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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1052452
審判番号 不服2001-13189  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-12-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-07-26 
確定日 2002-02-05 
事件の表示 平成 8年特許願第127553号「ゲーム機」拒絶査定に対する審判事件〔平成 8年12月 3日出願公開、特開平 8-318047、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続きの経緯、本願発明
本願は、平成2年6月4日に出願された実願平2-59087号を平成8年5月22日に特許に出願変更した特許出願(特願平8-127553号)であって、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成12年5月22日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「表示部、ゲーム駆動回路及びケースを有するゲーム機本体と、前記ゲーム機本体にコネクタにより結線接続及び着脱可能な構造を有すると共に、ゲーム・テレビジョン切換えスイッチを有するテレビジョン放送受信用のチューナブロックとを備え、前記ゲーム機本体に前記チューナブロックを装着し、前記ゲーム・テレビジョン切換えスイッチをゲームポジションにした場合に、前記ゲーム機本体と前記チューナブロック間のグランド用結線を含んだ全ての結線を開放することを特徴とするゲーム機。」
(なお、本願についての、平成9年3月10日付けの手続補正書は、平成10年3月4日付け補正の却下の決定により却下された。)

2.引用文献記載の発明
(1)これに対して原査定の拒絶理由に引用された実願昭53-7031号(実開昭54-111422号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献1」という。)には、以下の記載が認められる。
(イ)「ビデオゲームの種類の選択機構の切換装置をテレビジョン受像機の選局機構の切換装置と共用したことを特徴とするビデオゲーム装置内蔵テレビジョン受像機。」(実用新案登録請求の範囲)、
(ロ)「本考案は複数種のビデオゲームが選択できるようになされたビデオゲーム装備をテレビジョン受像機のキャビネット内に内蔵する様にしたビデオゲーム装置内蔵テレビジョン受像機に関し、特にその構成を簡素化できる様にしたものである。」(第1頁第10〜14行)、
(ハ)「本考案に於いてはこのテレビジョン受像機のキャビネット(14)内に複数種のビデオゲームが選択できる様になされたビデオゲーム装置(15)を配置する如くする。このビテオゲーム装置(15)としては例えば市販されているGI社のLSI、AY‐3‐8500‐1(6種のビデオゲームができる)(15a)を使用する。本例ではこのLSI、AY‐3‐8500‐1(15a)よりの映像信号をテレビ及びビデオゲーム切換器(6)の他方の固定接点(6c)に供給し、又このLSI、AY‐3‐8500‐1(15a)よりの音声信号をテレビ及びビデオゲーム切換器(11)の他方の固定接点(11c)に供給する如くする。斯くすることにより従来のビデオゲームの信号をテレビジョン受像機のアンテナ端子より供給する様にしたものに比較してビデオゲーム装置に於いて高周波回路が省略でき、それだけ簡素化され安価に製作できる利益がある。本考案に於いては、このビデオゲーム装置(15)のビデオゲームの選択機構の切換装置(16)をテレビジョン受像機のテレビジョン放送受信用チューナ(2)のチャンネル切換装置と共用する如くする。」(第3頁第6行〜第4頁第6行)、
(ニ)「本考案は上述の如く構成されているのでテレビジョン放送信号を受信するときは切換器(6)及び(11)の夫々の可動接点(6a)及び(11a)を一方の固定接点(6b)及び(11b)に接続すれば従来のテレビジョン受像機と同様にしてテレビジョン放送信号を受信することができる。又ビデオゲームをするときには切換器(6)及び(11)の夫々の可動接点(6a)及び(11a)を夫々他方の固定接点(6c)及び(11c)に接続し、接続スイッチ(22)及び(23)を夫々オンとする。又コントローラ(21a)及び(21b)の夫々のプラグをコントローラ用ジャック(20a)及び(20b)に夫々挿入する。」(第6頁第6〜17行)。
(2)原査定の拒絶理由に引用された実願昭52-50392号(実開昭53-145591号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)には、以下の記載が認められる。
(イ)「本考案の目的は、以上述べた欠点をなくし簡単な構成で周波数の安定したクロック信号を得ることができるゲーム付カラーテレビジョン受信機を提供するにある。本考案は上記目的を達成するために、カラーテレビジョン受像機内にテレビゲーム装置のゲーム制御部を内蔵させ、カラーテレビジョン受信機とテレビゲーム装置とを一体化構造とし、かつカラーテレビジョン受信機内に発生する色信号復調用の副搬送波を、上記テレビゲーム装置のクロック信号として用いるようにしたものである。以下、本考案を図とともに説明する。図は本考案によるゲーム付カラーテレビジョン受信機の一実施例を示すブロック図である。図において、1はアンテナ、2はチューナ、3は中間周波増幅部、4は映像検波部、5は音声検波部、6は偏向部、7は映像信号増幅部、8は色信号再生部、9は音声増幅部、10はブラウン管、11はスピーカである。14、15はそれぞれテレビゲーム装置12のゲーム制御部、操作部である。16および17は連動するスイッチ回路である。18は帯域増幅回路、19は色同期回路、20は色復調回路であり、18、19、20は色信号再生部8のより詳細なブロックである。以下、このテレビゲーム装置を内蔵したゲーム付カラーテレビジョン受像機について述べる。このテレビジョン受信機は、テレビゲーム装置12および連動するスイッチ回路16、17を除くと、従来のテレビジョン受信機と全く同じブロックなので、スイッチ回路16で信号路24と信号路26とを接続し、スイッチ回路17で信号路21と信号路23とを接続すると、通常のテレビジョン受信機として動作する。また、スイッチ回路16で信号路25と信号路26とを接続し、スイッチ回路17で信号路22と信号路23とを接続すると、ゲーム動作となる。」(第3頁第7行〜第5頁第2行)、
(ロ)「さらに、通常のカラーテレビジョン放送信号を受信できるカラーテレビジョン受信機に本考案を適用した場合には、以上述べたほかにテレビゲーム装置の出力信号が、カラーテレビジョン受信機内で発生するために、簡単なスイッチ切換動作で、テレビジョン放送の受信とゲームとを切り換えることができ効率的となる。また、アダプタ形式のゲーム装置にくらべ変調部が省略できるのでより経済的となる。」(第8頁第12〜20行)。

3.本願発明と引用文献に記載された発明との対比
本願発明と引用文献1および2に記載された発明とを対比すると、
本願発明における構成のうち、「表示部、ゲーム駆動回路及びケースを有するゲーム機本体」、「ゲーム機本体にコネクタにより結線接続及び着脱可能な構造を有すると共に、ゲーム・テレビジョン切換えスイッチを有するテレビジョン放送受信用のチューナブロック」、および、「ゲーム・テレビジョン切換えスイッチをゲームポジションにした場合に、ゲーム機本体とチューナブロック間のグランド用結線を含んだ全ての結線を開放する」構成が、引用文献1および2のいずれにも記載されていない点で相違する。

4.当審の判断
本願発明は、本体を液晶表示体ブロック(1)とゲーム駆動回路(13)とケース(5)とからなるゲーム機本体(19)とし、これに別体のチューナブロック(20)のみを着脱可能としてテレビジョン放送を受信できるようにしたものである。
一方、引用文献1および2に記載されたゲーム付きのテレビジョン受信機は、キャビネット(引用文献1:キャビネット14)やブラウン管(引用文献1:陰極線管8、引用文献2:ブラウン管10)を備えている等の記載からみて、テレビジョン放送の受信を主たる使用目的とする据え置き型のもの或いは据え置き型に近いものと認められ、このようなもののみから、本体をゲーム機とし、チューナブロックのみを着脱可能に附随させる形態は、容易に想起できると直ちには言い難いものである。
また、たとえ、該形態が公知の技術である等により、容易に想起できたものであっても、ゲーム・テレビジョン切換えスイッチを、コネクタ部よりも内側でスペース的にも組み込みが容易な本体側ではなく、テレビジョン放送を受信しないのであれば本来コネクタ部で外せばよいだけのチューナブロック側に備えることまでもが容易に想起できたとは認められない。
更に言えば、開閉接点が増えればその分スペースとコストを要するのであり、全ての電気的接続を完全に切り離すことが最も単純な脱着部分の接続法であるというだけでは、既にチューナブロックをコネクタ部で外すことでそのようにできるものにおいて、改めてグランド用結線を含む全ての結線を開閉するスイッチをチューナブロック側に設けることが容易に想起できるとは認められず、加えて、引用文献1および2に記載されたゲーム機付きのテレビジョン受信機はゲーム機側に切り換えたときにチューナ部のグランド用結線も開放されるか否か不明なものである(上述した主たる使用目的からすればその度に開放するとは考え難いところがある)。
そして、本願発明は,上記相違点に係る構成を備えることにより、チューナブロックを装着したまま本体のゲーム機を動作させてしまうことが往々にしてあるところ、そのようなときでも切り換えにより自動的にグランド用結線を含む全ての結線が開放されて、ロッドアンテナなどを通して妨害電磁波が外部に幅射されることを抑制できるという作用効果を奏することから、引用文献1および2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

5.結論
したがって、本願は、原査定の拒絶の理由によっては、拒絶することができない。
また、他に本願を拒絶をすべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-01-23 
出願番号 特願平8-127553
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 塩崎 進植野 孝郎  
特許庁審判長 小沢 和英
特許庁審判官 松川 直樹
渡部 葉子
発明の名称 ゲーム機  
代理人 藤綱 英吉  
代理人 須澤 修  
代理人 上柳 雅誉  

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