い加速間隙電圧を得ることのできる環状型加速器用の高周波加速空胴に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より加速空胴に装荷される磁性体としては、一般的にNi-Zn系,Mn-Zn系等のフェライトが用いられている。この従来技術に関係するものとして日本物理学会講演概要集「第50回年会第1分冊」p71に、Ni-Znフェライトを用いた加速空胴が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】磁性体の高周波損失がある磁性体装荷型加速空胴では、磁性体部での発熱がある。一般的に磁性体の比透磁率は磁性体温度の上昇とともに緩やかに上昇し、キュリー温度近くで急激に減少する。このため加速間隙に高電圧を安定に発生させるためにはキュリー温度が十分高いことが必要である。また、高電圧化にともない磁性体内の磁束密度が高くなることから磁性体の飽和磁束密度も大きいことが必要である。さらに一般的に磁性体の比透磁率はある周波数faまではほぼ一定の値μ0を示し、faを境に周波数の増加に伴って低下する。磁性体の磁性損失もこの周波数から増加し始める。この周波数faはμ0が大きいほうが小さくなるので、磁性体損失を利用する空胴の場合μ0が大きいことが望まれる。
【0004】しかし、従来の加速空胴で使用されてきたフェライトはキュリー温度,飽和磁束密度が小さいため、加速間隙電圧で高電圧を発生させるとき、磁性体の冷却や磁束の飽和の問題があった。また比透磁率μ0も小さいため数百kHz程度の低い周波数側で安定に高い加速間隙電圧を得ることが困難であった。
【0005】本発明の目的は、広い周波数帯域、特に低周波数側で効率よく高い加速間隙電圧を得ることのできる環状加速器用の高周波加速空胴の提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-αCuXSiYBZM′α(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z及びαはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30及び0.1≦α≦30を満たす。)により表される組成を有し、組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、前記磁性体に100kHz〜10kHzの周波数帯域において高周波電力を給電することにより達成される。前記磁性体は一般的に優れた磁気特性を示し、キュリー温度,飽和磁束密度、および比透磁率が高いことに特徴がある。これにより磁性体の温度上昇,磁束の飽和による高電圧化の制限を緩和するとともに低い周波数での使用を可能とすることができる。
【0007】 また、前記磁性体として
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-βCuXSiYBZM′αM″(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,Cr,Mn,Al,白金属元素,Sc,Y,希土類元素,Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z,α及びβはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30,0.1≦α≦30及び0<β≦10を満たす。)により表される組成を有し、前述と同様の組織を有するFe基軟磁性合金を用いても同様の効果を得ることができる。
【0008】また、前記磁性体として
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-γCuXSiYBZM′αM″γ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はC,Ge,P,Ga,Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z,α及びγはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30,0.1≦α≦30及び0<γ≦10を満たす。)により表される組成を有し、前述と同様の組織を有するFe基軟磁性合金を用いても同様の効果を得ることができる。
【0009】また、前記磁性体として
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-β-γCuXSiYBZM′αM″βLγ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,Cr,Mn,Al,白金属元素,Sc,Y,希土類元素,Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、LはC,Ge,P,Ga,Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z,α,β及びγはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30 ,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30,0.1≦α≦30,0<β≦10及び0<γ≦10を満たす。)により表される組成を有し、前述と同様の組織を有するFe基軟磁性合金を用いても同様の効果を得ることができる。
【0010】さらに好ましくは、上記の磁性体を用い、高周波電力を空胴に給電する方法として、空胴内に装荷した磁性体毎に高周波電力を給電することにより、高周波電源と空胴のインピーダンスマッチングをとることができ、100kHz〜10MHz程度の広い周波数帯域、特に低い100〜1000kHz程度の周波数においても効率よくかつ安定に高周波電力が給電でき、加速間隙電圧の高電圧化が可能となる。
【0011】また、空胴内に装荷した磁性体を少なくとも2つのグループに分け、グループ毎に高周波電力を給電することによっても同様の効果を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0013】 図1は本発明の第1実施例である高周波加速空胴の構成図である。
【0014】高周波空胴は少なくとも1つの加速間隙3を有する内導体1と外導体2を有し、この空胴内に磁性体4を備える。前記磁性体4は、
Fe71.5Cu1Nb5Si13.5B9(原子%)により表される組成を有し、片ロールの急冷による薄板テープを得た後熱処理を行い、1000Å以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなる板状のFe基軟磁性合金を環状に巻いた構造をもつ。片ロールによる製造のままのものは非晶質であり、このまま使用可能である。この磁性体4はキュリー温度,飽和磁束密度、および透磁率がいずれも高く、これにより磁性体4の温度上昇,磁束の飽和による高電圧化の制限を緩和するとともに低い周波数での使用を可能とすることができる。さらに空胴内に装荷した複数の磁性体4毎に高周波電力を給電線6を通して給電することにより、高周波電源5と高周波空胴のインピーダンス整合をとり、高周波電力の給電効率を高めることができる。以上より従来と比較して広い周波数帯域、特に低い周波数においても効率よくかつ安定に加速間隙3に高電圧を発生させることができる。また、これにより磁性体の冷却装置,空胴本体ならびに高周波電源5の低コスト化,小型化も可能となる。
【0015】ここでは、給電方法として空胴内に装荷した磁性体4毎に高周波電力を給電するとしたが、これらの磁性体4を少なくとも2つのグループに分け、グループ毎に高周波電力を給電することでも同様の効果を得ることができる。
【0016】図2は本発明の第1実施例である高周波加速空胴の高周波特性(電圧定在波比)を示す図である。電圧定在波比は高周波電力の反射の大きさを表し、定在波比が1に近いほど反射が小さく、電力を効率よく空胴に給電できることを意味する。実線は図1に示した本発明の第1実施例の実測結果であり、破線は参考のため図5に示す従来例による測定結果を示したものである。この図から分かるように本発明の高周波加速空胴では、従来例のものと比較して低い周波数から効率よく高周波電力が給電できていることが分かる。
【0017】図3は本発明の第1実施例である高周波加速空胴に装荷した磁性体4の透磁率を変化させるために、バイアス装置7を設置したものである。前記磁性体4は、Fe71.5Cu1Nb5Si13.5B9(原子%)により表される組成を有し、80体積%が1000Å以下の平均粒径を有する微細な結晶粒と残部の非晶質である板状のFe基軟磁性合金を環状に巻いた構造をもつ。高周波電力は空胴内に装荷したこれらの磁性体4を4つのグループに分け、グループ毎に給電している。この空胴では前記バイアス装置7により磁性体4の透磁率を変化させ、空胴の共振周波数を調整することが可能である。また、このバイアス装置7によって周回ビーム電流の直流成分による磁場を打ち消すことも可能である。
【0018】図4は高周波加速空胴の従来例を示す構成図である。これは従来技術で空胴内に装荷した複数の磁性体4を2つのグループに分け、それぞれのグループに高周波電力を給電した例で、一般的にpush-pull給電法と呼ばれるものである。前記磁性体4としては環状のNi-Znフェライト等が用いられる。これらのフェライトはキュリー温度が低く、磁性体冷却が大きな問題となる。さらに飽和磁束密度が低いことから磁束の飽和を防ぐには磁性体の大型化が必須となり、加速間隙電圧の高電圧化と空胴小型化の両面で不利である。この従来例の場合、図5に示すように本発明の空胴と比較してその電圧定在波比は高く、広い周波数帯域で効率よく電力が給電できないことがわかる。特に低い周波数において急激に電圧定在波比が上昇しているため、この周波数帯域での使用は困難であることが分かる。
【0019】図5は図4に示した高周波加速空胴の高周波特性(電圧定在波比)を示す図である。
【0020】この図から分かるように本発明の高周波加速空胴の特性と比較して全般的に電圧定在波比が高く、広い周波数帯域、特に低周波数側での使用が難しいことが分かる。
【0021】図6は本発明の高周波加速空胴を環状加速器に適用したときの構成図である。環状加速器は荷電粒子ビームを入射するための入射器11と、入射された荷電粒子ビームの軌道を偏向させる偏向磁石12と、ビームの発散を抑さえる収束用4極磁石13と、加速後のビームを取り出す出射器14および図1又は図3に示した高周波用加速空胴10から構成される。さらに、この高周波加速空胴10には、高周波電源5が高周波電力給電線6を通して接続され、入射されたビームは高周波加速空胴10によって希望のエネルギーにまで加速された後、出射器14によって取り出される。本発明による高周波加速空胴10を用いた場合、広い周波数帯域、特に低い周波数側で効率よくかつ安定に高い加速間隙電圧を得ることができる。また、これにより磁性体の冷却装置、空胴本体ならびに高周波電源の低コスト化や小型化も可能となる。さらには使用周波数帯域が陽子などと比較して低い重イオンでも小型の環状加速器で加速可能となる。
【0022】図6では偏向機能を持たせる偏向磁石12とビーム収束機能を持たせた4極磁石13を分離させた場合を示したが、これらの両機能を兼ね備えた機能結合型磁石を用いた環状加速器であってもよい。
【0023】さらに、ここでは入射ビームを加速する場合について記載したが、ビーム蓄積リングやビーム整形リングなどのように実質的に加速を行わないような場合であってもよい。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、環状加速器用の高周波加速空胴を構成する磁性体の温度上昇や磁束の飽和による高電圧化の制限を緩和できるとともに低い周波数での使用を可能とすることができる。さらに、空胴内に装荷した複数の磁性体毎又はそのグループ毎に高周波電力を給電することで高周波電源と空胴とのインピーダンス整合をとることができるので、高周波電力の給電効率を向上できる。以上の結果、広い周波数帯域、特に低い周波数側で効率よくかつ安定に高い加速間隙電圧を得ることができる。
【0025】また、医療用陽子シクロトロンに必要な1.5〜8MHzの周波数帯域で必要な2.5kV/m以上の電圧が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る高周波加速空胴の構成図である。
【図2】本発明の第1実施例である高周波加速空胴の高周波特性(電圧定在波比)を示す図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る高周波加速空胴の構成図である。
【図4】従来例である高周波加速空胴の構成図である。
【図5】従来例である高周波加速空胴の高周波特性(電圧定在波比)を示す図である。
【図6】本発明の高周波加速空胴を環状加速器に適用した場合の構成図である。
【符号の説明】
1…内導体、2…外導体、3…加速間隙、4…磁性体、5…高周波電源、6…給電線、7…バイアス装置、10…高周波加速空胴、11…入射器、12…偏向磁石、13…4極磁石、14…出射器。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
【訂正事項a】
特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項1〜7を次のとおり訂正する。
(下線部が訂正個所である。)
【請求項1】環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-x-y-z-αCuXSiYBzM′α(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z及びαはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30及び0.1≦α≦30を満たす。)により表される組成を有し、
組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、
残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項2】 環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-βCuXSiYBzM′αM″β(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,Cr,Mn,Al,白金属元素,Sc,Y,希土類元素,Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z,α及びβはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30,0.1≦α≦30及び0<β≦10を満たす。)により表される組成を有し、組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、
残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空洞。
【請求項3】環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-γCuXSiYBzM′αM″γ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はC,Ge,P,Ga,Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z,α及びγはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30,0.1≦α≦30及び0<γ≦10を満たす。)により表される組成を有し、組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、
前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項4】環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、前記磁性体が
一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-α-β-γCuXSiYBzM′αM″βLγ(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、M″はV,Cr,Mn,Al,白金属元素,Sc,Y,希土類元素,Au,Zn,Sn,Reからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、LはC,Ge,P,Ga,Sb,In,Be,Asからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z,α,β及びγはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0<Y≦30,0<Z≦25,5≦Y+Z≦30,0.1≦α≦30,0<β≦10及び0<γ≦10を満たす。)により表される組成を有し、
組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、
残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、
前記磁性体に100kHz〜10MHzの固波数帯域において高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項5】請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記磁性体を複数備え、各磁性体毎に高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項6】請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記磁性体を複数備え、該複数の磁性体を少なくとも2つのグループに分け、グループ毎に高周波電力を給電することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。
【請求項7】請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記結晶粒は、1000Å以下の平均粒径を有することを特徴とする環状加速器用の高周波加速空胴。」
【訂正事項b】
明瞭でない記載の釈明を目的として、明細書の段落【0005】、【0006】、【0024】を次のとおり訂正する。(下線部が訂正個所である。)
「 【0005】
本発明の目的は、広い周波数帯域、特に低周波数側で効率よく高い加速間隙電圧を得ることのできる環状加速器用の高周波加速空胴の提供にある。
「 【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は環状加速器用の磁性体装荷型の高周波加速空胴において、その磁性体として 一般式:(Fe1-aMa)100-X-Y-Z-αCuXSiYBzM′α(原子%)(ただし、MはCo及び/又はNiであり、M′はNb,W,Ta,Zr,Hf,Ti及びMoからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、a,X,Y,Z及びαはそれぞれ0≦a≦0.5,0.1≦X≦3,0≦Y≦30,0≦Z≦25,5≦Y+Z≦30及び0.1≦α≦30を満たす。)により表される組成を有し、
組織の少なくとも50%が1μm以下の平均粒径を有する微細な結晶粒からなり、
残部が実質的に非晶質であり、残部が実質的に非晶質であるFe基軟磁性合金からなり、前記磁性体に100kHz〜10MHzの周波数帯域において高周波電力を給電するFe基軟磁性合金からなることにより達成され
る。前記磁性体は一般的に優れた磁気特性を示し、キュリー温度,飽和磁束密度、および比透磁率が高いことに特徴がある。これにより磁性体の温度上昇,磁束の飽和による高電圧化の制限を緩和するとともに低い周波数での使用を可能とすることができる。」
「 【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、環状加速器用の高周波加速空胴を構成する磁性体の温度上昇や磁束の飽和による高電圧化の制限を緩和できるとともに低い周波数での使用を可能とすることができる。さらに、空胴内に装荷した複数の磁性体毎又はそのグループ毎に高周波電力を給電することで高周波電源と空胴とのインピーダンス整合をとることができるので、高周波電力の給電効率を向上できる。以上の結果、広い周波数帯域、特に低い周波数側で効率よくかつ安定に高い加速間隙電圧を得ることができる。」
異議決定日 2001-07-19 
出願番号 特願平7-328567
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H05H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田邉 英治  
特許庁審判長 伊坪 公一
特許庁審判官 後藤 千恵子
志村 博
登録日 1998-11-27 
登録番号 特許第2856130号(P2856130)
権利者 株式会社日立製作所
発明の名称 高周波加速空胴  
代理人 宮田 金雄  
代理人 家入 健  
代理人 高瀬 彌平  
代理人 作田 康夫  
代理人 作田 康夫  
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