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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効とする(申立て一部成立) G07F
管理番号 1052895
審判番号 無効2000-35143  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-03-05 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-03-16 
確定日 2001-02-21 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2703683号発明「カード発行システム」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第2703683号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 特許第2703683号の請求項2ないし3に係る発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その3分の2を請求人の負担とし、3分の1を被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許の出願日:平成3年8月24日
特許権の設定の登録:平成9年10月3日
無効審判請求:平成12年3月16日
答弁書及び訂正請求:平成12年7月24日
弁駁書:平成12年10月30日
2.当事者の主張
(1)これに対して、請求人は、「特許第2703683号の特許は無効にする、審判費用は被請求人の負担にするとの審決を求める。」(請求の趣旨)ものであって、請求の理由(概要)は、「請求項1ないし請求項3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、特許法第123条第1項第2号の規定により、特許無効とすべきである。」というにあるものと認める。
そして、請求人は以下の証拠方法を提出している。
甲第1号証:特開昭60-55487号公報
甲第2号証:特開平2-224061号公報
甲第3号証:特開昭55-68900号公報
甲第4号証:特開平1-96792号公報
甲第5号証:特開昭60-31670号公報
甲第6号証:特開昭55-150059号公報
甲第7号証:実願昭58-24091号(実開昭59-132274号)のマイクロフィルム
甲第8号証:特開昭56-102155号公報
(2)一方、被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める。」(答弁の趣旨)ものである。
3.訂正事項及び訂正の適否
(1)訂正事項
a.特許請求の範囲の請求項1及び請求項3の
「【請求項1】 会員証などのカードの発行を集中的に制御する親局と、この親局の制御の下にカードの発行を行う少なくとも一つの子局とを有し、
前記子局は、運転免許証などの身分証明書が貼付され署名がなされたシートを読み取りハードコピー化する情報読み取り手段と、得られたハードコピーを前記親局に伝送する情報伝送手段と、カードの発行を行うカード発行手段と、前記親局からカード発行許可信号を受け取ると、前記カード発行手段に対してカード発行を指示する駆動制御手段とを備え、
前記親局は、前記子局の情報伝送手段によって供給される情報を受け取る情報受取手段と、前記子局に対して前記カード発行許可信号を伝送する許可信号発生手段とを備えている、
ことを特徴とするカード発行システム。
【請求項3】 親局から離れた場所に配置された子局において無人により会員証などのカードを発行するカード発行方法において、
子局の側において、複写機を用いて、運転免許証等の身分証明書が貼付され署名がされた後のシートを複写してハードコピーを得る工程と、
ハードコピーの情報をファクシミリ装置を用いて親局側に送信し、送信後にハードコピーを回収する工程と、
親局側において、子局側から送信された情報をファクシミリ装置を用いて受信する工程と、
親局側の前記ファクシミリ装置から子局側の前記ファクシリミ装置に対して呼出し信号音をカード発行許可信号として発信する工程と、
子局側の前記ファクシミリ装置においてこの呼出し信号音を受け取ると、子局側に設置されたカード発行機を駆動してカードの発行を行う工程と、
を有するカード発行方法。」を、
「【請求項1】 会員証などのカードの発行の許否の判断をして集中的に制御する有人の親局と、この親局の制御の下にカードの発行を行う少なくとも一つの無人の子局とを有し、
前記子局は、運転免許証などの身分証明書が貼付され署名がなされたシートを読み取りハードコピー化する情報読み取り手段と、得られたハードコピーを前記親局に伝送する情報伝送手段と、カードの発行を行うカード発行手段と、前記親局からカード発行許可信号を受け取ると、前記カード発行手段に対してカード発行を指示する駆動制御手段とを備え、
前記親局は、前記子局の情報伝送手段によって供給される情報を受け取る情報受取手段と、前記子局に対して前記カード発行許可信号を伝送する許可信号発生手段とを備えている、
ことを特徴とするカード発行システム。
【請求項3】 会員証などのカードの発行の許否の判断をする有人の親局から離れた場所に配置された子局において無人により会員証などのカードを発行するカード発行方法において、
子局の側において、複写機を用いて、運転免許証等の身分証明書が貼付され署名がされた後のシートを複写してハードコピーを得る工程と、
ハードコピーの情報をファクシミリ装置を用いて親局側に送信し、送信後にハードコピーを回収する工程と、
親局側において、子局側から送信された情報をファクシミリ装置を用いて受信する工程と、
親局側の前記ファクシミリ装置から子局側の前記ファクシミリ装置に対して呼出し信号音をカード発行許可信号として発信する工程と、
子局側の前記ファクシミリ装置においてこの呼出し信号音を受け取ると、子局側に設置されたカード発行機を駆動してカードの発行を行う工程と、
を有するカード発行方法。」と訂正する。
b.明細書の発明の詳細な説明の欄の段落【0006】の
「【0006】
【課題を解決するための手段】 上記の課題を解決するために、本発明のカード発行システムは、カードの発行を集中的に制御する親局と、この親局の制御の下にカードの発行を行う少なくとも一つの子局とから構成され、‥‥」を、
「【0006】
【課題を解決するための手段】 上記の課題を解決するために、本発明のカード発行システムは、会員証などのカードの発行の許否の判断をして集中的に制御する有人の親局と、この親局の制御の下にカードの発行を行う少なくとも一つの無人の子局とから構成され、‥‥」と訂正する。
c.明細書の発明の詳細な説明の欄の段落【0008】(特許公報第2頁第4欄31〜32行及び35〜36行)の
「ファクシリミ装置」を「ファクシミリ装置」と訂正する。
(2)訂正の適否
訂正事項aは請求項1に記載の「親局」及び「子局」をそれぞれ「カード発行の許否の判断をする有人の親局」及び「無人の子局」に、さらに、請求項3に記載の「親局」を「会員証などのカードの発行の許否の判断をする有人の親局」に限定するとともに、請求項3の「ファクシミリ」に関する記載の誤記を訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮及び誤記の訂正を目的とし、同bは特許明細書の発明の詳細な説明の記載を、訂正後の特許請求の範囲の記載と整合するようにしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、同cは誤記の訂正を目的とするものである。そして、請求項1に記載の「親局」及び「子局」をそれぞれ「カード発行の許否の判断をする有人の親局」及び「無人の子局」に、さらに、請求項3に記載の「親局」を「会員証などのカードの発行の許否の判断をする有人の親局」に限定する訂正は、特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0009】の「・・・・本店1の側にはファクシミリ装置11が設置され、担当者が常駐している。これに対して、支店2の側には、会員募集シート21と、複写機22と、カード発行機23が設置され、無人化されている。」、同段落【0013】の「本店1の側では支店側から送信された情報を受信し(ステップST11)、担当者が、受信した身分証明書の内容を確認して(ステップST12)、会員カードを発行してよいか否かを判断する(ステップST13)。・・・・」、及び同段落【0017】の「また、本例では、本店の側において、ハードコピー化された情報を目視することにより利用者の身分を確認できるので、その判断を正確に行うことができる。・・・・」との記載から導き出される事項であるから、いずれも新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではない。
したがって、平成12年7月24日付けの訂正は、平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定により、なお従前の例によるとされる平成6年改正法による改正前の特許法第134条第2項ただし書き並びに同条第5項で準用する同法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
4.本件特許に係る発明
本件特許に係る発明は、訂正された明細書及び図面からみて、特許請求の範囲の請求項1〜請求項3に記載された以下のものにある。
【請求項1】 会員証などのカードの発行の許否の判断をして集中的に制御する有人の親局と、この親局の制御の下にカードの発行を行う少なくとも一つの無人の子局とを有し、
前記子局は、運転免許証などの身分証明書が貼付され署名がなされたシートを読み取りハードコピー化する情報読み取り手段と、得られたハードコピーを前記親局に伝送する情報伝送手段と、カードの発行を行うカード発行手段と、前記親局からカード発行許可信号を受け取ると、前記カード発行手段に対してカード発行を指示する駆動制御手段とを備え、
前記親局は、前記子局の情報伝送手段によって供給される情報を受け取る情報受取手段と、前記子局に対して前記カード発行許可信号を伝送する許可信号発生手段とを備えている、
ことを特徴とするカード発行システム。
【請求項2】 請求項1において、前記親局はファクシミリ装置を有し、前記子局は、複写機およびファクシミリ装置を有し、
前記親局側のファクシミリ装置は、前記情報受取手段として機能すると共に、ここから発信される前記子局側のファクシミリ装置に対する呼出し信号音が前記カード発行許可信号として利用されるようになっており、
前記子局側において、前記複写機は前記情報読み取り手段として機能し、前記ファクシミリ装置は、前記情報伝送手段として機能すると共に、前記駆動制御手段における前記親局側のファクシミリ装置から発信された呼出し信号音をカード発行許可信号として受信する部分を構成していることを特徴とするカード発行システム。
【請求項3】 会員証などのカードの発行の許否の判断をする有人の親局から離れた場所に配置された子局において無人により会員証などのカードを発行するカード発行方法において、
子局の側において、複写機を用いて、運転免許証等の身分証明書が貼付され署名がされた後のシートを複写してハードコピーを得る工程と、
ハードコピーの情報をファクシミリ装置を用いて親局側に送信し、送信後にハードコピーを回収する工程と、
親局側において、子局側から送信された情報をファクシミリ装置を用いて受信する工程と、
親局側の前記ファクシミリ装置から子局側の前記ファクシミリ装置に対して呼出し信号音をカード発行許可信号として発信する工程と、
子局側の前記ファクシミリ装置においてこの呼出し信号音を受け取ると、子局側に設置されたカード発行機を駆動してカードの発行を行う工程と、
を有するカード発行方法。
5.証拠及びその記載事項
請求人が提示した、本件特許の出願前に日本国内において頒布されたと認められる甲各号証には次の記載が認められる。
(1)甲第1号証(特開昭60-55487号公報)
第1頁右下欄15行〜20行には、「この発明はクレジットカード、クレジットローンカード等、以降の取引に際して本人を特定するための取引用カードを自動的に発行する取引用カード発行システムに関し、特に受取人すなわちシステム端末操作者の確認を自動的に行い、無人でしかも即座に発行を行えるようにしたものである。」こと、
第3頁左下欄7行〜同頁右下欄7行には、「複数の自動発行ユニット1は交換回線2を介して管理センタ3,具体的にはそのコンピュータ例えばIBM製のS/1に接続されており、この管理センタ3のコンピュータはホストコンピュータ4に専用回線5を介して接続されている。図示しないけれども他の管理センタ3のコンピュータもホストコンピュータ4に接続されている。ホストコンピュータ4にはディスク装置6が設けられている。自動発行ユニット1は人の集まる所例えばショッピング街等に据え置かれ、利用者は所定の手順に従って運転免許証の挿入やキーボード操作等を行うようになっている。この自動発行ユニット1からは運転免許証の挿入やキーボード操作に基づくデータが交換回線2,管理センタ3および専用回線5を介してホストコンピュータ4に伝送される。ホストコンピュータ4は伝送されたデータをディスク装置6のデータファイルに照合して二重発行および取引実績不良者への発行の何れにも該当しない場合にのみ自動発行ユニット1に発行命令を送出する。」こと、
第4頁左下欄16行〜同頁右下欄4行には、「電子カメラ装置8で撮影された画像は撮影年月日、時刻および写真のコマ番号に重ね合わされ、一旦自動発行ユニット1内の記憶装置17(第3図)に記憶される。この記憶に際しては画像信号をデジタル化する。利用客の顔写真および運転免許証の写真の顔写真部分は階調処理をし、他の部分は二値化処理をする。この記憶装置17のデータは管理センタ3からの指示によりこの管理センタ3に伝送される。」こと、
第4頁右下欄17〜18行には、「第3図において自動発行ユニット1の各部は制御部18によって制御を受ける。」こと、
第5頁左上欄2行〜同頁右上欄1行には、「発行装置19はそのカードホッパに所定枚数例えば100枚の未発行取引用カードを収容しうるようになっている。未発行取引用カードには例えば磁気ストライプが設けられ、これにデータを記録しうるようになっている。未発行取引用カードには予めカード番号等がエンコードされている。カード発行時にはまずカードホッパより未発行取引用カードを取り出して既エンコード内容を所定の読み取り装置(図示しない)で読み取り、読み取りが正しければ追加情報(暗証番号,発行年月日,有効期限)をエンコードし、排出口11からカードを排出する。‥‥‥なお、通信制御部20は管理センタとのデータの送受信の制御、変調を行うものである。」こと、
第5頁右下欄6〜9行には、「認識装置7により運転免許証の免許証番号の読み取りが行われ(ステップ30)、さらに免許証の撮影が行われる(ステップ31)。」こと、
第6頁左上欄13行〜同頁右上欄10行には、「認識装置7または管理センタ3のCRTで運転免許証の番号が読み取られたならば、その番号により利用者を特定できる。換言すれば本人確認を終了したことになる。従って、以降では姓名,生年月日、自宅の電話番号および暗証番号の入力を指示する表示がCRT9よりなされ、そしてこの入力データが読み取られ‥‥‥利用者の顔写真がカメラ装置8で撮影される(ステップ43)。実際には姓名、生年月日等の各項日ごとに入力の指示、確認表示がなされ、利用者はその都合確認ボタン15を押し、そしてこれと同時に顔写真が撮影される。この後入力データおよび読み取られた運転免許証のデータがホストコンピュータ4に伝送され(ステップ44)、取引実績不良者および二重発行のチェックがなされる(ステップ45)。」こと、
第6頁左下欄15行〜第7頁左上欄12行には、「次に画像収集モードについて第5図を参照しながら説明しよう。このモードは免許証番号を用いて行う若干不充分な本人確認とは別個にさらに厳密な本人確認を補足的に行うためのものである。‥‥‥ この厳密な本人確認は管理センタ3において行われる。具体的にはオペレータが利用者本人の顔写真および免許証の写真をCRTでモニタし、本人の顔写真および免許証の写真の顔写真部を照合して両者の一致不一致を確認するのである。この場合画像収集モードにより画像情報を管理センタ3の記憶装置に記憶させておき、適切な時にいくつかの申込につき一括して照合を行うようにすれば便利である。
この画像収集モードでは、まず映像送信の依頼が自動発行ユニット1側になされる(ステップ50)。そうする制御部(第3図)は通信制御部20等を制御して一件の申込みについての画像を映像伝送回線で管理センタ3に送り(ステップ51)、これがその記憶装置に記憶される。一件の申込についての画面が伝送し終えた時には自動発行ユニット1の利用者が現れていたならば(ステップ52)伝送を中断して(ステップ53)、その利用者についてのカード発行を行い(ステップ54)、‥‥‥上述実施例では厳密な本人確認をカード発行時には行わず、後で数件まとめて行うようにしていたが、カード発行時にこの厳密な本人確認を行うようにしてもよい。この場合管理センタ3のオペレータの作業が煩雑となるものの、危険な貸付を回避しうるという利点がある。」ことが図面とともに記載されている。
(2)甲第2号証(特開平2-224061号公報)
第7頁右上欄7行〜同頁左下欄2行には、「ここでは取引の代表例として普通預金の新規取引を例にして説明を行う。[1]営業店1にて顧客は、新規取引用の伝票を記帳台10(第4図)より取出し、日付、住所、名前、郵便番号、職業等の項目を記入し、届け印を押印する。従来の新規取引用の伝票は内部処理用として複写伝票となっているが、本実施例で使用する伝票はイメージ読取りする為に申込書兼印鑑票として1枚に集約されている。その他の科目についても顧客が記入した伝票が1枚のデータとして転送できる様にする為に伝票は全て1枚に集約されている。また伝票は第7図に示すごとく光学的文字認識対象フィールドとイメージ取得エリアに分けて、フォーマット化されている。」こと、
第9頁左上欄10行〜15行には、「[8]ホスト処理が終了すると、自動取引装置3は、現金入出金部34により現金を収納し、通帳/証書プリンタ部36で新規通帳に氏名、取引結果等を印字し、通帳/証書発行部37から印字された通帳を放出し、顧客がこれを受取り、取引が完了する。」ことが図面とともに記載されている。(なお、甲第2号証原文においては、「[1]」、「[8]」は、丸数字の1,8で記載されている。)
(3)甲第3号証(特開昭55-68900号公報)
第1頁右下欄14行〜第2頁右上欄17行には、「借主(1)は機械設置せる金融機関の各出店(2)に出向きそこに具備してある所定の借用甲込書に必要事項記入させ、本人であることの証明書を呈示させる。貸主側である出店(2)では該証明書をコピーし、記入された借用申込書を、‥‥‥ファクシミリ装置等公知の電気通信方式を利用する静止影像送信情報を伝送する発受信機構(A)(A´)を利用して出店(2)側の送信情報に対する貸出認否の判断をし、必要があれば借主(1)に直接本(3)から問い合わせ乃至通知をする様にし、貸出決定が為されると銀行等金融機関(4)に振込送金乃至借主(1)へ直接現金送金する等の送金手段を講ずるものとする。斯様に融資方法を講ずることにより、本店(3)と各出店(2)には送信情報の伝送機構(A)(A)を予じめ設置さえしておけば、各出店(2)には格別の専門的知識を有する人材を要することなく借主(1)からの甲込に基づいて本店(3)側に情報移送するだけなので出店(2)側に特別の専門員、判断資料等の装備不要の為に窓口的に多数の出店(2)を設置可能であり、借主(1)側には最寄りの出店(2)へ出向くだけでよいので、その都度貴重な出向く時間を最小限に抑え利用者に交通に於ける動線上の至便な効果をもたらすと同時に、貸出方にとっては顧客資料を1ケ所に集中管理可能となって資料の拡散と重複の無駄が解消でき、加うるに経費の大巾な節減と顧客管理が簡便になり、貸出認否の判断が極めて迅速に行ない得るので、貸出完了まで数十分乃至数時間で済ませることも可能な実用上極めて優れた方法である。」ことが図面とともに記載されている。
(4)甲第4号証(特開平1-96792号公報)
第1頁右下欄10〜17行には、「発行者は被発行者から身分証明書(IDカード)、運転免許証又は健康保険証等の証明物を受け取るとともに、当該証明物をコピーして管理台紙を作成する。そして、発行者は必要な入会金を受取って、被発行者に対して会員カードを発行する。一方、会員カードにはメンバーズコード番号を表示するとともに、同コード番号を前記管理台紙へ記入し、これを管理台帳として保管していた。」ことが図面とともに記載されている。
(5)甲第5号証(特開昭60-31670号公報)
第4頁左上欄17行〜同頁右上欄8行には、「まず、第7図において医療機関の受付等で保険診療用紙Aに、受診者が提出した保険証に基づいて受診者氏名等記載欄11と保険者番号、被保険者証・手帳の記号番号の記載欄12と公費負担者・受給者番号の記載欄13に所定の事項が記載される。そして保険診療録用紙Aを複写装置の給紙部にセットする。ついで、保険証カバーEを複写装置の原稿台にセットし、この保険証カバーEの透明の窓部51に受診者が提出した健康保険証を載置し複写装置を操作する。これにより、保険診療録用紙Aの保険証複写欄14に保険証が複写される。」ことが図面とともに記載されている。
(6)甲第6号証(特開昭55-150059号公報)
第2頁右下欄19行〜同頁右上欄2行には、「駅員はこれを駅備えつけのたとえばファクシミリ装置11にセットし、所定の送信操作を行なう。これにより、定期券購入申し込み用紙上の読み取り走査が行なわれ、購入者の申し込み内容は読取電気信号に変換される。この読取電気信号は通信回線51を介して入出力制御装置2へ送出される。入出力制御装置2では、上記読取電気信号を入力すると、あらかじめ定められた優先度に応じて入力制御が行われ、読取電気信号は文字読み取り装置3へ送出される。文字読取装置3では読取電気信号に基づく文字読み取りが行なわれ、その読取結果は中央処理装置4へ送られる。中央処理理装置4では、予め記憶部に格納されている各種情報をもとに、文字読取装置3から与えられる読取り結果に基づいて処理が行なわれ、定期券発行に必要な、定期券のフォーマットを示す画像および文字などの画像情報が得られる。この画像情報は中央処理装置4から入出力制御装置2へ送られ、対応する通信回線51への出力制御が行なわれる。そして、中央処理装置4から送られた画像情報は、ファクシミリ装置11へ送信され、これにより対応する定期券の記録画像が所定の用紙に記録され、定期券発行が行なわれる。」こと、
第3頁右下欄19行〜第4頁左上欄1行には、「また、この発明の情報記録シート発行システムは、各種カードの発行システムにも実施できるものである。」ことが図面とともに記載されている。
(7)甲第7号証(実願昭58-24091号(実開昭59-132274号)のマイクロフィルム)
明細書第3頁1〜9行には、「第2図において、本考案の一実施例は原稿台紙5と、該台紙5の端部4に固着された透明シートを含む。前記台紙は任意の位置に保持部を設け、この保持部に原稿を保持するようにしたものである。この保持部は切込みにより構成され、原稿を差し込むことによりその原稿を保持するものである。またこの保持部は台紙に複数箇所設けることにより複数の原稿を保持することができる。」ことが図面とともに記載されている。
(8)甲第8号証(特開昭56-102155号公報)
第1頁左下欄4〜12行には、「(1)書類に含まれる情報を伝送する方法において、下記の(イ)乃至(ニ)の工程からなる情報伝送方法。
(イ)伝送すべき情報を含んでいる書類を供給して該書類のコピーを作る工程。
(ロ)上記コピーを貯蔵する工程。
(ハ)上記コピーを走査して上記コピーに含まれた情報を決定する工程。
(ニ)上記コピーに含まれた上記情報を伝送する工程。」こと、
第2頁右下欄10行〜第3頁左上欄3行には、「この複写機兼プリンターは、伝送すべき書類のコピーを作るために最初に用いられ、‥‥‥このコピーは電話回線のような通信回線に接続されたバッファー・メモリにおいて1ページのスペースが利用できるまで貯蔵される。‥‥‥このバッファー・メモリに記憶された情報はこの通信回線によって伝送される。」こと、
第4頁右下欄5〜9行には、「この情報送受信ステーション10は、後述するようにこの原稿ステーション22にあらわれる書類のファクシミリをこの通信回線52によって伝送することによりファクシミリ装置として作用する。」こと、
第5頁右下欄18行〜第6頁左上欄1行には、「これらのコピーはこの郵便箱32から取り出されそしてこれらの書類の伝送確認としてこれらの書類の発信者に送られる。」ことが図面とともに記載されている。
6.対比・判断
(1)請求項1に係る発明(以下「請求項1〜3に係る発明」を「本件発明1〜3」という。)について
本件発明1と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、甲第1号証に記載の「自動発行ユニット1」、「管理センタ3およびホストコンピュータ4」、「認識装置7及びカメラ装置8」、「発行装置19」はそれぞれ本件発明1〜3の「子局」、「親局」、「情報読み取り手段」、「カード発行手段」(請求項1,2)または「カード発行機」(請求項3)に相当し、また、甲第1号証の「運転免許証の挿入やキーボード操作に基づくデータが交換回線2,管理センタ3および専用回線5を介してホストコンピュータ4に伝送される。ホストコンピュータ4は伝送されたデータをディスク装置6のデータファイルに照合して二重発行および取引実績不良者への発行の何れにも該当しない場合にのみ自動発行ユニット1に発行命令を送出する。」(公報第3頁左下欄20行〜同頁右下欄7行)なる記載より、甲第1号証に記載の発明の自動発行ユニット1が認識装置7及びカメラ装置8により得られた情報を管理センタ3に伝送する情報伝送手段、及び管理センタ3からカード発行許可信号(発行命令)を受け取ると、発行装置19にカード発行を指示する駆動制御手段を有しており、また管理センタ3は、自動発行ユニットの情報伝送手段によって供給される情報を受け取る情報受け取り手段と、自動発行ユニットに対してカード発行許可信号を伝送する許可信号発生手段を有していることは明らかである。
また、厳密な本人確認は、オペレータが利用者本人の顔写真と免許証の写真をCRTでモニタする旨の記載より、管理センタは有人であり、カード発行の許否判断をオペレータによっても行なうことが記載されている。
したがって、両者は、会員証などのカードの発行の許否の判断をして制御する有人の親局と、この親局の制御の下にカードの発行を行う少なくとも一つの無人の子局とを有し、
前記子局は、運転免許証などの身分証明書の情報を読み取る情報読み取り手段と、得られた情報を前記親局に伝送する情報伝送手段と、カードの発行を行うカード発行手段と、前記親局からカード発行許可信号を受け取ると、前記カード発行手段に対してカード発行を指示する駆動制御手段とを備え、
前記親局は、前記子局の情報伝送手段によって供給される情報を受け取る情報受取手段と、前記子局に対して前記カード発行許可信号を伝送する許可信号発生手段とを備えている、
ことを特徴とするカード発行システムである点で一致するが、
本件発明1では、カード発行の許否の判断を親局で集中的に行うのに対して、甲第1号証に記載の発明では、管理センタ(本件発明の「親局」に相当)が複数あり、一カ所で集中的に許否判断をしているのではない点(相違点1)、及び
本件発明1では、情報読み取り手段が、身分証明書が貼付され署名がなされたシートを読み取るのに対し、甲第1号証に記載の発明では、運転免許証を直接読み取るとともに、姓名などの顧客情報をキーボードから入力するようにしている点(相違点2)、及び
本件発明1では、そのようなシートを読み取り一旦ハードコピー化し、得られたハードコピーを前記親局に伝送しているのに対して、甲第1号証では、身分証明書を読み取るものの、ハードコピー化することなく伝送している点(相違点3)で両者は相違する。
相違点1について検討すると、甲第3号証には、金融の小口融資方法に関して、本店(本件発明の「親局」に相当)及び出店(本件発明の「子局」に相当)で構成するとともに、この両者に情報の伝送機構を設置し、金融機関の出店において借主に対して借用申込書に必要事項を記入させかつ本人であることの証明書をコピーし、記入された借用申込書をファクシミリ装置で本店に伝送し、本店側ではファクシミリ装置で受信して貸出認否の判断を集中的に行うことが記載されており、この本店で許否の判断を集中的に行う点を甲第1号証に記載のカード発行システムに適用して、管理センタでカード発行の許否の判断を集中的に行うようにすることに格別困難性は認められない。
相違点2について検討すると、甲第2号証には、複数の営業店1(本件発明の「子局」に相当)と母店7(本件発明の「親局」に相当)からなり無人で新規通帳(本件特許の「会員証」に相当)の発行を行なうシステムにおいて、顧客が新規取引用の伝票に、住所、名前等を署名するとともに、1枚のシートとして伝送するために、身分証明書たる印鑑票をその伝票(本件発明の「シート」に相当)に「体化させることが記載されており、上記相違点2は甲第2号証に記載されている。
つぎに、相違点3について検討すると、「ハードコピー化」の日的・効果は、明細書の段落【0018】の「本例のシステムでは、定型のシートの所定の欄に利用者に署名させ、そのコピーを回収するようにしている。従って、利用者が確かに来店して会員になったことの証明を得ることができるという利点もある。」との記載より、「回収・保管及び利用者の証明」にあるものと認められる。
一方、カード発行業務において、カードの発行を希望する顧客から身分証明書を受取りこれをコピーして管理台帳(本件発明の「ハードコピー」に相当)を作成することは、甲第4号証に記載されている。また、同号証では、「管理用台紙」や「管理台帳として保管」とあることから、管理台帳を作成する目的も、上記と同様、「回収・保管及び利用者の証明」に他ならない。
したがって、当業者であれば、上記目的のためにシートを一旦コピーしてハードコピーを得るようにすることは、甲第4号証に基づき容易になしうるものである。
また、従来原稿自体を伝送するようにしていたのに対し、その原稿をハードコピー化した後に、得られたハードコピーを伝送することは、甲第8号証に記載されている。さらに、甲第8号証においては、このようなハードコピーは伝送の確認のために利用されている。したがって、そのような技術を採用すること自体に特に困難性は認められない。
このように、甲第1号証に記載のカード発行システムにおいて、読み取った身分証明書をハードコピー化することなく伝送することに代えて、本件発明1のように、シートを読み取り一旦ハードコピー化し得られたハードコピーを前記親局に伝送するように置き換えることは、甲第4号証及び甲第8号証に基づいて、当業者が容易になし得たことである。
以上より、甲第1号証に記載のカード発行システムにおいて、カード発行の許否の判断を親局で集中的に行うようにすることは甲第3号証に基づき、また運転免許証を読み取るとともに氏名などの顧客情報をキーボードから入力することに代えて、身分証明書が貼付され署名がなされたシートを得てこれを読み取ることに置き換えることは甲第2号証に基づき、更に、甲第1号証において、読み取った身分証明書をハードコピー化することなく伝送することに代えて、シートを読み取り一旦ハードコピー化し得られたハードコピーを親局に伝送することに置き換えることは甲第4号証及び甲第8号証に基づき、当業者が容易に推考し得るものである。
そして、本件発明1では、支店側において身分証明書が貼付され署名がなされたシートを読み取りハードコピーを得て、これを本店側に送信し、本店側において受信した情報に基づきカードの発行の許可を判別して、カードを発行する場合にはカード発行許可信号を支店側に送信してカードの発行を行わせるように構成したので、人手に頼ることなく本店から離れた支店において適格者に対してのみ会員カードなどの発行を行うことができるという効果は甲第1〜4,8号証に記載された事項から予測できることである。
(2)請求項2に係る発明(本件発明2)について
本件発明2と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、本件発明2は本件発明1をさらに限定するものであるから、両者は請求項1に係る発明についての検討で述べたのと同一の点で一致し、上記相違点1〜3の点で相違するとともに、さらに、
本件発明2では、親局及び子局はファクシミリ装置を有するのに対し、甲第1号証に記載された発明ではファクシミリ装置を有しない点(相違点4)、子局が複写機を有するのに対し、甲第1号証に記載された発明では複写機を有しない点(相違点5)、
本件発明2では、親局側のファクシミリ装置から発信される前記子局側のファクシミリ装置に対する呼出し信号音が前記カード発行許可信号として利用されるようになっており、また、子局側のファクシミリ装置が当該呼出し信号音をカード発行許可信号として受信するようになっているのに対し、甲第1号証には、カード発行を許可する際にはホストコンピュータは自動発行ユニット1に発行命令を送出し、自動発行ユニットはこの発行命令に従ってカードを発行するとしか記載されていない点(相違点6)で相違する。
相違点1〜3については、請求項1に係る発明についての検討で述べたとおりである。
相違点4,5について検討すると、甲第3号証には、借主が出店(本件発明の「子局」に相当)において融資を申し込む際、出店では証明書をコピーし、記入された借用申込書を、ファクシミリ装置で伝送すること、即ち、証明書を複写機でコピーし、借用申込書をファクシミリ装置で伝送することが記載されている(第1頁右下欄第14行〜第2頁左上欄第18行参照)。
したがって、甲第1号証に記載された発明における、電子カメラ装置8により、運転免許証を、ハードコピーすることなく、読み取ることに代えて、運転免許証をハードコピーすること、即ち、子局に複写装置を有するように置き換えることは、甲第3号証に基づいて当業者が容易になし得たことである。
そして、また、甲第1号証に記載された発明における、運転免許証を読み取り記憶装置17に記憶し、記憶装置17のデータを管理センタ3に伝送等することに代えて、運転免許証のハードコピーをファクシミリ装置で送信すること、即ち、子局及び親局にファクシミリ装置を有することに置き換えることも、甲第3号証に基づいて当業者が容易になし得たことである。
相違点6について検討すると、審判請求人は、伸第6号証には、前述したように、定期券申し込み用紙の内容をファクシミリ装置により、中央処理装置へ送り、中央処理装置からは画像情報が上記ファクシミリ装置へ送信され、上記ファクシミリ装置は、中央処理装置からは画像情報が送信されることにより、対応する定期券の記録画像を所定の用紙に記録して、定期券を発行することが記載されている。即ち、上記ファクシミリ装置は、発行に先立ち、発行許可の信号として呼び出し信号音を受信することは明らかである。」(審判請求書第18頁28行〜第19頁5行)と主張している。
しかしながら、定期券申し込み用紙の内容をファクシミリ装置により、中央処理装置へ送り、中央処理装置からは画像情報が上記ファクシミリ装置へ送信され、上記ファクシミリ装置は、中央処理装置からは画像情報が送信されることにより、対応する定期券の記録画像を所定の用紙に記録して、定期券を発行することが記載されていることをもって直ちに上記ファクシミリ装置が、発行に先立ち、発行許可の信号として呼び出し信号音を受信するとすることはできない。すなわち、甲第6号証には、相違点6について記載されておらず、また示唆もされていない。さらに、他の甲第1〜5,7,8号証のいずれにもファクシミリ装置が、発行に先立ち、発行許可の信号として呼び出し信号音を受信する点についての記載はなく、示唆もされていない。
そして、本件発明2は、相違点6に係る構成としたことによって、明細書に記載された「システムが廉価に構成できるとともに、本店側から支店側のファクシミリの呼び出し信号音をカード発行許可信号として利用できるという利点が得られる」(明細書段落【0022】)という効果を奏するものである。
したがって、本件発明2は、たとえ相違点1〜5が甲第2〜4,8号証に基づいて容易になし得たものであるとしても、請求人が提示した甲各号証に記載されたものから当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
(3)請求項3に係る発明(本件発明3)について
本件発明3と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、両者は、会員証などのカードの発行の許否の判断をする有人の親局から離れた場所に配置された子局において無人により会員証などのカードを発行するカード発行方法において、
子局の側において、運転免許証等の身分証明書の情報を読み取る工程と、
読み取った情報を親局側に送信する工程と、
親局側において、子局側から送信された情報を受信する工程と、
親局側から子局側の受信装置に対してカード発行許可信号を発信する工程と、
子局側の前記受信装置においてこのカード発行許可信号を受け取ると、子局側に設置されたカード発行機を駆動してカードの発行を行う工程と、
を有するカード発行方法である点で一致し、
子局側における工程が、本件発明3では、複写機を用いて、運転免許証等の身分証明書が貼付され署名がされた後のシートを複写してハードコピーを得る工程と、ハードコピーの情報をファクシミリ装置を用いて親局側に送信し、送信後にハードコピーを回収する工程とからなるの対して、甲第1号証に記載の発明では、認識装置及び電子カメラ装置を用いて読み取られた運転免許証のデータ、及びキーボード操作により入力されたデータを交換回線を介して親局に伝送する工程からなる点(相違点7)、
親局側における工程が、本件発明3では、子局側から送信された情報をファクシミリ装置を用いて受信する工程であるのに対して、甲第1号証に記載の発明では交換回線を介して受信する点(相違点8)、及び、
親局から子局へのカード発行許可信号の伝送工程、及び子局でのカード発行工程として、本件発明3では、親局側の前記ファクシミリ装置から子局側の前記ファクシミリ装置に対して呼出し信号音をカード発行許可信号として発信する工程と、子局側の前記ファクシミリ装置においてこの呼出し信号音を受け取ると、子局側に設置されたカード発行機を駆動してカードの発行を行う工程としたのに対し、甲第1号証に記載された発明では、カード発行を許可する場合は、ホストコンピュータあるいは管理センタ(本件発明の「親局」に相当)から自動発行ユニット(本件発明の「子局」に相当)に発行命令を送出するとした点(相違点9)で相違する。
相違点7について検討すると、カード発行に際して、複写機を用いて運転免許証等の身分証明書を複写してコピーを得るとともに同コピーを保管することが甲第4号証に記載されている。また、請求項1に係る発明ついての検討で述べたごとく、営業店(本件発明の「子局」に相当)において無人で新規通帳の発行を行うに際して、顧客が伝票に署名するとともに、一枚のシートとして伝送するために身分証明書たる印鑑票を伝票に一体化させることが甲第2号証に記載されている。
さらに、請求項2に係る発明の検討で述べたごとく、出店において融資の申し込みを受ける際、証明書をコピーし、記入された借用申込書を、ファクシミリ装置で伝送することが甲第3号証に記載されている。
したがって、甲第1号証に記載された発明において、子局の側の工程に、甲第2〜4号証に記載の上記工程を適用して相違点7のごとき工程とすることは、当業者が容易になし得たことである。
相違点8について検討すると、定期券を発行するに際して、駅(本件発明の「子局」に相当)備えつけのファクシミリ装置で送信された情報を文字読取装置(本件発明の「ファクシミリ装置」に相当)を用いて受信することが甲第6号証に記載されている。
したがって、甲第1号証に記載された発明において、親局の側の工程に甲第6号証に記載の上記工程を適用して相違点8のごとき工程とすることは当業者が容易になし得たことである。
相違点9について検討すると、審判請求人は相違点9については、甲第6号証に記載されていると主張しているが、本件発明2の検討で述べた如く、ファクシミリ装置に対する呼び出し信号音をカード発行許可信号とする点が甲第6号証に記載されているとすることはできず、示唆もされていない。また、他の甲第1ないし5,7,8号証にもその点について記載されておらず、示唆もされていない。
そして、本件発明3は、相違点9に係る構成としたことによって、明細書に記載された効果を奏するものである。
したがって、本件発明3は、たとえ相違点7、8が甲第2ないし4、6号証から当業者が容易になし得たものであるとしても、請求人が提示した甲各号証に記載されたものから当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
7.むすび
以上のとおり、本件請求項1に係る発明は、甲第1〜4,8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
本件請求項2,3に係る発明は、甲第1〜8号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできないから、本件請求項2,3に係る発明の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。
したがって、本件請求項1に記載された特許は、特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきものである。
一方、本件請求項2,3に記載された特許については、同法第123条第1項第2号に該当せず、無効とすることはできない。
また、審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条乃至第64条の規定を考慮し、請求人が3分の2、被請求人が3分の1を負担すべきものとする。
よって結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
カード発行システム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 会員証などのカードの発行の許否の判断をして集中的に制御する有人の親局と、この親局の制御の下にカードの発行を行う少なくとも一つの無人の子局とを有し、
前記子局は、運転免許証などの身分証明書が貼付され署名がなされたシートを読み取りハードコピー化する情報読み取り手段と、得られたハードコピーを前記親局に伝送する情報伝送手段と、カードの発行を行うカード発行手段と、前記親局からカード発行許可信号を受け取ると、前記カード発行手段に対してカード発行を指示する駆動制御手段とを備え、
前記親局は、前記子局の情報伝送手段によって供給される情報を受け取る情報受取手段と、前記子局に対して前記カード発行許可信号を伝送する許可信号発生手段とを備えている、
ことを特徴とするカード発行システム。
【請求項2】 請求項1において、前記親局はファクシミリ装置を有し、前記子局は、複写機およびファクシミリ装置を有し、
前記親局側のファクシミリ装置は、前記情報受取手段として機能すると共に、ここから発信される前記子局側のファクシミリ装置に対する呼出し信号音が前記カード発行許可信号として利用されるようになっており、
前記子局側において、前記複写機は前記情報読み取り手段として機能し、前記ファクシミリ装置は、前記情報伝送手段として機能すると共に、前記駆動制御手段における前記親局側のファクシミリ装置から発信された呼出し信号音をカード発行許可信号として受信する部分を構成していることを特徴とするカード発行システム。
【請求項3】 会員証などのカードの発行の許否の判断をする有人の親局から離れた場所に配置された子局において無人により会員証などのカードを発行するカード発行方法において、
子局の側において、複写機を用いて、運転免許証等の身分証明書が貼付され署名がされた後のシートを複写してハードコピーを得る工程と、
ハードコピーの情報をファクシミリ装置を用いて親局側に送信し、送信後にハードコピーを回収する工程と、
親局側において、子局側から送信された情報をファクシミリ装置を用いて受信する工程と、
親局側の前記ファクシミリ装置から子局側の前記ファクシミリ装置に対して呼出し信号音をカード発行許可信号として発信する工程と、
子局側の前記ファクシミリ装置においてこの呼出し信号音を受け取ると、子局側に設置されたカード発行機を駆動してカードの発行を行う工程と、
を有するカード発行方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は各種の会員券、会員証などを発行するためのカード発行システムに関するものである。特に本発明は、無人化されたビデオテープなどのレンタル店において、そのレンタル店の本店の側からの遠隔操作により会員証を発行するためのカード発行システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオテープの利用者が増加するに伴い、ビデオテープのレンタル店の数も増加し、複数の支店を有するレンタルチェーン店も出現している。このようなレンタル店においては、利用者に運転免許証などを提示してもらい、身分を特定した後に、会員証を発行し、以後は会員券の提示のみでレンタルが行われるようになっている。
【0003】
ここに、ビデオテープのレンタルを行うための自動貸出機が知られている。この貸出機を設置することにより、会員に対するビデオテープのレンタル業務を省力化できるので、人手不足の今日においてはかかる機械を設置することは望ましいことである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、会員証の発行は依然として人手に頼っているのが現状である。これは、会員証の発行に際しては利用者の身分を確認するために運転免許証などの身分証明書を目視により確認する必要があるからである。このために、ビデオテープ等のレンタル店を完全に無人化することは困難である。
【0005】
本発明の課題は、この点に鑑みて、複数の支店を備えたビデオ等のレンタル店において、各支店において完全に無人化した状態で会員証の発行を行うことが可能なシステムを実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のカード発行システムは、会員証などのカードの発行の許否の判断をして集中的に制御する有人の親局と、この親局の制御の下にカードの発行を行う少なくとも一つの無人の子局とから構成され、子局の側においては、運転免許証などの身分証明書が貼付され署名がなされたシートを読み取りハードコピーを得る情報読み取り手段と、ハードコピーの情報を親局に伝送する情報伝送手段と、カードの発行を行うカード発行手段と、親局からカード発行許可信号を受け取ると、カード発行手段に対してカード発行を指示する駆動制御手段とを備えた構成を採用している。また、親局側においては、子局の情報伝送手段によって供給される情報を受け取る情報受取手段と、子局に対してカード発行許可信号を伝送する許可信号発生手段とを備えた構成を採用している。
【0007】
ここに、親局にはファクシミリ装置を配置し、子局には、複写機およびファクシミリ装置を配置し、親局側のファクシミリ装置を、上記の情報受取手段として機能させ、ここから発信される子局側のファクシミリ装置に対する呼出し信号音を上記のカード発行許可信号として利用することが好ましい。また、子局側において、その複写機を上記の情報読み取り手段として機能させ、ファクシミリ装置を、上記の情報伝送手段として機能させると共に、上記の駆動制御手段における親局側のファクシミリ装置から発信された呼出し信号音をカード発行許可信号として受信する部分として機能させることが好ましい。
【0008】
【作用】
本発明のシステムにおいては、まず子局側(レンタル店の支店)において利用者が運転免許証などの身分証明書が貼付され署名がなされたシートを複写機等を用いて複写する。これにより得たハードコピーをファクシミリ装置を介して親局側(レンタル店の本店)に送信する。送信済みのハードコピーは回収することが好ましい。親局側では、受信したシートの内容、すなわち利用者の身分を確認する。確認して問題が無ければ、ファクシミリ装置を用いて、子局側のファクシミリ装置を呼び出す。子局側の駆動制御手段は、子局側のファクシミリ装置を介して呼出し信号音を受け取ると、カード発行手段を駆動して、カードの発行を行わせる。このように、子局の側において店員を置くことなくカードの発行が行われる。
【0009】
【実施例】
以下に図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1には、本発明のシステムをビデオテープのレンタル店における会員カードの発行に適用した例を示してある。図に示すように、ビデオテープのレンタル店の本店1と、複数の支店2とが公衆回線を介して接続されている。本店1の側にはファクシミリ装置11が設置され、担当者が常駐している。これに対して、支店2の側には、会員募集シート21と、複写機22と、カード発行機23が設置され、無人化されている。
【0010】
支店に配備された会員募集シート21は、定型シートであり、その表面には、利用者の身分証明書(運転免許証等)を挿入する透明ポケット211が形成してある。また、その隣接した部分には、利用者の署名欄212を設けてある。一方、カード発行機23は、本店の側のファクシミリ装置に接続されたファクシミリ装置231と、複数枚の会員カード235を収納したカードストッカ232と、このストッカに収納されているカードを一枚ずつ発行するカード発行機構233と、このカード発行機構の駆動を制御する駆動制御回路234とから基本的に構成されている。支店の側のファクシミリ装置231が呼び出されると、その呼出し信号音が駆動制御回路234に供給されるようになっている。駆動制御回路234は、この呼出し信号音1Sを受け取ると、カード発行機構233を駆動して、カードストッカ232から会員カード235を発行させる。
【0011】
図2には上記のカード発行機23の外観を示してある。図において、23aは内蔵のファクシミリ装置231により送信するシートの挿入口であり、23bは会員カードの発行口である。また、23cは送信開始などを指示するための操作キー群であり、その上方には操作手順などの表示を行うための表示画面23dが配置されている。
【0012】
次に、図3を参照して、このように構成した本例の会員カード発行システムにおけるカード発行動作を説明する。まず、支店2の側においては、そのカード発行機23の表示画面23d上において、「会員募集シートの透明ポケットに身分証明書を挿入し、指定欄の署名をした後に、コピーして下さい。コピーした用紙を送信用シート挿入口23aに挿入して下さい。」という内容のメッセージが表示されている。利用客は、このメッセージにしたがって、運転免許証などの身分証明書を会員募集シート21の透明ポケット211に挿入し、署名欄212に署名をした後に、設置されている複写機22でコピーを取る(ステップST1)。次に、コピーした用紙を挿入口23aに挿入すると、表示画面23d上に、「送信用キーを押して下さい。」という内容のメッセージが表示される。この表示にしたがって利用者が送信用キー23cを押すと、コピーした内容が、本店1の側のファクシミリ装置11に送信される(ステップST2)。ここで、挿入口23aから挿入されたコピー用紙は、排出されることなく、内部の所定の場所に回収される。
【0013】
本店1の側では支店側から送信された情報を受信し(ステップST11)、担当者が、受信した身分証明書の内容を確認して(ステップST12)、会員カードを発行してよいか否かを判断する(ステップST13)。たとえば、未成年者などのように会員カードを発行できない場合には、ステップST21に進み、発行できない旨を報知する。たとえば、その旨を支店に設置された電話などを介して報知する。
【0014】
カードを発行して良いと判断した場合には、支店2の側のファクシミリ装置231に対して呼出しを行う(ステップST14)。
【0015】
支店の側では、この呼出し信号1Sを受信し(ステップST3)、この信号を駆動制御回路234に転送する。駆動制御回路234は、この呼出し信号音をカード発行許可信号として受け取り、カード発行機構233を駆動する。この結果、カードストッカ232に収納されている会員カードの一枚がカード発行口23bから発行される(ステップST4)。
【0016】
このように、本例のカード発行システムにおいては、支店の側を完全に無人化した状態でカードの発行を行うことが可能になる。したがって、本例のシステムと自動式のビデオテープ貸出機とを支店に設置すれば、完全に無人化したビデオレンタル店を実現することができる。
【0017】
また、本例では、本店の側において、ハードコピー化された情報を目視することにより利用者の身分を確認できるので、その判断を正確に行うことができる。これに対して、支店にモニターカメラを設置して、本店の側において、そのカメラを介して得られた画像から利用者の身分証明書の内容を確認する方法もあるが、この方法では身分証明書の内容を正確に読み取れない場合もある。また、このような方法では、通信回線としてISDNを利用することになるが、このようなデジタル回線を介して画像情報の転送を行うシステムは一般的に高価になってしまうという問題点もある。この点、本例のシステムは廉価に構成でき、しかも情報内容の確認を正確に行うことができるので優れている。
【0018】
さらにまた、本例のシステムでは、定型のシートの所定の欄に利用者に署名させ、そのコピーを回収するようにしている。したがって、利用者が確かに来店して会員になったことの証明を得ることができるという利点もある。
【0019】
また、本例のシステムでは、本店側のファクシミリ装置からの呼出し信号音を利用してカード発行動作を行わせるようにしている。したがって、特別の駆動信号発生用の回路部分を付加する必要がないという利点がある。
【0020】
なお、会員カードの発行に際して入会金を要求する場合には、図2に示すように、カード発行機23に紙幣挿入口23e、硬貨挿入口23f、釣銭返却口239を設け、内部に入出金処理機構を設置するようにすればよい。この場合には、入会金の支払いがあり、本店側からカード発行許可信号を受け取った場合にのみ、カードの発行を行うように構成すればよい。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のカード発行システムにおいては、支店の側において運転免許証などの身分証明書が貼付され署名がなされたシートを読み取って、ハードコピーを得て、これを本店の側に送信する構成を採用している。本店の側では受信した情報に基づきカードの発行の許否を判別して、カードを発行する場合にはカード発行許可信号を支店側に送信して、支店側のカード発行機を駆動してカードの発行を行わせるように構成されている。したがって、本発明によれば、人手に頼ることなく本店から離れた支店において適格者に対してのみ会員カード等の発行を行うことが可能になる。
【0022】
また、本発明のシステムを、複写機およびファクシミリ装置を利用して構成した場合には、システムが廉価に構成できるとともに、本店側から支店側のファクシミリの呼出し信号音をカード発行許可信号として利用できるという利点も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明のカード発行システムの全体構成を示す構成図である。
【図2】
図1のカード発行機の外観斜視図である。
【図3】
図1のシステムの動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1・・・本店
1S・・・カード発行許可信号(呼出し信号)
2・・・支店
11・・・本店側のファクシミリ装置
21・・・会員募集シート
211・・・身分証明書の挿入ポケット
212・・・署名欄
22・・・複写機
23・・・カード発行機
231・・・支店側のファクシミリ装置
232・・・カードストッカ
233・・・カード発行機構
234・・・駆動制御回路
 
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項aは請求項1に記載の「親局」及び「子局」をそれぞれ「カード発行の許否の判断をする有人の親局」及び「無人の子局」に、さらに、請求項3に記載の「親局」を「会員証などのカードの発行の許否の判断をする有人の親局」に限定するとともに、請求項3の「ファクシミリ」に関する記載の誤記を訂正するものであるから、特許請求の減縮及び誤記の訂正を目的とし、同bは特許明細書の発明の詳細な説明の記載を、訂正後の特許請求の範囲の記載と整合するようにしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、同cは誤記の訂正を目的とするものである。
審理終結日 2000-11-28 
結審通知日 2000-12-08 
審決日 2000-12-20 
出願番号 特願平3-295290
審決分類 P 1 112・ 121- ZD (G07F)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 伏見 隆夫  
特許庁審判長 大槻 清寿
特許庁審判官 原 慧
岡本 昌直
登録日 1997-10-03 
登録番号 特許第2703683号(P2703683)
発明の名称 カード発行システム  
代理人 西元 勝一  
代理人 横沢 志郎  
代理人 加藤 和詳  
代理人 福田 浩志  
代理人 横沢 志郎  
代理人 中島 淳  
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