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審決分類 審判 全部申し立て 特39条先願  C07K
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  C07K
審判 全部申し立て 2項進歩性  C07K
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  C07K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C07K
管理番号 1049992
異議申立番号 異議1999-73484  
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-04-12 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-09-10 
確定日 2001-09-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2869417号「遺伝子操作により得られるヒト血清アルブミン」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2869417号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許2869417号は、特願平4-253142号の特許出願の特許出願に係るものであって、平成11年1月8日に設定登録がされ、その後井坂紀子及びデルタ、バイオテクノロジー、リミテッドから特許異議の申立てがされたところ、当審において平成12年9月28日付で取消理由の通知がされ、その指定期間内に上申書が提出された後、平成13年1月10日になって訂正案及び先願に係る特願平9-440号を取り下げる旨が記載された意見書が提出された。その後合議体からの訂正案を了承したので手交により再度の取消理由が通知され、平成13年7月25日に上申書と共に訂正請求書が提出されたものである。なお、特許権者は当該上申書において、参考資料1〜7を添付して異議申立人デルタ、バイオテクノロジー、リミテッドの上申書に対する反論を記載している。

2.訂正の請求について
本件訂正の要旨は、特許請求の範囲の減縮ならびに明瞭でない記載の釈明を目的として請求項1を訂正明細書に記載された下記の請求項1の通りに訂正すると共に、請求項2および3を削除することを求めるものである。
当該訂正は、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内において特許請求の範囲を減縮し、ならびに明瞭でない記載の釈明に相当するものであって、かつ特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもないと認められる。

【請求項1】遺伝子操作により得られる以下の特徴を有するヒト血清アルブミン:
(i)ヒト血清アルブミンと産生宿主に由来するヒト血清アルブミン以外の抗原性を有する蛋白質及び多糖類との含量比によるヒト血清アルブミンの純度が多糖類換算で99.9999996%以上、蛋白質換算で99.99999996%以上であって、99.99999999%以下であり、
(ii)ヒト血清アルブミンと産生宿主に由来するヒト血清アルブミン以外の蛋白質及び多糖類の夾雑が酵素免疫測定法(EIA法)の検出限界未満であり、且つ
(iii)キレート樹脂と接触させる操作を行うことにより低減化された着色度が、HSA25%溶液の場合でA350/A280が0.01〜0.05、A450/A280が0.001〜0.02、A500/A280が0.001〜0.005である。

そして、後述する如く、上記訂正によって出願当初の明細書の要旨を変更するものではなくなったため出願日は繰り下がらず、刊行物1〜5はもはや本件出願以前の公知文献とはならない。また、訂正後の請求項1に記載される発明は刊行物6〜11に記載された発明とも、本件と同一の出願人による先願発明に係る特願平9-440号(特許第2885212号公報)に記載された発明とも、実質的に区別ができるものである上に、他に特許を受けることができない理由を発見しないから、本件特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
したがって、前記訂正は適法なものであると認められる。


刊行物1:特開平6-100592号公報
刊行物2:特開平5-317079号公報
刊行物3:特公平6-75513号公報
刊行物4:特開平6-245788号公報
刊行物5:特開平6-245789号公報
刊行物6:Biotecnology of plasma proteins Colloque INSERM. Vol.175,(1989)p.19-24
刊行物7:欧州特許第452,753号明細書
刊行物8:JOURNAL of APPLIED BIOCHEMISTRY 5,p.282-292(1983)
刊行物9:米国特許第4,675,384号明細書
刊行物10:Journal of Pharmaceutical Sciences p.11-16,Vol.80,No.1(Jan.1991)
刊行物11:欧州特許第319,067号明細書

3.異議申立について:
(1)本件発明
本件特許に係る発明は、前記特許明細書の訂正が認められることから、訂正明細書の請求項1に記載された事項により特定されたとおりのものである。(以下、本件発明という。)

(2)異議申立人井坂紀子による異議申立
(2-1)異議申立人井坂紀子は、(a)訂正前の本件明細書に記載不備があるため本願は特許法第36条に規定する要件を満たしておらず、(b)訂正前の請求項1〜3に記載された発明は先願である特願平9-440号(甲第1号証として特許第2885212号公報を提出)の請求項1に記載された発明と実質的に同一であるから同第39条第1項の規定に違反し、また、(c)本件特許出願は本願明細書の要旨を変更する手続補正書を提出した平成9年12月1日に出願したものとみなされるので、訂正前の請求項1〜3に記載された発明は本件に係る特許公開公報である甲第2号証(刊行物1)に記載された発明であるか甲第2号証の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから同第29条第1項第3号又は第2項の規定に違反する旨を主張している。

(2-2)(a)について:
異議申立人は請求項1における「ヒト血清アルブミン(以下、HSAという。)と産生宿主に由来するHSA以外の蛋白質及び多糖類の夾雑が酵素免疫測定法(EIA法)の検出限界未満であり」の記載中には「HSAと」の不要な用語があるため意味不明である旨主張しているが、当該用語は、EIA法で測定したい対象がHSAの純度であり、夾雑物を検出しようとする対象が、HSAを産生する形質転換酵母の培養上清精製物であるために、系のHSAの存在を明記したものともいえる。異議申立人自身も正確に解釈しているように、当該用語が存在することで上記記載全体について本来の意味と別の解釈が成り立つわけではないから、不要な用語であるとしても特許法第36条上の瑕疵とまではいえない。
また、異議申立人は請求項1における「抗原性」の用語が不明瞭である旨主張しているが、当該「抗原性」の用語は、訂正後の請求項1に記載された「HSAと産生宿主に由来するHSA以外の抗原性を有する蛋白質及び多糖類との含量比によるHSAの純度」を規定するための夾雑蛋白質及び多糖類を表現するための用語であって、本件明細書で純度を決定するためにこれら夾雑物含量を測定する手段として用いた手法がEIA法で抗血清との反応性を見るものである。抗血清との反応性は通常「抗原性」と表現されることからみても、用いた「HSAには反応せず酵母培養上清由来の夾雑蛋白質及び多糖類には反応する」抗血清に対して「産生宿主に由来するHSA以外の抗原性を有する」と表現したことは十分首肯し得るものであって不明瞭なものではない。

(2-3)(b)について:
本件発明においては、キレート樹脂と接触させる操作を行うことにより着色度を低減化する工程が必須の工程であって、【表4】によれば当該工程を設けることで少なくとも多糖類換算の夾雑物量が減少する効果が奏されることは明らかであるといえるから、当該工程を設けることが記載されていない先願の請求項1に記載された発明とは明確に区別されるものである。

(2-4)(c)について:
前記訂正により、訂正前の請求項1中の、当初明細書に根拠のない「99.999%以上、99.99999999%以下」という数値範囲を「多糖類換算で99.9999996%以上、蛋白質換算で99.99999996%以上、99.99999999%以下」という数値範囲に減縮された。「多糖類換算で99.9999996%以上、蛋白質換算で99.99999996%以上」という数値は、実施例(【表4】)の記載から直ちに導かれる数値であり、「99.99999999%以下」という数値は理論値である100%ではないことを蛋白質換算時の有効数字の桁数で表したにすぎないものと認められるから、いずれも出願当初の明細書に記載されていた事項もしくはそれから自明な事項の範囲内であるので、平成5年法律第26号附則第2条第2項の規定によりなお従前の例によるとされる平成5年法改正前の特許法第40条の規定は適用されないから、当該主張はその前提を失った。

(2-5)したがって、異議申立人井坂紀子の主張(a)〜(c)はいずれも採用しない。

(3)異議申立人デルタ、バイオテクノロジー、リミテッドによる異議申立
(3-1) 異議申立人デルタ、バイオテクノロジー、リミテッドは、甲第1〜22号証を提出し、(a)本件特許出願は本願明細書の要旨を変更する手続補正書を提出した平成9年12月1日に出願したものとみなされるので、訂正前の請求項1〜3に記載された発明は本件に係る特許公開公報である甲第1号証(刊行物1)に記載された発明であるか、甲第1〜5号証(刊行物1〜5)の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、または(b)訂正前の請求項1〜3に記載された発明は甲第6〜11号証(刊行物6〜11)の記載に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから同第29条第1項第3号又は第2項の規定に違反し、(c)訂正前の本件明細書に記載不備があるため本願は特許法第36条に規定する要件を満たしておらず、(d)訂正前の請求項1〜3に記載された発明は先願である特願平9-440号(甲第13号証として特許第2885212号公報を提出)の請求項1に記載された発明と実質的に同一であるから同第39条第1項の規定に違反する旨主張している。

(3-2)(a)について:
上記(2-4)で述べたと同様の理由で、当該主張は採用できない。

(3-3)(b)について:
甲第6〜11号証には、血漿由来もしくは組換えHSAを各種精製方法で高純度まで濃縮することが記載されているが、組換えHSAを精製後、さらに着色度を低減化させるためキレート樹脂と接触させる工程を設けることについては記載されていない。
そして、本件発明においては、訂正明細書に記載されるように、そのことによりはじめて着色度が低減され「多糖類換算で99.9999996%以上、蛋白質換算で99.99999996%以上」という極めて高い精製度の組換えHSAが取得できたものということができる。
ところで、HSAを臨床用に用いる際には医薬品の安定剤もしくは担体などとして人体に大量に投与されることが多く、わずかな抗原性でも問題となる可能性があるから、特にヒトにとって明らかな抗原性のある宿主由来の夾雑物を有する組換えHSAの場合は夾雑物をできるだけ除くことが周知の課題であり、本件発明は当該周知の課題を解決することを目的とするものであるといえる。
そうであるから、本件発明においては末尾に「HSA」という化学物質名を用いてはいるが、純度及び製造方法等で特定しているように、ある精製度のHSA含有組成物を表現しているものと見るのが妥当である。上述の如く本件発明において特定の工程を採用したことで初めて蛋白質換算で小数点以下の有効桁数が8桁で着色度も極めて少ない、という高い精製度が達成できたのであるから、当該効果は格別なものというべきである。
なお、当該有効桁数の数値が妥当であることについては(3-4)で後述する通りである。
したがって、本件発明は甲第12、14〜22号証をさらに参酌しても、当業者が甲第6〜11号証から容易に想到できたものとはいえない。

(3-4)(c)について:
特許異議申立人は甲第22号証を提出し、訂正前の請求項1〜3に記載されるHSAの「純度」についての記載が科学的根拠を欠く不正確なものであるから、訂正前の特許明細書の記載が不備である旨主張している。
本件訂正明細書【0042】には当該純度を算出するための手法について、「アルブミン非産生酵母の培養上清を本法と同様の方法で粗精製したものをウサギに免疫し、得られた抗血清を用いて精製HSAに存在する酵母由来成分の検出を試みた。」ことが記載されている。
ところで、参考資料1〜7の記載からみて、形質転換宿主由来の微量不純物の免疫学的検出法は本件出願前に周知であったといえるから、当業者であれば、上記記載のみから「アルブミン非産生酵母」としては、本件発明で用いた「HSA産生酵母」とはHSA遺伝子を組み込んでいない点でのみ異なるベクターで形質転換した酵母を用い、「HSA産生酵母」の場合と同様の条件で培養した「培養上清」を、「本法と同様の方法で精製」する途中の「粗精製」段階のものをウサギに免疫して抗血清を得ることを指していることは理解し得ることと認められる。
そうであるから、本件明細書【表4】の実験結果に基づく本件発明の純度の数値範囲が科学的根拠を欠く不正確なものとはいえず、実施例1は当業者が十分に追試可能な実験例であるということができるので、本件明細書記載に異議申立人が主張するような不備はない。

(3-5)(d)について:
上記(2-3)で述べたと同様の理由で、当該主張は採用できない。

(3-6)したがって、異議申立人デルタ、バイオテクノロジー、リミテッドの主張(a)〜(d)はいずれも採用しない。

4.結語
以上のとおりであるから、いずれの特許異議申立人の申立て及び証拠によっても本件特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
遺伝子操作により得られるヒト血清アルブミン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 遺伝子操作により得られる以下の特徴を有するヒト血清アルブミン:
(i)ヒト血清アルブミンと産生宿主に由来するヒト血清アルブミン以外の抗原性を有する蛋白質及び多糖類との含量比によるヒト血清アルブミンの純度が多糖類換算で99.9999996%以上、蛋白質換算で99.99999996%以上であって、99.99999999%以下であり、
(ii)ヒト血清アルブミンと産生宿主に由来するヒト血清アルブミン以外の蛋白質及び多糖類の夾雑が酵素免疫測定法(EIA法)の検出限界未満であり、且つ
(iii)キレート樹脂と接触させる操作を行うことにより低減化された着色度が、HSA25%溶液の場合でA350/A280が0.01〜0.05、A450/A280が0.001〜0.02、A500/A280が0.001〜0.005である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は遺伝子操作により得られるヒト血清アルブミンに関する。
【0002】
【従来の技術】
アルブミン、特にヒト血清アルブミン(以下、「HSA」ともいう。)は血漿の主要な蛋白構成成分である。この蛋白は肝臓中で作られ、主に血流中で正常な浸透圧を維持する責を負う。また種々の血清分子のキャリアーとしての機能を持っている。HSAは種々の臨床上の状況において投与される。例えば、ショックや熱傷患者では血液量を元に戻し、それにより外傷に関連するいくつかの症状を改善させるために、通常はHSAの頻回投与を必要とする。低蛋白血症や胎児性赤芽球症に罹っている患者にもHSAによる治療を必要とすることがある。
従って、HSAを投与する基本的な治療上の意義は、外科手術、ショック、火傷、浮腫を起こす低蛋白血症におけるがごとく、血管からの液体の損失がある様な状態を治療する点に存する。
【0003】
現在、HSAは、主として採取した血液の分画からの産物として製造されている。この製造法の欠点は不経済であることと、血液の供給が困難であるということである。また、血液は肝炎ウイルスのように好ましくない物質を含んでいることがある。従って、HSAの代替の原料を開発することが有益となろう。
【0004】
ところで、組換DNA技術の出現によって、多種多様の有用なポリペプチドの微生物による生産が可能となり、多くの哺乳動物ポリペプチド類が既に種々の微生物により生産されている。HSAについても、遺伝子操作の技術により大量生産し、それを高度精製する技術が確立されつつある。
【0005】
ところが、遺伝子操作においては、宿主である微生物を培養する際、さらにはHSAを精製する際に、原料中のある種の着色成分あるいは微生物が分泌する物質が夾雑してくるため、これがHSAと結合することによりHSAそのものが着色してしまうものと思われる。しかもこれらの夾雑物質は、従来の血漿由来HSAの精製方法では充分に除去することができず、該夾雑物質を含まぬ遺伝子操作由来のHSAは得られていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、遺伝子操作により得られるHSAに関し、産生宿主由来のHSA以外の蛋白質及び多糖類を実質的に含まず、かつ着色が充分に抑えられたHSAを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記事情に鑑みて鋭意研究を進めた結果、遺伝子操作により得られるHSAを得るに際して、当該HSAの精製工程において、特に好ましくはその最後に当該HSAをキレート樹脂で処理することにより着色物質がキレート樹脂に吸着され、HSAの着色を減少できるとともに、産生宿主由来のHSA以外の蛋白質及び多糖類が充分に除去された高純度のHSAを提供できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、遺伝子操作により得られる以下の特徴を有するHSA;HSAと産生宿主に由来するHSA以外の蛋白質及び多糖類との含量比によるHSAの純度が99.999999%以上。
【0009】
上記特徴を有するHSAは、遺伝子操作による得られるHSAについて、その精製工程において、特に好ましくはその最後に、キレート樹脂、好ましくはポリオール基、ポリアミン基またはチオ尿素基から選ばれたキレート能を有する交換基をリガンドとして有するキレート樹脂で処理することにより得ることができる。
【0010】
本発明は、遺伝子操作によって得られるHSAに係わるものであり、当該HSAは遺伝子操作を経てHSAを発現する菌体(例えば、大腸菌、酵母、枯草菌、麹等)、動物細胞等を培養し、菌体外発現(分泌発現)により産生される。
【0011】
(1)遺伝子操作による得られるHSA
本発明において用いられる遺伝子操作により調製されたHSA産生性宿主は、遺伝子操作を経て調製されたものであれば特に限定されず、既に公知文献記載のものの他、今後開発されるものであっても適宜利用することができる。具体的には、遺伝子操作を経てHSA産生性とされた菌(例えば、大腸菌、酵母、枯草菌等)、動物細胞などが挙げられる。特に、本発明においては、宿主として、酵母、就中サッカロマイセス属〔例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)〕、もしくはピキア属〔例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)〕が使用されることが好ましい。また、栄養要求性株や抗生物質感受性株が使用できる。さらにまた、サッカロマイセス・セレビシエAH22株(a,his4,leu2,can1)、ピキア・パストリスGTS115株(his4)等が好適に用いられる。
【0012】
これらのHSA産生性宿主の調製方法およびその培養によるHSAの生産方法、培養物からのHSAの分離採取方法はすべて公知ならびにそれに準じた手法を採用することによって実施される。例えば、HSA産生性宿主(またはHSA産生株)の調製方法としては、例えば通常のヒト血清アルブミン遺伝子を用いる方法(特開昭58-56684、同58-90515、同58-150517号公報)、新規なヒト血清アルブミン遺伝子を用いる方法(特開昭62-29985、特開平1-98486号公報)、合成シグナル配列を用いる方法(特開平1-240191号公報)、血清アルブミンシグナル配列を用いる方法(特開平2-167095号公報)、組換えプラスミドを染色体上に組込む方法(特開平3-72889号公報)、宿主同士を融合させる方法(特開平3-53877号公報)、メタノール含有培地中で変異を起こさせる方法、変異型AOX2プロモーターを用いる方法(特願平3-63598、同3-63599号)、枯草菌によるHSAの発現(特開昭62-25133号公報)、酵母によるHSAの発現(特開昭60-41487、同63-39576、同63-74493号公報)、ピキア酵母によるHSAの発現(特開平2-104290号公報)等が例示される。
【0013】
このうち、メタノール含有培地中で変異を起こさせる方法は具体的には以下のように行う。すなわち、まず適当な宿主、好ましくはピキア酵母、具体的にはGTS115株(NRRL寄託番号Y-15851)のAOX1遺伝子領域に常法によりAOX1プロモーター支配下にHSAが発現する転写ユニットを有するプラスミドを導入して形質転換体を得る(特開平2-104290号公報を参照)。この形質転換体はメタノール培地中での増殖能は弱い。そこで、この形質転換体をメタノール含有培地中で培養して変異を起こさせ、生育可能な菌株のみを回収する。この際、メタノール濃度としては、0.0001〜5%程度が例示される。培地は人工培地、天然培地のいずれでもよい。培養条件としては15〜40℃、1〜1000時間程度が例示される。
【0014】
また、HSA産生性宿主の培養方法(すなわちHSAの産生方法)としては、上記の各公報に記載された方法の他に、フェッドバッチ培養により、高濃度のグルコースを適度に少量づつ供給し、産生菌体に対する高濃度基質阻害を避けて高濃度の菌体と産生物を得る方法(特願平1-219561号)、培地中に脂肪酸を添加してHSAの産生を増強する方法(特願平3-81719号)等が例示される。
さらにHSAの分離採取方法としては、上記の各公報に記載された方法の他に加熱処理によるプロテアーゼの不活化(特開平3-103188号公報)、陰イオン交換体、疎水性担体および活性炭からなる群より選ばれた少なくとも一を用いてHSAと着色成分を分離することによる着色抑制方法(特開平4-54198号公報)等が例示される。
【0015】
形質転換宿主の培養に用いられる培地は、通常この分野で既知の培地に炭素数10〜26の脂肪酸またはその塩を添加したものが使用され、培養条件は一般的な常法に準じて実施される。培地は合成培地、天然培地のいずれでもよく、液体培地が好ましい。例えば、合成培地としては、一般に炭素源として各種糖類、窒素源として尿素、アンモニウム塩、硝酸塩など、微量栄養素として各種ビタミン、ヌクレオチドなどの他、無機塩としてMg、Ca、Fe、Na、K、Mn、Co、Cuなどが例示される。YNB液体培地〔0.7%イーストナイトロジエンのベース(Difco社製)、2%グルコース〕などが挙げられる。また天然培地としては、YPD液体培地〔1%イーストエキストラクト(Difco社製)、2%バクトペプトン(Difco社製)、2%グルコース〕が例示される。培地のpHは中性または弱塩基性、弱酸性でよい。またメタノール資化性宿主の場合は、メタノール含有培地を用いることができる。この場合メタノール濃度は0.01〜5%程度である。
【0016】
培養温度は、15〜43℃(酵母は20〜30℃、細菌は20〜37℃)が好ましい。培養時間は1〜1000時間程度であり、培養は静置または振盪、攪拌、通気下に回分培養法や半回分培養法あるいは連続培養法により実施される。
なお、当該培養に先立って前培養を行うことが好ましい。この際の培地としては、例えばYNB液体培地やYPD液体培地が使用される。前培養の培養条件は次の通りである。すなわち、培養時間は10〜100時間、温度は酵母では30℃、細菌では37℃程度が好ましい。
【0017】
かくして培養終了後、HSAは培養濾液または菌体、細胞からそれぞれ公知の分離手段により採取される。
【0018】
(2)HSAの精製
本発明のHSAの精製工程としては、各種分画法、吸着クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ゲル濾過、密度勾配遠心分離法、透析等の公知の方法が採用される。
当該精製工程としては、例えば以下の▲1▼〜▲7▼を含む工程が好適に挙げられる。
▲1▼ ヒト血清アルブミンの産生宿主の培養上清を分画分子量10万〜50万、及び1000〜5万の限外濾過膜を用いて処理する。
▲2▼ 50〜70℃で30分〜5時間加熱処理する。
▲3▼ pH3〜5で酸処理する。
▲4▼ 分画分子量10万〜50万の限外濾過膜を用いて処理する。
▲5▼ pH3〜5、塩濃度0.01〜0.2Mの条件下で陽イオン交換体に接触させた後にpH8〜10、塩濃度0.2〜0.5Mの条件下で溶出する。
▲6▼ pH6〜8、塩濃度0.01〜0.5Mの条件下で疎水性クロマト用担体に接触させて、非吸着画分を回収する、そして
▲7▼ pH6〜8、塩濃度0.01〜0.1Mの条件下で陰イオン交換体に接触させて、非吸着画分を回収する。
また、前記工程▲6▼の代わりに、pH6〜8、塩濃度1〜3Mの条件下で疎水性クロマト用担体に接触させた後に、pH6〜8、塩濃度0.01〜0.5Mの条件下で溶出する工程、または前記工程▲7▼の代わりに、pH6〜8、塩濃度0.001〜0.05Mの条件下で陰イオン交換体に接触させた後に、pH6〜8、塩濃度0.05〜1Mの条件下で溶出する工程、さらには前記工程▲5▼と▲6▼の間、▲6▼と▲7▼の間、または▲7▼の後で、pH3〜5、塩濃度0.5〜3Mの条件下で塩析処理し、沈澱画分を回収する工程をさらに含むものであってもよい。
【0019】
(3)HSAの脱色
本発明のHSAの脱色工程は、上記精製工程において、特に好ましくはその最後に組み込まれ、特定のリガンド部を有するキレート樹脂とHSAを接触することにより行われる。
キレート樹脂の担体部分は疎水性を有する担体であることが好ましく、例えばスチレンとジビニルベンゼンの共重合体、アクリル酸とメタクリル酸の共重合体等が挙げられる。
一方、リガンド部は、N-メチルグルカミン基等のポリオール基、イミノ基、アミノ基、エチレンイミノ基等を分子内に複数個有するポリアミン基(この中にはポリエチレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン基も含まれる)、およびチオ尿素基が挙げられる。上記担体部分とリガンド部を有するキレート樹脂の市販品としては、担体部分がいずれもスチレンとジビニルベンゼンの共重合体であるDIAION CRB02(リガンド部;N-メチルグルカミン基、三菱化成製)、DIAION CR20 (リガンド部;-NH(CH2CH2NH)nH、三菱化成製)、LEWATIT TP(リガンド部;-NHCSNH2、バイエル製)、アンバライトCG4000好適に使用される。
【0020】
当該キレート樹脂による処理条件は、好適には次の通りである。
pH条件:酸性または中性(3〜9、好ましくは4〜7)
時間:少なくとも1時間以上、好ましくは6時間以上
イオン強度:50mmho以下、好ましくは1〜10mmho
混合比:HSA250mgに対して樹脂0.1〜100g、好ましくは1〜10g(湿重量)
【0021】
上記の工程(▲1▼〜▲7▼および塩析処理、さらにキレート樹脂処理を含む)を経て得られうるHSAの着色度は、HSA25%溶液の場合でA500nm/A280nmが0.001〜0.005程度である。キレート樹脂処理によりHSAの着色度は1/2〜1/10に低減される。特に吸収波長500nm付近、すなわち赤色系の着色度が1/3〜1/10に低減される。
【0022】
(4)製剤化
本発明のHSAは公知の手法(限外濾過、安定化剤の添加、除菌濾過、分注、凍結乾燥等)により製剤化することができる。こうして調製されたHSA製剤は注射剤として血漿由来HSA製剤と同様に臨床上用いることができる。また、医薬品の安定化剤あるいは担体、運搬体としても利用可能である。
【0023】
(5)本発明の遺伝子操作由来のHSAの性状
本発明のHSAは、分子量約6万7千、等電点4.6〜5.0の単一物質である。当該HSAは単量体からなり、実質的に二量体、重合体または分解物を含まない。具体的には、二量体、重合体および分解物の全含有量は0.01%以下程度である。また本発明のHSAは、産生宿主に由来する夾雑成分(HSA以外の蛋白質及び多糖成分)を実質的に含まず、該夾雑成分との含量比から算出されるHSAの純度は99.999999%以上、好ましくは99.9999999%以上である。具体的には、HSA25%溶液の場合で、HSA以外の蛋白質成分が1ng/ml以下、好ましくは0.1ng/ml以下が例示される。また、同じく多糖成分が10ng/ml以下、好ましくは1ng/ml以下が例示される。尚、本発明でいうHSAの純度とは、産生宿主に由来する夾雑成分(HSA以外の蛋白質及び多糖成分)との含量比から算出されるHSAの純度を意味する。
着色度はHSA25%溶液の場合でA350/A280が0.01〜0.05、A450/A280が0.001〜0.02、A500/A280が0.001〜0.005程度が例示される。また、HSAに結合している脂肪酸量がHSA1分子当たり1分子以下、好ましくは0.1分子以下が例示される。
【0024】
【発明の効果】
本発明は産生宿主に由来する夾雑成分を実質的に含まないことを特徴とする遺伝子操作由来のHSAであり、かかる本発明によれば、産生宿主が分泌する物質が夾雑していないがゆえに、これらがHSAと結合することによって起こる着色および他の夾雑物の混在が充分に抑えられた高純度のHSAを提供することができる。
【0025】
【実施例】
本発明をより詳細に説明するために、実施例を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0026】
参考例1 HSA産生宿主の培養
(1) 使用菌株:Pichia pastoris GCP101株
特開平2-104290号公報に述べられている方法により、ピキアパストリス(Pichia pastoris)GTS115(his4)のAOX1遺伝子領域に、AOX1プロモーター支配下にHSAが発現する転写ユニットを持つプラスミドpPGP1のNotIで切断した断片を置換して、PC4130が得られている。この株はAOX1遺伝子が存在しないためにメタノールを炭素源とする培地での増殖能が低くなっている(Mut-株)。
【0027】
PC4130をYPD培地(1%イーストエキストラクト、2%バクトペプトン、2%グルコース)3mlに植菌し、24時間後に初期OD540=0.1となるようにYPD培地50mlに植菌した。3日間30℃で培養後に初期OD540=0.1となるようにYPD培地50mlに植菌した。さらに3日毎に同様の継代を繰り返した。継代毎に菌体を107cells/plateになるように滅菌水で希釈して2%MeOH-YNBw/oa.a.プレート(0.7%イーストナイトロジエンベースウイズアウトアミノアシッド、2%メタノール、1.5%寒天末に塗布し、30℃5日間培養してコロニーの有無を判断した。その結果、12日間継代後に塗布した2%MeOH-YNBw/oa.a.プレートから20個のコロニーが生じた。このプレートではMut-株はほとんど生育できず、Mut+株は生育できる。すなわち、このプレートではコロニーが生じるということはメタノールの資化性が上昇し、Mut+に変換した株が得られたことを示している。生じたコロニーの内の1つを適当に滅菌水で希釈して2%MeOH-YNBw/oa.a.プレートに拡げシングルコロニーに単離した。その1つをGCP101と名付けた。
【0028】
(2)菌株の培養
(前々培養)
グリセロール凍結ストック菌株1mlを200mlのYPD培地(表1)を含むバッフル付1,000ml容三角フラスコに植菌、30℃にて24時間振盪培養した。
【0029】
【表1】

【0030】
(前培養)
YPD培地5Lを含む10L容ジャーファーメンターに前々培養液を植菌し、24時間通気攪拌培養した。培養温度は30℃、通気量は5L/分とした。また、前培養においてはpHの制御は実施しなかった。
【0031】
(本培養)
バッチ培養用培地(表2)250Lに前培養液を植菌し、1,200L容ファーメンターを用いて通気攪拌培養した。槽内圧は0.5kg/cm2、最大通気量を800N-L/minとして溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度の50%〜30%程度を保持するように、攪拌速度を制御しながら回分培養を開始した。回分培養において培地中のグリセロールが消費された時点よりフィード培地(表3)の添加を開始した。このフィード培地の添加にはコンピュータを使用し、培地中にメタノールが蓄積しないように制御しながら高密度培養を実施した。pHは28%アンモニア水を添加することにより、pH5.85に定値制御した。消泡は消泡剤(Adecanol、旭電化工業製)を回分培養開始時に0.30ml/L添加しておき、その後は必要に応じて少量添加することで実施した。
【0032】
【表2】

【0033】
【表3】

【0034】
参考例2
参考例1のGCP101株から単離したAOX2プロモーター[変異型。天然型AOX2プロモーター(TEAST,5,167-177(1988)またはMol.Cell,Biol.,9,1316-1323(1989))中、開始コドン上流の255番目の塩基がTからCに変異したもの]を用いてHSA発現用プラスミドpMM042を構築し、ピキアパストリス(Pichia pastoris)GTS115株に導入し、形質転換体UHG42-3株を得た(特願平3-63599号)。参考例1に準じてこのUHG42-3株を培養し、HSAを産生させた。
【0035】
参考例3 HSAの精製
[i]培養上清の分離〜膜分画(II)
参考例1で得られた培養液約800Lを圧搾することにより培養上清を分離した。培養上清を分画分子量が30万の限外濾過膜で処理した。次いで、分画分子量が3万の限外濾過膜を用いて液量を約80Lに濃縮した〔膜分画(I)〕。
この濃縮液を60℃、3時間の加熱処理後、急速に約15℃に冷却し、pH4.5に調整し、再度分画分子量が30万の限外濾過膜を用いて処理した〔膜分画(II)〕。次いで、分画分子量が3万の限外濾過膜を用いてアルブンミン溶液中の緩衝液を50mM塩化ナトリウムを含む50mM酢酸緩衝液,pH4.5に交換した。
【0036】
[ii]陽イオン交換体処理
50mM塩化ナトリウムを含む50mM酢酸緩衝液,pH4.5で平衡化したS-セファロース充填カラムにアルブミンを吸着させ、同緩衝液で十分洗浄したのち、0.3M塩化ナトリウムを含む0.1Mリン酸緩衝液、pH9でアルブミンの溶出を行った。
【0037】
[iii]疎水性クロマト処理
S-セファロース充填カラムから溶出されたアルブミン溶液を0.15M塩化ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液,pH6.8で平衡化したフェニルセルロファインを充填したカラムに添加した。この条件でフェニルセルロファインを吸着することなく、カラムを通過した画分を回収した。
カラムを通過したアルブミンは、分画分子量3万の限外濾過膜を用いて液量を約50Lに濃縮するとともに、アルブミン溶液中の緩衝液を50mMリン酸緩衝液、pH6.8に交換した。
【0038】
[iv]陰イオン交換体処理
疎水クロマト処理後、濃縮及び緩衝液交換を行ったアルブミン溶液を50mMリン酸緩衝液,pH6.8で平衡化したDEAE-セファロースを充填したカラムに添加した。この条件ではアルブミンはDEAE-セファロースに吸着することなく、カラムを通過した。
【0039】
[v]HSAの塩析処理
5%濃度のHSAに塩化ナトリウムを添加して最終濃度1Mとした溶液を、酢酸でpH3.5に調整し、HSAを沈澱させた。この沈澱を遠心により上清と分離し、不純物を除去した。
【0040】
[vi]脱色処理
25%濃度の精製HSA1mlにDIAION CRB02(担体部分はスチレン-ジビニルベンゼン共重合体、リガンド部分はN-メチルグルカミン基からなるキレート樹脂,三菱化成製)1gを加え、pH6.8、イオン強度5mmhoの条件下、室温で24時間攪拌した。樹脂を蒸留水で洗浄し、非吸着画分をHSAとして回収した。
【0041】
実施例1 本発明の精製HSAの性状
(1) 精製工程のHPLC分析
疎水性クロマト処理までの精製工程を終了したHSAをHPLCゲル濾過により分析した。ゲル濾過分析は下記の条件で行った。
▲1▼カラム:TSK gel G3000SW(東ソー社製)
▲2▼展開液:0.1M KH2PO4/0.3M NaCl 緩衝液
▲3▼検出:波長280nmでの吸光度
精製HSAはHSAモノマーのシングルピークとなった。
【0042】
(2) 酵母由来成分分析
アルブミン非産生酵母の培養上清を本法と同様の方法で粗精製したものをウサギに免疫し、得られた抗血清を用いて精製HSAに存在する酵母由来成分の検出を試みた。測定は酵素免疫測定法(EIA法)で行った。
各サンプルについての酵母由来成分の検出結果を示す。サンプルはアルブミン濃度として250mg/mlに調整したものを用いて測定した。
【0043】
【表4】

【0044】
(3) 分子量
分子量測定は前述のHPLCゲル濾過法によった。本発明の精製HSAの分子量は約67000であり、血漿由来のHSAと同程度であった。
【0045】
(4) 等電点
等電点は薄層ポリアクリルアミドゲルを用い、Allenらの方法[J.Chromatog.,146,1(1978)]に準じて測定した。本発明の精製HSAの等電点は約4.9であり、血漿由来のHSAと同程度であった。
【0046】
(5) 着色度
着色度は280nm、350nm、450nm、500nmでの吸光度を測定し、A350/A280、A450/A280、A500/A280を算出した。本発明の精製HSAの着色度はA350/A280は約0.02、A450/A280は約0.01、A500/A280は約0.002であり、血漿由来のHSAと同程度であった。
【0047】
(6) 結合脂肪酸量
測定には、NFEA-テストワコー(和光純薬社製)を用いた。その結果、キレート樹脂処理前は1.6モル(HSA1モル当たり)であったが、処理後は0.037モル(HSA1モル当たり)と大幅に減少した。
【0048】
実施例2
参考例2で得た培養液を参考例3と同様に処理した。精製されたHSAの性状は実施例1で開示した分子量・等電点および着色度、多糖体含量、ゲル濾過パターンおよび酵母由来成分量と同程度であった。
 
訂正の要旨 特許請求の範囲の請求項1を、
「遺伝子操作により得られる以下の特徴を有するヒト血清アルブミン:
(i)ヒト血清アルブミンと産生宿主に由来するヒト血清アルブミン以外の抗原性を有する蛋白質及び多糖類との含量比によるヒト血清アルブミンの純度が多糖類換算で99.9999996%以上、蛋白質換算で99.99999996%以上であって、99.99999999%以下であり、
(ii)ヒト血清アルブミンと産生宿主に由来するヒト血清アルブミン以外の蛋白質及び多糖類の夾雑が酵素免疫測定法(EIA法)の検出限界未満であり、且つ
(iii)キレート樹脂と接触させる操作を行うことにより低減化された着色度が、HSA25%溶液の場合でA350/A280が0.01〜0.05、A450/A280が0.001〜0.02、A500/A280が0.001〜0.005である。」
と訂正し、請求項2および3を削除する。
異議決定日 2001-08-13 
出願番号 特願平4-253142
審決分類 P 1 651・ 4- YA (C07K)
P 1 651・ 121- YA (C07K)
P 1 651・ 531- YA (C07K)
P 1 651・ 113- YA (C07K)
P 1 651・ 534- YA (C07K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鵜飼 健新見 浩一  
特許庁審判長 眞壽田 順啓
特許庁審判官 佐伯 裕子
田村 明照
登録日 1999-01-08 
登録番号 特許第2869417号(P2869417)
権利者 ウェルファイド株式会社
発明の名称 遺伝子操作により得られるヒト血清アルブミン  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 佐藤 一雄  
代理人 竹内 英人  
代理人 小野寺 捷洋  
代理人 村社 厚夫  
代理人 今城 俊夫  
代理人 西島 孝喜  
代理人 大塚 文昭  
代理人 高島 一  
代理人 箱田 篤  
代理人 小川 信夫  
代理人 中村 行孝  
代理人 高島 一  
代理人 紺野 昭男  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 中村 稔  
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