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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B62D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B62D
管理番号 1051382
異議申立番号 異議2000-72044  
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-08-18 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-05-15 
確定日 2001-09-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2977788号「コンバインの乾田・湿田用操向制御装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2977788号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2977788号の請求項1に係る発明についての出願は、昭和63年3月17日に出願した特願昭63-64887号の出願の一部を平成10年1月12日に分割して新たな特許出願としたものであって、平成11年9月10日にその発明について特許の設定登録がなされた。これに対して、特許異議の申立があったので、本件特許出願は、適法な分割出願とは認められないから出願日の遡及は認めないとした上で、特許法第29条第1項第3号及び同法第29条第2項の規定に違反する旨の取消理由を通知したところ、その指定期間内である平成12年10月24日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否について
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
(訂正事項A)
特許明細書(平成10年2月12日付け提出の手続補正書により補正された明細書)の【特許請求の範囲】の欄の第23行(本件特許公報第3欄第4行)の「備えている」以下を、次文のように訂正する。
「・・・・・備え、
この操向方向選択伝動手段を、操向制御弁(41)による油圧制御で咬合箇所を係脱させて入り切り操作される左右一対の操向クラッチ(C),(C)を備えたもので構成するとともに、
前記旋回モード切換手段(42)において正転減速機構(D)側からの出力を選択して作動態勢に切換る手段を、圧油の給排によって入り切り操作される油圧クラッチ(23)によって構成し、
左右のクローラ式走行装置(1)の両方の伝動系に前記正転等速駆動機構側からの出力を伝達する直進走行状態に左右の操向クラッチ(C),(C)が操作されている状態では、前記操向制御弁(41)からの供給圧油が前記旋回モード切換手段(42)に供給されず、前記旋回モード切換手段(42)によって作動態勢に切り換えられた正転減速機構(D)側からの出力を一方のクローラ式走行装置(1)に伝達するように左右の操向クラッチ(C),(C)が切り換えられた状態で、前記操向制御弁(41)からの供給圧油が前記旋回モ一ド切換手段(42)に供給されるように、前記操向制御弁(41)と前記旋回モード切換手段(42)とを連係させて構成してある」
(訂正事項B)
同明細書の【課題を解決するための手段】の欄の第21行(本件特許公報第4欄第17行)の「備えている」以下を、次文のように訂正する。
「備え、この操向方向選択伝動手段を、操向制御弁(41)による油圧制御で咬合箇所を係脱させて入り切り操作される左右一対の操向クラッチ(C),(C)を備えたもので構成するとともに、前記旋回モード切換手段において正転減速機構側からの出力を選択して作動態勢迄切換る手段又を、圧油の給排によって入り切り操作される油圧クラッチによって構成し、左右のクローラ式走行装置の両方の伝動系に前記正転等速駆動機構側からの出力を伝達する直進走行状態に左右の操向クラッチが操作されている状態では、前記操向制御弁からの供給圧油が前記旋回モード切換手段に供給されず、前記旋回モード切換手段によって作動態勢に切り換えられた正転減速機構側からの出力を一方のクローラ式走行装置に伝達するように左右の操向クフッチが切り換えられた状態で、前記操向制御弁からの供給圧油が前記旋回モード切換手段に供給されるように、前記操向制御弁と前記旋回モード切換手段とを連係させて構成してある」
(訂正事項C)
同明細書の段落番号【0005】の欄の第19行、21行(本件特許公報第4欄第41行、第44行)、及び段落番号【0006】の欄の第4行(2箇所)、6行、11行(本件特許公報第5欄第13行、14行、16行、24行)の「逆転機構」を、「逆転伝動機構」に訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項Aについて: この訂正は、特許明細書の特許請求の範囲に記載されていた「正転減速機構」及び「逆転伝動機構」ならびに「旋回モード切換手段」について、その構成をより明確化しようとしたものであり、特許請求の範囲の減縮に相当する。
当該「正転減速機構」及び「逆転伝動機構」の具体構成については、特許明細書の段落番号【0012】の第6行〜12行(本件特許公報第6欄第44行〜第7欄第3行)の記載「そして、操向操作を行う場合には後述する油圧系の操作によって前記2つの油圧クラッチ23,24あるいは油圧ブレーキ29のうちの1つを選択するとともに、…………この側のクローラ式走行装置1に対しては、減速状態の動力が伝えられる、あるいは、逆転状態の動力が伝えられる、あるいは、制動力が作用するようになっている。」及び「図4」から明らかである。また、「旋回モード切換手段」の具体構成については、特許明細書の段落番号【0015】の第11行〜12行(本件特許公報第7欄第42行〜第44行)の記載「操向モード切換弁〔旋回モード切換手段に相当〕42を介して2つの油圧クラッチ23,24及び油圧ブレーキ29に供給される。」及び「図4」から明らかである。
したがって、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的としたものであって、また、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
訂正事項Bについて: この訂正は、前記訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明瞭でない記載の釈明を目的とした訂正である。
訂正事項Cについて: この訂正は、「逆転伝動機構」を、「逆転機構」と誤記したものである。この逆転伝動機構については、明細書の特許請求の範囲ならびに詳細な説明の欄の各所に明記されているとおり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、この訂正により実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。
(3)まとめ
以上のとおり、前記訂正事項A〜Cの訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)異議申立ての理由の概要
異議申立人は、訂正前の本件発明は、以下(イ)〜(ハ)の理由で特許を受けることができない旨主張している。
(イ)本件特許発明の出願日は、「要旨の変更」により手続補正書が提出 された平成10年2月12日とみなされるから、本件特許発明は、甲 第2号証と同一、または甲第1号証に記載された発明から容易に発明 できたものであり、特許法第29条第1項または第2項の規定により 特許を受けることができないものである。
(ロ)また、仮に本件特許発明の出願日が原出願の出願日に遡及するとし ても、本件特許発明は、甲第3号証〜甲第5号証から容易に発明でき たものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けること ができないものである。
(ハ)更に、本件特許発明は、甲第6号証の発明と同一であり、特許法第 39条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
(2)本件発明
前述のとおり本件訂正は認められたので、本件の請求項1に係る発明は訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】車体(2)に脱穀装置(3)を搭載し、車体(2)の前端側に刈取前処理部(4)を昇降自在に連結し、左右一対の駆動輪体(1a),(1a)に対する伝達動力を各別に断続又は増減して機体操向を行うように構成されたクローラ式走行装置(1)を備え、
エンジン側からの伝達動力が入力されるミッション(M)を内装した単一の伝動ケース(5)内に、前記左右の駆動輪体(1a),(1a)に対する伝達動力をその回転方向を変えずに等速で両側のクローラ式走行装置に伝動する正転等速駆動機構と、前記左右の駆動輪体(1a),(1a)に対する伝達動力をその回転方向を変えずに減速して旋回内側のクローラ式走行装置(1)に伝動する正転減速機構(D)と、伝達動力をその回転方向を逆方向に変換して旋回内側のクローラ式走行装置(1)に伝動する逆転伝動機構(E)とを備えるとともに、
前記正転減速機構(D)側からの出力と逆転伝動機構(E)側からの出力とを択一選択して作動態勢に切換る旋回モード切換手段(42)を備え、
さらに、左右のクローラ式走行装置(1)の伝動系に対する前記旋回モード切換手段(42)によって作動態勢に切り換えられた機構(DまたはE)側からの出力の伝達を断って、左右のクローラ式走行装置(1)の両方の伝動系に前記正転等速駆動機構側からの出力を伝達する直進走行状態と、左右のクローラ式走行装置(1)のうちの一方のクローラ式走行装置(1)の伝動系に正転等速駆動機構側からの出力を伝達し、他方のク口-ラ式走行装置(1)の伝動系に前記旋回モード切換手段(42)によって作動態勢に切り換えられた機構(DまたはE)側からの出力が伝達される旋回走行状態とに、左右のクローラ式走行装置(1)に対する伝動形態を切換る操向方向選択伝動手段を備え、
この操向方向選択伝動手段を、操向制御弁(41)による油圧制御で咬合箇所を係脱させて入り切り操作される左右一対の操向クラッチ(C),(C)を備えたもので構成するとともに、
前記旋回モード切換手段(42)において正転減速機構(D)側からの出力を選択して作動態勢に切換る手段を、圧油の給排によって入り切り操作される油圧クラッチ(23)によって構成し、
左右のクローラ式走行装置(1)の両方の伝動系に前記正転等速駆動機構側からの出力を伝達する直進走行状態に左右の操向クラッチ(C),(C)が操作されている状態では、前記操向制御弁(41)からの供給圧油が前記旋同モード切換手段(42)に供給されず、前記旋回モード切換手段(42)によって作動態勢に切り換えられた正転減速機構(D)側からの出力を一方のクローラ式走行装置(1)に伝達するように左右の操向クラッチ(C),(C)が切り換えられた状態で、前記操向制御弁(41)からの供給圧油が前記旋回モード切換手段(42)に供給されるように、前記操向制御弁(41)と前記旋回モード切換手段(42)とを連係させて構成してあるコンバインの乾田・湿田用操向制御装置。」
(3)刊行物記載の発明
当審で通知した取消理由に引用した刊行物1〜6と異議申立人が提示した甲第1〜6号証刊行物との関係は、以下のとおりである。
刊行物1:特開平 1-237266号公報
(甲第1号証:原出願の公開公報)
刊行物2:特公平 7- 74012号公報
(甲第6号証:原出願の公告公報)
刊行物3:特開平 4-113975号公報(甲第2号証)
刊行物4:特開昭54-124442号公報(甲第3号証)
刊行物5:特開昭59-230866号公報(甲第4号証)
刊行物6:特開昭54- 38030号公報(甲第5号証)
(4)当審の判断
(4-1)適法な分割出願であるか否かについて
訂正明細書の特許請求の範囲の記載によると、訂正前の特許請求の範囲の記載に対して
(a)操向方向選択伝動手段を、操向制御弁(41)による油圧制御で咬 合箇所を係脱させて入り切り操作される左右一対の操向クラッチ(C ),(C)を備えたもので構成している
(b)旋回モード切換手段(42)において正転減速機構(D)側からの 出力を選択して作動態勢に切換る手段を、圧油の給排によって入り切 り操作される油圧クラッチ(23)によって構成している
(c)左右のクローラ式走行装置(1)の両方の伝動系に前記正転等速駆 動機構側からの出力を伝達する直進走行状態に左右の操向クラッチ( C),(C)が操作されている状態では、前記操向制御弁(41)か らの供給圧油が前記旋同モード切換手段(42)に供給されず、前記 旋回モード切換手段(42)によって作動態勢に切り換えられた正転 減速機構(D)側からの出力を一方のクローラ式走行装置(1)に伝 達するように左右の操向クラッチ(C),(C)が切り換えられた状 態で、前記操向制御弁(41)からの供給圧油が前記旋回モード切換 手段(42)に供給されるように、前記操向制御弁(41)と前記旋 回モード切換手段(42)とを連係させて構成してある
点を特定したものであり、この点の構成は原出願の特許請求の範囲には記載されていない事項であるから、訂正後の本件発明と原出願の発明とは明らかに構成が相違し、両者は同一発明ではないので、訂正したことにより本件特許出願は、適法な分割出願になったものと認める。
(4-2)新規性について
前述のとおり、本件特許出願は適法な分割出願であり、出願日が遡及されることになるから、取消理由で引用した刊行物1〜3は、もはや取消の理由とは成り得ないものである。
(4-3)進歩性について
本件の請求項1に係る発明(以下、本件発明という)と刊行物4〜6に記載された発明とを対比すると、いずれの刊行物にも本件発明の特徴的構成である「左右の駆動輪体に対する伝達動力をその回転方向を変えずに等速で両側のクローラ式走行装置に伝動する正転等速駆動機構と、伝達動力をその回転方向を逆方向に変換して旋回内側のクローラ式走行装置に伝動する逆転伝動機構との他に、前記左右の駆動輪体に対する伝達動力をその回転方向を変えずに減速して旋回内側のクローラ式走行装置に伝動する正転減速機構をも備えた」点の構成がないばかりでなく、訂正請求によって減縮された構成である前記(a)(b)(c)についても開示されていない。
そして、本件発明による作用・効果は、前記刊行物4〜6に記載の発明から予測することのできない格別のものである。
したがって、本件発明は、前記刊行物4〜6に記載の発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

なお、異議申立人は、平成10年2月12日付けの補正は、原出願に記載されていない事項を追加するものであって、要旨を変更するものであるから、却下されてしかるべきものであり、出願日の遡及を享受することができないものである旨の主張をしているが、本件分割出願では、「予め、操向モード切換手段を操作しておくと、その後の作業中ずっと操向モードを切り換えた状態をそのまま維持される」というのに対して、原出願では、「その都度、操向モード切換手段を操作する」ものと解されるので、両者の技術的意味は異なる旨の主張であるが、原出願のものは異議申立人が解釈するように「操向モード切り換え状態をそのまま維持していない」と断言できるものではない。それゆえ、異議申立人のこの主張は採用できないので、出願日の遡及を認めざるを得ない。

(付言)異議申立人の主張する申立理由の(ハ)について
訂正請求で本件発明の内容が訂正されたので、申立理由の(ハ)につい ては理由のないものとなった。
申立理由の(ハ)では、特許法第39条第2項を引用しているが、そも そも本件の場合、特許法第39条第2項を適用することは誤りである。 本来、発明が同一ということは、不適法分割であって、出願日は遡及され ないことになり、したがって、原出願の公開公報記載内容と同一であるか ら、特許法第29条第1項第3号が適用されることになる(以上、取消理 由通知で指摘してあるとおり)。

(5)むすび
以上のとおり、異議申立人が主張する理由及び提出した証拠によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
コンバインの乾田・湿田用操向制御装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体(2)に脱穀装置(3)を搭載し、車体(2)の前端側に刈取前処理部(4)を昇降自在に連結し、左右一対の駆動輪体(1a),(1a)に対する伝達動力を各別に断続又は増減して機体操向を行うように構成されたクローラ式走行装置(1)を備え、
エンジン側からの伝達動力が入力されるミッション(M)を内装した単一の伝動ケース(5)内に、前記左右の駆動輪体(1a),(1a)に対する伝達動力をその回転方向を変えずに等速で両側のクローラ式走行装置に伝動する正転等速駆動機構と、前記左右の駆動輪体(1a),(1a)に対する伝達動力をその回転方向を変えずに減速して旋回内側のクローラ式走行装置(1)に伝動する正転減速機構(D)と、伝達動力をその回転方向を逆方向に変換して旋回内側のクローラ式走行装置(1)に伝動する逆転伝動機構(E)とを備えるとともに、
前記正転減速機構(D)側からの出力と逆転伝動機構(E)側からの出力とを択一選択して作動態勢に切換る旋回モード切換手段(42)を備え、
さらに、左右のクローラ式走行装置(1)の伝動系に対する前記旋回モード切換手段(42)によって作動態勢に切り換えられた機構(DまたはE)側からの出力の伝達を断って、左右のクローラ式走行装置(1)の両方の伝動系に前記正転等速駆動機構側からの出力を伝達する直進走行状態と、左右のクローラ式走行装置(1)のうちの一方のクローラ式走行装置(1)の伝動系に正転等速駆動機構側からの出力を伝達し、他方のクローラ式走行装置(1)の伝動系に前記旋回モード切換手段(42)によって作動態勢に切り換えられた機構(DまたはE)側からの出力が伝達される旋回走行状態とに、左右のクローラ式走行装置(1)に対する伝動形態を切換る操向方向選択伝動手段を備え、
この操行方向選択伝達手段を、操向制御弁(41)による油圧制御で咬合箇所を係脱させて入り切り操作される左右一対の操行クラッチ(C),(C)を備えたもので構成するとともに、
前記旋回モード切換手段(42)において正転減速機構(D)側からの出力を選択して作動状態に切換る手段を、圧油の給排によって入り切り操作される油圧クラッチ(23)によって構成し、
左右のクローラ式走行装置(1)の両方の伝動系に前記正転等速駆動機構側からの出力を伝達する直進走行状態に左右の操向クラッチ(C),(C)が操作されている状態では、前記操向制御弁(41)からの供給圧油が前記旋回モード切換手段(42)に供給されず、前記旋回モード切換手段(42)によって作動態勢に切り換えられた正転減速機構(D)側からの出力を一方のクローラ式走行装置(1)に伝達するように左右の操向クラッチ(C)、(C)が切り換えられた状態で、前記操向制御弁(41)からの供給圧油が前記旋回モード切換手段(42)に供給されるように、前記操向制御弁(41)と前記旋回モード切換手段(42)とを連係させて構成してあるコンバインの乾田・湿田溶操向制御装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はクローラ式走行装置を備えたコンバインの操向制御装置に係り、詳しくは、操向操作時における旋回内側の走行装置の駆動形態を種々に変更できるように構成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のコンバインの操向制御装置としては、例えば、実開昭62-187324号公報に示されているように、操向操作時には旋回内側のクローラ式走行装置に対する駆動力の伝動を遮断しての片駆動旋回(クラッチターン)、あるいは、制動状態にしての制動旋回(ブレーキターン)を設定可能としたものが存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
コンバインの収穫作業は、実際に稲、麦を刈取る時間に対して、刈取りを行わない方向転換をしている時間の割合が多く、その方向転換では前進と後進との繰返しによるスイッチバックターンが大半である。又、湿田での収穫作業から乾田での収穫作業迄、路面条件が多様であるという特質がある。
以上の特質に対して、従来のクラッチ・ブレーキターンでは、圃場の土質によってはクローラがスリップして旋回半径が大きくなり、条合わせ操作が難しくなるとか、制動ロックされて停止したクローラのスリップによってラグが土を削り、圃場を荒らして刈取作業を難しくしてしまうことがある。又、旋回内側のクローラには駆動力がないため、駆動側である旋回外側のクローラだけがスリップし、湿田土壌での旋回性が悪いという問題もあり、前述したコンバインの収穫作業の特質に十分対応し難い点で改善の余地が残されているものであった。
本発明の目的は、上記の問題点を解決してコンバインの収穫作業の特質に十分対応できる新しい操向制御装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、車体に脱穀装置を搭載し、車体の前端側に刈取前処理部を昇降自在に連結し、左右一対の駆動輪体に対する伝達動力を各別に断続又は増減して機体操向を行うように構成されたクローラ式走行装置を備え、
エンジン側からの伝達動力が入力されるミッションを内装した単一の伝動ケース内に、前記左右の駆動輪体に対する伝達動力をその回転方向を変えずに等速で両側のクローラ式走行装置に伝動する正転等速駆動機構と、前記左右の駆動輪体に対する伝達動力をその回転方向を変えずに減速して旋回内側のクローラ式走行装置に伝動する正転減速機構と、伝達動力をその回転方向を逆方向に変換して旋回内側のクローラ式走行装置に伝動する逆転伝動機構とを備えるとともに、
前記正転減速機構側からの出力と逆転伝動機構側からの出力とを択一選択して作動態勢に切換る旋回モード切換手段を備え、
さらに、左右のクローラ式走行装置の伝動系に対する前記旋回モード切換手段によって作動態勢に切り換えられた機構側からの出力の伝達を断って、左右のクローラ式走行装置の両方の伝動系に前記正転等速駆動機構側からの出力を伝達する直進走行状態と、左右のクローラ式走行装置のうちの一方のクローラ式走行装置の伝動系に正転等速駆動機構側からの出力を伝達し、他方のクローラ式走行装置の伝動系に前記旋回モード切換手段によって作動態勢に切り換えられた機構側からの出力が伝達される旋回走行状態とに、左右のクローラ式走行装置に対する伝動形態を切換る操向方向選択伝動手段を備え、
この操行方向選択伝達手段を、操向制御弁による油圧制御で咬合箇所を係脱させて入り切り操作される左右一対の操行クラッチを備えたもので構成するとともに、
前記旋回モード切換手段において正転減速機構側からの出力を選択して作動態勢に切換る手段を、圧油の給排によって入り切り操作される油圧クラッチ(23)によって構成し、
左右のクローラ式走行装置の両方の伝動系に前記正転等速駆動機構側からの出力を伝達する直進走行状態に左右の操向クラッチが操作されている状態では、前記操向制御弁からの供給圧油が前記旋回モード切換手段に供給されず、前記旋回モード切換手段によって作動態勢に切り換えられた正転減速機構側からの出力を一方のクローラ式走行装置に伝達するように左右の操向クラッチが切り換えられた状態で、前記操向制御弁からの供給圧油が前記旋回モード切換手段に供給されるように、前記操向制御弁と前記旋回モード切換手段とを連係させて構成してある点にある。
【0005】
〔作用〕
上記の特徴構成によれば、正転減速機構を選択して旋回内側のクローラ式走行装置を減速駆動すると、走行場所が舗装路であっても泥土状の圃場であってもその旋回内側のクローラ式走行装置を強制的に一定速度で駆動できるから、例えば、一般的な圃場ではクローラ式走行装置のラグ跡が残るだけで、クラッチ・ブレーキターンの如くラグが土を削って圃場を荒らすことが少なくなる。湿田ではスリップがないので圃場を荒らし難いとともに、一回の切返しで旋回が可能で、クラッチ・ブレーキターンのように、前進・後進のときにスリップして圃場を荒らしたり、何回も切返しを行って旋回をするという不都合がなくなる。
そして、逆転伝動機構を選択して旋回内側のクローラ式走行装置を逆転駆動すると、理論上旋回半径が零であるその場旋回(超信地旋回)が行えるようになる。故に、例えば、乾田圃場においては、従来のクラッチ・ブレーキターンでは大きく前進・後進を繰り返して次の刈取るべき条に機体を合せること、即ち条合せをしなければならず条合せが困難であるとともに、旋回には広いスペースを必要として作業能率も悪くなるが、逆転駆動による小回り旋回で条合せも楽に行え、作業ロスも少なくすることができる。
そして、上記のように圃場を荒らすことが少ない正転減速機構を選択した正転減速旋回と、最小半径での小回りが可能な前記逆転伝動機構を選択した超信地旋回との、何れの旋回モードでの旋回を行うかの切換は、単一の伝動ケース内に配設されている正転減速機構と逆転伝動機構とのいずれかを、背反的に択一選択可能な旋回モード切換手段で、二者択一の簡単な操作で選択することができる。
このような旋回モードの選択は、湿田では旋回跡を荒らさず機体の沈み込みが少ない正転減速旋回、乾田では旋回効率のよい逆転旋回と、圃場条件や作業目的に合わせて、正転減速旋回が適しているか、超信地旋回が適しているかを判断し、旋回開始時点であるか直進走行中であるかを問わず、予め、背反的に選択切換しておくことができるので、実際に旋回走行の開始時点では、操向方向選択伝動手段の操作によって、旋回方向が右であるか左であるかの選択操作を行うだけで良く、その操作も簡便なもので済む。
しかして、従来の技術範疇で上記特徴構成を具現化させるには、左右の走行装置夫々に対して各別に油圧モータ(静油圧式無段変速装置)を備えた伝動系の採用等、構造が複雑になるとともにコスト高となる問題点を有し、更なる改善の余地がある。
【0006】
〔発明の効果〕
ミッションを内装する単一の伝動ケース内に、正転等速駆動機構とともに、正転減速機構と逆転伝動機構を内蔵せしめて、この正転減速機構と逆転伝動機構を、圃場条件等に応じていずれか一方を旋回モード切換手段で選択し、その正転減速機構と逆転伝動機構の出力側で、直進から右または左の旋回方向の選択切換を行うことができる操向方向選択伝動手段を備えた構成としたことにより、前記したコンバインの収穫作業の特徴に良く対応した旋回操作を行える。つまり、圃場条件や作業目的に合わせて、正転減速旋回か逆転旋回かのいずれの旋回モードで旋回するかを、背反的に択一選択できる旋回モード切換手段で選択しておけば、その後の作業走行中には、前記正転減速機構と逆転伝動機構との出力側において、正転等速駆動機構による直進走行状態から、操向方向選択伝動手段を用いて右または左の旋回方向を選択するだけの簡単な操作で、前記の選択した旋回モードでの旋回を行うことができ、操作の単純化により高齢者や婦女子にも扱い易く、作業能率が高く、圃場を荒さず、旋回操作の容易なコンバインを実現した。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0008】
図8に示すように、左右一対のクローラ式走行装置1,1を備えた車体2に脱穀装置3を搭載し、又、車体2の前端に刈取前処理部4を昇降自在に連結し、更に、この刈取前処理部4の右側に位置する車体前部に運転部Aを形成して、作業車の一例としてのコンバインが構成されている。
同図に示す如く、走行装置位置は駆動スプロケット1a、多数の遊転輪1b、クローラベルト1cの夫々で成り、又、駆動スプロケット1aは車体の左右中央に配置されたミッションMからの動力が伝えられるよう伝動系が形成されている。
【0009】
図1に示すように、ミッションMの伝動ケース5にはエンジン(図示せず)からの動力が入力プーリ6を介して伝えられる入力軸7、この入力軸7に外嵌した出力ギヤ8からの動力が、その軸に外嵌したシフトギヤ9を介して伝えられるシフタ軸10、シフタ軸10のシフトギヤ9からの動力が、その軸に外嵌した3つのギヤ11のいずれかに伝えられる中間軸12、この中間軸
12からの動力が各々伝えられると共に、各々入力ギヤG1,G2,G3,Gbを有する変速用クラッチB1,B2,B3,Bbが外嵌された第1,第2変速軸13,14の夫々を備えており、それら軸によって主変速系が構成されている。
【0010】
ミッションMには、主変速系からの回転動力をその回転方向を変えずに減速して伝動する正転減速機構Dと、回転方向を逆方向に変換して伝動する逆転伝動機構Eとが組み込まれているとともに、左右のクローラ式走行装置1,1のうちの一方に制動力を作用可能な油圧ブレーキ29を設けてある。そして正転減速状態、逆転伝動状態のいずれかの状態で左右のクローラ式走行装置1,1のうちの一方に伝える、あるいは、一方のクローラ式走行装置1に制動力を作用させるよう、正転減速機構D、逆転伝動機構E、及び油圧ブレーキ29のうちの1つを択一的に選択して切換可能な旋回モード切換手段を設けた走行制御装置が備えられている。
【0011】
即ち、走行制御装置は、伝動ケース5の中央位置から下方に亘って順次配置された第1軸15、第2軸16、操向クラッチ軸17、及び、前記第1、第2変速軸13,14夫々に設けられた出力ギヤ13a,14aからの動力が伝えられるよう第1軸15に外嵌した入力ギヤ18、第1軸15と第2軸16とに設けたスプロケット19,20にチェーンで成る無端回動帯21を巻回して成る伝動系、第1軸15と第2軸16とに設けたスプロケット19,20にチェーンで成る無端回動帯21を巻回して成る伝動系、第1軸15と第2軸16とに設けたギヤ22a,22bを有するギヤ伝動機構22で成る伝動系、これら2つの伝動系夫々に介装された油圧クラッチ23,24、操向クラッチ軸17の中央に遊転支承され、第1軸15の入力ギヤ18に咬合するクラッチギヤ25、このクラッチギヤ25の左右位置の操向クラッチ軸17に外嵌されたクラッチスリーブ26,26、第2軸16からの動力を夫々のクラッチスリーブ26,26の外側位置に伝える2組のギヤ連動部27,27、クラッチスリーブ26,26を操作するシフトフォーク28,28、第2軸16に制動力を作用させる油圧ブレーキ29各々を備えて構成されている。
【0012】
又、伝動ケース5の下端部にはクローラ式走行装置1,1夫々の駆動スプロケット1a,1aに連結する駆動軸30,30が支承されるとともに、この駆動軸30,30の内端部にはクラッチスリーブ26,26のギヤ部と咬合するギヤ31,31が備えられている。
そして、操向操作を行う場合には後述する油圧系の操作によって前記2つの油圧クラッチ23,24あるいは油圧ブレーキ29のうちの1つを選択するとともに、左右のシフトフォーク28,28のうちの一方を操作することで、クラッチスリーブ26は図1では左側に示されるもののように、ギヤ連動部27を介して第2軸16と連結状態に達し、この側のクローラ式走行装置1に対しては、減速状態の動力が伝えられる、あるいは、逆転状態の動力が伝えられる、あるいは、制動力が作用するようになっている。
【0013】
尚、前記クラッチギヤ25とそのクラッチギヤ25に動力を伝える変速機構が正転等速駆動機構を構成し、かつ、前記クラッチギヤ25、クラッチスリーブ26,26、ギヤ連動部27,27夫々を併せて操向クラッチC,Cと称し、この操向クラッチC,Cを含んで、その前後の前記正転減速機構Dと前記逆転伝動機構Eとの出力を受ける第2軸16、並びに、前記操向クラッチC,Cの出力部となるクラッチスリーブ26のギヤ部と咬合するギヤ31等で構成される伝動系により、前記作動態勢に切り換えられた機構DまたはEからの出力を旋回内側のクローラ式走行装置1の伝動系に伝達する操向方向選択伝動手段を構成している。
【0014】
前記のように入力プーリ6を介して入力軸7に伝えられた動力は油圧ポンプ32を駆動するとともに、2つの軸33,34を介して、刈取前処理部4に動力を伝えるための出力プーリ35を駆動し、又、4つの変速用クラッチB1,B2,B3,Bbは前進3速、及び、後進1速の変速を行い、第1変速軸13には機械式の駐車ブレーキ36が設けられている。
又、この伝動ケース5の内部の伝動系は図2に示す如く、前後方向でのギヤの重複配置によって、上下方向の寸法の縮少を図ってあり、又、図3に示すように、走行制御装置の組立てを楽に行えるよう、伝動ケース5の左右側部に開口が形成され、かつ、この開口を閉じるための蓋体5a,5aが備えられている。
【0015】
図3に示すように、シフトフォーク28,28の操作軸28a,28a夫々の伝動ケース5の外端部には操作アーム37,37が取付けられ、又、これらの操作アーム37,37を操作するためのピストン38,38を収めたケース39が伝動ケース5の前面に取付けられ、このピストン38,38及び前記4つの変速用クラッチB1,B2,B3,Bb、2つの油圧クラッチ23,24、油圧ブレーキ29を制御するための系は図4の如く表わされる。
つまり、油圧ポンプ32からの作動油は変速制御弁40を介して変速用クラッチB1,B2,B3,Bb夫々に供給され、かつ、同様に、操向制御弁41を介して前記ピストン38,38に供給され、又、38,38を収めるシリンダ38a,38aからの作動油が操向モード切換弁〔旋回モード切換手段に相当〕42を介して2つの油圧クラッチ23,24及び油圧ブレーキ29に供給される。尚、変速制御弁40は伝動ケース5の側部に、操向制御弁41はロータリ型に構成されてケース39に夫々備えられ、操向モード切換弁42は蓋体5aに備えられ、変速制御弁40は運転部Aに設けた変速レバー43と連係し、又、運転部Aに設けた操向レバー44の左右操作で操向制御弁41を操作し、操向レバー44のレバー軸芯に沿うシフト操作で操向モード切換弁42を操作するよう夫々が連係されている。
【0016】
又、操向制御弁41は、図5乃至図7に示す弁本体41aに油圧ポンプ32からの圧油が供給される第1環状溝45、円弧状に形成された2つの円弧状溝46,46、これら円弧状溝46,46に挟まれた位置に屈曲状態で形成された第2環状溝47、排油溝48と連通する状態で形成された第3環状溝49夫々を、その外面に有し、又、2つの円弧状溝46,46は第1環状溝45と油路孔50を介して連通している。
【0017】
第2環状溝47と図6に示す操作位置での排油溝48とは油路孔51を介して排油系に連通し、弁本体41aの回動操作によって2つの円弧状溝46,46のうちの一方からの圧油がいずれか一方のシリンダ部38a,38aに供給されるよう油路51,52が形成され、シリンダ部38a,38aの壁部から引き出された油路53が前述のように、操向モード切換弁42に供給され、この油路53から分岐した油路54が第3環状溝49と連通している。
そして、操向操作時には弁本体41aの回動操作によっていずれか一方のピストン38が動作した後、弁本体41aを更に回動操作することで排油溝48から流れ出す作動油の量が徐々に抑制される結果、前記2つの油圧クラッチ23,
24あるいは油圧ブレーキ29に対する作動油圧が徐々に上昇して円滑に操向動作を行えるようになっているのである。
尚、図1に示す如くピストン38,38がストロークエンドまで動作しても、クラッチスリーブ26,26は外側に位置するベアリング等と接触しないよう動作ストロークが設定されている。
【0018】
尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
伝動ケースの断面図
【図2】
伝動ケース内の伝動系を表わす側面図
【図3】
操向操作系を表わす正面図
【図4】
油圧回路図
【図5】
ピストンに対する油路を表わす概略図
【図6】
操向制御弁を表わす側面図
【図7】
排油溝等を表わす断面図
【図8】
コンバイン前部の側面図
【符号の説明】
1 クローラ式走行装置
1a 駆動輪体
2 車体
3 脱穀装置
4 刈取前処理部
5 伝動ケース
42 旋回モード切換手段
C 走行クラッチ
D 正転減速駆動機構
E 逆転伝動機構
M ミッション
 
訂正の要旨 (3)訂正事項
(3-1)訂正事項a
特許明細書(平成10年2月12日付け提出の手続補正書により補正された明細書)の【特許請求の範囲】の欄の第23行(本件特許公報第3欄第4行)の「備えている」を、特許請求の範囲の減縮を目的として次文のように訂正する。
『備え、
この操行方向選択伝達手段を、操向制御弁(41)による油圧制御で入り切り操作される 左右一対のギヤ噛み合い式の操行クラッチ(C),(C)を備えたもので構成するととも
に、
前記旋回モード切換手段(42)において正転減速機構(D)側からの出力を選択して作動状態に切換る手段を、圧油の給排によって入り切り操作される油圧クラッチ(23)によって構成し、
左右のクローラ式走行装置(1)の両方の伝動系に前記正転等速駆動機構側からの出力を伝達する直進走行状態に左右の操向クラッチ(C),(C)が操作されている状態では、前記操向制御弁(41)からの供給圧油が前記旋回モード切換手段(42)に供給されず、前記旋回モード切換手段(42)によって作動態勢に切り換えられた正転減速機構(D)側からの出力を一方のクローラ式走行装置(1)に伝達するように左右の操向クラッチ(C)、(C)が切り換えられた状態で、前記操向制御弁(41)からの供給圧油が前記旋回モード切換手段(42)に供給されるように、前記操向制御弁(41)と前記旋回モード切換手段(42)とを連係させて構成してある』
これに伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るため、明瞭でない記載の釈明を目的として、同明細書の【課題を解決するための手段】の欄の第21行(本件特許公報第4欄第17行)の「備えている」を、次文のように訂正する。
『備え、
この操行方向選択伝達手段を、操向制御弁による油圧制御で入り切り操作される左右一対のギヤ噛み合い式の操行クラッチを備えたもので構成するとともに、
前記旋回モード切換手段において正転減速機構側からの出力を選択して作動状態に切換る手段を、圧油の給排によって入り切り操作される油圧クラッチによって構成し、
左右のクローラ式走行装置の両方の伝動系に前記正転等速駆動機構側からの出力を伝達する直進走行状態に左右の操向クラッチが操作されている状態では、前記操向制御弁からの供給圧油が前記旋回モード切換手段に供給されず、前記旋回モード切換手段によって作動態勢に切り換えられた正転減速機構側からの出力を一方のクローラ式走行装置に伝達するように左右の操向クラッチが切り換えられた状態で、前記操向制御弁からの供給圧油が前記旋回モード切換手段に供給されるように、前記操向制御弁と前記旋回モード切換手段とを連係させて構成してある』
(3-1)訂正事項b
同明細書の段落番号【0005】の欄の第19行、21行(本件特許公報第4欄第41行、第44行)、及び段落番号【0006】の欄の第4行(2箇所)、6行、11行(本件特許公報第5欄第13行、14行、16行、24行)、の「逆転機構」を、誤記の訂正を目的として『逆転伝動機構』に訂正する。
異議決定日 2001-09-07 
出願番号 特願平10-4035
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B62D)
P 1 651・ 113- YA (B62D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 粟津 憲一川向 和実森川 元嗣  
特許庁審判長 藤井 俊明
特許庁審判官 溝渕 良一
鈴木 久雄
登録日 1999-09-10 
登録番号 特許第2977788号(P2977788)
権利者 株式会社クボタ
発明の名称 コンバインの乾田・湿田用操向制御装置  
代理人 北村 修一郎  
代理人 北村 修一郎  

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